こんにちは、ライターの友光だんごです。先日、僕の働いている会社の社長から「車買った!」とメッセージが送られてきました。

 

京都に出張中のはずだけど、旅先で車を? と思いながら、一緒に添えられていた写真を開くと……

 

いや、どういうこと???

 

慌てて社長であり、ジモコロ編集長の柿次郎に連絡しました。

 

「色々気になるんですけど、まずなんでお姫様抱っこされてるんですか? この人は誰です?」

「車を売ってくれた古賀ちゃん。京都で中古車屋をしてるんだけど、身長182cmの体重107kgあって、あの格闘家ヒョードルとほぼ同じスペック。信頼感しかないやん? だからつい……」

「何言ってるかよくわからないんですけど、この車はなんですか?」

ダッヂのラムトラック。いわゆるアメ車(アメリカ車)やね。アメリカで農家や猟師が乗ってる車らしい。会社の社用車がそろそろあってもいいよねって話してたでしょ」

「確かにしてましたが、今まで柿次郎さんからアメ車って言葉、一度も聞いたことないですよ」

「うん。外車に1mmも興味なかったんだけど、古賀ちゃんから買うなら間違いないと思ったんよね。車って、『この車種がいい!』みたいな憧れがないと選ぶの難しくない? だんごさんも最近、車が欲しくなってきたとか言ってたけど」

「あ〜、まさに僕も車への憧れが薄くて、気になるけど選び方がわからないなと思ってました」

「そしたら古賀ちゃんに会いに行こう! 車を『人で買う』よさが、古賀ちゃんの話に全部詰まってるはずだから」

 

掘り出し物を買う秘訣は、相手の信頼に即答すること

ということで指定された駐車場へやって来ると、古賀さんが待ち構えていました。

 

「なんかいきなりキングダムの武将みたいなポーズさせられたんやけど、これインタビューなん?」

「そうです! 古賀ちゃんに色々聞きたくて」

「僕もまだあんまりわかってないですが、よろしくお願いします」

「そもそも、古賀ちゃんの仕事から聞いてもいいですか? 『外車専門の中古車屋』をしてるんですよね」

「そうやね、アメ車を中心に海外から輸入して販売してる。中古車だけじゃなく、新車も扱うこともあるね。大きくカテゴリ分けすると『並行輸入業者』にあたる」

「並行輸入?」

「大手商社の日本法人、いわゆる『ディーラー』がメーカーとして輸入するのが『正規輸入車』。俺みたいな正規じゃないルートで海外から輸入してくるのが『並行輸入車』。まあ、もっと簡単にいうと個人規模で買い付けしてるってことなんかな

「輸入ルートの規模の違いなんですね。並行輸入の特徴って何かあるんですか?」

「いろんなパターンがあると思うけど、俺なりに言うと『掘り出し物が見つかる』ってことかなあ」

 

「日本でもそうだけど、名機って言われる車はみんな外には出したくない。だから極力ネットには載せないし、自分の周りにしか情報を流さない。俺の場合、アメリカの友達がそういう掘り出し物を『いいの入ったよ』と教えてくれるんです」

「なるほど、友達経由で。じゃあ掘り出し物のアメ車を仕入れるには、そういうコネクションを作るのが大事ってこと?」

「うん。仕入れの金額も、知らない人に売るのと、知り合い経由で売る場合で変わってくる。それに、日本人やアジア人だと見た目でわかると売ってくれないみたいなケースもアメリカではまだあるから」

「掘り出し物を教えてくれるような人との関係性を作る上で、何か大事なことってあるんですか?」

「冷やかしでは付き合わないこと。仮に掘り出し物を教えてくれた時には、返事は『買います!』しかない。『これ5万ドルだけど』と言われて『ちょっと悩みますわ』と言ったら、その時点で次はないんですよ」

「それはなぜ……?」

相手は俺を信頼した上で、その掘り出し物をすすめてくれてるわけじゃないですか。だから、俺も相手を信頼して即決するのが筋だと思うんよね」

「俺が古賀ちゃんからラムトラックを買ったときもそうだったかも」

「そうなんですか? そもそもどうやって買ったのかを聞いてなかった」

 

