(撮影:渡邉和弘)
ジモコロライターのくいしんです!
僕たちの日常って、イベントで溢れてますよね。
歓送迎会や冠婚葬祭、誕生日パーティー、ホームパーティー…。
あらゆるイベントごとに参加してきた日々を振り返って思うのですが…、難クセをつけるわけではないですけど、どんなイベントも「参加者全員が、完ぺきに満足している」なんてことはありえない。
コミュニケーションの輪に入れないとか、話についていけないとか。誰かがちょっとだけイヤな思いをしていたりすることってたくさんあると思います。
でも集団の中にいると、自分の「イヤだ」って感情は顔にも口にも出しちゃいけないんじゃないかって気持ちが働いて、心の奥底に閉じ込めてしまう。なんとなく「楽しくやってます」って顔をしなきゃいけない感じがする。
自分の時間を使ってきているはずなのに、「仕方ないよね、たくさんの人が来ているんだから…」と。
やってきたのは長野県松本市…
と、いうわけで、聞いてきました「イベントのオーガナイズ論」。お話を聞いたのは、日本全国から長野県松本市に1万人を集めるフェス『りんご音楽祭』の主宰・sleeperさん。
話を聞いた人:dj sleeper|古川陽介
神奈川生まれ、山梨育ち。大学時代からの活動拠点である長野県松本市でパーティーハウス『瓦レコード』のオーナーを務めながら、dj sleeperとして活動。松本在住歴は20年以上。2009年秋、26歳からりんご音楽祭を始め、今年で14年目。
https://twitter.com/dj_sleeper
自身もDJとして、瓦レコードをはじめとした全国のクラブで夜な夜なパーティーを繰り広げるsleeperさんは、まさにイベントオーガナイザーの大ベテラン。
そんなsleeperさんのパーティーは…、
「りんご音楽祭に来る人は、『かわいい』『カッコいい』『オシャレだ』『イケてる人ばっかり』ってよく言われてる印象です」
「よくそうやって言ってもらえるけど、それはうちにオシャレなお客さんが多いんじゃなくて、みんな普段通りのままの格好で来ていて、オシャレに見えるだけなんだよ。ヒールで来る人もいるしね。他の野外フェスは、アウトドアレジャーとしてハードだから、みんなが持ってるポテンシャルが消えちゃうんです」
たとえば、りんご音楽祭は「フェスなのにヒールでも楽しめる」というように、ルールで縛るのではなくて、多種多様なお客さんを許容します。
sleeperさんが言っていたのは、誰かの小さな「NO」を排除しないこと。それが、イヤイヤその場にいる人を生み出さないことにもつながっていって、人が集まる場がハッピーになっていく。
みんなが楽しめるイベントのオーガナイズ論を、教えてくださいsleeperさん!
sleeperさんの考える「フェスティバル」とは
りんご音楽祭2019(撮影:丹澤由棋)
「今日は、よろしくお願いします!」
「お願いします!」
「りんご音楽祭の運営は、めちゃくちゃ泥臭いという噂を聞きまして。『オーガナイズ論』じゃないですけど、そういうお話を聞きたいなと思って来ました」
「オーガナイズかあ…。まあ、軽く罰ゲームっすよね」
「えっ!(笑)。いきなりそれ!?」
「誰もやりたがらないですよ! お客さんとして1万円のチケットを買って、遊びに行ったほうが、全然いいですから(笑)」
「それでもなぜ、やるんですか?」
「りんご音楽祭もそうだし、このお店もそうなんだけど、そもそも俺がオーガナイズを始めたのは、自分の行きたいところがなかったからなんです。フェスを始めたのも、フェスが好きであらゆるフェスに行ってたんだけど、どこかしら不満があって」
取材を行った「瓦レコード」
「不満と言いますと?」
「たとえば『これが、ここになくてもいいだろ!』って思うことがよくあるんです。たくさんお金を出している人がいい枠を持っているとか」
「商業的すぎるっていう。それがあると、お客さんの快適さがちょっとだけ減っちゃうみたいな」
「そうそう。あと、つまんなそうな人がひとりでもいると冷める。お金のために働きに来てるつまんなそうなアルバイトがいるとか。うちはあれがイヤで。だってさ、フェスティバルって祭りだよ?」
