忙しい中で仕事を効率よく切り上げ、「自分の時間」を楽しむために私が工夫していること

忙しい中で仕事を効率よく切り上げ、「自分の時間」を楽しむために私が工夫していること

出勤日は仕事ばかりで1日が終わり、せっかくの休みも疲れでぐったり……。忙しく働く中で、そんなふうに過ごしている人は少なくないでしょう。

スタートアップ企業で働く会社員でブロガーの円錐さんも、かつてはそんな余裕のない日々を送っていました。しかし大好きな趣味ができたことから、「平日も休日も自分の時間を楽しめる、効率のいい働き方」を実践するようになったそうです。

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仕事とプライベートのどちらにも全力投球しているような、パワフルな人に憧れる。でも自分は、そんなパワフルな人間にはなれないな、とも思う。

私は3年ほど前に、今も働いているスタートアップに入社した。新しい価値を提供できるものを作っているという達成感や楽しさはあったものの、スタートアップならではのスピーディーな意思決定に急かされ、終電ギリギリに会社を飛び出すような日々は、だんだんと私を疲弊させた。

そんな折に「観劇」という趣味ができた。日常を忘れ、夢を見ることができる煌(きら)びやかな時間。「休日は趣味のことしか考えたくない!」と意を決したが、平日は仕事、休日は趣味に全力投球という対極のスタイルは、気力的にも体力的にも自信がない。平日にフルスロットルで頑張ると、休日に観劇を楽しむ元気が残っていないのだ。

観劇時の愛用品
愛用品のオペラグラス、ハンカチ、チケットファイル、客席参加型の演出で使った公式グッズ

そこで私は、出勤日と休日を二極化させるのではなく、休日に加えて平日の仕事終わりにも自由な時間を楽しむため、「いかに効率よく仕事を進めるか」を意識するようになった。

自分に合った「効率のいい働き方」を見つけたことで、さほどパワフルでない私も、しっかり趣味や自分の時間を楽しめるようになり、生活へのモチベーションを維持できている。今回は、私が実践してきたことについて紹介したい。

効率のいい働き方を探るため、まずは「自分の性質を見極める」

「どうすれば効率よく仕事ができるか」を考えるために、まず自分について振り返ってみた。そこで見えてきたのは、自分には大きく、以下の2つの性質があるということ。

  • 夏休みの宿題のように、与えられた課題を最後に駆け込みでやりがち
  • やることが複数あると、他のことが気になって集中できなくなる

自分を変えるのは難しいので、どうにかしてこれらを生かしながら効率化したいと考えた。

「夏休みの宿題のように、与えられた課題を最後に駆け込みでやりがち」というのは、逆に言えば、締め切りに追われれば集中できるということ。

そこで、友人とのお出掛けや映画鑑賞など、簡単には破れない楽しい約束を、仕事終わりや土日の予定に入れることにした。結果、どうしてもその予定を決行したいので締め切り前の集中力を発揮できたし、間に合わせるにはどうすればいいか? と締め切りから逆算してタスクの開始期間や処理方法を考えるクセもつけられた。

「やることが複数あると、他のことが気になって集中できなくなる」という性質については、仕事中にSlack(チャットツール)の通知や差し込みの仕事が来ると、途端にそちらのことしか考えられなくなって、集中できなくなるのが悩みだった。

そこで「なぜ新しく来た仕事や通知の方が気になってしまうのか」を深堀りしたところ、「まだ見ぬ大きなタスクが待ち構えているのでは」という恐怖感があるからだと分かった。つまり、新しく来たものが「いつまでにやるどんな仕事か」を整理できれば、元の仕事への集中を取り戻せる。

そこで新しい仕事が来たら、一度手を止めてタスクの全容を確認してToDoリストに入れてしまい、簡単に連絡も返して「すぐにボールを手放す」ことを心がけた。

こうすることで一時的に私の手からタスクが離れるので、再び優先度の高い別のタスクに戻れるのだ。この「連絡をすぐに返す」ことによって、「仕事が速い人」と認定してもらえるのはうれしい副産物だった。

そしてもう一つ大切にしているのが「週5日全てをフルスロットルで頑張り過ぎず、曜日によって緩急をつけること」

きっかけは、尊敬する元上司の女性が「月曜から頑張り過ぎると金曜までもたないよね〜」と何気なく話していたことだった。忙しい人ほど自分を知って調整していたのかと目から鱗(うろこ)が落ち、自分もまねして「体力貯金」を意識するようになったのだ。

在宅と出社が半々くらいの働き方なので、週初めは仕事を詰め過ぎないようにし、出社日を連続させないことで体力を温存。今は月水木を在宅に、火金を出社日にするのが自分にとってちょうど良いと感じている。

在宅の日は仕事を早めに切り上げたあと、自炊をすることが多い。金曜は会社で集中したあとに、友人との食事などの予定を入れる。前述の通り、楽しい予定までにいかに仕事を終わらせるかが勝負なので、自然と集中できる。

早く帰るために実践している、仕事を効率よくこなすコツ

他にも自分の性質をふまえて、仕事を効率よくこなすために実践している小さなコツがいくつかある。

  • 【1】「今日絶対にやること」は紙に書き出す
  • 【2】作業に集中したい時はSlackの通知をオフに
  • 【3】作業用BGMを流す

以下で詳しく紹介する。

【1】紙に今日やることを書き出して、頭の中を整理する

普段はクラウド上のツールにToDoをまとめているが、「今日絶対にやること」は始業のタイミングで紙に書き出している。私の場合は書き出す行為で頭が整理されて、タスクの優先順位やかかりそうな時間が想像しやすいからだ。終わったタスクに線を引いて消すことでも、頭を切り替えられている。

