「さいきん調子どう?」「この間、久しぶりに外食したよ」

緊急事態宣言もようやく解除され、少しずつ日常が戻り始めている今日この頃。しかし、なかなか元どおりとはいきません。

 

ローカルのお店からフリーライターの方まで、さまざまな人たちが直面している状況や対策についてのリアルな声を集める連載「みんなの現状報告〜そっちはどうだい〜」。今回は大阪の飲食店からの声をお届けします。

 

飲食店などへの休業要請について、要請解除のための独自の基準「大阪モデル」が設定されていた大阪の街。5月中旬ごろには、他の地域よりもいち早く休業要請が緩和され、多くの飲食店がゆるやかに営業をスタートさせました。

 

大阪で暮らしていた筆者にとって、このコロナ禍で好きなお店の店主さんやスタッフさんが苦労していないか、思い悩んでいないかと心配でした。

 

しかしそこは、商魂たくましい大阪の人々。現場では、「お客さんに安全に過ごしてもらう」ための様々な工夫が生まれていました。

時間短縮で営業をしている店もあれば、この機会にランチのテイクアウトをはじめた居酒屋、割り切って店を閉め、ステイホームの時間を「新メニューの開発期間」に当てた店主も。

 

全国的に街に賑わいが戻り始めた今、飲食店に立つ人々は何を思うのか? 緊急事態宣言当時のことを振り返りつつ、今もなお尾を引いている影響について語ってもらいました。

 

 

それでは……

大阪のみんな〜〜〜!!! そっちはどうだい???

 

 

【今回、紹介するお店】

・wapiti(北浜/燻製立ち飲み)

・テケレッツ(中津/鉄板酒場)

・アララギ(谷町6丁目/カレー店)

・スタンドニューサンカク(本町/立ち飲み酒場)

wapiti (北浜/燻製立ち飲み)

wapiti 秋谷直弘さん

業種:飲食業(立ち飲み酒場)
所在地:大阪府大阪市中央区安土町1-4-5
営業状況:営業中
SNS:Instagram

 

■お店の現状

4/8から営業を自粛していました。スペースの狭い立ち飲みなので、営業しようと思えば密は避けられない。

幸い外にも少し席があるから、わざわざ寄ってくれた常連さんには1杯だけお酒を出して外で飲んでもらって……なんてしていたけど、緊急事態宣言中は、ほぼ休業状態でしたね。

 

 
 
 
 
 
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■今後の展望

僕らが店を閉めると、いつも食材を届けてくれていた問屋や農家の方々にとってもダメージがあると気づいて。店のお客さんたち向けに食材の仕入れ販売をはじめました。野菜なんかはいいものを仕入れているし、必要あればこちらで少し下処理して渡してあげたり。

SNSや電話で連絡してもらった人に翌日お渡します、という形で営業したら近所の常連さんたちが買ってくれて。ありがたかったですね。

テケレッツ (中津/鉄板酒場)

テケレッツ 岸谷竜介さん

業種:飲食業(鉄板居酒屋)
所在地:大阪府大阪市北区中津3-17-3
営業状況:営業中
SNS:Facebook

 

■お店の現状

うちは鉄板焼きとお好み焼きメインの酒場です。大阪の中津エリアは単身赴任の方も多く住む街なので、男性女性問わずお一人の方もよく来てくれますね。

ただ、3月末から4月いっぱいは完全に休業してました。

志村けんさんが亡くなられた日を境に、お客さんの空気もはっきりと変わって。それでも大勢の方が飲みに来てくれていたんですが、オーナーがはっきり「閉めよう」と決断をしてくれて。

そのあとは、落ち着いてきた5月ごろから、アテ盛りのテイクアウトを中心に少しずつ営業をはじめました。

 

 
 
 
 
 
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■今後の展望

全く店を開けていなかった4月の間は、じっくり新メニューを考える時間でした。そのおかげで、5月からのテイクアウトメニューも出来たし、新しい看板料理になりそうな一品もできた。今後はそれで店を盛り立てて行きたいです。

5月中旬ごろに「大阪モデル」で自粛解除になって、来るのを我慢してくれてた常連さんたちが「飲みたかった〜」って来てくれて。扉は全開にして、アルコール除菌も皆さんにお願いして……と対策しながらですけど、少しずつ前のような営業に戻していけたらと思いますね。

アララギ (谷町6丁目/カレー店)