「古賀ちゃんとは元々、共通の友達がいて、京都の酒場でよく一緒になってたんです。何度か話して信頼できると思ってたから、飲みながら『いい車ないかな?』と聞いて『柿次郎におすすめの車がある』と言われた時は『買う!』って即答した

「どんな車かほとんど言ってへんのに即答したから、びびったけどな(笑)」

「それは信頼しすぎなのでは……」

「正直、酔ってた勢いもある」

「でも、柿次郎から長野で自然の近くに移住して農業やアウトドアでも使える車がいいとか聞いてたから、ラムトラックがぴったりやと思ったんよね」

「そうそう。翌日、古賀ちゃんの会社で実物を見せてもらったら、野菜や丸太、釣竿やキャンプ道具とか何でも荷台に積んで、山道でもガンガン走れる車で。最高やん! と」

 

柿次郎の購入したラムトラックは3人1列で乗れる2ドアタイプ。アメ車サイズなので、男3人が並んでもそこまで窮屈ではない

 

「スバルのXVを1台目の車として乗ってたから、運転しやすい日本車はもうある。じゃあ、セカンドカーの社用車には多少、運転しづらくても面白い車を買ってもありなんじゃないかな? って気持ちもあったね」

「まあ、正直ラムトラックから柿次郎さんが降りてくるのちょっと面白いですよね」

「会社のイベントやフェス出店も増えてるから、在庫や什器をたくさん積める車が欲しかったのもあるし。ちゃんと実用性も考えて買ってるよ!」

「こっちも本気で考えておすすめしてるから、応えてくれた時は嬉しかったな」

 

アメリカの「古い車を直しながら乗り続ける」文化

「でも、当時は社用車にどんな車を買うのがいいかすごく悩んでて。『ランクル乗りたい』とかそういう憧れもなかったから、『選ぶのむず〜』と思ってました。だんごさんもそういうタイプでしょ?」

「はい。車への憧れが元々そんなになくて。ただ、『車のある生活いいな』って気持ちは強くなっていて、ちょっとずつ車が欲しくなってる感じです」

「昔の日本は『いつかクラウン乗るぞ!』とか一番の憧れが車やったけど、今は憧れる対象が増えて、車が一番じゃない人は多くなってるんかもね。俺がアメリカの車文化も見てきて、日本と一番大きな違いを感じたのも『憧れ』の部分やった」

「アメリカでは、車が今でも憧れの対象なんですか?」

 

アメリカには、車を代々受け継いでいくカルチャーがあるんよね。おじいちゃんが乗っているカッコいい車を見て育って、息子や孫が憧れる。おじいちゃんが自分の息子に譲って、さらに孫へ……という」

「日本に比べて、アメリカの方が古い車を大事に乗ってるイメージはあるかも。代々受け継ぐ文化があるからなんだなあ」

車の修理も自分でやる人が多いよ。特に昔の車って、意味のない部品がないから、自分で触って理解していくと面白いんよね」

「へえ〜。日本だと車検に出したり、何か不調だったらディーラーに持って行ったりして任せちゃいがちな気がする」

「アメリカの場合、昔の車のパーツも比較的手に入りやすい。だから、どこか壊れても自分で直して乗り続けることができる。一方の日本は、昔のパーツはどんどん廃盤になっちゃう。それに5〜8年くらい乗ったら、次の新車に乗り換えた方がラクな仕組みになってるんよね」

「日本は家電とかも同じですよね。新しいものを買ったほうが安かったりする。そもそものマーケットの仕組みが違うんだなあ」

「日本車の旧車も人気はあるけど、部品がまず手に入らないことが多いから維持が難しい。昔のかっこいい車に乗りたいと思ったら、必然的にアメ車やヨーロッパ車になるんちゃうかな。ヨーロッパの古い車の部品でも、アメリカで探せば手に入ることが多い。古いポルシェとかBMとかのコレクターがいっぱいいるから」

 

「今までアメ車に興味はまったくなかったんですけど、少し面白くなってきました。長く乗り継ぐ文化かあ」

「そういう違いが生まれたのは、道路環境とかもあるのかな。アメリカのほうが日本より道路は荒れてるイメージがあります」

「アメリカは日本ほどちゃんと舗装されてないね。道路は土間みたいなコンクリートが多くて、雨の日はスリップして、そこらじゅうで事故が起きてる。国土があんなに広いから、隅々まできれいに舗装するのも難しいんちゃう? だから、車も『事故を起こす前提』で作ってると思う」

