こんにちは、ジモコロ編集長の友光だんごです。

僕は仕事柄、年がら年中あちこち飛び回っているのですが、旅の楽しみといえばやっぱり、地元ならではの店を見つけること。

 

取材の合間に立ち寄る店では地元の人と話したり、ご当地グルメを味わえたりと、その土地の魅力に気づくことができます。気づけばいろんな街に、好きなお店がたくさん。

 

ただ、普段のジモコロの記事では、意外と取材先以外の「好きな店」は紹介できていなくて。ということで、たくさん溜まった「この街の、この店が最高なんです!」というジモコロ編集部・Huuuu班メンバーの情報を紹介していきたいと思います。

 

今回は、Huuuu班のヤマグチナナコさんがよく通っている「新潟県・新潟市」の好きなお店について。市場や老舗居酒屋、ローカルなセレクトショップまで、新潟の歴史や文化を感じられる店の数々をどうぞ!

 

<今回紹介する、新潟の好きな店>

  1. 1. 青海ショッピングセンター
  2. 2. 青島食堂 東堀店
  3. 3.喜ぐち
  4. 4.上古町の百年長屋SAN
  5. 5.シャモニー 古町店
  6. 6.SunBake
  7. 7.しののめ 西堀店
  8. 8.hickory03travelers

 

<登場する人>

友光だんご……ジモコロ編集長として全国を飛び回っている。犬とSFが好き。

ヤマグチナナコ……東京都在住、編集・イラストレーターの二輪で自転車操業中。

 

新潟市の中心市街地の端っこ「上古町商店街」が面白い

「私が新潟に行く時は、いつも新潟駅からバスで約10分のところにある上古町(かみふるまち)商店街を拠点に動いているんです。なので、今日はそのエリアを中心に話していこうと思います」

「元々、ヤマグチさんが新潟に通うきっかけって何だったんですか?」

「後でも紹介するんですけど、上古町にある『上古町の百年長屋SAN』を立ち上げからお手伝いをしたんです。それがきっかけでどんどん新潟の魅力にハマって、この2年で5回ほど訪れてます」

「去年の夏、長岡花火を見にいったとき、新潟駅近くの宿に泊まったんです。初めて新潟駅で降りたんですけど、駅周辺の街の規模が想像より大きくて驚いたなあ」

 

「駅前には商業施設やチェーン店がたくさん立ち並んでいるんですけど、一番町から十三番町まで続く古町商店街のほうに足を踏み入れると、ローカルなお店が多くて雰囲気がまったく違うんですよ」

「たしかに、古町を歩いてると料亭や置屋だったらしきの木造建築物や趣きのあるの塀なんかも残ってた。風情があったなあ」

「そうそう。古町はかつて京都の祇園、東京の新橋と並んで『日本三大花街』と並び称されて栄えていたこともあって、今もその面影が残ってるんです。だからか老舗のお店も多いんですよね」

「そんな新潟・古町エリアのお店たちをさっそく紹介していきましょう!」

 

新潟の海の強さを堪能できる「青海ショッピングセンター」

「まずは『青海ショッピングセンター』です」

「ここは行ったことある! 商店街にある、魚市場みたいなとこですよね」

「はい。本町モールにある食材市場なんですけど、飲食できるスペースがあって。その日に新潟・佐渡沖などで採れた、新鮮な魚介のお刺身や焼き魚定食が食べられるんですよ」

「ここで食べた刺身がおいしかったな〜。佐渡の魚はうまいと聞いてたけど、本当に海の強さみたいなものを感じる味だった」

 

「市場にある『古川鮮魚』では、魚料理を肴にして新潟の日本酒が飲めます。お店の方も優しくて、その日のおすすめをどんどん教えてくれるけど押しは強くないのが『新潟っぽいな〜!』って感じるんです」

