“自転車沼”の入口はママチャリから? 専門店に聞く「相棒の見つけ方」

2020.01.16

“自転車沼”の入口はママチャリから? 専門店に聞く「相棒の見つけ方」

かっこいい自転車がほしいな〜と名古屋にある自転車専門店「サークルズ」を訪れたライターの友光だんご。でも薦められたのはロードバイクでもクロスバイクでもマウンテンバイクでもなく……ママチャリ??? そしてわかった自転車をカスタマイズして最高の相棒を見つける方法とは?

人気記事

    年季の入った自転車と共に失礼します。ライターの友光だんごです。

     

    少し前から、通勤などに自転車を使っている人を都内でよく見かけます。

    その声をちらっと聞いてみると、

     

    「オフィス作業ばかりで運動不足だから、ちょうどいい運動になる」

    「通勤電車に乗らなくていいから、めっちゃ楽」

    「電車や歩きだと、微妙に行きづらい場所にも簡単に移動できるのが便利」

     

    なんだこれ! めっちゃいいじゃん!

    と自転車通勤を考え始めたのですが、家にあるのは5年ほど乗ったオンボロだけ…

     

    流石にこれで都心を走り回るのは恥ずかしいので……もっとかっこいい自転車が欲しい!

     

    ということで、名古屋出張のついで自転車専門店『サークルズ』にやって来ました。

    知人から「かっこいい自転車を買うならここ!」とオススメされたんですが、一歩足を踏み入れて納得。見てください、この自転車の山!

     

    イケてる自転車に、

     

    子供用の自転車に、

     

    ヘルメットやウェアまでずらり!

     

    たくさん買い物できそうな大きなカゴの自転車も。

    めちゃくちゃたくさんありすぎて、目移りしちゃいますね。どれにしようかなあ。

     

    「見た目はもちろんなんですけど、自転車は形によって全て用途が違うんですよ」

    「そうなんですね。というか、いきなりどなたですか?」

    「こんにちは。『サークルズ』代表の田中です

    「こんにちは! 僕は友光だんごといいます。それにしても、かなりシームレスに入ってきましたね」

    「考えていることが全部顔に出ていたので。まずは『たくさん自転車の種類があるけど、どう違うんだろう?』って思ってましたよね」

    「全部ばれてる」

    「よければ少し解説しましょうか」

    「なんて親切! お願いします」

     

    それぞれの自転車の特徴を知ろう!

    「まず、自転車はざっくり『シティサイクル』『スポーツバイク』に分けられます。シティサイクルは街乗りの普段使いに特化したタイプで、いわゆる『ママチャリ』などですね」

    「僕が乗っているのもシティサイクルだと思います。でも、もっと街中で見かけるようなかっこいいやつに乗りたいんです!」

    「『かっこいいやつ』と仰っているスポーツバイクのなかでも、いろんな種類があります。街乗り用でフラットハンドルの『クロスバイク』、元々レース用に作られたドロップハンドルの『ロードバイク』、オフロード用の『マウンテンバイク』など」

     

    「街中でよく見かけるスポーツバイクは、クロスバイクやロードバイクでしょうね。ちなみにだんごさんはどういう用途で自転車を使いたいんですか?」

    「仕事場への通勤や、街中をふらっと移動するのに使いたいと思っているんです。壊れにくいのがベストですね」

    「なるほどなるほど。う〜ん」

     

    「じゃあママチャリじゃないかな」

     

    「え? スポーツバイクじゃなくて???」

     

    ママチャリは『最強の自転車』だった

    「もしや、初心者だしお金持ってなさそうだから門前払いしようとしてます?」

    「違いますよ。みなさん気づいてないけれど、ママチャリって実はすごい自転車なんですよ

    「みんな持ってるのに……?」

    みんなが持っているということは、それだけ使い勝手がいいということですよ。実際、日本人の自転車所持者が9割以上がママチャリと言われています」

    「9割以上!ほとんどじゃないですか」

    「ママチャリって、自転車のいいとこどりをしてるんですよ。カゴも大きいので、街中での買い物などにも便利だし、意外と長距離を走ることもできる。さらに壊れにくい!」

    「たしかに言われてみると、めちゃくちゃ便利だ…」

    「ね? 普段の生活で街乗りするくらいなら、ママチャリでも十分。スポーツバイクとの大きな違いは、パーツを交換してカスタマイズできないことくらいじゃないですかね」

    「ふむふむ、カスタマイズ。カスタマイズできたほうが楽しそうですけどね」

    「それにはまず、自分のことをちゃんと知った方がいいんじゃないかなあ」

    「(急に哲学的な話になったぞ)」

     

