子育てしながら働きやすい仕事「経理事務」に向いている人は? 未経験で始めた現役ワーママが解説

子育てしながら働きやすい仕事「経理事務」に向いている人は? 未経験で始めた現役ワーママが解説

「経理事務」は、ルーティンワークが多く業務時間を調整しやすいことから、子育て中の人でも働きやすい職種だといわれています。

子育てしながら働く中では、保育園の送迎や子どもの急な体調不良への対応など、自分の仕事を調整せざるを得ない場面が多々あるはず。お子さんを抱えながら「今よりもっと、タスクの量やスケジュールを柔軟に調整できる仕事を探したい……」と考えている人は少なくないでしょう。

2児を育てながら経理事務の仕事を続けているsakanaさんに、子育てと両立しやすいと感じている理由について語っていただきました。

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こんにちは、sakanaといいます。3歳と5歳の子どもを育てている、共働きのワーママです。

私は今の会社に未経験で「経理事務」として就職し、16年勤めています。以前はフルタイムで働いていましたが、長男の出産をきっかけに時短勤務に切り替えました。

在宅勤務ができない職場のため週5フルで出社していますが、仕事の性質上、イレギュラーなことがない限り定時で帰れるので、子育て中でも1日のタイムスケジュールが立てやすく助かっています。

今回は、実際に私が経理事務の仕事をしながらどのように子育てと両立しているのかを紹介したいと思います。

経理事務とはどんな仕事? 資格は必要?

経理事務とはどんな仕事? 資格は必要

まずは、経理事務の仕事内容や、どんな人に向いているのかについて紹介します。

💡POINT
  • 会社の「お金の流れを管理する仕事」で、さまざまな業種で働くチャンスあり
  • PCやExcelの基礎知識があれば、資格不要・未経験OKな職場も
  • ルーティンワーク中心で忙しい時期があらかじめ分かっているため、子育てとの調整がしやすい


経理事務は、企業のお金の流れを管理し、正しく記録する仕事です。具体的には、日々の会計処理、給与計算、請求書の作成、税金の支払いなどを担います。

どの会社にも欠かせない部署のため、さまざまな業種で働けるチャンスがあるのが特徴。私が勤めているのはデザイン制作や卸売業の会社で、発注や売上仕入れの伝票作成、Excelでのデータ作成、月末の締め処理をメインで任されています。

経理事務と聞くと「資格を持っていないと採用されないのでは?」と思われるかもしれませんが、私が勤めているような中小企業の場合は特に、一般的なPCの知識やExcelの経験があれば、経理事務の仕事自体は未経験でも応募可能なケースがあります。

私自身、商業高校で情報処理を専攻していたのでExcel、Word、PowerPointの知識はありましたが、特別な資格は持っていません。

業務内容はルーティンワークで、あらかじめ「この時期は忙しくなる」「この時期までにこの業務を終わらせておかなければならない」といったスケジュールの見通しが立っていることが多いです。そのため、以下のような人に向いているといえます。

<経理事務の仕事に向いている人>

  • ルーティンワークにコツコツと取り組むのが好きな人
  • スケジュール管理が得意で、自分の都合に合わせてうまく調整できる人
  • (数字を扱うため)細かいチェックなども責任を持って取り組める人

経理事務の柔軟性を生かし、子育てとの両立のために私が工夫していること

経理事務の柔軟性を生かし、子育てとの両立のために私が工夫していること

経理事務の「仕事のスケジュールが立てやすい」というメリットは、子育てと両立する上でとても助かっています。この特徴も生かしながら、2人の子どもを育てる身として、以下のような工夫をしています。

💡POINT
  • 忙しいのは「月末月初」なので、それを見越してスケジュール調整ができる
  • ルーティンワークなので、勤務時間も柔軟。就業時間を30分前倒し、帰宅後に時間の余裕を作った

月末月初の忙しさを見越したスケジュール管理。夫婦での連携も

業務の性質上、月末月初が忙しいためその時期は休まないようにし、さらには前倒しで終わらせられるようなものは急ぎで片づけておくなどして、スケジュール管理をしています。やるべきタスクが決まっており、忙しくなるタイミングも分かっているので、調整がしやすいです。

万が一、忙しいタイミングで子どもが風邪を引いてしまった場合は、在宅勤務が可能な夫にお願いするなどして、何とか乗り切っています。

2人目を機に勤務時間を前倒して、帰宅後の時間に余裕を

1人目を産んで以降はずっと時短勤務をしていますが、2人目の育休から復帰するタイミングで会社に相談し、就業時間を10時〜17時から9時30分〜16時30分に繰り上げてもらいました。

子どもが2人になったことでこれまで以上にバタバタするようになり、退勤後の子どものお迎えから寝かしつけまでの時間になるべく余裕を持たせた方が、全体のスケジュールがスムーズになると考えたからです。

実際、朝の準備はややバタバタするものの、帰宅を30分早め、帰宅後のルーティンをしっかり決めるようにしたことで、子どもの寝かしつけを21時までに終わらせられるようになりました。

<1日のスケジュール>

  • 6時:起床。朝の出勤前に夕飯の下準備(野菜を切っておく、冬場なら汁物を作っておくなど)
  • 8時45分:保育園への登園
  • 9時30分:出社、勤務開始
  • 16時30分:退勤し、保育園へお迎えに
  • 18時ごろ:帰宅後、子どもたちのお風呂
  • 19時ごろ:夕飯
  • 20時30分ごろ:布団に入り、21時には就寝


子どもたちを早く寝かせることで、自分の時間も確保できています。

時短勤務をしていたり、勤務時間をずらしたりしても、正直、平日は子供たちとゆっくり遊べる時間はないです。そこは休日に補うようにして、平日はなるべく規則正しい生活を心がけ、自身の体力も維持しています。

「子育てに理解のある職場」かどうかをできる限り見ておく

「子育てに理解のある職場」かどうかをできる限り見ておく

経理事務は子育てと両立しやすい職種とはいえ、子育てしながら働くことを周囲の人にどれだけ理解してもらえるかも重要だと感じています。

今の職場は、同じ経理事務の同僚や上司も含め、ほとんどが子育て経験者、もしくは子育ての真っ最中という方たちばかり。子どもの体調不良で急な休みを取得したり、子どもの行事や家族旅行などのために計画的に休んだり、といったことが当たり前になっています。

経理事務の仕事に限った話ではありませんが、転職を考えるならできるだけその会社の雰囲気を知れるようにしたり、面接の際に子育て世代の方がいるか聞いてみたりするのも、理解のある職場を見つけるための一つの策だと思います。

***

私は子どもと過ごす休日でも、大まかなタイムスケジュールを組むことで、できるだけスムーズかつ充実した時間を過ごせるように工夫しています。

スケジュール管理が得意な方は、仕事はもちろん、就業後までを含めた1日のスケジュールを組み立てるのが上手なはず。自分でスケジュール調整がしやすい経理事務の仕事なら、きっと子育てとも両立しやすいと思います。

それにプラスして、コツコツと取り組むルーティンワークも好きだという方はぜひ、経理事務の仕事を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

編集:はてな編集部

「子育てと両立できる働き方」を考える

小1の壁で正社員退職、でも後悔はない。派遣社員に転職し「納得できる働き方」を見付けた話
「小1の壁」で派遣社員に。仕事の優先順位を見直した
育児中はフルタイムor時短の2択、ではない。“働き方の選択肢“はできるだけ多く知っておく
育児中の働き方は「フルタイムor時短」の2択ではない
男のわたしが時短勤務を選んでみて。育児との両立に悩み、フルタイムをやめて気付いたこと
父親が子育てのために「時短勤務」を選んでみた

著者:sakana

sakanaさん

夫と共働きで、3歳と5歳の兄弟を育てる30代ワーママ。経理事務の仕事をこなしながら「ママにも自由な時間があってもいいじゃん!」という思いから、ブログやInstagramでは旅行、ファッションなどについて発信している。
ブログ

「子どもはいらない」と決めきれなかった私。「母になった人」と話し「選択で“人”は変わらない」と気付いた

月岡ツキさん・エッセイ

「子どもを産むか産まないか」という人生の大きな選択に悩んできた月岡ツキさん。

「産みたい」とは思えない、でも「産まない」と宣言することもできない。複雑な感情の中で、いつの間にか「母になる」を選んだ人を“あっち側の人”と仕分けしてしまっていたそう。

しかし「自分とは異なるスタンスの人」との対話を重ねることで、選択によって人の本質は変わらないと気付き、産むor産まないの間で揺らぐこともなくなっていったといいます。

