
日本全国市町村の約半数に設置され、2025年現在1230もあるという道の駅。旅の途中に道の駅の文字を見つけると、ついつい立ち寄ってしまうかたも多いはず。
そんな全国数多ある道の駅ですが、今回ご紹介するのは新潟市の南東に位置する、田上町(たがみまち)という長閑な町の小さな道の駅。

どうもみなさんこんにちは。旅する編集者の藤本智士です。
1230駅のうち3分の1くらいは立ち寄っているんじゃないかと思うほど、全国を旅し続けている僕ですが、ここ「道の駅たがみ」は、自分史上もっとも「やさしい」道の駅。
うん? やさしいってどういうこと? と思った方はぜひ読んでみてください。道の駅たがみ駅長の馬場大輔さんのインタビューから、そのやさしさを紐解いていきます!

話を聞いた人:馬場大輔さん
1978年田上町生まれ、田上町育ち。いくつかの職を経て、北方文化博物館に勤務し、国際交流や地域文化継承の重要性などを学ぶ。2022年4月、道の駅たがみの駅長に着任。町の文化や資源を次世代につないでいくため、さまざまな取り組みを行う。
「見習いソフト」の衝撃

藤本:僕、じつは2021年の10月に、ここ「道の駅たがみ」に来てるんです。
新潟県田上町にある #道の駅たがみ 名産の梅を使った 綺麗な緑の 梅ソフトクリームがなんだか美味しそうで、食券買おうとしたらこんなボタンが。#見習いソフト
50円安いこともあって迷わずそれに。とは言え、いま居る人が見習いさんとは限らないし、普通のソフトが出てくるんだろと予想するも…… pic.twitter.com/ZFqU2vkQ5l— 藤本智士 (@Re_Satoshi_F) October 20, 2021
馬場:ありがとうございます。オープンしてちょうど1年が経ったころですね。
藤本:当時は車で旅をすることが多くて、道中にある道の駅で、地産の野菜や地元の方が作った餅とかを買ったりするのが好きだったんです。そんななかでも特に、道の駅たがみはモーレツに印象に残っていて。
馬場:そうなんですね?! ありがとうございます。
藤本:全国に道の駅がたくさんあるなかで、どうして強烈にここの記憶が残っているかというと「見習いソフト」なんです。
馬場:あ〜、なるほど!
藤本:あれはほんとうに衝撃の出会いでした。ちょっとこの写真、見てもらえますか?

馬場:おお! これはなかなかすごいですね(笑)。
藤本:でしょ!? いったいどうしたら、ソフトクリームの先っちょがここから出てくるのか不思議。
馬場:巻けないながら、なんとかまとめたのがわかります。
藤本:そもそも見習いソフトは名前のとおり、まだソフトクリームを巻くことに慣れていない、見習いさんが巻くソフトクリームってことですよね。
馬場:はい。その分、通常価格よりも少し安くしています。
藤本:だけどこれが出てきたときに僕、逆に「追加で払いたい!」って思ったんですよ。
馬場:たしかに芸術的ですね。

藤本:正直、見習いソフトとはいえ、いつだって見習いの人がいるわけじゃないだろうし、そこまで見習い感を感じるソフトは出てこないだろうと思ったんです。
なので、安いほうにしておこうかな、くらいの気持ちで食券を買って渡したら、「○○さーん! 見習いソフトお願いしますー」って、食券を受け取ったひとじゃなくて、遠く物販側のレジのところにいる女性をわざわざ呼んでくださって、その結果あのソフトを手渡されたわけです。
馬場:そうですね。呼びますね(笑)。
藤本:ご本人は「またこんな失敗しちゃってすみません」って、申し訳なさそうに出してくださったんですけど、逆にすごいって思って。
でもそう言葉にしちゃうとバカにしているように感じられるかもと思って、ただただ「すてきです。ありがとうございます」って言うのが精一杯だったんですけど、ネーミングひとつでこんなふうに編集してしまう、この道の駅すごいぞって思いました。
馬場:恐縮です。
藤本:なんだか食べるのがもったいなくて、建物の外に出て写真を撮ってたら、「やさしい道の駅」ってコピーが書いてあって。わ! そういうことかー! って感激しました。
馬場:ありがとうございます。うれしいです。
いま、一番人気なのは「おじさんソフト」⁉︎
藤本:そもそも「やさしい道の駅」っていうキャッチコピーはオープン当初からあったんですか?