「前提条件が違うんだ!」

「アメ車は強い衝撃に対してちゃんと耐えられる、が必須の設計になってる。このラムトラックもそうだけど、日本の軽自動車やハイエースと違って、ボンネットがちゃんとあって、何かにぶつかっても衝撃に耐えられるようになってる」

 

「向こうだと、カーチェイスとかもほんまに見かけるしね」

「すごい。日本って平和なんだなあ」

アメリカでは車が壊れるリスクも大きいから、自分で修理する前提になってるってことですね」

「あとは税金の仕組みも違うね。日本の場合は新車ほど税金も優遇されて、古い車のほうが税金が高くなる。アメリカの場合は逆で、古い車には無税なのよ」

「へえー! 自動車は日本の重要な産業だから、法律の仕組み的にもどんどん新しい車を乗ることを推奨してるのかも? いろんな背景が車文化の違いを産んでるんだなあ」

 

中古車の買い方、難しくない?

「ハードな環境で乗る前提のアメ車だからこそ、中古車として扱う際には目利きが大事になってきそうですね。重大な故障がないかとか」

目利きが大事なのは日本車でも同じちゃうかなあ。俺らみたいな小さい業者の場合、まず現場に車を見に行って、間違いないことを確認した上で仕入れる。お客さんと人間対人間で関わるから、この人にちゃんと安心したものを売りたいって思うんよね」

「量販店の場合だと、そういうわけでもない?」

「量販店は大量に買い付けて大量に売るシステムになってるから、どうしても一台一台へのケアは薄くなりがちよね。その分、お客さんの側である程度のリスクヘッジは必要になってくるはず。それこそ、オークションに出品するときは水没車かどうかの表示義務もないし」

「え、そうなんですね!?」

「オークション会場は、倫理的には表示してねってスタンスなんやけどな」

 

「だから、『水没車だからこの値段です』って教えてくれるのはまだ良心的な業者じゃないかな。いろんな業者がいるけど、安いものには安いなりの理由がある。ただ、別にそこは買う人次第よね。安さを最優先で買うのも全然ありだと思うし、安心をお金で買うって意味では、業者はしっかり選んだ方がいい」

「いろんな買い物の中でも、特に車は自分の命を預けるものじゃないですか。でも、なんとなく買い物だと『安さ』に魅力を感じちゃう自分もいました。値段には理由があるから、自分でちゃんと考えるのが大事なんですね……」

「裏話をすると、最近、大雨災害も多いよな。あの現場では水没車がいっぱい出るわけやけど、それをタダ同然で引き取ってくる業者もいる。クリーニングしてある程度きれいにしたら、オークションに流しちゃうと」

「水没車って機械系がやられてたりするんじゃ?」

「壊れるリスクは高いよね。あとは駆動系とかあかんところに水が入ってると、後々錆びてきて故障に繋がるケースもある。だから、中古車を買う時は『水没車/雹害にあった車/事故車』この3つじゃないかを確認したほうがいい。そこで返事につまるようだと、ちゃんと調べてない業者かな」

「大切なテクニック! でも、信頼できる中古車業者ってどう探せばいいんでしょうね。パッと思い浮かばなくて……」

「誰か車好きな人に紹介してもらうのが一番だと思う。それなら浮かばん?」

「たしかに何人か顔が浮かびます!」

「誰かの紹介だったら、業者のほうもまず下手なことはしないはず。車屋さんっていきなり入りづらい雰囲気もあると思うし、ネットのレビューだけを見て探すのも結構大変やと思う」

信頼できる人から、信頼できる人を紹介してもらうってことですね。古賀ちゃんの車の仕入れ方と同じだ!」

 

車業界へ入ったきっかけはアイデム

「ちなみに古賀さんって、なんで中古車業界に入ったんですか?」

「だいぶ遡って話すと、俺の親父は全盲なんですよ。おかんも強度の近視の弱視やったから、車がない家庭で育った。両親どちらも車の運転ができへんからね」

「そうだったんですね。だから車への憧れが?」

「うん。同級生からは車で遊園地に行った、旅行に行ったみたいな家族の話を聞くから、車のある生活にすごく憧れてた。けど、19、20までフリーターで。祭りしかしてない人生だった」