「母になる=自分がなくなる」と思っていた

結婚した当初、29歳の私は「子どもを産むか産まないか」の間で揺らぎに揺らいでいた。

もともと結婚にも出産にも懐疑的で、「家庭を持って母になる」ことにあまり夢を持っていないタイプだった。それでも、周りの先輩や後輩、友達が母になるという知らせを聞く度に「自分は本当に産まない人生でいいのだろうか」「また一人あっち側に行ってしまった」と動揺した。

ママになれていいなあとか、先を越されて焦るとか、そういう感情ではない。「今日はみんなで朝まで飲んでパーティーだ!」と張り切っていたのに、一人また一人と帰ってしまってパーティーが盛り下がる、みたいな感覚に近い。「え、みんなそういう感じだったの?」ってなるやつだ。

ある時、会社で憧れていた先輩が、母になった途端SNSのアイコンを子どもの写真に変え、投稿も子どもまみれになった。芯を持って働く姿に憧れていたのに、「自分」をやめて「ママ」になってしまったなんてと、私は勝手に落胆し、勝手に寂しくなった。

今思えば「『母になる』ことは、パーティーから離脱して自分を滅しながら子育てに追われる生活を送ること」という偏見が私の中にあったのだと思う。

そうして一人、また一人と「こっち側」の人間が減っていくなか、「あっち側」の人は違う生き物になってしまったのだから、自分から関わるのはよそうと思い、交流を避けた。友達の妊娠出産報告のインスタ投稿にリアクションしないこともあった。向こうもこちらにはもう用がないだろうし、と。

しかし、そうやって付き合う人を「仕分け」ても、「子どもを産む・産まない」の悩みがスッキリと片付くことはなかった。むしろ「仕分け」をするほど心を許せる人間が周りから減っていき、自分の居場所が狭まっていくのを感じていた。

子どもの有無だけじゃない。仕事の種類や好きな芸能人、住んでいる場所など、その人の属性だけで付き合えるか付き合えないかを勝手にジャッジして少しでも合わなそうな要素がある人を避けるようになっていた。

そんなある日、はたと気づくのである。このまま“自分と同じ選択をしている人”とだけ付き合っていたら、いつか誰ともまともに関われなくなるんじゃないか、と。

「子どもを産む・産まない」の悩み以前に、人として明らかにダメそうな道を行こうとしている、と自覚し、方針を変えることにした。「違う選択をしている他者」と関わらなくてはと、危機感を覚えたのだ。

違う選択をした人とも、分かり合えると信じたい

まず始めたのはPodcastだった。

もともとやってみたいと思って相手を探していたところ、ちょうど子育て中の友達が自分の会社に転職してくることになった。「同い年で同じ会社で働いているけれど、子どもを持つことについてはスタンスが違う2人」で番組をやったら面白いのではないかと思い、その子を誘って配信を始めた。

月岡ツキさん・Podcast収録の様子
「女性の選択」について2人で話すpodcast番組『となりの芝生はソーブルー』(詳細)

これが私にとってはかなり良かった。毎週スタンスの違う者同士でしゃべるうちに、お互いの悩みや喜びがだいぶ分かるようになり、「子どもを産むか産まないか、違う選択をしている者同士でも分かり合うことができる」と信じられるようになっていった。

もちろん意見が食い違うこともしばしばあるけれど、お互いに自分がなぜそう思うのか、どこが分からないのかを開示し合う訓練にもなった。100%共感し合える他者なんていないのだから、ここは同じだね、ここは違うんだね、へえ面白いね、と言い合えるようになった方が良いのだ。

Podcastの良い影響は他にもあった。ずっと会っていなかった地元の同級生が私たちの配信を聴いてくれていて、長文の感想とともに「久々に会おうよ」と連絡をくれたのだ。

彼女は子育て中で、配信を聴いて夫との関係性や、家事育児の分担などについて思うところが溜まっていたらしい。自宅にお邪魔して、彼女の子どもの保育園のお迎え時間までたくさんおしゃべりをした。

久しぶりに会った同級生は、インスタで見ている「ママ」な感じではなく、昔とそう変わらなかったように思う。親になったというだけで、人が根こそぎ変わってしまうわけではないのだなと思えて、安心した。

私がかつて「ママになっちゃったな」と思った先輩も、会って話せばそんなこともなかったのかもしれない。それぞれに選んでいるものは違うし、それぞれに違う種類の悩みと喜びがある。しかし、分かり合うことは不可能ではないのだ。

母になってもその人の本質は変わらない

その後、Podcastを聴いてくれていた編集者から声がかかり、『産む気もないのに生理かよ!』という本を出すことになった。

「母になりたい」とは思えない。でも「母にならない」とファイナルアンサーも宣言できない。そんな気持ちについて吐き出したこの本は、「同じ立場の人たちのために」というよりも、産むか産まないかの問題に対する「本当の気持ち」を他ならぬ自分自身が知りたいと思って書いたものだ。

本を書く中で自分の「産む・産まない問題」にとことん向き合うことになるのだが、その結果、最後の章を書く頃には「産んでも産まなくても、どっちでも良い」と心底思えるようになっていた。

どちらを選んでも人の本質が根こそぎ変わるわけじゃない。その発見は他でもない、母になった友達たちと話し、関わることで得られたものだった。

結婚や出産は人生の進捗を示す指標ではない。何を選んでもいいし、選ばなくてもいい。そこに優劣や貴賤はない。

そう思えたとき、「産む」を選んだ人に対して複雑な感情を抱くことも、「産む・産まない」の間で揺らぐこともほとんどなくなった。

「一人で考える」と「人と話す」の往復が大事

私が「産む・産まない問題」という複雑な事柄について、ある程度スッキリすることができたのは、考えたことを頭の中だけに留めずに「自分とは違う選択をしている人」と話せたことが大きかったと思う。

月岡ツキさん・書籍観光イベントの様子
書籍の刊行イベントには子どものいる人いない人、さまざまな立場の人が来てくれた

もしあなたが子どもを持つかどうか悩んでいるのであれば、ぜひ自分の気持ちを言葉にしてみたり、信頼できそうな人に話してみたりするのをおすすめする。

いきなりまとまった文章にしたり、Podcast番組を始めたりするのは難しいかもしれないけれど、少し距離を置いていた旧友に久しぶりにDMを送ってみるとかでもいいと思う。複数人では表層的な会話しかできなくても、一対一で話してみると意外な発見があるかもしれない。

また、この問題については、「後から後悔するかもしれない」とか、「考えが変わるかもしれない」とか言われがちだ。しかし、いつだって今を生きている私たちにできることは、「とことん考えた」と言い切れるくらい、その問題に対峙することだけではないだろうか。

だって将来の自分がどう思うかなんて、絶対に分かりっこないのだから。未来に持っていけるのは「私はあのときとことん悩んで考えて、自分でこれを選んだ」という事実だけだ。

違う選択をしている他者と話すことと、一人で自分の内面と向き合うこと。その反復横跳びからこそ、「自分の本当の気持ち」が見えてくるのではないかと思っている。

編集:はてな編集部

結婚・出産にまつわる“揺らぎ”への向き合い方

みんな孤独だからこそ、私たちは手を取り合える。『対岸の家事』著者・朱野帰子さん
それぞれ違う私たちの人生、どうわかり合える?
離婚するほどじゃないけど、モヤモヤする……。そんな気持ちを言語化してパートナーへ伝えるコツ
離婚するほどじゃないけどモヤモヤ…。相手にどう伝える?
マンガ『1122』渡辺ペコさんの結婚観 「何でも、夫婦ふたりで取り組める人を選ぶ」
「何でも夫婦ふたりで取り組める人と結婚を」

著者:月岡ツキ

画像の説明

1993年生まれ。大学卒業後、IT企業でwebメディア編集やネット番組企画制作に従事。現在は都内のベンチャー企業で働きつつ、フリーランスライターとしてエッセイやインタビュー執筆・コンテンツプランニンングなどを行う。著書に『産む気もないのに生理かよ!』(飛鳥新社)。(profile photo:Wataru Kitao)
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東京の産後ケア施設を第三子で利用。第二子以降で使うメリット・デメリットを夫婦で振り返ってみた

東京の産後ケア施設を第三子で利用。第二子以降で使うメリット・デメリットを夫婦で振り返ってみた

産後間もない母と子に対して、心身のケアや育児のサポートを提供する「産後ケア施設」。費用がかかるものの、産後のつらい時期に母体回復や育児のフォローをしてもらえることから、都心部の働く女性を中心に注目を集めています。

子育てへの不安が大きい第一子の出産時に利用するケースが多いですが、ライターの菅原さくらさんは、第三子の出産時に初めて利用したそう。夫婦が第二子以降で産後ケア施設を活用するメリットについて、妻と夫のそれぞれの視点で振り返っていただきました。

