「お弁当生活」をはじめたら、忙しい会社員の日々も充実して過ごせるようになった

 micvany

お弁当箱
お弁当生活の中で集めたお弁当箱たち

都内でディレクター職として働きながら、ブログを中心に日々のお弁当生活の様子を公開しているmicvanyさん。働きながら定期的にお弁当を作る生活は一見すると大変。でも、彼女にとっては「お弁当生活」こそが、会社員としての日々をポジティブに過ごすための大事なピースとなっているようですーー。


毎朝7時過ぎにスマートフォンのアラームが鳴る前に目を覚まし、1日がはじまります。都内の企業に勤務し、同僚とのランチもあるので、お弁当を作るのは週に3〜4日。お弁当作りを続けている中で集めたお弁当箱は30個以上、お弁当包みは50枚以上と、お弁当作りは今では趣味になっています。

ここまで読むと、もともと料理上手だったように見えるかもしれませんが、高校卒業と同時に一人暮らしをはじめたため、実家で料理を教わる機会もなく、料理はどちらかというとずっと不得手でした。

お弁当生活をはじめたきっかけ

新卒で入社した会社は不便な場所にあり、コンビニまで車で10分程度。毎度ふもとまでお昼ご飯を買いに行くのが面倒だったので、自分の食べたいものを詰めたお弁当を持っていくようになりました。当時はSNSで他の人のお弁当を見るなんてこともなかったので、見た目は二の次。自分のお腹を満たすことが最優先でした。

その後、転職や転勤など働く環境を変えながら、2014年に現在の会社に入社。現在の会社は、食と関わりのある会社で、入社後しばらくして「お弁当作りを楽しみにする企画」を提案しました。この時、お弁当作りをしている人の課題をきちんと理解するには自分で作ってみるしかないと思い、そこから私のお弁当生活が本格的にスタートしました。

お弁当の楽しさは盛り付けにあると考え、インターネットを参考にお弁当作り。見よう見まねで盛り付けてみると「せっかく作ったお弁当だから、記録に残したい!」と思うようになり、作ったお弁当をInstagramに投稿するようになりました。日々作ったお弁当を投稿し、「継続を可視化する」というのは、私の中で1つのモチベーションになっていました。

投稿していくうちに「いいね」の数も増えていきました。家族や恋人にお弁当を作って「ありがとう」とか「美味しかったよ」って言われるとうれしいものですが、日常の中では意外とそういう言葉は埋もれがち。ましてや自分のお弁当に対してそんな言葉がもらえる機会もそうそうない。なので、スマホ越しに誰かが自分の作ったお弁当を日々褒めてくれることが、とてもうれしかったです。「インスタ映え」という言葉はまだ一般的ではない頃でしたが、Instagramのおかげで、お弁当作りを続けることができました。

お弁当
Instagramで好評の「顔弁」

お弁当生活をはじめて変わったこと

お弁当生活をはじめると、生活リズムにも変化が生まれました。

以前は夜型で外食中心の生活をしていたのに、お弁当作りが楽しみになると、夜はほどほどに、朝ちゃんと起きられるようになりました。お弁当作りに費やす時間は30分程度。朝ごはんは軽く済ませて、一日の食事のメインはお昼休みのお弁当です。会社にお弁当を持参することで、毎日千円前後かかっていたランチ代は、数百円になりました。

食材を買いにスーパーに行くというのは、当たり前なようですが、以前はスーパーってたまに行く場所でした。都心で一人暮らしをしていると、買い物は近所のコンビニで済むし、自炊もほとんどせず、健康診断こそ引っかからないものの、偏った食生活を同僚に心配されるほどでした。

それがスーパーで買い物をするようになると、食材の旬が分かるようになりました。旬というのは、その食材を安価で買えるタイミングなわけで、季節に合わせた食材を買うのを楽しみながら、食費も抑えられるように。旬の食材を使うと、お弁当にも季節感が出て、マンネリ対策にもなります。彩りを気にしながらお弁当を盛り付けると、必然的に野菜を多く摂取するようにもなり、ずいぶん食生活が改善されました。

お弁当
野菜を増やすと彩りは良くなる

忙しい時こそお弁当を作り、仕事のモチベーションにする

普段は20時前には帰宅しますが、帰宅が22時を過ぎるようになると「最近ちょっと忙しいな」と思います。そんな時は、無理をしないで「簡単なお弁当にしちゃおう!」と、前夜の下ごしらえは何もせずに、15分ほどで簡単なお弁当を作ります。もちろん作らない日があってもいいですが、私の場合は、忙しい時こそお弁当を作って、お昼休みを楽しみに出勤しています。

