全国のローカルを旅する編集者の藤本智士です。前回は「高知」のおすすめスポットを紹介しましたが、今回取り上げるのは「仙台」です。

仙台という街は、一言でいうと、すごく“都会”。大阪や福岡、札幌のように、それぞれの地方を背負う大都市の一つであり、東北全体のハブのような存在です。

地元のお店というよりも、全国規模のチェーンの「東北初出店」という支店が多い、いわゆる「支店経済」の都市ということもあり、僕は仙台に対して「小さな東京」的なイメージを初めの頃は抱いていました。

しかし、仙台の友人が増えていく中で、そんな僕の仙台観も徐々に変わっていきました

特に10年来の友人であるイラストレーターの佐藤ジュンコちゃんは、僕にとっての仙台の入口を開いてくれた存在です。彼女が教えてくれたのは、いわばテンプレ化された仙台から一歩踏み込んだ、街のオリジナリティを感じさせてくれるようなお店ばかり。

その魅力に気づかされてから、僕はこの街がすごく好きになりました。今となっては、仙台に戻ってきた時には「ただいま」と言いたくなるほど、ホーム感のある土地です。

だからこそ、仙台を表層的なイメージだけで楽しもうとするのはもったいない。今回は僕が主観でおすすめするスポットを通じて、奥の深い仙台を感じてもらえればと思います。

(しゃべった人:藤本智士/まとめた人:しんたく)

<目次>
⚫︎まずは定番! シェイクから餅まで、ずんだを堪能
⚫︎笹かま勢力図に割り込む新勢力? そして外せない牛タン
⚫︎おいしいワインにおいしい料理を仙台で
⚫︎仙台の〇〇なアジフライの系譜
⚫︎まだまだあるぞ! 仙台のイケてる酒場
⚫︎街中華から本格派まで。知る人ぞ知る、仙台中華
⚫︎喫茶店に、バーに、パン屋さん。仙台カレーはバリエーション豊か
⚫︎オシャレな朝そばから立ち食いそばまで
⚫︎日本最古と日本一のハンバーガー
⚫︎おわりに:僕にとっての仙台の“入口”

☆記事に出てくるスポットは、最後にまとめてマップで紹介しています!

 

まずは定番! シェイクから餅まで、ずんだを堪能

まず初めに紹介させてもらうのは「ずんだシェイク」。ど定番の仙台名物なんですが、僕自身、本当によく飲んでいるんですよね。特に空港や駅で飲む機会がやたらと多いせいか「仙台旅のはじまり」みたいな存在です。

数ある「ずんだシェイク」の中でも、僕が一番好きなのが「ずんだ茶寮」というお店のもの。「萩の月」で知られる有名店「菓匠三全」が手がけているお店で、定番ながら間違いないおいしさです。

https://zundasaryo.com/zundashake/

普段はシェイクってあまり飲まないのですが、「ずんだシェイク」は量が多すぎず、脳が糖分を欲しているときにちょうどいいんですよね。仙台に到着して打ち合わせ先へ向かう前や、取材が終わった帰り際などにテイクアウトして、さっと飲むケースが多いです。

ただ、カフェで座って作業するときにも、あの味が恋しくなる時があります。そんな時によく足を運ぶのが、仙台駅構内にある「MOTHER PORT COFFEE」

ここにはパンナコッタのずんだ版みたいなデザート「ずんだコッタ」があるのですが、これがとにかくおいしい。

僕の中で「ずんだコッタ」は、“ずんだシェイク欲”を存分に満たしてくれるスイーツ。シェイクはゆっくり飲んでると溶けちゃいますが、「ずんだコッタ」は時間を気にせずにゆっくり味わえる。チビチビとこの味を楽しんでいると、幸せな気持ちになるんです。

ちなみにこの「MOTHER PORT COFFEE」は、気仙沼の「アンカーコーヒー」というお店の系列店。「アンカーコーヒー」は震災前から好きで、本店にもよく通っていました。仙台駅という好立地にも店舗ができて、さらに通う頻度が増えています。

 

「ずんだシェイク」「ずんだコッタ」ときたら、やっぱり触れずにはいられないのが、「ずんだ餅」。僕がおすすめしたいのは、仙台駅から歩いて行ける距離にある「村上屋餅店」です。

