食べ飽きた「野菜炒め」は、中華丼&カレーに変身!|自炊の鐘を鳴らすのはあなた

2021.07.12

食べ飽きた「野菜炒め」は、中華丼&カレーに変身!|自炊の鐘を鳴らすのはあなた

「野菜炒め」は簡単そうに見えて、家でつくると味付けがきまらなかったり、つい大量につくって飽きたりしがち。家庭で野菜炒めをおいしくつくるコツと、食べ飽きた野菜炒めを中華丼や野菜スープ、カレーに展開するアイデアを料理上手の大島さちえさんが紹介します。

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    就職を機に上京し、ひとり暮らしとともに自炊をはじめたツクルくん(23)。レシピや動画サイトを見ながら奮闘するものの、なんだかイマイチおいしくできない……。

    まずは自炊の定番「野菜炒め」をおいしくつくれるようになりたい! そう考えたツクルくんは、料理上手のさちえさんに相談してみることにしました。

     

    「おいしい野菜炒めをつくろう!とネットで調べながらやってるんですが、いまひとつ上達しないんです。なんかベチャっとしたり、味がぼんやりしちゃったり……」
    「なるほど、野菜炒めね。いきなり難しいところを攻めるじゃない

    「え、野菜炒めって難しいんですか⁉ てっきり、初心者向け料理かと……」

    「お店で食べるような、モヤシがシャキッ! キャベツがパリッ! っていう野菜炒めをイメージしてるでしょ。あれはプロの技術と高火力のガスコンロがないとなかなかつくれるものじゃないよ」

     

    「そんなー! うちのIHコンロじゃ難しいんですか?」

    「家庭用コンロだと、ハードルが高いと思うなあ」

    「でも野菜炒めって短時間でつくれるし、仕事で疲れて帰ってきてもチャチャッとできるメニューなんです。何か家でもおいしくつくれる方法はないですかね?」

    「そうねぇ、まずは己の“野菜炒め観”を変えるところからかな!」

    「野菜炒め観??? 野菜炒めに『観』とかあります?」

    「野菜がくたっとして味が染みてる野菜炒めは“正解”じゃないと思ってるでしょ? でも、それが家庭料理としてのおいしさなの。毎日食べる日常の味だから、お店で食べるスペシャルなおいしさとはちょっと違うと思うんだよね」

     

     

    「そんな根本的なところでつまずいていたなんて…! たしかに、毎日お店の味じゃ疲れちゃいますもんね。とはいえ、僕の野菜炒めがイマイチなのは事実なんです。おいしくつくるポイントを教えてください!」

     

    話を聞いた人 大島幸枝(おおしま・さちえ)さん

    愛知県津島市で、約40年前より、全国の生産者から届くこだわりの調味料や野菜などの食品を、共同購入というスタイルで食卓に届け続けている「りんねしゃ」の2代目。 オリジナルのエコロジー雑貨や基礎調味料などを新しい視点で開発、販売しながら様々なイベントを手がけるなど多岐に渡る活動をしている。

     

    野菜炒めに正解なし。「名前のない料理」は自炊上手の第一歩!

    「ポイントかぁ。冷蔵庫に残ってる野菜をぜーんぶ入れちゃうことかな」

    「逆にそれがポイント⁉ 入れちゃダメな野菜とか、ないんですか?」

    「ないない! 家の野菜炒めにはルールも正解もないんだから、好きなようにつくっていいの。キャベツがなくちゃダメなんてこともないし、残り野菜も救済できるのが野菜炒めのいいところ。肉なしでもいいし、豆腐を入れたって、ちくわを入れたっていいんだよ」

    「豆腐⁉ それはもう、野菜炒めじゃないんじゃ……」

    「おいしければ、名前なんかどうでもいいんだよ。肉じゃがとか唐揚げとか、名前のついてる料理だけをつくってたら自炊は毎日続かない。家にある食材を上手にやりくりするのが自炊上手だと思うな

    「たしかに『あるものでパパッとつくれる』人にはあこがれるかも……。本当に何でも入れていいなら、僕でもできる気がしてきたな」

     

     

    「じゃあ、炒めるときの火加減や、味付けのタイミングが知りたいです!」

    「そしたら、私の野菜炒めのつくり方を説明しましょう。まず、フライパンに油を敷かずに野菜を入れて、軽く塩を振り、中弱火でふたをして蒸し焼きにします

     

    玉ねぎやニンジンなど火の通りにくい野菜を下に、キャベツやピーマンなど薄くてやわらかいものを上に乗せよう

     

    「油なし⁉ しかも、ふたをするなんて。野菜がベチャッとしそうだけど……あ、それでいいのか」

    「ふふふ。家には家の野菜炒めがあるのよ。野菜がしんなりしてきたらふたを外して油を入れて、混ぜながら炒めます。炒めるときは強火でね。最後に味をつけて完成」

     

    焦げないよう、時々ふたを開けて混ぜる。野菜が汗をかいたように水分が出て、しんなりしてきたらOK。強火にして炒めよう

     

    「やっぱり油は入れるのか。なんで最初から入れないんですか?」

    野菜炒めにおいて、油は調味料だと思ってるから。油を加熱しすぎると酸化して香りが飛んでしまうので、仕上げに加えます」

    「たしかに、仕上げに入れると一気に油のいい匂いがしてきた!」

    「野菜炒めには油の味がダイレクトに出るから、いい油を使ってね。肉やだしを入れなくても、油の持つ旨味や香りで充分おいしくなるよ」

     

