ヨガきこりの弟子は元海外サッカー選手。なぜアスリートが木こりになったのか?

2018.03.23

ヨガきこりの弟子は元海外サッカー選手。なぜアスリートが木こりになったのか?

ライター・ナカノヒトミの父は『ヨガきこり』。その弟子はシンガポールでプレーしていた元海外サッカー選手でした。今ではアスリートで鍛えた状況把握能力を活かし、若手カリスマ木こりとして活躍。さらにSASUKEにも出場と気になる存在である弟子の小林さんに、ヨガきこりとともに話を聞きました。

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    こんにちは、ライターのナカノです。

    あ、すみません。天地が逆でした。180度転換しますね。

     

    グイーーン

     

     

     

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    はいっ!

    というわけで…私の両端で自主的にぶら下がっているのは、長野で活動するヨガきこり一派です。

     

    「一体どういうこと? なんでぶら下がってるの?」

     

    大半の読者がコウモリ人間だと勘違いしてるかもしれませんが、右側のツルツル頭が実父のヨガきこりことヒロシ。左側の若い青年は、ヨガきこりの弟子である小林くんです。

     

    わたしのパパはヨガきこり

    一年前に取材した『わたしのパパはヨガきこり』。高所作業の特殊伐採を行う木こりにとって平常心は必須で、深い呼吸によってメンタルコントロールを求められるヨガとの意外な相性の良さを伝えさせていただきました。

     

     

    60歳のお父さんがなぜダルシムみたいにムキムキで身体を鍛え続けるのか? 取材を通して長年の疑問が春の雪解けのようにサラサラと解決したんですが……

     

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    その後、元海外サッカー選手のキャリアを持つ弟子と木こりの意外な相性の良さが新たにわかったんです!

     

    ヨガに続いて、元海外サッカー選手の経験も役立つ!?

    日本の林業を支える木こりって実は可能性すごいんじゃないの!?

    っていうか、お父さんってやっぱりすごすぎじゃない!? 

     

    今回の記事では
    アスリートのセカンドキャリアにとって実は「木こり」もアリなのでは?
    という仮説をお伝えします。


    現状、林業含め一次産業の担い手が高齢化している問題もあります。お父さんの後を追うような若手カリスマ木こりが、地域にもっと増えた方がいいのでは? 

    この記事でアスリートと木こりの相性の良さを知っていただいて、一次産業の担い手が増えたらいいな。

     

    ヨガきこりの弟子:小林 啓太(26)

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    長野県出身の26歳。元サッカー選手。高校卒業後『アルビレックス新潟』の養成所を経て約3年弱、シンガポール、ドイツのクラブチームで活躍した。2016年10月にヨガきこりに弟子入りし、翌年6月にフリーの木こりとして独立

    ヨガきこりマスター:中野 宏(60)

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    ナカノの父。40代で家業の建設業を継いだが、不況により倒産。その後、身一つで仕事を作り出そうと、林業の中でも高度な技術が必要とされる特殊伐採の世界へ。ヨガインストラクター、炭焼き職人としての側面も持ち合わせた超人

     

     

    5歳から始めたサッカー

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「小林くんとはよく会うけど、ちゃんと話したことがないから謎がいっぱいだったんだよね!」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「確かにそうですね。今日はよろしくお願いします!」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「まずは、サッカー選手時代のことを教えてほしいな」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「サッカーは5歳から始めて、中学高校も続けてきました。高校卒業後に『アルビレックス新潟』の養成所に入って1年間鍛えて、シンガポールのチームに入部しました」

     

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    『アルビレックス新潟シンガポール』は、日本人若手選手で構成される選抜チーム。小林くんは19歳から21歳までの2年弱、ミッドフィルダーとして活躍していました。

     

