【ZOC】アイドルのマネージャーってどういう仕事なの?

2022.04.22

【ZOC】アイドルのマネージャーってどういう仕事なの?

『ZOC』……シンガーソングライター大森靖子の優れた楽曲と、癖のあるメンバー、そして個性的なファッションが人気のアイドルグループ。スキャンダルや炎上を経験したマネージャーに、仕事の極意を聞きました

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    ゲームやアニメなどでよく見るお仕事にアイドルのマネージャーがあります。

    「かわいい女の子たちに囲まれて楽しそう~!」と思ってる人は多いかもしれません。

     

    でも実際はどんなお仕事なの?

     

    というわけで今回は、アイドルグループ『ZOC』のマネージャー・大内ライダーさんに話を伺ってみました。

     

    ▼ZOCとは―

    『ZOC』は、シンガーソングライターの大森靖子さんがプロデューサーでありメンバーでもある7人組アイドルグループ。

    優れた楽曲と、癖のあるメンバー、そして個性的なファッションは、特に同世代の女性ファンを惹きつけています。さらに何かと「炎上」を経験し、次に何が起こるかわからないハラハラ感もあって、今もっとも見逃せないアイドルグループです

     

     

    マネージャーって何をする仕事なのか、失敗談なども含めて聞いてきましたよ!

    これを読んだ上でそれでも「マネージャーになりたい!」と思ったあなたは、本物かもしれない……

    ※今回ご紹介するのはあくまで「大内さんの働き方」です

     

     

    これがアイドルマネージャーの1日だ

    「よろしくお願いします、アイドル好きライターの大坪ケムタです。アイドルのマネージャーがどんな仕事をしているのか、まずは一日のスケジュールを教えてください」

    「日によってぜんぜん違うんですよね。ライブやレコーディングの日は一日がかりだし、レッスンや取材の日は短時間で終わったり……」

    「日によってかなり差があると。じゃあ一番マネージャーっぽい日……例えばライブの日とかはどうでしょう?」

    「では中野サンプラザでワンマン……『ZOC CLUTCH 2021』をやった日を例にしましょう!」

     

    「前日の夜は遅くまで書き物系の仕事をしてまして、この日起きたのは午前9時でした」

    「朝一番の仕事はもちろん、メンバーにモーニングコールすることですよね?」

    「え? しませんけど」

    「えー! やらないんだ!! アイドルを起こすって、羨ましい業務だなーって思ってたのに!」

    「そ、そうなんですか……? ただマネージャーは誰よりも早く現場入りしてメンバーを待つという仕事がありますね。この日は11時に中野サンプラザに入りました」

    「ライブって夜ですよね。午前中から会場入りして何をするんですか?」

    「物販が13時に始まるので、その準備をしながらスタッフさんに挨拶周りして、平行してSNSとかで発信して……14時頃にやっとメンバーが会場入りします」

     

     

    バックステージでのメンバーたち。ステージとはまた違う表情です(撮影:Masayo)

     

    「ZOCは事務所代表でもある大森靖子さんがメンバー、つまり“メンバーの一人が社長”という特殊な形態ですが、現場全体を仕切るのは基本的にマネージャーなんですね?」

    「はい、武道館でも小さいライブハウスでも、マネージャーに最終決定権があります」

    「その責任を踏まえて仕事しなきゃいけないんですね。話を戻してメンバーが会場に無事揃ったら?」

    「メンバーが着いたら、15時から17時までリハーサルですね」

    「リハの間は……客席でスマホいじりながら、レコード会社の偉い人が通ったら『いやいやいやご無沙汰じゃないですか~また今度コレ(ゴルフのスイング)行きましょうよ』みたいな会話をしてるんですか?」

    「まあそんなイメージですよね(笑)。実際はめちゃ忙しいです! リハーサルの様子を確認しつつ、メンバーのケアをしたり、お祝いの花の並び順とかも指示して、関係者の招待リストをチェックして……」

     

    こういうお花もワンマンだとすごい数になります(撮影:Masayo)

     

    「あ、ほんとに忙しそう」

    「あとZOCの場合は衣装も僕が管理してるので、その搬入もありますね。諸々準備が整って、18時半になったら……いよいよライブ開演です!」

     

    本番前、円陣を組むメンバーたち(撮影:Masayo)

     

    「ライブが始まったらあとは各部門の専門スタッフに任せるんですけど……この日はソロコーナーや衣装チェンジのために、ステージから出入りするメンバーを誘導してましたね」

