ジーンズだけじゃない! 2拠点生活者がおすすめする、児島の魅惑スポット10選

2023.03.15

ジーンズだけじゃない! 2拠点生活者がおすすめする、児島の魅惑スポット10選

岡山駅から電車で30分ほどの場所にある、倉敷市児島。児島といえば、国産ジーンズ発祥の地として有名ですが、それだけじゃないんです。東京と児島で2拠点生活を2年半以上続けている編集者のあかしゆかさんが、心も体も大満足できる10のスポットを紹介します。

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    移住してデニムブランドを営む兄弟に、児島の魅力を聞く

    児島駅からバスで20分ほどの場所にある、児島・唐琴町エリア。

     

    バスが海岸線にたどり着くと、町らしい景色から一変、急にわあっと視界が開け、目に飛び込んでくるのは見渡す限りの瀬戸内海……!

     

    スポットでも紹介した「王子が岳」の麓で、宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営する山脇さん、島田さん兄弟。

     

    彼らは、株式会社ITONAMIとして、デニムブランドや宿泊施設、サウナを運営しています。

     

    もともとは兵庫県出身だという彼らは、弟の島田さんが岡山の大学へ進学したことをきっかけにデニムの魅力の虜となり、岡山で活動することを決めたと言います。

     

    彼らが、岡山の中でも「児島」を拠点にした理由とは? この土地で事業を営むふたりに、児島の魅力をたっぷり伺いました。

     

    話を聞いた人:

    山脇耀平さん(兄)・島田舜介さん(弟)

    兵庫県加古川市出身。弟の島田さんが20歳のときに母方の養子に入ったため兄の山脇さんと苗字は違うが、同じ家庭で育った血のつながりのある兄弟。2015年より兄弟でデニムブランド「EVERY DENIM」(現:ITONAMI)を立ち上げ、デニムの製造販売、キャンピングカーでの日本一周などの活動を経たのち、2020年に株式会社ITONAMIを設立。現在は、岡山県倉敷市児島にある宿泊施設「DENIM HOSTEL float」の運営や、オリジナルデニムの製造・販売、その他デニムにかかわるさまざまなプロジェクトを行っている。通称「デニム兄弟」。

     

    「受け入れる側」になるため選んだ児島の地

    「あらためて今日はよろしくお願いします」

    「よろしくお願いします!」

    「ふたりは児島で事業をしているけれど、そもそもどうして児島に拠点を構えようと思ったんですか?」

    「僕たちは2018年に、さまざまな生産者の方と出会うため、1年ほどかけてキャンピングカーで日本中を巡る旅をしたんです。その旅の中で、土地の人に迎え入れられることのよさを感じたんですよね」

    「迎え入れられることのよさ?」

    「たとえば青森だったら、青森のりんご農家さんが迎え入れてくれて、いろいろ町のことを教えてくれる。普通に観光で来たら味わえないような満足感があって、産地でその産業に携わっている人だからこその土地の見え方も知ることができた。その経験から、次第に自分たちも岡山に拠点を作ろうと思うようになりました」

     

    「受け入れる側になりたいと思ったんですね」

    「そうそう。でもその段階では、岡山のどこかでという感じで、細かい場所は全然決まっていない状態でした」

    「岡山駅前の物件も見に行ったりしましたね」

    「そうだったんですね! 知らなかった」

    「物件を探している中で、いろんなことを考えるようになって。当たり前だけど、同じ賃料でも場所によって全然広さが違うじゃないですか」

    「うん、うん」

    「ブランドとして何を表現したいか、全国からいろんな人がきたときに迎え入れる場所として適している環境は何なのか……。そんなことを考えていたときに、児島の唐琴エリアにある、今のfloatの物件と出会ったんです。開けた瀬戸内海を見たときに、児島の見え方が変わったんですよね」

     

    「この景色、最初に来た時は本当に感動しました……」

    「それまで児島は、ジーンズの工場が集積している場所というイメージしかありませんでした。デニムブランドをやっていたから、工場や会社に行くために児島を訪れたことは何度もあったけど、海側の方にはまったく来たことがなくって」

    「正直なところ、児島に海があるなんて思ってもみなかったです(笑)。だから余計にこの場所に来た時に、『児島ってこんな場所なんや』って感動して」

    「すごいいいとこやん!ってね」

    「そうそう。それで、拠点をここに作ろうと思いました」

    「じゃあ、ふたりが児島という土地を選んだのは、岡山にデニム産業があることと、瀬戸内海が見えるこの物件に出会ったことのふたつが大きかったんですね」

    「もちろん、前者が一番の理由ではあります。デニムがあったからこの児島と出会い、関わりを持つようになったので。でも、児島に本格的に根ざして人を迎え入れるようになったのは、ふたつめの瀬戸内海の風景が大きかったですね」

     

    デニム産業が盛んな土地ならではの「寛容さ」

    「ふたりは日本中を旅して、いろんな土地を見てきたと思いますが、ほかの地域と比較して児島はどんな場所だと感じていますか?」

    「全国の中ですごくユニークな場所とは言えないかもしれないですが、僕たちにとっては、デニムを含む繊維産業がしっかりあって、自然が豊かなところがいいなと思っています。あとは意外と、交通の便もいい

