ジモコロのメインテーマである「地元」。

成人するまでは地方で暮らし、その後都市部に移り住むのが主流となっています。しかし、結婚をして子どもが生まれて、住環境や教育のことを考えて”家族で地元に戻る”のも大きな決断です。

 

今回取材した阿部夫妻は、夫は全国を旅するフリーライター、妻は美容師。子どもは3人。20年近く東京で暮らしてたことを考えれば、仕事の面でいえば東京にいるほうが絶対いいはずです。子どもの転校も影響を考えれば億劫になる。それでも二人は家族全員で函館へ移住することを決意しました。夫は函館生まれ・函館育ち、妻は中学から函館。そう、二人の地元へのUターンです。

 

 

 

……と申し遅れました。6年前、東京から大阪に引っ越してライターをしているロマンです。

週10日で酒を飲んで街とダンスしているんですが、仕事の少ない地方でライターを続ける大変さは尋常じゃありません。死物狂いの椅子取りゲームをやっとります。ジモコロ読者なら「わかる!」となるでしょう。

今回、ライターの先輩でもある阿部さんに「地元に戻って仕事大丈夫なんですか!? 家族とのバランス取れてますか!?」とド直球の質問をぶつけるべく、真冬の函館にやってきました。気温はマイナス10度。吹雪いてめっちゃ寒い。

 

こちらが阿部さん。出会いは長野で、馴染みの編集者たちと浴びるように酒を飲み、語らい、サウナと水風呂をハードにキメて、気がついたらもう兄貴と思ってました

僕が出会った当時の阿部さんは、東京を主戦場に10年以上ライターとしてのキャリアを積み上げていた売れっ子ライター。そんな彼が、妻と子を連れて地元・函館に戻ったのは2021年のこと。

東京で積み上げてきた仕事のキャリアを捨てて、函館へ帰るという選択って一見リスキーやなあって思ってました。阿部さんは常に笑顔で、エネルギッシュやけど、やっぱりギリギリなんちゃうんかな?と。

そもそも地方のライター仕事は単価が安いし、新聞やラジオの露出はあれど、謝礼レベルで家族を食べさすには物足りないのも事実。気づけば「地元のため」の名目でリソースが割かれていくのは、ローカルあるあるなんです。

 

一体、どうしてるの!?

そんな疑問はすぐに杞憂だとわかりました。自由に全国を飛び回る阿部さんを支えるパートナー・綾子さんの存在が大きいよう。驚くことに綾子さんも、フリーランスの美容師としてバリバリ働いている。「(妻として)家を守る」のではなく、夫婦ふたりとも攻めの姿勢であることがわかりました。

そんな「ライオン夫婦」とでもいうべき、かっこいい二人へのインタビューをお届けします!

 

いざって時は私がカバーするから、あなたはライター続けなさいよ

綾子さんの経営する美容室「noqa hair design」で取材させてもらいました

「おふたりはいつ出会ったんですか?」

「元々、高校の同級生なんだよね。1学年に8クラスくらいある大きい学校で、在学中は接点ゼロだったんだけど」

「ちなみに、綾子さんからみた阿部さんの印象はどんな感じでした?」

「サッカー部で、声がでかかった(笑)」

 

「(笑)。本当に『知ってる』くらいだったんですね。社会人になってからは、ふたりとも東京で働きはじめた?」

「そうですね。美容師の仕事って休日も忙しくて。たまたま髪を切りに来てた友達が『今週末、東京にいる同級生で集まるよ』って教えてくれたから行ってみたんです。そしたらよりによって『サッカー部の阿部ちゃん』の隣の席で。『ここしか席ないのか〜』みたいな」

「よっぽど嫌だったみたい(笑)」

「声でかい人やもんね(笑)」

 

「そのときの私は、30歳を目前にして人生に迷っていて。ヘアメイクの技術を学びに海外に行こうかなと考えてたんですよね。そしたらたまたま阿部ちゃんが世界一周から帰ってきた話をしていて『おもしろそう! 聞かせて?』ってなった。それまではずっと背を向けてました。絡まれたくないし、怖いし(笑)」

