こんにちは、ひにしあいです。(一番右が私です。めちゃめちゃダセェ……)
上の写真は15歳の頃、ヴィジュアル系(以下、V系)の音楽にハマり倒していた私です。
メイクなどがコテコテ過ぎないV系……いわゆるソフトヴィジュアル系から入ったため、服装はかなり普通ですが。(SOPHIAのライブではファンが持っていくヒマワリの造花もしっかり持っていますね)
そんな私も今年で37歳。立派な中年にさしかかった今でも、V系を心から愛し、ライブにも足しげく通っています。
バンドを愛してやまない女性のことを一般的に『バンギャ』というのですが、こんな妙齢になってもそれを続ける私は『オバンギャ(おばさん+バンギャ)』と呼ばれています。
※ちなみにさらに歳を重ねると「ババア」+「バンギャ」で『ババンギャ』と呼ばれるようです
しかしそんな呼ばれ方をすることは、長い間一途にV系を愛し続けたという―
とも言えるのではないでしょうか。
というわけで今回は、私以上に筋金入りのV系『オバンギャ』に集まっていただきました。
昔と今で変わったこと、変わらないこと、そして「推し」がいることで、自らの人生がどうなったのか……昔を懐かしみながら聞いてみました。
※こちらみなさんご存知、Pierrot「Adolf」の振りをイメージした状態で集合写真です。
▼登場人物紹介
※メンバー紹介の時点でバンギャ以外にはわからない単語が続出しますが、そんなもんかなと思っていただければ幸いです。
ひにしあい(36)
V系にハマったきっかけは14歳の時にSOPHIAの「街」を聞いて。
その後、LUNA SEAやJanne Da Arc、Dir en greyなどメジャーどころにハマる。ネット上で全国の同じバンド好きと繋がり中学生からオフ会に参加。
離島ギャさん(40代)
V系にハマったきっかけは高校生の時、LUNA SEAの「IMAGE」を聞いて。
黒夢、Pierrot、SIAM SHADEなどメジャー系からDa’vidノ使徒:aL(ダビデシトアエル)などマイナー系も。離島育ちのため、とにかく音源を手に入れることすら困難だったという。
総長さん(30代後半)
V系にハマったきっかけは14歳の時にMALICE MIZERを聞いて。
その後マイナー系の紫苑(しおん)にハマり、私設FCの総長をやっていた過去を持つ。現在は結成20数年のバンドを追いかけいまも年間80本ほどライブに通っている。
遠征ギャさん(30代後半)
V系にハマったきっかけは12歳で黒夢の「BEAMS」を聞いて。
その後はROUAGE(ルアージュ)やSHAZNAにハマる。本八幡 Route Fourteenに行った際にもらった「cali≠gari」の「第3実験室」のビラを今も所蔵。
※この記事は2020年3月3日に撮影しました
チケットの取り方がもうとんでもなくアナログ
「今日はよろしくお願いします。『オバンギャ』と呼ばれる我々は、すなわち古くからV系のファンだったということ……というわけで、昔と今で変わったことなんかを聞きたいなと」
「確かにファン活動には昔と今でかなり違いがありますね」
「昔は何もかもが大変だった。今はすごく便利になってファンを続けるのも楽になった気がします」
「例えば『チケットの取り方』って、昔と今で随分変わりましたよね。昔の先行予約の方法とかめちゃ不便だった! 例えばこれ、2000年のライブなんですけど……」
「先に郵便局からお金を振り込んで予約するんですよ! 先にお金を払っているからチケットが落選だったら、定額小為替でお金が返ってくる仕組みで」
「返ってくるっていっても、ばっちり手数料は引かれるやつ。これが当たり前だったよね」
「そう考えると、今みたいにネットで先行予約できるの楽すぎて最高」
「あと先行じゃなくて普通にチケット取るのもアナログでしたよね。チケットぴあに早朝から並んだり、朝10時の発売に合わせて電話の前で待機して取ったりした!」
「待ってる間のあのドキドキは忘れられない……」
