人間関係は基本面倒。だからこそ「他人」ではなく「自分」軸で考えてみる|文・深爪

 深爪

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仕事でもプライベートでも、悩みのタネは「人間関係」という人は多いのではないでしょうか。良好な人間関係を築きたいと思っても「人にうまく頼れない」「距離感が分からない」など、さまざまな理由からうまくいかないと感じる人や、そもそも「人付き合いは面倒だな」と苦手意識を持つ人も。

Twitterのツイートが話題を呼び、多くの媒体で執筆活動をする深爪さんも幼少時代の経験を発端に「人間関係は面倒」と思うようになったのだそう。今回は深爪さんが考える「人間関係が面倒」と感じてしまう理由、また避けては通れない人との交流をする上で意識したいコミュニケーションのスタンスについて寄稿いただきました。

***

とにかく友達ができない。

「20年来の友人」みたいなのは何人かいるのだが、新規加入者がまったく増えないのだ。同時期に入社した人たちがどんどん職場になじんでいき、お互いをあだ名で呼び合うようになる中、私だけ苗字にさん付けされる、とか、どんなに盛り上がっていても私が発言した瞬間に会話がピタリと止まる、みたいな超常現象が起きるのである。

あまりに納得がいかないので、夫に「なぜ、私には新しい友達ができないんだろう」と愚痴ったことがある。すると、「そりゃあ、自分が友達になりたいと思ってないからでしょ」と即答された。「いやいやいや、そんなことは……」と全力で否定しかけて、ふと「正解かもしれない」と思い直した。

よくよく考えると、私は基本的に人間関係全般を「めんどくせえ」と思っている節がある。おそらく、他人はそのへんを敏感にキャッチしているから近づいてこないのだろう。

「みんなと」「ファミリー」という言葉は呪縛

私が人間関係を「めんどくせえ」と思うようになったのは、おそらく小学生の頃のトラウマがきっかけだ。

東京から地方に転校してきた私は、ただしゃべっているだけで「テレビの言葉を使ってる。生意気だ」と同級生に非難された。「テレビの言葉」とはいわゆる「標準語」のことだ。だから私は必死で方言を覚えた。しかし、脳内で標準語を方言に翻訳してから話さなければならないので、ただの雑談すら面倒になってしまった。

こんなことをするくらいなら、手のひらに現れる妖精さんとおしゃべりしてた方がまし、と休み時間は机に突っ伏して寝たふりをしながら、脳内で生み出した妖精たちと会話して過ごすようになった。手のひらに向かってブツブツ独り言をいっていれば、当然、クラスメイトからは奇異の目で見られる。いつの間にか、私は完全に孤立してしまった。

クラスで班決めするときの、先生の「好きな人とグループになって~」という指示はもはや死の宣告だった。教室の壁に貼られた「みんな仲良く」という学級目標が空しく見えた。

小学生時代に端を発した「人間関係めんどくせえ」は社会人になり強化された。

昔、「ここで働く人はみなファミリー」をモットーにした会社に勤めたことがある。オフィス内はとてもビジネスの場所とは思えぬような怒号が飛んでいて、ある意味ものすごくアットホームな会社だった。

あるとき、ミスをして上司に罵声を浴びせられたことがあった。あまりの剣幕に唖然としていると「おれはお前を家族だと思ってるからキツいことも言う。これは愛情なんだよ」と張り付いた笑顔で迫ってきたので、思わず「いや、私はあなたの家族じゃないんで」と突き放してしまった。

それからというもの、私にだけ回覧が回ってこない、電話が取次ぎされない、なぜか愛用のマグカップが割れている、といった怪奇現象が頻発するようになった。「みんな仲良く」だの「ファミリー」だのといった言葉で縛り付ける集団はロクなもんじゃねえなと、私の「人間関係めんどくせえ」はさらに加速したのである。

人と関わることにストレスを感じる3つの理由

とはいえ、無人島に暮らすでもない限り、他人との関わりから逃げ続けるわけにもいかない。そこでこの「人間関係めんどくせえ」を解消するために、まずは、なぜ自分は人との関わりにストレスを感じてしまうのか、その原因について探ってみた。

いろいろと考えあぐねた結果、人間関係をめんどくせえと感じる要因はおおまかに3つにまとめられた。

「他人が自分の思い通りに動かない、という苛立ち」
「空気を読まなければならない、という強迫観念」
「ひとりぼっちは寂しい、という思い込み」

である。

冷静に考えれば、自分の感情すらまともにコントロールできないのに、他人を自分の意のままに動かすことなぞ不可能と分かるが、潜在的に「自分の思い通りに動いてほしい」「察してほしい」と他人に強く期待するタイプにとっては猛烈なストレスになってしまう。

その一方で、「仲間はずれにされること」を恐れ、周囲の空気を読んで行動している人も少なくないように思う。そして、それを恐れいているのは「ひとりぼっちは寂しい」と思い込んでいるからなのである。

では、これらのストレスから解放されるためにはどうすればいいのだろうか。

(1) 近い存在ほど「他人」であると心掛けよう

まず、よくよく考えれば、他人に「察しろ」と期待するのは傲慢にもほどがある。

言葉で伝える努力を怠っておきながら、自分の思い通りにならなければ、その全責任を相手になすりつける卑劣な行為だからだ。

と、このように偉そうにモノ申す私も、昔はどこに出しても恥ずかしくない立派な「察してちゃん」だった。

恋人と電話でケンカをしたときに「もう顔も見たくない!」と言ったらまんまと一週間放置されてしまい「『もう顔も見たくない!』は『今すぐ会いに来てほしい』って意味だろうが。察しろや」と悶々としたあの日。しかし、そんなことを繰り返すうちに、遠回しなヒントを出しながら「どうして分からないの!?」とイライラとするよりも、ダイレクトに要求を伝えた方が精神衛生的にもいいし、相手との関係もこじれずに済むことに気が付いた。

今では、どんなに親しい間柄でも「この人なら自分のことを分かってくれるはず」といった過剰な期待や幻想を捨て、何かをしてほしいときにはビジネス文書を作成するが如く、懇切丁寧に伝えるように心掛けている。

特に甘えが出やすい夫については、「重要取引先」と思うようにした。「なんで分かんねえんだよ」とイライラすることがあっても、事務的に接することで冷静さを取り戻せる。

(2)全人類に好かれようとしなくていい

また、空気を読むストレスは、常に周囲に気を配り、浮かない努力をしなければならないという強迫観念が生み出すものだと考えている。

平たく言えば「人に嫌われたくない」という思いが根底にある。だが、実のところ、この「誰にも嫌われたくない」からくる行動は、裏目に出ることも多い。

身近に、ついさっきまで猛烈に悪口を言っていたのに当人が現われた途端、何事もなかったかのように親しげに話をし出す人間がいる。目の前でそういう態度を取られれば「私も陰でボロクソ言われてるんだろうな」としか思えないし、なぜ、わざわざ自分の信用をなくすようなことをするのか理解できなかった。

よくよく観察すると、どうやら“みんな”と仲良くすべく努力をしているだけのようだ。嫌われ者の悪口で周囲との連帯感を強める一方、そんな嫌われ者とも上手に付き合える私、を演出するのが “オトナのテク”ということらしい。しかし、その思惑に反して、周囲からは「信用ならない人」の烙印を押されている。完全に裏目ってるのだ。

そもそも、カレーライスが嫌いな子供がこの世に存在することを考えれば、「みんなに好かれる」なんてことは不可能と分かる。また、「みんなに好かれるような人は嫌い」という人間がいる限り、全人類に好かれることは無理なのだ。身も蓋もないことを言うが、何をやっても好かれるときは好かれるし、嫌われるときは嫌われるのである。やたら空気を読んで疲れ果てるのは無駄骨にもほどがあるのだ。

「全人類に好かれよう」などと大それたことを考えず、他人に媚びることのないありのままの自分でいれば、おのずと「ありのままの自分」を受け入れてくれる人だけが周りに残る。つまり、自分を偽る努力をせずとも自然体で他人と付き合うことができるので、無駄なストレスを感じることも少なくなるというわけだ。

(3)その寂しさは「ひとり」だから?

最近はポジティブな見方をされることも多くなってきたが、いまだに「ひとりで行動する」ことに対して焦りをおぼえる人も多いと聞く。

私は、今でこそひとりで行動することは苦にならないし、むしろ楽と感じるようになったが、昔は、尿意もないのにクラスの女子と一緒にトイレに行ったり、話を合わせるためだけに見たくもないテレビ番組を見ていたりしたこともあったので、その気持ちはよく分かる。

そもそも、学校で友達は多ければ多いほどいいという価値観を植え付けられていれば、ひとりでいることに焦りを感じるようになるのも無理はない。

知人に「どうしてもひとりで外食できない」という女性がいる。周りのお客さんに寂しい人だと思われたくないから、が理由だ。正直、自意識過剰だと思う。とりあえず私は、レストランでパーティーメガネに三角帽子、クラッカー片手に「ハッピーバースディー」を熱唱しながらひとりでケーキを爆食いしてるとかでもない限り、寂しい人だとは思わない。大抵の人はそんなもんではないか。

周囲の目が気になるのはつまり、「ひとりが寂しい」のではなく「周りと違う自分」に焦りを感じているだけはないだろうか。

ひとりで行動するのが苦手な人は、本当にひとりがイヤなのかをまず見極めるところから始めた方がいい。本当にひとりがイヤなだけならば、一緒にいる人間が見つかれば解消されるだろうし、「他人と違う自分」が認められないパターンだとしたら「ひとり」が解消されたとしてもまた別の悩みが出てくるだろう。

他人の目を気にせず、コミュニケーションを取るために

結局、人間関係の悩みはだいたいが「自分の感情や行動が他人に左右されてしまう」に集約されるのである。

もし人間関係に嫌気がさしたときには、とにかく「距離を置くこと」を心掛けている。他人と距離を置き、そして、自分自身とも距離を置く。なんならその場所からも離れる。冷静に状況を俯瞰することで、「自分にとって今一番大切なモノは何なのか」の答えがはっきりと浮かび上がってくるのだ。

我々のストレスの根源は「他人の目」なのではなかろうか。

ストレスなき人生を送るために大切なことは、とにかく、他人に左右されないことだと思う。そして、それは自分の中に「私はこれでいいんだ」と言い切れる確固たる自信がないから、周囲に惑わされてストレスを感じてしまうのである。

では、どうすれば自信がつけられるのだろう。

これは私の経験則なのだが、とにかく好きなことや得意なことを続けるのがいい。「まず弱点の克服が先では?」と思うかもしれないが、これはもともと自信のないタイプにはオススメできない。なぜなら、弱点を克服しようとする段階で失敗を繰り返すため、ダメな自分を痛感させられて余計に自信を失ってしまうからだ。

好きなことや得意なことだけをしていれば、失敗も少ないし、なにより単純に楽しい。苦手なものはあえて避け、好きで得意なことだけを楽しく続けることで自信は自ずとついてくるのである。

私は常に「これは本当に自分がしたいことなのか」を基準に行動するようにしている。「他人」ではなく「自分」がどう思うかで判断するのだ。

他人に過剰に期待せず、自分が正しいと思う道を進み、いい意味でジコチューになれたのなら、いつか「人付き合いも悪くないな」と思える日がくるのではないかと、私は信じているのである。

著者:深爪

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コラムニスト/主婦。2012年11月にツイッターにアカウントを開設。独特な視点から繰り出すツイートが共感を呼び、またたく間にフォロワーが増え、その数18万人超(2020年5月現在)。主婦業の傍ら、執筆活動をしている。主な著書に『立て板に泥水』『深爪式 声に出して読めない53の話』『深爪流 役に立ちそうで立たない少し役に立つ話』(すべてKADOKAWA)。芸能、ドラマ、人生、恋愛、エロと、執筆ジャンルは多様。
Twitter:@fukazume_taro
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編集/はてな編集部

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夫婦は「同じ目標」を追えている? 仕事と育児の緊急事態に、共働き夫婦が備えたいもの

 瀧波わか

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ワーママ3年目で育児にも慣れてきた頃、仕事でキャリアアップのチャンスが巡ってきたという瀧波わかさん。しかし、このチャンスを逃すまいと仕事にまい進していた最中、かつてない育児のピンチがやってきます。そしてそれはやがて、夫婦のピンチに。

予期せぬ事態を乗り越えるために大切だったことは? この時の経験を振り返っていただきました。

「産後の働き方」は妻の問題ではなく、家族の重要事項

夫婦ともに30歳の時に、娘が誕生した。

里帰り出産をせずに、夫と二人三脚で初めての育児をスタート。その中で、熱心に話し合ったテーマの1つが「産後の働き方」だった

真っ先に話題に上がったのは、保育園の問題だ。7月生まれの娘を0歳4月入園させるには、まだ歩けも話せもしないであろう生後8カ月で預けることになる。夫は「それは早過ぎる」と言った。

しかし私たちが住んでいるのは、都内の保活激戦区。0歳4月入園を見送れば、途中入園どころか、1歳4月入園もそうとうに厳しいことは予想された。私は「育休明けで正社員復帰するには、他に選択肢はない」と考えていた。2年制の幼稚園に通うまでは自宅で過ごした夫と、0歳から保育園児だった私では、「赤ちゃんを保育園に預けること」への価値観と身近さが折り合わないのは、当然であった。

ただ、夫はこの問題を「妻のキャリア選択の一部」として私に任せきりにはしなかった。必要ならば自身が転職することも視野に入れ「家族の未来を決める重要事項」として扱った。保育園の見学報告を熱心に聞き、雨の日の送迎ルートを提案してくれた。その当事者意識が、うれしかった。

私もまた、彼の中に潜在的にある「早期入園への抵抗感」に同調はできなくても、軽んじはしなかった。幼い娘を預けて働くことは、夫にとって、簡単な決断ではないのだろう。

数カ月かけて、私たちが出した結論は「0歳4月入園を目指し、早期に産前の収入レベルに戻す」だった。

貴重な赤ちゃん期に側で過ごすことには、とても大きな価値がある。そう認めた上で、子供の教育の選択肢を広く取るため、そして経済的不安による夫婦不仲を避けるために、産後も2人ともがフルタイムの働き方を維持する道を選択した。