忙しい時に作るのは、冷凍鰻をご飯に乗せた鰻丼や、焼肉丼などの丼弁当、スープジャーを使ったお弁当が多いです。スープは、お気に入りのレトルトスープに具材を足してアレンジし、ボリュームを増やして持っていきます。

お昼休みにお弁当を食べながらホッと一息つくことで、午後もまた「がんばろう」と気持ちを切り替えることができます。見た目の華やかさは少々欠けますが、食べた時の満足度は何にも引けを取りません。

お弁当
忙しい日のスープ弁当

週末の過ごし方が平日への気持ちの切り替えに

とはいえ日々一生懸命働いていると、なかなか平日にまとまった時間は取れません。そのため、日曜日の夕方に作り置きをするようになりました。スーパーで特売品や旬の野菜を買い、帰宅してから「さて、何を作りましょう」と考えながら食材と向き合います。

どの食材と組み合わせるか、茹でるか、蒸すか、炒めるか。味付けに使う定番調味料は、めんつゆ、オリーブオイル、ごま油、シーズニングソースなど。どれを選ぶかで、和風、洋風、中華風、エスニックなど、味の方向性が決まってきます。色と味と食材と、まるでパズルのように頭の中で組み立てながら、黙々と料理することで、いい気分転換にもなります。

料理をしながら「明日からまた1週間頑張ろう」と気持ちの整理をする週末のひと時が、働く自分にとっての大切な時間です。

つくりおき
週末の作りおき

旅の余韻を、お弁当に詰め込んで

長期休暇のときなど「お弁当を作らない」日が続くこともあります。そんな時は、もう1つの趣味である旅行を楽しみ、リフレッシュします。一人旅をすることもあれば、友達と一緒に旅行をすることも。

旅行中はお弁当作りがお休みになるので、インプットの期間にします。

例えば韓国やベトナムで、現地の料理レッスンに参加してみたり、地元のスーパーに行って食材やお弁当グッズをチェックしたり。だから、長期休暇明けは、お休みの間にインプットした料理や道具を使って、どんなお弁当を作ろうかとワクワクしています。

料理レッスン
ベトナム料理レッスンの様子

以前は旅先から帰ったら、お土産を配って旅行は終わっていましたが、お弁当を作るようになって、少し変化が生まれました。

沖縄の塩を使った炒め物や、福岡の明太子で卵焼きを作ったり、韓国海苔で和え物を作ったりと、旅先の食材を使った料理をお弁当に加えます。お弁当箱を開けると旅の余韻を感じることができ、新たなお昼休みの楽しみになります。

これから考えていること

年を重ね、ライフスタイルが変化すれば、作るお弁当も変わっていくと思います。私にとってお弁当作りは、趣味であり、日々の生活の一部であり、働く上での活力になっています。これからも、引き続きマイペースに作り続けていこうと思います。

そして、お弁当作りを続けていくうちに、今後の目標もできました。

数年前、海外支社の同僚に、普段作っているお弁当について尋ねたことがあります。彼女は「No effort(努力しない)」と答え、シンプルなサンドイッチと、リンゴやバナナなどのフルーツをランチボックスに詰めて持たせているとのことでした。だから、丁寧に盛り付けられた日本のお弁当に驚いていました。私自身も、メニューを固定にすることでお弁当作りの負担を軽減するのは合理的な考え方だなと思うと同時に、日本のお弁当もまた独特の文化なんだなと改めて認識しました。

そんなこともあって、Instagramの投稿には、英語でメニューを記載するようにしています。お弁当の詰め方を四コマ形式で紹介しているのも、言語関係なく、お弁当の作り方について伝えたいという思いからです。お弁当のおかずを英語で説明していると、たまに食材や食べ方について質問されることもあります。たどたどしい英語で説明して「なるほど! ありがとう」なんて言葉をもらうと、うれしい気持ちになります。

お弁当
詰め方を四コマで説明

気持ちを込めて朝お弁当箱を作り、お昼にフタを開けて弾んだ気持ちになる。日本のお弁当って、とても素敵な日本の文化だと思うので、海外の方に、この素敵さを伝えられるようになることが今後の目標です。プロの作った美しいお弁当ではなく、一般家庭で作られているホッとするようなお弁当を、海外の方と一緒に作ったり、共有したりできればいいなと思っています。

著者:micvanyid:micvany

micvany

都内オフィスで、お弁当アプリのディレクターとして働く日々。プライベートでは『頑張りすぎないお弁当生活』をモットーに、日々お弁当を作り、はてなブログやInstagramで更新中。「お弁当プランナー」として、お弁当の詰め方レッスンや、書籍へのレシピ提供なども行なっている。食生活アドバイザー2級。趣味は旅行で、国内外を飛び回っている。
Blog:micvanyのお弁当日記
Instagram:micvany