    「とにかく何かしら動き回ってるのか。マネージャーになったらライブをのんびり見れると思ってましたが……そんなヒマはないんですねえ。ライブが終わったら何を?」

    「ライブ自体は21時までに終わったんですが……この日は21時に新メンバーとツアーの情報が解禁されることになってたんで、そうした情報がちゃんと公開されたのか、SNSや公式サイト、ニュースサイトなんかをチェックしました」

     

    この日に発表された新メンバー吉良乃ジョナさん

     

    「ライブ自体はトラブルなく終わったんですね?」

    「いや~この日はめちゃめちゃライブが押しちゃって……すっごいあせりましたね」

    「うわ~、ありそう!」

    「ライブはマネージャーに最終決定権があると言いましたが……ステージ上のことは大森靖子の意向を優先したいので、『MCを短くしろ』とは言えないんですよね。大森のやりたいことを実現するのが僕の仕事だから」

    「『21時までに終わってください!』って言わないんですか?」

    「言います言います(笑)『やばいです、押してます!』って。本人もやばいのはわかってるんですけど、ステージ上では音楽やパフォーマンスが優先って感じですね」

     

    「ライブが終わった後はどうするんですか?」

    「関係者挨拶や、物販の様子とかも見ながらメンバーをそれぞれ帰して。あとは楽屋の忘れ物のチェックをします」

    「そんなことまで!? 過保護すぎでは?」

    「いやもう、ZOCのメンバーは絶対に絶対に絶っっっ対に忘れ物するんで、僕がチェックしたほうが早いなと」

    「衣装の管理も大内さんがやってるとおっしゃってましたね」

    「はい。普通は大手の事務所でもない限り、衣装の管理ってメンバーがそれぞれ自分でやるんですけど……ZOCは毎回毎回、当日になって『あれがない、これがない』ってことになるんで、僕が管理してます」

     

     

    めちゃくちゃ可愛いけど、輝かせるのは大内さんが持ってきた衣装!(撮影:Masayo)

     

    「でも衣装の管理って、洗濯とかはどうするんですか?」

    「洗えるものは僕が洗います。洗濯出来ない衣装も多いからクリーニングに出したりして。でライブ当日は巨大なトランクに入れて会場まで持っていくわけです」

    「7人組だから持って移動するだけでもかなりの量になりますよね」

    「この日は後半で衣装替えもあったので、倍の14人分の衣装を持って移動しました。重いし、電車ではトランクがマジで邪魔です」

     

    「電車移動なの!? ワンマンの日くらいはタクシーでいいと思います!」

    「タクシー使うと経費がかかるでしょ。その分 会社とメンバーの給料が減っちゃうので……」

    「ハードすぎる! とりあえず衣装も片付けて、ステージの撤収なども見届けて、やっと一日が終わりですか」

    「そうですね。会場を出たのが10時半くらいだったかな。出たのは僕が一番最後でしたね。この日は直帰して、さすがに寝ましたね……。有能なマネージャーならもっと効率の良い働き方なのかもしれないですけど」

    「ちなみにメンバーの休養日というか、何も予定がない日だってありますよね? そういう日は大内さんも休みなんですか?」

    「いえ、何もない時こそ、次のライブに向けての準備を各所に連絡したり、グッズについて物販会社と打ち合わせしたり、社長の大森とミーティングしたり、いろいろやってますね。とにかくマネージャーというのは何かしらずーっと動いてます」

    「かわいいアイドルのそばに居れるから最高~!……って感じの職業ではなさそうですね。大変なお仕事だ」

     

     

    失敗談ってある?

    「では、ここからはライブの日以外のことも聞いていきましょう。テレビ出演の時なんかは、マネージャーはどういう役回りなんですか?」

    「テレビの現場は、うちだとレーベル(avex)が決めてきたりするんで、僕ら事務所がやることはあんまりないんですね。現場では化粧治すとか汗を拭くとか水を飲むとかその程度で」

    売り込みとかはするんですか? 漫画とかに出て来るマネージャーは『よろしくお願いします~、うちの子使ってくださいよ~』みたいなことを言ってるイメージですけど」

    そういうのはマネージャーじゃなくてプロモーターと呼ばれる人の仕事ですね。もちろん僕も、現場の人に『またよろしくお願いします!』みたいな事は言ったりしますけど」

    「ふむふむ、では細かい業務ですが、例えば新幹線チケットの手配とかもマネージャーがやるんですか? ホテルの手配とか」

    「場合によりけりですね。ライブ制作会社が入ってる時はそっちに頼むこともあります。地方ツアーとかで誰かが間に入ると、高いホテル取ってないかなとか心配することもありますね。『一泊この価格?……ちょっと高いな』とか」

