子育てのしやすさを重視し、正社員から派遣に。時短・週4勤務が「理想の働き方」


「子育てと両立しやすい仕事」を求め、働き方の変更や転職を考えている人は多いのではないでしょうか。

かつてフルタイム正社員だったみかなさんは、結婚や不妊治療、出産といったライフステージの変化と共に退職や転職を繰り返し、現在は「子育て重視」を条件に派遣社員として1日6時間・週4日のフルリモート勤務をしています。

この働き方に落ち着くまで「仕事に求める最優先事項」とどう向き合ってきたのかを教えてていただきました。


こんにちは、みかなと申します。夫と1歳の娘と3人で、東京で暮らしています。

結婚する前はコンサルティングファームでフルタイム正社員をしていましたが、今は育児に理解のある会社で派遣社員・週4日・1日6時間・フルリモート勤務という働き方を選んでいます。

家事育児と仕事の両立で毎日忙しいものの、平日に1日休みがあるので、この日に保育園の保護者会や娘の健康診断などの用事をこなしたり、趣味の観劇を楽しんだりしています。

現在の働き方は、仕事のやりがいよりも育児や趣味に重きを置きたい私にとってまさに理想と言えるもの。しかし以前の私は、自分が将来このような“ゆるキャリ”を歩み、「これが私にとっての幸せな人生の形だ」と思うようになるとは想像もしていませんでした。

そんな私が、紆余曲折を経て今の働き方にたどり着くまでを振り返りたいと思います。

ライフステージの変化に合わせ正社員→専業主婦→派遣社員に

働き方の最初の転機は「専業主婦から派遣社員になったこと」でした。

結婚後に専業主婦になったものの、強く希望していた「子ども」をなかなか授からなかった私は、気晴らしも兼ねてもう一度仕事をしたいと思うようになりました。

とはいえ、夫は結婚前に病気で倒れたことがあり、食事作りや住環境の整備などサポートが不可欠だったため、第一条件は「家庭と両立しやすい」こと。

そのため最初に探したのはパートタイムの仕事だったのですが、最終的にはかつての正社員経験が生かせそうな派遣社員に興味を持ち、1日5時間・週3日の求人に応募し、再び働き出しました。

大学生時代のアルバイトを除けば、新卒以降フルタイム正社員の経験しかなかった私にとって、ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける派遣社員は驚くほどストレスが少なく、こんな働き方もあるのかと目からウロコが落ちました

しかし不妊治療を始めてからは、通院で遅刻や早退、急な休みを頻繁に繰り返すようになり、週3日の出勤すら続けるのが困難に。職場からは引き留めてもらいましたが、自分自身が仕事との両立に限界を感じ、退職してしばらく不妊治療に専念しました。

そうして専業主婦に戻ったものの、不妊治療クリニックの待合室でパソコンを持ち込んで仕事している方を見かけていたことから「リモートならまた働けるかもしれない」と考え、再び新しい派遣先を探し始めました。

いつまで続くか分からない、先の見えない不妊治療と、その先にあるかもしれない妊娠生活や育児。それらと両立できるよう、仕事探しの条件は「妊娠や育児に理解があり、働きやすいこと」「リモート勤務できること」でした。

最終的に決まったのは週5日勤務の職場でしたが、うち4日はリモート勤務だったので、不妊治療との両立は週3で出勤していた前職よりもずっと容易になりました。

その後もコロナ禍や産休・育休といった「そのときどきの状況」に合わせて仕事を変え、現在は週4日フルリモート、1日6時間勤務の会社に落ち着きました。

育児に理解のある会社で働いて分かった、自分なりのベストバランス

今の会社はフルリモート、残業なし、平日の休みは私の都合に合わせて自由に設定できる……と本当に働きやすいのですが、一番ありがたいのは「子育てに理解がある」ことです。

子どもの急な体調不良や通院で、前日や当日に遅刻・早退・半休・全休を取らせてもらうことがあるのですが、休みはLINEで一報を入れるだけで気軽に取得できます。

会社の人たちは、女性だけでなく「男性も育児休暇は取るのが当たり前」という考え方で、育児に理解があります。特に上司は自身も3人の子供を育てているワーキングマザーで、面接の際に「あなたのように、働きたいと思っているのに働きにくい女性の就業を応援したい」と言ってくれました。

仕事に慣れ楽しさも感じてきた頃、配属部署全体の仕事の多さに「私も週5日勤務にした方がいいか」と上司に相談した際には、「この先、子どもにもっと手がかかるようになるから、しばらく週4日で様子を見た方がいい」と私の立場に立ってアドバイスをしてくれました(この予言通りまもなく育児が忙しくなり、あのとき週5日に増やさなくてよかった……!と感謝しました)。

