事務職として長年働いているひろみさんは、事務という職種について「未経験でもチャレンジしやすい」「子育てと両立しやすい」「転職に有利」など、非常にメリットが多いと感じているそう。
事務職で自分らしい働き方をかなえるヒントについて、自身の経験からつづっていただきました。
私は現在、フルリモートの事務職に就いています。契約社員を本業としつつ、副業として複数の企業で業務委託としても働いています。
これまで結婚・出産を経て、家庭や子育てと仕事の両立に悩む中で「自分らしく働ける形」を探してたどり着いたのが今の働き方です。
「フルリモートで事務職」という働き方が実現するまでは、うまく両立できない自分を追い詰めてしまった時期もありました。
でも今は、子どもが登校するときには「いってらっしゃい」、帰ってきたときには「おかえりなさい」と声をかけ、 ご飯やおやつを食べながら今日あったことをゆっくり聞くような時間を持てるようになりました。
ここにたどり着くまでには遠回りもありましたが、事務職という仕事の柔軟さが、今の働き方を支えてくれていると感じます。
家庭と両立できる柔軟な働き方を求めて、事務職のスキルを身に付けた
- 以前の職場は通勤時間が長く、家庭との両立が難しかった
- フルリモートで働ける求人に応募できるように事務のスキルを磨いた
- 2年の実務経験を経て念願のフルリモート事務職に
初めて就職したのは社労士事務所。その後、結婚を機に大手食品会社の営業部門にフルタイムのパートとして転職しました。
当時はExcelすらほぼ触ったことがなかったのですが、同じ部署のメンバーには事務作業が苦手な人が多く、「私がやらねば」と基本的な事務スキルを身に付けメンバーをサポートするようになりました。
子どもが生まれてからもしばらく同じ職場で働いていましたが、念願かなって手に入れた持ち家からの通勤時間は片道2時間。帰宅後は家事や育児に追われ、夕食・お風呂・寝かしつけでギリギリの毎日を送っていました。
子どもとゆっくり過ごす時間はなく、保育園で熱を出してもすぐに迎えに行くことすらできない。寝顔を見ながら「私、何のために働いているんだろう……」と感じる日々が続きました。

そこで思い切って「もっと家族に寄り添える働き方をしたい」と決意。8年勤めた会社を退職し、リモートワーク中心の求人を探しました。
しかし当時は今ほどフルリモートの選択肢が多くない上、スキルや雇用形態の要件が合わず、何度もくじけそうになりました。
「それなら働きながら、フルリモート求人に応募できる人材になろう」と発想を切り替え、まずはフルリモート求人でよく求められるスキルを身に付けようと考えました。そこで注目したのが、どんな業界でも必要とされる「事務」のスキル。
前職で事務職のような仕事はしていたものの、きちんとスキルを学び、身に付けたわけではありません。
前職のつながりや直接企業に声を掛けるなどし、実務経験を積めそうな職場を見つけて2年働き、そこでの経験を生かして念願のフルリモートの仕事に就くことができました。
最初は不安だらけでしたが、あのとき勇気を出して一歩を踏み出して本当によかったと思っています。
事務職のメリット・デメリット
- あらゆる業界で役立つスキルが身に付き、子育てへの理解が得やすい
- 求人数は低い傾向があるため、スキルを磨いてチャンスを狙う
事務の仕事に関わるようになって約16年、事務職を専門とするようになって約6年たちますが、家庭や子育てとも両立しやすく、転職にも有利な職種だと感じています。
私が思う事務職のメリット・デメリットを紹介します。
メリット
【業界を問わず通用するスキルが身に付く】
ExcelやGoogle スプレッドシートの操作、メール対応、資料作成などの作業は、業界を問わず多くの会社で必要とされます。一度身に付ければ、転職や再就職の選択肢がぐっと広がります。
【年収アップにつながる】
私自身、20代の頃は年収が多くなかったのですが、事務職で経験を積むうちに、40代の今、当時の2倍以上まで上がりました。 経験が評価され、成果に応じた報酬を得られている実感があります。
【子育てとの両立がしやすい】
家事・育児で何かとバタバタする毎日なので、体力的な負担が少ないデスクワークなのもうれしいところ。
また事務職には同じように子育て中の方が多く、子どもの体調不良などにも理解を得やすいと感じます。同じ境遇の仲間同士、支え合える雰囲気のある職場も多いです。
【リモートワークの選択肢が増えている】
私が事務職を目指し始めた当時に比べ、圧倒的にリモートワークの選択肢が増えたと感じます。
私自身、通勤がなくなったことで家事や育児に取り組むゆとりが生まれ、家族との時間を取り戻すことができました。
デメリット
【チャンスをつかむにはスキルの積み上げが必要】
一般事務の2025年8月時点の有効求人倍率は0.3倍程度となっており、近年、事務職の求人数は低い傾向(※1)にあります。
ただ私の転職経験からいえるのは、どの業界でも“事務職の専門知識”がある人が求められているということです。
こう書くと「未経験者にはハードルが高そう」と思われそうですが、どの業種、どの会社にも必要な職種なため、たとえ小さくとも探せば「入口」はあると感じています。
大事なのは、そのあとに事務としての専門知識がどれくらい身に付けられるかどうか。少しずつでもスキルを磨いていけば、将来のチャンスは必ず広がるといえるでしょう。
(※1)厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年8月分)」参考統計表より。(詳細)
事務職に向いているのはどんな人?