【2】「作業に集中したい時間」を同僚に共有し、通知をオフに

前述の通り気が散りやすいので、まとまった時間が必要な作業時には、Slackの通知をオフにしている。ただし、特に在宅時、すぐにSlackで連絡がつかなくても相手を困らせないよう、社内で共有しているカレンダーには「作業集中」などと書いておき、状況を共有している。そうすることで突発的な打ち合わせも他の時間に回してもらえるし、「ブロックした時間中に絶対に終わらせる」という制約ができて、集中力が高まると感じている。

【3】自分が集中できる「作業用BGM」を流す

何かしらの音を流していた方が集中できるタイプなので、集中力が必要な作業のときは、雨の音などの環境音やクラシックを音量控えめに流している。受験勉強の時に担任から「ビートが刻まれている音楽や人の声が入ったものは思考の邪魔になりやすい」と言われたことがきっかけで今も律儀に守っているが、確かに集中できるように感じる。

ひたすらSlackで簡単な返答を返すなど、集中力よりサクサクさばくことが重要な作業の際には、カフェミュージックなどを適当に。堅苦しくなくリラックスできそうな音楽、かつ、知っている曲だと口ずさんでしまって気が散るので、知らない曲であることが重要だ。

仕事終わりは、モチベーションを上げる「至福の時間」に

週末に観劇が待っている!というのはもちろん楽しみだが、その気持ちだけでは、週の大半をしめる平日を乗り越えるのが難しいときもある。だから、平日の仕事終わりにも、自分のモチベーションを上げてくれる「楽しみ」が必要だ。例えば、こんな楽しみを取り入れている。

  • 【1】自炊をする
  • 【2】読書を楽しむ
  • 【3】日記を付ける
  • 【4】レイトショーを見に行く
  • 【5】たまに平日も観劇に行く

【1】自炊をする

もともと私は料理が苦手で、以前は料理が得意な夫任せだったが、最近は料理をしながらちょっとお酒をたしなむ時間が好きになり、自炊をするようになった。お気に入りのPodcastを聞きながら材料を刻んだり煮込んだりするうちに、仕事から意識が離れて気持ちがゆるんでいくのを感じる。

作る時間を楽しむのはもちろん、当たり前だがアウトプットとして料理が出来上がるので、何かを成し遂げた気持ちになって自己肯定感がちょっと上がるのもいい。

自炊の様子

【2】読書を楽しむ

平日は通勤時や食後、入浴中に読書をすることが多い。好きな作品に没入できる大切な時間だ。昨年から読書管理アプリで記録をつけており、月にどのくらい本を読めているかが、忙しさや心の余裕のバロメーターになっている。

【3】日記をつける

ここ数年はほぼ毎日、紙の日記をつけている。たいしたことのない日常の出来事でも、書き出すことで思ってもみなかった言葉が出てくることがあり、新しい気付きがある。それに、気持ちが上がらないときに過去の日記を読み返して、どん底の気分の日や楽しい旅行の日を振り返ると、なんだか元気になれる。


【4】レイトショーを観に行く

一人で、もしくは友人と一緒にレイトショーに出掛ける。平日夜の映画館は仕事帰りの大人が多く、静かで非日常的な雰囲気になるのが好きだ。友人と行ったときは、見終わった後、お酒を飲みながら感想戦ができて楽しい。

【5】まれに平日も観劇

一番のご褒美かつ、何よりも拘束力の強い締め切りになってくれるのが観劇だ。基本は土日がメインだが、有給やフルフレックス制度を使って、まれに平日に行くことも。読書や映画鑑賞もそうだが、目の前の舞台のことしか考えられなくなり作品に没入できるので、平日の充実度が格段に上がる。

自分の人生で何に時間を費やす?

趣味の時間を大切にするようになったことで、仕事にも生活にもメリハリが生まれた。楽しみが待っていることで心に余裕ができたし、頑張る理由にもなった。私の場合は「観劇」がきっかけだったが、多くのお金や時間を費やすような趣味でなくても、日常の中にある小さな楽しみを増やしていくことが大事だと感じている。

仕事に忙殺されていたかつての私に伝えたいのは「ずっと全力投球じゃなくてもいい」ということ。自分の気持ち、やるべきことの優先度などは、生きていく中でその時々によって波がある。それなのに、仕事に対してだけずっと高出力である必要はないと思う。会社やSNSでパワフルに見えるあの人も、きっとどこかで自分の羽を休めている。

もちろん時には、仕事に時間をかけることや量をこなすことが必要なときもある。それでも、時々ふと立ち止まって「自分ってどんな人だっけ? 何があると頑張れるんだっけ?」と自分に問いかけたい。人生の中で何に時間を費やすか、それを決められるのは、自分自身だけだ。

編集:はてな編集部

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著者:円錐

円錐さん

チラ見するだけのつもりがいつの間にか立派なオタクに成長してしまった宝塚ファンです。好きな人がたくさんいて心も体もうれしい悲鳴。

X:@_ensui ブログ:衝撃的誘惑スパイラル