のれんに「づんだ」と書いてありますが、餅屋系は「づんだ」、菓子屋さん系は「ずんだ」と呼ぶことが多いそう

ずんだ餅って仙台ではいろんなお店が出しているし、それぞれおいしいと思うんですが、お餅好きの僕としては、ずんだ餅にも“餅のおいしさ”を求めてしまいます。

となると、やっぱり「餅は餅屋」。餅屋さんのつくるずんだ餅は間違いありません。そんなずんだ餅を食べてみたい人は、ぜひ「村上屋餅店」に行ってみて欲しいなと思います。

 

笹かま勢力図に割り込む新勢力? そして外せない牛タン

ずんだに続いて、お次は「笹かまぼこ」について。仙台名物として有名な笹かまぼこですが、実はその多くが石巻や気仙沼など、他の都市で作られています。

僕の一番好きな笹かまぼこも、宮城の塩竈(しおがま)市にある「増友商店」のもの。このお店は塩竈出身の写真家・平間至さんに教えてもらったのですが、僕はこのお店の味が本当に好きなんですよね。

ただ、この「増友商店」の笹かまぼこは塩竈でしか買うことができず、仙台からは少し距離があります。

ということで、仙台で手に入るおいしいかまぼこをご紹介。僕がよく買っているのが「白謙」の笹かまぼこです。

 
 
 
 
 
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白謙の本店は石巻ですが、仙台駅や空港など様々な場所で手に入ります

石巻は東北の震災の際にボランティアで訪れていたこともあり、すごく思い入れがある街。味が好みなのはもちろん、石巻のお店としても「白謙」を応援しています。これがまたおいしいので、ぜひ試してみてください。

 
 
 
 
 
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「白謙揚げ」という揚げたタイプも、これまたおいしい!

さて、僕の笹かまぼこ勢力図は、この「増友商店」と「白謙」の二強だったのですが、最近新たな存在が登場してきました。それが「鐘崎」の笹かまぼこ。

ここの「大漁旗」という笹かまぼこは仙台でとても有名な商品なんですが、逆にその知名度の高さゆえに、勝手に避けてしまっていたんです。

https://www.kanezaki.co.jp/

ところがつい最近、鐘崎が運営する「笹かま館」という施設を訪れたことで、その評価は一変。ここでは笹かまぼこを自分で焼いて食べる体験ができるのですが、その味に結構な衝撃を受けたんです。

「笹かま館」内のカフェエリア「杜のこんだてCafé」で食べることができる、焼きたての笹かまぼこ「ぷっくら焼き」。体験込みで1本300円という破格の値段

焼きたての笹かまぼこって、とにかく香りがすごくて、本当に魚を食べてるような感じなんですよ。仙台の人はよく笹かまぼこを食べる時に焼き直しをするそうなのですが、それにも納得。

改めて調べてみると、この鐘崎は素材にめちゃくちゃこだわっていて、「伊達のうま塩」という石巻の塩と魚のすり身をベースに、余計な添加物を入れないように作っているそう。

そして、「仙臺BLACK」という黒い笹かまや、季節限定でタケノコやセリの入った笹かま、さらには「魚(ぎょ)ーなっつ」という魚のすり身を使ったドーナツなど、ユニークな商品も作っていて、どれもおいしい。

黒い笹かまぼこ「仙臺BLACK」に使用されている素材はイカスミの他に、宮城県産の低・未利用魚と規格外の石巻産わかめなど、環境に配慮したものを使用

ということで、最近はこの「鐘崎」の笹かまぼこをかなり推しています。そして、ぜひ「笹かま館」で焼きたての笹かまぼこを体験して欲しいなと思います。

 

ここまで、ずんだ、笹かまと仙台名物が続いたので、牛タンに関しても一軒だけ紹介させてください。

「利久」などの有名店が全国展開したことで、仙台の牛タンを口にできる機会も増えました。仙台にある牛タンのお店は、基本的にどこで食べてもおいしいです。なので、なかなか選ぶのが難しかったりするのですが、あえて僕がおすすめしたいのが「牛たん料理 雅」というお店

もちろん「たん焼き」もおいしいのですが、ここでぜひ食べてほしいのが「たんタタキ」。

これが僕はめっちゃ好きなんですよ。本当においしい! だからいつも、雅では各自たん焼き定食を頼みつつ、タタキをみんなでシェアするのが定番になっています。

ちなみに、ランチの「牛たんセット定食」は1400円という価格で、「たん焼き」も「煮込み」も両方が味わえるうれしい仕様になっているので、そちらもおすすめです。

 

