子どもを見ながらの在宅勤務、どう過ごしてきた? 仕事の進め方などを聞きました【わたしの仕事場】

一人ひとりの仕事場の様子や、そこでの働き方を紹介する企画「わたしの仕事場」。
今回は、“在宅育児”をしながら"自宅で働く”人の働き方を伺いました。


普段と違う、先の見えない生活が続く今日このごろ。働き方の面でも、さまざまな影響が出てきています。

緊急事態宣言が全国的に解除される一方で、依然休校や休園、保育園登園自粛要請のため、自宅で仕事をしながらの育児を続けている方も少なくありません。

在宅勤務+在宅保育の両立は本来想定できない状態。急遽対応せざるを得なくなり、そのやり方や捉え方、感じ方は人それぞれ。住む地域や家族・周囲の環境によって状況も異なります。

正解がない中ではありますが、他の人がどんな状況なのか、どう向き合っているか知ってみることで、何かのヒントになるかもしれません。今回は、当事者3名の方に子どもを見ながらの在宅勤務の状況や、その中で少しでも状況をよくしたり、作業をすすめられるよう工夫してきたことなどを伺いました。

夫婦でのシフト調整を意識。はせおやさいさんの場合

はせおやさいさん
はせ おやさいさん(BlogTwitter

会社員兼ブロガー。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。一般女性が仕事/家庭/個人のバランスを取るべく試行錯誤している生き様をブログに綴っています。
▶りっすんインタビュー記事:マイナスの感情を認め、自分が楽しいと思えるように生きる ブロガー・はせおやさいさんが歩む道

【家族構成】
40代・会社員のわたし、20代・自営業の夫、2歳の娘(保育園通園中)です。

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
3月に転職し、新しい職場なのですがほぼ最初から(3月下旬頃から)在宅勤務に。4月からは出社ゼロ、週に5日時短・在宅勤務(当初の予定通り)で働いています。

4月の頭から保育園が休園し、在宅勤務×在宅保育が開始になりました。職場、保育園ともにいつ再開になるか見込みが立っておらず、職場はむしろこの事態を機に「通勤」というスタイルを見直してもいいのではという話があがっています。

【仕事の進め方】夫婦で調整しながら作業時間を確保

はせさん

作業環境がもともと整っていたわけではなかった*1ので、ダイニングテーブルで主に仕事をしています。

10時〜16時の間はわたしが在宅勤務をし、その間は自営業の夫が子供を見ています。夫が作業をする場合は夜もしくは土日で調整しています(奇しくもこのタイミングで夫の仕事が減り、時間の収支は取れています)。夫も自営業でオフィスを持たないため、2人とも在宅作業が基本。夫の仕事が減りましたが、そのぶん子供の面倒を見てもらい、わたしが仕事できているので家庭の収支としてはトントンになる見込みです。

ビデオ会議などが入る場合は時間に合わせ散歩に連れ出してもらったり、わたしの時短に合わせて夫の作業時間を確保したり、都度シフトのように調整しています。

子供にとって母親がテーブルに向かってなにか作業しているのが珍しいらしく、膝に座りたがったりパソコンをいじりたがったりと、在宅勤務開始当初は大変でした。

ある程度日数が経つと多少慣れたようで、さほど興味も示さなくなったので、子供にとっても「日中の母親はパソコンに向かって何かしているものなのか」という印象がついたのかもしれません。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】恒常的に続いた場合のことを考えると……

はせさん

在宅勤務が始まった当初は保育園の休園も決まっていなかったので、夫との時間調整だけで良かったのですが、保育園が休園になってからは子供が終日在宅になり、集中できる時間の確保に苦労しました。

良い面としては家族で食事を一緒に作って食べられる、昼食の時間を使って子供と散歩ができるなど、家族との時間が圧倒的に増えた点です。通勤時間も今はないので、単純な時間的余裕という意味でも、身体的・精神的な余裕という意味でも時間が増えたなと感じています。

