ジモコロ編集長のだんごです。僕は昔から犬が好きで。中二の時に実家でコーギーを飼い始めて、一人っ子だったのもあり、犬が弟のような存在。

もう10年以上、犬のいない生活なんですけど、いつか飼いたいんですよね……。

 

「だんごさん、ずっと犬のこと言ってるよね」

「犬のいる暮らしがしたすぎて、暇になると犬の動画を見てます」

「そんなだんごさんに大型犬はいいぞ!って話をしにきました」

「急にお迎えしてましたね、黒のラブラドール」

ちょっと困り顔の愛犬を抱く、ジモコロ前編集長の柿次郎。犬の名前は「コム」で、1歳になったばかりの女の子です

「そう。割と直感だったんだけど、飼い始めたら大型犬ってめちゃくちゃ面白い。だんごさんも犬との暮らし、はじめたほうがいいよ。まだ犬飼わずに消耗してるの?って思ってるもん」

「イケハヤさんのやつ! よくないですよ!」

 

犬だけにマウンティングをかましてきた柿次郎ですが、たしかに黒ラブを迎えてからなんだか変わったんですよね。大型犬の何がそんなにいいのか、聞いていきます!

 

健康習慣ができて、自然の変化にも敏感になった

「それでは犬と暮らし始めてよかったことを発表します」

「かわいいとか?」

「そんなのは大前提。やばい。かわいすぎる。脳みその大半を支配されて、日に日に愛情が芽生える。で、一番の発見は・・・『健康習慣ができた』ことです」

「健康……あ、散歩に行くようになったから?」

「そうそう。長野の信濃町って山奥に住んでるから、普段の移動は基本的に車になっちゃう。冬場は特に1日の歩数が1000歩以下も普通で。運動量豊富な大型犬に必要な散歩を意識したら、1日5000〜10000歩の日が増えたね」

「それはすごい変化! われわれPC仕事の民は歩かないですもんね〜」

「接骨院の人と話したら東京の人より、長野の人の方が身体やばいって言ってた。都市はそれなりに歩くからなぁ」

「いまはオンラインMTGが増えて、打ち合わせ移動が激減したのは都市部でも影響を感じてます」

「よくいわれる話だけど、散歩に行くとめちゃくちゃ頭がスッキリする。普段から頭を使う仕事だから、気持ちを切り替えるのに散歩はぴったりだし、オンラインMTGも散歩しながらやるとお得な気分になる

「ずっとZoom越しに人と話してると気が狂いそうになりますよね。散歩しながらのオンラインMTG流行ってほしいな」

「オンラインMTGが1日3件続くとやばい。実際、幸福度が下がる研究もあるみたいよ。大自然の散歩は、四季のグラデーションを日々感じることができるから、山奥に移り住んだメリットを享受できて最高」

「自然関連のポストが増えたなと思ってました! そもそも『自然が強いところに住みたい』って信濃町に引っ越してましたもんね」

「そう。なのにめちゃめちゃ旅で家を空けてるし、車移動ばっかりしてると些細な身の回りの風景の変化を見逃しちゃうから。もったいないことをずっとしてた……」

「旅人間の悲哀すぎる」

今までよりも地域で過ごす時間が増えたから、集落の人との関係性も変わった気がするなあ。前もコミュニケーションをとってなかったわけじゃないけど、散歩で顔を合わせる機会が増えたのは大きい。畑いじって外に出てるだけで関係性が広がるのと一緒かも」

「近所の人からしたら、『あんまり家にいないよくわからん人』から、『黒くて大きな犬の飼い主』になったのかも?」

「安心感にはつながるよね。都市部はまた違うと思うけど、田舎だと『〇〇の仕事をしてる徳谷さん』より、『黒ラブ飼ってる徳谷さん』って認識のほうが、関係性をうまく築けるはず。田舎移住は畑いじりと犬がおすすめ」

「『レトリーバー』は『獲物を回収する』という意味。16世紀頃にカナダの漁師たちが飼育していた犬が祖先ではと言われていて、網からこぼれた魚を回収したりしてたらしいよ! その後、猟犬として活躍するようになったんだって。

ラブラドールは特に観察力や使役能力にすぐれていて、盲導犬や介助犬、災害救助犬などでも活躍してるよ!」

 