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近ごろ話題の産後ケア施設を「第三子の出産時」に利用した理由

厚労省が「産後ケア事業ガイドライン(※1)」を制定して予算を組んだことで、近ごろ全国の自治体で整備が進んでいる「産後ケア施設」。私は、2024年9月に第三子を出産した時に初めて活用しました。

というのも、わが家は共働きかつ私は“育休”がないフリーランスで、上に二人の子どもがいる状況。「いつもの生活を回す」だけでも大変なのに「24時間体制の新生児ケア」が加わったら、心身ともに負荷が高いことはありありと予想できました。

2016年の第一子、2019年の第二子出産時にはまだまだこうしたサービスが一般的ではなかったためそもそも選択肢に上がりませんでしたが、今回は「出費がかさんでもメリットの方が大きいのでは?」と考え、利用を決意したのです。

(※1)妊産婦と赤ちゃんの健康を守るため、自治体が提供する支援の指針を示したもの。2024年の改定では、産後ケア事業の提供体制やサービスの質の向上を目的に、自治体の役割強化、支援対象の拡充などが明記された。

  • 参考
    • 一般社団法人日本産後ケア協会「産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン」が改定されました(詳細)
    • 厚生労働省 産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン(詳細)

3泊4日で利用した産後ケア施設での過ごし方

現在は、病院や助産院、ホテルなどの一部を産後ケア施設として利用できるケースが多いようです。私が今回利用したのは、飯田橋のホテルメトロポリタンエドモント内にある「Mamma Levata」。産後3週間のタイミングに3泊4日、上の子どもたちも順番に呼ぶ形で宿泊しました。

産後ケア施設を利用 自宅で過ごす
1泊目 妻&赤ちゃん 夫&8歳長男&4歳次男
2泊目 妻&赤ちゃん&4歳次男 夫&8歳長男
3泊目 妻&赤ちゃん&8歳長男 夫&4歳次男


💡POINT
  • ヘルシーな食事を、準備や後片付けの手間なくゆっくり楽しめた
  • ベビールームに赤ちゃんを預けることが可能。昼間の外出や、夜しっかり寝たい時にも助かる


初日のお昼ごろにチェックインして、まずは看護師さんとの面談。分娩から今までの経過や赤ちゃんの生活リズム、最近の心配ごとなどをしっかりとヒアリングしてくれました。

産後ケア施設の室内

食事は毎回、お部屋に運んでもらえます。まだまだ本調子でない母体にうれしい、ボリュームたっぷりのヘルシーごはん。料理や後片付けの手間がない食事を、ゆっくりと噛(か)みしめられます。もちろん、外食やテイクアウトを楽しむのもOK。

「産後でも自分の食事をゆっくり楽しめる」「炊事をしなくていい」というだけで、もう大ハッピーでした。

産後ケア施設での食事(和食)産後ケア施設での食事(洋食)
日によってメニューが変わるのも楽しみに

昼間は母子ともにのんびり過ごすもよし、ベビールームに赤ちゃんを預けて外出するもよし。私は友達に遊びに来てもらったり、美容室にカット&カラーをしに行ったりしました。産後ケア施設は郊外型が多いなか、Mamma Levataはアクセスのいい都心にあるため、出入りしやすいのが助かりました。

滞在中はバスルームで使える「よもぎ蒸し」が無料でレンタルできると聞き、せっかくだから試してみました。下半身がじんわり温まる感覚がとても気持ちよかったです。

よもぎ蒸しのセットよもぎ蒸しを体験中の様子
無料オプションのよもぎ蒸しを体験

そして、夜は22時ごろの授乳を終えたら、希望に応じて赤ちゃんをベビールームで預かってもらえます。翌朝7時ごろまでぐっすり眠れて、これが本当にありがたい……!

1泊目は一人でゆっくり。2泊目は次男が、3泊目は長男が一緒に泊まり、上の子のケアもたっぷりできました。

泊まりに来た次男

夫婦が感じたメリット・デメリット

そんなあっという間の3泊4日を過ごして、どんなメリットとデメリットを感じたか? 日ごろから家事育児を完全シェアしている夫の視点も交えて振り返ってみます。

💡POINT
  • 妻側の最大のメリットは、赤ちゃんを預けられるので「しっかり休める」こと
  • 上の子を呼んで「母と二人っきりの時間」も満喫できた
  • 夫にとっても、新生児の“夜勤対応”がなく、仕事に集中できるメリットが
  • 「費用」は一番のネック。助成金などの情報収集はお早めに

産後ケア施設の活用は、夫婦だけでなく上の子たちにもメリットがあった

まずは、妻である私が感じたメリットです。

妻のメリット①:赤ちゃんを預けられるので、休める

何より大きいメリットでした!!! 洗濯や食事の支度、上の子たちの対応といった日ごろの家事育児を全て手放して、穏やかな時間を過ごせたのがよかったです。

妻のメリット②:毎日の沐浴や夜間授乳の一部をスタッフさんにお願いできる

沐浴は腕や腰に負担がかかるので、任せられるのはありがたかったです。

母乳の場合、夜間授乳をどれくらい代わってもらうかは胸の張りなどにも左右される部分ですが、私の場合はしっかり預けてゆっくり眠れたことで、その後の母乳育児が軌道に乗ったような気がしています。

また、3人目なのである程度慣れているとはいえ、授乳の間隔や体重の増え具合をチェックしてもらえたのも心強く思いました。

妻のメリット③:昼間も預かってもらえたので、軽く仕事ができた

夜間だけでなく昼間も預かってもらえたので、気になっていた仕事のメールを返す時間もありました。産後も細々と働きたいフリーランスにとっては、集中タイムが取れるのはとてもありがたかったです。

妻のメリット④:上の子たちに、母と二人っきりの時間をプレゼントできた

妊娠中たくさんサポートしてくれた上の子たちに、母と二人っきりの時間をプレゼントしてあげられました。お腹が大きい私をいつも気遣い、ちょっとした家事を引き受けてくれたりしていた兄弟たち。特に妊娠初期は、赤ちゃんが生まれることに楽しみと不安の両方をのぞかせていたこともありました。

夫婦ともに仕事が忙しく、そうした気持ちにしっかり寄り添えていたかといわれると、あまり自信はありません。でも産後ケア施設に1泊ずつしてもらえれば、それぞれの子どもと二人っきりでじっくり過ごせる! これが本当に最高でした。

長男も次男も「お母ちゃんと赤ちゃんを独り占めできる!」と大喜び。ごはんを食べながらじっくりおしゃべりしたり、カードゲームで遊んだり……。夜は赤ちゃんを預けて、久しぶりに寝るまで上の子それぞれに寄り添うことができました。

長男からは「家族みんなで過ごすのも楽しいけど、お母ちゃんとゆっくりできるのは特別ですばらしかった」との声が。ちなみに、自宅に残ったときは父と二人っきりで過ごせて「そっちもすばらしかった」そうです。

産後ケア施設の利用は、子どもたちにとってもメリットがありました。

泊まりに来た長男

次に、夫が感じたメリットを聞いてみました。

夫のメリット①:妻が産後ケア施設にいる間は、これまでのルーティンで生活を回せた

「妻が赤ちゃんと二人で産後ケア施設にいる日は、出産前と変わらないルーティンで、上の子たちとの日常生活が回せた」とのこと。子どもたちが大好きな銭湯に出かけて楽しんだりもしたそうです。

夫のメリット②:新生児の“夜勤対応”がなく、上の子の就寝後は仕事に集中できた

新生児時期は毎回、深夜の授乳をミルクで分担してくれる夫。でも、産後ケア施設に預けている間はそれがなくなります。おかげで、上の子たちが寝たあとは産前産後で溜まり始めていた仕事に集中できたそう。

また、施設がたまたま夫のオフィス近くにあったため「退勤時に寄り道して妻子の顔を見られたのもよかった」と言います。

夫婦のメリット:双方に“夜勤対応”の負担をかけずに休める/仕事ができる

これは、夫婦で共通して強く感じたメリットです。

普段から育児は完全にシェアしているため、夜にどうしてもぐっすり寝たかったり、仕事に集中したりしたいときは「相手に“夜勤対応”をまるまるお願いする」ことになります。

ただ、それだと心のどこかで「今自分がこうしている間、夫が/妻がワンオペで頑張ってくれてるなぁ……」と思ってしまい、ちょっと心が休まらなかったりする。だからこそ、深夜は専門スタッフに任せることで夫婦どちらにも負担が偏らないのは、とてもありがたいと感じました。