「話はけっこう盛り上がったよね。その時に『髪型いけてないよ』って言われて」

「黒髪ロン毛は、基本的にはタイプなんですけど、なんか、あまりにも……」

「香港で髪を切ってきた帰りだったんだけど、ストレートパーマみたいにされて。風貌もヒッピーみたいな(笑)。お金なさそうに思われたのか、かわいそうに思われたのか『お店の営業終了後ならタダで切ってあげるからおいでよ』って。で、髪を切ってもらったお礼にご飯奢るよ、って誘って。それから遊ぶように」

「誘い方が自然で上手。いい距離の詰め方やなあ。それからどれくらいで結婚されたんですか?」

 

「再会してから2年後くらいですね。うちの両親に結婚の挨拶に行った時、阿部ちゃんが『フリーランスでライターをやっています』って説明するじゃないですか。そしたら『フリーターとなにが違うんだ?』となって」

「まあ、ライターはフリーターみたいなもんですからね。僕もおんなじこと言われたことあります」

「ご両親の反応を見て、フリーランスであることが結婚の妨げになるなら就職してもいいかなと思って。でも、綾子が『あんたはせっかく1人で頑張って食えるようになったんだから、このスタイルを貫き続けなさいよ』って言ってくれて」

「この人が雇われて、上の人に使われているビジョンがまったく想像できなかったんですよね。自分が好きなようにやったほうが、この人らしいかなって。私も楽しく仕事しているし。心配する両親を説得しましたね」

「とはいえ、フリーランスは不安定じゃないですか。就職するあてもあったのに、『フリーランスでいいよ』って言えたのはなぜなんですか?」

「私が美容室で長く働いていて、お金も安定してたんです。いざってときはカバーできるかなって。私がこの人を引っ張る自信もあった。お互いにダメな時には支えるのが当たり前だし」

 

「夫婦ってそういうもんでしょう」

「格好いいなあ」

「まあ、なんとかなるだろうって(笑)」

『この先もライターとしてやっていこう』と決めた瞬間でしたね。おんぶに抱っこになるつもりはなかったし、より実績を積んでいかないといけないなと思いました。就職のお誘いを断って、腹が決まった感じです」

「これは『ギリギリおじさん』の芽生えですね。この時点でライターとして生きて食っていく覚悟が生まれて、どんなことがあっても締め切りを守る阿部さんのスタイルにつながっていくんだなぁ」

 

 

子どもの顔を両親に見せたくて、函館移住を決めた

「でも、おふたりとも東京でバリバリ仕事をしていたわけじゃないですか。正直、函館に帰る絵が想像できないというか……」

「同郷だから、『いつか帰る?』って話は時々していて。決定打はコロナですね。緊急事態宣言で考える時間が出来たこともあって、東京と函館で住むことのメリット、デメリットを箇条書きしてみたんです」

「函館は仕事が少ない、雪は好きだとか、東京は家が狭い、エンタメは多いとか。そこまで具体的に考えたのは、はじめてだったね」

そのなかでも大事にしたいと思ったのは、子どもの顔を両親に見せたいという気持ちでした。コロナの影響で函館に帰れなくなって、子どもが可愛い時期なのに抱っこさせてあげられないっていうのが心に引っかかって」

「二人とも同じ地元だからこそのモチベーションですね」

「そうそう。あの時期って、次にいつ帰れるのかもわからなかったじゃない。子どもの成長は本当に早いですからね」

「そんな時に、3人目を授かって。お互いに『今だね』ってしっくり来て、引っ越しを決意しました」

 


綾子さんが切り盛りする「noqa hair design」。東京で長らくヘアデザインの仕事をしてきた彼女らしい、ハイセンスな提案をしてくれる美容室

「綾子さんは、函館で初めて自分のお店を持ったんですよね?」

「函館での不安は、人口がそこまで多くないのに美容室の数がとにかく多くて、カット単価も安いことでした。閉店するお店も絶えない印象でしたね。東京で美容師をやっていたとはいえ、お客さんに認知されるのか不安でした」

