絶滅危惧種は食べていいの? 寿司屋がある水族館『アクアマリンふくしま』で聞く

2019.09.10

絶滅危惧種は食べていいの? 寿司屋がある水族館『アクアマリンふくしま』で聞く

福島県の水族館「アクアマリンふくしま」は、見て触って食べて楽しめる水族館!アクアマリンふくしまのオススメスポットを紹介します。美しい魚の展示はもちろん、泳ぐ魚を見ながらお寿司が食べられたり、釣った魚を唐揚げにして食べたりと、食を通して海の資源について学べるので、子どもの秋の行楽にもオススメです!

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    こんにちは、株式会社バーグハンバーグバーグという会社で働いている、かんちと申します。私はいま水族館にきています。

     

    こちらは元気に水槽を泳ぎ回る魚の群れです

     

    これは水中をゆっくりと踊るように移動する大きなタコ(オオメンダコ)

     

    水の底を、のそのそと歩く立派な足のカニ! いいですね

     

    たくさんの海洋生物と触れ合える水族館は、家族で、デートで、休日の定番お出かけスポットですよね。

     

    そんな水族館に足を運んだことがある人なら、水槽の中の生物を見て一度はこんなことを思った経験はないでしょうか……

     

     

     

     

    美味しそう、と。

     

     

    でも水族館で、飼育員さんが懸命に育てているかわいいお魚さんを、「美味しそう」「食べたい」なんて言うのはタブーなはず。

     

    しかし―

     

    世界で唯一、巨大水槽を眺めながらお寿司が食べられる水族館がありました。

     

    それが福島県いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま(正式名称:ふくしま海洋科学館)」です。

     

    巨大な水槽のトンネルを抜けた先に……

     

    大水槽と同じ名前のお店「寿司処 潮目の海」HAPPY OCEANSがあります

     

    潮目の寿司 1,620円(税込)
    キハダ、ひらめ、いか、海老、つぶ貝、いくら、鯵、サーモン

     

    はたしてお味は……?

     

    はい、おいしい

    水族館で寿司を食べるという非日常感も相まって、美味しさが1兆倍は増しています。

    ちなみに日本酒・生ビールも販売してますよ。涼しく美しい快適な癒やしの空間の中で、寿司を食べてほろ酔い気分になれるだなんて……

     

    アクアマリンふくしまには何がある?

    一体なぜ水族館で寿司を提供しようと思ったのか? 疑問は尽きませんが、まずは福島県出身の私が、アクアマリンふくしまの施設を紹介していきましょう。

     

    世界でここにしかない魚の展示や、海の生き物と触れ合える体験ができ、大人も子供も楽しめる盛りだくさんの水族館なんですよ。

     

    海の生き物と遊べるタッチプール

    これはアクアマリンふくしまを上空から撮影した写真。中央の水辺にご注目ください

     

    海辺を再現した世界最大級のタッチプール「蛇の目ビーチ」で、足を中に入れて生き物と触れ合ったり、潮干狩りを体験したりと自由に遊ぶことができる施設です。

     

    実は私も4年ほど前に息子とここを訪れたことがありまして、その時、妻に撮ってもらった写真がこちらです。

     

    ナマコとヒトデと一緒にハイポーズ!

     

     

     

    一眼レフカメラが水没して壊れました

     

     

    私のようにカメラを買い直す羽目になるので、ぜひお父様・お母様はお気をつけください。

    この悲しい思い出の地、蛇の目ビーチはGWから11月末の期間開放中です!

     

    世界唯一の展示がいっぱい

    もちろん珍しい魚の展示もおこなっています。まず紹介したいのは……

    ヒィッ!!魚の亡霊!!??

     

    と思いきや、こちらは生きた化石「シーラカンス」の標本

     

    現在、世界で生息が確認されているシーラカンスは「アフリカシーラカンス」と「インドネシアシーラカンス」で、この2種が同時に見られるのはこの全宇宙でアクアマリンふくしまだけだそうです

     

    休日の朝の私……? いいえ、これはタマコンニャクウオという魚。ふよふよとした見た目が可愛いですね。この魚の展示も世界でアクアマリンふくしまだけ

     

    今まさに旬の魚、サンマ

    とても身近な魚ですが、非常に飼育が難しく、サンマを展示している水族館もアクアマリンふくしまだけとのこと。実はめちゃくちゃ神経質な魚なんですって。なのでサンマに向かって悪口は言わないようにしましょう。

     

    これはドクター・ペッパーが売ってる自販機! 見かけると、おっ、ってなりますね。

     

    その他にも非常に沢山の魚を展示しています。

     

    釣ってすぐに食べられる絶品唐揚げ

    自分で魚を釣って調理して食べることができる釣り堀もあります! こんなに“食”を推してくる水族館あります?