「来たい人だけが来てるはずだよね、っていう」
「それなのに誰かがイヤな思いをしているのはおかしい。そんなのはもう、フェスティバルという名のイベントになっちゃってる。イベントと祭りは全然違う。祭りを冒涜してんじゃねえ!っていう」
「りんご音楽祭って、出演したアーティストがそのあとすぐにめちゃくちゃ売れたりしてません!? これってなんなんですか。フェスティバルとしての純度が高いからこそ? 何か秘密が?」
「『りんごに出たバンドはみんな売れてくよね』って言ってもらえることは多いけど、それはウチのセンスがすごいとかじゃなくて、純粋に今、本当に現場(ライブハウスやクラブ)で話題になってる人に出てもらってるから」
「なるほどなー」
「ウチにヒップホップの人が多いって言われてるのは、俺が特にヒップホップを好きだから多めにブッキングしてるわけじゃなくて。遊んでれば、あれだけラッパーが多くなるのは当然ってことなんだよ」
「そういう順番なんですね! てっきり、ヒップホップを多めに、っていうスタンスなのかと思ってました」
「遊んでないヤツがつくるから、フェスのブッキングに現場感が伴わない。俺らはあくまで、パーティーだと思ってやってます。遊びの延長、って言うと怒られるかもしれないけど、ビジネスだけではやってない。他のフェスはイベントだったり、野外コンサートだったりすることが多いでしょ」
「そうですね。ただのショーケースでしかないものにフェスと名前を付けてることってよくありますよね」
「その点、やっぱりフジロックはすごいよね。あれはそう簡単にはマネできない。すっげームダとも言えそうなものにめちゃくちゃ金かけてたりさ」
「『チケットがなくても入れる無料のエリアに、なんで2つも3つもステージがあるんだ!?』みたいな。壮大なお金の無駄遣いですね…」
「それができるのって、めちゃくちゃすごいんですよ」
『NO!』のポジティブな側面
フェスのオーガナイズをしながら、自身もDJとして出演するsleeperさん(撮影:katsunori abe)
「りんご音楽祭と他のフェスとの違いで言うと、一番の違いってなんなんですか?」
「一番大きな違い…。みんなは、住んでるところでやってないことがほとんどじゃん」
「単純だけど、真理ですね」
「俺は松本に住んでるから松本でフェスをやるのが当たり前だし。住んでいるからわかることがたくさんある。住んでなきゃわからない。自分の行動範囲内ではあるけど、松本のみんながどうやって遊んでいるのか、俺は知ってるから」
「瓦レコードで日々、パーティーをやっているsleeperさんが言うと、説得力がすごい」
「ウチは松本内でも移動する気ないからね。毎年、アルプス公園でやっていきますよ」
「他の場所でやる気はない、っていう」
「アルプス公園は公共の公園だから、もちろん好き勝手にはできないし、制約も多い。松本は土地柄、保守的な部分もあるしね。それが松本のいい部分にも悪い部分にもつながってる」
「松本がどうこうってより、城下町は保守的であることが多いですよね」
「とにかく新しいことをやらない、変化しないことに哲学がある。変えないのが、正解になってるんだよね」
「僕も小田原っていう城下町に生まれ育ったので、めちゃくちゃわかります。それって、『田舎の悪いところ』と思われがちですけど、いい部分にもつながるんですか?」
「たとえば、古い建物を建て替えようとするじゃん。でもいざやってみると、イマイチになる可能性もある。お金をかけて、みんなに好かれていた場所を壊して、新しいものをつくってイマイチってこともある」
「ありますね」
「そのリスクを取るなら、変えない方が最終的にいい場合もある。だから、つくり替えていくことはリスキーで、結果、マイナスになることも多い」
「そ、そうかも…」
「って誰かが気づいたんだと思う。何もないところにつくるならまだしも、山を切り崩すとしたら山がなくなるわけじゃん」
「それはいやですね。シンプルに」