    自分好みにカスタマイズするためには、不便さを感じることが大事

    「なぜ自転車を買うために、自分のことを知る必要が?」

    「先ほどママチャリは最高の自転車って言いましたけど、あくまで万人に向けてという意味なんですね。いわばスターターセットみたいなものです」

    「スターターセット。まあ、日本人の9割が持ってるわけですし」

    「しかし、ママチャリを様々な用途でずっと使っていると、個人としてはどうしても物足りないところが出てきます。長距離を走りつづけるとお尻が痛くなってしまったり、速度をもっと出したくなったり」

    「そうですね」

    「僕たち自転車店でも、もちろん買う段階でカスタマイズの提案もできるんですよ? でも、そこは自分で実際に気づいた方がいいと思うんですよね

    「それはなぜ……?」

    「その理由はですね、この部品の山を見てください」

     

    「めちゃくちゃありますね。何が何やら…」

    「ですよね。ママチャリのような完成済みの既製品に乗っていると気づきづらいですが、自転車って、たくさんのパーツを組み合わせてできているんです。そして、それぞれのパーツごとにメリットデメリットがある。ただ、はじめからいきなりパーツの説明をされたとしても、あんまりピンとこないと思うんですよ

    「たしかに。いきなりタイヤの違いとか語られても、どっちでもいいですよってなりそうな」

    「そうでしょう? でも『早く走りたい』『長時間乗っていてもお尻が痛くないようにしたい』という具体的な改善点があれば、それぞれのパーツに対しての興味が湧きはじめるはず

    「それはわかるんですけど、最初から自分にピッタリで最高!みたいな自転車のほうがよくないですか?」

    「それは難しいと思うんですよね」

    「難しい……」

    「やっぱり自分の感覚って自分にしかわからないんですよ。僕が最高だと思う乗り心地と、だんごさんが最高だと思う乗り心地って違うと思うんです」

    「まあ、それはそうですね。そうか、だから自分のことを知らなきゃいけないと」

    「そうそう。ほとんどの人が最初に乗るのはシティサイクルやママチャリでしょう。まずは今の自転車で自分のことを知って、それからかっこいいスポーツバイクを選んでみてもいいと思うんです

     

    自転車という相棒と、日常を楽しんでほしい

    「既製品は、はじめからそれなりに扱えて便利です。でも多くの人が心地よく楽しめるように作られているので、誰もが100%満足できることってほとんどない。そこで、自分なりにカスタマイズできるのがスポーツバイクなんです」

    「田中さん、実はめちゃくちゃいい人なんじゃないですか……? よくわかってない初心者に、高いスポーツバイクを売りつけたりせずに」

    「ははは。やっぱり、良質な自転車カルチャーが日本に根付いて欲しいので。そのためには、消費者である皆さんの自転車への意識を変えていきたいんですよね。例えば、だんごさんは今の自転車の手入れってしてますか?」

    「うっ……。自転車屋さんに言うのが恥ずかしいんですが、全然してないです。タイヤの空気がなくなったら入れるくらい」

    「残念ながら、そういう方も多いんですよね。でも、自転車は本来、長く付き合っていくべき道具です。オイルを差したり、汚れを落としたり、正しく手入れすれば長持ちするはず。でもそれを怠ってしまうと、本来の寿命よりも早くに壊れてしまう」

    「地元の田舎だと、よく壊れたママチャリが川に捨てられてたりしてましたね……」

    「そうそう、それはやっぱり不幸な光景なんです。大事に手入れして長く乗れば、愛着も湧く。その自転車と出かけて、世界が広がる。そういう関係が理想なんですよね」

     

    サークルズではママチャリの修理を積極的に行なっているのだとか

     

    「安物のビニール傘だと粗末に扱っちゃいますけど、高い傘を買うと大事に使うみたいなこともありますね。僕はまず、自分の自転車を愛することから始めなくては……」

    「そんなに気負わなくてもいいですけどね!笑 でも、自分の好みを理解して、イチから組み上げた自転車は愛おしいですよ。ビジュアルにこだわってもよし、スペックにこだわってもよし。世界に一つの愛車ですから」