「お店は朝9時からやってるので、午前中に新潟駅に着いたら、まず青海ショッピングセンターに行って、新潟の海のパワーを味わってほしいです」

長岡生姜醤油系ラーメンの原点「青島食堂」

「次は『青島食堂』です」

「青島食堂って、東京の秋葉原にもあるよね。新潟のお店だったんだ」」

「本店は長岡にあるんですけど、新潟市内にあるお店の方が好きって人もいて。スープの色は濃いんですけど、見た目ほどしょっぱくなくて、生姜と醤油でさっぱりとした味になってます」

「豪雪地帯の長岡で生まれたラーメンだから、体が温まる生姜が使われている?」

「そうなんです。それとチャーシューの脂身が少ないから、どれだけ食べても重くない。私はいつも二日酔いの時に『青島食堂のラーメン食べたいな…』って思い出します(笑)

「そういえば、新潟の街中でよくラーメン屋を見た気がする」

「新潟の人は、よくラーメンを食べてる印象ですね。青島食堂の近くにはあっさりラーメンで有名な『信吉屋(しんきちや)』があって、もし青島食堂が開いていなかったら、信吉屋に行くのがオススメですよ」

 

深夜2時までやっている老舗居酒屋「喜ぐち」

「次は居酒屋ですね。『喜ぐち』でお気に入りのメニューってありますか?」

「ツブ貝の刺身やタンメンです。喜ぐちはとにかくメニューが豊富で、お魚から肉系まで何でも頼めるのが強みです。だんごさんは麒麟山サワーって飲んだことあります?」

「飲んだことない!」

「新潟の地酒『麒麟山』をレモンと炭酸で割ったサワーなんですけど、すごくおいしくて。私は新潟を思い出すために、わざわざ東京の家で作って飲むくらい好きなんです」

「古町のアーケードを抜けたところにひっそりある店の立地もいいよね」

「もともと花街だったエリアにあるからか、通りの雰囲気も面白いですよね。何よりも深夜の2時まで営業しているのも嬉しいです」

「2軒目の候補としても、新潟に着くのが遅くなったときの食事先にもなる。ありがたい〜」

 

喜ぐちのラーメンもおいしいです

 

上古町商店街の休憩所「上古町の百年長屋SAN」

撮影:飯山福子

 

「次はヤマグチさんを新潟に連れてきたお店ですね」

「SANは上古町商店街の三番町にある喫茶やギャラリー、フラワーショップが併設された複合施設なんですけど、あえて街を観光する時の『休憩所』として捉えてもらうのがいいと思います」

「休憩所!」

「やっぱり新しい土地を訪れた時ってたくさん歩くので、疲れちゃうじゃないですか。そんな時は、休憩がてらにSANに寄って、ソフトクリームを食べてひと休み」

 

新潟の伝統菓子『浮き星』をあしらったソフトクリーム(撮影:飯山福子)

 

「この暑い時期なんかには絶対必要な場所だ……」

「疲れを癒しつつ、お店の人に古町のことを聞いてみてください。きっと色んな情報を教えてくれるので!」

 

レトロ喫茶店・珈琲「シャモニー 古町店」

「次は響きがオシャレな名前の喫茶店だ」

「シャモニーは新潟市を中心に展開する純喫茶チェーン店です。喫煙可能で、朝からやっているお店を探していた時に偶然見つけて

「店内の雰囲気も渋くていいですね」

「シャモニー古町店は赤いビロードの椅子、銀のトレーと昭和レトロの内装になっていす。椅子に座ってぼーっとしているだけでも落ち着くんですよね〜」

「メニューはどんな感じですか?」

「エスプレッソとサイフォン、水出しなど、とにかくコーヒーの種類が豊富で、自分の好みのコーヒーを見つけられるはず。他にも、モーニングのピザトーストとケーキも超おいしいんですよね」

