都内唯一の秘湯「蛇の湯温泉 たから荘」に泊まったら秘湯の概念が変わった

2019.04.09

都内唯一の秘湯「蛇の湯温泉 たから荘」に泊まったら秘湯の概念が変わった

東京は武蔵五日市駅から行ける秘湯「蛇の湯温泉 たから荘」に行ってきました。東京都で唯一「日本秘湯を守る会」に加入している温泉なんだそう。

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    こんにちは、温泉オタクのながちと申します。

     

    みなさんは、全国150軒以上の宿が加入している社団法人日本秘湯を守る会をご存知でしょうか。

    日本秘湯を守る会に所属している宿は、山の小さな“秘湯”を守るプロフェッショナルばかり。温泉オタクにとって、会員宿であるかどうかは、訪れる際の大きな判断材料のひとつであると言えます。

     

    この提灯に出会うと「おっ」となる

     

    そんな日本秘湯を守る会に、東京都で唯一加入しているのが「蛇の湯温泉 たから荘」やはりオタクとしては、浸かってみたいじゃないですか。どんな宿なのか、どんな温泉なのか、なぜ秘湯なのか、気になりすぎます。気になりすぎません?

     

     

    というわけで、行ってきました。

     

     

    新宿駅から電車で60分→路線バス60分の地にある、東京の秘湯

     

    たから荘の最寄り駅は、JR五日市線武蔵五日市駅。新宿駅から中央・青梅線で拝島駅まで行き、五日市線に乗り換えてたどり着きます。あとは1時間に1本出ている路線バスに乗れば到着です。

    都内から車で行けば2時間かからない程度。個人的には、武蔵五日市駅の3つ手前の秋川駅でレンタカーを借りて、秋川渓谷・あきる野をサクッと周遊するのがオススメです。

     

    都内にこんな立派なカヤブキ屋根の旅館があるとは

     

    たから荘は代々、養蚕業を営んできました。旅館業を始めたのは十一代目で、現在は十三代目のご主人が継いでいます。家族経営の小さな旅館で、客室は5つのみ。“兜造り(かぶとづくり)”と言われる立派な棟は、国の重要文化財に指定されています。

    きれいにお手入れされていて、居心地の良いお部屋でした

     

    お茶請けは地元のじゃがいも。ねぎみそがまったりしていて美味しい

     

    檜原村(ひのはらむら)という都内にたったひとつ残った“村”にあり、山奥に佇むたから荘。周りにはなにもありません。秋川の渓流に面していて、せせらぎを聞きながら過ごします。

     

    季節の野の花が飾ってあるのが最高に癒やしです

     

    秘湯とは、「そのまま」を大切に守り続けることなのかもしれない

    温泉は内湯(男湯・女湯)2つのみ。脱衣所も洗い場も、こじんまりとしながら清潔が保たれていてとても気持ち良いです。

     

    緑がまばゆく映る湯面から、ゆらゆら湯気が立ち上る

     

    眼下には渓流が流れています

     

    湯船から800m先、渓流の側から湧いている冷鉱泉。たから荘が養蚕業を営んでいた頃から湧いている温泉で、“大蛇が傷を治した”という伝説から蛇の湯温泉と名付けられました。

     

    「秘湯」と聞くと、やれ泉質が、景観が…と期待したくなりますが、ここは至ってシンプル。ほぼ無味無臭な単純泉です。つるつるさらさらしていて、浴感はなんとも軽やか。10度の源泉を加温しながら、循環・ろ過して注がれています(塩素臭はほぼ無し)。つまり、“源泉かけ流し”ではありません。

     

     

     

    衝撃でした。かけ流しでないのに、秘湯の宿?

     

     

     

    背景には、日本秘湯を守る会の思いが込められていました。

     

     

     

    日本秘湯を守る会は、源泉かけ流しであることを加入条件にしている会ではありません。冷鉱泉の宿もあれば、湯量も豊富とは云えず循環浴槽の宿も会員になっています。先に述べたように時代の流れから取り残された感のあった山の宿で、温泉のよさを守り、自然環境の保持、保全に努める前向きな取り組みをする者、共同での宣伝、相互誘客に賛同した宿の集まりとして発足したのです。

    https://www.hitou.or.jp/hitou/hitou.html

     

     

     

    つまり秘湯の宿は、「泉質の個性」「温泉の状態」では決まらないということ。山奥から溢れ出てきたその湯を、どれだけ守れているかによるようです。

     

