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育休中に転職活動をしてみて マミートラックや不本意な異動に葛藤し「仕事も大切にしたい」と気付いた

育休中に転職活動をしてみて マミートラックや不本意な異動に葛藤し気付いた「仕事も大切にしたい」気持ち

産休や育休中に「子どもが生まれても今の職場で働き続けられるだろうか」「でも転職は……」と悩んでいませんか。

現在ライター・編集者として働く石川仁美さんは、新聞社勤務時代に同僚のマミートラックや自身の不本意な異動から転職活動を始めますが、同時に妊娠が発覚。産後も葛藤し続け、最終的に退職を決め、新たに業務委託の仕事に就くことを決意しました。

子どもは大切だけれど、仕事も大切——そう語る石川さんの転職活動の体験談をつづっていただきました。

異動にマミートラック......「産後もここで働き続けられる?」

💡POINT
  • いつか来る「異動」と「産後の働きづらさ」からキャリアに不安を抱く
  • 仕事内容はハードで、もし子どもが生まれても子育てと両立できるイメージが湧かない
  • 実際にマミトラを経験した同僚も


人生とは思い通りにはいかないものである。新聞社に勤めて10年が過ぎたあたりから、私はキャリアに不安を感じていた。

当時私は希望が叶ってスポーツを取材する部署で、国内だけでなく海外での取材も経験させてもらい、仕事に大きなやりがいを感じていた。

取材すればするほど広がる世界。全国を飛び回る記者の仕事の充実感は他に代えがたく、「このポジションでずっと仕事ができればいいのに」と何度となく思った。

しかし、新聞記者もただの会社員。会社の一存で人事は決まり、基本的に拒否ができない。私も例に漏れず3年周期の異動が目前となり、望まない部署への異動もありうると感じていた。

そして私にはもう1つの大きな悩みがあった。それは「子どもができたとしても今の職場で働き続けられるイメージが湧かない」ことだった。

仕事に集中しているうちに生物的な出産適齢期を逃し、本格的に子どものことを考え始めた時には私は37歳になっていた。

「子どもが欲しいなら産んで、産後に復帰すれば良い」という声も聞こえてきそうだが、夜中に急に事件が発生して仕事になることもあり、社会に私を合わせないと仕事ができない。今までと同じように働くことは、言わば無理ゲーだ。

今は変わってきていると聞くが、当時の職場は子育て中の女性が第一線で働くための配慮はささやかなものだった。20代のうちに出産して職場復帰した後輩は「場数を踏む前にマミートラックに乗ってしまった」と嘆き、男性管理職と変わらず働く先輩は保育園とシッターを駆使しパズルを組むような生活をしていた。

一方、「ママたちの尻拭いはいや」と辟易している人もいて、どこへ行っても地獄という雰囲気すらあった。

転職も異動も思い通りにいかない中で発覚した「妊娠」

💡POINT
  • 転職活動を始めるも、うまく行かない日々。不本意な異動も決定
  • やっとの思いで転職先が決まったが、妊娠が重なり内定を辞退
  • 産後も「これからどうしよう」と葛藤し続けていた


どう考えても新聞記者の仕事と子育ては相性が悪いのである。このままでは何かを諦めなくてはいけないのではないかと、絶望にも似た感情を抱いた私は転職活動を始めることにした。

しかし、記者という職業の特殊さからか応募書類を送っても「お祈り」される日々が続き、とうとう部署異動のタイミングがやってきた。

行き先は紙面のレイアウトを考える整理部門。同じ記者でも、取材することのないポジションでショックだった。

このころから少しずつ会社への愚痴が増えていき、私の仕事人生は滞留してしまっていた。

それでも何か動かなくてはと、空いた時間でオンラインのライター講座に通ったり、転職サイトを眺めたりしながら働く日々を数年送った。

そして38歳の初冬、雑誌編集の業務委託の内定をもらったと同時に私の妊娠が発覚した。地方から東京への引っ越しが伴うため、内定を辞退せざるを得なかった。

さらには整理部門から全く希望していない部署への異動が決まり、私の仕事人生は一層深い霧に包まれてしまった。

追い討ちをかけるようにつわりも始まり、主食はみかんで、家の居場所はソファという生活。異動をはさみ、視界は晴れることなく産休・育休に突入した。

育休中に転職活動をしてみて マミートラックや不本意な異動に葛藤し気付いた「仕事も大切にしたい」気持ち

無事に子どもが生まれ、授乳にオムツ替えという人生初の経験をこなしながらも「これからどうしよう。このまま仕事復帰していいのかな」という思いは頭の片隅から消えることはなかった。

葛藤の末、育休中に転職を決断

💡POINT
  • 育休中に以前内定をもらった会社の求人と再会
  • 「子連れ単身赴任」を覚悟の上で新しい仕事への転向を決断
  • 15年勤めた会社を退職。申し訳なさを感じつつも、最後は快く送り出してもらえた


産後のキャリアに葛藤する中で、ゆるゆると眺めていた転職サイトに以前話が流れた雑誌編集部の求人が掲載されているのを見つけた時は、少しおおげさだが運命を感じた。

ただ、この仕事が決まれば東京に引っ越さなくてはならず、「夫と私のどちらが子どもと暮らすか」という問題もある。夫は仕事が忙しいため、私の子連れ単身赴任生活が頭に浮かんだ。

おそるおそる夫に相談すると「応募してみたらいいんじゃない?決まった時にこれからのことは考えよう」と話は秒で終わり、迷うことなく応募ボタンを押すことができた。

子どもが寝ている間にオンライン面接をし、東京での最終面接を経てもらった内定通知のメールは「子育てセンター」で子どもと遊んでいるときにやってきた。

当時の私の状況を理解した上で受け入れてもらえるとは思っていなかったので、一気に肩の荷がおりた。

さて。仕事が決まったとなると、会社へ退職の意向を伝えなくてはいけない。育休が明ける前に上司にアポを取り、意を決して「退職します」と伝えた。

もちろん「育休中に転職する」と決意していたわけではないが、結果として産休・育休後にそのまま退社となった。しかも、新しい部署に異動して日が浅いタイミングでの退職で、後ろ足で砂を掛けていると思われても仕方がなく、職場の方々は思うところはあったと思う。

それでも「一緒に仕事をしたかった」と上司に言ってもらえたことはありがたく、15年、この会社で働いてきたことが少し肯定された気がした。

どちらの道も大変。だからこそ「自分で決める」ことが大事

💡POINT
  • 裁量のある働き方に変えたことで精神的なゆとりができた
  • 自分で決めた道だから、大変でも不満を抱かなくなった
  • 選んだ道は自分で正解にしていく


2024年秋から始まった東京での子連れ単身赴任生活。

初仕事目前に子どもが発熱し、病児保育の予約が取れるかハラハラした。雑誌の校了日に子どもが発熱した時はどうなるかと思ったが、一緒に働く人たちの優しさや気遣いに助けられた。

仕事を変えて得たのは心の健康とやりがいだ。

記者時代のように急な呼び出しに怯えることもないし、業務委託は勤務時間が固定されていないため「中抜け」という概念もない。

子どもの予定に合わせやすいのは心地よく、自分で決めたことなので仕事への不平不満を口にしなくなった。

育休中に転職活動をしてみて マミートラックや不本意な異動に葛藤し気付いた「仕事も大切にしたい」気持ち

その後、夫も東京へ異動してきて、いまは家族3人、シッターさんに助けられながらどうにか生活している。

一周回って、会社員時代に「無理だ」と思っていた保育園やシッターさんを駆使する先輩と同じ生活をしているわけだが、今はその無理が自分の人生のために必要だと分かる。

子どもは大切だけれど、仕事も大切。ただそれだけなのだ。

子どもをきっかけにキャリアを失うと思った時期もあったけれど、子どもがいるからこそ見える世界もあるのだと知った。井の中の蛙のままでは大海は見えない。

育休中に転職活動をしてみて マミートラックや不本意な異動に葛藤し気付いた「仕事も大切にしたい」気持ち

「出張ご苦労様です。いろんなことが分かる頃になったら、お母さんのことをきっと尊敬すると思います」

出張でお迎えが遅くなりそうな時、保育園の先生がくれた言葉だ。娘は最近、「ママ、お仕事なの?」と聞いてくるようになり、その言葉を聞くと胸がキュっとなる。

でも、いま仕事を辞めるかといえばNOだ。やりがいも欲しいし、将来を思えばお金も必要。居場所を変えてすこし生きやすくなったけれど、頑張りが必要なのは変わらない。

マンガ『SLAM DUNK』の安西先生が言ったように諦めたらそこで終わりだし、以前のように職場の愚痴を漏らすような日々はごめんだ。

キャリアや人生の選択にはエゴが入り混じるからこそ、自分で決めて、自分で正解にしていくしかない。ただ、家族がいると「自分のために」とばかり言っていたら本当のエゴになってしまうとも思う。

働く場所を変えたことに後悔はないし、正解だったと思っているからこそ「家族がハッピーなのか」と自問自答することを忘れずにいたい。

編集:はてな編集部

著者:石川仁美

石川仁美さんプロフィール

ライター、編集者。1984年生まれ、札幌市出身。新聞社でカメラマン4年、記者11年の計15年勤務。出産をきっかけに2024年秋にフリーランスに転向し、札幌から東京に引っ越した。現在は雑誌やWEBメディアで編集業務や記事の執筆に携わる。舞台鑑賞、スポーツ観戦、アイドルのコンサートに行くことが好き。
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「仕事をすれば幸せになれる」そう信じていた私が見つけた、働くこと「以外」の幸せ

「仕事をすれば幸せになれる」そう信じていた私が見つけた、働くこと「以外」の幸せ

「仕事で認められれば幸せになれる」――。幼い頃からそう信じて邁進してきたものの、どれほど頑張っても心が満たされなかったというかまたゆうさん。

転機は、自分のために料理を作る「プライベートの時間」が転職を機に持てるようになったことでした。紆余曲折を経て「仕事とのちょうどいい距離感」を見つけるまでの歩みを振り返っていただきました。

「仕事」=「私を幸せにしてくれる」と信じていた

💡POINT
  • 仕事で多忙な両親を誇らしく思い、働くことに憧れた幼少期
  • 「経済的にゆとりがあるのは両親が働いているおかげ」と幼いながらに思っていた
  • 大人になるにつれ「仕事は社会に認めてもらう手段」と捉えるように


私を幸せにしてくれるのは「仕事」だと思い込んでいた。

まだ「働く」ということがどういうことか分かっていない頃から、私は働きたくてたまらない希有な子どもだった。

当時、共働き家庭は今ほど多くなかったが、私の両親はフルタイムで働き残業も当たり前だった。朝早くに家を出て帰宅するのは早くても21時ごろ、遅ければ日付が変わることもめずらしくない。

そんな状況を同居していた祖母はよく思っていないようだったが、私はむしろ誇らしく思っていた。

仕事とはそれほど人を熱中させたり夢中にさせたりするもので、そのおかげで私たち家族はゆとりのある生活ができているのだと、子どもながらに信じていた。

私は決して目立つタイプではないし、かわいくもおもしろくもない。大人になるにつれ、そんな私が誰かの役に立ち、社会に認めてもらえるのが「仕事」なのだと考えるようになった。

