はじめまして、群馬県で小さな制作会社「ユザメ」を経営している市根井(いちねい)と申します。

 

実家の庭にある30年前のプレハブが事務所です

 

僕は生まれてからずっと地元である群馬県に住んでいて、仕事もほとんど県内のクライアントと一緒におこなっています。

一応、大きくいえばクリエイティブの仕事をしているからか「都市部に出ないの?」と言われることは少なくないのですが、正直なところ群馬がおもしろすぎて出られる気がしません。

 

今回は、群馬県の中でも最も人々の往来が多い「高崎市」についてご案内します。

 

高崎市は群馬県のど真ん中よりやや南、北西から南東にかけて三日月状に広がる市です。県庁所在地ではありませんが県内の市町村で最も人口が多く、2021年時点で約37万人が住んでいます。

 

少林山達磨寺に集合するだるま。眉毛は鶴、髭は亀をあらわすのが高崎だるまの特徴

 

古くから交通の要所として栄え、名産は「だるま」。全国で80%のシェアを誇ると言われています。

 

群馬県の観光地といえば草津や伊香保などの温泉地、ウィンタースポーツで盛り上がるみなかみ町、世界遺産となった富岡製糸場のある富岡市などが有名で、高崎市はそれらの場所へ向かうために経由する中継地点としての役割にとどまることが多いのですが……。

 

「和食とのマリアージュ」を目指したクラフトビールを造るブルワリーや、

 

築90年の古民家を改装した食堂、

 

思いを持って文化を街に開く(あとビールも飲める)書店などが集まっており、地元民の生活を彩っています。

 

僕自身は前橋市出身ですが、高崎市は、いまの自分の働き方を決定づけた大切な街。この記事を通して、みなさんにデカい愛を伝えられたらと思います。

 

目次

    1. 地元民に愛される高崎グルメ
    2. ラーメン「はしご屋」
    3. COFFEE PORT heim
    4. 椿食堂
    5. TIN’z BURGER MARKET/TIN’Z DINER
    6.  
    1. 街に深く潜る、高崎の飲みスポット
    2. シンキチ醸造所
    3. 通町
    4.  
  1. 高崎らしいカルチャーを体感する
  2. REBEL BOOKS
  3. シネマテークたかさき
  4. club FLEEZ/TRUST55/Club JAMMERS/GUNMA SUNBURST
  5.  
  1. 最後はやっぱり温泉で
  2. 高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里
  3.  

 

地元民に愛される高崎グルメ

高崎市には「全国的に有名なご当地グルメ」がない代わりに、「何度も食べたくなる日常メシ」があります。ここからは、僕が実際に何度も通っている4店舗をご紹介します。

 

ウマすぎてIQ下がりそう。ラーメン「はしご屋」

まず、どうしてもオススメしたいのがこちらの「はしご屋 高崎店」というラーメン屋さんです。

 

僕は群馬のラーメンを食べ歩くのが大好きで「群馬のラーメン」というTwitterアカウントも運営しているのですが、こちらのお店で食べられる「一発ラーメン」および「ファイト一発ラーメン」は唯一無二のうまさで、友人には「世界一うまい食べ物」と言い放っています。

 

もっとも人気なのは「一発ラーメン」ですが、「ファイト一発ラーメン」は、それの豪華版みたいなものと考えてください。

 

こちらが「ファイト一発ラーメン」。醤油ベースのラーメンの上にニンニクが効いた肉野菜炒めが乗る、パワフルなラーメンです。スープには熱々の油の膜が張り、最後まで全く冷めません。やけど注意。

 

麺は細い縮れ麺と太麺の2種類から選ぶことができますが、僕は縮れ麺が好みです。シャキシャキのキャベツ・しっかりと味付けされた肉と一緒に口に入れた時の食感がたまらない。

 

ニンニクがすごい&ボリューミーなため、ファイトを食べるとその日は活動できなくなってしまうのですが……そんな日があってもいいですね。

 

ちなみに「はしご屋高崎店」は駅から歩いて向かうにはちょっと遠いかもしれない距離(徒歩23分くらい)なのですが、紹介せずにはいられませんでした。このあとは駅から徒歩圏内のスポットが続きます。

 

はしご屋 高崎店
〒370-0063 群馬県高崎市飯玉町4-8
https://twitter.com/hashigoya_t

 