犬は暮らし人生の「アンカー(錨)」

「あとは、前よりも家に帰るようになったのも変化として大きいな」

「へー! 犬に会いたいから?」

「大丈夫かな?って心配になっちゃう。信濃町は街灯もないし、寒い時期はあっという間に暗くなるし、夕方の散歩をしないといわゆる問題行動が増える。週5の会社勤めだと犬が求める生活を担保するの大変だなと思った。いや、ほんと自由な会社の社長でよかった!」

「生活サイクルが犬ベースになってる!」

「完全にそう。散歩もそうだし、ごはんもあげなきゃだし。家に帰りたくなるから出歩く機会も減って、飲み会も激減したし、犬を吸ってたらタバコも吸わなくなった」

「タバコまで!健康まっしぐら! なんか子どもが生まれた人と一緒ですね」

「犬と一緒にいたいから家に帰るし、近所に飲食店もないから家だと自炊するしかない。散歩行く、ご飯食べる、こたつ入る、テレビ見る、すぐ寝る。こんな生活ですよ」

「普通の生活をしてる! あの全国旅しまくり深夜3時まで飲みまくりだった人が……」

こんな子が家で待ってたら、帰りたくなるのもわかる

「今までの生活が異常すぎたことにようやく気づけた。ジモコロ編集長になってから10年近く手放していた普通の生活をようやく手にしたのよ。時間かかった……。おかげで昨年末の人間ドックのデータもめちゃくちゃよくなってたもん。マジで全国行脚のジモコロ編集長は修羅の道だからおすすめしない」

「その役割、引き継いだばっかりなんですけど!?」

「(たのむ、同じ修羅の道を歩んでくれ……)。自分の止められない衝動があったんだけど、犬がアンカー(錨)みたいに自分の住んでいる土地に引き戻してくれてるような引力が発生するね

「こっちは全国飛び回るから飼いたくても飼えない悔しさ…!」

「灼熱酷暑の都市部で暮らす難しさもあるよね。あと、自分の10年先のことを考えるようにもなった。ラブラドールの寿命は一般的に10年〜12年だから、コムが歳をとったときに自分は50歳か、と」

「仮にコムが歩けなくなったら、とか……」

「関節を悪くしやすい犬種だからなぁ。大型犬の中では小柄な26キロなんだけど、50歳の自分は介護できるか? 抱えられるか?って思うと筋トレしたくなるよね」

「犬を迎えるってそこまで責任を負うってことですもんね……。飼い主も元気でいなきゃ」

「だから今後の人生に必要な要素がギュッとコムに詰まってるのよ。人間の子どもだったら、基本的に自分より長く生きるはずだけど、犬はそうじゃない。その前提があると、一瞬一瞬のかわいさ、愛おしさも変わってくる。メメント・モリすぎて泣きそうになってきた」

「死んだ目の柿次郎さんにそんな感受性が!? 1日1日を大事にしなきゃ。それはもう飲み会よりも家に帰ったほうがいいです!」

「オフィスを16時に出るのも仕方ないし、18時以降パソコン触らないのも仕方ないでしょ?」

「散歩行ったあとは家で残りの仕事してください」

「急に冷静になった」

「犬はいちばん昔に家畜化された動物。古代エジプトでは紀元前3500年前のお墓の壁画に、リードをつけて飼い犬と歩いている様子が描かれてるんだって。日本では縄文時代はじめごろの遺跡から、縄文犬が出土してるよ。

いまの日本での犬の飼育頭数は約684万4000匹(2022年度/ペットフード協会調べ)。2020年からのコロナ禍の時期には飼育頭数が増えて、猫は増え続けてるけど、犬はちょっと落ち着いたみたい」

 

大型犬はアンコントーラブルだから面白い

「『大型犬ならでは』の話、もっと聞きたいですね」

「それで言うと、大型犬はアンコントローラブルな存在なのが面白い

「コントロールできない存在。力が強いから?」

アンコントローラブル!