当時の遠征ギャさん(左)と、総長さん(右)
「今の方が便利になって良かった?」
「でも今ってチケットを手に入れるハードルが低くなった分、転売とか、SNSで個人間の取引きみたいな問題も生まれましたよね。その対策で身分証が必要になったり、面倒が増えた部分もある」
「確かに……良いことばかりじゃないか」
「あと今ってチケット代が高くなってない? 昔はもっと安かったよね? ほら」
こちらは1998年の『SHAZNA』武道館ライブのチケット。税込4500円です。
「うわ、武道館で4500円!? 安い~~! 今と比較すると、ほぼ半額じゃん(現在は同程度の規模のライブだと8000円~9000円くらい)。そういや、ライブハウスのドリンク代も地味に値上げされてるよね」
「私達は今や大人だから大丈夫だけど……今の若い子って1本あたりのライブでかかる金額が高くて大変だな」
「物価の違いもあるんで、一概には言えないけどね」
「当時だって、学生には5000円くらいのチケット代って高かったよ~。特に私は離島に住んでたから、交通費がヤバかった。1本1本のライブが貴重すぎて『あと●日でライブ……』って指折り数えてなー」
「それ、ほんとわかるーーーーー!」
「若い頃は本当にライブにかけられる金額もかなり限られているから、全力で楽しみに行ってたよ。ほら、これ見て」
裏に何か書かれている……?
「チケットの後ろに『3回目!!』って書いてるの。よっぽど嬉しかったんだろうな、当時の私……」
「今は大人の財力で全通とかもできるし、それはそれで楽しいけど……昔みたいに1本1本噛みしめてライブに行くってのは無くなってきたよね」
「昔と比べて楽になったといえば、私たち(客)だけじゃなくて、バンド側も楽になってるんだろうな」
「それはあるでしょうね」
「『フライヤーの画像加工スキル』って、昔と今で雲泥の差ですよね。昔は『画像加工』の敷居が高かったから、レベルが低かった」
「右が90年代後半のフライヤー。とにかく光で飛ばしているから鼻が消えちゃってるんだよね。左は同じ人が最近作ったフライヤーだけど、もうフォトショのスキルレベルが上がりすぎてる」
「ちょwwwwww めっちゃわかる」
「『鼻が消える』は昔のV系あるある。これは昔の雑誌だけど、プロがやってるはずなのに鼻ほぼ消えてる……」
「あるあるだーーーー!」
「今はプロじゃなくてもある程度の品質のフライヤーが簡単に作れますもんねー」
「何だったらスマホひとつあれば撮影から画像加工、デザインまでできちゃう。良い時代になったなぁ」
「スマホがあると初めて行く箱(ライブハウス)にもGoogleマップがあるから余裕で行ける。これ本当に助かる。昔は時刻表を駆使しながら、地図を片手にやっとの思いでたどり着いたものだったけど」
「たしかに。今はTwitterで検索すれば『何時から箱のクロークが空くのか』から、『グッズの並び状況』まで把握できるもんね」
「もう昔には戻れない……」
ガバガバ過ぎる個人情報
「昔はすごかったなって思うのが、これなんだけど……ちょっと見てみてよ」
「ん? フライヤー……にしてはサイズが小さい。ハガキ?」
「これ『紫苑』ってバンドから届いた『ライブしますよーっていう告知ハガキ』なんだけどね、ライブ行った時のアンケートに自分の住所書くと、バンドから直接ハガキでライブの告知が届いてたの」
「この『総合受付』のとこの電話番号、メンバーの誰かの携帯番号では……?」
「こっちはフライヤーですが、総合受付の住所は、おそらくメンバーの家の近所にある郵便局。もう個人情報ガッバガバ」
「時代ですよね。客側だって個人情報に関してはかなりユルかった。例えば同じバンドが好きな友達を作りたい時は……」
「『FOOL’S MATE』(※V系に強い雑誌)とかの文通欄で、文通相手を探したりしてましたね。今じゃ考えられない個人情報の嵐(笑)」
「募集の内容自体も見ていて飽きないー。『毒飲盲目血狂愛』とかある(笑)」