もちろん、幸せにはさまざまなカタチがあることは言うまでもない。わが家においては「30代は夫婦そろってキャリアのギアを踏むこと」が、「幸せな家族」への1つの道であろうと考えた末の意思決定だ。夫婦でよく話し合い、双方に納得値の高い着地だった。しかしそれでもやはり、やってみなくては分からないことは確実に存在していた

重なってしまった、仕事と育児の「頑張りどころ」

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なんとか0歳4月で入園を果たした娘は、3歳になるまで保育園を3日以上連続で休んだことはなかった。私たちは娘を「体の強い子」だと感じていた。

復職3年目に入った私は、職場でキャリアアップのチャンスを迎える。33歳。社会人生活が10年を超えた節目に、若手から中堅へのシフトチェンジが求められていた。

娘はもう赤ちゃんではなく、私自身もいちいち「はじめて」に翻弄された新米母から抜け出してきた手ごたえがあった。いまなら、やれるかもしれない

夫にも、むこう半年は忙しくなること、いままで5:5に近かった家事育児の割合を、6:4の負担で多めにお願いするかもしれないことを伝えた。彼は「分かった、2人で頑張って乗り越えよう」と背中を押してくれた。

復職もキャリア設計も、家族の問題だから2人で決める。初めに決めた優先順位「家庭の総収入を増やす」に向けて、私たちは同じ目標を追えていた

しかし、私が大きな仕事を引き受けた冬。保育園3年目の娘は、しつこい咳と深夜のせき込み嘔吐(おうと)が2カ月も続き、登園できない日が多くなった。複数の病院にかかっても原因が判然とせず、容体は一進一退を繰り返し、ついには1週間の入院も必要になった。

やらねばならない業務に、通院、看病、付き添い入院の負担。働く私と、育てる私。どちらの責任もないがしろにはできない現実が、心身にズシリと加重をかけてくる。

しかし夜中の嘔吐対応で寝不足の頭で、私はおそらく無意識に「育児は2人のどちらかがやればいい、仕事は私がやりきらなくては」と考えていた。それは平たく言えば、仕事の多忙を理由に、育児不参加の免罪符を行使するという思想だった。

そうして、育児負担は夫にのしかかった。

いま思えば、バカなことだ。本当に代わりがいないのは、間違いなく娘の母親としての役割であったし、寝不足で……、責任のある仕事で……、と私の脳内を駆け回る保身のいいわけは、全て夫にも当てはまっていた。

彼も当然、毎晩十分な睡眠が取れずに、そのまま出勤し、なおかつ、「ごめん今日お迎え行ける?」と電子メッセージ1つで数時間の家事育児を押し付けてくる妻のため、短い勤務時間でより集中して、任された業務をこなさなくてはいけなかった。

以前は「はーい!」だった夫からの送迎交代の返事は、いつしか「はい」に変わった

私は、その変化に気付きながらも、夫に心から申し訳ない、ごめんなさいと思っていても、それでもなお、仕事の比重を落とす勇気がなかった。結果、「家族」を共同運営している夫が、私の“勇気のなさ”の代償を支払っていた。

当然、夫婦仲は過去最高に悪くなり、家庭の空気はギスギスと淀んでいた。

夫婦関係がギクシャクするのは、見ている景色が違うから

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夫婦の危機を感じながらも、だましだまし日々を送り、なんとか仕事が落ち着いた頃、娘の容体も安定した。

私は「大変だったけど夫婦で乗り切れてよかった、結果的にキャリアも失わずに済んだ」とほのかな達成感を持っていた。久しぶりに夫と寝かしつけ後の晩酌の席につき、本当にありがとう、パパのおかげでなんとかなりました、と感謝を伝える。

この時の夫の様子を、とてもよく覚えている。彼は焼酎を傾けてバラエティー番組の録画を見ながら、「もうほんとに嫌だった、いい加減にしてって思ってた」と冷たく告げた

予想を超えるドネガティブな感想に、「お互い大変でしたけど、クリアしましたね!」くらいに思っていた私は、愕然とした。

夫婦の間には、視認できそうなほどの温度差が横たわっていた。考えてみれば、至極当然だ。家族のために仕事を頑張る、と勇んでいたのは私だけで、夫は妻のキャリア実現のために育児リソースとして使われたような居心地の悪さがあったのだろう。

私たちはいままで、2人で働き、2人で育児をすることで、両立してきたのだ。お互いのバランスを顧みず、自分の仕事だけ一生懸命にやる方がずっと楽だと知っている。

家事育児比率は、私からのきちんとした説明・謝罪もなく、6:4どころか7:3になっていた瞬間も正直あった。「3」の私がそう思うのだ、夫には8:2か9:1に感じられていたのかもしれない。想像力の足りない自分が、恥ずかしかった。そして痺れるほどに、申し訳なかった。

仕事が忙しくなることは、それだけ家族に負担を強いること。相手の納得のないままにパートナーに家事育児を押し付けてしまったら、その仕事は「家族のため」ではなくなっていくのかもしれない。

だけど。では、どうしたらよかったのだろう。

現在、初産年齢の平均は30歳を超えている。まさに働き盛りのタイミングで、初めての子育てが始まるのだ。さらに2人目3人目のお子さんを迎える家庭は、職場でも大きな責任を担うアラフォー世代が珍しくない。

仕事と育児の頑張りどきが重なってしまったとき、私たちは激しく揺れ動く天秤を見つめながら、いったい何ができるのだろう。

共働き夫婦が、自分たちの「緊急事態」に備えたいもの

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私はこの復職3年目の冬を通して、「家庭の緊急事態に備える体力」がまったくないということを痛感した。そしてそれは、多くの共働き夫婦にも言えるのかもしれない。

核家族・共働き家庭が成立するためには、

夫も妻も、急な残業や、業務時間外で仕事のための勉強が必要になる場面が少なく、
子供が全員健康でめったに保育園を休むことがなく、
そして生活に不安が募らないだけの収入がある。

これら3つの条件が不可欠だろう。

しかしこれらの条件は、ちょっとしたタイミングの差や環境の変化によって、途端に成立しなくなる。「すぐに駆け付けてくれる親族」「柔軟にリモートワーク対応ができる職場」などのプラスα要素がない場合は、あっけないほど簡単に、キャリア継続と家庭円満、どちらかまたは両方のピンチがやってくるのだ。

何とかわが家のピンチが過ぎ去ったいま、想像する。

もしも、ワーママ1年生でこの局面を迎えていたら。
娘の不調が、もっと長く続いていたら。
「子育て中の社員」への理解が薄い職場だったら。
夫との間に、より決定的な関係悪化が起こっていたら。

私はフルタイムで働くこと自体をあきらめた可能性も、大いにある。恐ろしいことだが、上記の「もしも」は決して稀有な出来事ではなく、いくらでも起こりえてしまうのだ。

それなりに運がよくないと継続できないぎりぎりのバランスで、共働きと子育てを遂行している家庭は、きっと少なくないのだろう。薄い氷の上を、手放せない多くの荷物を背負って進んでいくように。

ただ、私たちの場合、たまたまだけれど「家族の緊急事態」を力技でなんとかしのいだ経験の中で、「運ではなかった」と思える要素が、一つだけある。

あの時、夫はこうも言った。

「ほんとに嫌だったけど、これを乗り越えた先に明確に妻のキャリアにプラスがあると分かっていたから耐えた。それはつまり家族の利益だから。『すっごく忙しくなるけど、特にキャリアや収入に変化はない、でもやりたいからやらせて』という主張だったら、無理だった」

深く深く、刺さる言葉だった。

私たちがかつてすり合わせてきた、あの優先順位の約束が、亀裂の入った夫婦関係をつなぎとめていたのだ。

均衡の崩れやすい共働き夫婦こそ、普段から「家族の目標」を一緒に設定し、お互いの選択が、同じ場所に向かっていると確認し合うことが重要ではないだろうか。緊急事態に突入してからでは、もはや話し合う時間の確保すら難しい。

「子育て世代を取り巻く働き方」が根本から改革されるには、まだ時間がかかるだろう。

しかし、その間にもキャリアからの望まない離脱をする人が減ってほしい。そのために小さいけれどできることは、「きっと分かってくれるはず」と夫婦関係にあぐらをかかず、話し合うこと。「私はこう思う、あなたはこう、だから家族でここを目指そう」と明文化したその時間が、いつやってくるともしれない緊急事態に、きっと効いてくる

わが家の氷河期を経て、いま夏の入り口で、そう思う。

著者:瀧波わか

瀧波わか

子育てメディア・Conobie(コノビー)の編集長。
プリンセスに夢中な3歳の娘と、陽気な夫の3人家族。
育休復帰後に、福祉支援員からwebメディア編集者にジョブチェンジ。
好きな食べ物は肉とチョコ。

note:瀧波 わか|note Twitter:@waka_takinami

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編集/はてな編集部

お皿を変えるだけで食事がもっと楽しくなる。おうち時間にぴったりの「初めてのうつわ選び」

イイホシユミコ unjour apres midi plate 220のruri

外出を控え、自宅でごはんを食べる機会が増えている方も多いかと思います。毎食丁寧に作るのは大変だから、簡単に済ませるために手軽なメニューに偏ったり、総菜のパックでそのまま食べたり……ということもありがち。そこで、おうち時間での食事をより快適に楽しく過ごすために、食べ物を乗せる「器」に気を配ってみてはいかがでしょうか?

食からインテリアまで、広く雑誌や書籍、Webでライフスタイルの提案を手掛けるテーブルコーディネーター・プロップスタイリストの菅野有希子さんに、うつわの選び方、盛り付け方について紹介いただきました。


こんにちは、スタイリストの菅野有希子です。雑誌や書籍、Webでお料理やインテリアといった暮らしにまつわる提案のスタイリングを手がけています。公私ともに“うつわマニア”で、食器選びの情報発信をするInstagramマガジン『はじめてのうつわえらび』の運営や、オリジナル食器の開発にも携わっています。

実は私、テーブルコーディネートを仕事にしていながら、料理はあまり好きではありません。仕事柄、「料理の写真撮影のお仕事が多いのに!?」とよく驚かれます。でも、特別に料理上手ではないからこそ、ちょっと手抜きをしたレシピでも美味しそうに見える“うつわの魔法”にハマっているのだと思います。

料理を始めた頃は、キッチンに立つことだって大仕事。そこで何とか自分のモチベーションを上げられないかと取り組んだのが、「食卓を整える」ことでした。今日は晩酌に合わせて小さな小鉢に盛り付けてみようとか、週末の朝はホットサンドを木のボードに乗せてみようとか。そんな小さな食器選びによって、自分で作った拙いごはんが、まるでお店で食べるみたいに素敵に見え、びっくりしたのを覚えています。

何より「片付けなければいけないタスク」として料理に取り組むのと「食事の時間や空間という楽しみをつくる」と思いながら向き合うのとでは、テンションが全く違うものです。うつわはその大きな手助けになってくれます。

日々のリフレッシュやモチベーションアップにうつわの力を

このご時世、在宅勤務を導入したり、外出を控えたりして、自炊の機会も増えているのではないでしょうか。私も以前に増して自宅で料理をしていますが、正直に言って、毎日3食きちんとしたものを作り続けるのは至難の技。時には手抜きレシピやレンジでチンするだけの食事になることもあるのが本音です。そんな時でもお気に入りのお皿に盛り付けて食べると、充実感は全然違うなと感じています。

また、毎日家で仕事をしていると、仕事の止め時を失ってしまったり、逆についダラダラしてしまったりすることも。自分の意思の力だけで生活のオンオフを切り替えることは難しいですが、毎日必ず訪れる食事の時間はチャンス! 散らかったテーブルを片付け、きちんとうつわを並べるという景色の変化それ自体が、私にとってスイッチを切り替える儀式のようになっています。うつわ1つで時間も空間もリフレッシュされるのを感じます。

何より美しく素敵な空間は自分を癒やし、力づけてくれます。

食器にこだわるというと何やら「料理が趣味の人のもの」というように受け取られる場合もあるかもしれませんが、むしろ料理が得意でない人や自炊を始めたばかりの方にこそ、ごはんを美味しそうに見せるグッズとして、日々のモチベーションアップのために使ってほしい。そして、何だか生活にメリハリがないなあと感じている方にも、オンオフを整える手段として食器を取り入れてみてほしいなと思います。

うつわ初心者が手に取りやすい“最初のお皿”

食器を生活に取り入れてみようと思っても、「何からそろえればいいのか分からない」という方も多いことでしょう。そこで、うつわ初心者でも手に取りやすいおすすめの“最初の1枚”についてお話ししたいと思います。

1枚でサマになる20cm前後のプレートから

大きなうつわから小皿までいろいろなサイズや形があって選べないというときは、まずおおよそ20cm前後の中皿と呼ばれるサイズから手に取ってみてはいかがでしょうか。和食器では「7寸」(約21cm)にあたるこのサイズは、大き過ぎず小さ過ぎず、日常的に使う頻度の多いお皿になります。いつものおかずを乗せるにもパスタやカレーといった一皿料理にもちょうどいいサイズ感です。

20cm前後、「7寸」と呼ばれる中皿

大き過ぎるうつわを選ぶと余白が余り過ぎ、バランスよく盛り付けるのに苦労することも。中皿なら一人分のおかずを乗せるのにちょうどいい大きさなので、頭を悩ませなくても上手に盛り付けられます。

特に上記写真のようなリムとよばれる縁のあるお皿は、若干の汁気やタレがある時にもしっかりとどめてくれるので便利。リムのないお皿だと流れ出して見た目が汚くなってしまうこともあるのですが、そういった心配もありません。また、リムの中におさめるよう盛り付けると美しく仕上がるので、目印としても役に立ってくれます。

センスや料理になかなか自信が持てないという方は、まずリムありのお皿から始めてみるといいかもしれません。

使いまわせるのはスーツのようなベーシックカラー

お皿で迷うポイントといえば色ですよね。ついつい「何にでも合いそう」と無難な白を選んでばかりだと、地味になり過ぎてパッとしないなんてことも。私もお皿選びを始めた頃は、どんなうつわがオシャレか分からず失敗が怖くて白ばかり選んでいましたが、白いお皿ばかり並ぶテーブルは給食みたいでちょっと味気ないなあと感じていました。

実は白は万能な色ではなく、うつわの質感やフォルムなどセンスと目利きを問われる難しい色です。ファッショナブルな方が「白いシャツこそ着こなしが難しい」と言うのと同じように、白いうつわこそ奥深いもの。もちろん質感や色のニュアンスにこだわった白いうつわほどステキなものはありませんが、ツルツル真っ白のお皿は初心者さんには個人的にあまりおすすめしません。

実際に料理を盛り付けて美味しそうに見えるお皿の色は必ずしも白ばかりではありません。かえって黒やグレー、ネイビー、ブルー、ブラウンなどのダークカラーはお料理をぐっと引き立てて食欲をそそると思います。色選びに迷ったら“ビジネススーツの色”と思えば覚えやすいですよね。

「20cm前後・スーツカラー」のお皿にごはんを盛り付けるとこうなる!