     

    「ていねいにつくるなら、野菜の切り方も大事。火の通り具合がそろうように、野菜を同じサイズに切ることを意識してみて」

     

    野菜の大きさや形をそろえてみると、美しくおいしく仕上がる

     

    「それから、同じキャベツでも大きく切るか太めの千切りにするか、玉ねぎを切る向きを変えてみるだけで仕上がりの味が違うから、いろいろ試してみると楽しいよ」

    「玉ねぎを切る向きなんて、意識したことなかったなぁ」

    繊維に沿って切ればシャキッと食感が残るし、繊維を断つように横向きに切ると柔らかく、玉ねぎの甘味を感じる仕上がりになるよ。面白いでしょ?」

     

    繊維に沿って切るか、繊維を断って切るか。どっちが好きか、試してみると面白い

     

    「そうそう、キャベツやニンジンを細切りにして炒めるなら、仕上げに卵を入れて卵炒めにするとおいしいよ。塩を入れすぎた~!ってときも、卵や水切りした木綿豆腐を入れて炒めるとちょうどよくなるから」

    「失敗しても、慌てずサルベージする方法があるんだ!」

    「そうそう。豆腐の水切りがめんどくさいなら、そのまま入れてもいいの。豆腐の水分が出たらちょっと白だしを入れて、水溶き片栗粉でとろみをつければ、なんちゃって和風麻婆豆腐! どんどんアレンジして、最終的に別の料理になってもいいんだよ。家庭料理なんだから」

    「なんか、気が楽になってきました。自炊は完璧じゃなくてもいいんだな〜」

     

    自分の「めんどくさい」ポイントを知れば、自炊が楽しく

    「ちなみに肉を入れるときは、肉から焼きますか?」

    「先に肉をカリッと焼いてから一度お皿に取り出して、フライパンに残った肉の脂で野菜を炒めるといいよ。肉を戻してから味付けね」

    「やっぱり肉と野菜は別々に炒めたほうがいいんですね。いつも面倒になって、一緒に炒めちゃうなぁ。肉をとる皿が出ると、洗い物も増えちゃうし……」

    「あら、食べる時に使うお皿に肉を出しちゃえばいいのよ! わたしはそんなに手間じゃないと思うけど……でも、人によって嫌いだったり、面倒だったりする作業って違うよね」

     

    キャベツは手でちぎるだけでもいい。自分がやりやすい、楽な方法を探してみて

     

    「私はみじん切りが嫌いだけど『ストレス解消になるからみじん切りが好き』って言う人もいるし、肉を触りたくない人もいるし、皿洗いをしたくないから料理しないって人もいる」

    「さちえさんも料理で苦手な作業があるんですね!」

    「もちろん! どんな作業を面倒だと思うか、自分で知っておくことが大事だよ。肉を触りたくないならカットされた肉を買えばいいし、皿洗いが嫌なら食洗機を導入したり、なんなら鍋から直接食べたっていいの」

    「なるほど~。自由なんだなあ」

    「とはいえ、おいしくするための『ひと手間』もあるのはたしか。とにかく一回やってみて『確かにやったほうがおいしいな』と思うか『面倒な割にあんまり味は変わらないな』と思うか、自分で判断すればいいんだよ。レシピに出てくる手順を全部守る必要はないけど、一度は自分で試してみるのが大事

    「いろいろ試してみて、どこを手抜きすればいいのか、自分の好き嫌いを知ればいいんですね!」

     

     

    つくりすぎたら、展開して次の日は別の料理に!

    「そうそう、野菜炒めって、絶対つくりすぎちゃうんです。いつも気が付くと3人前くらいできてて、途中で飽きちゃう……」

    「わかるわぁ。そんな時はさ、残りは冷蔵庫に入れておいて、翌日『味変(あじへん)』すればまたおいしく食べられるよ」

    「味変……?」

    「例えば塩味の野菜炒めが残ったら、次の日は冷蔵庫にある練り物を足して、片栗粉でとろみをつけたら中華丼水とコンソメを入れて煮れば野菜スープに。なすの炒め物に、水とシーフードミックス、カレールーを入れてサッと煮たカレーなんかもすっごいおいしいんだから」

     

    「味変というか、もはやトランスフォーマーくらい派手なアレンジだ……。確かにそれなら、2日目以降も新鮮な気持ちで食べられそう!」

    「野菜炒めに正解もルールもないって、そろそろわかってきたかな?」

    「はい、野菜炒めがこんなに自由な料理だなんて知りませんでした。今夜はさっそく、野菜炒めを山ほどつくります!」

     

     

     

    ☆さちえさんおすすめの、「回鍋肉風」野菜炒めも紹介します!

    「蒸し焼きにすると短時間で野菜に火が通るし、ところどころ焦げてもそれがまたおいしい。中華丼に入れたちくわが、思わぬ名脇役を演じてくれたのも発見だったな~! またひとつ、自炊レベルアップの鐘が鳴ったのが聞こえたかも!」

     

    イラスト:小松佑

    取材協力:りんねしゃ

     

    ☆記事最後の画像ギャラリーに、レシピのポイントを紹介しています。つくり方の参考にどうぞ!

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    中村ルイ
    中村ルイ

    1993年生まれの編集者、ライター。生まれてこのかた食いしん坊。甘いものを中心になんでも食べるし料理もします。好きな調味料はお酢。

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