馬場:最初からありましたね。いろんな方からの「やさしい施設にしてほしい」というオーダーが根っこにあって。「楽しい道の駅」とか、「わくわくする道の駅」とか、いままでにない道の駅のコピーという発想で考えたいくつもの候補のなかから、これでいこう、と。
藤本:うまく巻けないというマイナスな要素を、「見習い」という一言でポジティブに転換して、なんだかこちらもやさしい気持ちになれるし、言葉のチカラってすごいなあと思い知りました。
馬場:そう感じていただけて、うれしいです。あの、もしよかったらソフトクリーム巻いてみますか?
藤本:うわ〜! うれしい。いいんですか?
馬場:どうぞどうぞ。

馬場:じゃあ、コーンでいきましょう。
藤本:うわっ! 巻きたい方向と違う! わ、あ! むずい!

馬場:でも、うまいですよ、ちゃんと巻けました!

藤本:うわあ、やさしい。いや、写す角度によってはこれ、かなり見習い感ありますよ。せっかくなのでこれ、いただいちゃっていいですか。
馬場:どうぞ。
藤本:ありがとうございます。濃厚でおいしい!
馬場:じつは、いまは「おじさんソフト」もあるんです。
藤本:おじさんソフト!?
馬場:これです。

藤本:コーンまで小さくてかわいい! 僕みたいなおじさんにちょうどいいサイズってことですか?
馬場:まさに。半年前くらいのある日、自分がソフトを1個食べきれないことに気づいて。最初は「ミニソフト」っていう名前でやろうとしてたけど、それでは面白くないってことで、おじさんにちょうどいい「おじさんソフト」になりました(笑)。
藤本:おじさんの胃にやさしいってことですね。そのワードセンス最高です。
馬場:僕と同じように、通常のサイズは量が多くて食べきれない方がけっこういて、じつはおじさんソフトが一番売れるんですよ。もちろん、おばさんとか、おばあさんとかも、おじさんソフトを買うんです。
藤本:すてきだ。「やさしい道の駅」って言葉がたったひとつあることで、よりオリジナリティが深まっていくのがすてきだなあ。
放置竹林を町の宝に

藤本:あの、梅バイキングみたいなのも、めっちゃいいですね。
馬場:選んでいただいた梅は竹に乗せて食べるんですよ。

藤本:梅じゃなくて竹に何かこだわりがあるんですか?
馬場:ここ田上町は、竹が多いんです。地域の人がタケノコにすごく誇りを持っていて、自分たちの町で採れるタケノコは世界中の人が知ってるだろう、くらいに思ってるんです。だけど、地域外のひとたちは誰も田上のタケノコのことを知らない。それどころか、田上町のことすら知られてない。このギャップが面白いと思ったんですよ。
藤本:そこを面白いと思うところに、馬場さんのやさしさ感じるなあ。
馬場:自分たちの町には何もないっていうスタートは、観光の世界ではよくある話ですよね。それなのに、自分の町には竹があるって地域のひとが自ら言うんです。これってすごいことだから、何かできないかなと思って。
タケノコの町って言ってる割に、タケノコのお祭りを一切してないことに気づいたので、外に向けて「たけのこまつり」を始めたんです。
藤本:たけのこまつり。

馬場:ざっくり言うと、タケノコの直売会です。道の駅を始めたときに、あるタケノコ農家さんが「もうあと何年も続けられねえな」って言ったんです。理由を聞いたら、「跡継ぎがいないから、自分の代が終わったら終わりだ」って。
話を突き詰めていくと、タケノコが高く売れないから、放置竹林がどんどん広がっていることがわかって。
藤本:竹林がお金を生まなくなってしまったんですね。
馬場:そうです。かつては生活の道具がみんな竹で作られていたんですけど、生活が変わって、プラスチックに代用されてしまって。
藤本:お箸しかり、カゴしかり。
馬場:なので、あらためて竹を価値化する仕組みが必要だと思ったんです。価値化することで、地域の方々の見方や捉え方が変わると、可能性が開ける。僕はこの道の駅に携わる前に観光の仕事を長くやっていたので、地域を象徴する事業、地域文脈のあるお祭りが必要だなとずっと思っていて。
藤本:それで、たけのこまつりを開催しようと思い至ったんですね。やさしい……。
馬場:初日にもかかわらず、朝からお客さんが数百人並んでくださいました。2年目からはタケノコの直売だけでなく、最上級タケノコの初競りや、タケノコ掘り体験、竹炭ソフトの販売なんかもしています。けっこう盛り上がるんですよ。
藤本:へえ〜!