    「そういうコスト意識もマネージャーの仕事だと」

    「部屋が汚いとかだとメンバーが安心できないから、高いホテルが良いのは確かなんですけどね~。経費も節約しなきゃっていうバランス感覚が大事ですね」

     

    「あとライブ外の部分では、美味しい物を食べてもらったり、楽しいこともしてあげたいですね。そういうのでモチベーションを上げるのも仕事の一環だと思ってます」

    「そんなことまで考えるんだ」

    「だからメンバーの好みはかなり把握してます。普段コンビニで買うものとか。メンバーが好きな飲み物は『セブンだったらこれ、ローソンならこれ、ライブ前の栄養ドリンクはこれ』って感じで」

     

    「有能な執事だ! ZOCのメンバーって、おそらく大内さんよりかなり年下ですよね? 普段の会話は敬語?タメ口?」

    敬語が基本です。メンバーは全員年下ですけど、仕事ですからね。とはいえ、最近は慣れてきて敬語を使う機会が減っちゃってますけど」

    「ここまでの話ではメンバー全員がひとつの現場に向かってましたが……同じ日に『この子はラジオ出演、別の子はモデルの仕事』というケースも考えられますよね。そういう時はどうするんですか? 影分身するんですか?」

    「影分身できたらどんなに楽かと思いますが……実際は、最初の現場を準備できるとこまで頑張ってやって、もうひとつの現場に頑張って駆けつけます」

    「“頑張り”で何とかしようとしすぎてません!??」

     

    続いて……一癖も二癖もあるメンバーだからこそ、失敗談もあるのでは?ということで聞いてみました

     

    「これまで失敗ってありました?」

    「いっぱいありますよ! 僕が関わったいちばん最初のツアーでは、駅で一箇所に集合して、切符を配って、新幹線に乗ろうとしたんですね」

    「ものすごく普通のことでは?」

    「そう、すごく普通のことなんですけど、当時はまだメンバーの性格の違いとかわかってなくて。単なる待ち合わせがこんなに難しいのかと」

    「具体的には、誰がどんな感じだったんでしょう?」

    巫まろは待ち合わせ時刻の10分前とかにちゃんと来ます。藍染カレンはジャストくらいに来ますね。ただ西井万理那はものすごく目が悪くて、駅までは来れても集合場所が見えないんですよ」

    「経費でメガネ買ってあげましょうよ!」

    「考えときます。他のメンバーは……雅雀り子はお腹が弱くて体調崩すことがあって遅れる事が多いですね。そして大森靖子はすさまじい方向音痴なんですよ。何度も来たことある場所なのに、たどり着けない」

    「ロロノア・ゾロじゃん」

    「やっと全員を集合させて、切符を渡して、メンバーを新幹線に乗せて、ほっ……としてたら列車のドアがプシュ~と閉まって。僕が新幹線に乗れなかったっていう」

    「キップ渡すので気力を使い果たした!」

    「その時は『やっちまった……』と思いましたね。次の便で向かってなんとか間に合いましたけど。それからは『もう新幹線のホーム集合で遅れたらおいてくぞ!』ってことになりました」

     

    「遅刻したメンバーを怒ったりすることはあります?」

    「反省してなかったら言いますけど、みんな『やっちゃった、ごめんなさい』と思ってくれる人なんで、そんなにないです。それに基本的には『音楽をしっかりしてればいい』って考えなんです。大森靖子が作った楽曲をちゃんと届けてくれればいいかなと」

     

     

    ステージから最高の物を届けたいという気持ちは皆一緒!(撮影:Masayo)

     

    マネージャーになりたい人はどうしたらいい?

    「話を聞いてるとめちゃめちゃ忙しそうですね! もうひとりくらいマネージャーを入れたら楽になる気がしますが……」

    「う~ん、しばらく募集する予定はないですね。ZOCって、メンバーが全員その……個性豊かというか……アクが強いというか……なので、いきなりこのメンバーを相手にするのは無理かもしれません」

    「なんとなくそんな気はしていました」

    「それにZOCの場合は、大森靖子の存在がちょっと特殊で。彼女の細かいニュアンスが伝わる『大森靖子の文化圏』にいる人じゃないと無理ですね。あの独特な感性を共有できないと厳しいです」

     

    「大森靖子さんは事務所の社長でありプロデューサーであり、そして何よりアーティストですもんね」

    「そうですね。社会人同士だと、挨拶から入って要点を伝えて書類を作って……って流れが常識じゃないですか。でもアーティストは、いきなり『あれやりたい!』って言い出すこともあります。それを実現する能力が必要ですね」