    「景色がこれだけよくて自然が豊かな地域になると、もっと入り組んだ行きづらい場所になることが多いけど、岡山駅までも1時間くらいだし、意外と都会にも出やすいんですよね」

     

    「この土地に暮らす“人”の特徴ではどうでしょうか?」

    「デニム産業は分業の産業なので、個人事業で小さな会社をやっている経営者の人が多い気がしますね。デニムをつくるためには、縫製の会社、染色の会社、さらにはボタンを打つだけの会社があったりと、本当にさまざまな会社が必要なので」

    「なるほど〜!」

    「みなさん懐がすごく深くて、若い人でも受け入れてくださるというか、チャレンジ精神を持っている人を招き入れてくれる温かさがあると思っています。『よそものが来てもらっても困る』みたいな雰囲気はまったく感じたことがないですね。それは児島の地の人柄なのかもしれません」

    「自分で事業をすることの大変さをみんなわかってるからこそ、挑戦する人を応援してくれる、といった感じでしょうか」

    「そうですね。それはすごく感じます」

     

    「児島ってええとこやな」と感じる瞬間

    「暮らしの中で、『児島ってええとこやな』と感じるのはどんな時ですか?」

    「海の話ばっかりになってしまいますが、瀬戸内海はやっぱり存在として大きいですね」

    「昔、島田さんが『毎日瀬戸内海を見て感動する』って言っていたのを覚えています」

    「『今日の海は穏やかやな』とか『今日は荒れてるな』とか、その日の海の状態を感じられるだけでも心が落ち着くというか。そんなことすら見えなくなったら、自分の精神状態が悪いという証拠。自然の変化は偉大です」

     

    「山脇さんはどうですか?」

    「どこでも車を止められる場所があって、どこでも座れる場所があって、どこでも声を出せる場所があるというのが、本当に都会と比較すると違いますね。都会は、自分の居場所なんて基本的にないんですよ。お金を払うしか、空間にいさせてもらうことができない」

    「言いすぎやろ(笑)」

    「でも本当にそうなんよ」

    「去年まで東京と2拠点生活をしていた山脇さんだからこそ感じることかもしれないですね。私も共感します」

    「しかも都会だと、窮屈な生活でも『窮屈なんやな』という風にも思わないじゃないですか。土地を確保する大変さが忙(せわ)しなさを産んでると思いますし、そのストレスがないだけで、すごく満たされてる気持ちになるんだなっていうのは日々感じていますね」

     

    町の「ちょうどいい未開拓感」が、移住者を生み出している?

    「児島に移住したり、2拠点生活を始めたりする人が、私を含めて増えていますが、その理由はどこにあると思いますか?」

    「前提として、floatのような居場所となるコミュニティがあるからだとは思うけれど、あとは児島という町の『ちょうどいい未開拓感』が理由のひとつにあるんじゃないでしょうか」

    「なるほど」

    「まだまだ児島は、お店も人も少なくて未開拓の地。なのに自然のポテンシャルがあって、なおかつ素敵なお店も増えているという今のサイズ感がすごくちょうどいいんだと思います」

    「同感です。自分のアウトプットがその町にダイレクトに影響するのは、すごくいいことだなと思う。たとえばあかしさんが始めた本屋も、本屋がほとんどないこの町に本屋ができたというのは、町にとってもすごく大きなことで」

     

    「たしかに町の方々も本当に喜んでくれます」

    「東京に本屋が1店舗できるのとは、全然違う価値があるんだと思いますね。やってる側もそれを実感もできて、この地域にいる実感を感じられる」

    「だから、移住する人が増えすぎたりすると、また空気感も変わってくるのかなって思います」

    「そういう意味では、floatの周りの王子が岳エリアは、国立公園なので新しい物件をつくれないというのは大きなポイントかもしれませんね」

    「そうそう。新しい事業者が簡単に入ってこれないのはひとつの特徴だよねという話は、僕らもよくします」

    「この場所にチャンスがあるって思ったら、一気に資本が入ってきたりしますもんね。それがないのはとても大きい気がします」

    「その心地よさがあるから、急に人が増えず、マイペースにがんばっていけるのかもしれない。急に拡大するのではなく、この雰囲気が守られながら、町がおもしろくなっていくといいなと思います」

     

     

    おわりに

    以前から仲のよかったデニム兄弟が宿泊施設を作ったと聞き、はじめて児島を訪れたのは2019年のこと。

     

    まさか数年後、自分がこの土地で本屋を始め、2拠点生活をするだなんて想像もしていませんでした。

     

    でも、自分の想像を超えた行動を思わず取ってしまうその理由は、彼らが話してくれたように、児島の「新しい挑戦をする人を受け入れる温かさ」と、瀬戸内海のうつくしい風景、そして自分がやったことが町のためにもつながるという、この町のサイズ感にもあるのだと思います。

     

    児島、本当にいいところです。今回ご紹介したスポットをめぐりに、ぜひ遊びに来てください〜!

     

    編集:くいしん

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    この記事を書いた人

    あかしゆか
    あかしゆか

    1992年生まれ、京都出身。大学時代に本屋で働いた経験から、文章に関わる仕事がしたいと編集者を目指すように。 現在はウェブ・紙問わず、フリーランスの編集者・ライターとして活動をしている。2020年から東京と岡山の2拠点生活をはじめ、2021年4月、瀬戸内海にて本屋「aru」をオープン。

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