「お店のあるエリアは観光地なんですか?」

「はい。なので、なかなか地元の人は来ないエリアなんです。でも『みんな車を持っているから、いいお店だったら遠くからでも来てくれるよ』と、地元の人に言われて」

「そこからはすごく早かったよね。『物件を見つけてきたよ』『お金借りてきたよ』って。それで、僕が出張から帰ったらお店を契約してて」

「美容室の経営と、子育てを両立するのって、普通に考えてめっちゃ大変ですよね。どんなスケジュールで過ごしているんですか?」

 

「仕事場と保育園が近いから、18時にお店を閉めたらすぐお迎えにいけるんですよね。東京にいる時より働きやすくなってます。日曜日は保育園が休みなので、お店も定休日。ありがたいことに3ヶ月先まで予約が埋まってます」

「3ヶ月先まで! 安定してる! というか安定通り越して予約の取れない店と化している」

「ビジネス論とかじゃなく、技術とセンスがあって、ちゃんとお客さんと向き合っていれば、支持されるんだなって感じたなぁ。オープン前にSNSでの発信が重要とか言っていたのが恥ずかしくなっちゃった」

「宣言通りに綾子さんが一家の大黒柱みたいになってる」

「うふふ」

 

 

「函館に帰ってきて、よかったことしかないな」

「阿部さんは函館へ移住して、ライターの仕事には変化がありましたか? ぶっちゃけ稼げますか?

「元々、ウェブ7:雑誌3くらいの割合で仕事をしてたんですが、函館に来て雑誌はゼロになりました。ウェブ仕事のほうは、ありがたいことに『飛行機代を出すので阿部さんにお願いしたいです』って言ってくれるクライアントさんたちがいて。月に1〜2回は東京に取材に行けてます。そういう人たちのおかげで、収入的には落ちてないかな」

「おお、すごい」

「逆に、こっちに来てから、新たな領域の仕事が増えているんですよね。今までライター・編集者としての仕事がほとんどだったけど、こっちではラジオのパーソナリティとか、ケーブルテレビにもレギュラー番組があって、むしろ仕事の幅が広がりました

「ラジオとテレビもやっているんですか! ローカルタレントですやん」

 

「あとは、『生活圏』っていう雑誌も作ったんですよ。パブリックなガイドブックではなく、友達に自分の街を紹介するようなつもりで作った私的な本なんですけど。僕がいつも行っているお店の紹介や、普段の暮らしを綴ったエッセイ、お世話になっている町会や遊び場、学童クラブのインタビューなどを詰め込んだ一冊です」

「雑誌も作ってるとは……、本当に充実してますな」

「ずっと東京で仕事をするのも楽しかったと思うけど、やっぱりライターとしての仕事が大半だったと思う。函館に来てから、予想もしてなかった仕事をいろいろもらってますね」

「新しい仕事に挑戦するのって、プレッシャーじゃありませんか?」

 

「うーん。最近気づいたんですけど、文章を書くのも喋るのも、言葉を使ってなにかを伝えるという点では一緒なんですよ。それぞれ形は違うけど、言葉でなにかを伝えることを続けられていることは嬉しいですね」

「『初めての仕事だから全然どうなるかわからんよ……』って不安そうに家を出ていった日も、結局『サイコーだった!』って帰ってくるよね。新しいことに挑戦し続けるのは大変だけど、楽しそうだなって思います」

「今のところ、函館へ帰ってきてよかったことしかないかな」

 

「そう言い切れちゃうのはすごいですね。 生活面ではどうですか?」

「もともと東京では、好きなバンドのライブとか、サッカー日本代表の試合とか、函館じゃ見られないものが見れるのが楽しかったんですよね。でも、子育てをしてみると、東京って消費的な遊びがすごい多いなと気がついて」

「わかる……。毎日が消費の連続。瞬間風速最大値的なゴキゲンはあるけど、嫌気がさす日もあるねんなあ」

「でも、こっちに正月やお盆で戻ってくると、子どもが道端の葉っぱで名付けようのない遊びをはじめたり、去年よりも大きな雪だるまを作れるようになったり。それってすごく『積み重なっていく遊び』だなって。自分が子どもの頃もそういう遊びをしてたなと思って、すごいいいなって思ったんです」