今回選んだのは、20cm前後、かつスーツカラーの平皿である「イイホシユミコ unjour apres midi plate 220」の「ruri」という色です。

シンプルなデザインなので、朝でも夜でも和食でも洋食でも使えます。いかにも洋食器といった薄くて繊細なものや昔ながらの絵付けの和食器なども素敵なのですが、シーンを選ばず使い回せる食器が欲しいなら、まずはこのようなカジュアルな食器から手に取って、いろいろと試してみるのが良いかと思います。

どんなふうに使えるのか、実際の盛り付け例を見てみましょう!

気持ちよくスタートを切る朝ごはんに

在宅勤務が続くと、パジャマやベッドのある空間とシームレスに仕事をする場所がつながってしまい、何だかやる気が出ないことも。そんな時こそ朝ごはんで気持ちもシャキッと切り替えてみませんか。

もちろん朝は何かと忙しいですから、そんなに手間をかけられないと思います。だからこそ食器の出番。パン1枚、おにぎり1つでもお気に入りの食器に盛り付けるだけで気持ちは上がります。

朝ごはんの盛り付け例

目玉焼きを乗せたトーストと付け合わせの簡単サラダを盛り付けてみました。ブルーのお皿に目玉焼きの黄色がよく映えます。このお皿ならクロワッサンとハムの盛り合わせも似合いますし、フレンチトーストやパンケーキをこんもり盛り付けてもかわいいですね。朝から和食派の方なら焼き魚を乗せても、卵焼きを乗せても似合うと思います。

朝はヨーグルトや果物など水分の多いものも食べる機会が多いと思いますが、そうした場合はこのプレート以外に小さなボウルを用意されると良いと思います。ガラス製や、少しカラフルなものを合わせてもかわいいですよ。メインのプレートをベーシックカラーで抑えたからこそ、小さな食器やマグカップは少し遊びのあるデザインを合わせても大丈夫。食卓の良いアクセントになってくれます。

ほっと一息つける晩ごはんに

ついつい仕事のことが頭を離れない夜。ながら食べしたりおざなりな食事になったりする時もありますが、セルフケアの一環として食事の時間をきちんと取り、ほっと一息つくことも必要です。同じお皿で晩ごはんなら、どう変わるでしょうか。

定番おかずのハンバーグに、付け合わせの副菜も一緒にぎゅぎゅっと盛り付けて。

晩ごはんの盛り付け例

1人前のおかずを盛り付けるのにちょうど良いサイズ感がよく分かるのではないでしょうか。

品数多く、彩りよくとハードルを上げ過ぎなくても大丈夫。おうちごはんによく登場しがちな茶色いおかずも、ブルーのお皿ならぐっと華やかに見せてくれます。また、ブルーは食材の色にはない色なので、お料理とバッティングすることもありません。白い料理を白いお皿に盛り付けると一体化して分かりにくいなんてこともありますが、ブルーのお皿でそういった可能性はほぼないのです。難しいことを考えなくても失敗しないのがいいところですね。

***

お総菜のパックからそのままごはんを食べるのも、お気に入りのお皿で気分を上げて食べるのも、同じ一食。

「何となく最近生活にメリハリがないな」「自炊のモチベーションがいまいち上がらないな」という時、日々の一食から自分のリズムを整えるために、まずはお皿1枚から始めてみませんか?

著者:菅野有希子

菅野有希子

テーブルコーディネーター/プロップスタイリスト。雑誌や書籍、WEBで、食や住といったライフスタイル提案のスタイリングを手がけています。商品撮影のスタイリング、撮影、VMD、コラム執筆、レッスン講師など。 東京在住、リノベマンションに一人暮らし。

note:菅野有希子|note
Twitter:@yukiko130
Instagram:@utsuwaerabi

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編集/はてな編集部

子どもを見ながらの在宅勤務、どう過ごしてきた? 仕事の進め方などを聞きました【わたしの仕事場】

一人ひとりの仕事場の様子や、そこでの働き方を紹介する企画「わたしの仕事場」。
今回は、“在宅育児”をしながら"自宅で働く”人の働き方を伺いました。


普段と違う、先の見えない生活が続く今日このごろ。働き方の面でも、さまざまな影響が出てきています。

緊急事態宣言が全国的に解除される一方で、依然休校や休園、保育園登園自粛要請のため、自宅で仕事をしながらの育児を続けている方も少なくありません。

在宅勤務+在宅保育の両立は本来想定できない状態。急遽対応せざるを得なくなり、そのやり方や捉え方、感じ方は人それぞれ。住む地域や家族・周囲の環境によって状況も異なります。

正解がない中ではありますが、他の人がどんな状況なのか、どう向き合っているか知ってみることで、何かのヒントになるかもしれません。今回は、当事者3名の方に子どもを見ながらの在宅勤務の状況や、その中で少しでも状況をよくしたり、作業をすすめられるよう工夫してきたことなどを伺いました。

夫婦でのシフト調整を意識。はせおやさいさんの場合

はせおやさいさん
はせ おやさいさん(BlogTwitter

会社員兼ブロガー。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。一般女性が仕事/家庭/個人のバランスを取るべく試行錯誤している生き様をブログに綴っています。
▶りっすんインタビュー記事:マイナスの感情を認め、自分が楽しいと思えるように生きる ブロガー・はせおやさいさんが歩む道

【家族構成】
40代・会社員のわたし、20代・自営業の夫、2歳の娘(保育園通園中)です。

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
3月に転職し、新しい職場なのですがほぼ最初から(3月下旬頃から)在宅勤務に。4月からは出社ゼロ、週に5日時短・在宅勤務(当初の予定通り)で働いています。

4月の頭から保育園が休園し、在宅勤務×在宅保育が開始になりました。職場、保育園ともにいつ再開になるか見込みが立っておらず、職場はむしろこの事態を機に「通勤」というスタイルを見直してもいいのではという話があがっています。

【仕事の進め方】夫婦で調整しながら作業時間を確保

はせさん

作業環境がもともと整っていたわけではなかった*1ので、ダイニングテーブルで主に仕事をしています。

10時〜16時の間はわたしが在宅勤務をし、その間は自営業の夫が子供を見ています。夫が作業をする場合は夜もしくは土日で調整しています(奇しくもこのタイミングで夫の仕事が減り、時間の収支は取れています)。夫も自営業でオフィスを持たないため、2人とも在宅作業が基本。夫の仕事が減りましたが、そのぶん子供の面倒を見てもらい、わたしが仕事できているので家庭の収支としてはトントンになる見込みです。

ビデオ会議などが入る場合は時間に合わせ散歩に連れ出してもらったり、わたしの時短に合わせて夫の作業時間を確保したり、都度シフトのように調整しています。

子供にとって母親がテーブルに向かってなにか作業しているのが珍しいらしく、膝に座りたがったりパソコンをいじりたがったりと、在宅勤務開始当初は大変でした。

ある程度日数が経つと多少慣れたようで、さほど興味も示さなくなったので、子供にとっても「日中の母親はパソコンに向かって何かしているものなのか」という印象がついたのかもしれません。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】恒常的に続いた場合のことを考えると……

はせさん

在宅勤務が始まった当初は保育園の休園も決まっていなかったので、夫との時間調整だけで良かったのですが、保育園が休園になってからは子供が終日在宅になり、集中できる時間の確保に苦労しました。

良い面としては家族で食事を一緒に作って食べられる、昼食の時間を使って子供と散歩ができるなど、家族との時間が圧倒的に増えた点です。通勤時間も今はないので、単純な時間的余裕という意味でも、身体的・精神的な余裕という意味でも時間が増えたなと感じています。

良い面悪い面、総合的にいうと「短期間の期間限定であれば家庭内のやりくりで楽しんで乗り越えられるが、恒常的に続いた場合、いつかどこかが破綻しそうで未知」という感じです。

またこれは在宅保育+在宅勤務には直接関係しませんが、自宅で過ごす時間が増え、自炊の機会が増えたので、ずっと欲しかった家電製品を買い足したり、浄水器を導入したり、キッチン周りに目を向けることが増えました。

【取り組んだこと・工夫したこと】視聴時間に注意しつつテレビを解禁

はせさん家の様子。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務×在宅保育・在宅育児になりテレビを解禁

テレビに頼った保育にネガティブな印象があったのですが、解禁しました。Eテレの子供向け番組は神です!『おかあさんといっしょ』『みいつけた』『いないいないばあ』などをその日の子供の気分で見せています。

Netflixやhulu、Amazon Prime Videoなどにある子供向け番組も、あまり長時間になり過ぎないよう注意しながら見せています。食事の支度をする30分くらいは集中して見ていてくれますが、そろそろ子供が飽き始めていて焦っています。

【最後に】
想定していないことへの対応が多発しておりかなり厳しいですが、厳しさの原因は「先が見通せないこと」だと思っています。とはいえ、100%以前のような状態に戻ることはないでしょうから、ある程度は諦めるというか、仕方がないものだと割り切って、この状況が長く続く前提でこれからのことを考えるようにしています。

「自分ひとりの時間がとれない」などのストレスもありますが、家族との時間が作れるようになり、満員電車に乗ることがなくなったなど、また別のストレスは解決しています。少なくない企業にとっても、在宅勤務へのハードルも下がったと思いますし、そういった現状を肯定的にとらえて、新しい働き方を作っていくきっかけにできればと思っています。

動画サイトを積極的に活用。ネジ子さんの場合

ネジ子さん
ネジ子さん(BlogTwitter

ふつうの会社員です。カリントボンボンというブログを書いています。ツイッターもやっています。
▶りっすん座談会参加記事:諦めも肝心ーー先輩ママ3人が語る「子どものイヤイヤ期、こうして乗り越えました」

【家族構成】
会社員の私、夫と娘(小2)と息子(もうすぐ2歳)の4人家族です。

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
在宅勤務は今回が初めてで、在宅勤務と在宅保育が4月中旬頃から同時にスタートしました。夫はこれまで通り毎日出勤しています。学童・保育園は開室・開園していますが、託児を自粛している状態です。

[5/23 追記]
当初は5/15まで在宅勤務でしたが、その後、5月いっぱいまで基本在宅、出社が必要な場合のみ出社、ということになり、緊急事態宣言解除後も引き続き在宅勤務をベースとした働き方にシフトしていく見込みです。だいたい週一回くらい出勤してあとは在宅、という感じになりそうです。

【仕事の進め方】まとまった時間ができたときに一気に集中

ネジ子さん

個室がもともとないのと、子供の様子が分かる場所にいないといけないので、ダイニングテーブルにノートPCを置いて作業しています。上の子(小2)は同じテーブルで勉強することも。

下の子(1歳10ヶ月)は親がそばにいるとおとなしく遊んでいますが離れるとダメ。なので、子供の隣とPCの前を行ったり来たりしています……。下の子がおとなしく1人遊び(上の子と一緒にYouTubeなど見ていることも)している間やお昼寝の時間だけまとまった時間ができるので、その間に仕事を進めています。

とにかく子供の要求に応えながらの業務なので、考えをまとめたり、集中して作業したりするのは難しく、細切れの時間でやっていくしかありません。たまたま4月に部署を異動になり、業務の引き継ぎがあまり行われていない状況だったこともあり、会社から要求されたことはこなすことができている状態です。仕事量がもっと多かったら全く終わらないと思います……。

また生活リズムが大きく崩れないよう、朝は出勤する時と同じくらいの時間に起きて、朝ご飯を家族そろって食べるようにしています。寝る時間も普段通りで、子供たちはこれまで通りの生活リズムを維持しています。下の子のお昼寝も保育園のリズムに合わせて昼食後としています。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】最初はやっぱり体力的に大変だった

ネジ子さん

初日は体力的にもものすごく疲れたのですが、慣れてくると時間配分などが少しはうまくできるようになりました。ただ本来ならば新しい部署での業務を覚えて即戦力となっていきたいのですが、在宅勤務続きのため充分な引き継ぎができず、戦力外になっているな……という感じで、心配しています。

また、この状況下で一番心配なのは下の子の怪我。仕事中はどうしても子供から目を離すことになるわけで、実際メールを打っている間に私の椅子によじのぼって落ちたりしたこともあり、それ以来とにかく怪我がないように気をつけています。これまでのように保育園で先生や他の子との関わりも持てず、かつ家で親が充分に相手をしてやれないという状況もかなり良くないような気がしています。

上の子は学校や学童が大好きなので、学校や学童に行けないことがかなりつまらないらしく、ストレスも溜まっていそうです。

そして親子共々運動不足が心配なので、夕方就業時間が終わったら子供たちと近所を散歩したり、始業前にNintendo Switchのリングフィットアドベンチャーで運動したりしています。

【家庭内で取り組んだこと・工夫したこと】タブレット学習を導入

ネジ子さん

下の子は「満腹だと機嫌が良く一人遊びができる」というタイプのようで、グズグズし出したらオヤツをあげています(それがいいのかどうかは分かりませんが……)。あとはYouTubeでお気に入りの動画を見せています。動画に飽きると場所を変えてオモチャで遊ばせたり。割と一人遊びができるタイプなので、2歳前という年齢にしては手がかからないかもしれません。

