日本中を飛び回ってきたローカル編集者の選ぶ【人生最高酒場TOP10】

2022.04.13

日本中を飛び回ってきたローカル編集者の選ぶ【人生最高酒場TOP10】

お酒を飲む人であれば、誰でも1つ2つは忘れられない大好きな居酒屋や酒場があるんじゃないでしょうか? 出張が多い人や旅行好きなら地方にも、そこでしか楽しめないお店があったり。今回は、『昭和感』『ふつうの居酒屋』『心地いい』をテーマに、自らを「居酒屋大好き人間」と語るジモコロライター・くいしんが、独断と偏見で大好きなお店を紹介します。

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    居酒屋大好き人間のジモコロライター・くいしんです。

    酒場とお酒が好きすぎて、以前にジモコロでもこんな記事を書かせてもらったほど。

     

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    いやー、やっとコロナ禍もちょっとだけ落ち着いてきましたね。まだまだ油断してはいけないんでしょうけど。

     

    でも、お酒好きの人からしたら、「たまには飲みに行ってもいいかな」って感じにはなってきてますよね。きてますかね。

     

    ってことで……

     

    今回は、僕が独断と偏見で選んだ「人生で最高だった酒場(居酒屋)」をご紹介します!

     

    なぜ?

    ただ、選びたかったからです。コロナ禍でお酒を飲む機会も減って、さみしかったから……。

     

    というわけで、よかったら、あなたの好きな酒場・居酒屋も教えてください。

     

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    #人生最高酒場TOP10

     

    いいお店を見つけるのって難しいですよね。グルメサイトの点数だけではわからないことも多いし、本当にいいお店はグルメサイトの点数に関係なくいいお店だったりします。

     

    東京は、お店の数が多すぎて、いいお店を探すのが大変だし。

    地方だと、情報が少なくて、ネット上で探すのは難しかったり。

     

    完全なる主観なので、趣味が合う人はぜひ似たようなお店を教えてください!

     

    <くいしんの人生最高酒場>

    1.参宮橋「さつき」

    2.渋谷「百けん」

    3.中目黒「栃木屋」

    4.中目黒「路地裏酒場 青コーナー」【閉店】

    5.代々木公園「もも家」【閉店】

    6.西荻窪「のらぼう」

    7.松本「山女や」

    8.高松「しるの店おふくろ」

    9.福岡「博多 薮」

    10.小田原「うをげん」

     

    人生で最高の居酒屋

    「ということで、ジモコロ編集部の友光だんごさんと一緒に紹介していきます」

    「『#人生最高酒場TOP10』は、どういう企画なんですか!?」

    『人生で最高の居酒屋を10店紹介する』という企画です」

    「めちゃくちゃそのまま。くいしんさん、居酒屋好きですもんね。いろんなところ行ってそう」

    「ジモコロをはじめいろんな取材で各地方に行っているということもあって、地方でいいお店に出会うことも多くて。あと、“オレはこういうお店が好きなんだ!”っていうのを伝えたいです。オシャレすぎず……、高級すぎず……」

    「なるほど。バランスのよさ」

    「そして、みんなにも教えてほしい。ツイートでシェアして教えてほしい」

    「くいしんさんが好きな『いいお店』って、たとえばどんな特徴があるんですか?」

    「今回、出てくるお店の種類というか、特徴なのですが、『赤ちょうちん系』みたいな感じが多いですね。古きよき、昭和からあったようなお店と言いますか」

    「コロナで酒場に行けない期間が続いてたので、気になりますね。ちょうど東京でも、まん防が明けたし……」

    「今回は、居酒屋ばかり選んでます。つまり、レストランとかビストロは入れてない。酒場と言ってもバーやスナックは入ってません。あくまで『いい居酒屋10選』だと思っていただけましたらと!」

    「わかりました、さっそく教えてください!」

     

    1.『どじょうの唐揚げ!?』参宮橋「さつき」

    「前半は都内のお店です!」

    「さつきはどんなところが好きなんですか?」

    「『赤ちょうちんだったらいい・悪い』という話ではないんですけど、そういう方向のお店で大好きなお店が、この、参宮橋にあるさつきです。僕が選ぶいいお店の特徴として、『おじいちゃんおばあちゃんが夫婦でやってる』があります

