みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜 宿・ゲストハウス編

2020.05.03

みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜 宿・ゲストハウス編

全国で大変な状況が続く今日このごろ。ジモコロ編集部では、全国のお店の声を集めるシリーズ連載を始めます!今回は宿編。海外からの観光客が減り、国内の移動も難しい現状での、それぞれの取り組みとは? みんな〜!そっちはどうだい?

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    そんな会話もなかなかしづらくなってしまった今日このごろ。この大変な事態の中、全国でお店を営む人たちは何を考え、どう向き合っているのでしょうか。

     

    ジモコロでは、そんな彼らの声を集める連載「みんなの現状報告〜そっちはどうだい〜」を始めました。

    ローカルのお店が直面している状況や、その対策を可視化することで、困っている別のお店にとってのヒントや、ゆるやかな連携を作ろうという試みです。

     

    今回は、山形、岡山、山口、長野でそれぞれ宿を営む人たちの声を紹介します。海外からの観光客が減り、国内の移動も難しい現状での、それぞれの取り組みとは?

     

    それでは……

    みんな〜〜〜!!! そっちはどうだい???

     

     

    【今回、紹介するお店】

    ・山形座 瀧波(山形/宿泊業)

    ・DENIM HOSTEL float(岡山/アパレル業・宿泊業・飲食業)

    ・ruco(山口/宿泊業)

    ・1166バックパッカーズ(長野/宿泊業)

    ・株式会社有鄰(岡山/宿泊業・飲食業・小売業)

    【山形】山形座 瀧波

    山形座 瀧波 須藤 宏介さん

    業種:宿泊業(旅館)
    所在地:山形県南陽市赤湯3005
    営業状況:休業中(4/22〜5/10)
    HP:http://takinami.co.jp/

     

    ■お店の現状

    山形県南部、置賜地方に位置し、350年前に建てられた古民家や、有機野菜や伝統食材、日本酒やワイン等の山形の豊かな魅力を日々お客様にお伝えする事を生業としています。

    2017年8月にリニューアルを行い、祖父の代に移築した古民家はそのままに、断熱や防音工事の施工や、全客室に赤湯の源泉掛け流しの露天風呂をご用意。より快適に山形の魅力に触れていただけるようになりました。

    リニューアルしてからの2年半、リピーターのお客様に支えられて営業を続けてきましたが、国からの緊急事態宣言を受け、現在は4/22から5/10まで休業としています。

    休業期間を旅館を磨き上げる時間として捉え、助成金の申請や館内のメンテナンスなど、営業再開に備え準備中です。

     

    ■今後の展望

    年間を通して様々な食材が楽しめる山形ですが、5月以降は山菜の季節となります。山に分け入り、その日に採った山の恵みが10種類以上。日本酒やワインとも相性抜群です。

    営業再開後も、山形のゆったりとした時間の流れの中でお客様とワクワクドキドキしながら元気に営業してまいりますので、どうぞご期待下さい!

    【岡山】DENIM HOSTEL float

    EVERY DENIM 島田 舜介さん

    業種:アパレル業・宿泊業・飲食業
    所在地:岡山県倉敷市児島唐琴町1421-26
    営業状況:休業中(〜5/6)
    SNS:instagram

     

    ■私たちのお店について

    ジーンズの産地である倉敷市児島に2019年9月にOPENし、デニム素材を内装に使ったお部屋からは瀬戸内海が一望できるオーシャンビューの宿泊施設です。

    店舗を持たず47都道府県をキャンピングカーで移動販売していたデニムブランド「EVERY DENIM」が運営しており、初となる直営店も併設しています。

    ■お店の現状

    目の前が瀬戸内海、そしてビーチがあり、春から夏にかけてこれからが1年目のシーズンだと思っていた矢先、新型ウイルス感染拡大により全国各地に緊急事態宣言が出されました。

    予約がたくさん入っていたGWもほとんど全てキャンセル。
    窓からは綺麗に桜が見えるこの季節もカフェにお客様は少しばかりでした。

    海水浴の季節がきてもみなさんに安心してお越しいただくことがおそらく難しい状況かと思います。

    ■今後の対策や展望

    私たちはこんな状態でも宿泊施設の経営を続けていくことを決めています。ですので、落ち着いてみなさんに安心してお越しいただける日の為に「未来に泊まれる宿泊券」の販売をはじめました。

    またこの状況を踏まえ、カフェで提供しているスパイスカレーのテイクアウトを5/7(木)から始めます!

    InstagramのDMや電話でもご予約できますので、お車で移動できる方など、ご無理のない範囲でご利用いただければと考えています。

     

    こんな状況でも前を向いて、何ができるのかを考える日々を過ごしています。

    全員が大変な状況で、私たちを助けてください。とはなかなか言えないことも多いですが、安心してみなさんが外出できるようになった頃に、穏やかで美しい瀬戸内海が一望できる私たちの施設にお越しいただけるようスタッフ一同、準備を進めてまいります!

    【山口】ruco

    ruco 塩満 直弘さん

    業種:宿泊業(ゲストハウス)、飲食業(カフェ)
    所在地:山口県萩市大字唐樋町92
    営業状況:一部営業中(ゲストハウスは4/1~4/30までは予約済み・萩在住の方のみ営業、カフェは4/1~4/30まで休業)
    HP:http://guesthouse-ruco.com/

     

    ■お店の現状

    元々地域の方、宿泊者の方含めて利用していただけるカフェスペースがありますが、共に休業している状況です。 4月は萩市の助成制度を利用し、かつかつ損益分岐点に推移すると思われますが、それ以降は見込みが立っていません。このままの状況が続けばもって半年だと思います。

    ■今後の展望

    今後の対策は、ECサイト導入を検討したり、並行して進めていた事業のオープン時期を当面見合わし、先ずrucoにてその飲食部門のテイクアウトを中心とした販売をスタートさせるなどの準備を進めています!