「旅先でモーニングのある喫茶店は大事ですね。普段は夜型なんだけど、旅の朝は早起きして、モーニングへ行きたくなっちゃう」

「まったく同じです。次のお店も、旅の朝を楽しくしてくれるお店です!」

 

パンと焼き菓子のお店「SunBake」

「『SunBake』というお店なんですけど、東京で腕を磨いた20代の職人さんが2人で営んでいて、まだオープンして2年目なんです」

「街のニューカマーですね」

「どのパンも本当においしくて、私はSunBakeでパンを買って、川辺で食べる時間が好きなんです。遅めの時間に行くと、売り切れてしまっていることもあるので、早めの時間に行くのをおすすめします」

「パンってお土産にもなるし、旅先でつい寄りたくなるんだよなあ」

「ちなみに、SunBakeの近隣には美術館や大きな神社もあるので、レンタサイクルでその辺を巡りながら海辺まで行って、佐渡島に向かうフェリーを眺めるのもいいですよ」

豊富なメニューの居酒屋さん「雑多居酒屋 しののめ 西堀店」

「次は『雑多居酒屋 しののめ』です」

「雑多居酒屋って名前がいいですね」

「しののめは喜ぐちと比べると、いい意味で雑多な感じです。新潟はそもそも食材のポテンシャルが高いので、どの料理もとにかくおいしいんですよ」

「新潟といえば米どころだから、日本酒も美味しいよね」

「しののめにも日本酒の種類がたくさん揃ってます。旅慣れていない人でも入りやすいお店になってますよ」

 

お土産を買うならここ!「hickory03travelers」

「最後は、ローカルなセレクトショップですね。SANの運営元でもある地元のデザイン集団『hickory03travelers』のお店だ」

「地方でセンスのいいお土産屋さんを探すのって、意外と大変じゃないですか?」

「観光地のメインストリートにある土産店って、どこかで見たような商品が並んでるところも多いんだよね。全国おんなじ化現象……」

「ヒッコリーは定番から雑貨まで、お土産の種類が豊富で、どれもセンスがいいんです」

「僕はここのオリジナルTシャツが好きです。かわいくてユーモアのきいたデザインがめっちゃ豊富。ここで買ったスウェットはヘビロテしてました。新しいものだけじゃなく、新潟の伝統を感じるお土産もセレクトされてるのがニクい……」

「ちなみに、市内にある新潟市美術館や万代島美術館のミュージアムショップもヒッコリーが営業しているので、そちらも興味がある人が行ってみてください」

 

明治時代、新潟県は日本一人口が多かった!

「いや〜、新潟は濃いお店が多くていいですね。古くから続くお店が多いのは、新潟県が明治時代に日本一人口が多い都市だったことも関係してそう」

「当時の日本は人口の9割近くが農業を営んでいたこともあって、米の生産量が多い新潟県に人が集中していたんですよね。それに花街もあって、常に色んな人が行き交う場所だったから商売が発展していったんだと思います」

「そう思うと、日本の歴史と強く紐づいた街なんだな」

「私見ですけど、新潟って割とお節介な人が多い気がしていて。一回会うだけで次から必ず挨拶してくれたり、誰かを紹介してくれたりするんです。冬はもちろん寒いんですけど、港があるからか、意外とみんな明るいのも特徴的で」

「商業の町だったこともあって、関西に通じるものがあるのかもしれないね。初めて新潟を訪れる人に向けて、おすすめの回り方ってあります?」

「それこそ、8月の初めに有名な長岡の花火大会も開催されるので、長岡に花火を見に行くついでに、新潟市内を一泊するのもいいと思います」

「商店街辺りなら、1日あれば十分に回れそう。自転車で街を散策しても楽しそうですよね」

「新潟は米どころなのはもちろん、日本酒や海の幸などとにかく食に恵まれた場所。毎回行くたびにおいしい食べ物を見つけ出すのがとても楽しいので、ぜひみなさんも訪れてみてくださいね!」

 

構成:吉野舞