最大のデメリットは「費用」。また「残される方のワンオペ負担」も

総じて、第二子以降の利用でも非常に心強いサポートとなる産後ケア施設。ただ、夫婦ともに感じたデメリットもあります。

デメリット①:上の子の世話の負担はどうしてもかかる

第二子・第三子での利用においてまず見逃せないのは、上の子たちをお世話する側の負担でしょう。

赤ちゃんのお世話がなくなるとはいえ、日中は第一子・第二子をワンオペしなければならなかった夫には、それなりに負担がかかってしまったなぁと思います。

ただ、それでも「産後のダメージが溜まっている妻を休ませる方が優先」としてくれた夫には感謝でした。

デメリット②:一番のネックはやはり費用

それから、やはり経済的な負担は大きいです。今回、3泊4日の宿泊(1日3食+おやつ付き)でかかった費用は23万4,612円。

24時間いつでも赤ちゃんを預けられて、授乳や沐浴などの育児相談ができ、産後のぼろぼろな身体を休められると思えば、大きな価値はありました。けれど、24時間赤ちゃんを預けるわけではないし、第二子以降でそこまで育児について聞きたいことはないと思えば、割高でもあります。

産後ケア施設を活用したいけれど費用を抑えたい方には、自治体の助成金が適用される提携施設を選ぶのがおすすめです。

例えば、1泊2日のショートステイを利用した場合、自己負担額は渋谷区や練馬区で7,000円、目黒区や横浜市で6,000円、葛飾区ではなんと0円(※2)!

自治体によって費用は変わりますが、民間の施設に比べればいずれもとてもリーズナブルです。

(※2)いずれも2025年3月時点の情報のため、最新情報については各自治体のサイトなどをご確認ください。

  • 参考
    • 産後ケア事業 | 妊娠・出産に関する相談・学級 | 渋谷区ポータル(詳細)
    • 産後ケア事業:練馬区公式ホームページ(詳細)
    • 産後ケア事業(宿泊型) | 目黒区(詳細)
    • 横浜市産後母子ケア事業(ショートステイ・デイケア)について 横浜市(詳細)
    • 宿泊ケア|葛飾区公式サイト(詳細)


ただし、提携施設は数が少なく人気のため、予約は困難。産前の面談が必要になるケースもあるようなので、早めの情報収集が欠かせません。

いずれにせよ、多くの産後ケア施設は産後3~4カ月までの母子を対象にしているため、予約・利用はお早めに。

生まれたばかりの赤ちゃんと著者

第二子以降での利用には、パートナーとの協力体制が必須

第一子で利用する場合、妻はケア施設で、夫は自宅でゆっくりできるため、費用さえまかなえるなら全方位的におすすめできます。

一方で第二子以降の利用には、そもそもパートナーが「上の子をワンオペで見られる」体制を整えなければなりません。

私にとっては上の子たちのメンタルケアも大きな目的の一つだったため、夜だけ上の子をケア施設に泊めましたが、昼間も上の子とずっと一緒だったら正直そこまで休まらなかった気がします。自宅で夫が見てくれる体制があったからこそ、しっかり休むことができました。

でも、費用や上の子のお世話といったハードルを超えられるなら、第二子以降の利用も大いにアリだと思います。

「母体回復を優先する」「夫婦ともにリフレッシュしたい」「上の子のケア」などの明確な目的を持った上で、家族にとってのメリット・デメリットを考えながら、ぜひ検討してみてください。

編集:はてな編集部
今回宿泊した施設:Mamma Levata(詳細)

共働き家庭の家事育児、どう回す?

フリーランス妻、フルタイム夫、子ども2人。4人のチームプレーで忙しい毎日を乗り切る【みんなの1日のスケジュール】
家事育児は夫婦で完全シェア&スイッチ可な体制に
家庭より仕事を優先するパートナーに悩むあなたへ。研究者・竹端寛さん「夫婦の対話をあきらめないで」
家庭より仕事を優先するパートナーとどう話せばいい?
共働きの家事育児分担で不満をためないコツは?夫婦がしんどくならないためのコミュニケーション
共働きの家事育児分担で「しんどくならない」コツ

著者:菅原さくら

菅原さくら

フリーランスのライター・編集者として働く38歳。​​雑誌『走るひと』チーフなど。人となりに迫るインタビューが得意。夫、長男(9歳)、次男(5歳)、長女(6カ月)との5人暮らし。
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「マユリカのうなげろりん!!」は聞くと元気になれるPodcast。おすすめ回は「さゆり」|てらいまき

仕事や子育てで忙しく、クタクタな毎日。家事の合間や通勤時間、就寝前のひとときなど、ちょっとした“スキマ時間”に、あなたが楽しんでいる「コンテンツ」はなんですか?

ささやかだけど、自分の毎日に欠かせない「スキマ時間コンテンツ」を教えてもらう本シリーズ。第1回はイラストレーターのてらいまきさんに、Podcast「マユリカのうなげろりん!!」をおすすめしてもらいました。

てらいまきさんプロフィール

てらいまきさんプロフィール

・フリーランスのイラストレーター・マンガ家として働きながら、エンジニアの夫と一緒に7歳(小2)の息子、5歳(年長)の娘を育てる
・著作に『めんどくさがりやの自分の機嫌を取る暮らし』(竹書房)『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく京都』(KADOKAWA)、『北欧フィンランド 食べて♪旅して♪お洒落して♪』(実業之日本社)、『アイスランド☆TRIP』(地球の歩き方)などがある
X サイト

私のスキマ時間コンテンツは「マユリカのうなげろりん!!」

マユリカのうなげろりん!!

もともと耳から情報を得るのが好きで、ラジオやPodcast、オーディオブックをよく聞いていましたが、育児をするようになり「画面を見なくても“ながら”で楽しめる」という点で、さらに音声コンテンツを聞く機会が増えました。

起床して、洗面所で朝の支度をする前に「今日は何を聞こうかな〜」とセレクトするのがルーティン。洗面台の真横の棚にスマホを置き、顔を洗う瞬間から聞き始めるのが私の習慣です。

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中でも「マユリカのうなげろりん!!」は今一番大好きなPodcast!

「マユリカ」は3歳からの幼なじみである阪本さん、中谷さんによるお笑いコンビ。もともとは中谷さんの「エアひらがなをお尻の穴から入れる」という芸を知っている、くらいの認知度だったのですが、とある深夜番組で「マユリカのラジオが面白い!」という特集を見かけ、聞くようになりました。

お尻からひらがなを入れてるだけあってか結構下品かつ、基本的にはくだらないことをただひたすら話している番組なのですが、とっても仲が良い2人の関係性や、中谷さんの涙もろい部分、阪本さんの独特な言葉選びなどが聞いていてとても心地よく、お気に入りのエピソードを何度も繰り返し聞くくらいハマっています。

1エピソードが大体30分ほどなので、顔を洗って、着替えて、朝食を作って……という朝のルーティンの間にちょうど聞き終われるのも最高!

最近特に「うおお〜〜〜!!!」と思った回は #165「さゆり」!!!!

2人はもともとお互いの誕生日にプレゼントを贈り合う文化があるのですが(仲良し〜!!)、ある年に「彼女や家族がほしい」という中谷さんに阪本さんが38万円の「ラブドール」(命名・茸山きのこ)をプレゼント。 すると、ラジオに不思議な音声がたびたび入るように……。(「#149 アダルトトイ・ストーリー」)

きのこを愛しすぎたせいで魂が宿ったんとちゃうか?」となり、霊と会話ができる陰陽師をゲストに招いたのがこの#165。 結果的にマジで「魂」が入っていたそう。


「きのこ」改め「さゆり」と会話を始める陰陽師の先生……。

実は猫の霊も一緒に暮らしていることが発覚したり、勝手に冷蔵庫の中に入っているなめ茸を食べていたり、びっくりなことがどんどん発覚。「なんかすごい回だ!」と興奮してもう6回ほど聞きました

ぜひ、今後魂が入ったラブドール(さゆり)とどう接していくのかを議論した#166「異論は認めん」(こちら)もセットで聞いてほしい!!!!

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「うなげろりん」にハマってからというもの、もともとインドア派でライブやイベントに興味がなく「家で見れたらええがな」タイプだった私が、年に1回あるオフラインイベントにもどうしても行きたい!となって応募したり(落選しました。泣)、なんばグランド花月にマユリカが来たら見に行こう!とスケジュールをチェックしたり、これまでの私の性格からすると考えられないくらいアクティブになっています。

毎週の更新は「最新回いつ聞こうかな〜」とソワソワするくらい楽しみだし、毎日のめんどうくさい家事も「うなげろりん」を聞きながらやればニヤニヤしながら終えられるし、風邪で寝込んでスマホを見る気力もないというときも「うなげろりん」を聞いて涙を流して笑うくらい元気をもらえるし、毎日本当に助けられています

みんな聞きましょう! 陰陽師回がちょっとこわいかも……な人は公式が初めての人におすすめしている、#2「小僧解体新書」(こちら)から聞いてみてくださいネ!