とはいえ、わが家は夫が多忙かつ近所に頼れる親戚もおらず、「育児が多少落ち着いて私が腰を据えて仕事に復帰できる目処がつくまでは、夫が主に稼ぎ、私が主に家事育児を担い無理のない範囲で働く」と夫婦間で取り決めているため、基本はワンオペ体制。1日6時間・週4日勤務でも仕事との両立は毎日ギリギリです。

朝は洗濯、朝食作り、保育園登園、帰宅後は散らかった部屋の整頓をしたらすぐに仕事を開始。昼休みも昼食を食べたら掃除や夕食の下ごしらえ。終業後は保育園に迎えに行き、帰宅後夕食を食べさせ、夫の帰宅まで娘の遊び相手。座っている暇はほぼありません。

こんな毎日でもなんとか自分を保てているのは、平日に1日休みがあるおかげ。家や子どもの用事を済ませることが多いですが、趣味の「観劇」を楽しむ日としても活用しています。

産後初めて劇場に行った時、世間と切り離された不自由で拘束された生活から解き放たれ、「以前の自分を取り戻せた!!」と大きな感慨を抱いたことを、今でも覚えています。

子どもはとてもかわいく、仕事も充実しています。けれど「生きていて良かった」と一番思う瞬間は心から感動する舞台を見たときである私にとって、観劇は人生を豊かにしてくれるものであり、幸せを感じながら生きるために必要なもの。

その時間を確保するためにも、私にとっては週4日勤務がベストバランスなのです。もし週5で働いていたら、多忙とストレスで私の心の糸は切れていたかもしれません。

2023年に観た演劇のチケット
2023年に観た演劇のチケット

仕事に全力投球することへの憧れと、葛藤

今では「この働き方を選んでよかった」と心から思えていますが、かつて正社員で働いていた頃に抱いていた「キャリアアップややりがいを求める気持ち」を簡単に捨てられたわけではなく、葛藤もありました

20代の頃の私は、鼻息荒く目を輝かせて「全力で仕事をして趣味も楽しみつつ家庭も持ちたい!」と思っていて、就職してから数年間はその勢いでやれていました。しかし人生はそう甘くなく、種々さまざまな「うまくいかない」ことが起こり、やがて不妊治療という壁にぶち当たって完全に心が折れました。

「女性は仕事で輝くべき」「働くならどんどんキャリアアップして活躍していくべき」という風潮とは対照的に、よく言えばゆるキャリ、率直に言うと低キャリの道を歩んでいる自分。全力で働いて成果を出している方々を尊敬する一方で、仕事で成果を上げたり、管理職になったりしていく友人たちを見て焦りや羨望を抱いたり、肩身が狭く感じたこともあります。

しっかりと気持ちの整理がついたのは、不妊治療を経て子どもを授かったとき。それを機に、自分の中で明確に「子育てをしやすい環境が最優先」になりました

「仕事も家庭も趣味も」と全部を叶えようとするのではなく、望みに優先順位をつけ、人生をゆっくり進んでいくことに決めたのです。

育児をしつつ毎日の生活を楽しみ、居心地の良い家庭も作れるような、余裕を持った働き方をしたいと考えるようになって、焦りがなくなりました。

将来子どもが手を離れ、いつかまた全身全霊で仕事に打ち込める日が来ればいい、それまではマイペースに、とにかく働き続けられればそれでいいと思っています。


自分にとっての「幸せ」と優先順位を明確に

もしかすると、私は「理解ある会社に巡り会えた一握りの幸運な人」と思われるかもしれません。しかし私が「子育てのしやすい環境」を求めて仕事を探し、巡り会えたのですから、他の方の「自分にとって働きやすい環境」もきっと見つかるはずです。

私のような派遣社員という道以外にも、パートタイムや業務委託(フリーランス)、起業など、働き方・生き方にはさまざまな選択肢があります。給与などが安定している正社員をやめるのは勇気がいりますし、闇雲にすすめもしませんが、今の働き方や生活に限界や悩みを感じている方がもしいれば、別の働き方を試してみるのもいいんじゃないかなと思います

これを読んで「自分も無理なく働きたい」と思った方が理想の環境を手に入れられるよう、心から応援しています。

私もこれからも頑張ります!

編集:はてな編集部

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雇用形態にこだわらない
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著者:みかな

みかなさんプロフィール画像

歴史とミュージカルが好きなおたく。舞台や映画の感想をまとめたブログは「やめないこと」をモットーにまったり更新中。育児や日常のつれづれはX(Twitter)に投稿しています。
ブログ:黄金羊の観劇記
X(Twitter):@nakamikanan