    【長野】1166バックパッカーズ

    1166バックパッカーズ 飯室 織絵さん

    業種:宿泊業(ゲストハウス)
    所在地:長野県長野市西町1048
    営業状況:休業中
    HP:https://1166bp.com/

     

    ■お店の現状

    長野市の国宝善光寺さんのすぐそばで最大14名が宿泊できる小さなゲストハウス「1166バックパッカーズ」を運営しています。

    通常期の客層は国内6割、海外4割。日本人の多くは首都圏からの旅人です。このコロナ禍のなかも3月は稼働が昨対で10%減で持ちこたえましたが、メインとなる客層からしても感染拡大の可能性が高いと判断し4月1日以降は休館。例年であれば春休みで学生さんも動き、かつ桜でインバウンドも多いシーズンゆえに、大きな痛手ですが、スタッフ・近隣住民の健康も鑑みると致し方ないところです。

    休館中はアルバイトスタッフには休業手当を出し、売り上げはオンラインショップの一本です。幸いオリジナルの手ぬぐいを毎年作成していたり、そのほかにもいくつか商品の在庫を抱えていたので、早い段階で稼働できました。オンラインショップの売り上げ自体は家賃含む固定費を捻出すれば手元には残らないくらいではありますが、売り上げ以上に休館中もお客さんと繋がり続けるツールとして当初想定していなかった以上に有効に機能しています。

    ECサイト→https://1166bp.base.ec/

    ■今後の展望

    コロナが終息し、いざ宿を再スタート、となったときに、どのくらいお客さんが動くかを懸念しています。稼働が低空飛行でも宿を開ける以上は人件費含みそれなりの経費がかかってきます。

    一方で、これだけ「オンライン」「リモート」というアイデアが一般的になった今だからこそ、「リアルな場」に対するニーズは上がってゆくと信じています。人に会う、外に出るということに今まで以上に意味合いを持たせてゆくのではないでしょうか。そうなったときに選んでもらえるように宿を整えてゆくつもりです。

    【岡山】株式会社有鄰

    株式会社有鄰 犬養 拓さん

    業種:宿泊業(ゲストハウス・カフェ「有鄰庵」/古民家の宿「暮らしの宿てまり」)、飲食業(日本料理店「Bricole」/スイーツ店「はれもけも」)、小売(ライフスタイルショップ「美観堂」)
    所在地:岡山県倉敷市本町2-15
    営業状況:休業
    中(スイーツ店と日本料理店は営業中)
    HP:http://yuurin.co.jp/

     

    ■お店の現状と展望

    倉敷の美観地区を拠点に、古民家のゲストハウスなど三つの宿と、カフェ、ライフスタイルショップ、スイーツ店、日本料理店などをやっています。

    美観地区の店舗は基本的に観光業なので、コロナの影響はめちゃくちゃでかいです。まだ営業していた3月初旬頃でも前年比で-60%ぐらいでした。

    うちの会社の中では地元のお客さんの比率が高いスイーツ店と日本料理店以外はすべて、3月下旬〜4月頭に休業しました。

    ■今後の展望

    こういう感染症に対しての経営的な準備ができていなかった点について、完全に経営者である自分の責任でしかないということを重々承知しつつ、3月から事業のオンライン化を始めています。

    ECサイト→https://bikando.jp/

    これまで実店舗の売上比率が高かったので後回しになってしまっていた(それが良くないのですが)ECへのシフトや、コロナで一変した暮らしにフィットする商品・サービスの開発を進めています。

    あとは借入金、給付金、助成金の申請ですね。
    コロナの終息までのシミュレーションを立てつつ、ある程度は辛抱するしかないという側面もあります。

    と、自分たちのことでも大変な状況ではあるんですが、美観地区の周りのお店さんも同じく大変なことになっています。

    そこで、うちから美観地区のお店さんたちにお声がけして、いつかコロナが終息した際、笑顔でお客さんをお迎えできるように、そして少しでもこの時期を耐える助けになればと、クラウドファンディングを立ち上げました。

    これは自分たちのためというより、美観地区の周りのお店さんのためにやっている部分も大きいです。

    うちの会社の行動指針の一つに「与えて、与えて、与える」というのがありまして、こんな状況だからこそまず「自分が誰に何を与えられるか」から考えたいとは思ってしまいます。

    みなさんの現状もお待ちしています

    「みんなの現状報告 〜そっちはどうだい?〜」では引き続き記事を公開していきます。

    記事を読んだ皆さんも、SNSで「#そっちはどうだい」のハッシュタグをつけて、現状を報告していただけるとうれしいです。

    先の見えない、大変な状況だと思います。みんなで現状や取り組みをシェアして、少しでも前向きに日々を過ごしていきましょう。いつかまた、笑って会える日を信じて。

     

    今回登場した宿の記事はこちら。あわせて、ぜひ読んでみて下さい。

     

    「現代人には許しの心が足りない」犬養毅の子孫が語る教育論

    愛が枯渇する!? ゲストハウス経営者が抱える「孤独」のジレンマ問題

    叔父の決断と、兄弟の覚悟。一族総出でいきかえった宿「瀧波」の物語

     

    OGPイラスト:小松佑

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    ジモコロ編集部
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