馬場:竹でいうと、「たがみバンブーブー」というアートプロジェクトも開催しています。新しいことにチャレンジしようということで、2022年の秋に始まった竹灯り(たけあかり)の催しです。
藤本:これも竹を価値化するためのチャレンジってことですね。
馬場:放置竹林を地域の魅力に、みんなで変えよう、と。「みんなで」っていうのがすごく大事で、小学校や幼稚園の先生に話をして、田上町に住んでいるほとんどの子どもたちが何かしら携わっています。これは小さい町の強みですね。
藤本:へえ〜、子どもたちも一緒になって。
馬場:小学校低学年は絵を描くことから始まって、中学生ぐらいになって自分たちで竹の穴あけをして、中学3年生になると、一晩だけのお祭り「バンブーナイト」を主催するんです。僕ら大人が全部伴走しながら。
藤本:大人は後押しするだけで、基本的には子どもたちが主体になる。
馬場:そうです。僕らの町には高校がないので、中学を卒業するとみんな町外へ出ていって、そこから一生、町と関わりのない生活になってしまうんです。それがこの町の大きな弱点のひとつだと思っていて。
中学卒業までに、どれだけ町と関わりを持って地域と関係づくりができているかによって、将来が変わってくる。一緒にお祭りをやっていると、大人になって帰ってくるんですよ。

藤本:会場は、いろいろあるんですね。道の駅たがみ、竹林、湯田上温泉とか。
馬場:自分たちの町の宝物をみんなで醸そうっていうのを、大切なコンセプトにしているので、会場が複数あります。一番のポイントは、竹林って本当はすてきな場所だよねってことを再確認したくて、あえて竹林を会場にしていることです。
藤本:なるほど。そして有料会場と無料会場があるんですね。
馬場:これも本当にチャレンジで。全国的にも、竹灯りの催しで有料にしたところはなかったんです。でも、補助金でやっていたら続かないので。
藤本:何人ぐらい来るんですか?
馬場:1か月で4万人の来場者です。
藤本:すごっ! そのうちチケット代を払って来てくれるひとはどれくらい?
馬場:半分くらいなので、2万人ですね。
藤本:それで財源が確保できて、続けられているんですね。これは行ってみなきゃ。
馬場:僕がすごいなと思うのは、一緒に汗をかくひとたちなんです。一級建築士で大工さんをやっているひとたちや、普段は葬儀屋さんなのに、前職の経験から足場を組んでくれるひととか。そういう総合力が僕らの一番の強みです。
藤本:そういうやさしい仲間たちがたくさんいらっしゃるんですね。
逃したら次はない⁉︎ 半年でオープンにこぎつけた準備期間

藤本:ここに来るまで観光のお仕事をされていたとのことですが、どんなお仕事をされていたんですか?
馬場:新潟市にある北方文化博物館に12年ぐらいいました。豪農の館といって、地主の家を博物館にしているところです。
藤本:家が博物館になっている。
馬場:豪農の屋敷を通して、新潟の地域文化を次世代につなぐのがミッションで、そこでの経験が僕の中では大きいです。
たとえば神楽舞を通して地域のひとたちと関わったことで、自分が生まれ育った町で、自分の子どもや地域の子どもたちに、地域が大切にしてきたものをつなげたいって心の底から思ったり、それを仕事としてやりたいと思ったり。あと、ご当主の伊藤文吉さんという地主の末裔の方から、すごく影響を受けて、いろいろと学ばせていただきました。
藤本:具体的にどんなことですか?
馬場:すごく当たり前のことです。親に感謝をするとか、子どもたちに伝えるとか。
藤本:そういうことを言葉にされるひとだったんですか?
馬場:すごく言葉にします。語源とかにもすごくこだわっていました。
藤本:そうか、その方から言葉のチカラを教わったんですね。
北方文化博物館HPより
馬場:それに、誰とでもフェアに接するひとで。いろんな方々とお付き合いがあって、政府の要職のようなひとたちとの接し方も、そばで学ばせてもらったというか。ひとと関わる姿勢みたいなところで僕はすごく影響を受けていて、学んだことを自分の生まれ育った町で実践したいなと思っていたら、ちょうどこの道の駅のお話をいただいたんです。
藤本:たまたま募集があったんですか?
馬場:募集もありましたけど、道の駅協同組合という組織の方から、手を挙げないかって声をかけていただいたんです。僕は博物館の仕事が大好きだったのですごく考えましたけど、チャレンジしたいと思って手を挙げました。
藤本:いくつのときですか?
馬場:41歳のときですね。5年前です。
藤本:41歳。逃したら次はないかもって思う年齢でもありますね。
馬場:だから乗った感じです。ただ、4月に着任して、10月にオープンしてって言われて。痺れましたね。
藤本:半年か!

