ジモコロ編集長の友光だんごです。

2024年1月1日に発生した、能登半島地震。先月から、ジモコロでは被災地となった能登地方を取材した記事を2本、公開しました。

 

この2本で終わりではなく、今後も継続的に能登へ通い、ジモコロで現地の方たちを取材していこうと考えています。

 

なぜ能登を取材するのか?

5月中旬、地震の発災後に初めて能登に行きました。場所は輪島。現地在住の漆芸家・桐本さんに案内いただいたのですが、いまだ多く残る地震の爪痕に衝撃を受けました。

地震直後の火災で焼け落ちてしまった「朝市通り」や、町のあちこちにある倒壊した家屋。しかし同時に、再開しているお店も増えており、地元の方たちが買い物をする姿や、学校帰りの学生、海岸で遊ぶ子どもたちなど、当たり前の「日常」もまたそこにはありました。

テレビやネットのニュースで地震の被害を受けた被災地の姿ばかりを見るうち、どこか人がそこで今も暮らしているという当たり前のことに、想像が追いついていなかった自分に気づいたのです。

 

現地では「テレビや新聞の取材が減っている」と聞きました。取材直後は多くの記者の人たちが来ていたけれど、徐々に報道も減ってきている。また、センセーショナルな被災地の光景を伝える番組や記事は多いけれど、能登で暮らす人々が今どのように生活し、どんなことを考えているか、リアルに伝えるメディアが少なく感じる、と。

 

ジモコロではこれまで、日本全国のローカルを取材しながら、現地に足を運び、そこで見聞きしたリアルな声を伝えることに取り組んできました。そんなジモコロだからこそ、いま能登に通い、現地の声を伝えていくことができるのではないか、と思っています。

 

ウェブメディアだから伝えられること

僕自身、元旦に起きた地震直後にすぐ動けたわけではありません。募金などできることはしながら、「今、現地へ行っていいのか?」と正直迷うばかりでした。

これまでジモコロでは2016年の熊本地震の際に企画した「熊本震災支援プロジェクト」など、大きな災害のあとにはアクションを起こしてきました。今回の地震では何ができるのか……そう悩み続け、やっと知り合いづてに現地取材が実現したのが5月。けして早くはありません。ただ、このタイミングだからこそ、ジモコロなりにできることがある、と思います。

 

珠洲の町の中心部にある「いろは書店」。店舗が被害を受けたものの、仮設店舗で営業を再開していました

 

現地で何人もの方がおっしゃっていたのは、「復興は数年、数十年かかる」ということ。それくらい、能登の町に残された被害は甚大でした。ただ、発災直後は想像もつかないほどの混乱のなかにいたであろう現地の方たちも、少しずつ気持ちが日常へと戻りはじめているタイミングのように感じます。

町の風景が元に戻るのは、長い時間がかかるかもしれない。でも、そこで暮らしている人たちは日々、少しずつ前に進み、思っていること、感じていることも変化していくはず。

 

新聞やテレビのような報道のメディアには、速く、より広く情報を周知する役割があります。一方、ジモコロのようなウェブメディアでは数千字のボリュームをかけて、情報を削ぎ落としすぎることなく、取材相手の言葉を行間も含めて伝えることができます。

それぞれのメディアに、それぞれの役割があると思います。ジモコロのようなウェブメディアには、新聞やテレビなどの報道からはこぼれ落ちてしまうことのある、揺らぎや迷いも含めた生の声を伝えることができるはず。

今後、時間の経過とともに能登についての発信が減っていくことも予想されます。そんな中で、現地のリアルな声を継続的に伝えていくことが、今のジモコロなりにできることだと考えています。

 

今後、公開予定の記事

まずは以下の2本を予定しています。

 

・編集者・藤本智士さんによる珠洲取材

ジモコロでも記事を書いていただいている藤本さんが、珠洲の知人を訪ねました。珠洲への愛と、金沢への避難生活の中感じていること、今のリアルな言葉を伝えます。

 

・ペット探偵に聞く「ペットと震災」

以前、ジモコロで取材したペット探偵の藤原博史さん。今回の能登地震でも「何か少しでも役に立てることがあれば」と現地に入り、迷い犬や迷い猫の捜索に関わられました。そんな藤原さんに話を伺い、ペットという視点から震災について伝える記事です。

 

この2本以降も、また能登での取材を重ねていきます。ジモコロの記事で、少しでも能登を身近に感じられたり、アクションしようと思うきっかけになれるように。

引き続き、ジモコロをよろしくお願いします!