- コツコツと作業に取り組める人に向いている
- 周囲への配慮や柔軟さもポイント
- 最初はできなくても、学ぶ姿勢を見せることが大切
私自身の経験から、以下のような点を得意とする人は事務職に向いていると思います。
- コツコツと地道に作業できる人
- 事務職は、正確さと継続力が信頼につながる
- Excel・Wordなどの基本操作ができる人
- 職場には「文字入力はできるが関数や書式設定などは苦手」という人も多く、それらの基本操作を理解しているだけで即戦力になれる
- 変化に柔軟に対応できる人
- 日常的に追加の要望やルール変更などがある中、それらを前向きに吸収し変化に適応できる人ほど評価が高くなりやすい
- 相手の立場に立って行動できる人(気配り・連絡の丁寧さ)
- 社内外とのやり取りが多い職種のため、丁寧な対応や先回りの気配りが「安心して任せられる人」という評価につながる
- 新しいことを学ぶ意欲がある人
- AIやクラウドなど新しい仕組みが増える中で「まず触ってみる」姿勢が成長と改善の鍵になる
ただし、最初から完璧でなくて大丈夫。最初はできなくても「学ぼうとする姿勢」を見せることで、きっとその先、あなた自身のスキルアップや周囲からの評価につながるはずです。
事務職は“自分らしい働き方”をかなえる入口
事務職は未経験からでも、資格がなくてもチャレンジしやすい仕事です。私の周りでも、販売職・レジ職・飲食サービス業など別の職種から事務職に転向した女性がたくさんいます。
経験者が多い職場では気後れしてしまうこともあるかもしれませんが、事務職は未経験からスタートした人が多い職種。だからこそ「最初はみんな同じだったよ」と声をかけてもらえるような、支え合いの文化があります。
私自身も最初は何度も「ごめん、まだ覚えられなくて」と正直に伝えながら、できることを少しずつ増やしました。その姿勢を評価してもらえたとき「続けてよかった」と心から思いました。
さらに家庭の状況に合わせて、時短勤務・在宅勤務・派遣など、働き方を柔軟に選ぶことができます。
「このままでは将来が不安」
「家族との時間を大切にしたい」
「自分にもできる仕事を見つけたい」
そんな思いがあるなら、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。
私もパートからのスタートでしたが、今は契約社員として、仕事も自分の時間も家族の時間も大切にできる環境で働いています。最初から“直接雇用の正社員”にこだわらずに「未経験OK」や「時短OK」など、今の自分に合った求人から経験を積むことをおすすめします。
小さな実績を重ねることで、より条件の良い仕事へステップアップしやすくなります。この段階的なステップアップこそが、実は最短で「なりたい働き方」へ近づく道だったりするのです。
私は、事務職は“自分らしい働き方”をかなえる入口だと感じています。未経験からでも努力を重ねていけば、未来の選択肢はきっと広がるはず。
まずは「どんな求人があるのかな?」と気軽に調べてみるところから始めてみてください。あなたに合う働き方のヒントが、きっと見つかるはずです。
編集:はてな編集部
子育てと両立しながら、柔軟に働ける仕事は?
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