「何かがなくなる時点で、よくなるかどうかは微妙なところ。たまにそれで成功して事例になるけど、10件あったら1件くらいしか成功しない。他の失敗は、データ化されない。9割事故ってるじゃん、って。城下町を運営していた人がそれに気づいたんだと思ってる」
「な、なるほど…。さっきの『フェスは祭り。祭りだから、イヤな思いをする人がひとりでもいたらヤダ!』って話にも通じている感じがしますね」
「そうかもしれない。『変えたとき、必ずしもよくなるわけじゃない』ってことに気づいた人の教えが、今まで続いてるんじゃないかなって俺は想像してる。『NO』と言うことで、変化しない。変えてないからその功績はわかりづらいんだけど、それによって守られているモノもあるってこと」
「『NO』と言うのはよくないこととされがちですけど、そう考えると大切ですね」
「イエスマンばかり集めたら絶対にいいものはできないんだよ。NOがないと、『反対されても突破するくらいよいものしか残さないぞ!』って気持ちにならないし、『本当にやる意義あるのか?』ってことを徹底的に追求できない。松本の理念に成長させてもらってると思ってます」
「松本の土地柄があるからこそ、今のりんご音楽祭があるんですね。逆に、それだけ何かを始めることや変化することが大変な松本で、りんご音楽祭を続ける理由ってなんなんでしょう?」
「俺らが受け入れてもらっているから。今のような話をしていると“よそ者はきらわれる”って話に聞こえるかもしれないけど、要は、松本の者になってしまえば、すごく応援してくれる。中に入って、受け入れられたら、松本は強いんですよ」
偉くない人の話を聞く
(撮影:みやちとーる(ステキ工房))
「『りんご音楽祭は、あくまでパーティーの延長』という話もそうですけど、商業的になりすぎずに続けられるのはどうしてですか?」
「俺が偉くないからじゃない? オーガナイズもそうだと思うんだけど、責任者ほど一番遠いと思われがちなお客さんとかスタッフの意見を聞くべきだと思うんだよね」
「sleeperさんが意見を聞くのは、たとえばどんな人ですか?」
「その空間の中で一番意見を言いづらい人。たとえばクラブでドリンクをつくっている女の子とか。その子に、『暑いと思う? 寒いと思う?』って聞いて、暑いと言われたら『じゃあ温度下げてって俺が運営に言ってくるわ』みたいなね。一番意見を言いづらい人の声が、だいたい一番合ってるから」
「フェスだけじゃなくあらゆる場が、意見の強い人の声を反映してつくられているという現実はありますよね」
「そうなるとやっぱり誰かが楽しくない思いをするわけじゃん。お客さんしかり、スタッフしかり」
「そんな空間はもうパーティーじゃなくなりますね」
「そうそう。しかも、楽しんで働いてない人の労働コスパってすごく悪いんですよ。イヤなことを任せると、高くつく。だからイヤなことは極力やってもらわないほうがいい」
「本当にそれだ…」
「誰かがしんどい思いをしているフェスは、スポンサーをいっぱい頼まなきゃいけないくらいお金が必要。でも、楽しんでやったらそんなにお金をかけなくてもできちゃうんだよね。俺らはスポンサーありきの考えじゃないから、お金がないんだけど、お金がないからこのやり方でなんとか運営してるっていうのもある」
「お金がないから楽しい状況をつくっていって、それがイヤな思いをする人を減らすことにもつながっていって」
「俺からしたら『フェスで遊ぶのってしんどすぎる』っていうのも、弱い立場の人の意見が反映されていないからで」
「フェスで遊ぶのがしんどいとは?」
「普段からクラブで遊んでると、フェスはどれだけ誘ってもきてくれない人が多いんです。りんご音楽祭を始めた14年前なんかは『ダサい格好したくない』って言われちゃったりもしたから。だから俺は普段のクラブとかライブハウスの延長のノリの、ラクな格好で行けるフェスがあったっていいじゃんって思って、りんご音楽祭をつくったんだよ」
「りんご音楽祭って、お客さんが『かわいい人・カッコいい人が多い』『みんなオシャレ』みたいな感想をよく聞くんですけど。だから、松本の人ってよほどオシャレなんだなって…」