馬場:そうです。正直、すごいこと言うなって……。困りましたね。
藤本:それでも受けちゃう、やさしさ。それに時期的にはコロナ禍だから、より大変そう。
馬場:それについては、どちらかというとチャンスだと思ったんです。非日常が作れない環境だったので、そのポジションに道の駅がなれる可能性がある。日常を非日常化して、地域のひとが楽しめたらいいなって思っていました。そうやって作戦を立てていくなかで、新潟市を拠点に活動するhickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)代表の迫さんに「一緒にやりませんか」とお願いにあがったんです。
藤本:迫さんといえば、新潟の上古町を盛り立ててきたデザイナーとして有名ですけど、迫さんとは前職のときに出会っていたんですか?
馬場:そうです。当時、迫さんは別のところでミュージアムショップを運営していて、新潟市内の美術館関係者が集まる定例会議で出会いました。
新潟市の美術界の、それなりのポジションにいる方々が集まる会で、僕は老舗の博物館の代表として行っているので、若手のひとたちの意見を汲んだ発言をしてしまう。だけど、迫さんは一切関係なく切り裂きまくっていて、すごいなと思ったんです。
藤本:特に美術の業界で言えば、迫さんは新参者のポジションだったんですね。
馬場:すごく刺激的でした。
藤本:年齢も若かったんでしょうか。
馬場:そうですね。当時、30代ぐらいで、まだ血気が残ってたかもしれないですね。
藤本:で、どうして迫さんに声を?
馬場:ここがオープンするタイミングで、新潟県にはすでに道の駅が40あったんですよ。後発も後発で、大変なことは目に見えているうえに、田上は知られていない町だったりする。だから立ち上げのときに、誰と一緒なら、いままでにない視点で楽しくやれるかなって考えたら、迫さんしかいないと思って。その思いを伝えに行ったら、一瞬で「楽しそうだね、いいね」って。
藤本:迫さんもやさしいな。
馬場:そう言ってくださったので、もうその日から一緒に。

藤本:そもそもデザイナーさんを誰にするかをディレクションできる立場にあったんですね。
馬場:ありがたいことに任せてもらえました。ただ、大人の事情で「こだわりすぎるな」ってものすごく言われたので、相当意見させてもらいましたね。たくさん応援してくれるひとたちがいたので、なんとか自分たちがやりたいことをやり通せました。
藤本:そもそも馬場さんに声をかけた道の駅協同組合は、どういう組織なんですか?
馬場:温泉、農業、商売など、いろんな業種の町の有志たちが集まってできた組織です。
藤本:馬場さんは組合のひとりではなかったんですよね。
馬場:そうです。この町出身の若手にやらせたいと思っていたみたいで、ちょうど当てはまったのが、たまたま僕だった。
藤本:そういうひとたちにとっては、40代ってまだ若手ですよね。
馬場:完全に若手ですね。皆さん60代ぐらいかな。
藤本:手を挙げられて、やることになったものの、道の駅の運営はもちろん初めてですよね。道の駅独特の商売の仕組みもあると思うんですけど、そういうのはどの時点でインストールしたんですか?
馬場:前職で観光売店(ミュージアムショップ)の責任者をしたこともあったので、そこですね。観光って、地域が元気になるためにあると思っていて、当時から興味深くやっていたので。いまもやっていることは特別何も変わっていないです。
以前から迫さんたちが「日常を楽しもう」っていうコンセプトを掲げていて、その言葉が僕はすごく好きで。まさに、この道の駅を通して、楽しくて、わくわく、ドキドキする地域にしたいんだってことを迫さんにも伝えましました。
藤本:日常を楽しむって、観光文脈の言葉じゃないような気がするんですけど、そこに違和感はなかったんですね。
馬場:なかったです。地域のひとが良いと思うことが、地域にとって良いことだと思っているので。
藤本:最初からしっかり芯を掴んでいらしたんですね。僕はどちらかというと旅人としていろんな町に訪れるんですけど、地域のひとが楽しんでいるからこそ、訪れた僕らも一緒になって楽しめる。だからこそ「やさしい道の駅」というコピーも生まれてきたんですね。地域の人にやさしい施設でないと、ですもんね。
馬場:そうですね。