マユリカのうなげろりん!!

今回紹介したコンテンツ:マユリカのうなげろりん!!

  • 出演:マユリカ
  • 毎週土曜日23時ごろ配信

編集:はてな編集部

「自由な時間」どうやって確保してる?

仕事と育児で忙しくても自分の時間を確保するため「朝時間」を活用するようになった話
早寝早起きで「朝」を自分の時間に
可処分時間、共働き&子育て中の実態調査。自分の時間がない悩みをどう解決する?
働きながら子育ては時間がない!どうすれば?
タスク管理がうまい人は「完璧」を求めない。子育てや自分の時間など仕事「以外」も大切にするタスクマネジメント法
仕事「以外」も大切にするタスクマネジメント法

人に頼るのが苦手だった私。友達の助けで、自分を縛っていた思い込みに気付いた

人に頼るのが苦手だった私。友達の助けで、自分を縛っていた思い込みに気付いた

誰かの「やめた」ことに焦点を当てるシリーズ企画「わたしがやめたこと」。今回は作家・文筆家の星野文月さんにご寄稿いただきました。

子どもの頃からずっと「人に甘える」ことを後ろめたく感じ、うまく人に頼ることができなかったという星野さん。しかし2024年の夏に骨折したことをきっかけに、他人との関わり方に対する価値観が大きく変化したそうです。

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自分の中にある「甘えてはいけない」という呪縛

あるとき、一緒に歩いていた友だちが「ねえ、実は甘えるの下手だよね」と何気なく言った。わたしは平気な顔を装いながら、自分の心臓が小さく跳ね上がったのを感じた。

人前では「そこそこ甘えられる自分」を見せているつもりだったのに、自分の本性が見透かされた焦りのようなものを感じた。小さな棘が刺さったような気持ちで、しばらくその言葉を反すうしていた。

わたしは昔から、人に甘えることが苦手だった。

自分の弱さやできないことをなるべく直視したくないし、相手に何をしてほしいのか率直に伝えることが怖い。その裏には「断られたときに自分が傷つきたくない」という気持ちがある。

同時に「自分も人に何かを提供しなければ、頼ってはいけない」と思っているところもある。できれば今すぐ手放したい価値観だけど、無意識のうちに自分の中でがっちり内面化されてしまっている。

誰かに頼りたいとか、期待したくなる気持ちとどう向き合えばいいのだろう。

星野文月さん

気がつけば、わたしは30代を迎えていた。周囲の人が結婚をしたり、それぞれの形でパートナーシップを作ったりして、自分の人生をどう生きたいのか考え、選んでいく姿をよく目にするようになった。

「誰かと一緒に生きていきたい」という気持ちが、わたしの中にもあることに気付いている。でも「人を頼る」「人に甘える」ということが苦手なわたしは、どうやって「他人」に自分の考えや思いを伝えたらいいのか分からない。自分の思いを伝えることは人を攻撃することではないはずなのに、やっぱり未だに怖い気持ちがあって距離を取ろうとしてしまう。

だけど、いつまでもこのままでいいのかな?とも思う。本当は、自分の弱いところや深い部分まで、誰かに知ってほしい。

「機嫌を損ねること」が怖くて、好意すら素直に受け取れなかった

頼ったり甘えたり、人と関わることは怖いけれど、 自分なりに人と一緒にいる方法を見つけてみたい。一体何がそれを難しくしているんだろう? 振り返ってみると、子どもの頃の体験が影響しているように思う。

わたしが育ったのは、山に囲まれた雪深い地域。同じ学年の子が住んでいるところはもちろん、きょうだいや家族のことまでお互いに把握し合っているような、小さな田舎の町だった。

どこへ行っても知り合いがいる安心感と、いつでも誰かに監視されているような閉塞感が共存している。髪型、服装、持ちもの、言動。少しでも「他の子」と違う目立つようなことがあれば、たちまちうわさになったり、仲間はずれにされたりしてしまう。

そんな環境の中にいたわたしは、気が付けば周りからどう思われるのかばかりを気にして「自分なんて」と言う癖が付いてしまった。それが、大人になった今でもなかなか抜けない。

文章を書く仕事をするようになってから、作品についての感想や、評価をもらう機会が増えた。でも、読者の方が感じたことをまっすぐに伝えてくれてもつい謙遜するような態度を取ってしまい、後になって「素直にありがとうと言えたらよかったのに……」と後悔する。うれしい気持ちはたしかにあるのに「素直に受け取ったら、誰かからおこがましいと思われるのではないか」という不安が拭えない。

自分で自分のことをちゃんと大切に思えていたら、安心して人に頼ったり、素直に自分が思っていることを伝えたりできるのだろう。だけどそこにたどり着くまでが、わたしには果てしない道のように感じられた。

骨折を機に人に頼りまくった

そんな自分に、思わぬところで大きな転機が訪れた。

2024年の夏、それまで暮らしていた家を出なきゃいけなくなって、慌てて自分の荷物をまとめていた。椅子に登って、高いところにあった荷物を取ろうとした瞬間、足元がぐらぐらと崩れ落ちた。わたしは床に叩きつけられて、腕の関節が見たことのない方向に曲がってしまった。

その瞬間は不思議と痛みを感じなかったけれど、しばらくすると肘が焼けているような痛みを感じて「これは、まずいことになった」と思った。猛暑の中、腕が動かないように押さえながら、一人で病院まで歩いた。

レントゲンを撮るとやはり骨は砕けていて、腕を包帯でぐるぐる巻きに固定された。朝から何も食べていなかったので帰り道にコンビニに入ったけれど、片手じゃ財布を開けられないことに気が付いて、何も買えなかった。


星野文月さん

「これからどうしよう」と思った。引っ越しはもちろん、そもそも自分一人じゃ買い物も、食事も、着替えも、普段の生活がまったく成り立たない。

人に迷惑をかけてはいけない、とずっと思って生きてきたけれど、片手がまったく動かせないとなると、どうしようもないのでは……? そこで わたしは開き直って人に頼りまくることに決めた。

友だちに「骨が折れて何もできなくなったから助けて!」と連絡をした。すると、すぐに「何でも手伝うからいつでも連絡してね!」と返事をくれた。わたしは、その言葉をそのまま素直に受け取って、具体的に困っていることや、相手にしてほしいことを伝えた。

わたしの家にほぼ毎日誰かが交代で来てくれて、食事を作ってくれたり、服を着替えさせてくれたり、引っ越しの荷造りを手伝ってくれたりした。

引越しの当日も友だちが来て手伝ってくれた。荷物を運び終り、段ボールだらけの部屋で買ってきてもらったお惣菜をみんなで食べ、荷解きを続けた。

すっかり暗くなって荷解きに飽きてきた頃、河原へ行って手持ち花火をした。「みんなありがとうね」と言うと「なんか楽しかったよー」と、花火をくるくる回しながら友だちが言った。

文字通り口を出すことしかできず、ずっともどかしかった。でも、その表情を見て、自分から何かを与えられないとしても、人に頼ることは必ずしも迷惑じゃないんだと、初めて知った。


星野文月さん

弱いままの自分でも、受け入れてもらえることを知った

どこかでいつも「ちゃんとしていなきゃいけない」とか「誰かの役に立たなければいけない」とか思ってきたわたしは、何もできない日々の中で「ただ存在している自分」を認められるようになってきた。弱いままの自分を見せても、意外なくらい他人は気にしていなくて、そのことに肩の力が抜けた。

生まれ育った環境の中で知らないうちに身に付いてしまった思考の癖や、誰かからの期待。そういうものが、自分で自分を窮屈にしていた。そう気付けた瞬間、見えている景色の色が少しだけ変わった。


星野文月さん

思えばわたしは、これまで人と関わろうとする時、なるべくお互いのきれいな部分だけを交換しようと努めてきた。それが決して悪いわけではないけれど、知らず知らずのうちに、自分や目の前にいる相手の弱い部分を見ないようにする癖が付いてしまった気がする。

自分のずるさやきれいじゃない気持ちと向き合い、相手に差し出すことは、まだ難しい。だけど少しずつそれができるようになったら、その先には今よりもっと優しくて心強い場所が広がっていると信じている。

時には人に甘えてみたり、頼ってみたりすることで、新しい可能性に気付くことができた。弱さや痛みによって、人はつながることができるのかもしれない。もしそうならば、自分の中でずっと欠点だと思っていた弱さが、少しだけ光って見えるような気がした。