仕事で認められても、すり減るばかりで幸せになれなかった

💡POINT
  • 1社目ではMVPを受賞し「頼られる存在」に
  • 認められるほど充実感を得るどころか「退屈」を感じ始めた
  • 「環境を変えれば充実するはず」と考え転職を決意


「『かまたさんに頼みたい』と指名されるような人になりたい」。そう自己アピールした就職活動を経て、私はネット広告の企画営業職についた。

特定の商材を持たずクライアントのニーズに合わせて提案をするこの仕事は、まさに「私」という人間そのものが試される絶好の機会に思えた。

「仕事をすれば幸せになれる」そう信じていた私が見つけた、働くこと「以外」の幸せ
就職後、初任給で恩師にふるまったケーキ

入社1年目は思うようにいかない日々が続いたが、3年目に上司の提案で担当するようになった「分析」の業務が適性に合っていたようで、だんだんと成果を出せるようになった。

その年に活躍した社員に贈られるMVPを受賞し、3年目の後半には社内で一番発注額が大きいクライアントを育て上げるまでに至った。

同期の中では一番の出世頭になり、新卒採用のための社内インタビューを受けたり、“消防士”のごとく炎上案件に駆り出されたりと忙しい日々。

口では「大変」と言いながらも、「かまたさんにお願いしたいんです」と周囲から頼りにされることに高揚感を感じていたのは確かだった。

「仕事をすれば幸せになれる」そう信じていた私が見つけた、働くこと「以外」の幸せ
当時は休日対応も当たり前で、スマホのロック画面にタスクをメモしていた

それなのに、なぜか私は「退屈」を感じ始めていた。望んでいた「仕事で活躍する自分」になれたはずなのに、なぜか心が満たされなかったのだ。

私の仕事はクライアントの事業を支援することであり、立場上どうしても関与できない意思決定があった。どれだけベストな提案をしても採用されないことはザラで「御用聞き」に留まってしまう。

それにだいたいの仕事ができるようになったことで、自己成長感のようなものがなくなっているのかもしれない。

「環境を変えれば、もっと充実感を得られるはず」――そんな希望を胸に、私は事業会社に転職を決めた。

転職したことで見つけた「仕事以外」の幸せ

💡POINT
  • 転職しても充実感は得られなかった
  • 残業や休日対応がほぼなくなり「自分の時間」のよさを知った
  • 私の幸せは「仕事」ではなく「日常」にあると気づいた


しかし、思ったように心境は好転しなかった。望んでいた環境にいるはずなのに、なぜかここでも「幸せ」が見つからない。 やりどころのない宙ぶらりんな気持ちに、私は答えを見つけられずにいた。

一方、思いもよらぬ発見もあった。この転職で私は「自分の時間」を手に入れたのである。

まず、ちゃんとお昼休憩が取れる。前職では仕事の片手間でおにぎりを食べることが多かったが、時間をかけてランチに出かけられるようになった。

また、22時過ぎまで残業が当たり前だった生活から、繁忙期を除けば19時ごろには退勤できる生活に変わった。

平日の帰り道の空が、明るい。太陽がまだ出ている。

そんな些細な風景が何より新鮮で、私は確かに「新しい世界」にやって来たのだと思った。

「仕事をすれば幸せになれる」そう信じていた私が見つけた、働くこと「以外」の幸せ
お昼に有名洋食屋で食べたエビフライ

休日の対応もほぼゼロになり、仕事の連絡を気にせず映画を見たり、業務端末を家に置いて旅行に出かけたりできるようになった。

ただ自分のためだけにお菓子を焼き、あたりを散歩して、その日食べたいものを作って食べる。それだけの時間が静かな安らぎと幸福をもたらしてくれることに、私は初めて気がついたのだ。

休日に作ったシフォンケーキ
休日に作ったシフォンケーキ

「自分を幸せにしてくれるものは、もしかしたら仕事ではないのかもしれない」――薄々そう気づき始めてもなお、幼い頃から抱いていた「仕事=幸せ」の定義が崩れてしまうのが怖くて、なかなか仕事への向き合い方を変えられずにいた。

そんな気持ちにケリがついたのは、上司との面談中に「何かやってみたいことはないの?」と問いかけられたときだった。

真っ先に思い浮かんだのは「今日の晩ご飯はカレーにしたい」だった。

なんだ。そうなんだ。私は仕事で何かを成し遂げたいわけではなくて、自分が食べたいものを作って食べる、そんな日常の幸せを大事にしたいんだ。

そう気づいたとき、「仕事」に固執してきた自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。私の幸せの中心は、そこにはなかったのだ。

誠実に働きつつも、幸せの軸足は私生活におく

💡POINT
  • 両親は「仕事で幸せになれる才能」があっただけで、自分はそうじゃなかった
  • 一方で「周囲の期待に応えたい自分」も認めてあげる
  • 仕事と幸せを切り離したことで、以前よりも「仕事と仲良く」なれた


両親は、もしかすると「仕事で幸せになれる一種の才能があった」ということなのかもしれない。それとも私たちの前では気丈に振る舞っていただけで、本当は別の幸せを選びたかった可能性だってある。

どちらにしても、私には私の幸せがあり、彼らのそれとは同じとは限らない。

ただ、仕事が私の幸せに直結しないと分かった今も、「ちゃんとやりたい」という気持ちは変わらない。居心地良く働ける環境を与えてくれている上司や同僚には、できるだけ誠実でいたいからだ。

それは時として、残業することや休日に業務端末を持って外出することであって、穏やかさを願う私生活と相容れないところもあるかもしれない。それでも「私を信頼してくれる人の期待に応えたい」という気持ちもまた、自分の性分なのだと思う。

業務端末を家に置いて遊びに行った長瀞
業務端末を家に置いて遊びに行った長瀞

30歳の今、仕事は「人生の幸せ」ではなく、「人生の一側面」になった。これからも私にとっての「仕事」の定義は形を変えていくことだろう。

時に近づき、時に離れながらいつだって心地よい距離感を探していきたい。仕事を自分の幸せと切り離してはじめて、私は仕事と仲良くなれた気がする。


編集:はてな編集部

著者:かまたゆう

かまたゆうプロフィール

1995年東京生まれ、東京在住。会社員の傍ら、noteでエッセイを書く。内気さゆえに自分の中に渦巻く言葉を掘り下げたエッセイを執筆。話すより書くのが得意で、小学生時代は喧嘩したときに謝ろうとFAXを送りつけていた。あるとき、先方の家にFAXがついていなかったため、いたずら電話のようになりもっと喧嘩になった経験がある。
note

家事 育児 仕事でキャパオーバーにならないために、積極的に周囲を「頼る」ことにした

家事 育児 仕事でキャパオーバーにならないために、積極的に周囲を「頼る」ことにした

仕事と家事育児の両立に疲れキャパオーバーになっていませんか。

イラストレーターの山田だりさんも、第一子の出産時、あらゆるタスクを一人で抱え込もうとして「限界」を感じた経験があります。その時の反省から、今では育児でも仕事でも「周囲に頼る」ことを意識するようになったそう。

うまく頼るためにどんな工夫をしているのか、頼ることでどんな変化があったのかを振り返っていただきました。

***

こんにちは、イラストレーターの山田だりです。フリーランス6年目で、東京で共働きの夫と共に6歳の娘と3歳の息子を育てています。

山田だりさん一家

わたしの母は出産を機に保育士の仕事を休み、中高生になるまで専業主婦としてつきっきりでお世話してくれていました。

そんな環境で育ったからか「将来は仕事もしたいけど子どもにとってよりよい生き方をしたいな」とずっと思っていました。

それに、昔から「自分のケツは自分で拭きたい」といいますか、何事も責任を持って取り組みたいタイプ。かつ時間に縛られるのがとても苦手で自分のペースで動きたい。

そんなわけで、2年ほど画廊に所属した後独立しフリーランスになり、結婚・妊娠なども経験する中で「わたしにとって願ったりかなったりの働き方だ」と感じていました。

そう、子どもを産む前までは……。

産後の「時間の足りなさ」から一人で抱え込む限界を知った

💡POINT
  • 産後はとにかく時間がない
  • 睡眠時間を削って数カ月ダウン。妹と母に助けられた
  • 育児も仕事も一人では無理と気付き、頼ることを意識するように


産後は日常の家事に加え、授乳、おむつ、夜泣き、細切れ睡眠と、とにかく時間が足りない!

最初は「仕事をしたいなら睡眠時間を削ればいいか〜」と考えていたんですが(アホ)、その結果体調を崩して、数カ月寝込んでしまった時期がありました。

寝室に一つ点いているLEDの光すら刺激が強くて気持ち悪くなってしまうほど、最悪の体調。ずっと気を張っていて、寝ている子どもが少し動いただけで目が覚めてしまい、体は四六時中覚醒モードでした。

「全部自分でやろう!」と意気込んでいたことが全て音を立てて崩れていき「わたしは一人では何もできない、ちっぽけな人間なんだ」と感じました。

寝込んだ時期、激務の夫は月単位の出張中で、妹と母にたくさん助けてもらい本当にありがたかったです。1カ月健診で母体の消耗を指摘されていたこともあり、限界を感じて産後ケア入院もしました。

産後ケア入院時
産後ケア入院時(Xの投稿より)

しんどい思いをして周りにも迷惑をかけた結果「自分で抱え込むのではなく、最初から周囲を巻き込んでいくのが大事だな」と思い始めました。

そもそも古来の人間は、社会性を持って群れで生活する生き物だったはず(世界史履修者の走馬灯) 。そこで、これまでの自分のやり方を改めようと考えました。

もちろん最初は「ねえ!? 周囲を巻き込んでいくって具体的にどういうこと!?」となりましたが、どうすればいいか自分なりに考え、工夫してきました。

仕事は自分だけでなく「チーム」でこなす

💡POINT
  • 自分で受けきれない仕事や他に適任者がいる仕事は人に渡す
  • 監修の立場に回るなど仕事への関わり方を柔軟に
  • つながりを生かして仕事をすることは、関わる全員にメリットが


まずは仕事。フリーランスだからといって一人で全てやるのではなく、友人や知人を巻き込んで「チーム」で取り組む機会が増えました。

より適している人に「タスクを渡す」

自分が立て込んでいるときに依頼された仕事や、そもそも「わたしより他の人の方がマッチするかも」と思った仕事について、得意そうな友人や知人に紹介することがあります。

「えっフリーランスでそれって大丈夫なの? 自分の仕事がなくならない?」と思われるかもしれませんが、「依頼主が求める結果を得るための道を示す」立場でいい友人・知人を紹介することができれば、「だりさんに頼めばいい感じになる」という印象が残ります。するとまた、新しい依頼を紹介していただけるんです。

わたしにとっては仲介役としての実績になるし、紹介した相手には新しい仕事が舞い込むし、依頼してくれた相手にはよりよい成果物を届けられる。まさに幸せの輪、win-win-winですね。