おいしいワインにおいしい料理を仙台で

おいしいお酒がたくさんある宮城。ここからはお酒にまつわるお店を紹介していきます。まずは「echoes」というお店。

この「echoes」はカフェとしても素晴らしいのですが、ぜひ昼飲みでも行ってほしいんですよ。というのも、おいしいワインが揃っているし、料理がとにかくおいしすぎて、毎回「マジ天才」と洩らしちゃうほど。

営業時間は18時まで。夜遅くまで開いているわけではないので、明るい時間から一杯、みたいな時にぜひ行ってみてください。最高のお店です。

そしてワインといえば、宮城には「Fattoria AL FIORE(ファットリア・アル・フィオーレ)」というワイナリーがあります。2022年発行の『BRUTUS』ワイン特集号で、佐々木希さんおすすめのナチュラルワインとして表紙を飾ったので、ご存知の方も多いかもしれません。

そんなアルフィオーレのワインをいつでも飲むことができる仙台のお店が「こうめ」です。

アルフィオーレをはじめとしたナチュラルワインはもちろんのこと、仙台産のセリが使われたクラフトジン「欅」など、お酒のラインナップはもう間違いない。

千葉の蒸留酒「MITOSAYA」や郡上八幡のジン「アルケミエ」など、日本各地の名酒がズラリ

この「こうめ」は「仙台といえばこの店」というほど通い詰めているお店で、当然、料理も絶品。名物の「せり鍋」コースをはじめとして、語るべきことが山ほどある大好きなお店なのですが、今回はあえてシンプルな紹介にさせてください。

「こうめ」名物の「せり鍋」は冬が旬。詳しくはジモコロの記事を

 

続いて紹介したいのが、「こうめ」とも仲良しのワインバー「大學」です。

一見すると大学関係なのかな?と思ってしまう名前ですが、実は店主の苗字が大學さんだから。珍しい苗字ですよね。

この「大學」はご夫婦で営まれていて、「こうめ」と同様にご主人がワインのセレクトを、奥さまが料理を担当するという分業スタイル。それぞれが得意なことをきちんと発揮していて、ワインも間違いないし、一品一品がとにかくおいしい。おすすめのお店です。

店内はそんなに広くないのですが、定期的に音楽ライブも行われているそう。友人のミュージシャン・早瀬直久くんや、奇妙礼太郎さんのサインも壁にありました

店内には「キン消し」に囲まれた「おたかぽっぽ」という謎すぎるラインナップ

 

そして、「大學」のすぐ近くにある「音楽酒場 Waltz」も、とてもいいお店です。

ここもナチュラルワインとおいしい料理が楽しめるお店なのですが、おしゃれな雰囲気で、軽くお酒を嗜みつつ食事をするには最高の場所。僕は飲みに行くお店を選ぶ際、料理のおいしさはマストなのですが、その点でも「音楽酒場 Waltz」は間違いなくおすすめです。

この「かにみそグラタン」めちゃくちゃおいしかった

 

仙台の〇〇なアジフライの系譜

ナチュラルワインのお店が続いたところで、次におすすめしたいのが、昔から通っている「のんびり酒場 ニコル」

ここで絶対に食べて欲しい名物がアジフライなんです。

というのも、ニコルのアジフライは見ての通り、中が少しレアになっているんです。これがもう最高。ニコルは何を食べてもおいしいのですが、なかでもこのアジフライは、初めて食べた時に衝撃を受けました。

さて、仙台にはレアなアジフライが食べられるお店が他にもあります。それが、この「氏ノ木」というお店。

「ニコル」のアジフライは小さく切り分けられているのに対して、「氏ノ木」は、一つひとつが大ぶりでダイナミック。これがまたおいしいんですよね。

「氏ノ木」も東北のおいしい地酒がしっかり飲める、いいお店です。仙台にはこういうイケてる居酒屋が多いんですよね。東京ほどエリアが分散していないので、いいお店がぎゅっと集まっているのも仙台の街の面白さかもしれません。

 

さて、アジフライ繋がりで、少し違う角度からも。日本各地にはそれぞれローカルスーパーがありますよね。僕は全国をまわる機会が多いので、各地のスーパーへ行くのですが、その中でも宮城県内に展開する「ウジエスーパー」は最高なんです。