「それは、普段の格好のまま来てくれているからなんだよ!」
「なるほど…!」
「トイレも綺麗。たぶん世界で一番トイレが綺麗なフェスなんじゃないかな? 一日中、トイレ掃除を巡回しているフェスって、ほとんどないはず。今でこそトイレが綺麗なフェスもあるけど、14年前はそこまで気を配ってるフェスはほぼなかったと思う」
「フェスでトイレがずっと綺麗って、ほとんどありえないことですよね」
「それは女の子のためにやったわけじゃなくて、俺が汚いトイレはイヤだからっていうのがスタートなんだけど(笑)。でも結果的に、フェスにもともと来なかった、ヒールを履いて遊びたい女の子やオシャレな服を汚したくない人たちに好評だったの」
「すごい話だ」
「まあ、それもとにかくウチにお金がないからやっていることでもあるんだけど。いい感じの見栄えにしたいけど、デコレーションに使うお金はない。だから、お客さんにデコレーションになってもらうしかない」
「お客さんがデコレーション!」
「お客さんが華やかな服で来ても平気な空気をつくって、どんどん派手でおもしろいヤツ連れてきてよ!って誘っていって。来てくれたら、それをフォトギャラリーに載せさせてってお願いして」
「すごい。徹底してる」
「本当は、普段からオシャレな人がフェスにはたくさん来てるはずじゃん。でもアウトドアの格好しなきゃだから、もったいないことになってるんだよ。ポテンシャルを消しちゃってるの!」
「そこまでやることで、りんご音楽祭の世界観ができ上がってるんですね」
りんご音楽祭と松本には「許容」がある
取材の終盤は、お酒を飲みながら。sleeperさんいわく「一緒にお酒を飲める人じゃないと仕事はしない。取材も、お酒を酌み交わす時間がないやつは受けないから!」
「sleeperさんの『現場で一番偉くない人の意見に寄り添いたい』って気持ちは、どこから来ているんですか?」
「なんなんだろう…。学生時代とか、ずっと昔から思っているのは、イヤな思いをする必要がない人が、イヤな思いをしていることが多いなって思っていたのはあるかな」
「小さい頃から?」
「そう。謎の社会性とか、謎の一体感とか、謎の協調性とか求められて、それに反したことをすれば『お前は空気を読めてない』と言われたりとかさ。何も悪いことをしているわけではないのに、みんながこっちがいいって言ってるものを、俺があっちがいいって言っただけで悪人にされることってあるじゃん」
「ありますね、そういうことって」
「でもなんで、空気読めないヤツみたいな空気になるのか。それは違うだろうって。あとは、『じゃあ俺もそれでいいです』ってスタンスの、隠れNOみたいな人が居づらい。居づらいコミュニティをわざわざつくってどうすんの?って思うんだよね」
「小さな同調圧力ってあらゆるところに潜んでるイメージです」
「特に学生時代、小〜中学時代は楽しい思い出が全然ない。『みんなで遊びに行こう!』ってなって、『俺はいいや』って返すと、空気読めないやつみたいにされてきたから」
「集団になるとその傾向が強くなったりしますね」
「それは『多数決が絶対的に合っている』っていう教育を徹底的に受けているから。ふたりで遊んでいると、多数決にならないからそうはならないんだよね。必ず、2:0か1:1じゃん」
「たしかに」
「でも集団になるとさ、少数派が居づらいだけでなく、たとえば5:5の状態でも、言い出しっぺが誰だったのかやその集団の中で立場の強い人がどっちなのかで、全然フェアじゃないジャッジに流れたりもする」
「ありますね〜」
「そういうことを子どもの頃からイヤだなって思い続けてきたんだよね。だからそういう人は極力生み出したくないの。もっと放っておくとか、許してあげればいいのにって思うんだよね」
「集団の中で誰かひとりでもNOと言えない人がいたらそれはイヤだ!っていうsleeperさんの思いは、子どもの頃からの体験からつながっていたんですね」
「みんなもたいして変わらないと思うんだけど、集団の中で『ちょっとイヤだな』という思いはどこにいてもあると思う。でも、言うほどじゃない、表現するほどではないって閉じ込めちゃう」