上の子は小学生なので、休校が長いとこれまで勉強したことを忘れてしまうのでは……という懸念があり、子供と話し合って毎日時間を決め、ドリルやプリントをやる習慣をつけました。また、子供が楽しんで勉強できるようタブレット学習の通信教育を契約しました。学校からの課題やプリントと、タブレット学習の両方を遊びの合間にやっています。

【最後に】
もともと私の勤務先では在宅勤務はかなりイレギュラーだったのですが、今回のコロナ対応の副産物として、在宅でもできる業務・できない業務がはっきりしたため、今後も可能な部署では在宅勤務自体を継続していく様子です。

託児ができるかどうかによってメリットデメリットが全く変わってしまう在宅勤務ですが、通勤時間を気にしなくてよい分、時短勤務をしなくて済むとか、子供の軽い体調不良のときに休暇取得をしなくて済む等、在宅勤務の選択肢があることによるメリットは大きく、こうした観点からも在宅勤務が定着していくよう後押しして行きたいと思います。

室内で出来る砂場を導入。kayaさんの場合

kayaさん
kayaさん(Twitter

大学教員です。2歳の娘がいます。

【家族構成】
都内私大教員の私(40代)、地方国立大教員の夫(40代。単身赴任先から戻ってきました)、娘(2歳半)

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
4月8日から在宅勤務、在宅保育です。職場が原則入構禁止、全授業をオンラインで行うことになり、はじめて在宅勤務となりました。単身赴任していた夫の職場も同様のため、自宅に戻っています。緊急事態宣言の期間により、いずれも変更の可能性がありますが、夫婦ともに5月末までは職場に入れず、全てオンライン(テレワーク)での仕事になっています。保育園も5月末まで休園予定です。

【仕事の進め方】交代制で子どもを見ながら作業

kayaさん

2LDKの自宅の仕事用デスク(半個室)とダイニングテーブルを夫婦で仕事内容により使い分け。それぞれのノートパソコンで作業を進めています。

日中は夫と交互に子供の相手をしながら仕事をしますが、子供が父母両方と遊びたがる&一人が家事や買い物をしていたら、一人は子供の相手なので、ふたりとも仕事ができない時間は結構長いです。

子供が昼寝したらチャンス!ですが、週3日くらいは昼寝しません……。基本的に子供が就寝し、家事も終えた22時ころから深夜まで仕事をしていましたが、昼間にオンラインで講義や会議が多かった日は疲労がひどく、体がもたないので、最近は諦めて寝てしまうことも多いです。

夫婦ともに大学教員で、講義、ゼミ、会議をオンラインでやるため、その時間がかぶってしまったときは結構な修羅場です。主に交代制で娘の相手をしていますが、抱っこしながら会議(ビデオを切る)や娘に動画を見せながら寝室で会議に出たりすることもあります。授業準備やメールの返信は深夜になってしまいます。

夫の勤務地では緊急事態制限が解除されたので、夫が赴任先に戻らなければならなくなった場合(まだ未定です)、そのときにまだ保育園が再開していなかったら、私は仕事ができるのだろうか、というのは不安を覚えています。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】正直しんどい! 一方で、よかったことも

kayaさん

最初の10日間くらいは、仕事の緊急対応が大変で、睡眠不足+精神的負担でかなりしんどかったです。その後は、夫のフォロー(家事は完全折半・食事の支度も七割方やってくれています…)や、仕事量が落ち着いたこと、自分で手も抜けるようになったことで、回るようになってきました。

それでもベースとしては「しんどい」です。自分のやりたい仕事のうち半分もできていないという焦りと不安感があります。オンラインでの指導、研究の全てが手探りで、教えている学生にも、何かと不足を感じさせているだろうなと。

一方で、私の妊娠中から単身赴任だった夫が在宅で、親子でこれほど長く親密な時間を過ごせているのは出産後初めてのことで、それはありがたいです(そのうれしさをようやく噛み締められる余裕が出てきました)。

不安な面としては、「父も母も家にいるのに、相手をしてくれない(ことがある)」ことへの娘のストレスが心配ではあります。今までなかったような、爆発するような号泣が増えたのは、そのせいなのか、成長なりのイヤイヤ期なのか。一方で「お仕事」ということをかなり理解してくれている部分もあり、我慢させているなあと思います。

【家庭内で取り組んだこと・工夫したこと】家遊びができるアイテムを積極的に導入

kayaさん

子供は、まだ一人遊びはほとんど無理なので、気をそらすため、タブレットでの動画鑑賞やゲームなど、普段は極力少ない時間にしている娯楽を全部解禁しているところがあります。

家遊びのために、室内でできる砂場(キネティックサンド)を購入したり、ゲームはいくつか新しいものをダウンロード/課金したりしました。室内運動のためのトランポリンも検討しました……(今のところ保留)。

公園や外遊びなども、最低限にしているため(物理的に仕事仕事で連れていけない日も多いです)、天候が良いときは、「ベランダで食事」「ベランダでおやつ」は、よくやっています。

【最後に】
仕事での満足度を求めると「できていないこと」ばかりで心が荒むので、家族で過ごせていることのありがたさの方に目を向けたいと思っています。平常時は母子で朝晩しか一緒にいないので、夫も単身赴任先から帰っている今だからこそ、ここぞとばかり、親子三人でお菓子作りや料理を一緒にしたり、摘んできた植物で押し花したり、紙工作をしまくったり、保育園のかわりに娘と遊んでいます。

***

これまで通りに生活することがなかなか難しい日々。子供がいる方もいない方も、誰かと暮らしている方もそうでない方も、みんなそれぞれ先の見えない状況を過ごしているはずです。それぞれが今の状態や悩みを共有したり、ポジティブなできごとを報告したりすることで、気持ちが軽くなることもあるはず。一人で、家庭内で抱え込まず、日々を過ごしていきましょう。

※各参加者の回答は5/15時点のものとなります

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*1:寝室の片隅に作業スペースを作るかどうか、夫と相談中です(作った後に在宅勤務解除になることも想定し、あまり大きく住環境を変えたくないのが悩みどころ)

オン・オフ切り替えどうしてる?みんなの自宅の作業環境を聞いてみました【わたしの仕事場】

どんな場所で、どんな環境で仕事をするかーーはたらく人それぞれに「仕事場」があるはずです。一人ひとりの仕事場の様子や、そこでの働き方を紹介する企画「わたしの仕事場」をお届けします。今回は、リモートで仕事をする5名の方に、自宅の作業環境をお聞きしました。


新型コロナウイルスの影響で、リモートワーク(在宅勤務)になった人も多いのではないでしょうか。突然のことで「作業環境が整っていない」と頭を悩ませている人も少なくないはず。

以前からリモートワークを導入していたり、在宅で仕事をしていて作業環境が整っていたりする方も、外出自粛に伴いおうちで過ごす時間が長くなった分、オンオフの切り替えがしづらくなっているようにも思います。

そこで、「作業環境を整え始めた方」「以前から在宅でPCをメインに仕事をしている方」計5名に、

  • リモートワーク(在宅勤務)の経験と現在の働き方について
  • 現在の作業環境について
  • 在宅勤務で意識しているオンオフの切り替え方法(メリハリをつけて仕事をするコツ)

をそれぞれ教えていただきました。

「快適な作業環境のためには何があるといいんだろう?」「皆はどんなものを導入したんだろう?」「自宅でも集中して仕事をするにはどうすればいい?」ーーこんな疑問を解決するヒントが見つかるかもしれません。


妥協せず積極的にお試し中。月山ももさんの場合

【紹介者】月山ももさん(BlogTwitter

月山ももさん

登山と温泉を絡めた一人旅が好き。ブログ「山と温泉のきろく」では、温泉宿への宿泊記、日帰り入浴記、旅の食事や登山の記録を更新しています。
▶りっすん寄稿記事:登山のおかげで「仕事で何かができる人」になれなくてもいいと思えるようになった

【リモートワーク経験&現状】基本出社→フルリモートに

山と温泉のきろく」というブログを書いています。登山と温泉を絡めた一人旅が趣味で、休日は山や温泉へ。平日は会社勤めをしつつ夜はカフェやファミレスでブログ執筆、という生活を長く続けていました。

試験的に何度かリモートで勤務したことはあるものの、基本的に毎日出社していました。しかし3月に入った頃から「在宅で業務が行える人はできるだけ在宅で」という方針になり、緊急事態宣言発令後はフルリモート勤務に。

私の勤務先は恐らく、事態がある程度落ち着けば「全員出社する」方針に戻ると思います。となると今躍起になって環境を整えなくても、あるものでとりあえず間に合わせるという考え方でもいいのかもしれません。

ですが私の場合「長時間快適に執筆できる」という観点で環境を整えれば、今後は自宅でブログ執筆に集中できる環境を手に入れることができるんだ! と考え、妥協せずにいろいろと試しているところです。

【作業環境について】液晶テレビをPCモニターとして活用中

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寝室の窓際を片付けてスペースを作り、シンプルなデスクとデスクチェアを設置し作業スペースとしています。デスクチェアの横にはスリムワゴン(ニトリでキッチンワゴンとして売られていたもの)を配置し、書類やデスクライト、スマホスタンドなどの置き場としています。

ノートPCの画面を長時間覗きこむのは首や肩に負担がかかるため、19インチの小型液晶テレビをPCモニターとして使い、高さを調節するためにモニター台の上に載せています。モニター台はUSBハブ機能を持つタイプのものなので、デスク上の配線をすっきりさせるのにも便利です。また、ノートPCのキーボードに慣れているため、同じ構造の「パンタグラフ式」のUSBキーボードを使用しています。

また、現在はメインで使っていませんが、テレワークを始めて間もない頃は「ソファに腰掛けて快適にPC作業を行える」という折りたたみ式のテーブルを使用していました。高さ調節もできるため、ソファだけでなく座椅子などに座って使うことも可能です。

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フルリモートになってから導入したアイテムの中で特に「(導入して)正解だった!」と感じたのは「デスクライト」「バランスボール」「ストレッチポール」の3つ

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(写真左)デスクライト……作業スペースを明るくなって集中しやすくなるのはもちろん、調光機能付きで自然光に近い色で照らせるため、オンラインMTG時に使うと顔色が明るくなり、すっぴんでもあまり気になりません。

(写真右)「バランスボール」と「ストレッチポール」……座りっぱなしで腰に負担がかかるなと思い、ときどきですがバランスボールを椅子にしながら仕事をしています。また、仕事後に凝り固まった肩・背中・腰をゆるめるため、ストレチッチポールも一緒に購入しました。かなりの効果を感じています。

今後導入したいと思っているものは「少し質の良いデスクチェア」。リモートワーク生活が始まってから通販で購入したため、試座なしで高めのものは怖くて買えず、5,000円ぐらいの安価なものを使っています。それなりに満足はしていますが、値段なりだなと思う部分もあるので、いずれもう少し良い椅子を導入できたらなと思っています。

【オンオフの切り替え方法】まずは着替える!

オンオフの切り替えをするために、意識していることは主に以下の3つです。

「仕事を始める前に着替える」こと……寝間着のような格好で仕事をしていると切り替えが難しいので、出社するときほどきちんとした服装ではないものの、人に見られたとしても大丈夫な格好に着替えてから仕事をしています。

「昼休みは天気が良ければ外に出る」……コンビニやテイクアウト営業の飲食店にランチを買いに行くだけですが、ずっと部屋にいると「昼休み」という感覚すらなくなってしまい、ダラダラと仕事を続けてしまうので、1度リセットするために外の空気を吸ったほうがいいなと感じました。また、帰宅後には洗顔をすることで、午後の業務への集中度が増します。

「残業をしない」こと……これも強く意識しています。通勤をしなくなり、休日も山に登れないことで運動不足になるのを危惧し、悪天候の日以外は1日1万歩を目標に近所を歩くようにしています。仕事の後に歩く時間を作るためにも、仕事はなんとかして定時内に終わらせたいのです。残業なしでその日やるべきことを終わらせるためには集中するしかなく、自然とメリハリがつくように感じています。

腰痛&肩こり対策・食材ストック用アイテムを導入。micvanyさんの場合

【紹介者】micvanyさん(BlogInstagram

micvanyさん

都内オフィスで、お弁当アプリのディレクターとして働く日々。プライベートでは『頑張りすぎないお弁当生活』をモットーに、日々お弁当を作り、はてなブログやInstagramで更新中。「お弁当プランナー」として、お弁当の詰め方レッスンや、書籍へのレシピ提供なども行なっている。食生活アドバイザー2級。
▶りっすん寄稿記事: 「お弁当生活」をはじめたら、忙しい会社員の日々も充実して過ごせるようになった

【リモートワーク経験&現状】不定期&短時間リモート→フルリモートに

都内IT企業でサービス開発ディレクターとして働いています。基本的には10時過ぎに都内のオフィスに出社し、20時頃に退社する生活で、不定期で月に1回程度、リモートワークをしていました。1日まるっとリモートワークというよりは、午前中だけ家で作業して、午後出社……という半在宅勤務が多かったです。

2月中旬から完全リモートワークになりましたが、勤務時間に大きな変化はありません。勤務中は、ずっとパソコンに向かって仕事をしています。

【作業環境について】オンラインMTGにホワイトボードが活躍

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テーブルと作業用デスクを組み合わせてL字にして使い、会社貸与のノートパソコン、モニターで作業しています。業務上ほぼPC作業が中心のためノートPCのパッドではなくマウスを使用しています。また、業務上、スマートフォンを使うことも多いので、スマホフォルダーをテーブルに設置して、アプリの動作確認などをしやすいようにしています。

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また、個人的にホワイトボードが活躍しています。ホワイトボードに付箋を貼ってTODO管理をしたり、オンラインMTGの時には、簡単な図を書いて説明したりするのに使っています。TODO管理は、インターネット上のサービスを使って行うことも可能ですが、自分で書いたり、消したりする方が整理しやすい性格なので、少しアナログかもしれませんが、日々活用しています。