編集:はてな編集部

自分の弱さと向き合ってみる

ポンコツな自分を受け入れる。「弱さは人に見せるもんじゃない」の呪いが解けた話|山中散歩
ポンコツな自分を受け入れる
「私にはもったいない」と欲しいものをあきらめるのはやめた|藤沢あかり
「私にはもったいない」と思うのをやめた
モテたいと願った末に「ごめんなさい」と言う癖をやめた私|黒川アンネ
「ごめんなさい」と言う癖をやめた

著者:星野文月(ほしのふづき)

星野文月

作家・文筆家。1993年7月生まれ、蟹座。長野県松本市在住。栞日にて書籍の選書を担当している。「Monthly Writing Club」や「日記に集う日」を主催しています。好きなものは、散歩、川、ハロー!プロジェクト、TBSラジオ。
著書に『私の証明』(百万年書房)、『プールの底から月を見る』(SW)、『取るに足らない大事なこと』(ひとりごと出版)、『もう間もなく仲良し』(BREWBOOKS)などがある。
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40代子持ち、転職成功の鍵は?ブランクありでも派遣から正社員になれた、自己PRや面接のコツ

40代子持ち、転職成功の鍵は?ブランクありでも派遣から正社員になれた、自己PRや面接のコツ

小さい子どもを抱えながらの転職は不安がつきもの。また30代、40代と自分の年齢が上がるにつれ、条件に合った求人を探す難易度は高くなりがちです。

今回寄稿いただいた親泊敦子さんは、40代で派遣社員から正社員への転職を経験。現在は子育てと両立しながら、広報・マーケターとして働いています。

自分に合った転職先の探し方や自己PRのコツ、面接で気にかけておきたいことなど、子育て中の女性が転職を成功させるために知っておきたいポイントを、親泊さん自身の経験から振り返ります。

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保育園問題をきっかけに、一念発起し正社員を目指す

40代子持ち、転職成功の鍵は?ブランクありでも派遣から正社員になれた、自己PRや面接のコツ

40代前半、2歳児ワンオペ育児中、派遣契約を終えたばかりの専業主婦。

2024年4月、正社員での転職を思い立った時の私の肩書きは、転職市場での価値という目で見た場合、われながら厳しいものでした。大学卒業後は正社員として働いていましたが、結婚後は専業主婦を経て派遣社員に。転職活動を始める時点で、正社員を辞めてからのブランクは実に8年にもなっていました。

そんな私が、無謀にも思える正社員での転職を考えたきっかけは子どもの保育園問題でした。

残業もなくパートタイムで働ける派遣社員は、子育てとの両立に適しており、私は満足して働いていました。しかし、ネックとなるのが契約期間です。出産後長らく働いていた派遣先が契約満了となったため次の会社を探して就業したのですが、その社風がどうしても肌に合わず、1カ月で契約を終了することになりました。

子どもの通っていた保育園では、就職活動を理由に利用できる期間は最大3カ月。保育園退園の期限に追われながら慌てて次の派遣先を探すなか「この不安と苦労を繰り返すのはなかなかつらい」という思いから、雇用期間に定めのない正社員として働く道を考え始めました。

そして何より正社員への復帰を考えるようになった一番の理由は、少し前に子どもが卒乳したことで夜間にまとまった睡眠を取れるようになり、思った以上に自分の気力と体力が回復したことでした。それまで常に頭痛と眠気に悩まされていた頭が晴れ、自分の中で行動と決断をできる余力が増えました。

「今よりもっと裁量が大きい仕事に腰を据えて取り組みたい。自分の力を社会の役に立て、充実した人生を送りたい」という気持ちが、正社員への転職を後押ししました。

そこで、子どもが保育園を退園しなければならない日を期限として、3カ月間全力で正社員への転職活動をすることにしました。

その中で意識していたことは、以下3つです。

  1. 条件と視野をできるだけ広げて、少しでも合いそうな会社にひらすら応募
  2. 履歴書と職務経歴書ではポジティブで正直な自己開示を。専業主婦や派遣の期間もPR
  3. 「自分に合う社風か」は書類時点では気にせず、面談・面接のときに見極める


それぞれ詳しく紹介します。

1.少しでも合いそうなら応募。条件と視野をできるだけ広げる

💡POINT
  • 募集要項の「求められる経験」に一つでも自分と合致する項目があれば迷わず応募
  • 「合う会社が見つかればラッキー」の気持ちで、落ちても気にせず次にいく
  • 「必須だと思っていた条件も、別の方法で代用できないか柔軟に考える


まずは転職サイトに登録し、その後、サイト経由で連絡をくれた転職エージェントにも登録。「応募は無料なのだから、とにかく出さないと損」というエージェントのアドバイスのもと、「募集要項の『求められる経験』に一つでも自分と合致する項目がある」を条件に求人を探して、2カ月で約50社に応募しました。

8割の会社からは、最初の書類選考で落とされました。けれど「この世には何十万社以上もの企業があって、自分とは考えや価値観が合わないのがむしろ当たり前。合う会社が見つかればラッキー」という心持ちで、応募を続けました。

また、未経験・未知の業界・業種の企業にも、臆さず申し込みました。派遣でさまざまな業界を経験したことから「業務内容さえ経験があれば、ある程度どんな業界でも働けるだろう」という見通しが持てたことが、ひとつの支えになっていました。

また、転職活動を続けるうちに「必須」だと思っていた条件も、状況に合わせてある程度の「譲歩」をしたり、他の条件で「代用」したりできないかなど、より幅広く柔軟に考えるようになってきました。

例えば私は当初、育児や家事との両立がしやすい「フルリモート」の仕事を希望していました。しかしフルリモート勤務が可能な企業は減少傾向にあり、最終的には「リモート+週1~2日の出社」の条件で就職しました。

「育児や家事と正社員の仕事の両立」については、「フルフレックス(出社や退社の時間にコアタイムがなく、従業員が自由に勤務時間を決められる柔軟な働き方)」制度があったおかげで、リモート勤務が週3〜4日でも実現できました。フルリモートにこだわる必要は、実際にはなかったのです。

2.職務経歴書では、専業主婦や子育ての経験も自己PRにつなげた

40代子持ち、転職成功の鍵は?ブランクありでも派遣から正社員になれた、自己PRや面接のコツ

職務経歴書の作成では、専業主婦や派遣社員の期間をどう伝えるかに悩みました。そこで2人の子どもを抱えながら転職した経験のある友人にアドバイスを求め、以下の工夫を取り入れました。

  • 1. 応募先に合わせて、記載するスキルと経験を絞る
    • 自分の持っているスキルや周囲からの評価、今までの実績を可能な限り思い出し、あらかじめ列挙しておく
    • 応募する求人の業務内容や必要とされているスキルに合わせて、列挙した中から記載する内容を数点選ぶ
  • 2.前向きな自己PRを心がける
    • 自己PRは前向きかつ正直に。「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるよう、エピソードの書き方を工夫する
  • 3.派遣社員の経歴も職歴として書く
    • 「派遣社員として◯◯社に就業。××の業務を担当」といった但し書き付きの内容で、派遣社員の経験も記載する
  • 4.専業主婦期間も視点を変えてポジティブに表現
    • 離職中にも「自分の成長・学習」になったことがあれば自己PRの一つにする
    • 例えば「乳幼児の世話をした経験」は「話の通じない相手とコミュニケーションを重ねたことで、忍耐力が養われた」と書くこともできる


履歴書と職務経歴書では、全体として「ポジティブで正直な自己開示」を心がけました。ミスマッチを防ぎ、ブランクがあることや小さな子どもがいることを知った上で採用してくれる、度量のある会社に出会いたいと考えたからです。

3.「自分に合う社風か」は、実際に話して見極める

💡POINT
  • 自分に合う社風かは、面接で見極める
  • 面接官と波長が合い、話していて前向きになれるような会社は、自分と相性が良い可能性が高い


転職先を探す上では「社風が自分に合うか」も重要なポイントでした。

ただ、求人情報だけでは実際の社風までは分かりませんし「とにかくひたすら応募する」ことが大事です。ですから書類応募時点では社風は気にしないようにして、面接で自分に合う企業かどうかをよく見極めるよう努めました。

カジュアル面談や面接を繰り返すなかで、ある時、面接官の方々がとても話しやすく、面接の場での居心地が抜群に良いと感じる会社に出会いました。

自分にとって嫌だったり、答えにくかったりすることは聞かれず、会話するうちに今までの人生で楽しかったことや、これからやってみたいことが胸の内でどんどんと膨らみ、面接でそんな体験をしたのは初めてでした。