藤本:迫さんという仲間を得たものの、半年でオープンということは、すでに建築は決まっていたわけですよね。
馬場:そうなんです。最初、びっくりするぐらい和風の建物になる予定だったんですよ。ギリギリのタイミングで建設の最終決定をする会議に出させてもらえたので、「僕はいやです」って言えて良かったです(笑)。
藤本:やる人間がいやだって言ってるんだから変えざるを得ない。
馬場:明日までに決めるならいいよって言われたので、迫さんと、その日中に決めました。
藤本:すご!
馬場:そうやって毎日、一個ずつひっくり返していきましたね。床の色、机、什器とかも全部。それをうまく受け入れてくれた工事会社のひとがすごいと思います。

藤本:そこは現場同士の話だったんですね。
馬場:そうです。建設会社さんと話していました。
藤本:とはいえ、代案の承認を取らなきゃいけない気がするんですけど。
馬場:まず、いいって言われたので、全部事後報告です。周りの友人たちも僕のことを知っていることもあって。
藤本:だから任せるところは任せてもらえた。そういうラッキーもふくめて、ギリギリで食い止めて。
馬場:本当にそうです。最初のタイミングで、もし迫さんに断られてたら、成立していないですし。
藤本:ほんとそうですよね。什器とかもそうだけど、我々の世代って、お金をかけるより素材を見せたいから、できるだけプレーンに作って、野菜とかがちゃんと引き立つようにしたいって思う。
それは裏を返せば、いまは湯水のようにお金を使える時代じゃないから、見せ方を工夫することが体に染み付いてるということでもあるので。僕らと上の世代の方々とは、発想や価値観に差がありますよね。
馬場:そうなんです。全然面白くないから、もっとこうしろって大反対されたりもしました。
藤本:事後報告だから、もうやっちゃってるけど。
馬場:もう終わりましたって(笑)。
藤本:馬場さんも、ある意味で未経験だったからこそやれた感じがありそうですね。
馬場:知らないことだらけだからこそ言いたいことを言えるし、やっぱり一緒になって言いたいことを言える、迫さんという強力な仲間がいたのが大きいですね。
表現の違いを受け入れるゆるさ

藤本:このかわいらしいロゴは、最初からあるんですか?
馬場:そうです。田上町は紫陽花の町として長くやってきたんですけど、このロゴマークは、もともと町が決めたもので。町はこれじゃなきゃ絶対にだめだと思っていて、当初のロゴのままのパンフレットがびっくりするぐらいたくさん印刷してあったんですよ。5年経ってもまだあるほどで。
藤本:だからいまだに使ってるんですね。それはそれで共存関係があって面白い。
馬場:なのでロゴは前のままなんですけど、ここに書いてあるコンセプト「近きものよろこびて、遠きもの来る」は僕もすごく共感しています。
藤本:日常を楽しく、地域のひとたちが楽しむって考え方、馬場さんの思いとまったく同じですね。見せ方や表現の違いだけで、諸先輩方も思ってることは一緒だった。
馬場:本当にそうです。
藤本:道の駅って、いろんなひとが利用するから、諸先輩方の表現がフィットする方もたくさんいるだろうし。どちらの考え方が正義というわけじゃない。この懐の深さというか、頃合いはなんなんですかね。
馬場:「ゆるさ」ですね。みんなゆるいです。

藤本:ゆるさって、甘さでもあるけど、ここの場合はやさしさなんですね、きっと。ゆるさの判断基準がやさしさにあるから、保たれている統一感がある。それが「やさしい道の駅」っていう言葉にすごく象徴されている気がします。まだまだやりたいこといっぱいありそうですね。
馬場:ありますね!!
藤本:道の駅の編集楽しそう。お仕事ほんと楽しそうですね、馬場さん。
馬場:そうですね。ほんとうに楽しいです。
おわりに

観光拠点としてだけでなく、地域振興、地産地消、福祉や子育て支援、防災など、社会的な期待の拡大とともに、まだまだ増加傾向にある道の駅。
最近は利用者人気投票のほか、売り上げや、面積、景色の良さなど、さまざまなランキングを目にすることも増えてきましたが、きっとそれは置かれた環境によるところが大きいようにも思います。
だけど、道の駅たがみの「やさしさ」の追求は、立地や交通量などに関係なく進められることで、僕はこの小さな道の駅が、未来の道の駅のやさしい道標になっているような気がしました。
構成:山口はるか(Re:S)
撮影:山口匠
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この記事を書いたライター
有限会社りす代表。1974年生まれ。兵庫県在住。編集者。雑誌『Re:S』、フリーマガジン『のんびり』編集長を経て、WEBマガジン『なんも大学』でようやくネットメディア編集長デビュー。けどネットリテラシーなさすぎて、新人の顔でジモコロ潜入中。









