     

    「老夫婦の店! いいですね。参宮橋はあんまり行かないエリアでした。小田急の新宿と代々木上原の間くらいの駅ですよね」

    「そう。渋谷新宿に近いのに、普段、まず行かないエリアですね!(笑)。僕の場合は割と近いエリアに住んでいたから通うようになったんですけど。『普通は行かないエリア』のほうが、流行り廃りがないから、いいお店が残り続けるのかもしれない

     

    「渋谷や新宿みたいな都内の大きい繁華街だと、チェーンじゃない『いい店』を探すのって難しいですもんね。さつきの好きなメニューは何ですか?」

    「いやー、どれもよすぎて選べないです!」

    「投げ出すのが早い! まだ一軒目ですよ!(笑)」

    「どれもおいしいですが、しいて言うなら、どじょうの唐揚げが名物で。あとは、白子の天ぷら! 肉豆腐!」

     

    「どじょうの唐揚げ、珍しいですね。もう日本酒が飲みたくなってきました」

     

    2.『百軒店のイケてる小料理店』渋谷「百けん」

    「お次は渋谷ですね。百けん、僕も行ったことあります。渋谷の百軒店(ひゃっけんだな)商店街にある店ですよね」

    「そうそう! 百軒店っていう、ちょっと怪しいエリアにあるのがいいんですよね」

    「ちょっと猥雑な空気感がある。昭和な雰囲気もありますよね」

    「渋谷の百けんは、居酒屋というか小料理屋というか……。めちゃくちゃ絶妙なバランスのお店です。小料理屋的なメニューだけじゃなくて、中華寄りのメニューもいいんだよなあ〜」

    「セロリ餃子が最高でした!」

     

    「セロリ餃子おいしい〜! 最高です」

     

    3.『ナカメには珍しいふつうの居酒屋』中目黒「栃木屋」

    「栃木屋はどんな店ですか?」

    「やきとり軸の居酒屋なのですが、とにかく居心地がいいですね。中目黒に住んでいた時期に、ホントしょっちゅう行ってました。中目黒って、オシャレエリアだから『ふつうの居酒屋』があんまりないんです」

    「中目黒はおしゃれな店ばっかりのイメージでした」

    「カウンターもあるし、テーブルもあるし、座敷もあるし。20人くらいの集まりでも使わせてもらったことがあります。焼き鳥もおいしいし、なんでもおいしいんですけど、4種きのこのバター醤油炒めはよく食べてました」

     

    「きのこのバター醤油炒め、いいっすねえ〜」

    「あとは、アスパラと豚肉の春巻き」

     

     

    4.『隠れ家的とかじゃないけど隠れてる』中目黒「路地裏酒場 青コーナー」【閉店】

    「同じく中目黒でもう一店。ガチンコで『人生を通して、本当に好きだったお店』を選んでいるので、閉店してしまっているお店も紹介したいのですが、いいですか(笑)」

    「二度と行けない店……。そんなに最高だったんですね」

    「都築響一さんの『Neverland Diner――二度と行けないあの店で』って本あったじゃないですか。僕だったら、青コーナーかなあ〜!」

    「青コーナーの思い出、教えてください」

     

    「隠れ家のようなお店で、繁華街の裏の裏の裏、住宅街の奥の奥みたいなところにお店を構えているんですよ。でも駅からそんなに遠くなくて。だから、知っている人しか行けないお店。なのに、いつも混んでました」

    「芸能人も行くみたいな感じですか?」

    「あっ、そうではないんですよ! いわゆる『隠れ家系』みたいなお店ではまったくなくて。ホント、ふつうの居酒屋なんです。でも、隠れてる。そこがいい! ジャンボレモンサワーを何杯飲んだかわかりません」

    「いつ閉店しちゃったんですか?」

    「2020年かな? コロナの影響もあるのかもですけど、もともと建物の老朽化問題とかもあったみたいで。でもその古い建物が醸し出す独特の空気感がよかった……。今は同じ経営者の方が中目黒で『初場所』というお店をやってます。そこも最高……」