人と仕事をつなげる

会社で働く方にとっては、こういった「役割」や「動き方」ができるケースはなおさら多いのではないでしょうか。

元からあるつながりを大切に、多様な関わり方を

他の人にまるごと任せる以外に「自分は全体の監修として関わり、実際の作業を他の人にお願いする」という形を取ることもあります。

例えば、背景やパーツは他の人に描いてもらって、仕上げは私が担当するなど。マンガ家がアシスタントを雇う感覚に近いのかもしれません。

私が美大出身で先輩・同級生・後輩のつながりがあることに加え、妹も同じ大学だったので、その広いネットワークを生かせるというのは大きいです。私の場合は「美大」でしたが、昔の経験や関係性が今の自分を救ってくれるというケースは少なくないのではないでしょうか。

SNSでの新しいつながりは自分への刺激にもなる

さらに、SNSで知り合った友人に手伝ってもらうこともあります。

ネット上だと建前なしでつながれて、お互いの発信を見ているので、それぞれのやりたいことが事前に知れる。さらには「今忙しそう」「今仕事探してそう」など空き具合も分かるので、頼みやすいです。

それに、みんなががんばっている様子を見ていると、自分にとってもすごく刺激になります。

育児で「頼る」ようになって精神的負荷が減った

💡POINT
  • 子どもの気を「ママ以外」にも分散させて精神的負荷を軽減
  • ベビーシッターの利用はストレスなく頼める「保育園送迎」に限定
  • ハンズフリー通話で「大人と会話する時間」を設け気持ちを楽に


育児では、友人やサポートサービスに頼るようになって、実務の面でも精神的な面でもとても支えられました。

外で友人も交えて遊ぶことで、子どもと自分の気を逸らす

相手の負担にならなければ、自分の友人と子連れで遊ぶこともよくあります。

その際はできれば外で会うのがおすすめ! 子どもの興味が「ママママママ!」から逸れて外の景色や他の人に分散し、自分の精神が楽になります。これは自分と子どもだけで遊ぶ時も同じです(もちろん、目を離さないように)。

外に出ることで興味を分散
外に出ると興味を分散させられる(Xの投稿より)

「自分と子ども」の社会で暮らしていると、どうしても子どもに自分の意識が向かい過ぎて、考えなくていいことまで過剰に心配しがちなように思います。

「子どもから親」への意識を分散することは、同時に「親から子ども」への意識を分散することにもつながり、精神衛生が保たれやすいです。

予期不安(将来起こるかもしれない出来事を想像して、強い不安や恐怖を感じる心理状態)は、大概気のせいなので…… 。

手伝ってほしいポイントに絞ってベビーシッターを利用

キャパオーバーになって以降は、ベビーシッターさんも利用しました。ただ私は「家に他人がいると落ち着かない」タイプなので、最初はどう活用していいか迷い……試行錯誤の末「家での保育」ではなく、「保育園の送迎」を任せたところかなり助かりました。

特に朝、いつもはママに甘えて保育園の準備をしない子どもたちが、シッターさんがいると「ちゃんとしよう」と多少思うらしく、準備がスムーズで助かります。そして私も同じように「ちゃんとしなきゃ」と思うので、ダラけず準備できます(笑 )。

友人とのハンズフリー通話が大きな癒やしに

イラストレーターの界隈では知り合い同士で音声コミュニケーションを取りながら作業をしている人が多いのですが、私もよく家事・育児中にハンズフリー通話をしています。

通話をする時間帯は主に夕方で、黄昏泣き、夕飯の準備、日中の疲労の蓄積により精神的体力的にキツい中、同じく育児中の友達たちと話す時間が大きな癒やしになりました。

好きなマンガが今度アニメ化するとかソシャゲの推しの供給が足りないとか、ずっととりとめのない話をしていました。

大人としゃべっているだけで、不思議と気持ちが楽になるんですよね。 赤ちゃんとの一方的な会話ではない双方向の会話によって、脳内が整理されるからかなと思っています。

いつでも通話しやすいように、一念発起してAirPodsを買ってみました。最初は落としそうで怖いなと持っていたものの、家の中ならその心配も少ないし、買って大正解でした。

良いつながりを作るために、大事にしていること

💡POINT
  • 頭の中の「ふせん」が人とのコミュニケーションを深めるきっかけに
  • 相手の感情も自分の感情も、まずは否定せずに一旦受け止める


周囲の人にうまく頼るには、相手にとってもメリットがあると思ってもらえるような良い関係を作っていくことが欠かせません。

頭の中に「人の好きなもの」などを書いたふせんをたくさん貼る

相手とのコミュニケーションのきっかけになりそうな話題などを、頭の中で「ふせん」にメモするイメージで、なるべく多く記録するようにしています。

頭の中にたくさんのふせんが貼られた壁があり、それぞれのふせんには友人・知人の好きなものなどが書いてある。日々の生活の中でふせんをたくさん貼っておくことで、そこに書かれたものを街で見かけた時などに思い出しやすくなるんです。

頭の中のふせんのイメージ

そうすると「前教えてくれたアーティストこの前ネットでバズってたよ〜どの曲が特におすすめ!?」「あのドーナツ屋さんよく見るけどおいしいの? あなたスイーツ好きだから詳しいかなと思って!」 などと、人に会った時の話のネタになります。

時には「あの子の好きなお笑い芸人がおしゃれ雑誌に出てる! ちょっとLINEしてみよう! ついでに近況も聞いてみよう」などと、うざくない程度に久しぶりの連絡をするきっかけにもしています。

大学の時に習ったふせんを使ったブレインストーミングを応用した形ですが、アイデア出しだけでなく、人との縁をつなぐ上でもとても役に立っています。

相手や自分のどんな感情も「一旦受け止める」

相手に寄り添ったコミュニケーションをするために、子どもに対しても大人に対しても、まずは相手の感情(=喜怒哀楽)をできるだけそのまま受け止めるようにしています。これは、育児本を読んだり育児について調べたりする中で学んだ考え方です。

「うれしかった」「嫌だった」などの相手の素朴な感情に対して、それは「正しい」「それは間違っている」と判断するのではなく、まず「そう思ったんだね」と受け止めることで「自分の気持ちを受け入れてもらえた」「信頼して話せる相手だ」いう安心感が生まれ、良い関係構築につながっていくのだそうです。

例えば友人が「仕事しんどい……」と言ったら「え〜やめればいいじゃん!」と過去の私は言っていました。でも今はそうやってすぐに断ずるのではなく、まず「それはしんどいね……」と受け止めるようにしています。

解決法を考えようよ! とはもちろん思うのですが、まずはつらいと思ったその感情を、一緒に大切にしたいと思っています。

子どもが泣いて怒って理不尽なことを言っても、できるだけ「そうなんだね、そう思ったんだね」と受け止めるように、「そんなこと言わないの!」と上から押さえつけたりしないように心がけています。(もちろん危険なことや、人を傷つけることはちゃんと止めるとして)

とはいえ完璧にやるのはなかなか難しいので、なるべく、なるべくね……という気持ちで向き合っています。こういう時、親は自分の元気度を試されている感覚がありますよね、皆さんお疲れさまです…… 。

自分の中に生まれた感情に対しても同じで、まずは「受け止める」その後に「考える」ことを大切にするようになりました。

いまうれしかったな、とか、いま嫌だったな、とか。自分のことを大事にするって、栄養バランスのいい食事を取ったり、髪や爪の手入れをしたりするイメージだったのですが、そもそも根本としてはこういうことなのかもな〜と思っています。

仕事も育児も「他人と助け合うこと」で続けていける


30数年生きてきてやっと「一人でできることなんてたかが知れている」ということに気付きました(今更〜!) 。

以前の私は、無意識に「人に頼ることは甘え」と思っていたのかもしれません。 今振り返ると視野が狭かったな、と思います。

出産をきっかけに周囲と協力するようになって、気付いたことがあります。

力のあるチームで創作をすると、一人で作るよりも速く、クオリティーの高いものが生まれるんです。さらには、自分の力を世の中によりよい形で還元できたりもする。チームで手がけた仕事の成果を街で見かける時が、とてもうれしいです。

今になって、大学の恩師の「最後まで続けたやつが勝ちだ」という言葉がすごく心に響いています。

持続可能な生き方を常に考えて、実行し続けなければいけないんだなと、十数年遅れでかみ締めています。

一人で抱え込まず、他人と助け合える関係を持つこと。それがわたしの人生を続けていくための、わたしの生き方そのものだと思います。

編集:はてな編集部

著者:山田だり

山田だり

6歳と3歳の2人の子どもを育てるイラストレーター。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」劇中イラストをはじめ、装画、挿絵、ポスター、パッケージ製作等を手掛ける。
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休職からの復帰が不安だった私を支えたのは、絵を描くことで生まれた「自分の居場所」だった

休職からの復帰が不安だった私を支えたのは、絵を描くことで生まれた「自分の居場所」だった

メンタルの不調で休職すると、ある程度回復しても「ちゃんと復職できるのだろうか」「また体調を崩さないか」など、仕事復帰に向けた不安が尽きないもの。

会社員として働きながら旅やバイクをテーマにエッセイマンガを描く里中はるかさんは、新卒入社から間もない頃、過労によりメンタルの調子を崩して2年の休職を経験しました。現在は仕事内容や働くペースを調整しながら、仕事と個人の活動を両立しています。

心の不調には波があり、復職から10年以上がたった今も、決して不安と無縁になったわけではないといいます。そんな中で、自分と向き合いながら働き続けるために大切にしていることについて伺いました。

お話を伺った方:里中はるかさん

里中はるかさん

1988年生まれ。旅・バイク・お絵描きを愛する会社員。メンタル不調で2年の休職後、心理学を学ぶために大学編入。卒業後、北インド・ラダックをバイクで旅し、帰国後に同人誌制作を経て初の単行本『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る』(KADOKAWA)を刊行。愛車はBMW F800GS。
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はじめは「休職する自分」のことを受け入れられなかった

はじめは「休職する自分」のことを受け入れられなかった

💡POINT
  • 新卒で憧れの会社に入ったものの、ハードワークでダウンし2年間の休職
  • 趣味の時間を楽しんだり、実家で過ごしたり「仕事以外の世界」に触れた
  • 休んだことで「誰かに評価されるためではない自分」と向き合えた
まずは、はるかさんのいまの働き方について、簡単に教えてください。

里中はるかさん(以下、はるか):会社員としてフルタイムで働き、若手社員向けの研修や、社内のメンタルヘルスに関わるチームでの仕事に携わっています。自分自身が心の不調と向き合ってきた経験があるので、それを仕事でも生かしたいなと。

マンガやイラストについては以前ほど制作の時間を取れていませんが、これまでに出した書籍のプロモーションなどは継続しています。自分にとってのライフワークに近い位置づけとして、変わらず大切にしています。

ライダーの聖地・インドのラダックでのバイク旅についてつづったコミックエッセイ
▶『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。』(KADOKAWA)

はるかさんは現在の会社に新卒で入社後まもなく、2年間の休職を経験したそうですね。当時はどんな心境だったのでしょうか?

