カタカタカタ……
あー、気持ちいいなあ。
木々に囲まれた外は静かだし、大きな窓から自然の光がいっぱい入ってくるし、
パソコン仕事がはかどる、はかどる。
こんにちは! ジモコロライターの小山内です。
突然ですが、私がいるのはどこでしょう?
ダイニングとキッチンが一体となった木の温もりあふれる空間に、180度で自然の景色を楽しめるベッドルーム。
どこかの別荘?
いいえ。ここは、長野県・八ヶ岳エリアにある「ist – Aokinodaira Field」というキャンプフィールドの宿泊施設なんです!!!!
キャンプについて私はこれまで、「虫が多いし、トイレもきれいなイメージがないし、なにかと不便だし、モノを揃えるのも大変だし……」とマイナスイメージが先行していて、世の中のキャンプブームにもうまく乗れずに生きてきました。
ですが、istの宿泊施設に泊まり、ラウンジでおいしいモーニングを食べて、サッカーコート9面分の自然の中で遊んだりしたら、「まだまだistにいたい、帰りたくないよ〜!!」という感情が湧き上がってきたのです。
それはなぜか……
istが、ストレスフリーで120%自然を楽しめる環境だったから!
キャンプ初心者でも大丈夫。それどころか、一度行ったら帰りたくなくなるほどストレスフリーで自然を楽しめる。
そんなistとはいったい、どんなキャンプ場なのか?
まずはフィールド内を紹介します!
快適に暮らしながら自然も感じられるHutと、テンションの上がるラウンジ
istを手がけるのは、Nui.やCITAN、Lenといったホステル事業を展開してきた株式会社Backpackers’ Japan。
「青木の平キャンプ場」という1980年代から続く歴史ある広大なキャンプ場を、2022年9月に「ist – Aokinodaira Field」としてリニューアルオープンしました。
istのスペシャルなところは、第一に、「Hut」という宿泊施設と「ラウンジ」があること。
英語で「小屋」を意味するHut。このHutが一体どんな宿泊施設なのかと言うと、
2名用の『Hut -nest-』。撮影:Syuheiinoue
この、自然と調和するように佇む趣ある外観。
20平米の小さな建物の中に、2コンロとシンクがついたキッチンにソファ。
大きな窓と電源が届くテーブル席、仕切りによって生活空間とセパレートされることでプライベート感が演出されたベッドまで完備されています。
(いい小屋〜!!!!)
撮影:Syuheiinoue
世の中のキャンプ場には、コテージやバンガローなど、様々な形の宿泊施設が存在します。
部屋が複数あり家具家電から風呂トイレまで備えるコテージほどラグジュアリーではなく、「設備は布団のみ」などほぼ空間だけを用意するバンガローほど簡素でもない。小さな空間に寝食の設備を揃えながらも暮らしに不要なものは省いたHutは、コテージとバンガローの中間のような立ち位置です。
istの手がけるHutのコンセプトは、「暮らしの本質が詰まった小さな家」。宿泊する人が、暮らしを見つめるとともに外の世界へも視線が向くように、暮らしの機能を備えながら、地形や風景に合わせた窓やデッキがつくられています。
限られた空間で「暮らしの快適さ」と「自然との調和」を実現できるのは、「Hutを手がける大工さんの創意工夫があってこそ」とistのスタッフが教えてくれた
4棟建つ予定のHutは現在(2023年5月時点)、2名用の『Hut -nest-』と4名用の『Hut -roof-』の2棟が完成しています。
ジモコロ編集部は今回、roofに宿泊しました。
調味料と調理用具付きのキッチンでみんなで晩御飯をつくり、
istから車で30分ほどのスーパー「ひまわり市場」で購入した、野菜やお肉を使った料理を美味しくいただきました。
眠くなったら、隣の部屋のベッドでゴロン。
リビングルームとふたつのベッドルームを備えるroofは、3つの部屋がウッドデッキでつながっています。
丘陵ギリギリのロケーションから見渡す景色はこの抜け感。
そして、ラウンジ。
これまで、東京や京都のゲストハウスの中にラウンジを展開してきたBackpackers’ Japanがキャンプ場につくったラウンジは、スタンディングデスク、小上がりにダイニングデーブル、窓辺にカウンターと広々とした空間になっていて、薪ストーブを囲みながらゆったりと座れるソファー席まであります。
レコードからは音楽が流れ、
飲食を提供するバーカウンターもあるんです!
