仕事で疲れた日は“レンチン”で気軽に夕食作り。知っているようで知らない「電子レンジ活用法」

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ

仕事や家事、育児などに追われている中での「毎日の夕食作り」はとても大変。

外食やテイクアウト、スーパーのお惣菜、ミールキットなどさまざまな選択肢がある時代とはいえ、健康面や金銭的な余裕、家族構成などから「できるだけ自炊をしたい(せざるを得ない)」と考える方も多いはず。

そこで今回は「電子レンジと上手に付き合い、夕食の負担を減らす方法」を料理研究家・しらいのりこさんに教えてもらいました。


みなさま、こんにちは。ごはん同盟のしらいのりこです。

私は普段、お米料理やごはんにあうおかず専門の料理研究家として活動していますが、コロナ禍の自粛期間中にたまたまうまくいったレンチン蒸し鶏がきっかけで、電子レンジ料理にはまり、『ポリ袋でレンチンおかず』(主婦の友社)という、耐熱ポリ袋+電子レンジの強力タッグで洗い物が少なく、そしておいしい料理ができるレンチン料理本を出版しました。

§ § §

ところで、レンチン料理に対して「手抜きっぽく感じる」「コンロやオーブンなどで作った料理を比べると味がイマイチ……」といったイメージを抱いていませんか。

確かに加熱し過ぎると食材がキューッと縮んでしまったり、沸騰して庫内を汚したり、いざ食べようとしたらうまく加熱されてなかったり...…。結局、電子レンジは温め機能しか使ってないという方も多いかもしれません。

実は私も、以前は電子レンジを敬遠していた一人でした。でも、電子レンジ料理を研究するようになって、気付いたんです。

電子レンジで作った方が簡単に美味しくできる料理があることを。
そして、電子レンジの法則を理解すれば、飛躍的に失敗がなくなることを。

今回は私が研究の末に発見した「電子レンジの特性」と、それらをふまえた「レンジで簡単においしくできる料理」4品をご紹介します。

電子レンジとうまく付き合う方法を知っておこう

何かと便利そうに思える電子レンジですが、実は万能な道具ではありません

電子レンジを使いこなすためには、まず、電子レンジの得手不得手を知る必要があります。

【電子レンジ活用のコツ1】少量の調理、少人数向け

電子レンジは「少量の調理」が得意です。

理由は材料の質量と加熱時間が比例しているから。分量が多いと時間がかかる上に加熱ムラもできやすく、何度も取り出して混ぜなくてはなりません。

そのため、メインの料理であれば1~2人前が最適。少なくとも4人以上の調理には向いていません

個人的には量が少なめな副菜や、それぞれの下ごしらえなどに活用することをおすすめしています。

【電子レンジ活用のコツ2】加熱時間は食材100gにつき2分が目安

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ

電子レンジで一番の迷いどころは「何分“チン”すればいいの?」ではないでしょうか。

おそらく、大体このくらいかなあという感じで分数を決めてる方が多いと思いますが、食材100gにつき電子レンジ600wで約2分が基本と覚えてください(もちろん、機種や食材によって多少のバラツキはあります)。

なので、しっかり計量してから電子レンジを使うと、ほぼ失敗はなくなります。

スケールがない、計量が面倒という方もお肉やお魚はパックに重量が記載されていることがほとんどなので、それを確認すればOK。また、流通などの都合上、一般的なスーパーで販売されている野菜は、一袋・1パックあたりの規格の重量が決まっていることがほとんど

そのため以下のリストを覚えておくと便利です。

  • 小松菜やほうれん草などの青菜類……200g(1袋)
  • きのこ類……100g(1パック)
  • もやし……200g(1袋)
  • ニラ……100g(1袋)

最近はカット野菜や冷凍食材が豊富ですが、こちらも袋に重量が記載されてます。特に冷凍野菜は袋に加熱時間の目安もしっかり記載してありますので必ず参照してください。

【電子レンジ活用のコツ3】向いてる食材・向かない食材がある

電子レンジ調理に向いている食材とそうでない食材があります。

上のリストで紹介した野菜のほか、かぼちゃブロッコリー里芋などはレンチン向きです。あとは意外とお魚もレンチン向き。じゃんじゃん使ってください。

私はこれらの食材に関してはほぼレンジで調理してます。だって、ほんとに楽だから。

調理がちょっと難しいのは、実はお肉

お肉は繊維が縮まりやすく、加熱オーバーするとカチカチになってしまうこともあるため、種類、部位によって工夫が必要です。

例えば塊肉であれば、今回紹介している「ポリ袋レンチン方式」だと柔らかく仕上げることが可能です。またひき肉は結着しやすいため、一回取り出してほぐす必要があります。詳しい方法は下記で紹介しているレシピを参考にしてみてください。

野菜もレンコンやごぼうは変色しやすいほか、じゃがいもやさつまいもは水分が抜けて固くぱさぱさになりやすいので、レンチンよりも鍋で煮たり、せいろで蒸したりした方がおいしくできると思います。

