はじめまして。ライター/イベンターの大坪ケムタです。
「ローカルアイドル」ってご存知ですか? 文字どおりローカル=地方で誕生し、活動するアイドルのことです。今や世界クラスの人気グループ・Perfumeも、元は広島のローカルアイドルでした。
地元での活動をメインにしながらメジャーレコード会社と契約したり、全国ツアーを行うローカルアイドルもいたりと、アイドル界においてもずいぶん定着しましたね。
そんな中、活動歴16年を誇る新潟自慢のローカルアイドルがいます。
その名はNegicco!
※写真左からKaede・Nao☆・Meguの3人→公式サイト
もとは2003年に新潟県名産「やわ肌ねぎ」のキャンペーンユニットとして結成。アイドルファンの間で瞬く間に話題となりました。
大会場でワンマンを行ない、全国ツアーなども行なう一方、新潟県民会館など地元会場でもライブを積極的に開催して全国のファンを新潟に呼び込んでいます。
また「にいがた観光特使」でもあり、まさにアイドル活動と地元アピールを理想的に行ってるローカルアイドルなんです。
というわけで、今回はそんなNegiccoから、Kaedeさんに来ていただきましたーー!!
デビュー当初は11歳。現在28歳となった彼女に、あらためて新潟の魅力と、ローカルアイドルのお話を聞かせてもらいましょう!
新潟ってどんなところ?
新潟の方言
「今日はよろしくお願いします。Kaedeさんもそうですけど、新潟のひとって方言のイメージないですよね」
「もう若い人もほとんど言わなくなってて、父母の世代すらほとんど訛ってないですね。でも他の地域から来た人に聞くと『イントネーションがちょっと変』って言われます。単語の頭が強くなるんですよ。靴(く↑つ)、椅子(い↑す)みたいな」
「標準語だと思ってたけど実は方言で、東京では通じなかったみたいな言葉ってないですか?」
「『そろっと』が通じなかった時は『え?』と思いましたね」
「そろっと? ゆっくり静かに、みたいな意味ですか?」
「みんなそう思うらしいですね~。新潟では『そろそろ』みたいな意味なんです。『そろっと始めようか』だったら『そろそろ始めようか』って感じ。あとは次の日のことを『翌日(よくひ)』って言うのも通じないですね」
「よくひ!『よくじつ』じゃないんですね」
「『読み方を間違ってるんじゃない?』ってよく言われます。新潟ではみんな言うんですけどね。他には『消雪パイプ』を知らない人がいることに驚きました」
「しょうせつぱいぷ? 禁煙パイポみたいな……?」
「違います! 道路に水を撒いて雪を溶かす設備の名前ですね。道路にぽつぽつ設置されてるから、県外のひとは『これなんだろう?』って不思議がるみたいです」
「なるほど。新潟といえば豪雪のイメージですが……東京の雪をどう思います? あの程度の雪で電車が止まったり転んだりするなんて、信じられないのでは」
「う~ん、雪に対する備えがそもそも違うんで仕方ないですね。さっき言った消雪パイプとか、他にも裏がスパイクみたいになってる『スノトレ』っていう靴があるから転ばないとか」
「へぇ、スマホで検索してみると、『瞬足』のスノトレ版とかもあるんですね!『スパイク付アイスバーン対応』とかめちゃかっこいい」
「雪国では結構普通ですよ。あと靴でいえば、ムートンブーツが履けないんですよ。びちゃびちゃに濡れてしまうんで」
「たしかに……あのふかふかした所が水を吸収しまくってすごく重くなりそう」
「おしゃれよりも、いかに暖かくするかが大事。雪が多いと水に弱い素材は無理だし。東京でおしゃれな薄着で生活してみたいって、昔はちょっと憧れました」
「Kaedeさんにも、東京に対する憧れみたいなものがあったんですね」
「少しだけありました。『原宿でクレープ食べたい!』とか。今でいうタピオカみたいな感じでしょうか」
「でも我々からすると、原宿のクレープより新潟のB級グルメの方がそそられますよ! というわけで、次は新潟の食べ物についてお聞きしましょう!」
新潟のグルメ
新潟のB級グルメ、イタリアン(焼きそばにミートソースなどをかけたもの)
「新潟のB級グルメというと、まずはイタリアンですね」
「僕も新潟には何度か行ったことがあって、食べたことがあります。最初はイタリアンって何?と思いましたが」
「新潟ではメジャーな食べ物ですね。麺自体に味がついてるし、その上にミートソースとかが乗っかるんで、味が濃くておいしいんです」
「あとNegiccoメンバー・Meguさんなどの口コミで売れたと噂の万代シテイバスセンターのカレーライスなども近年有名になってきました」
「バスターミナルにある、立ち食いそば屋さんのカレーですね。真っ黄色でスパイシーなクセになる味です」
「新潟って、食にはかなり特色がありますよね」
「そうですね! 新潟のカツ丼は卵とじじゃなくて甘辛い味の『タレカツ』だったり……。あと『鶏の半身揚げ』がみんな好きですね。カレー味がベースで、クリスマスも七面鳥じゃなくて鶏の半身揚げが出てきます」