「田舎遊びを積み重ねた夫婦のDNAが、見事に継承されてますね」

「でも、そのよさを子どもに押し付けるのは親のエゴだとも思ってて。上の子供が小学4年生なんだけど、最初は新しい小学校に行くことをすごい嫌がって。転校はかわいそうだよな、と悩んだんだけど。函館の学校に初めて登校した日に『どうだった?』って聞いたら、『友達4人できた!』って。それでようやくホッとしましたね」

「子どもの順応力〜」

 

取材時も雪が積もっていた函館

「私は東京にいた時、『自分の場所はここだ』って決めて生きていたけれど、こうして函館で自分の店を持てたし、親に子供の顔を見せることもできた。帰ってきてよかったと思ってますね」

「仕事、めっちゃ楽しいって言ってるよね」

今は、すべてにおいて、自分で自由に選べるんですよ。場所も、使いたいものも、壁の色も、時間も全部。こうやりたい! をすべて自分で実現できるのはいいと思います」

「生活にしてもそうで、『自分たちの生活を自分たちでつくっている』って実感がすごくあるんです。それは確実に幸福感に繋がっていて。東京が真夏日の時、こっちでは桜が咲いてたり、東京と季節が違うのもいいなと思います。穏やかというか、大きな流れに自分が組み込まれない感じがして」

「東京ではブームとか、大きくて速い流れに乗らないといけないからね」

「東京時代は、そういう抗えない流れのなかにいた。でも今は、こうしてまったく違う土地を選択して、自分たちのペースを守ることがとても自然にできている気がするんです」

「いつか地元に戻りたいと思っている人たちに伝えたいメッセージですね」

「ジモコロらしくていいね」

 

最初からギリギリだったから、大抵のことは大丈夫

「同じフリーランスとして、仕事のアドバイスとかはお互いするんですか?」

お互い仕事に関しては何にも言わないよね

「いろいろやってるから、相手の仕事のことをあんまりわかってないかも(笑)。阿部ちゃんが出演しているラジオ番組も、最初はお店で流してたけど、忙しいとなかなかちゃんと聞けなくて」

「阿部さんは同業者の僕から見ても、なにやってるかわからないです。こんなに全国各地を駆け回っていて、いつどこでライティングしているのかがまずわからない(笑)」

「常に予定には半歩届いてないギリギリの状態ですよ。振り返れば、ライターとして生きてきた10年間、ずっと締め切りに追われてるなって。恐ろしいことしてるな……」

 

「正味、しんどい時とかないんですか?」

「寝られない時はしんどいですね。締め切りが立て込んでたり、2日寝てない時とかはやっぱりしんどい」

「寝てないとだんだん頭も回らなくなってきますよね」

「それでも俺がやれているのは『仕事をくれている人がいるんだから、どうにかやらなきゃな』って思うからかな。筋(すじ)を大事にしたいというか」

「わかる〜。フリーランスは会社っていう後ろ盾もないから、自分で信用を積み上げて行かないといけない。しかも、それって簡単に崩れるんですよね」

「そのために寝ないで仕事するっていうのは、ただの根性論でしかないと思うけどね(笑)」

 

「わたしはちゃんと寝てますね」

「(笑)。いわゆる美容師さんって寝てないイメージがありますけど」

「せっかく自分の好きなようにやれているので、東京の職場の再現にはしないぞ、と思っていますね。しっかり眠るし

「さっきから綾子さんの安定感、器の大きさがすごいなって思ってたんです。ちゃんと眠るとか、そういう当たり前のことができてるのも関係してるのかなと。フリーランスだとその当たり前の健やかさが失われることも多いじゃないですか。阿部さんが家にいない時は不安じゃないんですか?」

「いなくても困らないとは言わないけど、いてくれると助かる、って感じかな」

「もうルンバみたいだもんね(笑)。『いてくれたら嬉しい』って」

「両親が近くいるのも大きいですね。子育てのサポートはやっぱ地元の方が選択肢ありそうだもんなぁ」

 