「僕もそうですけど、たいていは押し殺しちゃいますよね。それやるの、めんどくさいし、めちゃくちゃ体力もいるし」
「なんだけど、そこは俺だけじゃないって思えたら動けちゃうから。空気読めてないと思われるかもしれないけど」
「そういう小さいNOを許容できるのがりんご音楽祭であると」
「っていうか、それが松本って街なんだよね」
「松本は許容の街?」
「許し合えるってこと。さっき松本は保守的って言ったけど、保守っていうのは許すってことだよ」
「ほう…!?」
「俺が言っているのは政治的な意味合いでの保守ではなくて、もっと言葉が元来持っている意味のほうね。保守って本来は、なるべくトラブルなく、今ある素朴な日々が続けばいいと思う人やその行動だと思うんだよね。つまりそれは、許しである。許さないから革命が起きるんじゃん?」
「な、なるほど…!!!!」
おせっかいマインドがパーティーをつくる
(写真:溝口裕也)
「いろいろ聞かせてもらったんですけど、結局、オーガナイザーってどういう人が向いているんですかね? 最初のほうにオーガナイズ自体が『罰ゲームみたい』って話もありましたけど」
「俺は、とにかく他のフェスやライブハウスでもいろんなことをぼやいてきたの。音をもっとこうしてくれって、PA(音響)に直接言ったり。とにかく、おせっかい」
「他の人がオーガナイズする空間でもつい、口が出ちゃう?」
「そうなの。他の店に行っても空いてるグラスを勝手に下げちゃうし、椅子がずれて動線が悪かったら直しちゃうし。もう自分でパーティーやんなきゃダメなんだなって思った」
「それもやっぱり、お客さんやスタッフ、演者など誰かのためを思ってのことなんですよね?」
「いや、もちろんそうでもあるけど、一番は自分のため。それがおせっかいの重要なポイント。盛り上がっているときにグラスが倒れちゃうとかさ、遊びに来ている俺からしてもイヤなのよ」
「ちょっとしたきっかけで、場って盛り下がりますもんね」
「だからもう基本的には自己満。俺はみんなが自己満をやって、他人に迷惑をかけたりイヤな思いをさせてしまったときだけ謝ったりすればいいと思ってる。みんながリア充だったり自己満やって日々楽しくしてもらったほうがいいパーティーをつくることにもつながるんじゃないのって」
「お客さんを大切にするお話をいろいろ聞いてきましたけど、かといって、いわゆるお客さんファーストとも違いますよね。その違いってなんだと思います?」
「対等ってことかな。お客さんは神様じゃないし、もちろん下でもない。パーティーはお客さんがいて、演者がいて、スタッフがいて、という風に、みんながいて成り立つ。一方向ではないんだよね。ライブって基本的には、ステージからお客さんへの一方向のコミュニケーション。でもクラブは、DJもその場のひとりにすぎない。お客さんとの相互作用で成り立つもの。フロアがいい感じじゃないとDJもよくなっていかない」
「クラブの双方向性みたいな部分もそのひとつだと思うのですが、ずばり、sleeperさんの思ういいパーティーってなんなんですか?」
「一番いいパーティーって、結婚パーティーとか誕生日パーティーなんだよ。その日その場で楽しみたいって共通認識になればなるほど、誰かを排除しようとしなくなるっていうことが一番表れているよね」
「なるほど!!!!」
「クラブだとスタッフがお客さんをつまみ出すことはあるけど、結婚式だったらベロベロになっちゃった人がいても、極力温厚にやろうとして裏でちょっと注意するくらいに留めるじゃん。どこでも、そういうふうにやればいいと思うんだけど」
「sleeperさんって世の中の違和感を日々感じていて、それをりんご音楽祭だったり、自分の人生だったりに賭けていくブレなさみたいなものを感じました」
「そういうのがやりたくてみんなこういう業界にいるんじゃないの?って。じゃなければふつうに働いたほうがいいよ。毎年確定申告やるたびに、よくこんなことやったな、イカれてるって思うもん。だって俺、店やって、DJやって、りんご音楽祭もやって。それでフェスの売上の95%が経費なんだよ!」