     

    マネージャーやっててよかったなあ……って思い出はありますか? メンバーがこういうこと言ってくれたとか」

    「たまに『ライダー(大内さんのこと)がマネージャーでよかった』って言われることはありますよ。そういう時はやっぱり嬉しいですね」

    「どういう時に?」

    好きなコンビニのジュースを買ってきた時とか……

     

    「いやでも感謝されてると思いますよ。話を聞いてると大内さんってかなり細かいことまで気を配ってるみたいだし。衣装の管理までマネージャーがしてくれるなんて、ありがとうって思いますよそりゃあ」

    そのわりには脱ぎ散らかしていきますけどね! でもそういうところ含めてメンバーはそのままでいいと思ってるんで」

    「アイドルのマネージャーになりたい人がいるとしたら、どういう能力が必要だと思いますか?」

    「結局は他人の人生を扱う仕事なので、メンバーのやりたいことや考えを尊重できる資質が必要になってきますね。アニメとかではアイドルのことを手駒だと思ってるような人もいますけど、それじゃ絶対うまくいかないです」

    「大内さんはオーディションにも関わってますから、ゼロから知ってるメンバーもいますよね。『ワシが育てた』みたいな気持ちってあります?」

     

    「ないないないない(笑)。僕はあくまで手伝ってるだけですね。ただ外部からできるだけ守って、助けようとは思ってます」

    「守る、てのはどういったものから守る?」

    「ライブ会場によっては対応が雑だったりすることもあるんですよね。そういうことはメンバーに感じさせないように、僕が矢面に立って対応して、気持ちよくライブをしてもらう。あとはネットの炎上とか……いろんなものからですね!」

     

    「正直、この一年で辞めたいなと思ったことはあります?」

    「一回もないですね。ZOCのメンバーをサポートしたいって気持ちがいちばんだし、今の仕事が性に合ってるんだと思います。クセのある子たちだから毎日が爆弾処理みたいですけどね!」

    「どうやったらその強メンタルになれるんだ……」

    「僕はもともとバンドマンで、バイトしながら大森のバンドでベース弾いたりしてたんですが……その時代って365日休み無しじゃないですか。バイトが休みの日に練習したり。だから今の生活がキツイとかないですね」

    「へ~! 大森靖子さんのバンドでベースやってたんですね! それがなぜマネージャーに?」

    「過去に何度かマネージャーの真似事や裏方みたいなことはやってたんですよ。それで自分が前職を辞めざるを得なくなり失意に沈んでいたタイミングで、ちょうどZOCのスタッフもいなくなっていたようで、ZOCメジャーデビュー当日に大森さんからLINEが来たんです。『マネージャーやんない?』って」

    「メジャーデビューするアイドルグループのマネージャー業務ですよね!? なぜ、ほぼ未経験者の大内さんに!?」

    「まあフェスやイベントの知識はあるし、アイドルの空気もバンドマンのこともわかる。そして何より大森さんのことをわかってるっていう」

    「なるほど! 大森靖子さんのことを理解している、という強みがあったわけですね」

    「バンドマン時代から、自分はクリエイターではなく単なるプレイヤーだと自覚していたので、才能ある人を支える仕事に魅力を感じました」

    「ひょっとしてそれがマネージャーの極意……? よく考えたらベースという楽器もバンドの中では“支える”役割というか。ボーカリストやギタリストみたいに自分を主張するイメージじゃないですね」

    「言われてみれば確かに! 実際マネージャーには、元ベーシストが多いかもしれない」

    「じゃあ、アイドルのマネージャーになりたい人は、まずベースを弾けるようになれということで。今日はありがとうございました!」

     

     

    まとめ

    ステージに立つことはなくても、メンバーを助け、そして守る覚悟が必要な、マネージャーというお仕事。時に振り回されることもあるけど、才能あるメンバーを支えるってやりがいありそうですね!

     

    ―とここまで書いた段階で突如こんな発表が…………

     

    突然過ぎ~~!! 大内さん、今ごろ走り回ってるんだろうな~

     

     

    ZOCバックステージ写真:Masayo、大内ライダー

     

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    大坪ケムタ
    大坪ケムタ

    1972年佐賀県生まれ。アイドルとかプロレスとかエロとかの雑文屋さんだったはずが、気づけば年間100本トークイベントやってたので、最近は「ライター/イベンター」が肩書です。帽子おじさん。

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