「新潟県民は味が濃いものが好きなのかな? B級ではなく、新潟の郷土料理っていうとどういうのがあるんでしょうか」
「私はのっぺが好きですね」
「のっぺ? のっぺい汁のことかな」
「似てるんですけど、ちょっと違います。のっぺい汁はとろみを片栗粉でつけるじゃないですか。新潟の『のっぺ』は里芋でとろみつける自然な味の煮物なんです。具材はかまぼこ、しいたけ、にんじん、家によっては鮭やいくらが入ってます」
「煮物でいくらってめちゃくちゃ珍しいですね! 生以外の食べ方があったとは……」
「むにゅっとして美味しいんですよ。夏は冷たいの、冬はあたたかいの、年中食べられるのが良い! のっぺを食べると『新潟だな~』って思いますね」
Kaedeさんおすすめ「おみやげにできる新潟グルメ」
ではここでKaedeさんおすすめの「おみやげにできる新潟グルメ」2品を紹介しましょう!
まずは瑞花の「うす揚 柚子こしょう味」
「瑞花さんはおせんべいとかおかきが有名なお店ですね。食べ口がサクサクと軽くて美味しいんですよ! これは柚子こしょう味ですけど、他にもチーズとか青のりとか、色んな味があります」
「ポテトチップス……にしてはかなりデカい! ちょっとした枕くらいありますね」
「でもこれで400円くらい(税込388円)なので、お得です。新潟の人にお土産でこれ渡すとけっこう喜ばれますよ。私は普段から自分で買ってよく食べてます」
「私からのおすすめ、もうひとつは『ル レクチエ』っていう洋梨です。普通の梨のシャリシャリした感じと違って、甘みが強くて口の中でとろける感じ。柔らかくて香りがとってもいいんです!」
「洋梨っていうとラ・フランスあたりが有名ですけど、それに比べてもこれけっこうお高めですよね?」
※東京で買うと1玉1000円オーバーも珍しくないです
「そうですね、贈答用としても使われますし。自分で買って食べるというよりは『いただくと嬉しい』って感じ。特別なフルーツなんですよね」
「しっとりして身が詰まった感じがすごくて、他にはあまりないおいしさ。食感がなめらかなのも上品で良いんですよね~」
「僕も贈答されたい……」
新潟生まれはなぜ美人?
「新潟って湿度が高いんですよね。だから東京に来ると乾燥が気になります。新潟に戻ると、なんとなく喉の調子が良いような……」
「あー、雪も降るし湿度はあるでしょうね。『新潟美人』ってよく言いますけど、ひょっとして湿度も関係あるんですかね?」
「実際美人は多いと思いますよ。しかもみんな肌が綺麗! 湿度が肌に良いのかな……? あと新潟って雨が多いから太陽があんまり出ないんですよ。ずーっとグレーの空」
「そんなに?」
「はい。普通、『晴れ』というと『太陽が出ている状態』じゃないですか。でも新潟では『雨が降ってない状態』のことを『晴れ』って言います」
「そりゃ色白の美人が多くなりますね。湿度が高くて、日照時間が短いのが新潟美人の秘訣。では、女性に限らず、『新潟県民の特徴』ってありますか?」
「新潟の人って、あんまり表に出てこないというか、わりと恥ずかしがり屋ですね。私たちもNegiccoの活動を始めたころは『新潟でアイドルなんて、うまくいくのかな……』って思ってました」
「自信満々!て感じのひとはあんまりいないと。でも『新潟の有名人』というと田中角栄か小林幸子ですよね。どちらもグイグイ前に出るタイプでは?」
「あははは、たしかに! 表に出るのは恥ずかしいけど、実は出たいし、出るとガンガンいくって人が多いのかも!」
「他に新潟県民の特徴ってあります?」
「新潟のひとは地元愛というか、『新潟愛』が強い。県外で新潟出身のひとに会うと『実はわたしも新潟なんです』って言われるんですよね。同じ地元ってことでかなり応援してもらえますね」
「そう言えば、アイドルって普通は2~3年で卒業するのが当たり前なのに、新潟のアイドルはNegiccoを筆頭に、活動歴が長いグループが多いですよね」
「それも新潟県民の特徴かな。みんな粘り強いんです。ファン側も情が深くて長く応援してくれるし」
「確かに。16年やってきただけあって地元の知名度がめちゃめちゃ高い。新潟の人に聞くと『全国のタレントのことはぜんぜん知らない爺ちゃん婆ちゃんでも、Negiccoだけは知ってる』ていいますもんね」
「けっこう年配の方にも知って頂いてますね。ただ、年輩の方って、なぜかわたしたちのことを『Negiccoクラブ』って呼ぶんですよね……。おニャン子クラブさんと混ざってるのかな?」
新潟ならではのローカル活動
本題とずれますが、この日僕が着ていったのは、プロレスラー兼タレント、スーパー・ササダンゴ・マシンさんのTシャツ。新潟のテレビ番組でNegiccoと共演されている方です。
僕がインタビュー場所に入るなり、「あっ、スーパー・ササダンゴ・マシンさんだ!」とすぐに気づいてくれました。
ってどうでもいい話でしたね。インタビューに戻りましょう!