「そういう言葉を使いたいお年頃でしたよね」
「私は私設FCの総長だったから、毎月10人くらいにペーパー配布してたなー。真っ黒な背景に文字が赤いファンサイトをジオシティーズで作ったり……超黒歴史だけど」
「私も支部長とかやってましたよ。当時はその地方でしか聞けないようなラジオが結構あったから、ファンの中でも○○地方担当みたいな感じで」
「あったなー支部長とか。住んでる地域じゃない場所のラジオって聞く手段がなかったから助かってた」
「ライブや神宮橋(原宿駅の横、V系ファンが集まる場所だった)で知り合った人と名刺交換したりして、その後お手紙交換ってこともあったねー」
「こういう名刺めちゃめちゃもらってた! 竹下通りにバンドのロゴを不正使用している名刺屋さんあったりしたよね。そして、これも個人情報がダダ漏れでやばい」
「これモザイクのとこ、住所とか電話番号だからね。恐ろしい世界だよ」
「個人的に覚えているのはライブネームで『狂華(きょうか)』って人が多すぎてわからなくなったなーって記憶めっちゃある」
「だいたいバンドの解散とともにその縁って切れてたけど、電話番号が携帯に登録されているとある日突然知らない人がLINEに追加されて、それが前に切れたバンギャ友達ってこと結構ある(笑)」
当時ライブ会場で写真を撮らせてもらったりして知り合った人たち
「めっちゃあるあるだー!!わかるー!ものすごく気まずいやつ!!!!!」
「今は名刺文化なんて当然ないし、TwitterかLINEの交換に全て移行したよねー」
「これをお読みの若いみなさん、私たちの時代とは意識が違うので大丈夫だとは思いますが、個人情報は簡単に渡しちゃダメですよ!!」
「同好の士と『繋がりやすい』っていうのは、昔と比べたら天国みたいな状況だけど、危険でもあるからね」
新曲のPVすらみるのがめちゃめちゃ大変
当時の離島ギャさん
「私は離島にいたので、もうとにかく新曲のPVを見るのにも苦労して……」
「昔はYouTubeなんてなかったもんね。地方ではテレビのチャンネルもあまりなかったから」
「気軽にYouTubeでPV見れるのだけは、マジで今のファンが羨ましい」
「PVがいつ、どこで流れるなんて情報は無いから、私はTVKの『音楽缶』っていう、PVばっか流れる番組をひたすら録画してた。目当てのバンドのPVが撮れるのをひたすら待ってたな…」
「そうそう。私は関東圏だったから、テレビ埼玉のHOTWAVEっていうV系がいっぱい出る番組とか録画してた」
「PVだけじゃなくて、そもそも新曲を聞くのも大変でしたよね…だいたい、メンバーがやっているラジオか、NACK5(埼玉のFMラジオ放送局)のV系がいっぱい出てくる『ビートシャッフル』で聞くか……」
「今なら『radiko』で全国のラジオが聞けるから簡単だけど、昔は各地方に知り合いとか、それこそ『支部長』みたいな人がいないと聞けなかった」
「『ビートシャッフル』といえばさ、これ見てよ……」
「うわーーーーーーーーーーーーーーー!懐かしい!!!!!! 『ビートシャッフル』のFAXサービスの紙じゃん! 電話すると一定期間落とせるみたいなやつだよね」
「あった~! メンバーの手書きイラスト、限定コメントとかの情報が書いてるやつね」
「そうそう。感熱紙だからもう消えかかってるけど(笑)」
「もはや、歴史的資料じゃん、これ。今はライブが終わればすぐにTwitterなんかでセトリ(ライブのセットリスト・曲順)がわかるけど、昔は雑誌でそのライブレポート出るまでわからなかったもんなー」
「ですね。今、何かバンドを布教する時って、SpotifyやYouTubeのURL送ってサクッと『これ聞いて』って言えるけど、昔はCDを貸すか、カセット作ったりしてたもん……」
「わーそうそう!こういう布教カセット、私も作ったことあるよ。MDとの過渡期だったな」
「カセットといえば、1本300円くらいで買えた『デモテープ』なんかもあったね」