     

    5.『個室じゃないのに著名人が訪れる』代々木公園「もも家」【閉店】

     

    「次も閉店しちゃった店ですね」

    「代々木公園のもも家。ここは、コの字型カウンターだけ? だったかな、そんなお店で。正直、2、3回しか行ってないのでそんなに思い出もないですけど(笑)。ただただいいお店だった記憶だけが脳内にこびりついています」

    「ハチ公ソース、いいですねえ。渋谷だ」

    「いいですよね、市販されているみたいですけど、他のお店で見たことない。写真が少なくてすみませんが、ググってください。お店の空気感がめちゃくちゃいいんだよなあ……。それこそ、個室とかないお店なのに、芸能人・著名人もよく来るという噂を聞いたことがあります」

    「コの字カウンターってのもいいですね。ここもザ・昭和な店だったんですね」

    「記憶が曖昧なんですけど、店内はポスターとか貼ってあって、昭和感もあり、オシャレな雰囲気もあり。でもメニューはいい居酒屋って感じ。バランスがいい」

    「ググってメニューを見てるんですけど、どれも王道かつ安定なやつばかりですね。磯辺揚げと冷やしトマトでビール飲んだら最高だったろうな〜」

     

    6.『丁寧、だけど親しみやすい』西荻窪「のらぼう」

     

    「のらぼうは有名店ですね。西荻窪に住んでいた時代に行っていたお店で」

    「ここは行ったことないんですが、知ってます! 西荻の名店」

    「西荻窪はいいお店多いですけど、南側にはしんぽっていうお店があって『北口ののらぼう、南口のしんぽ』と言われていたとかいないとか……」

     

     

    「西荻、駅前の『柳小路』にいつも吸い込まれてました」

    「柳小路もいいですよね。戎(えびす)とか。今回紹介する中でも唯一、のらぼうは昭和感とかそういうことじゃなくて、洗練された、めちゃくちゃいい居酒屋!って感じですね。何を食べてもホントにおいしいです。素材もこだわったものばかりで。お刺し身もおいしいし」

     

    「地方にある、ちゃんと素材にこだわったいい店の感じがありますね。それが都内にあるのがいい……」

    「ちょうどいい丁寧さなんですよね〜! 敷居が高すぎない、でも丁寧っていう」

     

    7.『絶対に湯豆腐食べてほしい!』松本「山女や」

    ここからついに地方部門に入ります! 松本もいいお店がめちゃくちゃ多くて、ナチュールワインのpegとかも大好きなんですけど、居酒屋部門を選ぶとしたら、山女や!」

    「ここは松本にある『藤原印刷』の方に連れて行ってもらいました!! 最高の居酒屋」

    「空気感ヤバくないですか? 覇気がすごい。ふつうの居酒屋なんですけど」

     

    「すごく活気がありますね。店の方もそうだし、お客さんも、メニューの文字も元気。食材もやっぱり強い気がする……」

    「すべてのパラメーターが100を超えちゃってるというか。どれがおいしい、とかそういう話じゃないんですよ!」

    「地方へ行ったとき、こういう『地元のいいお店』に行く瞬間がいちばん最高ですね。土地の空気をグッと感じられる気がして」

     

    「それですね。僕らの仕事の醍醐味かもしれない。湯豆腐が信じられないくらいおいしかったです」

    「松本は水がいいので……」

    「完全にそれだ……」

     

    8.『心も身体も温まる、の極限地帯』高松「しるの店おふくろ」

    撮影:藤原慶

     

    「これもなんというか……、すべてが最高すぎるお店で。名前の通り、汁物がおいしくて、みんなそれを頼んでるんですけど。揚げ物もおいしいし、おばんざいもおいしいし……。今すぐにまた行きたいです」

    「噂はよく聞いています。汁物がおいしい、ってみんな言うのでどれほどなんだと思ってます。店名もいい……」

     

    撮影:藤原慶

     

