お世話になっております! ドライバーで漫画家の「ぞうむし」と申します。

先日、人生で何度目か忘れましたが免許更新に行ってきました。免許の更新って毎回、

・これってなんでこういうシステムになってるんだろう?

・もし僕がこういう立場だったとしたら手続きはどう変わるんだ?

・免許の写真ってすごく「写りが悪い」気がするんだけど特殊なカメラ使ってる?

といった、素朴な疑問が湧いてきませんか?

 

というわけで今回は直接、福岡県警に質問してみました!

 

※この取材は2020年冬にメールや電話などで行いました

 

免許の更新、どれくらいまでなら遅れていい?

「よろしくお願いします! 今日は免許更新について色々教えてください。さっそくですが、更新するのを忘れていた!という場合、何ヶ月まで遅れて大丈夫ですか??」

「えっと、まず忘れないようにして頂けると嬉しいです……」

「も、もちろんです! でも人間、たまに忘れてしまうこともありますよね? そういう時ってどれくらいまで許されるのかなと」

「免許証に記載されていますが、誕生日の一ヶ月後までが免許の有効期限なので、必ずそれまでに更新してください。ただし“誕生日の一ヶ月後”の日が土日祝日、正月などの場合は、それらの日の翌日までが有効期限となります」

「もし、うっかりその有効期限が過ぎてしまったら?」

「その場合は残念ながら免許を失効することになります。つまり運転できなくなってしまうんですね」

「えー! 有効期限を一日でも過ぎたら、運転できなくなるんですか?また新たに教習所とかに通って免許を取得しなきゃいけないの!?」

「ただし救済措置として、6ヶ月以内に『失効手続き』というのをすることができます。今まで使っていた免許は失効され、新たに免許を取得するみたいなイメージですね(学科試験及び技能試験は免除され、適性試験のみで免許が取得できる)」

「ちなみに、さらにその6ヶ月という期間を忘れて過ぎてしまった場合は……」

「1年以内であれば、失効手続きをすることで、適性試験のみで免許を取得できます。ただしそれは免許ではないのでご注意ください」

※自動二輪などは仮免許がないので新規に取り直しです

「絶対に六ヶ月以内に『失効手続き』しよう!!」

「いや、まずは普通に期限内に免許更新してください」

「病気で入院とか、やむを得ない事情がある場合はどうなるでしょうか??」

「もちろん、入院等やむを得ない事情がある場合は別です。ただ、『免許更新のどの期間にどれくらい入院していたか』でケースが変わってきます。ちょっと複雑なので、詳しくは運転免許試験場等にお問い合わせください」

※疎明資料(診断書等)が必要になります

 


“どこからどこまで”入院していたか、で細かく対処が変わってくるみたい。ややこしい!!

福岡県警察 運転免許に関すること (pref.fukuoka.jp)

 

「他にも、現在海外に住んでいるけどコロナの影響で帰国できないという場合、延長手続きは代理人か郵送でも受け付けています。手続きすれば有効期限が3か月延長されます。その3ヶ月の間になんとか更新して頂けたら……!」

「色んなケースがあるので、自分の場合はどうしたらいいか、というのがわからない場合、すぐに運転免許試験場等とかに聞いたほうが良さそう!」

 

写真について

免許の写真って、誰に聞いても『写真写りが悪い』というイメージですよね。何か特殊な撮影方法だったりします?『ムスッとした顔に見えるフィルターを使ってる』とか?」

「いえ、至って普通の撮影方法です。一般企業が製作している免許証作成機を使用して撮影しています。プライベートの写真と比べて違和感があるのは、“真顔で”“背景がない”という要因があるのかもしれませんね」

「あぁ、プライベートの写真と違って、免許の写真は“カタログみたいに機械的な写真”だから違和感があるのかな。自分でスピード写真を撮る、とかは可能ですか?」
要件を満たせば、スピード写真も免許証の写真として使用できます。ただ条件にピッタリ合わせるのはなかなか難しいので、試験場で撮影したほうが無駄がないと思いますよ」

 

 

「色々条件があるのか……茶髪やカラコンはOKなんですか?」

茶髪はOKですが、カラコンに関してはNGですね。サークルレンズ(瞳を大きく見せるコンタクトレンズ)もNGです。免許の写真は本人を識別するためのものですから、重要な識別情報がワンタッチで変更できてしまうようなものは、よくないです」

「じゃあ、モンキー・D・ルフィの手配写真みたいに、満面の笑顔とかもだめ?」

「残念ながら笑い顔も不適正な写真となります。もちろん怒った顔とかひょっとこみたいな顔とか、とにかく真顔じゃない表情はNGです」

「では服の規定はどうしょうか? 極論ですが顔さえ出ていれば、水着や着ぐるみみたいな服でもOKなのでは?」

「まず水着ですが、免許更新という公の場に水着で来ること自体が軽犯罪法に触れる可能性があります。仮にそれを度外視しても、『洋服が見えず裸に見えてしまうもの』はNGというルールがあります」

「免許の写真は上三分身(胸の中央より上くらい)だから、その範囲内に衣服が写ってないとダメなんですね。着ぐるみはどうですか? 大きいぬいぐるみみたいな服の、顔中央だけ穴が開いてるみたいなやつ」

「被り物はNGになっちゃいますね。頭髪という識別情報が隠れちゃうので」

「でも頭をケガしちゃって、包帯グルグル巻きみたいな状態もあり得ますよね?」

「あり得ますね。宗教上及び医療上の理由が認められる場合には、帽子等の使用が認められることもあります。ただしそのケースでも顔の形がわかるものが望ましいなど決まりがあるので、ご相談ください」