自宅での長時間作業を支えるアイテムを導入

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終日在宅勤務になり、自宅デスクで長時間パソコンに向かうようになったため、腰痛対策にIKSTARの低反発クッション座布団を買いました。オフィスのようないいイスはスペース的に置けないので、座布団が丁度いいです。かなり厚みがあるので、長時間座っていてもお尻が痛くなりにくく、安定感もあります。

また、家の中にいて同じ姿勢が続くため、前よりも肩こりがひどくなってしまいました。そこで同僚に勧めてもらったのが、低周波治療器。今の時期は、マッサージなどに行くこともできないので、家で肩こり対策をしています。オムロン 低周波治療器 エレパルス HV-F127を使用しています。

\こんなアイテムも導入しました【ミニ冷凍庫】/
ミニ冷凍庫

一人暮らし用の小さな冷蔵庫を使っているのですが、食料品をネット通販などでまとめ買いすることが増え、すぐ冷蔵庫がいっぱいになってしまうようになったので、別でミニ冷凍庫を買いました。作り置きしたおかずをストックしたり、夏場は氷を作って冷たいドリンクを飲みながら作業しようと思っています。

【オン・オフの切り替え方法】週単位でのルーチーンを意識

平日にやることと、土日にやることを分け、1日単位、週単位でのルーチーンを作ることを意識しています。

例えば平日は朝7時に起きて、お弁当を作り、化粧と着替えをして、始業20分前にコーヒーを淹れます。お昼休みはきっちり1時間取って、終業後はモニターの電源を消し、できるだけノートPCも開かないようにしています。週末は、映画を見たり、時間のかかる料理をしたりします。今まで買ったことのない食材を買ってみたり、「毎週日曜日の夜はおつまみ盛り合わせを作る」と決めて、何を作ろうかなと考えるのも楽しいです。


週3→週5リモートでデスクと椅子の必要性を実感。スイさんの場合

【紹介者】スイさん(Blog

スイさん

LGBTの「B」としての生活と、おたく活動と働き方の両立について文章を書くブロガー。エンタメ(ハロプロ、舞台、漫画、小説など)が好き。パートナーのキツネさんと猫の2人+1匹暮らし。
▶りっすん寄稿記事:自分の仕事ぶりを、自分で責めるな。私に必要だったのは「傷つけない」働き方

【リモートワーク経験&現状】完全在宅勤務にシフト

全社員が日数のしばりなくリモートワークが可能な企業で働いており、これまでも週3日程度はリモートワークを行っていました。

ただ、新型コロナウィルスの影響で出社禁止に。取引先への訪問やセミナーの実施もすべてオンラインに変更になったので、今は完全に在宅で仕事を行っています。

【作業環境について】デジタルとアナログをバランスよく使用

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主に自室のデスクで仕事を行っていますが、気分転換のためにリビングの机で仕事をすることもあります。また、部屋の明かりだけだと手元が暗くなるので、デスクライトも導入しています。

元々週の半分は在宅で仕事をしていたとはいえ、週5日テレワークをするとなると腰への負担が大きく異なるということに気付き、長時間PC作業をする上でデスクと椅子は必須だと改めて感じました。リビングで仕事を行うときは、ソファに座り厚いクッションを腰とソファの背の間に挟むようにして、隙間をつくらないようにしています(これだけでも腰への負担が大きく変わるような気がします)

ビデオ会議をするときは会社から支給されたイヤホン、またはヘッドセットを必ず使うようにしています。PCのマイクで直に拾った音に頼っている方も少なくないと思いますが、聞き取りづらい&音を拾いづらいため、イヤホンやヘッドセットを導入するだけでも仕事のしやすさが変わると思います。

PC画面からあえて「目を離す」ためのアイテムたち

PCの横には必ず手帳とペン、アナログの時計を置いています。すべてオンラインで完結させることももちろんできるのですが、ずっとPC画面を見ていると目が疲れますし、画面上を目が上滑りして考えがうまくまとまらないなと感じることも多いので、あえてアナログなツールをミックスするようにしています。

\導入してよかったもの【アナログの時計】/
ミニ冷凍庫

元々リモートワーク環境は整っていた方かと思いますが、最近導入してよかったなと思ったのはアナログの時計です。PCの横の目線をずらせばすぐ見える位置に置いています。 アナログの時計があると感覚的に時間を把握でき、「あと10分でミーティングが始まるから準備に移ろう」「終業まであと1時間半だからこれをやってしまおう」というふうに考えられるようになりました。

今後、導入を検討しているのは「PCスタンド」。どうしてもPCを見ながら首が前に出て背中が丸まる格好になってしまうので、姿勢が悪くなってしまうのが心配で。そのため、ノートPCのキーボード部分に角度をつけて、モニター部分が少しでも上にくるようにできるPCスタンドを購入したいと思っています。

【オンオフの切り替え方法】1時間に1回は仕事の手を止める

仕事が終わった後は、PCや会社携帯は鞄にしまってからリビングに行ったり、自室に置きっぱなしにして散歩に出かけるなど、仕事と「物理的に離れる」ことを意識しています。

また、自宅でもメリハリをつけつつ仕事に集中するために、1時間に1回は、とりあえずトイレに行ってみる、キッチンに立ってお茶を入れてみるなど、「空間の移動」「とにかく立ち上がること」ことを意識するようにしています。

リモートワークを始めたばかりの頃は「サボっていると思われるのではないか」などとパソコンの前から離れることに罪悪感を覚えることもありました。でも、「オフィスにいるときだってトイレには行くし、お茶を入れることもあるし、人と喋る時間もあるよな」と思うようになり、今では適切に休憩を取って仕事時間は仕事に集中できています。


リモートワーク歴約6年! コロポンさんの場合

【紹介者】コロポンさん(Blog

コロポンさん

旅行系ITベンチャー企業勤務。夫、娘の3人家族。Webメディアを運営しつつ、自分でも女性の生き方・考え方や旅関連の執筆業をしています。▶りっすん寄稿記事:「妊娠2ヶ月」で報告するのは早すぎ? 妊娠初期とその働き方について知ってほしい

【リモートワーク経験&現状】夫婦で在宅勤務&在宅保育中

2014年ごろから徐々に在宅勤務の日数が増え、2017年には基本リモートワーク(月1~2回対面ミーティング)になりました。新型コロナウイルス流行以降は、完全リモートワーク。夫も3月下旬以降リモートワークになっています。

また1歳の娘が、保育園の登園自粛要請が出たため、現在在宅で面倒をみながら仕事しています。子どもをみながらの在宅勤務がかなりつらい……という状況です。

【作業環境について】複数PCモニターを設置し、作業画面を広く

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2019年7月に現在の家に引っ越して、3LDKの1部屋(約6畳)を主に仕事をする部屋に(仕事専用部屋ではないので、化粧台等も置いてあるのですが……)して、広めのデスクを設置しています。仕事中のほとんどをこのデスクで過ごしています。

Webサイトや動画関連の業務が多いため、ノートPCにモニターを2台つなぎ、トリプルディスプレイに。基本ノートPC画面にビデオチャットを全画面表示&繋ぎっぱなしにして、他のモニター2台で作業を進めています。最近ではさらに1台サブノートPCでSlackを立ち上げています(デスク上に4画面ある状況です)。

デスクはIKEAのイドーセン シリーズのもの。ガタツキがなく堅牢、そしてかなり大きいです(横160cm、奥行き80cm)。この大きさだからこそ、複数ディスプレイ環境を実現できています。

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マウスはロジクールのM325tLSを使用。「ウェブ用ホイール」というウェブブラウジング用にデザインされたスムーズにスクロールができるホイールがついていて、縦長のWebサイトを扱う作業が多い私にとってはこのマウス以外受け付けなくなってしまいました……。

マウスパッドは品名等は不明ですが、リストレスト(手首の下に敷くクッションのようなもの)と一体になっている点がお気に入り。これがなければ手首を1日で痛めてしまいます。

椅子の上には姿勢サポートシート(MTG Style Athlete)を載せています。個人的には寄りかかったとき背中がデコボコに当たって押されるのが気に入っています。

\こんなアイテムも愛用しています/
クリップ式ドリンクホルダー

地味にクリップ式ドリンクホルダーが便利。結露でデスクを濡らさなくて済みますし、貴重な机上スペースを使わずドリンクが置けるので重宝しています

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務になった夫は、現在リビングのダイニングテーブル上で仕事をしています。距離的に少し離れた環境で作業できていることもあってか、特にやりづらさなどは感じていません。

夫婦揃っての在宅勤務の場合は、なるべく物理的に距離をとるのが重要なのではないかと思います。私も邪魔しないように、なるべくリビングに行く回数を減らすようにしています。

作業環境は整っていたけれど……

ただ、夫婦揃っての在宅勤務に加え在宅保育になってからは生活が一変。 毎日の記憶が曖昧になるくらい目まぐるしく日々を乗り越えています。

◯おおよその1日の家庭内スケジュールを決め、仕事の調整や夫婦間の分担などをしやすくする

◯お互いのビデオミーティングの把握×子守の協力体制

などを実行して、なんとかやっています。ただ大前提として、子守しながら普段通り仕事するのは本当に無理です。完全に解決するには「保育園に行ってもらう」以外ないのだと思います(保育園に感謝しかないです)……。

【オン・オフの切り替え方法】休むときは休む&体を動かす

在宅勤務はオフィス勤務時よりもオンオフをもっとはっきり区別するようにした方が効率的なのかもしれません。家だといろいろな誘惑もあるから、いっそ誘惑に負けておいて、その後一気に仕事を終わらせる。そんな時間の使い方の方が在宅だと良かったりするのではないかな……と。

例えば私は、仕事中疲れたら寝室に移動し、ベッドで横になり身体を伸ばしたり、(ここで白状しますが)仮眠をとることも。もちろん勤務時間中はちゃんと連絡取れないとみんなが困るので、それだけは気をつけなければいけないとは思いますが、それ以外に無理に常時仕事しているふうを装う必要はないと思います。その代わり、成果物はちゃんと出して信頼してもらわないといけないなとは感じています。なので、仮眠をとったあとは「やらなきゃ」という使命感で一気に作業を終わらせられる気がします……。

あとは子どもを登園させていた頃は、運動不足解消も兼ねて、昼休みにランニングをしていました。在宅だとどうしても身体を動かす機会が少ないのでいい習慣だったと思います。が、子どもが家にいる今はそれは難しい……。


夫婦共に在宅勤務はベテラン! 新規で子ども向けのアイテムを導入。おなじといっしょさんの場合

【紹介者】おなじといっしょ(mojamojayoriko)さん(BlogTwitter

mojamojayorikoさん

フリーランスwebデザイナーのわたし。夫とむすめ、そして“おとうと”の4人家族。育児にまつわる、おもしろかったこと。もやもやしたこと。夫とともに自営業で生計を立てつつ“丁寧なくらし”がしたくて、もがいたりする話を記録しています。

【リモートワーク経験&現状】在宅勤務は手慣れたもの。ただし子ども2人が絶え間なく家に

おなじといっしょ」という育児ブログを書いています。夫とともにWebサイト制作関連の仕事をしており、フリーランス時代を経て自宅兼作業所という生活を14年間続けています。

長年自宅作業を続けているため、リモートワークに関する混乱はないのですが、普段と今回の騒動との大きな違いは「小学生&保育園児が絶え間なく家にいること」。これは正直に申しまして、かなり大変ですね……。

【作業環境について】持ち歩けるMac miniを愛用

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普段から自宅と職場に同じサイズのPCモニターを置き、お弁当箱サイズのMac miniを持ち歩くようにしています。

「しまった!データが同期していない」「貧弱なPCだったので思った以上に作業に時間がかかる」……と仕事場が2拠点あることでたくさんこういった失敗をしてきた身としては、Mac mini を持ち歩く方法が自分に合っています。PCが違うことで生じる細かいストレスがなくなりました。ノートブック型のMacBook Proだとカッコ良すぎる、Mac mini を弁当箱のように持ち歩くギークじみた無骨なスタイルも自分らしくて気に入っています。

macmini

インスタ勢のお弁当のようにおしゃれっぽく撮ろうとしたんですけど無理がありました

もともと夫婦共にリモートワーク必須な職業なので、快適な自宅作業環境づくりは最も重要な課題です。在宅仕事が快適にできるのは都市部かそれとも田舎かという視点で引越しを決めたり、仕事部屋の作業机もこだわったり。2回のバージョンアップを経て今はIKEAで買ったビジネス用の大きな会議テーブルを夫婦で共有して使うスタイルになっています。

子どもを見ながら作業を進捗させるために導入したもの

長年自宅作業を続けているため、だいたいのものは揃っているのですが、今回「子どもが常に仕事場にいる状態」でもなんとか作業を進捗させるためにいくつか購入したものがあります。

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まずは、洗濯のり。洗濯のりと食器用洗剤でシャボン玉液を量産して、ベランダでシャボン玉遊びに興じていただく間に、仕事を進めます(作業デスクから目の届くところにベランダはあります)。

それと、あつまれ どうぶつの森。予定を早めて思い切って買ったのですが、大人の手を借りず、子どもらだけで遊べるゲームの存在はすごく助かりました。

そのほか、今わが家で試している最中なのが、夫婦間でのシフト制育児。作業に没頭できない、ということが大人にとって非常に大きなストレスになることが分かったので、例えば午前からお昼までは私の作業没頭タイムで夫に子どもたちをみてもらい、午後からは夫と交代しています。

\こんなアイテムも導入しました【プリズナートレーニング】/
プリズナートレーニング

監獄でも最強になれる筋トレの本。筋トレは専用グッズが必須と思われがちですが、道具を使わず自分の体重を使って畳一畳分のスペースでトレーニングする方法が載っています。
長期間作業に集中すると、エコノミー症候群のような状況を自ら作り出してしまい調子が悪くなったり、今回のように育児しながらだと思うように作業に集中できず、気持ちがクサクサしてしまうことも多々。筋トレというよりも気分転換に役立っています