「『デモテープ!!!!!!』今ってデジタルでどうにでもなっちゃうもんなーいい時代すぎる」
「ネットで情報を手に入れたり、PV見たり、気軽に音源を聞けるのって最高ですよね……あの頃の自分に教えてあげたら狂喜しすぎて倒れると思う」
グッズやメンバーとの距離もだいぶ違う
「グッズもさー、今はガチャとかもある程度の回数できるし、欲しいものはだいたい買えるじゃん。握手会用のCDだって何枚も買えるけど、昔はそういうわけにはいかなかったよね」
「若くてお金無かったからね。欲しいのいっぱいあるけど、どうしても欲しい選び抜いた1個だけしか買えない!って感じだった。その分、思い入れとかもすごくて。未だにとってあるよ」
「限られた中で使えるお金を投資してたからね」
「私が思い出深いのは、昔って銀テープをみんなカメラのフィルムケースに保管してませんでした?こんな風に」
スマホなどなかった古(いにしえ)の時代、写真はフィルムという感光材料を使って撮っていたのです
そして、その空きケースは密閉できるという特性から、ライブ中に使われた銀テープを保管するのに使われたそう
「こんな感じでくるくるーって巻いて収納してた」
「うわーもうフィルムケース自体が家にないし、今は銀テの収納ケースがグッズで売られることもあるもんねー」
「フィルムといえば、メンバーの写真って今はチェキ(撮ったその場でプリントできるインスタントカメラ)が主流だけど、昔は普通に生写真でしたよね」
「そうそう! 懐かしーーー!」
「今と昔ではメンバーとの距離感が違いましたよね。今ってTwitterでバンドメンバーの日常が覗けたりするし、リプ返してくれる人も多い。ぐっと身近な存在になってる」
「昔は雑誌やTVの中でしか見れない、特別なカリスマだったよね。たまにライブで見ると、ただただ動いていることに感動していた」
「『あなた……本当に実在していたんですね』ってことにまず感動してた」
「あの頃の気持ちは大切にしたいよね」
「気づけば私も含めてみなさん、バンギャになって20年以上経つわけです。これまで、今と昔で変わったことを話し合ってきたわけだけど、『推しが居て良かった……!』『生きていくのにバンドが糧になった』みたいなことってあります?」
「やっぱり推しが常にいるのでアンチエイジング効果は高いと思います。定期的にライブとかでアドレナリンとか、よくわからないホルモンとか分泌してると思うんですよ。それは、この歳になって強いなと思いますね! ありがとう、推し!!!!!!!」
「私はもう『バンギャとして推しを追いかけ続ける』という生き方しかできないんですよ。そう思うと体が動く限りライブや遠征もするから、将来も認知症とかなってる暇ないと思う。完全に健康維持にバンドが役に立ってきている事を感じます」
「私が真面目に仕事をしてお金を稼いでいるのは、全て推しバンドのためなんだと思います。遠征を続けるにはお金が必要だし、『歳を重ねてもその財力を維持しないと!』と思うと労働に対するモチベーションは年々高まりを感じますね」
「素晴らしい……今日はありがとうございました! 同じメンバーでまた20年後に座談会やりましょう!」
終わりに
今日の座談会ではV系ならではの文化や、懐かしのあるあるについてたくさん話したけど、最後の「バンギャをやってきて……」の言葉は、バンドだけじゃなくて、アイドルやアニメやいろんなオタクの人々も同じなんだろうなあ……。
私も彼女たちと同じように「推しによって活かされる自分」を確かに感じます。だからこそ活動を続けてくれるバンドには感謝だし、これからも“花咲く命ある限り”応援し続けたい!
そんな事を改めて感じさせてくれる座談会でした。
それでは、乱筆乱文多謝!!!!!!!!!!!!!!!!
※「乱筆乱文多謝」は文通相手とのお手紙になぜかよく使われていた締めの言葉でした
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