良い面悪い面、総合的にいうと「短期間の期間限定であれば家庭内のやりくりで楽しんで乗り越えられるが、恒常的に続いた場合、いつかどこかが破綻しそうで未知」という感じです。

またこれは在宅保育+在宅勤務には直接関係しませんが、自宅で過ごす時間が増え、自炊の機会が増えたので、ずっと欲しかった家電製品を買い足したり、浄水器を導入したり、キッチン周りに目を向けることが増えました。

【取り組んだこと・工夫したこと】視聴時間に注意しつつテレビを解禁

はせさん家の様子。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務×在宅保育・在宅育児になりテレビを解禁

テレビに頼った保育にネガティブな印象があったのですが、解禁しました。Eテレの子供向け番組は神です!『おかあさんといっしょ』『みいつけた』『いないいないばあ』などをその日の子供の気分で見せています。

Netflixやhulu、Amazon Prime Videoなどにある子供向け番組も、あまり長時間になり過ぎないよう注意しながら見せています。食事の支度をする30分くらいは集中して見ていてくれますが、そろそろ子供が飽き始めていて焦っています。

【最後に】
想定していないことへの対応が多発しておりかなり厳しいですが、厳しさの原因は「先が見通せないこと」だと思っています。とはいえ、100%以前のような状態に戻ることはないでしょうから、ある程度は諦めるというか、仕方がないものだと割り切って、この状況が長く続く前提でこれからのことを考えるようにしています。

「自分ひとりの時間がとれない」などのストレスもありますが、家族との時間が作れるようになり、満員電車に乗ることがなくなったなど、また別のストレスは解決しています。少なくない企業にとっても、在宅勤務へのハードルも下がったと思いますし、そういった現状を肯定的にとらえて、新しい働き方を作っていくきっかけにできればと思っています。

動画サイトを積極的に活用。ネジ子さんの場合

ネジ子さん
ネジ子さん(BlogTwitter

ふつうの会社員です。カリントボンボンというブログを書いています。ツイッターもやっています。
▶りっすん座談会参加記事:諦めも肝心ーー先輩ママ3人が語る「子どものイヤイヤ期、こうして乗り越えました」

【家族構成】
会社員の私、夫と娘(小2)と息子(もうすぐ2歳)の4人家族です。

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
在宅勤務は今回が初めてで、在宅勤務と在宅保育が4月中旬頃から同時にスタートしました。夫はこれまで通り毎日出勤しています。学童・保育園は開室・開園していますが、託児を自粛している状態です。

[5/23 追記]
当初は5/15まで在宅勤務でしたが、その後、5月いっぱいまで基本在宅、出社が必要な場合のみ出社、ということになり、緊急事態宣言解除後も引き続き在宅勤務をベースとした働き方にシフトしていく見込みです。だいたい週一回くらい出勤してあとは在宅、という感じになりそうです。

【仕事の進め方】まとまった時間ができたときに一気に集中

ネジ子さん

個室がもともとないのと、子供の様子が分かる場所にいないといけないので、ダイニングテーブルにノートPCを置いて作業しています。上の子(小2)は同じテーブルで勉強することも。

下の子(1歳10ヶ月)は親がそばにいるとおとなしく遊んでいますが離れるとダメ。なので、子供の隣とPCの前を行ったり来たりしています……。下の子がおとなしく1人遊び(上の子と一緒にYouTubeなど見ていることも)している間やお昼寝の時間だけまとまった時間ができるので、その間に仕事を進めています。

とにかく子供の要求に応えながらの業務なので、考えをまとめたり、集中して作業したりするのは難しく、細切れの時間でやっていくしかありません。たまたま4月に部署を異動になり、業務の引き継ぎがあまり行われていない状況だったこともあり、会社から要求されたことはこなすことができている状態です。仕事量がもっと多かったら全く終わらないと思います……。