【オン・オフの切り替え方法】意識的に「オフタイム」を捻出する

結婚当時から子どもが生まれた今も「生活=仕事」のような暮らしの我が家。今回、この依頼ではじめて気がついたんですけども「オンとオフの切り替え」という概念がないような……。

子どもの相手や家事を考慮しないのであれば、晩ご飯の煮物を煮込んでる間や朝のホットケーキを焼いてる間にも作業(たまに焦がします)するなど、寝ている時とトイレ以外はPCに向かっているような生活をしてきました。

とはいえ今までのやり方と今回の事態はまったく違い、子どもたちのためにもオフの切り替えが重要だなと感じています。

その際に役立っているのが、家族みんなで寝る前にNetflix『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』を1話ずつ見るという習慣。過度のお色気シーンも暴力シーンもなく子どもと安心して見れる上に、最高に作り込まれた世界観とウィットに富んだキャラたちのやりとりが、おとなも娯楽として十分に楽しめ、1日の終わりにちょうどよいボリュームの物語が繰り広げられます。

子どものために始めた習慣ですが、今はわたし自身の何よりの心の拠り所になっています。

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産後クライシスは一度じゃない。乗り越えた夫婦が気付いた「頼ること」と「共有」の大切さ

 鈴木妄想

鈴木家の様子

ライターとしても活動するブロガーの鈴木妄想さんは、2015年に第一子が誕生してから現在に至るまで、育児にまつわるさまざまなクライシス(危機)を夫婦で乗り越えていったのだそう。

幾度も訪れる危機を経て気付いたのは「夫婦だけでどうにかしようとしない」「共有の大切さ」と語る鈴木さん。具体的なエピソードを交えながら、ご夫婦がどのようにしてきたのかをつづっていただきました。

はじめに

待望の赤ちゃんが無事に生まれ、幸せに満ちた家族生活、というステレオタイプなイメージとは裏腹に、赤ちゃんを授かったばかりの家庭は、危機的な状況を迎えることが少なくありません。

「産後クライシス」という言葉をご存じでしょうか?子どもが産まれてから、急激に夫婦仲が悪くなったり、関係が冷え切ったりする現象を指し、2012年にNHKの番組が名付け*1、一般的に認知が広まった言葉のようです。ただ、夫婦間のクライシス(危機)は、出産直後だけではなく、想像以上に長期にわたって訪れるようにも思います。

我が家は、2020年4月現在で43歳の筆者と34歳の妻、そして4歳半の息子の3人家族です。これまでを振り返ると、我が家でもいくつかの危機を迎え、そしてどうにか乗り越えてきました。

今回は、現在までの様々なクライシス(危機)を振り返ってみます。我が家は、夫はフリーランスの兼業ライター、妻は在宅漫画アシスタントという共働き家庭。企業に属していないので、少し特殊な例かもしれませんし、決して理想的な方法ではないかもしれません。でも、少しでも皆さんそれぞれが直面するクライシスを戦うヒントになればと思っています。

【クライシス1】夫婦だけじゃ負けていた生後100日戦争

不育症を乗り越えて、待望の第一子!

我が家で初めての妊娠がわかったのは2011年5月。震災直後に一緒に住みはじめたドタバタ生活の中での出来事でした。予想していない妊娠だったので正直に言ってびっくりしましたが、授かった命にはうれしさも大きかったです。

ですが、10週で流産が分かります。特に妻の落胆ぶりは、本当に見ていてつらくなるほどでした。担当医の強い勧めによって検査をしたところ、妻の「抗リン脂質抗体症候群」が判明。これは、妊娠中に血栓ができやすく、流産しやすい体質である、ということです。いわゆる「不育症」の一つです。

不育症治療のために大学病院に通院、3年ほどの定期診察を受けた後、2回目の妊娠が判明します。妻の場合は、毎日2本の自分で自分のおなかに注射をする「自己注射」をすることになりました。血栓を防いで、おなかの赤ちゃんにしっかりと栄養を届けるためなんですが、これ、おなかが注射痕であざだらけになるんです。痛みに耐えながら、妻は毎日、自分のおなかに注射をしていました。頭が下がります。

2015年7月のよく晴れた日、第一子である息子が誕生。不育症治療を経ての出産、本当に、本当に待望でした。自分の両親にとっても、妻の両親にとっても初孫である彼は、全家族の愛を一心に受けていました。

息子の写真

甘過ぎる見通し、尋常じゃない睡眠不足

不育症治療中の頼もしい妻を見ていると、子どもが産まれたら、よいお母さんになるんだろうな、と考えていました。そして、私自身も少し年齢の離れた弟がいたり、学童などの子どもと関わるアルバイトの経験もあったので、子どもを世話することは得意だ、と自負していたこともあり、我々夫婦には、きっといい子育てができるはず! と信じていました。

ただ、そんな甘過ぎる見通しは脆くも崩れ去ります。息子がミルクが欲しくて泣くのは約3時間に一度、つまりは3時間以上連続して眠ることができない状態が続くと、かなりしんどいんです。特に産褥期(さんじょくき)*2で身体がガタガタの妻は、完全な寝不足状態でピリピリし通し。

そもそも、昔から「産後の肥立ち」という言葉があるように、出産直後は身体の大きな変化が起きると同時に、精神的な変化も大きな時期です。いわゆる「産後うつ」「マタニティーブルーズ」は、出産後に気持ちの落ち込みが激しくなり、イライラやマイナス思考が加速したりすると言われます。

そう、妻もその一人でした。新生児育児は、どうしてもうまくいかなかったり、思い通りにならなかったりする部分が多くあります。そういう時、妻自身を強く責めてしまったり、時には夫である私に悪態をつくこともしばしば。

そして、自分自身も、新生児育児の大変さに疲れ果ててしまいました。事前の予想に反してイライラすることばかりで、授乳とオムツ替え時間を記録するシートに、呪詛の言葉を書き連ねた日もありました。夫婦で激しく言い争いすることもしばしば。我が家は、典型的な産後クライシスでした。

救いになったのは、精神科とサポーターさんとベビーカー

抱っこ紐一つを選ぶにもギスギスし、口論するようになってしまった夫婦を救ってくれたのは、産後の家庭訪問をしてくれた保健師さんでした。産後うつの可能性が高いことを教えてくれ、評判の良い精神科を紹介してくれました。この主治医の方には夫婦ともに今でもお世話になっていて、行き詰まった時に具体的なアドバイスをもらったりしています。

夫婦二人だけで息子の世話をしていた部分にもメスを入れてくれ、公的な子育てサポーター制度を紹介してくれました。かなり格安で料理や洗濯などの家事を代行してくれ、さらには子育ての悩みも聞いてくれます。この方の存在にも、本当に助けられました。

さらに我が家の生活を変えたのは、リサイクルショップで購入したベビーカー。赤ちゃんを連れて歩いていると、周りの人に声をかけてもらったり、親切にしてもらったりすることも増えました。夫婦だけの密室育児から、徐々に解放されたように感じます。

振り返ってみると、「夫婦だけでどうにかしようとしない」ことに気づけたことが、何よりも我々夫婦の産後クライシスを救ってくれたように思います。サポートを家族や周囲の人に頼みづらい場合は、専門の方や公的サービスを利用することもいいと思うんです。「生後100日戦争」ともいわれる最初の数カ月を過ぎて、育児はずいぶんと楽になり、そして夫婦の間にも笑顔がまた増えていきました。

リサイクルショップで購入したベビーカー

【クライシス2】息子の行動が分からない。発達の不安

この行動は何なんだろう? 他の子と違わない?

生後半年ごろからしばらく、本当に赤ちゃんらしいかわいさを発揮する時期でした。一緒にお出かけする回数も増え、子育てしていて楽しい時期だったように感じます。なんとなく、子育てって、大変な時期と楽しい時期が交互に来るような気がしますね。

生後9カ月から、0歳児保育をしている保育園に運よく受け入れてもらうことができました。生後3カ月ごろまでは育児に大きな不安を抱えていた妻も、仕事を再開することができ、かなり自分に自信を持っていたように感じます。

そんな中で、息子について気になることが増えてきました。それは、保育園の同級生と比べて、発達が遅いこと。周りの子どもたちと比べると、歩きはじめるのも遅いし、言葉が出始めるのも遅い

保育園の親子が集まって遊んでも、同級生のグループから一人離れて、公園の周りにある柵をグルグルするばかり。そこに一人で付き添って歩くのは、なんとも寂しいものがありました。

夫婦の話し合いは行き詰まり……

もしかすると、何か問題がある? いや、しかし、これは息子の個性なのかも? 悶々と悩みました。目が合うことも少ないような気がします。親の言うことがよく分かっておらず、こちらが困るようなことばかりしてしまうことが多いようにも感じました。あまりにもイライラして「嫌がらせでやってんのか……」とぼやいてしまうこともしばしば。

なぜ他の子のようにできないんだろう? そんな時、夫婦の間では「○○した方がいいんじゃないか」「もっと○○しない方が良いんじゃないか」いろいろと考え、話し合いました。答えはなかなか見つからず、話し合いはどうしても険悪な雰囲気になってしまいます。これもまた、一つのクライシスでした。

今思い返すと、そんな夫婦の姿を見ていた時の息子は、驚いたような、悲しいような顔をしていた気がします。

“違う”理由が納得できれば、親も変わる。

夫婦でそんな不安を抱えていた時、助けになったのは、乳幼児健診の個別相談でした。妻が健診に連れて行った日、「気になるところがあるから、また定期的に話に来てみてって言われたよ」と連絡が来た時、驚きや不安よりも、安堵感の方が強かったように思います。

そこからは、比較的スピーディーに進行しました。担当の保健師さんと心理士さんが決まり、数カ月ごとに様子を見てくれ、不安や心配事の相談を受けてくれました。専門の医療機関も受診し、検査も受けて、正式な診断をもらうことができました。

担当してくれたベテラン心理士さんは、本当に分かりやすく、息子の様子について解説してくれました。話していて、何度も目から鱗が落ちるような感覚を覚えました。分からなかった行動も、その理由が分かれば、親も安心できるし納得できるんです。

2歳5カ月ごろから、徐々に言葉が出始めました。専門機関での療育(簡単に言えば、本人が苦手な部分をカバーしていけるような関わり)が始まると、息子はその時間を本当に楽しんでくれました。アドバイスのもと、関わり方のコツを少しずつ家でも取り入れていきました。

子育てを抱え込まず、はるか未来を考え過ぎず。

外出先でのパニックやトラブルも、少しずつ落ち着いていき、息子の大好きな電車や消防車などの乗り物を見に行ったり、飛行機などを使った旅行も楽しめるようになりました。子育てがつらかった時期がひと段落して、また子育てを楽しめる時期になりました。


息子の様子"息子の様子

心のよりどころにしている言葉があります。「子育てを家族だけでしようと思わなくっていいんです。私たちも含めて、みんなでしていけばいいんですよ」という一言です。自分たちだけで息子をどうにかして"普通の子"にしようとしていたら、それは息子にとってとてもつらい経験になってしまったと思います。専門家も含めて、いろいろな人の力を借りながら、みんなで支え合って、育てていけばいいんです。

もちろん、何も問題がないわけではありません。保育園でお遊戯や集団行動ができない時もあります。突然見せるこだわりに、手を焼くことも多くあります。そして、これから、どこまで彼が成長していくのか、将来どんな人生を歩むのか、それは、本当に未知数です。

ただ、ベテラン心理士さんは「遠い未来のことではなく、半年先のことを考えて、息子さんに関わっていきましょう」とも言ってくれました。誰だって、どんな人だって、遠い将来のことは分かりません。ただ、今自分たちができることとして、半年ほど先のことを見据えて行動していけば、それほど大きな間違いはしないだろう、我々夫婦もそう思っています。

【クライシス3】仕事と家事育児、どっちも大事でどっちも大変

夫の不定期連載媒体で、妻がまさかの連載開始!

医師や心理士といった専門家の方々による定期的なサポートや、療育への通所によって、息子の突飛に見えていた行動への親側の不安やパニックは、ずいぶんと軽減していきました。

それと並行して、夫婦ともに、仕事が忙しくなっていきました。そして意外な展開もありました。自分が不定期に連載をしているウェブ媒体で、夫婦コラボで子育てマンガについての記事を掲載することに。そこから始まって、妻が同じ媒体で連載を開始することになったんです。

結果的に、3年以上の期間連載は続き、しかもペースは基本的に週刊。初めての週刊連載には大きな戸惑いもあったようですが、着実に人気は上昇。パートナーとしては誇らしく、同じ媒体に寄稿するライターとしては多少のジェラシーも感じました(笑)。

ただ、週刊で漫画を連載するというのは、想像を絶するほど大変なものなのです。一週間のうちにテーマを決め、ネームを切って、担当編集者の直しが入り、ペン入れが終わったら、フルカラー原稿なので全コマ丁寧に色塗りをして……。

妻の作業時間は、夜に息子が寝静まってから明け方まで、という日も増えていきました。朝はなかなか起きられず、仕事に行く前の私が、朝食の用意や息子の身支度をする日もしばしば。さらに私が夕方に帰宅すると、原稿が終わらない妻に頼まれて、夕食を作る日も増えました。

こんな日が、たまに一日二日であれば、大きな問題ではないんです。ただ、自分自身の仕事が忙しい時期と、自分が家事育児を多く担当しなければならない日がかち合うと、どうしても夫婦の衝突は増えるんです。「なんでここまでやらなきゃいけない?」「分かったよ、やればいいんでしょ!」「そんな言い方しなくてもいいでしょ!」なんて言葉が飛び交います。ここでまた、クライシスが訪れました。

風景写真

大事なのは、ともかく話し、共有することだった

そんな中で、我々夫婦が少しでも状況を改善するためにしたことは、「ともかく話し、共有すること」です。目の前のパートナーが不服そうな顔をしていると、自分に何か不満があるの?と考えてしまうことも多いものです。そんな時でも、しっかり話してみると、実は仕事の問題で悩んでいたり、この先のスケジューリングで悩んでいるだけ、という場合もあります。