    「いいですね〜。ちなみにお金の話で恐縮なんですが、ちゃんとしたスポーツバイクを買おうと思うと、サークルズさんでの予算はおいくらくらいに…?」

    「う〜ん、やっぱりピンキリで、もちろん6〜7万くらいで買えるものもありますよ。でも、僕はちゃんとスポーツバイクを趣味として始めるなら、20万くらいかけることをオススメしてます

    「20万!」

    「まあ、一生ものの道具だと考えていただけたら。だからはじめはママチャリで自転車の楽しさを知ってから、深く入っていくことをオススメします。それこそ『ママチャリデート』なんかはオススメですよ」

    「ママチャリデート……???」

     

    「散歩」ならぬ「散走」で見える景色が変わる

    「もう30歳になるので、ママチャリデートはちょっと抵抗があります。10代じゃあるまいし……」

    「デートはひとつの例えなんですけど、街のことをよく知るために、自転車ってぴったりの移動手段だと思うんですよ。例えば『街歩き』ってよく言いますよね。たしかに街を歩くといろんな人や店との出会いがありますが、長い距離を移動できないのが難点で」

    「ああ、旅先とかで散策するとき、歩きだと半日が限界ですね」

    「歩きが時速4kmくらいだとすると、自転車は時速20kmくらい。つまり歩きの4〜5倍移動できるんです。かつ、自動車と違って小回りが利くし、移動中の景色もみられるちょうどよいスピード。だからサークルズでは『自転車でまわる街のガイドブック』も作っていて」

     

    自転車乗りが作るシティガイド『RIDE to WHERE -自転車で巡る名古屋名所案内』。コンテンツ随時更新中

     

    「『街歩きマップ』はよく見ますけど、自転車のやつは珍しいですね」

    「自転車で行きやすい名店やレンタサイクルの情報なんかを載せたサイトなんです。最初に名古屋版を作ったんですが、この街は道路も広いし、規模感も自転車でまわるのにぴったりで。あと、自転車の移動って『達成感』があるんですよ

    「達成感?」

    「長距離を自分の力で移動するので、『次はここまで行こう』って漕いでいって、目的地にたどり着く。そこには車移動にはない感動が生まれるわけです」

    「さっき『ママチャリデート』とおっしゃってたのは、パートナーと一緒にその達成感を味わうのがいいってことですか?」

    「そうそう。うちで昔、自転車ツアーを定期的に企画してたんですけど、実際、参加者からカップルが何組も生まれてたんです。一緒にどこかへ出かけるって楽しいじゃないですか。そこにミッションクリアの喜びも乗ると」

    「あ〜なるほど。デートだから色んな店やスポットをまわるわけなので、その街のことを知るきっかけにもなりますね」

    「観光地だけでなく、自分の地元を掘るための手段としてオススメです。『散歩』ならぬ『散走』で、新たな発見がたくさんあるはず。自転車はそのための道具だと思いますね」

    「なんかママチャリデートがしたくなってきました。世界が広がりそう!」

    「ぜひ! それでもっといい自転車がほしいな、となったら、サークルズへまたいらしてください」

     

    おわりに

    とにかくかっこいい自転車が欲しい!というヨコシマな僕の欲望をいさめてくれた田中さん。

     

    いきなり高い買い物をして後悔するより、「自分は自転車で何がしたいのか?」と考えてみる。そうすると、気づいていなかった自転車の魅力を改めて発見できるはずです。

     

    僕の場合はママチャリでOKでしたが、もちろん、かっこよさ重視で自転車を選ぶのもあり。サークルズは国産から海外まで、国内でも有数の品揃えですから、名古屋へ行った際はぜひ足を運んでみてください。

     

    ちなみにサークルズ併設のカフェも人気のスポット。この下にある画像ギャラリーで、カフェの写真もご紹介してます! ぜひご覧ください〜。

     

    取材協力:サークルズ
    住所:愛知県名古屋市中区千代田4丁目14-20
    営業:10:00〜20:00(祝日12:00〜19:00)
    電話:052-331-3232
    URL:https://circles-jp.com

     

    構成:しんたく

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    友光だんご
    友光だんご

    編集者/ライター。1989年岡山生まれ。Huuuu所属。犬とビールを見ると駆けだす。

    友光だんごの記事をもっと見る

    オススメ記事

      こちらの記事もオススメ