時間を楽しむコーヒー店「COFFEE PORT heim」

食後に飲みたいのはやっぱりコーヒー。高崎駅周辺にも喫茶店やカフェはたくさんありますが、僕が特に好きなのは「COFFEE PORT heim(コーヒーポート ハイム)」です。

 

若いマスターが一人でオペレーションされている、とても落ちついているお店です。

ドリップコーヒーもよく飲みますが、暑い日のアイスカフェラテも嬉しい。香ばしい香りを感じながら、ゆっくりゆっくりするこの時間が好きです。

 

ウイスキー、ジン等のカクテルもあります。居酒屋に行くにはまだ早いかも、そんな時間にコーヒー屋さんでお先に1杯飲む……という過ごし方もできます。

 

COFFEE PORT heim
〒370-0824 群馬県高崎市田町73
https://www.instagram.com/coffeeport_heim/

 

古民家の灯りと優しい食事「椿食堂」

駅から徒歩15分ほどの場所に、「椿町(つばきちょう)」というエリアがあります。

 

ここから西側の「本町(もとまち)」にかけて伸びる道には、のちに紹介する本屋「REBEL BOOKS」、ワインとお肉料理とバスクチーズケーキが美味しい「Le pom pon(ルポンポン)」、旬の食材を気軽に楽しめるカレースタンド「baimai(バイマイ)」など、ここ10年以内に続々とお店が開業。

情報量の多い駅前とは異なる、スロー&オルタナティブな雰囲気があります。

 

その中でもぜひ寄っていただきたいのが、「椿(つばき)食堂」。築90年の古民家を改装した2階建ての食堂です。歴史を感じる建具がなんとも趣深い。

 

僕がランチでよくいただくのは、この生姜焼き定食です。旬の食材を使った副菜がたくさん付いてきて、滋味深くギルティフリー。特に、ここの自家製の糠漬けは本当に味がしっかりしていて美味しい……!

 

また、夜限定でオムライスも提供しています。ふわとろ卵に包まれたシンプルなオムライスですが、新鮮なパプリカや人参がコロコロ入って楽しい食感。たまに食べたくなる味なんですよね……。

 

椿食堂ではお酒類も充実しています。単品料理もたくさんあるのでおつまみにも困りません。椿町周辺に遊びにきた際は是非!

 

椿食堂
〒370-0059 群馬県高崎市椿町22
https://www.instagram.com/tsubaki.shokudo/

 

高崎の希望、「チンズバーガーマーケット」

※現在、こちらのお店は新店舗「TIN’Z DINER(チンズダイナー)」のオープンに伴い休業中です。その間は、ぜひTIN’Z DINERにお越しください!

 

椿町から西に5分ほど歩くと、田町(たまち)に入ります。昔ながらの金物屋や酒屋、料亭などが並ぶ町ですが、若者が集まるお店もいくつか現れ始めています。

 

その先駆けとなったのが、2013年オープンの「チンズバーガーマーケット」。まだまだチェーン店で溢れていた地方都市高崎に、当時は珍しいハンバーガーの専門店として開店しました。

僕はチンズの存在を知った大学生時代、「群馬にこんなオシャレなハンバーガー店があるとは……」と衝撃を受けました。

 

一番人気のバーガーは「チンズ」。旨味が詰まった粗挽き牛肉のパティは、噛み締めるたびに頬が緩みます。もちろん野菜もフレッシュでシャキシャキ。長年愛される理由がわかります。

 

メキシカンな味がお好きな方には、チリビーンズがたっぷり挟まれた「チリチーズ」もオススメです!

 

また、2022年6月1日には新店舗となる「TIN’Z DINER(チンズダイナー)」がオープンしました。チンズのハンバーガー、それに加えてサンドイッチもいただけます!是非こちらにもお越しください。

 

TIN’z BURGER MARKET(現在おやすみ中)
〒370-0813 群馬県高崎市本町117
https://www.tinzburger.com/

 

TIN’Z DINER(現在はこちらのみ営業中)
〒370-0073 群馬県高崎市緑町2丁目1−8
https://www.instagram.com/tinzdiner/?hl=ja

 

街に深く潜る、高崎の飲みスポット

僕は仕事の用事がなくても高崎市に頻繁に通っているのですが、その大きな理由は酒場です。

 