アララギ 三上洸さん

業種:飲食業(カレー店)
所在地:大阪市中央区中央区谷町6丁目18-28
営業状況:営業中
SNS:facebook

 

■お店の現状

大阪の下町、谷町六丁目でカレー店を営んでいます。

スパイスカレーとチャイが人気で、近所に住む人も、サラリーマンの方もよく来てくれていました。

緊急事態宣言の間は、街全体が静かでしたね。谷町にはご高齢の方も多く住んでいるので、みんな外出に敏感だったと思います。近くにある「空堀商店街」もほとんど人通りがないし、店も閉まっていて。

 

4月〜5月はランチのテイクアウトのみで営業していました。希望するお客さんには中で食べてもらうこともありましたが、換気と消毒、人数制限とか、出来るだけ気は遣ってましたね。

コロナ禍の間は客層がはっきり変わって、近所の主婦の方がしょっちゅう買いに来てくださるようになりました。多分、毎日が家庭料理になるぶん、外食の雰囲気を少しでも味わいたくて買いに来てくれてたんじゃないかな。

 

■今後の展望

テイクアウトカレーに力を注ぎ始めたのが、新しい取り組みですね。あとはテイクアウト容器に、音楽をフリーダウンロードできる包み紙をつけたりとか。

アーティストの2yangさんって人が飲食店向けに考案した仕組みに乗っからせてもらって、うちの店のグループ(ボタ系列)と仲のいい音楽アーティストの人に曲を提供してもらって。反響はどうかわからないけど、やっぱり普通にお弁当を買うよりは楽しいじゃないですか。

 

緊急事態宣言が開けても、まだリモートワークの会社が多いみたいで。正直、客足は全然戻らないですね。店のグループ全体で、スパイスセットやグッズを販売するECショップを始めたりもしたので、当面はそっちも盛り上げつつお客さんを待つ感じです。

スタンド ニューサンカク (本町/立ち飲み酒場)

スタンドニューサンカク ケンケンさん

業種:飲食業(立飲み酒場)
所在地:大阪市中央区瓦町4丁目5-4
営業状況:営業中
SNS:Instagram

 

■お店の現状

大阪、四つ橋筋沿いエリアにある立ち飲み屋です。働く人も住んでる人も多いエリアやから、いろんなお客さんが寄ってくれるね。

3月中は雑誌の「BRUTUS」にも載せてもらったこともあって、人がパンパンやったんやけど、4月頭に志村さんが亡くなられて、一気にお客さんが3分の1ほどになったね。

4月からはお弁当のテイクアウト販売をメインにしながら、店内に人が少なければ、少人数ずつなら入って食べてもらえるようにして。窓は全開、お客さんが一番よく使うコの字のカウンターは逐一アルコール消毒して、スタッフはマスクしてね。

自粛が解禁になって少しずつお客さんが戻り始めて、6月になってようやく7割5分くらい戻ってきてくれた感じかな。「ここが開いてないとご飯食べる場所ないわ」なんて言ってくれる常連さんもいてるから、「開けてくれてありがとう」「いやいや、来てくれてありがとう」って状態やね。

 

■新たな取り組み

同じ四つ橋筋そばのエリアにある「オオサカチャオメン」って店が発起人になって、近隣4店舗のコラボ弁当を発売してます。四つ橋筋横で「ヨツヨコ」ってエリア名をつけて盛り上げようとしてね。博多の方で始まったスタイルを参考にさせてもらったんやけど、たくさんの人に食べてもらえてますよ。

 

 
 
 
 
 
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ランチやお弁当も引き続き考えつつ、客足が戻ってくれたら……とは思うけど。来てくれてるお客さんの数の割にはちょっと、売り上げが少ないかな、って感じはあって。

みんな先行きの不安もあるから、お酒もアテも少し控えめに注文してはるのかなとは思うね。もちろん、状況的にも手放しに「元どおりやろう!」なんてことは言えないし。スタッフを守れるように頑張って営業していかなしゃあないね。

みなさんの現状もお待ちしています

「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」では引き続き記事を公開していきます。

記事を読んだ皆さんも、SNSで「#そっちはどうだい」のハッシュタグをつけて、現状を報告していただけるとうれしいです。

先の見えない、大変な状況だと思います。みんなで現状や取り組みをシェアして、少しでも前向きに日々を過ごしていきましょう。また笑って会える日を信じて。

 

OGPイラスト:小松佑