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「しばらくはシンガポールで選手生活を送ろうと思っていたのですが、2年目の途中で試合中に右脚の前十字靭帯を損傷してしまったんです」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「大怪我……」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「膝からゴリゴリッ!と大きな音がして『これは選手生命終わったな』と思いました……」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「うわー!痛い!!」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「即帰国して手術をし、そのまま1ヶ月の入院、7ヶ月のリハビリ生活に励みました」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「大怪我をすると、引退が脳裏によぎりそう……」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain引退は考えなかったです。自分は競技に戻る気満々でしたから!もちろんサッカーができないもどかしさはありましたけどね」

     

     

    100万円貯めてドイツに渡るも……

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    リハビリ生活中は、軽井沢のアウトレットのバイトをしていた小林くん。半年で100万円貯め、海外に渡るときに備えていたんだとか。

     

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「リハビリ後は、確かドイツに行ったんだっけ?」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「そうっす!小さい頃からヨーロッパでサッカーをしたいという夢があったので、単身でヨーロッパに行こうと決めていたんです」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「単身で!それは何かアテやコネがあって?」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「いやいや、まったくなかったです(笑)!バルト三国のラトビアという国で選抜チームをつくるという噂を聞いて、乗り込んでみようと思いました」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「ええっ、すごい行動力だなぁ」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「結局ラトビアの選抜には入れず、流れでドイツに行くことになりました。色々なチームに乗り込んで自分から声をかけ、運良くドイツ5部リーグの『habenhausen』に所属することが決まりました」

     

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    念願のヨーロッパチームに所属することになった小林くん。しかし、チームに所属して半年が過ぎた頃、生活が苦しくなっていきました。

    サッカーだけで生活できる、充分な収入が約束される訳ではないセミプロの世界。

    金銭面で苦労したことに加え、シンガポールで負ったケガは身体にムチを打つことなると判断。一度サッカーをスパッと辞め、帰国する選択をしました。

     

     

    たまたま興味を持った林業

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    帰国後、小林くんは飲食店で働いたり、自分で会社を立ち上げてみようとしたりするも、なかなか思い通りの生活が送れませんでした。

     

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「小林くんが悩んでいた頃かなぁ。たまたまこのカフェで出会って、伐採に興味を持ってくれたんだよな」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「この場所で出会ったんだ!」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「はい!すぐに師匠がやってたゴルフ場の伐採を見学させていただいて」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「そうそう。それからすぐにバイトとして週3日働くようになったんだ」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「一緒に働いている時は、どういう働き方をしていたの?」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「特殊伐採には役割分担があってね。俺が、木に登ってなたやチェンソーで枝を落とすクライマー。小林くんは、俺が落とした枝を片付けたり、準備をするグランドワーカーの役割を担っていたよ」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「なるほど、連携プレーが大切なんだ」

     

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    クライマーが木の上で伐採した枝は、ロープにくくり丁寧に下ろしてグランドワーカーへ。

     

     

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「ちなみにヨガきこりのお父さんから見て、小林くんってどんな弟子なの?」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「ん? そりゃあ、おまえ……」

     

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    「小林くんはね、勘がとにかくいいんだよ」

     

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「べた褒めだ」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「嬉しいっす!ありがとうございます!」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plainアイコンタクトで大体なんでも通じちゃうの。ほら、10m以上の高さの木に登っていたら、下の声なんて全然聞こえないから」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「アイコンタクト!」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「伐採はパターン化した作業だから。先を読んでパパっと動かないと、怪我にも繋がりかねないからね」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain今自分が何をすべきかっていう状況把握は、確実にサッカーで養われたと思います」 

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「サッカーのおかげで! アスリートとしての経験が木こりに活きるなんて意外だな〜」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「競技の中だけでなく、仕事でも状況把握の力は応用できると思ったんです。サッカーは全体の動きを見て、予測を立てながら判断していくので。だから師匠と働く時には、常に次の動きを考えていましたね」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「伐採した枝が当って、俺が気を失った時も小林くんが助けてくれたんだよ」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「いやぁ、あの時は本当にびっくりしましたよ〜(笑)!今こんな元気だから笑って話せるんですけどね!」

     f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「救急車の手配はもちろん、周りの住民に迷惑かけないように救急車のサイレンを消してもらうよう配慮をしてくれて、とても助かったんだ」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「最高のパートナー!」