     

    釣り初心者で、もたつく僕でも……

     

    速攻で釣れました! リリースは禁止なので、釣った魚は責任を持ってありがたく食べましょう。料金は1竿1000円で、調理代は1尾ごとに100円です。

     

    釣ったら調理場に持っていきます

     

    さっきまでピチピチしていたお魚さんが……

     

    あっという間に唐揚げに!!

     

    カリッカリの衣に包まれたアジの唐揚げ、そのお味は……

     

    絶頂味

    ビールがあったら10尾くらいは食べられそうです。骨ごとバリバリいけて美味しいので、魚が好きな人は絶対に食べてください。アジさんありがとう。

     

    こんな展示も……

    アクリルケースの中に落ち葉が入っています。

    実はこの中に大きなカエルの死骸が眠ってるんです。生き物の命が終わり、土に還っていく様子をリアルタイムで観察できるのです……こんな展示あり?

     

    その隣には謎のボックスが。

     

    下から覗いてみてね♪というので言われるがまま顔を突っ込むと……

     

     

     

    でっけぇゴキブリが飼育されてて、目の前で動いていました。おい!

     

    またこの日は、飼育員さんによる実験・おはなし会も行われていました

     

    内容はクラゲの捕食に関するお話。

     

    クラゲは触手を使って獲物に毒を注入してマヒさせますが、その毒の種類は全然違うそうです。

    大別するとプランクトンのような無脊椎動物に効く毒と、魚のような脊椎動物に効く毒があり……つまり、無脊椎動物を捕食するクラゲに刺されても人間は平気だけど、脊椎動物を捕食するクラゲに刺されると大変らしいです

     

    実際におはなしの中ではクラゲがいるカップに生きた金魚を入れ、捕食する様子を間近で見ることができました

     

    職員さんにインタビュー

    このように魚や様々な生物を見て、自然に触れ合って、そして食べて学んで楽しめるこのアクアマリンふくしまについて、もう少し詳しい話を聞こうと職員の方にインタビューしました。

     

    お話を聞くのはアクアマリンふくしまの職員、金成美枝さん。

     

     「よろしくおねがいします! 突然ですが、金成さんの一番好きな寿司ネタはなんですか?」

    「私はしめ鯖ですね! 特に炙りしめ鯖が大好きで、好きすぎてスマホの待ち受け画面を炙りしめ鯖にしてます。この近くに炙りしめ鯖が美味しいお店があるんですよ。そこの炙りしめ鯖は……」

    「わかりました。もう大丈夫です。お寿司が食べられる水族館って、発想が尖ってるなーと思ったのですが、なぜお寿司屋さんを始めたのでしょうか?」

    「ここの立ち上げに関わった館長の安部義孝が発起人なのですが、彼は食べるのが大好きなので、ただ単にお客さんにも食べさせたかったという……」

    「それだけ?」

     

    アクアマリンふくしま 館長 安部 義孝さん

     

    「たしかに食にこだわりがありそうな顔だ」

    「それともう一つの理由が、海の資源量について考えてほしいという思いです」

    「資源量とは魚の数ということですか?」

    「そうです。近年、クロマグロ(本マグロ)の数が減っていて、2014年にクロマグロが絶滅危惧種に指定されたのはご存知ですか?」

    「ニュースで見たことあります! 本マグロといったら高級寿司のネタとして有名ですし、みんな大好きですよね」

     

    水槽を泳ぐクロマグロ(提供:アクアマリンふくしま)

     

    「日本では需要に合わせて漁獲量がどんどん増えていったんですね。その結果、資源量が激減してクロマグロは絶滅危惧種に指定されました」

    「近い将来、脂の乗ったあの本マグロのお寿司が食べられなくなるってことですか!?」

    「美味しいからといって私達がそればかり食べ続け、魚の資源量を考えずに大量漁獲し続けたらそうなってしまいます。もう二度と本マグロが食べられないとなったら悲しいですよね……」