「新潟のローカルアイドルとして初期のNegiccoってどんな活動してたんですか?」
「デビューしてからしばらくは自治体のお祭りとか農業祭とかに出てましたね」
「正直な話、初期の頃ってギャラはどんな感じだったんでしょう?」
「まだ芸能スクール生だったころ、終わったあとにネギや桃をダンボールでもらって、それがギャラみたいな時がありました」
「まさかの現物支給!」
「でも当時はお金をいただくというよりは経験を積ませてもらう、という感じだったので、むしろありがたいと思ってました。一人で食べ切れる量じゃなかったから、家族や近所の人にも配って、すっごく喜ばれましたよ!」
「ローカルっぽいというか、新潟ならではのイベントとか、ありました?」
「新潟といえば雪! ということで、ステージが完全に雪で作られてたことがありました。もうツルッツルで! 全員、見事に転びましたね」
「確かに新潟といえば雪ですが……雪の上で歌って踊るのはさぞかし難しかったでしょうね」
「16年やってみて、ローカルアイドルの良さってどの辺だと思いますか?」
「地元には親戚や友達がたくさんいるので、安心して活動出来るのは大きいですね。東京に出るとなると、知り合いも少ないし不安じゃないですか」
「そ、そうですか? じゃあ、途中で東京に活動拠点を移していたら……?」
「東京住まいだったら続かなかったと思います。新潟の皆さんには親戚の子たち、みたいな感覚で応援してもらったりして。地元に支えてもらってるなって実感してますね」
「ただ、新潟もこの16年でかなり都会になったのでは?」
「都会になったところ……あ! ありますよ! 一度無くなったんですが、万代にマクドナルドがまた一店舗出来たんです。新潟のほぼ全局のテレビでニュースやってましたね」
「マクドナルドが増えたことが全局のニュースになることってあるの」
「でもこういうのは、ずっと地元にいないと気づけない変化なので」
「確かに。新潟のPRとして全国のイベントに出ることもあると思いますが、『私たちが新潟を背負ってるんだ!』って気持ちになることはあります?」
「背負うなんて、最初はおこがましいと思ってましたけど……新潟の人から『新潟を背負って頑張ってね~』って言ってもらうと、『そう思っていいんだな、頑張らなくちゃ!』って思えますね」
「周りがそう言ってくれるのは嬉しいですねぇ。逆に、新潟県民ではない全国のファンについてはどんな風に感じてるんでしょうか」
「新潟まで来てくれるファンもいらっしゃるんで、何かしたいねってことで、『NEGi FES』ってイベントを新潟で開いてます。イタリアンとか地元のお店も出店してもらって、食べ物も楽しんで頂いて……」
「ライブに行けばイタリアンも食える!一石二鳥ですね。 Negiccoは新潟の魅力を伝えるのにも嫌味がないというか、自然に繋げるバランス感がすごいですよね。今後も応援してますんで、頑張ってください! 今日はありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました! これからもNegiccoをよろしくお願いします」
まとめ
というわけで今回は新潟を拠点に活動するNegiccoのKaedeさんにお話を伺いました。
なお、Kaedeさんのファーストアルバム『今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる。』が、2019年12月24日に発売されていますよ!
※発売日は2020年1月1日、店頭販売開始12月24日。配信は2020年1月6日より
「ちなみにこのジャケットの写真は、新潟を愛するKaedeさんにとって大事な場所だったりするんですか?」
「あ、これは仙台ですね」
「新潟ちゃうんかい!」
ジャケットは仙台ですが、Kaedeさんの色んな原点が詰まった一枚。
堀込泰行、堂島孝平、和田唱(TRICERATOPS)、澤部渡(スカート)と、めっちゃ豪華なメンバーが楽曲制作に参加した、おすすめのアルバムですよ!