なお冷凍した肉や野菜を使用する際は、解凍モードか電子レンジ弱で半解凍してからの調理をおすすめします。

【電子レンジ活用のコツ4】便利なグッズを取り入れる

電子レンジ調理ではラップを使う方が多いと思いますが、ラップの他にもレンチン生活を助けてくれるグッズがあります。

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ

● 耐熱ガラスボウル(左上)

私のイチ押しです。温めはもちろんのこと、調理、炊飯などこのボウル一つでいろんなことができます。

もちろん、普通のボウルとしても使えるので、1つあると重宝します。アルミやステンレスなどのボウルと比べるとやや重いですが、傷つきづらく清潔なので、安心して使えます。

● 耐熱用ポリ袋(アイラップ)(右上)

耐熱温度120度の電子レンジ対応のポリ袋。ポリ袋なので袋の中に食材を入れてもみこんで、手を汚さず、そのまま加熱調理することが可能です。通常のポリ袋を電子レンジで加熱すると溶けることがあるため、必ず耐熱用のポリ袋を使用してくださいね。

● 電子レンジ専用容器(左下)

電子レンジ対応のタッパーでも、油が多い食品だと高温になり過ぎて溶けてしまうことがあります。その点、電子レンジ専用容器は耐熱温度も高い(200度以上のもの)ので安心して調理ができます。

私が愛用しているのはイワタニの「グルラボ」。ふたつきなのでラップなどのゴミがでないのもうれしいですね。

● スケール(右下)

上記でも説明した通り、電子レンジは「質量と加熱時間が比例する」ので、食材の重さをはかることによって飛躍的に失敗がなくなります。

買うのも計るのも面倒……と感じる方も少なくないとは思いますが、安価なものだと1,000円台で購入できますし、計量せず作って失敗することを考えると、調理前にスケールで計る“クセ”を付けた方が、トータルコストは下がると私は思います。

電子レンジで簡単調理レシピ。メインからサブおかずまで

ここからは、私が「電子レンジを使った方が簡単でおいしい!」と感じた料理を4品ご紹介します。

鮭ときのこのレンジ蒸し
加熱時間はたったの3分。ふんわりおいしい、レンチン蒸し魚

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「鮭ときのこのレンジ蒸し」

電子レンジでぜひやっていただきたいのが「魚」料理。

甘塩鮭、甘塩タラなど、薄く塩味をきかせてある食材であれば、下ごしらえもいらず、なお簡単。酒をかければ臭みもなく、短時間でふんわり美味しい蒸し魚ができます。

耐熱皿で作れば、洗い物はお皿だけ!お魚と一緒に野菜も一緒にレンチンすれば副菜も同時に完成します。私は食事を作る時間や気力が無いときは、いつもこのレンジ蒸しですませています。

今回はきのこを一緒にレンチンしていますが、レタスやブロッコリーなどもおすすめです。

  • 材料(作りやすい分量)
    • 甘塩鮭……1切(100g程度のもの)
    • きのこ(しめじ、まいたけなど)……100g
    • 酒(または水)……大さじ1
  • 作り方
    • 1.耐熱皿に甘塩鮭とほぐしたきのこをのせて、酒大さじ1をふりかける
    • 2.ふんわりラップをかけて、電子レンジ600wで3~4分加熱する
      • ※個体差がありますので様子を見ながら。加熱し過ぎると鮭が破裂するので注意
💡Point 電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「鮭ときのこのレンジ蒸し」

レンチン料理は「ふんわりとラップをかける」のが基本ですが、調理後はラップが容器やお皿にぴっちり張り付くことも。手前から外すと湯気でやけどするので、ラップは奥からゆっくり外してください。

レンチン蒸し鶏
手が汚れず、洗い物もなく、簡単に蒸し鶏ができる

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチン蒸し鶏」

私が電子レンジ料理にはまるきっかけになった「レンチン蒸し鶏」。

ポリ袋に鶏むね肉と調味料を入れ、水をいれた耐熱ボウルに沈めて加熱するだけで、驚くほど簡単にしっとりした蒸し鶏ができます。これはぜひ試してほしいです。

袋の中にたまった蒸し汁はスープやおかゆに入れたりするとおいしいですよ。

この方法でチャーシューなどもできます。詳細は拙著「ポリ袋でレンチンおかず」(主婦の友社)にて(宣伝すみません)。

  • 材料(作りやすい分量)
    • 鶏むね肉……1枚(300gくらい)
    • 塩……小さじ1/2
    • 酒……大さじ1
    • しょうが(あれば)……薄切りで2~3枚
    • ネギの青いところ(あれば)……1本
  • 作り方
    • 1.耐熱ポリ袋(アイラップ)に鶏むね肉を入れ、塩小さじ1/2、酒大さじ1を入れて、袋の上からよくもんで味をしみこませる
    • 2.耐熱ボウルに水1Lを入れて、袋の口は縛らず、空気を抜くようにそーっと袋ごと沈める
    • 3.電子レンジ600wで11分加熱して、そのまま15分ほど放置する
💡Point 電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチン蒸し鶏」