二人で、お互いの抱えている問題を共有することで、相手に対しての不満や怒りではなく、それぞれの抱える問題に協力して立ち向かえるようにもなれば、愚痴を聞いたり、一緒に解決策を考えたりすることもできます。

そしてもう一つ共有したのは、バイオリズム。妻は、生理前に簡単に怒りをあらわにしたり、突然ふさぎ込んだり、ということが増えました。いわゆるPMS(月経前症候群)・PMDD(月経前不快気分障害)です。PMS時期と仕事が佳境を迎えている時期が重なると、手負いの獣のような精神状態になってしまうんです。

そこで、とても単純な共有方法ですが、我が家のカレンダーには、PMS期間にマークをつけています。夫婦喧嘩になりそうな時や、口論がエスカレートしそうな時に「そういえば今、PMSだよね?」と気づけば、しばし休戦して距離をとる、ということができます。定期的な不仲に悩むカップルには、バイオリズムの共有は是非オススメしたいです。その裏に、PMS・PMDDが隠れている場合もありますから。

そしてまた、クライシス

2019年いっぱいで妻の週刊連載が終わり、時間的な余裕も出てきました。2020年4月から、息子はいよいよ保育園の年中さん。就学に向け、医師や療育機関との相談もしていかないと……と思っていた直後、我が家にまたクライシスが訪れました。

妻が息子を乗せた電動自転車を動かしている時に転倒。左足首を完全骨折してしまいました。骨折翌日に入院し、数日は実家に帰ったものの、妻の入院中はほとんど自分と息子の二人暮らし。もちろん家事は自分のワンオペ状態です。

母親のいない寂しさもあってか、わがままを言いがちな息子と、慣れない完全ワンオペ育児に忙殺される私が衝突することもしばしば。さらに、手術期間は妻のPMS期間とバッティング。手術前夜にはLINEで大衝突してしまいました。同時進行で、世界中に広がる新型コロナウイルス問題。我が家のクライシスに追い打ちをかけてきます……。

家族の写真

2週間弱の入院と自宅療養生活を経て、妻の足首の骨折はかなり回復してきています。リモートワークにも慣れていて、現状大きな混乱なく仕事を進められているようです。頼もしい限りです。

基本的に家にいる息子のためには、療育で楽しんでいる室内トランポリンを購入してみました。他にも、粘土やぬり絵を楽しんだり、洗濯もの干しのお手伝いをしたり、アパート裏の草に水をあげてみたり……。彼なりに少しずつ成長しています。

自分はと言えば、飛んでしまった案件があったり、取材に出ることができなかったりするなど、なかなか苦戦中でもありますが、こうして原稿を執筆したり、もちろん、中心になって家事を回したりしています。

クライシスは、来ないに越したことはありません。でも、自分たちを成長させるきっかけになることも確かです。こんなご時世なので、人を頼るのも難しいですが、それでも、孤立だけはしないようにしたいと思います。そして、家族で、いろいろなことを共有しながら、どうにか、どうにか、それぞれのクライシスを一歩ずつ乗り越えていければいいな、と考えています。
 

著者:鈴木妄想

鈴木妄想

1977年生まれ。埼玉県出身。ライター/ブロガー。2004年、はてなダイアリーにてブログ「鈴木妄想なんじゃもん」を開設(2018年に、はてなブログ「続・鈴木妄想なんじゃもん」に移行)。日本各地・アジア各国のアイドルシーンやサブカルチャー/ポップカルチャーについて独自の視点で語り続ける。現在はエンタメ領域のみならず、育児・子育てについても発信中。著作に「新大久保とK-POP」(2011年,マイコミ出版)。
Blog:続・鈴木妄想なんじゃもん
Twitter:鈴木妄想/suzukimousou (@suzukimousou) | Twitter

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編集/はてな編集部

*1:参照:https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/200/130947.html

*2:一般的に、分娩後、女性の体が妊娠前の状態に戻っていくための時期を指す

「老後のこと」は考え過ぎてもしょうがない。60代の私が積み重ねてきた仕事と生活

『58歳から日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎)

「◯年後、自分はどうなっているんだろう?」と考えたり、「今後のこと、どう考えてる?」という質問にうまく回答できなかったりと、将来に対して不安に感じる方はいるのではないでしょうか。世相の変化によって働き方が予期しない方向にいくこともある今、分かりやすいロールモデルがなくなり、キャリアプランはもちろん老後の生き方もイメージしづらくなりつつあります。

60代一人暮らし 大切にしたいこと」というブログを書くショコラさんは、42歳で一人暮らしを始め、現在はパート勤務。別居、離婚を経てパート勤務から契約社員、正社員、そして再度パート勤務という働き方をしたショコラさんは、女性が結婚して会社を辞める「寿退社」が当たり前だった時代から、その時々に応じて「仕事」を選んできています。

著書『58歳から日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎)では、「起こるかどうかわからない将来のことを考えて心配するより、今ある毎日を積み重ねていくことが老後につながると思っています」と語るショコラさん。漠然と「将来のことが不安」だと感じる方々に向け、これまでの働き方の変化、そして将来をどう考えるかについて書いていただきました。


こんにちは。ショコラと申します。42歳の時に生まれて初めての一人暮らしを始めたことをきっかけに、パート、契約社員、正社員……とさまざまな働き方を体験。57歳の時に会社を辞め、現在はパート勤めをしながら、老後を見据えて家にあるものを整理したり、住みやすい部屋にするための工夫をしたり、楽しい時間の過ごし方を考えたりしています。

今回、りっすんさんから「これまでの働き方について振り返っていただけないか」とのご依頼をいただきました。私が普段心掛けている節約やシンプルな暮らし、“老前整理”などの生活についてはブログで発信してきましたが、自分の働き方についてじっくり考えたことはなかったかもしれません。あらためて、社会人になってから現在のパート勤めになるまでのあれこれを考えてみました。私の体験が皆さまの参考になれば幸いです。

高卒で就職し、寿退社……それでも「外で働きたい」と思った

私は高校を卒業してから就職しました。女性がキャリアを積んでいくことは少なく、結婚して会社を辞める、いわゆる「寿退社」が当たり前だった時代のことです。実家暮らしで、自分の稼ぎだけで生計を立てるなんて、全く考えたことがありませんでした。当時は一人暮らしをする女性自体が少なく、結婚するまで働いて、寿退社して、老後は年金暮らしで……と考える人が一般的。20年~30年後のことを視野に入れる人や「手に職を付ける」という人は、そこまで多くありませんでした。

6年間OLとして働き、結婚して会社を辞めました。その後すぐに男の子を2人産み、子育てをしながら、専業主婦として暮らす日々。外に出るのは子供2人を連れて実家に行く程度で、あとは自宅と近所の公園、スーパーをぐるぐる回る毎日でした。

そういう状況で「外で働きたい」という気持ちが芽生えました。

これも時代背景かと思いますが、当時は「フルタイムで働くお母さん」はもちろんのこと、「パートで働くお母さん」も少なかったのです。それでも外に出たい、働きたい、と思ったのは、家計を支えるためという理由ももちろんありますが、自分のために使えるお金も欲しいと考えていました。子供が小学校に上がったのを機に、子供が学校から帰ってくる頃には家にいられるようなパート勤務から始め、成長に合わせながらフルタイムに近い形で働きました。

42歳で生まれて初めての一人暮らし。目の前のことに向き合って不安が薄らいだ

42歳の時に、別居での一人暮らしをスタートさせました。

夫婦が離婚や別居をする場合、子供は母親と一緒に暮らすことが多いように思います。ただ、私の場合、住んでいた家が義家族の家だったので、私が家を出る形になり、子供たちが成人するまでは離婚しないでおくことにしました。その影響で子供たちの生活が変わることだけは避けたく、近所にアパートを借りました。元の家に通って、夕飯を作って一緒に食べたり、お弁当を作っておいたり……。その一方で、別居したことにより、「妻」「主婦」という役割から解放され自分らしさを取り戻した! という気持ちが強くありました。そして、誰にも頼らず、自分だけの力で生きていかなくちゃならないと覚悟をしていました。

引っ越しでお金も使ったし、パートで生活していくのは身体的にも金銭的にも厳しく、たまたま新聞広告で見かけた化粧品メーカーの営業職の求人に応募し、契約社員として採用されました。

ぎりぎりのお給料で暮らしながら忙しく働く中で、それまであまり考えてこなかった「人生のこの先のこと」を考えるようになりました。普段は毎日の生活のことでせいいっぱい。貯蓄に関する知識にも疎く、お金の大切さを知っておくのは大事だと痛感しました。ふとアパートにいる時、「貯金もほんの少ししかない。この会社にいつまでいられるだろうか。そもそも契約社員で何の保証もない」といっぺんに不安が押し寄せてきました。その時に、こう思ったんです。

「何十年後に自分がどうしているか?と考えるから不安になる。どうしようもなくなったら、死んじゃえばいいんだ」

不思議なことに、そう思ったら不安な気持ちが薄らいでいきました。それまでの40年間、後悔することもあったけれど、自分の考えで行動して、やりたいこともやってきた。子供も育てて、友人にも恵まれて、いい思い出もいっぱいある。そんな人生を過ごしてこられたから、お金も住むところもなくなったら消えてしまえばいいって思ったんですね。

起こるかどうかわからない未来に対してくよくよ思い悩んだり心配したりするより、「いま目の前にあることをこつこつ頑張っていこう」と前向きになれたことを、よく覚えています。

ハードな営業職に飛び込んで

それまで経験のなかった営業職に就いたのは、とにかく自分で稼いで生活をしていくためでした。目標の数字がしっかりありますし、売上の数字が上がればお給料も上がり、働くのは楽しかったです。

年齢を考えるとこの先違う仕事が見つかるかどうかわかりません。どんなに無理難題なことを言われても引き受けよう、辞めるわけにはいかない、これしかないんだ、と考えていました。飛び込み営業や肌診断、サンプルの配布、商品の配列まで何でもやりました。パソコンは全然使えなかったのですが、PowerPointでの資料作成も勉強してこなしました。正社員への登用後、より忙しくなって、やらなければならないことが増えました。とにかく働いてお金を貯めようという気持ちが先に立っていました。

というのも、その頃にマンションを購入していたからです。貯金もなく日々の暮らしでせいいっぱいだった私は「家を買う」ということは考えてもみませんでした。最初に住んだ1Kのアパートからもう少し広い部屋に移りたくて、賃貸の物件を探していた頃に、「将来のことを考えた方がいい」と親身になってくれた友人がマンションのちらしを持ってきてくれたのです。

マンションの価格が底値の時期だったこともあり、一番安いシングル向けの部屋なら買えるかもしれないと考えて、無理のないようにローンを組みました。もしローンを払えなくなったら、人に貸すか、売却しようと考えていました。給料で返せるめどがついたタイミングでとにかく返済しまくって、返済が完了したのは56歳の時。おそらく終の棲家になるはずです。

ショコラさんの部屋

営業職の仕事のことを振り返ると、なぜかやりがいがあったことばかり思い出します。大変なこともつらいことも多かったはずですし、営業に行ってもけんもほろろな対応の店だってありました。それでも、売上が上がること、リピートで注文してもらえること、お店の売上に貢献できて喜ばれること、すべてが自分に自信が持てる要素になります。営業という仕事だったからこそのやりがいだったかもしれません。

自分で「これまでの働き方に納得」してからパート勤めへシフト

やりがいを感じながら働いていた仕事を辞めたのは、57歳の頃です。「あと3年続ければ」と言ってくれた人もいたのですが、体調不良やストレスなどさまざまなことが積み重なり、思い切って働き方を変えようと決意しました。

53歳のある日、朝目覚めた時に突然めまいがして、起き上がれなくなりました。それが1週間続いてやっと近所の病院へ行ったら、結果は更年期障害の症状。さらに子宮がんになりかけていたということも判明。当時は上司と部下との間に立つ役職、かつ自分自身の仕事も忙しい状況だったのに、さらに「営業所長」に任命され、断り切れず……。

当然ですが、営業所長という立場では営業所全体としての目標を持つことになります。ずっと現場仕事だった私にとっては、自分の力量以上のものを求められているような気がして、とてもつらかった。情けないことですが、会社に申し出て営業所長からは下ろしてもらい、ヒラの営業に戻りました。その後は仕事をしながら新人教育などをしていたのですが、会社の方針が変わったことなども併せてストレスが続いたせいか、56歳の時に帯状発疹にかかってしまいました。

このまま仕事を続けていたら、もっと大きな病気になるかもしれない。そして、働けなくなってしまったらどうなるんだろう……。自分の働き方を不安に思い始めてから、気持ちがついていかなくなってしまいました。思い切ってセミリタイアしてパートで働けば、働く時間が決まっていて大きなプレッシャーはないだろうと、自分で納得した上で化粧品メーカーを退職しました。

それから、ハローワークで探したパートの仕事に就きました。覚悟はしていたつもりだったのですが、ボーナスはもちろんなく、年収が3分の1くらいになってしまって、半年ほどの間は率直に言って、「辞めなければよかった」なんて考えていました。「辞めよう」と考えて納得して決めたことなのに、忘れてしまうんですよね。

後悔の気持ちを抱える中で、たまたま新聞に載っていた書籍の広告から、禅の言葉(禅語)の一つである「大地黄金」というフレーズを知りました。「大地黄金」は「自分が置かれている場所で、せいいっぱい尽くしなさい」という意味の言葉だそうです。これがとても励みになり、私の気持ちを変えてくれました。会社の中で私が担うのはほんの一部分ですが、それを一生懸命やろうと捉えられるようになりました。いまでは、納得するプロセスを経たからこそ、自分で働き方を決められるようになったのだと思っています。

高校時代のアルバイトを含め、仕事運には恵まれていました。それぞれの仕事でその都度、自分自身が「働くこと」を通じて成長してきたように感じます。どの仕事も良いことばかりではなかったはずなのに、いま思い返して浮かんでくるのは、楽しかったことが多いのです。特に、化粧品メーカーの営業職というハードな仕事が、いまの「なんでも前向きに考える」私を作り上げてくれたのだなと感じます。