「気軽に考えてたけど、免許の写真ってけっこう条件が厳しいんですね」

「免許は公道で車を運転してもよい、という許可を与えるものであり、大きな責任を伴います。『その責任を負うのは私です』と証明する写真ですから、ファッションスナップや記念撮影とは別物だということを念頭に置いて頂ければ!」

「大きな責任を伴う……確かにその通りです。人の命を奪うことすらできる乗り物ですから。何より優先すべきは自分を良く見せることではなく、識別しやすさってことか」

 

 

講習時の疑問

芸能人が出演してる安全講習ビデオだと真剣に見ますよね

 

「免許更新の時って、(優良以外)講習でビデオを見るじゃないですか。あれって全国すべて同じビデオなんですか? 雪の降る地域だと運転の仕方に違いがあるだろうから、“雪国用”とかあるのかなと」

「全国の状況は把握していません。ひょっとしたら、県によっては独自に作ってるところもあるのかもしれませんね。福岡県では、警察庁が更新時講習用として作成したものを使用しています」

「ちなみに、講習のビデオに有名な俳優が起用されたり、全編アニメになったりする可能性ってありますか?」

「可能性としてはゼロではない……と思いますが、それは私には解答しかねます。実現したら、みなさん熱心に見てくださるかもしれませんね」

「講習のビデオは、事故が起きるメカニズムとか、気が引き締まる内容で、とてもためになりますよね。家で講習の内容を復習したいのですがビデオを録画・録音してもいいんですか?」

「心がけはたいへんGoodですが、録画・録音はNGです」

「そっか~。講習の内容って誰が何回見てもいいというか、むしろ見るべき内容だと思うんですが、家で見る方法はありませんか? 例えば公式の You Tubeとか」

「残念ながら、少なくとも福岡県ではYou Tube 等の配信はしていません。ただ、その気持は大切にしてくださいね!」

「そんなに褒めてもらった直後に言いにくいんですが、講習を受けている間に寝てしまった場合、講習やり直しになりますか?」

「え~っと、先程『運転には大きな責任が伴う』というお話をしたと思いますが……」

「わかってます! しかし実際、前日に遅くまで仕事してた日なんかは、薄暗い部屋でビデオを見ていると眠気が……という人もいるのではないでしょうか。夜勤で昼夜逆転生活の人だっているわけですし」

「もし寝ている方がいたら、直ぐに起こして講習を受けていただきます。起こしても起きないときは……受け直しということになりますね。体調や生理現象は仕方ないのですが、サボりはダメですよ!」

「ちなみに警察官も一般人に混じって試験場で更新するんですか?」

「もちろんです! 県民の方と同様に試験場等で更新を行います。わざわざ『私は警察官でーす!』とは言いませんけど」

「寝たことはありますか?」

「ありません!!!」

 

海外の免許ってどうするの?

「国際結婚したとして、パートナーがアルゼンチン人だった場合、アルゼンチンの免許って使えるんですか?

「ぞうむしさんの奥さんはアルゼンチンの方なんですか?」

「いえ、明太子があれば白米三杯はイケるゴリゴリの福岡県民です。でも以前更新する時に試験場に外国の方がいたので、どうなのかなーと思って。今の時代、そういう人も多いんじゃないでしょうか」

「日本で運転するには、アルゼンチンの免許から日本の免許への切り替え手続きを行い、知識の確認、実技の確認を行う必要があります。日本語ができなくても切り替えの確認は11ヶ国語に対応しているのでそこまでハードルは高くないかと。それ以外で日本国内を運転するには、以下のどれかに該当する必要があります。

① 日本の免許を取得する

② ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証を所持する

もうひとつのケースとして、

③スイス・ドイツ・フランス・ベルギー・モナコ・エストニア・台湾に関しては、その国の免許でも(政令で定める者が作成した免許証の日本語翻訳文を添付していることなどの条件を満たせば)日本国内で運転可能ですね」

詳しくは県警HP「外国免許からの切り替え手続き」

福岡県警察 外国免許からの切り替え手続き (pref.fukuoka.jp)

をご参照ください。

 

「そのアルゼンチン人がF1レーサーばりのドライビングテクニックを持っていても切り替えなくてはいけないんですね?」

「はい、免許とテクニックは関係ありません。あとF1は公道を走るわけではないので、適切な例ではないと思われます」

※サーキットだけを走るゴーカートなどは、免許がない子供でも乗ることができる

「海外の方が『日本の免許を取得する』場合、試験の問題は英語とかフランス語とか、その国の言葉で書かれてるんですか?」

「福岡県は英語と中国語に対応してますが、全国ではどの県がどの言語に対応しているかはわかりませんね~」

「それぞれの都道府県で確認したほうが良さそうですね! 今日は色々な疑問に答えてくださってありがとうございました。今後も、『大きな責任』という言葉を忘れず、免許の有効期限内に更新に行きます!」

「はい! 安全運転を心がけて運転してくださいね!」

 

まとめ

というわけで、今回は運転免許の素朴な疑問を確かめるべく、福岡県警にお話を聞きました。

個人的には、人相が悪くなりがちな免許証の写真に対してずっと疑心暗鬼だったので「特殊な撮影方法はしていない」というのが聞けてよかったです。

それではみなさまご安全に!引き続きよろしくお願いします!

 

 

協力 福岡県警察 運転免許試験課・広報課

絵 文 ぞうむし

編集 ギャラクシー