    「これはジモコロ取材の流れで行ったのですが、全員が気に入りすぎて、初日に行って、2日目も行きました。2日連続。それくらいみんな感動しちゃって」

    「数日の取材ツアーで、2日連続で行っちゃうってすごい。飲み会のときって冷たいビールとか飲み続けるのでどうしても胃が冷えがちじゃないですか。そこで温かい汁物は絶対いいですよね」

    「癒やし効果がハンパなかったです。また行きたい。今すぐにまた行きたい」

     

    撮影:藤原慶

     

    9.『深夜に炭水化物』福岡「博多 薮」

    「福岡は正直、行った回数的には数回程度であんまり解像度高くないのですが、藪は最高でした。また行きたい。一日飲んで、最後の最後に流れ着くようなお店で」

    「博多は飲み歩きの街なんですよね。繁華街には、最後の店に相応しいお店がありますよねえ」

    「最後なんだけど、最後に瓶ビールを飲みながらカツ丼やカレーそば・うどん、カツカレー丼を食べよう、みたいなコンセプトというか(笑)。僕の勝手な解釈ですけど」

     

    「締めに炭水化物食べて、翌朝後悔するやつですね。わかります」

    「中洲にあるので、夜の仕事の人たちもたくさん来ていて。深夜でもお腹を満たしてくれる貴重なお店なのかなって想像してます。ぜひ行って、深夜にカツ丼を食べて後悔してほしい!」

     

    10.『神奈川県西部の宝』小田原「うをげん」

    「僕の地元・小田原の名店も紹介させてください!」

    「地元だ!」

    「マジでこれは奇跡なのですが、日本中の居酒屋に行っていますが、このお店は、本当に本当にすごいです」

    「おお、地元補正とかなしに!?(笑)」

    「これが、まったく地元補正ナシなんです! 百戦錬磨の居酒屋好きの友人たちを何人も連れて行ってますが、全員が『うをげんはマジでヤバい。ヤバすぎる』って言ってくれてます」

    「それはヤバい……。店名を見るに、魚が美味しいんですか?」

    「もともと魚屋さんで、その知見を居酒屋に活かしてる感じですね。おじいちゃんおばあちゃんのご夫妻でやっているお店です」

     

    「肉屋がやってる焼肉屋と、魚屋がやってる居酒屋は間違いない……」

    「おすすめは、アジフライ。某グルメ雑誌の特集扉ページに採用されたレベル。揚げ物が最高です。もちろん、お刺身も。注文は、おすすめを聞いてください。時期によって最高なお魚を選んでくれます」

    「近いうちに小田原行くので、一緒に行きましょう」

    「何度でも行きたいお店です。お母さんお父さんのやりとりが最高で。信頼関係の美しさ。内装もめちゃくちゃいいんですよ! オープン時に地域の魚屋さんからプレゼントされたという看板とか。メニューが細いピラピラの紙だったりとか」

     

     

     

     

    “いいお店”は人がつくる

    「うわー、とにかく酒場に行きたくなりました。昼間に話したことを後悔してます」

    「そうですね、これから飲みに行くぞってときにやらなきゃいけないヤツだった」

    「ここで挙がってるお店って、どれもチェーンとかじゃなくて個人店ばかりじゃないですか。コロナで影響を受けて閉店したり、休業したお店は個人店が多いわけで。好きなお店には、行けるときにちゃんと行かなきゃ! と改めて思いました」

    「失ってから気づくのでは遅いですからね。ホント……」

    「くいしんさんの言う『いい空気感』『いい雰囲気』『いいバランス』も、個人店だからこその要素はあるな〜と。細部まで行き届いてたり、逆に適度なゆるさがあったり。人間くささが感じられる店がいいですよね」

    「それですね。当たり前だけど、お店って人がつくってますよね。人のよさが、お店に通う理由になる。最初のほうにも言ってましたけど、いろんな人に好きな酒場を、ハッシュタグ「#人生最高酒場TOP10」で教えてほしい〜!」

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    くいしん
    くいしん

    インタビュアー、編集者、ライター。1985年、神奈川県小田原市生まれ。音楽誌編集者、webディレクターを経て、現在はくいしん株式会社代表。宇宙とハワイが好き。最近は総合格闘技にハマっている。

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