このお店の何がすごいのかというと、とにかくお惣菜への圧倒的なこだわり。

僕が訪れた際も、試食のアジフライがこの大盤振る舞い。これはレアではなく、普通のアジフライなのですが、めちゃくちゃうまい。

あとは、この麻婆焼きそば

仙台では定番のB級グルメなのですが、ポスターを見るとなんと累計50万パックも売り上げているのだそう。

そのほかにもお惣菜やスイーツがたくさんあるのですが、どれもあまりにもクオリティが高いので、気になって工場を見学させてもらったことがあるほど。そこで驚いたのが、この「ウジエスーパー」は、なんと麺から自社で製麺してるんです。お惣菜への熱量が本当にすごい。

店内にある飲食エリアでは、ウジエオリジナルの豚骨醤油ラーメンなども食べることができる

仙台駅からは少し離れた場所にあるので、車で移動する機会などがあったらぜひ訪れてみてください。

自社のロゴが入った「葛(KUZU)バー」もかわいらしいデザイン

 

まだまだあるぞ! 仙台のイケてる酒場

さて、あまりの惣菜熱に少し話が逸れましたが、引き続きお酒にまつわるお店の紹介に戻ります。

気仙沼のブルワリー「BLACK TIDE BREWING」の支店として、最近仙台にオープンしたのが「BLACK TIDE BREWING SENDAI」

ここでは自社で製造している多彩なビールを飲み比べられるのが、最大の魅力。

飲み比べって楽しいですよね

料理はビールに合う種類のアテが多いのですが、串物がきちんとおいしいのも、うれしいポイント。

ちなみに気仙沼には「ホヤぼーや」というかわいらしいご当地キャラクターがいるのですが、こちらのお店では「ホヤぼーや」をあしらったかわいらしいオリジナルTシャツやパーカーなども販売しているので、ぜひ注目してみてください。

「ホヤぼーや」のキャラクターがあしらわれた缶ビールも

 

続いて、僕が普段使いしている居酒屋としてもう一軒紹介したいのが「にこらす」

ここでは店主が高知で学んだという「藁焼き」が食べられます。高知で藁焼きというとカツオのイメージが強いと思いますが、「にこらす」の塩で食べる「白身魚の藁焼き」も絶品

そのほかにも、季節によっては宮城県の南にある亘理(わたり)の名物・はらこ飯も食べられます。店主が秋田出身ということもあって、秋田の酒がいろいろと楽しめるのもいいんですよね。

こちらが「はらこ飯」

冒頭でも触れましたが、仙台という街はある種、東北6県の首都のようなニュアンスがあります。この店は仙台にいながらにして、秋田料理も楽しめるので、そういう意味で、すごく仙台らしいお店かも。

チェイサーのグラスには、僕が関わった「天の戸 のんびりオリジナル純米酒カップ」が使われていました。秋田県発行のフリーペーパー『のんびり』と秋田・横手市の浅舞酒造さんがコラボして、イラストレーターの福田利之さんがデザインしたもの。まさにこんな風に使って欲しいなと思っていたので、うれしかったなあ

 

居酒屋紹介の最後に、いま仙台ですごく流行っているお店をご紹介します。

仙台には「ちょーちょむすび」「居酒屋ちょーちょ」「ちょうつがひ」の3店舗を展開する「ちょーちょ系」と呼ばれる系列居酒屋があります。仙台の友人たちからもおすすめされる機会が多く、その人気の度合いがわかります。

僕が訪れたのは「ちょーちょむすび」でした

刺し盛りや、突き出しとして出てきた「香り米の焼売」など、まず料理のおいしさに心を掴まれたのですが、何よりこのお店の魅力はホスピタリティがとにかく高いこと

世の中に元気のいい居酒屋はたくさんありますが、とにかく大きな声を出しておけばいいや、という感じのお店も多い中で、このお店は「訪れた人が気持ちよく過ごせるように」という気遣いが滲みでた活気があるんです。

遅い時間に来店した際、「ありもので盛らせていただきました」と出してくださった刺し盛り。この充実具合に感動!

帰りがけにはお土産として、バブをいただきました。なんというホスピタリティ

 

中華にカレー、“朝そば”に日本最古のハンバーガー⁉︎ まだまだあります仙台グルメ