「経費95%!?!?(笑)」
「まるでギャンブル、いや、ギャンブルとして成り立ってない! でもリスクはめちゃくちゃ高い。だから罰ゲームみたいなもんなんです!(笑)」
おわりに
(撮影:平林岳志(grasshopper))
「罰ゲームみたいなもの」と、言いつつ、めちゃくちゃ楽しそうにりんご音楽祭や全国で行うパーティーのオーガナイズ論を語ってくれたsleeperさん。
お話の中心にあったのは、誰の心の中にもある「人にやさしくしたいよね」みたいな気持ち。集団の中で押し殺されてしまうネガティブな感情って、「仕方ない」で片付けられがちではありますが、「ちゃんと伝えていいんだ! むしろ伝えたほうがいいんだよね!」と当たり前のことを強く思い直しました。
同時に、自分は集団の中で誰かのイヤな気持ちを素通りしていないか?と襟を正されるような思いにもなりました。
りんご音楽祭のように大きなフェスティバルでなくても、人を集めて何かを企画していくことは、誰もが人生の中で経験することだと思います。そんなとき、自分自身が気持ちよく過ごすためにも、小さな「NO」を素通りしないことがみんなのハッピーを高めるんだという気づきを、胸に留めておきます!
撮影:小林直博
アイキャッチ画像撮影:丹澤由棋
☆チケットプレゼントのお知らせ
※応募受付は終了しました。
りんご音楽祭のチケットを、合計4名様にプレゼント。
2022年9月23日(金・祝)~25日(日)に、長野県松本市のアルプス公園で開催されるりんご音楽祭2022。今回は、りんご音楽祭からジモコロ読者にチケットをプレゼント! 3日間通し券/9月23日(金・祝)1日券/24日(土)1日券/25日(日)1日券、4点を、それぞれ1名の方にプレゼントいたします。
★応募方法
ツイッターアカウント @jimocoro をフォローして、以下のツイートをコメント付きで引用RT→当選はDMでお知らせします!
本日公開の長野県松本市のフェス「りんご音楽祭」のチケットを4名様にプレゼントします!
★応募方法↓
本アカウント @jimocoro をフォローして、このツイートをコメント付きでRTするだけで完了します。当選はDMでお知らせします!https://t.co/46WfxfKhJo— どこでも地元メディア「ジモコロ」 (@jimocoro) June 20, 2022
※当選はDMでお知らせしますので、必ずアカウントのフォローをお願いします。
※お届け先は日本国内に限らせていただきます。
※チケットの発送は、7月以降になります。
りんご音楽祭 2022
開催日:2022年9月23日(金・祝)~25日(日)
会場:長野県松本市アルプス公園
出演アーティスト:Analogfish/韻シスト/ENTH/掟ポルシェ/Campanella/奇妙礼太郎/クリトリック・リス/GOMA meets U-zhaan/JUBEE/dj sleeper/ZOMBIE-CHANG/ディーゴ(2000Black)/TOKYO HEALTH CLUB/どんぐりず/NABOWA/valknee/PK shampoo/RITTO/呂布カルマ/Rave Racers/浪漫革命/∈Y∋(BOREDOMS)/GAGLE/KIKI/kZm/DJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA/JJJ/showmore/曽我部恵一/Track’s/FNCY/MONO NO AWARE/yonawo/くいしん/徳谷柿次郎/ロマン
★チケットの購入はこちらから
https://ringofes.info/fes2022/ticket/
☆この記事はエリア特集「信州大探索」の記事です。
画像ギャラリー
この記事を書いたライター
インタビュアー、編集者、ライター。1985年、神奈川県小田原市生まれ。音楽誌編集者、webディレクターを経て、現在はくいしん株式会社代表。宇宙とハワイが好き。最近は総合格闘技にハマっている。