将来のことを考えるよりも、いまのことを積み重ねよう

60代のいまはパート勤めをしながら節約したり、住まいを整える工夫をしたりして、楽しく暮らすことができています。しかし、70代、80代をどうしたいかについては、特に考えていません。体力は落ちるし、そもそも生きているかどうかもわかりませんね。現実的な課題としては、どのように歳を取るとしても、金銭面のやりくりは大事。もし一人で暮らすのが困難になったら、住んでいる部屋を売り、老後のための貯蓄を使うことも考えています。

いまの30代~40代の方は今後のことについて、「もう年金などはもらえないかも」など考えがちなのではないかと思います。そういう時は、「将来のことを考え過ぎてもしょうがないから、いまできることを一生懸命考える」と捉えてみるのはいかがでしょうか。起こるかどうかわからないことばかり考えると、とてもつらくなります。将来のことは想像することしかできません。

自分自身のこれまでを振り返ってみると、私は、生きていく上で、経済的にも精神的にも「自立すること」がとても大事だと感じました。経済的にいきなりすぐ自立といわれても、難しい環境にいる方もいらっしゃるかもしれません。そして、人間は一人で生きてはいけないのももちろんわかっています。

その上で、自分は一人でも生きていけるという自立した気持ちを持ちながら生きていくことが、自分の存在を自分で認めることにつながると考えています。自分が安心できる環境ができれば、周りの人のことも認めることができる。そうして、平凡ではあっても「存在する価値」を認められるようになると、「今日の暮らし」を積み重ねていく気持ちになれるのではないか、と思います。

著者:ショコラ

ショコラ

2016年、60歳のときに始めたブログ「60代一人暮らし 大切にしたいこと」をスタート。「老前整理」として始めた物の整理を、逐一ブログで報告。等身大の目線からつづる暮らしに共感が集まり、シニアブロガーとしては異例の月間60万PV。

子供が高校生だった42歳のとき別居、5年後に離婚。パート主婦から一転、バリバリの営業ウーマンとして自活してきた。57歳で退職、現在はパート勤務。30代後半の2人の息子とは、今も頻繁に交流。ネットやムックでも取材を受け、『ひとり暮らしの時間とお金の使い方』(主婦の友社)に著者として参加。

ブログ:60代一人暮らし 大切にしたいこと

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編集/はてな編集部

フルパワーで頑張れない「のんびり働く」派の私が、仕事で意識しているたった一つのこと

 チェコ好き

イメージ画像

自分はのんびり働きたいタイプだというチェコ好きさん。しかしフルパワーで仕事に打ち込む周囲の人たちを見ると、ふと「自分の頑張り方」に疑問を持つ瞬間があるそうです。

周りを気にせず、自分のペースで頑張ることは難しいのでしょうか? 1冊の本と、以前旅したシチリア島でのある出会いを振り返りながらつづっていただきました。


新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が基本になったのをいいことに、ここ最近、ほぼ毎日30分〜1時間程度の昼寝をしている。決して睡眠不足というわけではなく、夜もきっちり8時間くらい寝ているのに、である。

「シエスタだわよ!」とでもいえば格好はつくのかもしれないが、うっかり3時間くらい昼寝をしてしまい夕方に目覚めた日には、自分はとてつもなく怠惰な人間なのではないかと地の底まで落ち込んでしまう(が、翌日にはケロリと忘れてまたすやすや昼寝をしている)。

一方、私の周りには「実は裏で影武者みたいなのを5人くらい雇っているのでは?」と思うほど忙しく見える人が少なくない。企業の第一線でバリバリと活躍している人、本業とともに副業でもがっつり成果を出している人、誘いが多く飲み会にライブにキャンプにとアクティブに動き回っている人(この時期はZoom飲み会)、仕事と同時に子育てにも忙しく、最新の家電やガジェットや家事サービスを使いこなしつつ両立している人。

彼らの様子を見ていると、スペイン人でもないのに呑気にシエスタを取っているのは、世界で私だけなのではないかという気になってくる。実際は五十歩百歩で、みんな見えないところでちょっとずつ手を抜いているのだというわずかな希望を捨てずにこの文章を書いているが、それにしても私は、毎日のんびり過ごしすぎなのではないか

真面目な話、フルパワーで頑張るタイプの人たちは、そのこと自体に罪はないとはいえ、心や体の都合でゆっくり療養したい人や、さまざまな事情で少しセーブしながら働きたい人に、プレッシャーを与えてしまうことがある(私はただ怠惰なだけだからいいけど)。反対に、のんびり働いている人や昨今の「働き過ぎは良くない」という風潮は、仕事が「趣味」と思うくらい大好きで、本当は早朝から深夜までもっともっと働きたいと思っている人に、これもまたプレッシャーを与えてしまっていることがあるらしいと聞く。

そういう意味では、誰もが「自分の”頑張り方”はこれでいいのか?」と首を傾げており、心のどこかでプレッシャーや焦燥感を抱えている……のかもしれない。

早くても、遅くても、フルパワーでも、のんびりでもいい。それぞれがそれぞれにプレッシャーを与えず、みんなが自分のペースで頑張れる社会を実現するのは、難しいのだろうか。

シチリア島で出会った女性と、その赤ちゃんのこと

赤ちゃんの手

話は変わって、数年前、イタリアのシチリア島を旅行していた時のことだ。大通りに面した店で買ったほかほかの揚げパンを、店外に設置されたテーブルの近くでむしゃむしゃと食べていた。すると、赤ちゃんを抱えたふくよかな女性が近づいてきて、「シニョーラ、シニョーラ」と呼びかけながら、私の目の前に右手を差し出すのである。

「シニョーラ、私とこのスイートなベイビーに、どうかお恵みを!」

イタリア語なので正確には何を言っているのか分からなかったが、女性は、物乞いだった。私の腕や顔をべたべたと触りながら早口で何かを捲し立てたり、右手をさかんに差し出して「お金ちょーだい」の仕草をしたり、スイートなベイビーにわざとらしく私の前でちゅっちゅっと口づけをしたりする。

お腹に2人目の子供がいるらしく、丸々としたお腹を指差しては、「あ〜もうすぐ2人目が生まれるのに! お金がない、お金がない」とアピールするのも忘れない。海外で物乞いにお金をせがまれるのは初めてではなかったけれど、腕や顔を触られるという接触系の物乞いは初めてだったので、私は最初、けっこうビビっていた。

ただ、女性に申し訳なさそうな雰囲気がまったくなく、また女性の抱えている赤ちゃんが、おむつのCMに出てきてもおかしくないくらいかわいくて、天使のように終始ニコニコしていたせいだろうか。不思議と、悲壮感はなかった。ビビりながらも強メンタルでその場にとどまり揚げパンを食べ続ける私以外にも、女性は、通りかかるたくさんの通行人に無差別に声をかける。みんな無視するのかと思っていたが、観察していると、意外にもたくさんの人が、女性にジャラジャラと小銭をあげていた。

結局、天使のような赤ちゃんに「お金ちょーだい」と右手を差し出されたのに根負けして、私は彼らに2ユーロを渡した。すると、感謝されるどころか「これだけ? もっとちょーだい」と(イタリア語で、たぶん)不満気に言われ、さらにスイートな赤ちゃんにも心なしか口をとがらせたような表情をされた。

しかし「なんだよ、せっかくあげたのに」という気持ちはなぜだか湧いてこず、「勘弁してよ」とジェスチャーで伝えたあと、私はなんだかちょっと笑ってしまった

物乞いに対する「うしろめたさ」の正体

なぜこんな話を挟んだのかというと、松村圭一郎さんの『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)に、少し似たエピソードが登場するからである。松村さんは、エチオピアで長くフィールドワークを続けた経験を持つ文化人類学者だ。

エチオピアを訪れた日本人は、まず物乞いの多さに戸惑うという。道で足を止めると、赤ちゃんを抱えた女性や、手足に障害のある男性が近付いてくることがある。しかし、日本人は物乞いにお金を渡すことに慣れていない。「みんなに与えることはできないから」「気の毒だが、与えることは彼らのためにならないから」といって、結局は彼らを無視してしまう。

物乞いにお金を渡すことについて、松村さんはちょっとした「うしろめたさ」を感じられるかどうかが、わりと大切なのではないかと言っている。松村さんいわく、物乞いにお金を渡すのは善行などではなく、不当に生じた格差を、わずかながら埋めているにすぎない。そこで生じている感情は「うしろめたさ」だと。彼らにお金を渡すことを善行と考えることは、逆に、彼らをおとしめる。最初はお金を渡すのに慣れず代わりにガムを配っていた松村さんも、エチオピアでの生活が長くなるにつれ、徐々に現地の人と同じように、ポケットにある小銭を渡すようになっていったという。

旅先の海外で物乞いにお金を渡すことの是非は、今回は考えない。ただ私はこのエチオピアの話を読んで、赤ちゃんを抱えた女性に2ユーロを渡したのにあまり感謝されなかったこと、またそのときに自分がちょっと笑ってしまったことを、少し肯定的に捉えられるようになった

私と女性と赤ちゃんは、それぞれが対等な存在だったのだ。まあ、だからといって顔をべたべた触るのは、ちょっとやめてほしかったけど。

どれくらい仕事を頑張るかは、あまり気にしなくていいのかも

話が逸れてしまった。もう一度、「自分のペースで頑張る」ということについて、考えてみる。

私がシチリアで物乞いの女性に会ったり、『うしろめたさの人類学』を読んだりして思ったのは、どれだけたくさん働くか、どれだけたくさん組織に貢献するか、どれだけ頑張るかは、やっぱりあまり気にしなくてもいいのかもしれないということだ。

仕事にどれだけ力や時間を注げるかは、個人の体力や境遇によって、どうしても限界がある。そして、その個人の体力や境遇は、必ずしも本人が望んだものとは限らない。

一方で私は今、自ら望んで非正規社員として会社勤めをしつつ、文筆業もやっている。自由になる時間は、おそらく正社員で働いていたり育児をしていたりする同世代よりも、多いと思う。だけど、自由な時間を読書や昼寝に費やしているからといって、私よりたくさん仕事をしている人、私よりたくさん努力している人に対して、うしろめたさを感じたくない。それよりも、シチリアで会った物乞いの女性や彼女が抱っこしていた赤ちゃんの方にこそ、うしろめたさを感じていたいのだ。

どこかの誰かは私のことを「そんなに低い意識でキャリアプランもロクに練らずにのんびりとしていたら、これからの時代は生きていけないぞ!」と思うかもしれないけれど、よりたくさん頑張る人の努力が報われてほしいと思う一方で、あんまり頑張らなくてもとりあえず死にはしない社会を実現した方が、どう考えたって健全だと思う。

のんびり働く私が意識している、たった一つのこと

さざなみ

さて、そんな感じでほぼ毎日昼寝をしつつのんびりと働いている私だが、自分の中で意識していることがたった一つだけある。

『うしろめたさの人類学』の著者である松村さんは、大学教員として教壇に立つ仕事を、対価を得るための「労働」だとは、なるべく考えないようにしているという。もちろん、働いてお金を得なければ暮らしは成り立たないし、活動を継続できない。お金はとても大切なものだ。一方で、教壇に立って学生たちに語りかける言葉を、相手を満足させるためだけの「商品」にはしたくないという。

どう受け取ってもらえるか分からない、何につながるか未定のまま。そういう、「贈り物」として渡したい。松村さんは、本の中でそう語る。

あまり大それたことは言えないけれど、私も実は、自分の仕事に対して似たような意識を持っている。非正規の社員として関わっている仕事も、そして文筆業の方も、相手を満足させるための「商品」としてだけではなく、できればたくさん、「贈り物」の部分を残しておきたい。

相手がどう受けとるか分からないし、何に使うか分からない。もちろん、私の仕事における影響力なんて、大きな海に小石を一つぽちゃんと落とす程度のものにすぎない。ただそれでも、その波紋の広がり方を、最後までしっかりと見届けたいとは思っているのだ。

これは、自分の仕事を好きになるとか、使命感を持って働くとか、そういうこととはちょっと違う。仕事が好きで楽しいならばそれに越したことはないけれど、私はやっぱり、「めんどくさい」「働きたくない」と感じる仕事でも、その小さな波紋の広がり方に本人がちょっとでも興味を持てるならば、働く理由がお金以外に一つでもあるならば、それはとても価値のある仕事だと思うのだ。

まあ、というか、世の中の仕事はだいたいめんどくさい。私も、できることなら30分〜1時間といわず、毎日3時間くらい昼寝したい。沼にはまるのが分かっているので手を出してないけれど、本当は3日間くらいずっとどうぶつの森だけをやっていたい。

周囲の人の働き方のペースや価値観が自分とは異なっていたとき、焦燥感に駆られることがある。その感覚を、完全になくすことはおそらく難しいだろう。その焦燥感のようなものは、一定程度は「あって然るもの」として、自分の心にモヤモヤと暗い気持ちが生まれてきても、おいしいものを食べたりそれこそ昼寝をしたりして、紛らわしてしまえばいいと思う。

ただ、暗い気持ちが一定程度を超えてしまったとき、思い直したいのは次のことだ。

自分が海に落とす小石は、いったいどのような波紋を描いているのだろう。

どれだけフルパワーでまい進するかではなく、またどれだけワークとライフのバランスを調整しながら働くかでもなく、波紋の広がり方に、わずかでも興味を持ち続けること。私が、シチリアで出会った物乞いの女性と、その赤ちゃんとつながり続けるには、こちらの方が有効なのではないかという気がしている。

もし意識できるならば、家で過ごす時間が長い今、それぞれの胸の内で「私は社会に対してどんな贈り物をしているのだろう?」と考えてみても、きっとバチは当たらないと思う。

私はこれからものんびりと、社会に贈り物を届け続けることにする。

著者:チェコ好き

チェコ好き

旅と文学について書くコラムニスト・ブロガー。1987年生まれ、神奈川県出身。HNは大学院時代にチェコのシュルレアリスム映画を研究していたことから。文筆業を行いつつ、都内のIT企業に勤務もする。

ブログ:チェコ好きの日記 Twitter:@aniram_czech

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