はるか:正直に言うと、当時は「メンタル不調の自分」を受け入れることがとても難しかったです。

私はもともと周囲の目を気にする性格で、かつ就職留年を経て憧れの会社に入社したこともあって「評価されるようにがんばらなければ」という思いが人一倍強かったんだと思います。休むこと自体に、かなりの抵抗がありました。

でも、体は明らかに限界を迎えていて。過労と睡眠不足が続いて頭がうまく回らず、会社の医務室で寝ていることもたびたびありました。

ある時、そんな状態を見かねた医務室の看護師さんが、私の上司に連絡を入れてくれたんです。結果として、休職は自分の意思で決断したというよりもドクターストップがかかった形に近いものでした。

今振り返ると、第三者がブレーキをかけてくれたことは本当に大きかったと思います。ただそれでも当初は「休職する自分」をどう受け止めていいのか分からず、早く復帰しなければと思っていました。

「強制的に休む」時間を設けたことで、ご自身の中でどんな変化がありましたか?

はるか:いちばん大きかったのは「ゆっくりする時間が、こんなにも大事だったんだ」と実感できたことだと思います。

もともと短期間で復職するつもりでしたが、医師からの指導もあり腰を据えて休むことにしたんです。

最初はとにかく寝て、心身が少し回復して余裕が出てきた頃にこれまで「好きだったけれど、できなかったこと」に少しずつ手を伸ばせるようになりました。

マンガをたくさん読んだり、映画を見たり、似顔絵教室に通ったり、主治医にも相談してバイクの運転免許を取ったり……本当にいろいろなことを試してみたんです。昔、マンガ家になりたいと思っていたこともあって、友人を誘ってマンガ制作にも挑戦しました。

あとは実家で過ごすことも多く、犬の散歩をしたり、母と何気ないおしゃべりをしたり、今抱えている不安をぽつぽつと話したりしていました。実家にいた時はそれぞれ受験や介護で忙しかったので、ゆっくり親との時間を持てたのがとても久しぶりだったんです。今思うと本当に貴重な時間でした。

そうした時間を通して感じたのは「自分の世界が一つしかないと、人は折れやすい」ということです。

もちろん、社会から置いていかれるような不安がなかったわけではありません。でも、会社で評価される自分や、社会の中で役に立つ自分といった軸だけで生きていると、そこが崩れたときに立っていられなくなる。

休職中は、競争からいったん離れて「誰かに評価されるためではない自分」と向き合う時間だった気がします。

こういう時間は、きっと誰しも人生のどこかで必要になるタイミングがあるんじゃないかなと。私にとっては、それが休職という形で強制的に訪れたのかもしれません。

仕事復帰への不安は大きかったけれど「絵を描くこと」が心の支えに

仕事復帰への不安は大きかったけれど「絵を描くこと」が心の支えに

💡POINT
  • マンガ制作やOG訪問で自信が持て復職へ踏み出すきっかけに
  • 復職後は慣れない仕事に焦りもあったが「好きなこと」に支えられた
  • 「人に喜んでもらえている」という実感が大きな力になる
2年の休職を経て復職を決めたきっかけは何でしたか?

はるか:直接的なきっかけは、ドクターストップが解除されたことでした。主治医が異動で変わり、新しい先生に診てもらうようになってから治療方針も「少しずつチャレンジしてみよう」という方向に変わって。

とはいえ「よし、働こう」とすぐに勇気が出たわけではありませんが、休職中は、少しずつ気持ちが変化していたので「そろそろ社会復帰しよう」と思えるようになりました。

どう変化したんですか?

はるか:例えば、休職中に友人と描いたマンガを3本ほど投稿したんです。ついつい「私は何もできていない」と思いがちだけど、振り返ってみると、自分なりにちゃんと動いていたんですよね。

もう一つ大きかったのが、休職中にOG訪問を受けていた経験です。私自身、就活時に100人近くOB・OG訪問をしていて、就活はやり切った実感がありました。後輩の話を聞き、エントリーシートや面接の指導も重ねたところ、結果にもつながり「相談してよかったです」と言ってもらえたんです。

「必要とされる場所がある」「誰かの役に立てている」と感じられたことは、思っていた以上に大きな支えになったし、自信にもつながりました。だからこそ「復職してみよう」と一歩踏み出すことができたのだと思います。

実際に復職してみて、いかがでしたか?

はるか:正直に言うと、怖かったです。入社早々長期間休んでしまって、会社に申し訳なくて。でも、職場の人たちはみんな「おかえり」という空気で、必要以上に構えられることもなく、フラットに受け入れてくれたんです。それが本当にうれしかったですね。

復職にあたってランチ会のような場を開いてもらったり、部署が違う人たちまでが気にかけてくれたりもして。自分では「迷惑をかけた」と思っていたので、そうやって温かく迎えてもらえたことは本当に心の支えになりました。

仕事の内容についても私の体調に合わせた配慮があり、クライアントワークではなく、残業の少ないバックオフィス寄りの事務作業が中心になりました。

ただ、細かく正確な作業が苦手だったため、できなくてくじけそうになったり、周囲と比べて不安になったりする場面もたくさんありました。

そういった不安に、どう向き合いましたか。

はるか:大きな支えになったのが「絵を描くこと」でした。

会社の送別会用の似顔絵を頼まれるなど、仕事でもプライベートでも、絵を描く機会が自然と増えていったんです。できたものを周りの皆が喜んでくれてすごく励みになりましたし「どうしたらもっと喜んでもらえるかな」と創意工夫する時間も楽しかったですね。

もちろん前提として、本業のミスを減らせるよう少しずつ改善していましたが、絵をきっかけに周りの人も私のことを知ってくれて、仕事そのものもやりやすくなっていきました。



「ここにいると、すごく喜んでもらえるな」と感じられる場所や役割が一つでも見つかると、「苦手」や「できない」を乗り越える大きな力になります。

結局OG訪問も絵も、人の評価に委ねていると言われればそうかもしれないのですが、「これが好き」「これが得意」「これが喜ばれる」を集めると、少しずつ自信もついてきて。

そうしているうちに「仕事だけではなく、自分の好きなことや生活も大切にした方がバランスが取れるのでは」と思えるようになっていったんです。

自分の居場所を一つでも多く持ち、小さな「できた」を大切にする

自分の居場所を一つでも多く持ち、小さな「できた」を大切にする

💡POINT
  • 不調を感じたら、早めに「助けてほしい」と伝える
  • 自分が頼れる居場所を複数持つことが心のセーフティネットに
  • 小さくても自分が「できた」ことを積み重ねていくと自信につながる
メンタルの不調は、波のように繰り返しやってくることが多いと思います。ご自身の不調を感じたとき、現在ではどんなことを意識されていますか?

はるか:「思い切って休むことが大事」と言うのは簡単なんですが、実際にはなかなかうまく休めないことも多いですよね。その難しさは、今でも強く感じています。

私自身、休職を経験して学んだはずなのに、復職してからもつい「何でもできます」と抱え込んでしまい、限界まで溜め込んでから一気に爆発する……という癖が、正直まだあります。

だからこそ、今は「助けてください」と意識的に言うようにしています。

本当は「ここをこうしてほしい」と具体的にお願いできるのが理想なんですが、精神的にしんどいときは、そこまで考える余裕がありません。そんなときは無理に整えようとせず「すみません、今こういう状況で、どうすればよいか整理できていないのですが相談させてください」と、自分の状態を素直に伝えるようにしています。

もう一つ意識しているのが、生活リズムです。体調やメンタルが落ちてくるときって、振り返ると、だいたい生活の基本から崩れているなと感じていて。

正直、私は基本的な生活習慣を整えるのがすごく苦手です。でも、それをおろそかにすると本当に落ちるところまで落ちてしまう。そうならないために「寝る」「ご飯を食べる」といった基本的な生活を、意識的にやるようにしています。

実はインタビューを受けている今現在も、家庭のことなどが重なって落ちそうになっていますが、なんとか食べて寝るようにしていて、今まさにここで答えたことを自分に言い聞かせています。

生活の基本をきちんとする、というほかに、心のバランスを保つために大切にされていることはありますか?

はるか:そうですね、やはり「自分の居場所をたくさん持つこと」は、自分にとって大きなセーフティーネットになっています。

マンガを通じたつながり、バイクや旅の仲間、バレーボールを一緒に楽しむ友だち、学生時代からの友人、会社の人たち、家族。どれか一つの場所に全てを預けるのではなく、いろいろなところに少しずつ頼れる場所を分散させているイメージです。

そしてもう一つ大事にしているのは「自分でやりたいと思ったことを、実際にできた」という経験を積み重ねることです。

例えば仕事では、自分なりに「この研修は最後までやりきれたな」とか「頑張ったら、みんなが喜んでくれたな」と感じられる瞬間があったら、それを大切にしたい。

仕事以外の場面でも、同じような感覚があります。

行きたいと思ったら、訪れてみる。旅に出て、いつもとは違う世界に身を置き、少し開放的な自分で過ごしてみる。バイクで行きたい場所までたどり着けたことや、異国の地で買い物をする際に言葉や文化の違いの中でやり取りをして、友だちができたこと。

そうした「別の世界での奮闘」も、後から振り返ると、現実社会につながる大きな自信になっているんだと思います。

学ぶことで「現状の自分」を肯定できるようになった

心理学部で学び、以前よりも「現状の自分」を肯定できるようになった

💡POINT
  • 自分と同じように苦しんでいる人の力になりたいという思いで心理学部へ
  • 理想とのギャップに悩む中で「今の自分を認める」という視点を学んだ
32歳の時には、通信大学の心理学部に入学されたそうですね。

はるか:以前から、他人から評価されないと満たされないとか、そもそも自分のことをうまく大事にできていないんじゃないか、といった悩みがずっとあって。「どうして自分ってこうなんだろう」と考え続けていたんです。

そんな中で、これはエゴかもしれませんが……「自分と同じように悩んでいる人たちの力になるようなことに、この先エネルギーを注いでみたい」という思いが生まれ、それを実現するための選択肢として、2度目の大学入学、心理学部への進学を決めました。

そこで学んだのが「今の自分を認める」という考え方です。

それははるかさんにとって、どんな気付きにつながったのでしょう?