「お互いが自立できているからこそ、穴埋めしやすい、助けやすいのかなとは思いますね」

「俺は出張も多くて、いつも締め切りがあって、とにかく時間的にずっとギリギリだから。それを好き勝手やらせてくれる器のでかさで、うちはどうにかギリギリ持ってます(笑)」

「失礼かもしれないですけど、ふたりってライオンっぽいですよね。ライオンって、オスメスの役割がしっかり決まっていて、どっちも強い。お互いが自分たち自身のやりたいことを尊重しながら仕事に取り組めている感じがそうだし。あとは見た目も似てるかも。ロン毛と金髪ショート」

 

「はじめて言われたな〜」

「そういえば新婚旅行がケニアだったしね」

「ライオン見に行ったよね(笑)」

「ライオンのオスは一族を守る担当で、メスが食べ物をとってくるんですよね。阿部さんは遠くへ狩りに行くという意味で、メスライオンかも。綾子さんは函館にどっしり構えてるし、ライオン夫婦だ!

「そこ逆なんだ!」

「この人、ちゃんと子どものことも考えてくれて、家にいるときは良きオスライオンでもあるんですよ。この日に旅行するって決めたら、それまでにぜったい仕事を終わらせるし、 家にいる時間は真面目に子どもと向き合ってくれる。子どもに対して『嘘はつくな、約束は守れ』と言えば、自分もちゃんと守るし」

「いい父ライオンだ」

「ライオンの解釈ややこしいな! でも約束を守るっていうのは徹底してるかも。 『俺も守るからお前も守れよ』って」

「子供たちがいい監視員になってるのかもね。『約束守るって言ったよね?』という無言の圧を感じること、あるもんね(笑)」

 

「端から見ていると、阿部さんはなんでここまでギリギリの状態で走っていられるんだろうとは思うんですよ。すごくたくさんの仕事を抱えて、全国を移動して、書いて、人と会って」

「喋りながら、そういえば自分は最初っからギリギリだったよな、と思い返してた。それこそ駆け出しの頃は、日雇いバイトをしながら書いてたし、大手の編集部にいた人が独立してライターになるみたいなルートとは全然違ったんだよね。最初からギリギリだったし、それがアイデンティティを形成している気もする」

「そうか。ギリギリあってこその阿部さんなんだ」

「もっと昔に遡ると、バックパッカーで世界一周をしてた時は、お金がなさすぎて野宿してヒッチハイクとかしてたんですよ。いろんな人に迷惑をかけたけれど、当時の経験があったから、自分はしぶとく生きてこれたんだろうなと。底辺を経験したから、『大抵のことは大丈夫だ』って思えてる気がします」

「阿部さんみたいな生き方をしている人に惹かれる綾子さんも、格好いいんですよね。ライオンが惹かれあうべくして出会った感じ」

「常にギリギリを更新し続けている気がして、いつも笑ってますけどね(笑)。まあ、なんとかなると思ってます」

 

おわりに

阿部さんは、ライターの先輩としてめちゃくちゃお世話になってて、いろんな場所で乾杯してきたいい兄貴的存在です。こうして阿部さんの人生を聞いてみると、あのあったかさや豪快さが、ようやく腹落ちしました。寒い土地の人間は心があったかいってのはほんまですね。

あとは、都会のグレーな景色とすさんだ空気の中が主戦場で、そこでしか食っていけないみたいな仕事って結構あると思うんですよ。僕もそうやし、それで悩んでる人も山ほどおる気がする。でも、それって先入観で、結局のところそうでもないんだなあって安心も得られました。

ただ、そんな阿部さんを強くいさせてくれるのも、妻の綾子さんあってのこと。ふたりが揃ってライオン夫婦なんですよ。ほんまに。

人は仕事のことや人生のことで悩んだりすると思うけど、困った時は函館へ足を運んだらいいなあって素直に思った。この記事を読んだみなさんの中で悶々としてる人は、阿部さんにDMを送ってみてください。たぶん函館で遊んでくれると思うし、そのライオンっぷりをみたら、いろいろ安心する気がするから。

取材協力:阿部光平さん(X)、阿部綾子さん(お店のInstagram

撮影:原田啓介(XInstagram

編集:徳谷柿次郎(Huuuu)