ラウンジで飲めるのはたとえば、Backpackers’ Japanのロースタリー「BERTH COFFEE」による、istのオリジナルブレンドコーヒー。
お酒は、DD4D(愛媛・松山)が醸造するistのオリジナルビールから、スタッフ厳選のクラフトビールやナチュールワインまで。
食事は、気軽に楽しめるワンハンドフードからワインやビールに合うおつまみ、季節や土地に合わせた料理を提供しています。
モーニングプレートは“FUUSHIKAorganic”さんの焼き野菜、”KALPA”さんのカンパーニュ、自家製ハムと目玉焼きといった内容で、シンプルながら栄養満点です。
朝起きて、roofからラウンジに向かい、地域の旬の野菜を使ったモーニングをいただいた
多様な顔を持つ、広大な自然
Hutやラウンジは、本を読んだり、パソコン仕事をしたり、友人や家族と食事をしたりと、いつもの暮らしを営むのに不自由しないだけでなく、大きな窓や開放感あふれるデッキからいつでもすぐそこにある自然を感じられるのが最大の魅力。
私自身、春と秋の2度訪れてみてめちゃめちゃ感動したのが、istに広がる豊かで多様な自然でした。
標高1300メートルに位置するistには、約7万平方メートルの広大なフィールドが広がっています。
istのフィールドマップ
istのキャンプフィールドは、「Sky」「RiverA」「RiverB」「Garden」「Duck Pond」「Terrace」「ForestA」「ForestB」「ForestC」と全9つのキャンプサイトに分かれていて、それぞれが固有の顔を持っています。
たとえば、istの玄関口に位置するSkyには高原が広がっており、そこに生い茂る高く伸びたカラマツを辿っていくと、すっきりと抜けた空が視界に飛び込んできます。istのスタッフによると、冬の星空がとっても綺麗なのだそう。
日本一長い千曲川の源流のすぐそばにRiverA、RiverBがあり、川の流れや音を楽しむことができます。
多くのキャンプ場ではマナーや片付けの問題で直火が禁止になっていることが多い直火だが、istのRiverAサイトでは直火OK
池前のキャンプサイトDuck Pondでは、タイミングがよければ朝にカルガモの親子が飛んでくる様子が見られたり、魚が泳いでる様子も見られたりするんだとか。
千曲川源流を一望できる、RiverBサイト
自然の中でちょっと変わった体験ができるのが、ForestB。ここではなんと、至近距離からローカル電車が走る様子が見られるんです。
山梨県北杜市から長野県小諸市までをつなぐ小海線が走る様子を、1〜2時間おきに見ることができます。
広葉樹と針葉樹で分かれるForestB、ForestCはラウンジから少し離れた場所にあり、プライベート感を求める人にはオススメのエリア。
istは、1980年代から運営されていた青木の平キャンプ場から、この歴史ある自然をそのまま受け継ぎました。
青木の平のポテンシャルを活かすために、自然の形をいじることはあえてしなかったそう。それは、これほどキャラクターが異なる自然の景色が点在しているフィールドはとても珍しいという理由から。
エリアごとの個性も強いので、どのエリアに泊まるか決めるのに悩んじゃいます。
ForestBには白樺も自生している
「一回来て満足してそれで終わりじゃなくて、一回来たら『じゃあ、次はあっちのサイトに泊まってみよう』って、次の選択が生まれていくキャンプ場だなと感じていて、それがおもしろいなって思っているんです」
istが持つ自然の魅力をこんなふうに語るのは、事業責任者のジョンさん。
後半は、ジョンさんとBackpackers’ Japan創業メンバーの石崎嵩人さんに、ist立ち上げストーリーと豊かな自然の中にHutやラウンジといった独自の施設を手がけた理由を伺いました。
istがやりたい、「日常に自然を感じる瞬間を取り戻す」とは?
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この記事を書いたライター
ライター、編集者。1995年、秋田県能代市生まれ。株式会社Wasei、スポーツ紙の記者を経て、現在はくいしん株式会社に所属。趣味はアマチュア野球観戦と哲学書を読むこと。