     

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    地元のおばあちゃんにも「あんた孫に似てるね!(腹筋を殴りながら)」と人気の小林くん

     

     

    ヨガきこりからの独立

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「でも、どうして小林くんは独立しようと思ったの?」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「自分で仕事を作り出したいと思ったからですね!俺、バカだから思い立ったらすぐ行動したくなっちゃって!まだ半人前なのに独立することにしたんです(笑)」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「ほんと、突っ走るタイプだよな!働き出して、繁忙期を迎える前に辞めちゃったからびっくりしたよ(笑)」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「独立した今は、どんな仕事をしているの?」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain軽井沢エリアを中心に、特殊伐採をしたり、別荘地で草を刈ったりしています。草刈りは軽井沢で結構需要のある仕事なので、積極的に受けるようにしているんです」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「へー、草刈りを!」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「俺が思っているよりもでかい仕事もやってるんだよな!」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「でかい仕事……?」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「最近、山の伐採を丸々1つ分頼まれる仕事がありました(笑)」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「山を丸々伐採?!」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「ひとつの山を年単位で契約を結び、徐々に伐採していくんです。単発の仕事ではないので、継続的に収入があるんですよ」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「なるほど、固定収入があると安心するね」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「独立は自分で決めた道でしたが、最初は全く仕事がなくて大変でした!名刺をつくってみたり、知り合いに仕事がないか聞いてみたりしたけど、依頼はまったくないと言ってもいいほどで……」

    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「あぁ、私もフリーランスだからその感覚はわかるなぁ」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「『特殊伐採』というくくりでの営業をやめて、なんでもやるスタンスに変えてみたんです。草刈りをやったり造園屋さんのところでお手伝いしたり。徐々に顔を広めていくことで、依頼が増えていきました」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain 「なんでもやるスタンスは大事だなぁ」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「とにかく自分で色々経験して、まず動いてみることは大切だと思いましたね。もうすぐ、なんとか独立一年目を終えそうです!」 

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「今キャンプもやろうとしているもんな」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「はい!林業に関わるようになって、この土地が自然に恵まれていることに気付いたんですよね。キャンプ場をつくって運営できたら良いなと思っていて」

     

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    f:id:tmmt1989:20180319154028p:plain「お父さんも交えて『ヨガきこりキャンプ』って名前にしてやってみたら楽しそう!」

    f:id:tmmt1989:20180319154057p:plain「おお、いいっすね!」

    f:id:tmmt1989:20180319154552p:plain「張り切ってテント買っちゃいそうだなぁ(笑)」

     

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    一見、大胆に感じる元サッカー選手→「木こり」へのジョブチェンジ。

     

    長年ピッチの上で培った状況把握力は、高所作業の多い特殊伐採での大きな強みになっていました。

    危険が伴い、常に張り詰めた空気の中でも安定したチームワークと勘どころの良さは、アスリートならでは価値なのです!

     

    今回この記事を読んだセカンドキャリアを検討中のアスリートのみなさん、ヨガきこりは新たな弟子の受け入れ大歓迎ですよ!!

     

    ・・・

     

    ちなみに小林くん、3月26日(月)夜19時〜放送の『SASUKE 2018』に出演します! 

    ヨガきこりの弟子、SASUKEへ…!

     

    写真:小林直博

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    この記事を書いた人

    ナカノヒトミ
    ナカノヒトミ

    1990年長野県佐久市生まれ。中央大学文学部卒業。2014年より一般社団法人信州若者会議においてwebメディア「SALMON1000」でのライティング、長野県のUIターン事業「若鮭アカデミー」に携わる。2016年4月からは株式会社地元カンパニーにて「地元のギフト」制作に携わり、全国各地の生産者への取材を行う。

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