    「はい、たまのご褒美に大トロを食べて、はわ~~~っ口の中でとろけるんですけど~~~って言いたいです」

    「なのでアクアマリンふくしまでは、『資源量が豊富で美味しい魚もたくさんいるんだから、そういうサカナを積極的に食べて水産資源を守ろう』という運動を、『HAPPY OCEANS(ハッピーオーシャンズ)』と呼んで発信しています」

    「それの一環があのお寿司屋さん、『寿司処 潮目の海』HAPPY OCEANSなのか」

     

    「もらったリーフレットに書かれていましたが、絶滅危惧種のクロマグロを『食べないで』ではなく、『大事に食べよう』と書いているのがいいですね」

    「結局どれも食べるんだっていう(笑)。実際、今日はお寿司屋さんで資源量が豊富なキハダを食べてもらいましたが、おいしかったでしょ?」

     

    地球一号(鮪づくし)税込810円

    キハダのネギトロ、ビンチョウマグロ、キハダの漬け

     

    「おいしかった~! なるほど、『食べるな』ではなく、他もおいしいからそっちを食べつつ、『大事に食べよう』と」

     

    「それと意外だったのが、このホッケなんですが……ホッケも資源量が減っていて赤信号なんですね! 焼き魚で一番好きなのでショックです!」

    「実はそうなんですよ。大型のホッケが獲られすぎて、資源量が減っているんです。同様にニホンウナギも赤信号ですが、いずれも、絶滅するレベルまで減っているわけではありません

     

    「え、そうなんですね!? 最近では『ウナギを食べるな!』という声も大きくなっている気がしますが、クロマグロもホッケもウナギも、食べてもいいんですね……?」

    「はい、絶対食べるなとは言いません。でも例えばカツオやブリ、マダイだって美味しいですよね? これらの水産資源は今のところ豊富にありますので、まずはそういった青信号の魚介類を意識して食べようというのが、この活動なんです」

    「わかりました! 寿司ネタではブリが一番好きなので、地球上のブリを食べて食べて食べまくって、食べ尽くします!

    「話、聞いてました?」

     

     

    ハッピーオーシャンズのリーフレットはこちらからダウンロード

     

    「水族館といえばイルカのショーなど、動物の芸を披露してお客さんを楽しませる出し物があるイメージなのですが、アクアマリンふくしまにはそういったものは無いのでしょうか?」

    「はい、ありません。福島県の構想ではショーをやりたかったそうですが……。でも立ち上げに関わった職員は、館長をふくめてショーをやらないと決めていました」

    「それはなぜですか?」

    「芸を仕込まれた生き物ではなく、自然のままの姿をお客さんに見せたいというのが理由です。ここは自然に近い環境を再現することに特化した水族館で、魚たちが、日々いろんな姿を見せてくれます。それがうちのショーなんです」

    「なるほど! それでも十分楽しめますもんね! あっ、ちなみに今回、水族館の取材だったのでペンギンのTシャツ着てきたんですけど……」

     

    「ペンギンはどこですか?」

     

    「いません」

    「ありがとうございました!」

     

    さいごに

    夏休みはもう終わりましたが、過ごしやすくなるこれからの季節、ご家族や友達と一緒にアクアマリンふくしまに足を運んでみてください!

     

     

    イワシの大群も迫力があって良い

     

    最後にワンポイントアドバイス!

    釣りたて魚の唐揚げを食べるときは……

     

    お弁当持ち込み可能な施設なので多分大丈夫。

     

    (おしまい)

     

    アクアマリンふくしま(正式名称: ふくしま海洋科学館)

    住所|〒971-8101 福島県いわき市小名浜辰巳町50

    営業時間|9:00~17:30 (冬季は9:00~17:00)

    定休日|年中無休

    公式HP|https://www.aquamarine.or.jp/

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    この記事を書いた人

    かんち
    かんち

    株式会社バーグハンバーグバーグ所属。 地元は福島県南相馬市。胸板が厚いので隙間に挟まって動けなくなることもしばしば。

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