「それもあるけど、身体が大きいぶん存在感がすごい。家にいると情報量が多くて、ずっと気になっちゃうし。コムに脳を支配されてる感覚すらある。あとイタズラの甘噛みの代償がでかいのよ」

「実家にいたコーギーも、留守番中は破壊神でした。帰ってくるたび何かが犠牲になってたなぁ」

「俺も被害総額がすでに20〜30万円いってる気がする。この前も3万8000円で買ったBluetoothイヤフォンがぐちゃぐちゃになってて膝から崩れ落ちそうになった。メガネのあま噛みはレンズ交換で2万円コース×3本の被害がある」

「うわ〜! ショックすぎる」

「その前の日は、北海道の友達にもらった貴重な民芸品がかじられてて。買ったばかりの家具の脚がかじられたりとか、日常茶飯事。でも、直後はうわーってなるけど、しょうがないんですよ

「被害総額がデカすぎて悟りの境地へ?」

「いや、最初はムカついたりもしたけど、犬からしたら物の価値なんてわからない。これ高いのに!って人間の感情をぶつけてもどうしようもない。届く範囲にモノを放置した自分が悪いし、散歩不足とか相手できていなかったせいでストレスを溜めさせてしまった可能性も高い」

「大人みたいなこと言ってますね」

「立派な大人だよ!犬が完全に自分の人生の映し鏡というか。好奇心であれこれ買っちゃう性分とか、家の片付けができてない自分の生活の乱れとか、出張の負債とか、そういうものの果てにモノが壊れてると思うようになった」

「まあ、そうですよね。柿次郎さんは完全に物が多すぎる人間なので。でも、なんか達観するようになりましたね。前はもっとブツクサ言ってた気がします」

「40歳をすぎると色んなことができるようになるし、ストレスからも距離を置ける。でも、そんな中で『こんなに理不尽なことが!』ってものを身近に持っておかないと、人間だめになる気がする

「(きれいな眼で達観したこと言いはじめた……ちょっと怖いな……)」

「そもそも犬は動物だし、本能とかもある。それをできるだけ大人しく、飼いやすいように改良してきたのも人間のエゴかもしれない。時間をしっかり割いて世話をしないと、愛情不足がカウンターとしてのイタズラで返ってくる。でも、その反動の大きさこそが面白いって思うんよね」

「それが『大型犬は面白い』ってことですか」

「そう! ダイナミックだから面白いな!って思う。コムは滅多に吠えないし、ラブラドール特有の賢さとアイコンタクトの非言語コミュニケーションは、言葉を信じすぎて争いを生む人間界とは違う原則で生きてる。自然の理屈に引き戻してくれるというか」

「なるほど、柿次郎さん、コムが来てから人間への期待値減りましたよね」

「こんなに感化されるとは思ってなかったね。環境が許すなら、もう1匹、大型犬を飼いたいくらいよ」

「すご! でもたまに大型犬を複数連れて散歩してる人とか見かけますね。ハマっちゃうのかな」

「信濃町でも、たまに大型犬を何匹もつれてるおっちゃんとか見かけるよ。俺もコムを飼うまでは大変そうと思ってたけど、今ならわかる。大型犬は面白いから……」

「僕もちょっと理解できた気がします。やっぱり犬はいいなあ」

 

やっぱり犬はいいよね

犬を飼うのは命を預かるということですし、飼い主としての責任は重大。でもその分、感じられる喜びもひとしおなんだなと改めて感じました。

最後に、柿次郎さんからコムを家に迎えてから「買ってよかったもの」を紹介して終わります。

 

①うんちが臭わない袋

技術の進化に感謝! 大型犬はうんちがでかい、臭いも強烈なので、この袋はマジで助かってます。開発した人にノーベル賞あげたい。自治体によっては犬のうんちをトイレに流せないので、防臭袋は必需品です。

 

②「ネルソンズドッグフード」

https://www.nelsonsdogfood.jp/

そんなに試したわけじゃないけど、穀物主体ではなく、動物性主体のドッグフードがいいと教えてもらったやつ。定期便で5kg=7100円。ちょっと高めかもしれないけど、食いつきもめっちゃいいし、毛艶や口臭、目やにとかが良くなった気がする。犬のご飯はそれぞれの価値観があると思うので参考までに。

 

③きえーるペット用

過去にジモコロでも取材している北海道・北見の会社『環境大善』さんの革命的な商品で。公式では『環境微生物群(乳酸菌等)を発酵・培養した「善玉活性水」から生まれたバイオ消臭液です。ふん尿臭・ケージまわりなどの臭いをスッキリ消臭』と説明されています。天然成分100%の消臭剤としても使うし、ドッグフードや飲み水に吹きかけて体臭やうんちの臭い対策にもなる。1Lの大きいボトルを買って遠慮せずガンガン使うのがおすすめ!

 

※おすすめ犬のお散歩ラップ

 

 

 

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