はるか:私はこれまで「もっとこうあるべき」「このままじゃだめだ」と高過ぎる理想像を掲げてしまっていて、そのギャップに苦しんでいたんだと気付きました。

大切なのは、理想に向かって一気に飛ぼうとするのではなく、まずは現状をちゃんと見て、受け止める。そして劇的な変化を求めるのではなく、できることを少しずつ積み重ねていくこと。とても地道なプロセスですが、前に進むためにはそれしかないんだなと。

これは授業だけでなく、授業で知り合った臨床心理士の先生の元に赴いて、発達障害について学んだり、カウンセリングを受けたりする中で、実感したことです。

この考え方は、マンガを描くこととも重なっていると感じます。マンガ家という仕事は、ある意味で「地道さの究極」だと思うんです。一朝一夕で面白い作品が生まれて、突然バズる、ということはなかなかない。実際、私自身もマンガの書籍を出すまでに、2年間働きながら夜や週末にコツコツ描き続けていました。

心理学の学びは、そうした日々の積み重ねを「これでいいんだ」と肯定するきっかけをくれたように思います。

取材・文:はてな編集部

仕事と家事育児の両立をしながら生活も楽しみたい。育休復帰前に夫と相談して決めたこと

仕事と家事育児の両立をしながら生活も楽しみたい。育休復帰前に夫と相談して決めたこと

産休・育休からの復帰後は仕事と家事・育児を両立するため、日々の生活のバランスを見直さざるを得ないものです。

共働きで1児を育てているぴかさんは、もともと料理をしたりカフェに出かけたり、自分の生活や趣味を楽しむことを大切に暮らしてきました。

しかし子どもが生まれたことで生活は大きく変化。夫と話し合いを重ね、義実家の近くに引っ越しお迎えなどのサポートを受けたり、時短家電を取り入れたりするなど、周囲や道具を「頼る」ことで日々のリズムを整えてきたそうです。

***

メーカーで働く会社員のぴかです。2024年夏に出産して一児の母になり、産休・育休を経て2025年8月から仕事復帰しています。

産後は育児に追われてそれまでの生活リズムが大きく変わり「ここから仕事復帰して、本当に生活が回るのだろうか……」とかなり不安な気持ちになりました。

しかし復帰して半年ほどたって振り返ってみると、なんとなく日々のリズムができてきて、時間がないながらも生活は回るようになってきた気がします。

まだまだ試行錯誤の日々ですが、今回はそんな中でも私たち家族が「取り組んで良かったな」と思うことを、仕事面・家庭面に分けてお話しできればと思います。

環境が大きく変わる中で周囲に「頼る」ことを意識

💡POINT
  • 義実家近くに引っ越し、育児のサポートを受けることに
  • 職場が遠くなるため、勤務地が違う部署への異動を相談
  • 夫婦で早めに話し合うことで産後も働きやすい環境を整えられた


育休明けから勤務地の変更と部署異動をしたので、産前とは仕事の状況が大きく変わりました。背景としては、育休中の2024年春に家を購入して引っ越したためです。

夫婦で相談し「義実家からの育児サポート」を優先

子どもが生まれることが分かってから「産後、家の場所と仕事をどうするか」という問題について夫婦で腰を据えて話し合いました。

復帰後の家事育児分担、日々の生活と仕事のスケジュールにも大きく関わってくる要素なので、さまざまなパターンを十分に検討しました。その結果、日頃の育児や生活のサポートを受けやすいことを優先して「義実家の近く」で家を探すことに。するとわたしは職場が遠くなるので「何らかの方法で勤務地を変える」という方向でまとまりました。

この決断ができたのは、結婚前後から月に数回ほど義実家でごはんを食べさせてもらうなど定期的な交流があり、ポジティブな印象を持っていたことと、義父母からも「子どもが産まれたらできるだけ協力する」と言ってもらえたことが大きかったです。

とはいえ私の立場だと、どうしても気を使う場面はあります。そこで「義実家への相談が必要な場合は基本的に夫が窓口になる」など私の心理的負担を軽減してもらう約束で、この方向に落ち着きました。

「どうしてもこの会社で働きたい」気持ちを伝え、部署異動がかなう

仕事に関しては、当初は転職の方向で考えていました。

というのも、わたしの会社にはいくつか勤務地がありますが、社内に異動希望を出せる制度がありません。妊娠初期に一度人事に相談してみたもののやはり難しかったので、このままでは仕事と生活が両立できないと判断し、転職活動を進めていました。

ただ、どうしても今の会社が人間関係も含めて好きで、辞めたくない気持ちが強くありました。そこでダメ元で「勤務地の都合で転職しようと思っている。でも本当はこの会社で働き続けたいので、勤務地が違う部署へ異動できないか」という具体的な相談をあらためて上司にしました。

その結果、上司から他部署に働きかけてもらえ、異動の方向で進めてもらえることに。

「早い段階で夫婦で話し合う」が功を奏した

そんな経緯で、復帰後は新しい部署で時短勤務をしています。

平日は、子どもを保育園に送ってから時短で出社。お迎えは義母にお願いしているので、わたしは仕事帰りに義実家まで子どもを迎えにいってから帰宅し、晩ご飯〜お風呂〜寝かしつけの流れで過ごしています。

延長保育を使う選択肢もあるのですが、義父母にお迎えをしてもらえることで、退勤後の心の余裕が違うなと強く感じています。

また、風邪の初期段階や終わりがけなど「保育園も行けそうだけど、もう少しだけ休めると一番いいのになあ」という微妙なタイミングで子どもを義実家で預かってもらうこともあり、心理的な面でも、有給の残数を気にしなくていいという面でもとても心強いです。

義実家の近くに住むことでのデメリットもよく耳にするので当初は迷いや不安もありましたが、私たち家族にとってはとてもメリットが大きい選択だったとあらためて感じています。

仕事に関しては部署異動により新たに覚え直すことばかりで大変さはありますが、新卒からのよく知っている環境であり、会社の雰囲気も自分に合っているので、前向きに取り組めています。

異動という選択ができたこと、そして、義実家に頼れる環境になったこと。わたしが産後仕事をするにあたっての環境を整えられたのは、夫と早い段階で話し合ったからこそだと思います。

家事育児をこなすため夫婦の分担を見直し、時短家電を導入

💡POINT
  • 復帰前に家事のタスクを洗い出して夫婦間の分担を見直し
  • 時短家電で日々の負担を減らしつつ、料理を楽しむ工夫も


そして家庭面について。今までの生活に育児が加わったことで、日々の時間の使い方はかなり難しくなりました。

育休中、私に偏っていた家事分担を見直した

子どもが生まれたことで洗濯物や洗い物の量は倍以上になったし、オムツなど日用品の買い足し、離乳食の準備、子ども服の管理など、単純に増えた家事もたくさん。

育休中ですら常に頭の中はタスクでいっぱいの状況だったので、仕事復帰したらもっと時間がタイトになるだろうなというのは、想像に難くありません。復帰後も家庭を回していくためには、家事分担の見直しと時短家電の活用が必須でした。

ある日の寝かしつけ後。あまりにぐちゃぐちゃなのでぼかしてます……
ある日の寝かしつけ後。あまりにぐちゃぐちゃなのでぼかしてます……

産前は夫婦である程度家事を分担できていましたが、育休中は私がずっと家にいたため、自然と家事負担が大きく偏っていました。そのため仕事復帰にあたって、まずは家事の分担を見直しました。

まずやったのは、今ある家事を全て洗い出して家事分担アプリに入力し「お互いの担当した家事」が分かるようにすること。

家事共有アプリ「CAJICO」で可視化した様子
家事共有アプリ「CAJICO」で可視化した様子

1カ月ほど続けて、毎日どのようなタスクをどのようなリズムでこなしていくかについて可視化して夫婦で認識を合わせられたのはすごく大きかったなと思います。

例えば「最低限これはやらなきゃ」という共通認識があるタスクについて、相手の手が回っていなければ担当じゃなくても自主的に拾うようになりました。ただし自主的に拾うのは、保育園準備やゴミ出しの準備など「本当にその日に必要な家事」に限定しています。

気付いた方がタスクを拾う運用だとどうしても気付きやすい方に負担が偏りがちですが、今のやり方ならタスクを拾う方の負担感も強くなく、なんとか日常が回せているのかなと感じています。

アプリでお互いの家事量が可視化された状態で1カ月過ごして担当家事を定着させたのは、分担がなあなあにならないために良い取り組みだったとあらためて感じるし、相手へのお願いごともスムーズになった気がします。

時短家電を取り入れつつ「生活を楽しむ」視点も大切に

そして引っ越しを機に、食洗機、乾太くん(ガス衣類乾燥機)、ホットクックの3つの時短家電を導入しました。

当たり前ではありますが「これまでその家事に使っていた時間」を短縮してかわりに別のことができるのは、時短家電の大きなメリットだなと実感しています。

ホットクック

ただ、ホットクックを導入することだけは、かなり迷いがありました。

というのも、わたしは結婚前から料理が好きで、家事の中ではタスクというより「息抜き」のポジションだったんです。献立を決めて、無心で作って、好きなお皿に盛り付ける過程を楽しんでいたんですよね。

でもホットクックをメインで使っていくとなると、これまで積み重ねてきたお気に入りのレシピや献立の組み合わせが使えなくなってしまう。そういう意味で、この先料理を自分の中でどう位置付けるか、という問題に直面しました。

ただいくら好きとは言っても、育児の隙間時間に急いで料理することに疲れてきていたのも事実。そこで、思い切って「好きな料理を作ることと、毎日の生活のために料理することは分けて考えよう」と割り切ることにしました。

いろいろと悩んで導入したホットクックですが、帰宅後に準備していた食材を冷蔵庫から出してスイッチを押すだけで晩ご飯が完成する、さらにその間に子どものご飯の準備・見守りができるというのはびっくりするほど便利です。今は、導入する決断をして本当に良かったと思っています。

また「料理は割り切る」と決めたものの、週末は子どもを夫に見てもらって好きな料理を作ってみたり、今まで作っていたレシピでホットクックで作れるものがないかチャレンジしてみたり、制限がある中でも料理を楽しむため、いろいろ試行錯誤はしています。

平日の晩ご飯。ホットクックで作ったメインと温泉卵、スープは基本インスタントです
平日の晩ご飯。ホットクックで作ったメインと温泉卵、スープは基本インスタントです

「好きなこと」をできる範囲で楽しむ

復帰してから半年、始めは夜のタスクが多過ぎて生活が回らず「こんな状態でこれからずっとやっていけるのだろうか……」と弱気になったりもしました。

でも、そんな時に一人でタスクを抱え込むのではなく、夫とお互いの分担についてすり合わせし、少しずつ最適化できたのが良かったなと思います。

すり合わせのコツは、しんどい気持ちのまま「こうしてほしい!」をぶつけるのではなく、「これが大変なんだけどどうしたらいいかな?」と相談ベースで話をすること。

そして制限がある中で、私と夫、それぞれの「好きなこと」をできる範囲で大事にする気持ちも忘れないようにしています。

例えば、夫が1回飲み会に行ったら、その分わたしは喫茶店のモーニングに1回行ったり。がまんするだけではなく、お互いに納得感のある方法はないか、引き続き試行錯誤しています。

もちろん、これまでよりも時間の制約が大きい分、どうしてもいろいろな場面で理想と現実のギャップが生じてしまいます。だからこそ、時短家電に任せるなどの割り切る部分を決めてハードルを高く設定し過ぎないことも、精神衛生上は大切だなと感じました。

育児も仕事も、これから長く続いていきます。仕事と家のこと、自分の好きなことのバランスを取って、自分たちなりに持続可能なペースを見つけていきたいです。

著者:ぴか

ぴかさん

自分の家が大好きな、夫と1歳と3人暮らしの会社員です。
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小1の壁で在宅ワークの会社に転職 仕事と育児の両立にフルリモートが有効な理由

仕事と育児の両立にフルリモートが有効な理由

多くの共働き家庭にとって、不安の種になりがちな「小1の壁」。小学校入学を控えた子どもを育てる中で「今の働き方で本当にやっていけるのかな?」と悩む方は多いのではないでしょうか。