「祭り?」

「地元が大阪で、『だんじり』を担いでたんよね。青年団に入ってたことがあって、4トンくらいあるだんじりを皆で持ち上げるのよ」

「初対面の印象、首ふとっ! だったもんな。お尻みたい」

「誰が首にお尻つけてんねん」

 

古賀さんの首の後ろにあるこぶは、だんじりを担いでいた頃の名残だそう

 

「(笑)。でも青年団でだんじりを担ぐってかっこいいですね」

「いやあ、フリーターだった頃は腐っとったよ。バイトの給料が入ったら飲みに行って、寄り合いがあれば若いやつに金もないのに奢って。月の給料が2〜3日で無くなる。それなのに実家暮らし。早く環境を変えないとやばいって思ってた」

「街を出なきゃ、と」

「それで新聞に挟まってた求人情報誌のアイデムをたまたま読んでたら、『ハマーH2』が載ってる中古車屋の求人が載ってた。それを見て『うわ、シュワちゃんも乗ってるハマーや!』って思って」

「ハマー、俺の地元のヤンチャな友達も乗ってた! 当時は憧れてる人多かったね。というかアイデムはジモコロのスポンサーなんだけど、ここで出てくるとは」

 

ハマーH2

 

「それですぐ、その中古車屋に電話したんよね。でもハマーに釣られてろくに他のところを読んでなくて、なんか話が噛み合わんなと思ったら、京都の中古車屋やったんよ。遠いなと思ったけど、『とにかく面接行きます』って実家から電車乗って行ったら、片道1時間40分もかかった」

「遠!!!」

「履歴書の書き方もろくにわかってなくて、面接で社長に怒られたなあ。『やる気あんのか』『あります』『めっちゃ遠いで』ってやりとりがあったんだけど、『単車で通います』って言ったら『明日から来いや』と言われて

「バイクだとどれくらいかかったんですか?」

「あらゆる道を駆使して片道50分くらい。でも、すごい距離を走るから1ヶ月に1回オイル交換せんとあかんし、3ヶ月に一回単車が壊れるわけ。それを9ヶ月くらい続けてたら社長に『根性あるんやな』って言われて、社宅を借りてくれて。そこからずっと京都やね」

「すごい話ですね……」

「そこに8年間勤めたあと独立して、自分の会社作って、今に至ると」

「ちなみに車の免許はいつとったんですか?」

「16歳のとき。教習所へ通うのに20〜30万かかるんやけど、10代に払える額じゃない。だからみんな親の名義で教習所のローンを組むんよね。俺も親父に『バイトで稼いで返すから』って頼んで、親父の名義でローンを組もうとしたんやけど……」

 

「親父は見えへんから俺が書類を書いて出したら、教習所の受付の女性が5分くらいで渋い顔して戻ってきて。『通りませんでした』って言われたんよ。その時のことは今でも覚えてる。そこで初めて、俺はそういう家庭に生まれたんや、と社会に現実を突きつけられたね

「親父さんの名義だと、審査が通らなかったんですね。俺も似たような経験あるな……めっちゃ落ち込んだ……」

「落ち込むよな。でも、それ以上に免許が欲しかったからとにかく頼み込んだんよ。一括かローンしか対応してないって言われたけど、それでも粘ったら、ついに根負けして『一回来るごとに日当を払ってくれたらいいですよ』と。それで免許が取れたんよ」

「バイトで稼ぎながら、1回ごとに払って」

「そうやね」

「いや〜、すごい。それがあるから今の古賀ちゃんがあるんですね」

 

「元々車に憧れてたって話ですけど、アメ車も好きだったんですか?」

「憧れはあったし、体がでかいから、日本車よりアメ車のほうがサイズ感が合うんよね。それで京都の中古車屋で働いてた時から、自分もアメ車に乗ってたし。独立した時も、最初は自分が乗ってる車を売って、別のアメ車を買って、からスタート」

「へー! じゃあ自転車操業じゃないけど、売れたら次の車を買い付けて、また売る、みたいな」

「軍資金も全然なかったから。それを繰り返してだんだん大きくなって、今はざっくり年間30〜40台くらいの販売台数かなあ。よりいい車を安く仕入れて、ちゃんと整備して売ると、利益が出る」

「最初の頃、在庫一台だけで回してたときって、その一台が売れなかったら終わりですもんね。だからこそ、どの車を仕入れるかがめちゃくちゃ重要ですよね」

「そう。だから最初の話に戻るけど、仕入れが一番大事やし、いい仕入れのための人との信頼関係が大事」

「全部繋がった……」

 

アメ車の乗り心地って実際どう?