その会社が、現在の私の勤め先です。面接官と波長が合う会社は、自分と相性が良い会社である可能性が高いと思います。
 

40代の転職は不安も多いけど、まずはやってみる

40代子持ち、転職成功の鍵は?ブランクありでも派遣から正社員になれた、自己PRや面接のコツ

転職後は、フルフレックスとリモートワークを活用しながら、子育てと仕事の両立をしています。

転職先の会社は、「最適化AIシステムの開発」という自分のこれまでの経歴とは縁もゆかりもない分野の会社です。求人票を見た時「最先端で面白そうだけど、まず受からないだろうな」と思いつつ、ダメ元で応募した企業で、選考通過の連絡をいただいた時には心底驚きました。

今の会社は社員の裁量と行動の自由が大きく、先進的で、はつらつとした雰囲気が自分になじんでいます。気の合う同僚たちと一緒に進める仕事はやりがいも大きく、あの時「自分はきっと受からない」と自分で決めつけ、応募をやめたりしなくてよかったと思っています。

心配していた「出社日」は、仕事が効率的に進むだけでなく、他の社員と交流できる貴重な機会となり、むしろ私の日々の楽しみの一つとなっています。最初はネガティブに捉えていた要素が、実際にはポジティブな効果をもたらしてくれたことに驚きと感謝を覚えますし、何事もやってみなければ分からないのだな、とつくづく思います。

毎日の生活の充実度、人生に対する喜びと肯定感が高まりまったことで、家族のことも一層大切に思えるようになりました。

***

40代、子ども&ブランクありでの転職には、いろいろな不安があると思います。新しい会社になじめるか、仕事についていけるのか、家庭は維持できるのか。私も同じ不安を抱えていました。

やってみてダメだったり、うまくいかなかったりしたら、その時はまた対処方法を考えたり、諦めて別の道を探したりすれば良い。そう思って行動し、幸いにして道を開くことができました。

人手不足の現在、40代は、まだまだ社会に必要とされる大切な働き手です。これまでの経験から周囲にアドバイスできることもあるでしょうし、反対に周りから学ぶ姿勢を大切にすることで、自分も成長できるはず。

私の経験が、同じような不安を抱えながら迷っていらっしゃる方の参考になれば幸いです。

編集:はてな編集部

子育て中の働き方、みんなどう考えてる?

育児中はフルタイムor時短の2択、ではない。“働き方の選択肢“はできるだけ多く知っておく
育児中の働き方「はフルタイムor時短」の2択ではない
カタノトモコ|育児中にキャリアチェンジした理由。フリーランスのマンガ家から会社員に転職
育児中にフリーランスから会社員へキャリアチェンジ
育児をしながらキャリアチェンジ。先輩ママ3人が語る“育児中の転職”の道のり
先輩ママ3人が語る、育児中の転職

著者:親泊敦子(Atsuko Shimpaku)

親泊敦子さん

1982年、兵庫県生まれ。2022年に出産、一児の母。(株)日本総合研究所勤務後、専業主婦と派遣社員を経て、現在は(株)グリッド(https://gridpredict.jp/)で広報・マーケティングを担当。

ヨシケイの冷凍弁当で毎日の弁当作りを楽に。「自分の時間がない」悩みは家事の効率化で解決

子育てしながら働くワーママ&ワーパパって毎日どうやって乗り越えているの……?

夫婦それぞれ、どんなタイムスケジュール&ルーティンで、どんな工夫をしているのかを教えてもらう本シリーズ。

第10回は、ヨシケイの冷凍弁当や献立のパターン化などで家事の効率化を意識し、自身の時間も大事にしているというあきおさんに登場いただきました。

あきおさんプロフィール

あきおさんプロフィール

・北陸地方在住(30代後半)。事務職として9:00〜16:15の時短勤務。個人情報を扱う職種柄、出社がマスト。勤務地が市内にいくつかあり、3〜4年ごとに異動があるが、現在通っている場所が車で片道50分と自宅から最も遠い場所なのがネック
・夫も、同じ会社の違う勤務地で事務職として働く。8:30〜17:15のフルタイム勤務。現在は自宅からほど近い勤務地に通っており、自転車or車で通勤している
・小3の長女(9歳)と保育園年長の長男(6歳)の4人暮らし

あきおさん家族の1日のスケジュール

こんにちは、あきおと申します。

わが家は私が時短勤務を選択しているため、家事育児を多めに担っております。

とはいえ、1日の中で少しでも自分1人の時間が欲しい……。幸せな一人の時間を確保すべく「家事の効率化」と「小さなタスクを溜めない」の2点を心掛けています。

キッチンツールひとつとっても、必要最低限の数を最短距離に配置すれば作業が捗(はかど)りますし、郵便物やプリント類はすぐに仕分けて必要なければ廃棄したり、期限があればカテゴリー別に分け日付順にして見やすい場所に保管すれば家が片付くだけでなく、精神衛生上も◎

ほかにも、1日の中で以下のようなことを意識しています。

★1 日々の食事はできるだけ作らないor考えないがモットー

私は朝に弱く、ギリギリまで寝ていたいタイプ。なので、朝食は「できるだけ作らず、出すだけ」を意識しています。

例えば、

  1. 前夜炊いた白米
  2. ご飯のお供(ふりかけや梅干)
  3. 果物(みかん、キウイなど季節による)
  4. 野菜(主にトマト)
  5. ヨーグルト
  6. インスタントのみそ汁

という感じ。品数が多いので「しっかり用意している感」が漂っていますが、ちょっと切ったり、お湯を注いだりするだけです。

また私は昼食としてお弁当を職場に持参しているのですが、これも「作らず、詰めるだけ」を意識。

お弁当の中身は、ヨシケイのシンプルミール(冷凍弁当)一択です。栄養バランス&コスパがいいので、かれこれ6年ほど愛用しています。

ヨシケイのシンプルミール(冷凍弁当)を愛用

レンチンしたら白米と共にお弁当箱に詰めるだけ。1食あたり400円弱

夕食は一汁二菜をベースにパターン化。帰宅してから冷蔵庫内の食材を組み合わせて献立を決めます。

例えば、

  • 野菜が中途半端にいくつも残っている
    • 👉具だくさんみそ汁
  • 卵の賞味期限が近い!
    • 👉 汁物に回しかけてかき卵汁にしたり、中華風スープにしたり

という感じで、パターンが決まっていれば、仕事終わりの疲れた頭でも流れ作業で調理が進みます

またカレーや肉じゃがなどの煮込み料理は電気調理器を活用し、ほったらかし時間を活用して洗濯物をたたんだり、子供の宿題や連絡帳のチェックなどをしています。

そもそも夕食を作る気力がない日は、ヨシケイの冷凍弁当を夕食のおかずに流用したり、外食したりする日もあります。

★2 夫婦で1人時間を確保するため、夫は子供と就寝

夫は私とは逆で朝型人間なため、子供たちの寝かしつけを担当したあとそのまま就寝。翌朝、早く起きて各部屋の掃除やゴミ出しなどの家事をしつつ、自由な時間を過ごしています

一方私は洗濯や食器洗い、キッチンの掃除などの夜の家事を担当。なのですが「寝るまでお母さんもいてほしい」と子供たちにお願いされることがしばしば

2024年の年始に発生した能登半島地震では私たちの街もかなり揺れたため、みんな一緒の方が安心するようです。夜の時間が少なくなるので焦りますが、こうやって子供たちと川の字になっておしゃべりできるのも今のうち。とても愛しい時間です。

一緒に寝かしつけする日は寝落ちしないよう、頑張って起きています……。

★3 家族が寝静まった後は、1人時間を有意義に過ごす

家事育児が終われば、待ちに待った自由時間。

ブログを書く、動画を見る、読書する、勉強する……。その日の気分に合わせて好きなことをして過ごします。

最近は長女と共に漢字検定の「家族受験」に挑戦し、無事2人一緒に合格できました。

私は準1級に挑戦したのですが、半年間、スキマ時間を最大限に活用して頑張ったので、喜びもひとしおでした。今は色彩検定に興味をもっています。

漢字検定の「家族受験」に挑戦
「家族受験」に挑戦するともらえる「家族合格表彰状」

子育て&仕事と忙しいからこそ、1人で好きなことに没頭する時間は必須。平日のほか、週末も基本家族で過ごしつつ、年に何回か、夫婦がそれぞれ1人で外出する日を設けるようにしています。

こういった時間のおかげで自身のメンタルが回復し、穏やかな気持ちで家族と接することができていると思います(もちろん、穏やかに過ごせないときもありますが……)

4月からはフルタイムに。家事分担の見直しが課題

長男の小学校入学に伴い、これまで家事育児を多めに担っていた私が4月からフルタイム勤務に戻るので、現在夫婦で家事分担を見直しています

漢字検定の「家族受験」に挑戦

ホワイトボードで家事の可視化を試みたところ、いい感じで分担できるようになってきました

また、現勤務地までの通勤時間が長いため会社に勤務地の変更を強く希望しています。が、このあたりは直前にならないと分からず、今後またスケジュールを見直す必要がありそうです。