また生活リズムが大きく崩れないよう、朝は出勤する時と同じくらいの時間に起きて、朝ご飯を家族そろって食べるようにしています。寝る時間も普段通りで、子供たちはこれまで通りの生活リズムを維持しています。下の子のお昼寝も保育園のリズムに合わせて昼食後としています。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】最初はやっぱり体力的に大変だった

ネジ子さん

初日は体力的にもものすごく疲れたのですが、慣れてくると時間配分などが少しはうまくできるようになりました。ただ本来ならば新しい部署での業務を覚えて即戦力となっていきたいのですが、在宅勤務続きのため充分な引き継ぎができず、戦力外になっているな……という感じで、心配しています。

また、この状況下で一番心配なのは下の子の怪我。仕事中はどうしても子供から目を離すことになるわけで、実際メールを打っている間に私の椅子によじのぼって落ちたりしたこともあり、それ以来とにかく怪我がないように気をつけています。これまでのように保育園で先生や他の子との関わりも持てず、かつ家で親が充分に相手をしてやれないという状況もかなり良くないような気がしています。

上の子は学校や学童が大好きなので、学校や学童に行けないことがかなりつまらないらしく、ストレスも溜まっていそうです。

そして親子共々運動不足が心配なので、夕方就業時間が終わったら子供たちと近所を散歩したり、始業前にNintendo Switchのリングフィットアドベンチャーで運動したりしています。

【家庭内で取り組んだこと・工夫したこと】タブレット学習を導入

ネジ子さん

下の子は「満腹だと機嫌が良く一人遊びができる」というタイプのようで、グズグズし出したらオヤツをあげています(それがいいのかどうかは分かりませんが……)。あとはYouTubeでお気に入りの動画を見せています。動画に飽きると場所を変えてオモチャで遊ばせたり。割と一人遊びができるタイプなので、2歳前という年齢にしては手がかからないかもしれません。

上の子は小学生なので、休校が長いとこれまで勉強したことを忘れてしまうのでは……という懸念があり、子供と話し合って毎日時間を決め、ドリルやプリントをやる習慣をつけました。また、子供が楽しんで勉強できるようタブレット学習の通信教育を契約しました。学校からの課題やプリントと、タブレット学習の両方を遊びの合間にやっています。

【最後に】
もともと私の勤務先では在宅勤務はかなりイレギュラーだったのですが、今回のコロナ対応の副産物として、在宅でもできる業務・できない業務がはっきりしたため、今後も可能な部署では在宅勤務自体を継続していく様子です。

託児ができるかどうかによってメリットデメリットが全く変わってしまう在宅勤務ですが、通勤時間を気にしなくてよい分、時短勤務をしなくて済むとか、子供の軽い体調不良のときに休暇取得をしなくて済む等、在宅勤務の選択肢があることによるメリットは大きく、こうした観点からも在宅勤務が定着していくよう後押しして行きたいと思います。

室内で出来る砂場を導入。kayaさんの場合

kayaさん
kayaさん(Twitter

大学教員です。2歳の娘がいます。

【家族構成】
都内私大教員の私(40代)、地方国立大教員の夫(40代。単身赴任先から戻ってきました)、娘(2歳半)

【在宅勤務×在宅保育のスタート時期について】
4月8日から在宅勤務、在宅保育です。職場が原則入構禁止、全授業をオンラインで行うことになり、はじめて在宅勤務となりました。単身赴任していた夫の職場も同様のため、自宅に戻っています。緊急事態宣言の期間により、いずれも変更の可能性がありますが、夫婦ともに5月末までは職場に入れず、全てオンライン(テレワーク)での仕事になっています。保育園も5月末まで休園予定です。

【仕事の進め方】交代制で子どもを見ながら作業

kayaさん

2LDKの自宅の仕事用デスク(半個室)とダイニングテーブルを夫婦で仕事内容により使い分け。それぞれのノートパソコンで作業を進めています。

日中は夫と交互に子供の相手をしながら仕事をしますが、子供が父母両方と遊びたがる&一人が家事や買い物をしていたら、一人は子供の相手なので、ふたりとも仕事ができない時間は結構長いです。