全国のクラフトビールが飲めるオシャレなお店、おばあちゃんが一人で切り盛りする串焼き屋、質の高い純米酒を立ち飲みできるバーなど、とにかく楽しみ方に幅があり、いろいろな属性の人々が街を共有しています。

 

圧倒的な独自路線クラフトビール「シンキチ醸造所」

まず絶対に外せないのが、高崎のマイクロブルワリー「シンキチ醸造所」。シンキチもまた、「クラフトビール」という言葉が現在のように日本へ広まるより以前に高崎に開かれた先駆者といえます。

 

和食とのペアリングをアイデアに造られる数々のビールは、「これホントにビール?」と思うほど独創的。

 

セッションフルーツエールの「柚子のばかたれ」、ペールエールの「長屋」、ピルスナーの「若松町」など、そのネーミングもユニーク。ビールの味も含め、「クラフトビールってこういうものだよね」といった前提からスタートしていないところが好きです。

 

ちなみに自分がよく通っていたのは、このあと紹介する通町(とおりまち)エリアにある「ザブン」という居酒屋。残念ながら本記事の公開とすれ違いで閉店してしまったのですが、「シンキチ醸造所」をはじめ様々な場所でシンキチビールを飲むことができますよ。

 

シンキチ醸造所
〒370-0836 群馬県高崎市若松町2−11
https://www.facebook.com/shinkichibrewery/

 

人生の交差点、通町(とおりまち)

高崎駅周辺は酒飲みスポットが点在していますが、中でも僕が頻繁に通っているのがこの「通町」エリア。新宿ゴールデン街を思わせる風情があり、コンパクトな区画にたくさんの個人営業店が集まっています。

 

具体的なお店をご案内しているとキリがないので大まかな紹介にとどめますが、全体的な特徴としては、通町の居酒屋群にはディープかつオープンな雰囲気があります。どの店も1人か2人で訪れるお客さんが多い印象で、孤独を愛する飲兵衛たちに開かれたエリアといえるでしょう。

 

世界中のクラフトビールがひしめきあうヤバい店、こんがり焼き鳥で熱燗が飲めるコの字カウンターの店、女将さんのオススメの酒を無限に汲まれる店など……まだまだ僕自身もいくつかのお店にしか行けていませんが、この町では飲むたびに発見があります。

 

通町は、高崎駅西口から徒歩数分です。高崎の街を定点観測してきたこの場所に、ぜひ足を運んでみてください。

 

高崎らしいカルチャーを体感する

さて、ここまでは飲食店ばかりでしたが、高崎の文化を担う場所も紹介しなければなりません。おいしい食べ物やお酒だけでなく、カルチャーを求めて集まる人々も多いのです。僕自身もそのひとり。

 

街を知る、自分を知る。「REBEL BOOKS」

先に登場した椿食堂のすぐ横にあるのが、セレクト書店の「REBEL BOOKS」。木の看板と白い建物が目標です。高崎駅からは15分ほど歩きますが、僕はいつも駅から続く街並みを眺めながら、散歩がてら向かいます。

 

お店のInstagramを見ていただくと分かりやすいのですが、とにかく選書が心地いいのです。人間関係で悩んだとき、生き方にモヤモヤしたとき、仕事で具体的なハードルにぶつかったとき、なにもないときも。優しい言葉は僕たちの心を守ってくれたり、背中を押してくれたりします。

 

また、店主の荻原さんはデザイナーや編集者としても活動されていて、僕もしょっちゅうお世話になっています。高崎のこともよくご存じなので、どこに行くか迷ったらまずはREBEL BOOKSに行き、荻原さんに高崎のおすすめスポットを聞いてみたり、本を読んだりしながら街を歩くのがベストかもしれません。

 

また、面白いビールや日本酒、コーヒーも飲めます。買った本をペラペラめくりながら、外のベンチで一服すると最高です!