現在IT企業で働きながら2児を育てるMarthaさんも、長男の小学校入学を前に働き方を見直した一人。「仕事も育児も諦めたくない」という思いから、2年前にフルリモートの会社に転職しました。

実際に働いてみて感じているリモートワークの「メリット」「デメリット」を綴っていただきます。

「小1の壁」を見据えて決意した、キャリアの再構築

💡POINT
  • 「フルリモート」を条件に転職
  • きっかけは「出社回帰の波」と長男の「小1の壁」
  • 40代を前に新しい職域に挑戦したい気持ちもあった


ワーママになって6年。長男の小学校入学を翌年の4月に控えた年に、フルリモート・フルフレックスの会社に転職しました。

きっかけは、感染症対策が落ち着いた頃から広まり始めた「出社回帰」の波。当時、私も夫もリモートワークが中心でしたが、夫の会社は出社回数が増加。私の職場でも「出社メインに戻るかも」というウワサが聞こえ始めていました。

そんな中、控えていたのが長男の小学校入学。小学校は保育園以上に親のサポートが必要になると聞いていましたし、夏休みや冬休みなどの長期休暇も強敵です。

「リモートワークの今でさえ毎日バタバタなのに、子どもが小学生になって、さらに出社が増えたらどうなっちゃうんだろう……?」

そんな不安が脳裏をよぎり、これまでどこか他人事のように感じていた「小1の壁」が、現実味を持って目の前に立ちはだかったのです。

さらにその頃、40代を目前にして、自分の将来やキャリアにも不安を感じていました。年齢的にもタイミング的にも、今が変化のチャンスなのかもしれないーー そんな思いから、「フルリモート」という条件を軸に、新たな職域へのチャレンジも視野に転職活動をスタートしました。

ただ、「フルリモート」という条件自体が狭き門になりつつある中で、さらに「やりたい仕事」を掛け合わせると選択肢は一気に絞られます。

結果的に、納得できる縁にめぐり合うまで半年ほどかかりましたが、自分の価値観を見つめ直したこの期間は、今振り返ると私にとって必要な時間だったと感じています。

フルリモートワークがもたらした最大のメリットは「心の余裕」

新しい職場でのスタートは12月。前任者からの引き継ぎと未経験職種への挑戦、さらに子どもの小学校入学の準備や卒園式が重なり、入社当初は息つく暇もありませんでした。

そんな慌ただしい始まりから2年。今でも相変わらずバタバタな毎日ですが、それでも「フルリモートワークを選んでよかったな」と感じる場面は多々あります。

ここからは、仕事と育児を両立する中で感じた「リモートワークのメリット」を5つ紹介します。

仕事と育児の両立にフルリモートが有効な理由

【1】子どもの「見送り」と「お迎え」に丁寧に向き合える

朝は「いってらっしゃい」と見送り、帰宅したときには「おかえり」と出迎える。そんな小さな積み重ねですが、まだまだ甘えたい盛りのわが子にとって、親が家にいる安心感はきっといい影響を与えているはずだと信じています。

特に恩恵を感じたのは、入学式前から学童に通っていた時期。地域にもよりますが、多くの共働き家庭の新一年生は、入学式を待たずして未知の場所である学童に通い始めます。つい先週まで長年保育園に通っていた子にとってなかなかのハードルです。

わが家も、慣れるまでは毎朝一緒に登校し、お迎えにも行きました。朝の時間を子どもに寄り添うために使えたことで、不安定になりがちな「環境の変化」をサポートできたと思っています。

仕事と育児の両立にフルリモートが有効な理由
まだ初々しい1年生の後ろ姿。毎日ドキドキしながら見送っていました

【2】急病やケガに即座に対応できる

子どものトラブルに即座に駆けつけられることは、大きな安心感につながっています。

恐怖の学校からの“呼び出し”も、最短10分で駆けつけられます。もちろん仕事の調整や周囲への依頼は欠かせませんが、本当にありがたい環境です。

また、学級閉鎖や「登校はできないけれど元気」という場合も、自宅看護をしながら仕事を続けられるため、長引く感染症で有給が消滅する……という事態も避けられています。

【3】小学校の煩雑なスケジュールへの対応

ウワサには聞いていたものの、個人面談、PTA活動、授業参観など、小学校の行事って本当に平日の日中に多いんですよね……。

私の会社は「フレックス制度」があるため、有給を使わず「中抜け」で対応しています。通勤が不要なリモートワークだからこそ、用事のあと家に帰ってすぐ仕事に戻れるのも助かっています。

【4】「フルタイム」という選択肢が現実的に

出社が前提の会社だったら「時短勤務」を選択せざるを得なかったかもしれませんが、リモートの会社なら通勤時間をそのまま勤務に充てることで、「フルタイム」で働くことができます。

フルタイムで働けることで、転職先の選択肢が広がったのはもちろん、給与面のメリットも大きいと感じています。

【5】家事と自分時間の最適化

昼休みに洗濯物を取り込んだり、夕食の仕込みをしたり、犬の散歩に行ったり。仕事の合間に家事を“やっつける”ことができるため、帰宅後に溜まった家事を見て絶望せずに済んでいます。

また、出社が当たり前だった頃はオフィス向けの服や靴、メイクなどにかけていたコストや時間が、趣味や読書といったリフレッシュの時間に変わりました。趣味の手帳を書く時間も確保できて、心が満たされています!

リモートのデスク環境
自宅の作業環境。お気に入りの文具やグッズを並べると、モチベーションも上がります!

理想だけじゃない。直面したデメリットと対策

一方で、リモートワークならではの課題もあります。私なりの解決策もセットでお届けします。

仕事と育児の両立にフルリモートが有効な理由

【1】家事・育児負担が「リモートワーク側」に偏りやすい

家にいても仕事をしていることに変わりないのですが、日中の掃除や洗濯、急な学校対応などは、どうしても在宅している側に負担が偏ってしまいます。

「仕事の合間にできるでしょ?」と思われがちな家事の1つひとつが、実は業務の集中力を削いでいる……。夫婦間でのこの認識のズレが、少しずつストレスとして積み重なっていきます。

【対策】夫婦で事前に家事・育児の分担を再確認


わが家も試行錯誤中ですが、だからこそ強くおすすめしたいのが、事前の「話し合い」です。

転職するタイミングで、夫婦で「名もなき家事」を含めた分担を再確認してみてください。ポイントは、お互いが納得感を持てるまで共通認識をすり合わせること。

たとえ平日の家事負担がリモートワークする側に寄ったとしても「その分、休日はパートナーがメインで動く」といったルールが決まっていれば、不満は溜まりにくくなります。

お互いの目線を合わせておくことが、ストレスのない共働き生活の鍵となります。

【2】業務終了時間の区切りが曖昧になる

出社していれば「電車の時間」という強制終了の合図がありますが、自宅にはそれがありません。そのため「あと少しだけ……」「このタスクが終わったら……」と、つい仕事を引き延ばしてしまいがちです。

ワーママの夕方はまさに戦いの時間ですよね。お風呂にご飯、歯磨き、寝かしつけ……1分1秒でも早めたいはずなのに、ずるずると仕事を続けてしまってはそのあとのスケジュールがどんどん後ろ倒しに。

時間がないと心にも余裕がなくなり、結果的に子どもにイライラしてしまうという......。そんな「負のループ」に陥ることも。

【対策】スケジュールを見直し「必ず仕事を終わらせる時間」を決めておく


今は「18時には必ずPCを閉じる」という鉄のルールを決めています。夕方以降の大切な時間を、仕事に食い込ませないためです。

あわせておすすめしたいのが、「現在の1日の使い方」と「理想のスケジュール」などを書き出し、自分の状況を整理すること。「理想を実現するために何を優先すべきか」が驚くほど明確になります。

【3】職場でのリアルなコミュニケーションの欠如

オンライン中心の働き方では、業務で関わらないメンバーとは接点が少ないまま。名前と顔がなかなか一致しません。

また、雑談から生まれるアイデアや、ふとした瞬間のフォローが得にくいという側面もあります。

【対策】「コミュニケーションのためのツールや制度」があるか確認


私の職場ではオンラインでの雑談制度や部活動が活発で、私自身も積極的に参加しています。会社側が適切なツールや制度を整えていれば、フルリモートであっても豊かなコミュニケーションは十分に創出できると思います。

社内のオンライン部活動
オンライン部活動もあり、共通の趣味やテーマで交流を楽しんでいます。普段業務で関わることの少ないメンバーとのコミュニケーションができて嬉しいです!

そのため、面接の段階で「社内コミュニケーションにはどのようなツールを使っているか」「チームの雰囲気はどうか」を具体的に確認しておくことをおすすめします。

制度があるかどうかだけでなく、それが実際にどれくらい使われているのかまで聞いてみると、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

「仕事も育児も諦めたくない」を叶えてくれるリモートワーク

💡POINT
  • 大事なのは「最優先事項」を決めること
  • リモートワークは「仕事も育児も諦めたくない人」の味方
  • 「理想の働き方」は妥協せずに探し続けるもの


リモートワークには一定のデメリットもありますが、それでも「今の自分に合う働き方ができている」と感じています。

大切なのは「その時々の自分と家族にとって、何が一番心地よいのか」を考えること。今の私にとって「子どもに寄り添う時間」と「心の余裕」を確保することは何より譲れない最優先事項でした。

だからといって、リモートなら何でもいいわけではなく「自分のキャリアをないがしろにしたくない」という気持ちも強くありました。仕事も育児も、どちらも諦めたくない。そんな私にとって「リモートワーク」という選択肢は大きな救いであり、同時にチャンスでもありました。

子どもに寄り添いながら無理なく働ける環境を優先することは、決して甘えではないと思っています。

保育園の謝恩会の様子
保育園の謝恩会の様子。卒園準備と新しい仕事のキャッチアップの時期と被り、今振り返ればまさに怒涛の日々でした

もしこれを読んでいる方が、「小1の壁」など子育てと今の働き方の両立に不安を感じているのなら、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。

変化には勇気がいるし、決して楽なことばかりではありません。でも最初から諦めてしまうのはあまりにももったいない。

私もなかなかいい求人に出会えなかったり、不採用の通知が続いたり、不安だらけの転職活動でした。今も毎日育児に悩んでいますし、仕事との両立のハードさに挫折しそうになることも一度や二度ではありません。

それでも、あのとき勇気を出して新しい環境へ飛び込んで本当によかったと思っています。

ライフステージに合わせて「理想の働き方」を妥協せずに探し続ける。ちょっと大変だけど、その行動がきっと未来の自分と家族の笑顔に繋がっていくと信じています。

編集:はてな編集部

著者:Martha

Marthaプロフィール

1986年生まれ。個性強めな男児2人を育てるフルタイムワーママ。営業、営業企画、販促支援と、現場から裏方まで幅広く経験し、2023年にSaaS企業に転職。ほぼ未経験でコンテンツマーケティングの世界へ。仕事でもプライベートでも「タスク管理」が永遠のテーマ。趣味は手帳とカメラ。
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出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介 1泊でも2泊でも「服は着ていく分のみ」に