    「そのまま」を守ろうとする姿は、たから荘のあちこちで見られます。築300年超の兜造りの建物が保たれているのも、客室や湯船や廊下がぴかぴかに掃除されているのも、温泉が枯渇しないよう湧出量にあわせて適切に湯を管理しているのも。あらためて、湯守という存在に感謝の気持ちでいっぱいになる滞在でした。

     

    地のものを使った山菜料理も、ご主人が打った10割そばも絶品です

     

    秘湯の宿よろしく、山菜や川魚の料理をたっぷりいただけて、満足度も雰囲気も最高でした。

     

    地産品「のらぼう菜」のおひたしや、きのこの油炒めがジューシーで美味しい

     

    フキノトウやウドなどの山菜天ぷら。こういうのが嬉しいですよねえ!

     

    地元の酒蔵から仕入れているオリジナルの生貯蔵酒もある

     

    何より、ご主人が毎日宿泊客のために手打ちしている10割そばが絶品でした。香り高く歯ごたえもしっかりあり、「おそば屋さんなのでは…?」とトリップするレベル。「修行というほどでもないんですが」と、ご主人はその腕を謙遜されていましたが、本当にヤバイ美味しさです。

     

     

    〆がご主人の手打ちそばって、贅沢の極みじゃないでしょうか

     

    朝食も湯豆腐、焼き鮭、小鉢などが並んでいてほっこり美味しかったです。

     

    渓流に面したお食事処も大変気持ちよかったです

     

     

    秋川渓谷&あきる野でサクッと立ち寄りたいスポット

     

    もし蛇の湯温泉 たから荘に宿泊されるのであれば、周辺施設も楽しみたいところです。

     

    大岳鍾乳洞

     

    「大岳鍾乳洞」は、東京都の天然記念物に指定されている景勝地。

     

    ドラマ「99.9」のロケ地にもなりました。確かにここに松潤いた!

     

    高さ1メートルほどの小さな入口からスタート。借りたヘルメットは絶対かぶってね

     

    数十センチほどの岩と岩の間をくぐり抜ける天然アドベンチャーでした

     

    秋川渓谷 瀬音の湯

     

    開放的な露天風呂が人気の「秋川渓谷 瀬音の湯」で日帰り入浴するも良し。

     

    宿泊機能もそなえた複合施設。ランチもショッピングもできるぞ

     

    「都内にこんな露天風呂が!」とオタクをざわつかせます(提供:瀬音の湯)

     

    おすすめは内湯。源泉かけ流しで、とろとろ硫黄泉がいただけちゃいます(提供:瀬音の湯)

     

    ちなみに瀬音の湯から1kmほどのところにある「龍朱院」は、桜の季節にはバスツアーが組まれるほどの人気スポットです。花見シーズンはぜひおすすめ。

     

    春はもうすぐですね

     

    五日市ファーマーズセンター あいな

     

    帰りに寄りたいのが「五日市ファーマーズセンター あいな」。JAが運営する直売所で、地元の野菜や特産品が並んでいます。

     

    午前中に訪れるほうが◎。早めに行かないとお野菜売り切れちゃいます

     

    特産品「のらぼう菜」は必ずゲットを!おひたしが超おいしいです

    ※のらぼう菜の旬は3月下旬で、4月中旬には販売が終わってしまうとのこと

     

    地元でつくられた調味料、和菓子、日本酒、乾麺などなど、買って帰りたいものだらけ

     

    おすすめは地酒の「しろやま桜」、地元の醤油工場がつくる「キッコーゴ丸大豆しょうゆ」、きさいち豆腐店の厚揚げや豆腐、そして名物の酒まんじゅう。すぐ家に帰れる距離だからこそ、“きょうの晩ごはんで使える”おみやげを買って帰りたいものです。

     

    東京の「奥」に、豊かな旅が待っていました

     

    新宿から2時間。中央線に揺られてたどり着いた奥地は、初めて見知った東京の魅力であふれていました。決して派手ではないけれど、のんびり過ごせてとても気持ちの良い土地です。秋川渓谷、あきる野、檜原村へぜひ訪れてみては。

     

     

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    ながち
    ながち

    全国各地の温泉を取材した経験を持つ、IT企業の会社員。旅行情報誌「関東・東北じゃらん」の元編集。現在25歳、これまでに入った温泉は約400。好きな言葉は「足元湧出」。女性誌「GINZA」で温泉コラムを連載中。

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