不安もありますが、今から準備できることはしておく、あとは無理せず割り切って柔軟に対応できるよう、家族みんなで協力し合えたらいいなと思っています。

編集:はてな編集部

「家事・育児の効率化」のヒント💡

平日の夕飯作りを楽に。働く人のためのライフスタイル別「ホットクック」活用レシピ3つ|阪下千恵
夕食作りをラクに。「ホットクック」活用レシピ3つ
仕事で疲れた日は“レンチン”で気軽に夕食作り。知っているようで知らない「電子レンジ活用法」
“レンチン”で洗い物を少なく&おいしいごはん
IT系夫婦の家庭と育児を支える、「情報共有ツール」活用術
夫婦で効率良く情報共有するためのツール活用術

計画通りにいかなくても大丈夫。子育てをきっかけに「計画を立てすぎる」のをやめた|遠藤光太

やめたこと・遠藤光太さんエッセイ

誰かの「やめた」ことに焦点を当てるシリーズ企画「わたしがやめたこと」。今回はライターの遠藤光太さんにご寄稿いただきました。

事前に「綿密な計画」を立てることで不安な気持ちをコントロールしていたという遠藤さん。しかし子どもが生まれ、計画通りにいかないことを何度も経験するなかで「計画を立てる」よりも「周囲の状況を観察し、臨機応変に対応すること」の大切さに気づいたといいます。


例えば、高校時代の定期テスト。B5のまっさらな紙に定規で線を引いて、テスト当日までの勉強計画を立てるのがルーティーンだった。

定期テストは出題範囲が定まっていて計画を立てやすい。その通りに勉強をすれば、自ずと良い結果が出た。

「計画を立て、その通りに実行すること」は、私にとって安心して生きるための手段だった。

私は「計画大好き人間」だった。子どもが生まれるまでは。

「計画」で不安を減らしていた

私は子どもの頃から「不安」の強い性分だった。慣れない場所に行くとひどく恐がり、自宅でも「洗濯物が風に飛ばされないか」と不安がった。

だから無意識に、細かな計画を立てるようになっていった。未知の物事でも、立てた計画の通りに進むことで不安を減らすことができた。定期テストの計画的な勉強は、その典型例だ。

やめたこと・遠藤光太さんエッセイ

「計画的に努力を重ねられる」と書けば、「良いことじゃないか」と思われるかもしれない。

しかし、そう簡単な話ではなかった。

私には計画が少しでも狂うと大パニックになり、全てをゼロからやり直してしまう「リセット癖」があった。

例えば、大学生の頃の恋人(現在の妻)とのデートでは、入念に計画を立てるものの、ちょっとした予定の狂いがあると「もう家に帰りたい」とデート自体を投げ出そうとして、恋人を困惑させた。

今になって考えてみると、AIみたいだ。テスト勉強のような閉じたフレームの問題は解ける。

しかし、他者が介在する事象はいつも不安定で、予測不能なことが起こり、計画は必ずどこかで崩れる。開かれた世界へと飛び出した途端に私の計画は力を失い、その解決策として、未熟な私は「リセット」を選択していたのだ。

生後3カ月ではじまった「仕事と子育ての両立」に大パニック

私は社会人になってからすぐに結婚し、娘が生まれて親になった。

「会社員生活と子育ての両方をこなせるだろうか」という不安から、毎日のスケジュールやタスクの管理はもちろんのこと、1年ごとの貯蓄計画まで立てた

大きな模造紙に娘が成人するまでのマス目を書き、生活費や教育費、住宅や車の購入費用を緻密に計算し、そこから逆算して収入と生活費の目標額を設定した。

しかし、赤ちゃんに計画は通用しなかった。腹が減れば、泣く。排便をしたくなれば、出す。生理現象に忠実で、計画なんて知ったことではない。日によって全く異なるのが子育てだった。

さらに保育士の妻は人手不足の職場からの要請に応じて、産後3カ月で仕事に復帰していた。娘は妻が勤務する保育園に預けることになり、共働きをしながら0歳3カ月の娘を育てる毎日が始まった。

妻は激務だったので、私が娘の送り迎えや食事など主な育児を担った。娘が急に入院したときには夫婦交代で付き添うなど、「共働きしながらの育児」は予定通りにいかないことの連続で、大パニックだった。

娘が0歳7カ月になった頃、あまりにハードな毎日に私のメンタルは崩れ、勤務先を休職することになった。「○年後には年収○○円稼げるようになる」と、かつて模造紙に書いた目標は目の前の生活において全く意味をなさず、私の計画は瞬く間に崩れ去っていった。

子育てには「計画」が通用しない

テスト勉強と違い、子育てには「計画」が通用しない。むしろ計画に縛られることで、自分や家族を守れなくなってしまうと悟った私は「やり方を変えなければ」と考えていた。そんなときヒントを与えてくれたのは娘だった。

休職中、家事・育児に専念していた私は、娘をよく観察しながら、自分の動きを娘に合わせるようになった。

例えば、オムツを替えるとき。まずは娘の脚の動きを観察し、それに合わせて脚をキャッチし、シュッとオムツを上げる。無理やりはかせようとするよりも、娘の動きに合わせた方が、スムーズに進むことに気づいた。

やめたこと・遠藤光太さんエッセイ

「今の私に必要なのはこれかもしれない」と思った。私の計画を押しつけるのではなく、家族の動きに合わせて私が動く方がうまくいくのかもしれない、と。

振り返ると、自分の固定観念は強かった。「男は強くあらねばならない」「家族の『主人』にならなければならない」「父・夫として、稼ぎ頭でなければならない」と思い込み、計画を立て、それを実行することが家族を支える唯一の手段だと思っていた。

そんな考え方だから休職中も「少しでも早く復職しなければ」と焦っていたが、妻には「もっと休んでほしい」と言われた。「復職して早く稼ぐことよりも、しばらくの間は家事・育児の主体をあなたが担うことで家庭を支えてほしい」と。

妻の言葉から、自分の計画は独りよがりだったと気づかされた。稼ぎ頭になれなくても、私は私のやり方で家族を支えられればそれでよかったのだ。

そうして、7カ月の休職を経て復職。日々がめまぐるしく進んでいくなかで、娘が5歳になった頃、保育園への「行き渋り」が出てくるようになった。以前の「計画大好き人間」の自分のままだったら、「仕事に間に合わなくなるから」と、無理にでも行かせていたと思う。

でも、家族に合わせて動く構えに変わっていた私は、仕事に融通が効く日は無理に行かせず、一緒に過ごすよう心がけた。

いわゆる「小1の壁」が迫ってきた頃には、早い時間帯の帰宅や学童へのお迎えにも対応できるよう、働き方を見直しフリーランスになった。「不安」が強い性格だからこそ、「計画」で備えるのではなく、柔軟にリアクションできる体制を整えたのだ。

やめたこと・遠藤光太さんエッセイ

「計画」から「応答」へ

人生は想定外のことだらけだ。

赤子は理由もなく泣き喚くし、仕事で成功しようと思っていたのに体調を崩して休職してしまうし、子どもは突然「きょう、ほいくえんにいきたくない」と言い出す。

事前にどれだけ「計画」を立てても、どうせその通りにはいかないし、その都度リセットしたり大幅に見直したりしていては膨大な労力がかかり、かえって燃費が悪い。

ならば、普段は肩の力を抜いて状況を観察しよう。ダラダラしているように見えるぐらいに。そして状況に合わせて、リアクションしていけばいい。

最近読んだ本に、人類学者ティム・インゴルドの『応答、しつづけよ。』(亜紀書房/訳:奥野克巳)がある。

インゴルドは、応答(コレスポンディング)には3つの特徴があるという。それは、プロセスであること。開放系であること。対話的であること。

かつての私は、閉じた世界のなかに自分や家族を押し込めて、一方的なやり方を適用しようとしていた。それはプロセスでもなく、開放系でもなく、対話的でもなかった。

「計画」から「応答」へ。

私はここで原稿を書き終えて、子どもの動きを観察しよう。一人で計画を立てるのではなく、妻の言葉に耳を傾けよう。貯蓄計画の模造紙を捨て、応答に備えてダラダラしておこう。


編集:はてな編集部

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著者:遠藤光太

遠藤光太さんプロフィール

フリーライター。平成元年生まれ。2児の父。執筆分野は、社会的マイノリティ、子育て、福祉、表現、デザイン、地域、学び、コミュニティ、スポーツ、会計など。著書に『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』(創元社)がある。
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