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

宿泊を伴う出張、荷物はなるべく最小限に減らしたい。しかし、PCや書類に加えて着替えやスキンケア用品、ヘアメイク用品などもありつい多くなりがちではありませんか。

何泊の出張でも「ホテルでの洗濯」を前提に衣類は「着ていく服」「部屋着」「替え用の下着・靴下1セット」だけで乗り切るというスタイリストのあきやあさみさんに、出張の荷物を減らすコツとパッキング術を教えていただきました。


こんにちは! 「選び抜いた少ない服で生きる」をモットーに活動しているスタイリストのあきやあさみです。

わたしはたびたび「宿泊ありの出張」があり、できる限り荷物をコンパクトにする方法を試行錯誤してきました。

「荷物を減らすことで機動力を上げ、仕事のためにパワーを温存したい!」と追求した結果、今では何泊の出張でもほとんど同じ量の荷物で動けるように。自分のことを“パッキングの達人”と思えるほどです。

今回は、そんなわたしが実践している「荷物を減らすコツ&パッキング術」をご紹介します。

1泊でも2泊でも3泊でもこの荷物量
1泊でも2泊でも3泊でもこの荷物量

【バッグの選び方】汚れても簡単に洗えるショルダーバッグがおすすめ

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

出張のとき、キャスター付きのキャリーケースを利用される方も多いと思いますが、わたしはPCや書類を入れる「メインバッグ」と、着替えや洗面用具などを入れる「サブバッグ」の2つを愛用。

キャリーケースは便利な一方で、移動しづらかったり場所を取ったりと機動力に欠けるため、より身軽に動き回れることを重視しています。

メインバッグの選び方

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出張中常に持ち歩くメインバッグはPCやA4サイズの書類がしっかり入る大きさのものを選びましょう。

わたしはファッション系の仕事なので個性を思いっきり出せるバッグを選んでいますが、出張中は取引先の方と会うことも多いと思いますので、機能性やデザイン性はもちろんのこと、業種や自身の役割に合わせて選ぶのがポイントです。

サブバッグの選び方

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着替えや洗面用具などを入れる「サブバッグ」は、ホテルやコインロッカーに預ける方も多いと思いますので、自身の好みに合わせて自由に選んでみましょう。

ただあまりサイズが大きくなり過ぎると飛行機の手荷物預けで時間を食ってしまったり、新幹線で荷物の置き場に困ったりしてしまうので、できるだけ小さいバッグだとベスト

また、地面に置いたり雨に濡れたりしてもいいように、汚れても気軽に洗える素材を選ぶのがポイントです。

わたしは機動性重視なので軽くて肩掛けができるショルダーバッグを愛用しています。

サブバッグ候補
サブバッグ候補①「CFCL」のショルダーバッグ。軽くて丈夫で見た目もおしゃれ。汚れが気にならず、丸洗いできます
サブバッグ候補
サブバッグ候補②「me ISSEY MIYAKE」のトランクプリーツバッグ。荷物が少ないときに活用。軽くて小さく折りたためる&洗えるので、機能性もバッチリ

【服の選び方】「ホテルで洗濯しやすい服」で荷物を減らす

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

荷物の中で一番かさばりやすいのが服です。そのため「荷物を減らす」なら「服を減らす」のが欠かせません。

わたしも以前はついつい服が多くなりがちで「こんなに必要なかったな……」と反省することも。

できるだけ服を減らそうと試行錯誤した結果、今は「夜にホテルで洗濯して、翌朝また同じ服を着る」として、何泊であっても「着て行く服」と「部屋着」「替え用の下着・靴下1セット」のみで出張するようになりました。

毎日同じ服を着るため、服選びは真剣勝負! 見た目だけでなく「洗いやすく・乾きやすく・シワになりにくい」といった素材も重視しています。

わたしはENFOLDのワンピースを愛用
わたしはENFOLDのワンピースを愛用

なかでもお気に入りは、きちんと感がありつつ扱いやすい「ポリエステル素材のワンピース」。洗ってもすぐ乾くほか、ポリエステル100%であれば縮みづらいので乾燥機もOKなものが多いです(もちろんダメージはありますし、洗濯表示の確認は必ず行ってくださいね)。

黒いポリエステル素材のワンピースはビジネスでもプライベートでも大活躍
黒いポリエステル素材のワンピースはビジネスでもプライベートでも大活躍

シャツ+パンツスタイル+ジャケット派の方には、ユニクロなど機能性が高いブランドのアイテムがおすすめ。洗濯でシワになりづらく、ケアが簡単なシリーズを展開しています。

特にユニクロの「感動ジャケット(こちら)GUの「ウォッシャブルジャケット(こちら)は、ジャケットなのに洗濯機で洗える優秀アイテムです。

【ホテルでの洗濯のコツ】乾き切らないときは「アイロン」を活用

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

ホテルで洗濯するにあたって、いくつかコツがあります。

まず大事なのは「共有部にコインランドリーがある」「部屋に洗濯機を備えている」宿泊先を探すこと。「ホテルにはないけどコインランドリーが近くにある」という場合もありますが、出張先で洗濯する手間を極力減らすには、ホテル内にあるのがベスト。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

ホテルにもよりますが、1回の利用料金は300円〜700円ほど。洗濯機と乾燥機が分かれている場合もあります。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

洗濯用洗剤が別売りのホテルもあるので、わたしは小分けの洗剤を持参しています。

ポリエステル100%など縮みづらく、シワになりづらい素材であれば、わたしはえいやっと乾燥までかけてしまいますが、ホテルは空調の関係でけっこう乾燥していることが多いので、脱水してハンガーにかけておくだけで翌朝にはパリッと乾きます。

もし乾き切らなかった場合は、低温でざっくりとアイロンをかけてみてください。シャツは襟と袖だけでもしっかりプレスしておけばきちんとして見えますし、洗濯機不可なスーツ類のシワもアイロンのスチーム機能を使えば取ることができます。

アイロン掛けが可能な素材か表示を確認しておきましょう!
アイロン掛けが可能な素材か表示を確認しておきましょう!

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

客室には洋服用のブラシや衣服用の消臭スプレーが置いてあることも。これらを使うだけでも結構きれいになるので、どんどん活用していきましょう!

ジャケットなどシワになりやすい服は、ホテルに着いたらすぐに脱いでハンガーに掛けるのもポイントです。

また、出張用に買った服がどれくらいシワになるか、乾燥機を掛けてもOKそうか、アイロンでシワが取れそうかなどは一度洗濯してみないと分からないので、自宅で一度“予行演習”しておくと安心です。

もう一つ大切なのが、いざ洗濯するとき「着る服がない!」なんてことにならないよう、軽くて動きやすい“部屋着”を1セット用意しておくと安心です。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

ホテルに備え付けの館内着(ナイトウェア)は部屋の外に着ていけないケースがほとんどなので(OKでもわたしは少し恥ずかしいので……)いつもパッキングしやすい薄いTシャツと、短パンを持参しています。

客室内に全自動洗濯機があるホテルであれば、持っていかなくても館内着で十分ですね◎

【下着・靴下】バスタオルで脱水すると乾きやすい

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

一つひとつはコンパクトな下着・靴下も、たくさん持って行くと意外とかさばるので、わたしは1セットだけ「替え」を持っていきホテルで洗濯しています。

下着や靴下は繊細な素材なものが多いので、もしホテルでも手洗いしたい場合は、洗面台や浴槽で洗ったあと、少し強めに絞り、バスタオルで挟んで上から踏んで脱水します(ブラジャーは形が崩れないように注意)。

ハンガーにかけて空調の風が届く場所に干せば、だいたいのものは翌朝にはパキッと乾くと思います。

うっかり洗濯設備がないホテルに泊まった場合、服も同じ手順で手洗いすれば意外と何とかなったりします。

バスタオルが足りないときはフロントにお願いすると多めに貸してもらえます
バスタオルが足りないときはフロントにお願いすると多めに貸してもらえます

ただ、冬物の分厚い靴下や服は乾きにくいので要注意。最近はいろんなメーカーから薄手の防寒アイテムが発売されているので、そういったものを活用するのもおすすめです。

【スキンケア・メイク道具】ジップ袋やクリップが役に立つ

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

わたしは「荷物を減らしたい!」と思いつつ、ヘアメイク用品には「これじゃなきゃ嫌だ」というこだわりがあるので、あえて使い慣れたものを持っていくようにしています。

出張中はそれでなくとも「いつもと違う環境」でストレスがかかりがち。そのため「かさばってもこれはもっていきたい」というこだわりは大切にしています。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

いつも持っていくコスメはこちら。また、洗面所の鏡だと照明が暗いことも多いので、自然光が入る明るいところでメイクができるように、軽くて大きめのミラーも必ず持って行きます。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

コスメ類はかさばる分、かわいいポーチを使いたい気持ちは抑えて100円ショップの「ジップ袋」を活用。これでポーチ分のスペースを削減できます。

ダイソーで購入した「厚手チャック袋B6サイズ」。文房具コーナーに売っています
ダイソーで購入した「厚手チャック袋B6サイズ」。文房具コーナーに売っています

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

いつも重くて邪魔だなと思いつつ、旅先でヘアスタイルが決まらないと嫌なので、1泊旅行でも使い慣れたヘアアイロンを必ず持っていきます。

ヘアケアやスキンケアは旅行用の「使い切りパック」や、貯めておいた「サンプル」を持参。

ただサンプルはわたしが1回に使う量より多めに入っていることが多く、余るのがもったいないので、「事務用のクリップ」を持って行きます。クリップで止めて2回に分けて使うと、朝晩にちょうどよく使い切れます。

ヘアケアセット。特にヘアオイルは漏れやすいので、チャック付きの袋が安心です
ヘアケアセット。特にヘアオイルは漏れやすいので、チャック付きの袋が安心です
スキンケアセット
スキンケアセット
クリップも一緒に持っていくと2回に分けて使えて便利
クリップも一緒に持っていくと2回に分けて使えて便利

【その他】出張の快適さをUPするアイテム

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

出張を快適にするために、わたしが「必ず持っていくもの」があるのでご紹介します!