子供が昼寝したらチャンス!ですが、週3日くらいは昼寝しません……。基本的に子供が就寝し、家事も終えた22時ころから深夜まで仕事をしていましたが、昼間にオンラインで講義や会議が多かった日は疲労がひどく、体がもたないので、最近は諦めて寝てしまうことも多いです。

夫婦ともに大学教員で、講義、ゼミ、会議をオンラインでやるため、その時間がかぶってしまったときは結構な修羅場です。主に交代制で娘の相手をしていますが、抱っこしながら会議(ビデオを切る)や娘に動画を見せながら寝室で会議に出たりすることもあります。授業準備やメールの返信は深夜になってしまいます。

夫の勤務地では緊急事態制限が解除されたので、夫が赴任先に戻らなければならなくなった場合(まだ未定です)、そのときにまだ保育園が再開していなかったら、私は仕事ができるのだろうか、というのは不安を覚えています。

【在宅保育+在宅勤務を経験して】正直しんどい! 一方で、よかったことも

kayaさん

最初の10日間くらいは、仕事の緊急対応が大変で、睡眠不足+精神的負担でかなりしんどかったです。その後は、夫のフォロー(家事は完全折半・食事の支度も七割方やってくれています…)や、仕事量が落ち着いたこと、自分で手も抜けるようになったことで、回るようになってきました。

それでもベースとしては「しんどい」です。自分のやりたい仕事のうち半分もできていないという焦りと不安感があります。オンラインでの指導、研究の全てが手探りで、教えている学生にも、何かと不足を感じさせているだろうなと。

一方で、私の妊娠中から単身赴任だった夫が在宅で、親子でこれほど長く親密な時間を過ごせているのは出産後初めてのことで、それはありがたいです(そのうれしさをようやく噛み締められる余裕が出てきました)。

不安な面としては、「父も母も家にいるのに、相手をしてくれない(ことがある)」ことへの娘のストレスが心配ではあります。今までなかったような、爆発するような号泣が増えたのは、そのせいなのか、成長なりのイヤイヤ期なのか。一方で「お仕事」ということをかなり理解してくれている部分もあり、我慢させているなあと思います。

【家庭内で取り組んだこと・工夫したこと】家遊びができるアイテムを積極的に導入

kayaさん

子供は、まだ一人遊びはほとんど無理なので、気をそらすため、タブレットでの動画鑑賞やゲームなど、普段は極力少ない時間にしている娯楽を全部解禁しているところがあります。

家遊びのために、室内でできる砂場(キネティックサンド)を購入したり、ゲームはいくつか新しいものをダウンロード/課金したりしました。室内運動のためのトランポリンも検討しました……(今のところ保留)。

公園や外遊びなども、最低限にしているため(物理的に仕事仕事で連れていけない日も多いです)、天候が良いときは、「ベランダで食事」「ベランダでおやつ」は、よくやっています。

【最後に】
仕事での満足度を求めると「できていないこと」ばかりで心が荒むので、家族で過ごせていることのありがたさの方に目を向けたいと思っています。平常時は母子で朝晩しか一緒にいないので、夫も単身赴任先から帰っている今だからこそ、ここぞとばかり、親子三人でお菓子作りや料理を一緒にしたり、摘んできた植物で押し花したり、紙工作をしまくったり、保育園のかわりに娘と遊んでいます。

***

これまで通りに生活することがなかなか難しい日々。子供がいる方もいない方も、誰かと暮らしている方もそうでない方も、みんなそれぞれ先の見えない状況を過ごしているはずです。それぞれが今の状態や悩みを共有したり、ポジティブなできごとを報告したりすることで、気持ちが軽くなることもあるはず。一人で、家庭内で抱え込まず、日々を過ごしていきましょう。

※各参加者の回答は5/15時点のものとなります

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*1:寝室の片隅に作業スペースを作るかどうか、夫と相談中です(作った後に在宅勤務解除になることも想定し、あまり大きく住環境を変えたくないのが悩みどころ)