袋ごとそーっと空気を抜くように沈めてください。袋の口は縛らなくて大丈夫。

すぐに食べない場合は冷水に袋ごと浸けて急冷し、冷蔵庫で保存を。保存期間は冷蔵庫で2~3日。冷凍するとパサつきますので、食べきることをおすすめします。

レンチンふわふわハンバーグ
生焼けの心配不要、ふわふわ柔らかな食感に驚き

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチンふわふわハンバーグ」

実はハンバーグもレンジ向き。

ハンバーグといえば「生焼け」と「焦げ」の失敗が付きものですが、レンジ加熱だとそれらの失敗はなく、ふわふわ食感のハンバーグができます。

こねる~成型までポリ袋で行えば手が汚れないのもうれしいです。

  • 材料(作りやすい分量)
    • 肉だね
      • あいびき肉……200g
      • タマネギ……1/4個(50g)
      • パン粉……大さじ4(12g)
      • マヨネーズ……大さじ1
      • 塩……小さじ1/4
      • 牛乳……大さじ1 
    • ソース
      • ケチャップ、ウスターソース、赤ワイン……各大さじ2
    • しめじ……1/2パック(50g)
  • 作り方
    • 1.タマネギはみじん切りにする。しめじは軸をはずしてほぐす
    • 2.袋に肉だねの材料を全て入れてよくもみ、袋の上から平たい円形に形を整える
    • 3.「2」の袋にソース、しめじを入れたら袋の口は開けたまま、耐熱容器に乗せて電子レンジへ。600wで4分加熱後、一旦とりだして袋をゆすってさっとソースや具材を混ぜ、さらに4分加熱する
💡Point 電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチンふわふわハンバーグ 」

成形も袋の上から二等分して整える、でOK。肉の脂でポリ袋か破れることがありますので、念のため耐熱ボウルか耐熱皿にのせて電子レンジにかけてください。

レンチンマカロニサラダ
お湯をわかす手間不要!

電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチンマカロニサラダ」

茹でるのがちょっと面倒なマカロニも、レンジにおまかせ。

実はマカロニやパスタも電子レンジで気軽に調理できます。お湯を沸かす必要がないので、時間短縮になりますよ。

  • 材料(作りやすい分量)
    • マカロニ(早茹でタイプ)……50g
    • 塩……小さじ1/4
    • オリーブオイル……小さじ1
    • マヨネーズ……大さじ1
    • 塩、こしょう……少々
    • きゅうり……1本
    • ハム……2枚
  • 作り方
    • 1.耐熱ボウルにマカロニと水1と1/2カップ、塩小さじ1/4を入れ、ラップをかけずに電子レンジ600wで6分加熱する
      • ※レンジでパスタを茹でる場合は、基本的に鍋での茹で時間+3分が目安
    • 2.取り出したら熱いうちにオリーブオイルで和え、そのまま完全に冷ます
      • ※熱いうちにマヨネーズを加えると分離するので注意
    • 3.きゅうりは薄切りにして塩少々でもみ、10分ほどしたらでてきた水けをしぼる。ハムは千切りにする。2に加え、マヨネーズ、塩、こしょう少々で味を調える
💡Point 電子レンジ活用のコツとおすすめのレンチンレシピ「レンチンマカロニサラダ」


電子レンジ調理なら、マカロニを茹でるお水はたったこれだけ!

§ § §

電子レンジ調理は材料の水分を利用して調理するため、コンロ調理より使用する水分が少なく、塩分を減らして料理ができます。また、焦げる心配がないので油の量も減らせます。ほかにもほったらかしで料理できたり、洗い物が少なくなったり……さまざまな面でたくさんのメリットがあります。

今、スーパーやコンビニではカット野菜、冷凍野菜、パックごはん、うどんなど電子レンジ対応の食材がどんどん充実しています。

こういった食材を活用したり、時短調理のテクニックなどは時に“手抜き”の方法として紹介されることも多いからか、罪悪感や抵抗感を抱く方も多い印象です。

手をかけて作る料理が尊いのはもちろんですが、仕事や家事で忙しい日々の中で、無駄に疲れてしまう必要はありません。

手をかけるところはかける、省けるところは省いて。「手抜き」ではなく「アップデート」ととらえて、時代の変化に飛び込んだ方が、料理をすることがもっと気楽になりますし、「楽しさ」にもつながるはず

調理道具は適材適所。ぜひ電子レンジを上手に使ってみてください。

編集:はてな編集部

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著者:しらいのりこ

しらいのりこ

お米料理研究家。夫、ジュンイチとごはん好きの炊飯系フードユニット「ごはん同盟」として活動中。ごはんもの、ごはんに合うおかずなどのレシピ考案を行う。著書に『ポリ袋でレンチンおかず』(主婦の友社)など。

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