 

REBEL BOOKS
〒370-0059 群馬県高崎市椿町24-3
http://rebelbooks.jp/

 

映画好きが遠方から訪れる「シネマテークたかさき」

意外かもしれませんが、高崎は映画文化の発展を支える街でもあります。続いて紹介したいのは、銀行のビルを改修してつくられたミニシアター「シネマテークたかさき」

 

高崎市には2022年で35回目を迎えた「高崎映画祭」という祭典があり、是枝裕和監督や故・大林宜彦監督などが受賞してきました。俳優のオダギリジョーさんが初めて主演男優賞を受賞したのも、高崎映画祭なのだそう。

 

その高崎映画祭の運営メンバーが設立したのが、シネマテークたかさきです。地方の大きな映画館では「大きな興行収入が見込めるかどうか」で上映作品が選定される中、シネマテークたかさきのラインナップには多様性があり、県外からわざわざ訪れる人も多いのです。

 

僕自身、「カメラを止めるな!」が話題になりはじめたタイミングで、群馬県内ではシネマテークだけが上映していたので大変ありがたかった思い出があります。

 

シネマテークたかさき
〒370-0831 群馬県高崎市あら町202
https://takasaki-cc.jp/

 

「音楽の街・高崎」を体現するライブハウス

よくライブを見に訪れていたclub FLEEZ。6月で一時閉店してしまうのが寂しい……

 

高崎には「音楽のあるまち」というキャッチフレーズがあります。学生時代に軽音楽サークルに入っていた自分も、よく高崎のライブハウスでライブをやったり見たりしていました。

 

群馬県からは実際に実力あるミュージシャンが多く排出されていて、高崎は彼らの活動の重要拠点でした。有名どころで言えばBOØWY、BUCK-TICK、back number、FOMAREなどでしょうか。

 

下横町にある「TRUST55」。ここもよく来たな〜!

 

そして、その熱は今も絶えることなく続いています。週末はどこのライブハウスも頻繁にライブイベントが企画されているので、ぜひ時間を見つけて覗いてみてください。

 

疾走感のある演奏と力強いヴォーカルがカッコいい「Cerveteri(チェルヴェーテリ)」

 

状況に応じてキャパ制限などのコロナ対策も。いつか声を出せる日が戻ってくると信じて……!

 

また歴史を遡れば、高崎の音楽文化は、戦後の疲れ切っていた日本で「生活の向上には音楽が必要」という意志のもと生まれた群馬交響楽団をはじめ、バンドに限らない発展を続けています(詳しく書くと長くなってしまうのですが……)。高崎駅周辺では路上ライブも盛んですし、街全体として熱意を感じることができますよ。

 

club FLEEZ ※2022年6月26日をもって一時閉店
〒370-0828 群馬県高崎市宮元町17
https://clubfleez.jp/

TRUST55
〒370-0837 群馬県高崎市下横町13-3 宮山ビル2、3F
http://trust55.music.coocan.jp/

Club JAMMERS
〒370-0827 群馬県高崎市鞘町31-1
https://jammers.jp/

GUNMA SUNBURST
〒370-0826 群馬県高崎市連雀町22 ヒヨケビル 2、3F
http://gunmasunburst.com/

 

最後はやっぱり温泉で

これは草津温泉

 

群馬といえば温泉!という認識は全国的にもわりと浸透していますよね。草津、伊香保、磯部、水上、四万、万座など……キリがないほどたくさんの温泉地があります。

 

観光地となっているような温泉地はそのほとんどが「山のほう」にあるのですが、県内にはいたるところに天然温泉のスーパー銭湯があり、地域の人々が日常的に利用しています。

 

朝の露天風呂が最高な温泉「湯都里(ゆとり)」

こちらは、高崎ICを降りてすぐの場所にある「湯都里」。県外から遊びに来た人には必ず案内している、アクセスのよい温泉です。高崎駅からはバスで20分程度。

 

湯都里 公式サイトより引用

 

オススメの理由は、とにかくデカいからです。広い室内風呂、季節のかわり湯、サウナ、そして5種類の露天風呂。休憩スペースもかなり広く、油断すると半日溶けます。

 

引いているのは「群馬 高崎 京ヶ島天然温泉」といい、少しだけ黄色がかった美肌の湯。夜に入るのもいいですが、朝風呂で露天風呂に出た時の開放感が特に最高なので、宿泊の翌日などに足を運んでみてほしいです。

 

高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里
〒370-0015 群馬県高崎市島野町890-3
https://www.yu-tori.jp/

 

ここまでフード/居酒屋/カルチャー/温泉と紹介してまいりましたが、大好きなまち高崎をもっと知っていただきたいため、次のページでは街をよく知る方へのインタビューをお届けします。

 

街の空き家活用×編集の可能性