アクセサリー

服は同じでもアクセサリーを変えるだけで印象がガラッと変わるほか、顔周りが明るく見えるので気分もUPします。

ネックレスやイヤリング、ヘアアクセサリーを何種類か持っていき、打ち合わせや会食の雰囲気に合わせて付け替えるのもおすすめ。

打ち合わせではシンプルなアクセサリー、会食の際は華やかなイヤリングや指輪をプラスしても◎持ち運びには小さめの空き箱を使うと安心です
打ち合わせではシンプルなアクセサリー、会食の際は華やかなイヤリングや指輪をプラスしても◎持ち運びには小さめの空き箱を使うと安心です
ヘアアクセサリーが変わると印象や気分が変わります
ヘアアクセサリーが変わると印象や気分が変わります

出張中は意外と歩くことが多いほか、突然の雨に備えて“見た目のきちんと感”と“機能性”の両立がポイントです。

最近は合皮のクオリティが上がっているほか、エナメル(パテントレザー)やガラスレザーなど樹脂コーティングされた革素材の靴も豊富にあります。こういった素材は水が浸透しないので雨に強いです。

また「どうしても革靴でないと」という場合も、レザーソール(革底)ではなく、ラバーソール(ゴム底)のタイプを選べばたくさん歩いても疲れにくく、底から水が浸みこみにくいのでおすすめ。

愛用している「TOGA VIRILIS」のドレスシューズはソールに「ビブラム」のラバー素材を用いているため、ちょっとの雨でも大丈夫。メンテナンスしながらもう6年ほど履いています
愛用している「TOGA VIRILIS」のドレスシューズはソールに「ビブラム」のラバー素材を用いているため、ちょっとの雨でも大丈夫。メンテナンスしながらもう6年ほど履いています

ただ、どんな素材の靴も濡れたまま放置すると劣化してしまうため、濡れたら拭き取るなどアフターケアを心がけましょう。

晴雨兼用の折りたたみ傘

出張中の暑さ・日焼け対策と雨の対策に欠かせない存在。軽めでコンパクトなものをバッグに忍ばせておけば持ち運びしやすく、急な天候変化にもスマートに対応できます。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

パッキングの写真を撮って、忘れ物を予防する

💡POINT
  • 荷物の写真を撮影しておき「自分の持ち物リスト」を作る
  • 振り返りをすればパッキングはどんどん上手になる


最後におすすめしたいのが「パッキングが終わったらor出張から帰ってきたら荷物の写真を撮っておく」こと。

写真そのものが自分専用の「旅の持ち物リスト」になり、次回の出張の準備がスムーズになるほか、忘れ物予防にもなります。

また「これは要らなかったな」「次はこれを持っていこう」と振り返りもできるので、どんどんパッキングが上手になります。

出張の荷物を減らすパッキング術をスタイリストが紹介

ちょっとした工夫で、出張をもっと快適でストレスフリーなものに。ぜひ自分にぴったりの“軽やかな出張スタイル”を見つけてみてください。一緒に“パッキングの達人”を目指していきましょう!


編集:はてな編集部

著者:あきやあさみ

あきやあさみプロフィール

1985年東京生まれ東京育ち。ファッションを「制服化」して1年3セットの服だけで生きる「制服化スタイリスト」。著書に『自問自答ファッション制服化スタイリストが教える自分らしく生きるヒント(朝日新聞出版)』『一年3セットの服で生きる(幻冬舎)』『「一セットの服」で自分を好きになる(幻冬舎)』がある。
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事務職に向いている性格って? 子育て中・未経験でも挑戦しやすい理由をワーママが紹介

事務職に向いている性格って? 子育て中・未経験でも挑戦しやすい理由をワーママが紹介


事務職として長年働いているひろみさんは、事務という職種について「未経験でもチャレンジしやすい」「子育てと両立しやすい」「転職に有利」など、非常にメリットが多いと感じているそう。

事務職で自分らしい働き方をかなえるヒントについて、自身の経験からつづっていただきました。

***

私は現在、フルリモートの事務職に就いています。契約社員を本業としつつ、副業として複数の企業で業務委託としても働いています。

これまで結婚・出産を経て、家庭や子育てと仕事の両立に悩む中で「自分らしく働ける形」を探してたどり着いたのが今の働き方です。

「フルリモートで事務職」という働き方が実現するまでは、うまく両立できない自分を追い詰めてしまった時期もありました。

でも今は、子どもが登校するときには「いってらっしゃい」、帰ってきたときには「おかえりなさい」と声をかけ、 ご飯やおやつを食べながら今日あったことをゆっくり聞くような時間を持てるようになりました。

ここにたどり着くまでには遠回りもありましたが、事務職という仕事の柔軟さが、今の働き方を支えてくれていると感じます。

家庭と両立できる柔軟な働き方を求めて、事務職のスキルを身に付けた

💡POINT
  • 以前の職場は通勤時間が長く、家庭との両立が難しかった
  • フルリモートで働ける求人に応募できるように事務のスキルを磨いた
  • 2年の実務経験を経て念願のフルリモート事務職に


初めて就職したのは社労士事務所。その後、結婚を機に大手食品会社の営業部門にフルタイムのパートとして転職しました。

当時はExcelすらほぼ触ったことがなかったのですが、同じ部署のメンバーには事務作業が苦手な人が多く、「私がやらねば」と基本的な事務スキルを身に付けメンバーをサポートするようになりました。

子どもが生まれてからもしばらく同じ職場で働いていましたが、念願かなって手に入れた持ち家からの通勤時間は片道2時間。帰宅後は家事や育児に追われ、夕食・お風呂・寝かしつけでギリギリの毎日を送っていました。

子どもとゆっくり過ごす時間はなく、保育園で熱を出してもすぐに迎えに行くことすらできない。寝顔を見ながら「私、何のために働いているんだろう……」と感じる日々が続きました。

家庭と両立できる柔軟な働き方を求めて、事務職のスキルを身に付けた

そこで思い切って「もっと家族に寄り添える働き方をしたい」と決意。8年勤めた会社を退職し、リモートワーク中心の求人を探しました。

しかし当時は今ほどフルリモートの選択肢が多くない上、スキルや雇用形態の要件が合わず、何度もくじけそうになりました。

「それなら働きながら、フルリモート求人に応募できる人材になろう」と発想を切り替え、まずはフルリモート求人でよく求められるスキルを身に付けようと考えました。そこで注目したのが、どんな業界でも必要とされる「事務」のスキル。

前職で事務職のような仕事はしていたものの、きちんとスキルを学び、身に付けたわけではありません。

前職のつながりや直接企業に声を掛けるなどし、実務経験を積めそうな職場を見つけて2年働き、そこでの経験を生かして念願のフルリモートの仕事に就くことができました。

最初は不安だらけでしたが、あのとき勇気を出して一歩を踏み出して本当によかったと思っています。

事務職のメリット・デメリット

💡POINT
  • あらゆる業界で役立つスキルが身に付き、子育てへの理解が得やすい
  • 求人数は低い傾向があるため、スキルを磨いてチャンスを狙う


事務の仕事に関わるようになって約16年、事務職を専門とするようになって約6年たちますが、家庭や子育てとも両立しやすく、転職にも有利な職種だと感じています。

私が思う事務職のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

【業界を問わず通用するスキルが身に付く】

ExcelやGoogle スプレッドシートの操作、メール対応、資料作成などの作業は、業界を問わず多くの会社で必要とされます。一度身に付ければ、転職や再就職の選択肢がぐっと広がります。

【年収アップにつながる】

私自身、20代の頃は年収が多くなかったのですが、事務職で経験を積むうちに、40代の今、当時の2倍以上まで上がりました。 経験が評価され、成果に応じた報酬を得られている実感があります。

【子育てとの両立がしやすい】

家事・育児で何かとバタバタする毎日なので、体力的な負担が少ないデスクワークなのもうれしいところ。

また事務職には同じように子育て中の方が多く、子どもの体調不良などにも理解を得やすいと感じます。同じ境遇の仲間同士、支え合える雰囲気のある職場も多いです。

【リモートワークの選択肢が増えている】

私が事務職を目指し始めた当時に比べ、圧倒的にリモートワークの選択肢が増えたと感じます。

私自身、通勤がなくなったことで家事や育児に取り組むゆとりが生まれ、家族との時間を取り戻すことができました。

デメリット

【チャンスをつかむにはスキルの積み上げが必要】

一般事務の2025年8月時点の有効求人倍率は0.3倍程度となっており、近年、事務職の求人数は低い傾向(※1)にあります。

ただ私の転職経験からいえるのは、どの業界でも“事務職の専門知識”がある人が求められているということです。

こう書くと「未経験者にはハードルが高そう」と思われそうですが、どの業種、どの会社にも必要な職種なため、たとえ小さくとも探せば「入口」はあると感じています。

大事なのは、そのあとに事務としての専門知識がどれくらい身に付けられるかどうか。少しずつでもスキルを磨いていけば、将来のチャンスは必ず広がるといえるでしょう。

(※1)厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年8月分)」参考統計表より。(詳細)

事務職に向いているのはどんな人?

💡POINT
  • コツコツと作業に取り組める人に向いている
  • 周囲への配慮や柔軟さもポイント
  • 最初はできなくても、学ぶ姿勢を見せることが大切


私自身の経験から、以下のような点を得意とする人は事務職に向いていると思います。

  • コツコツと地道に作業できる人
    • 事務職は、正確さと継続力が信頼につながる
  • Excel・Wordなどの基本操作ができる人
    • 職場には「文字入力はできるが関数や書式設定などは苦手」という人も多く、それらの基本操作を理解しているだけで即戦力になれる
  • 変化に柔軟に対応できる人
    • 日常的に追加の要望やルール変更などがある中、それらを前向きに吸収し変化に適応できる人ほど評価が高くなりやすい
  • 相手の立場に立って行動できる人(気配り・連絡の丁寧さ)
    • 社内外とのやり取りが多い職種のため、丁寧な対応や先回りの気配りが「安心して任せられる人」という評価につながる
  • 新しいことを学ぶ意欲がある人
    • AIやクラウドなど新しい仕組みが増える中で「まず触ってみる」姿勢が成長と改善の鍵になる

ただし、最初から完璧でなくて大丈夫。最初はできなくても「学ぼうとする姿勢」を見せることで、きっとその先、あなた自身のスキルアップや周囲からの評価につながるはずです。

事務職は“自分らしい働き方”をかなえる入口

事務職は未経験からでも、資格がなくてもチャレンジしやすい仕事です。私の周りでも、販売職・レジ職・飲食サービス業など別の職種から事務職に転向した女性がたくさんいます。

事務職は“自分らしい働き方”をかなえる入口

経験者が多い職場では気後れしてしまうこともあるかもしれませんが、事務職は未経験からスタートした人が多い職種。だからこそ「最初はみんな同じだったよ」と声をかけてもらえるような、支え合いの文化があります。

私自身も最初は何度も「ごめん、まだ覚えられなくて」と正直に伝えながら、できることを少しずつ増やしました。その姿勢を評価してもらえたとき「続けてよかった」と心から思いました。

さらに家庭の状況に合わせて、時短勤務・在宅勤務・派遣など、働き方を柔軟に選ぶことができます。

「このままでは将来が不安」
「家族との時間を大切にしたい」
「自分にもできる仕事を見つけたい」

そんな思いがあるなら、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。

私もパートからのスタートでしたが、今は契約社員として、仕事も自分の時間も家族の時間も大切にできる環境で働いています。最初から“直接雇用の正社員”にこだわらずに「未経験OK」や「時短OK」など、今の自分に合った求人から経験を積むことをおすすめします。

小さな実績を重ねることで、より条件の良い仕事へステップアップしやすくなります。この段階的なステップアップこそが、実は最短で「なりたい働き方」へ近づく道だったりするのです。

私は、事務職は“自分らしい働き方”をかなえる入口だと感じています。未経験からでも努力を重ねていけば、未来の選択肢はきっと広がるはず。

まずは「どんな求人があるのかな?」と気軽に調べてみるところから始めてみてください。あなたに合う働き方のヒントが、きっと見つかるはずです。

編集:はてな編集部

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著者:ひろみ

ひろみ

本業はBPO会社で業務効率化専門職(Excel・スプレッドシート中心)/副業はWEBライター&AI系。今は複業ワーカー(フルリモート)として活動中。
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