「けど実際、柿次郎さんはアメ車に乗ってみてどうですか? 日本車に比べて、いろいろ違ったり足りない点も正直あると思うんですけど」

「まず、左ハンドルに最初は慣れなかったね。狭いトンネルとかでデカいトラックとすれ違う時、右ハンドルと比べて対向車が近くに感じるから、めっちゃ怖い

「前に一緒に乗った時、叫びながら運転してましたね(笑)」

「でも、その分気をつけて運転するし、車体が大きい分、対向車もたぶん気を遣う。いい意味で緊張感は発生するし、めっちゃ安全運転してるよ」

「柿次郎のラムトラックはカラーも黒色だし、存在感は普通の車に比べてすごいと思うわ」

「ゾンビ映画でも、デカくて強い車が最終的に最強じゃないですか。だから、仮に世の中がぐちゃぐちゃになってもラムトラックがあれば大丈夫と思ってる

「映画の見過ぎでは??? あとアメ車は燃費が悪いってイメージはありますけど、どうですか」

「日本車に比べたら、けしてよくはない! ラムトラックのガソリンはハイオクを入れてるから、余計に燃費はかさむね。いまはガソリン代も上がってるし」

「長野は特に高くない? ガソリンスタンドの看板見てびっくりしたわ」

「そうなんです! 2021年にラムトラックを買って、その後どんどんガソリンが値上がりがして……こんなことになるとは……。普通にただ走りたいんだったら、そりゃリッター30km以上走る日本車がいいよ!」

「そうですよね(笑)」

 

「正直デカいし燃費も悪いし、自分にとっては一見もてあます存在。でも、あくまで車を道具として捉えたら、『農業したい』『もっと釣りしたい』とか自分のやりたいことを、ラムトラックが後押ししてくれる。そうやって行動や価値観を拡張してくれるものと考えると面白い。これも古賀ちゃんの受け売りだけど……」

「いや、そうやって面白がってくれてありがたいわ」

「古賀ちゃんからじゃなかったら、たぶんアメ車は買ってないし。わからないことがあれば、ささいなことでも古賀ちゃんに聞けば何とかなるはずって安心感もすごいんです。量販店やディーラーから買ったら、こんなに気軽に相談できてないと思う」

「なるほど、それも『人』で買うよさ」

「ラムトラックは貨物自動車だから年一で車検が必要なんだけど、毎年、車検のために長野まで古賀ちゃんが来てくれてて。そうやって会う口実が生まれるのも面白い。車を介して深まる関係性というか。納品の時もわざわざ京都から乗ってきてくれたし」

「自分で取りに来たいって人もおるから、毎回じゃないけどな。ときには沖縄や北海道まで届けることもある。けして安くない買い物やから、できることはしてあげたいんよ」

「もし乗らなくなっても、古賀ちゃんに買い取ってもらうこともできるし。安心感しかない!」

「2ドアタイプののラムトラックは日本じゃ珍しいから、リセールも悪くないしな。そのときはまた次の車見つけて教えるわ」

「頼もしい! 古賀さんみたいな人を見つけるのが車選びの大事な一歩かもしれませんね」

 

まとめ

車の素人だったけど、古賀さんとの出会いで車に対する見方がグッと広がった、と語る柿次郎。それは便利な日本車にただ乗っていただけでは気づかなかった世界だと言います。

 

正直、アメ車はすべての人におすすめ! というものではないかもしれません。でも、面白い世界なのは間違いない。EVをはじめとする便利なエコカーへの切り替わりも進んでいますし、今のうちに、アメ車に触れてみるのもありかもしれませんね。

 

僕も自分ならどんな車に乗りたいか、車を通じて何がしたいかをもっと考えてみようと思います!

 

☆古賀さんの輸入車専門店「BPC」のHPはこちら

https://bpc-kyoto.com/

 

撮影:小林直博