口だけでドラムやサックスを奏でる! ヒューマンビートボックス・アジア王者の絶技

2020.11.17

口だけでドラムやサックスを奏でる! ヒューマンビートボックス・アジア王者の絶技

ヒューマンビートボックス……日本ではよく「ボイスパーカッション」とも呼ばれる技術。自らの喉だけで音楽を作り出す彼らの中で、超絶技工を持ちアジアチャンピオンとなったyutoさんにお話を聞きました。ドラムだけではなく、ベースやサックスの音まで! これ本当に人間の喉が鳴らしてるの!?

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    こんにちは、関西在住ライターの店長です。突然ですが皆さんは「ヒューマンビートボックス」をご存知でしょうか?

    日本では「ボイスパーカッション」「ボイパ」と表現されることも多いですが、簡単に言うと人間の口や鼻、喉などから出る音だけで音楽を作るパフォーマンスのことです。

     

    かくいう僕も大学でアカペラサークルに入っていたとき、ビートボックスが出来る先輩を遠目で見て『かっけぇ~~!!』と感嘆した記憶があります(サークルは一瞬で辞めました)。

    そんなヒューマンビートボックスのアジア王者が、兵庫県を中心に活動されているらしいです! というわけで、さっそく会いに行ってみました。

     

    ヒューマンビートボクサーのyutoさんです。

     

    yuto
    1997年、兵庫県生まれ。タッグ部門での2017年日本王者、2019年アジア王者をはじめとして、数々の大会で輝かしい実績を収める。現在は地元兵庫県で、ライブ活動やレッスン講師など幅広く活動されている。
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    ・どんな活動をしてるの?
    ・国際大会ってどんな雰囲気?
    ・ぶっちゃけモテるの?

     

    など、リアルなお話を沢山聞いてきました。もちろん、アジア王者の演奏風景もたっぷり見せてもらいましたよ!(動画あり)

     

    「ビートボックス=ヒップホップ」ではない?

    撮影したのはyutoさんがいつも練習に使っている、神戸のとある音楽スタジオ。

     

    取材前に喉を潤すyutoさん。ひょっとしてハチミツとかが入ってる特別なやつかな? と思って聞いてみたんですが、「おばあちゃんの家で入れてきた緑茶」だそうです

     

    「今日はよろしくお願いします。yutoさんは現在、神戸や大阪を中心に活動されてるんですよね」

    「はい。最近はコロナの影響でイベントの数は減っちゃってますが、大阪のジャズバーで楽器と一緒に演奏することが多いですね」
    ※本インタビューは2020年夏に、三密を避けた環境で実施しています。

    「え、ジャズが中心なんですか? てっきりラップとか、ヒップホップのイベントが多いと思ってました」

    「そうでもないですよ! むしろ、僕自身はヒップホップ以外を中心に活動しています。ジャズだけじゃなくて、他にもハウスやテクノ、ダブステップなどのエレクトロも表現できますよ」

    「エレクトロも!? というか素朴な疑問なんですが、ドラム以外の音も出せるんですか?」

    「もちろん! 例えばベースだとこんな感じかな」

     

     

    本当に人間?? 凄すぎる……喉にBluetoothのスピーカー仕込んでます?」

    「仕込んでません! 他にはトランペットとか……」

    「またまた~。出ないでしょそんなの」

     

     

    「こんな感じで」

    めちゃくちゃトランペットじゃん

     

     

    「サックスとか」

    めちゃくちゃサックスじゃん

    「こんな感じで、色んなサウンドを駆使して音楽を作れるのがビートボックスの特徴ですね」

    「人間の新しい可能性を感じますね……ドラムだけじゃないんだ」

    「ちなみにビートボックスのドラム音と、実際のドラムセットを比較するとこんな感じです」

     

     

    一緒じゃん。この楽器要らないんじゃないですか?」

    「世の中のドラマーに怒られちゃう(笑) ドラムは両手が使えるので、速い連打を駆使した表現などはドラムの方が合っていると思います。一長一短ですね」

    「色んな音を使って、マイクも使って、ちゃんと“演奏”するとどんな感じになっちゃうの……怖い」

    「軽くやってみましょうか?」

     

     

    ……!!

    「お粗末様です」

    「生音とは迫力が全然違う。これがマイク一本でできちゃうの!? ひょっとしてすごく高価なマイクなのでは?」

     

    「マイクはゼンハイザーを愛用してます、国内の主な大会でも大体これが使われてますね。僕が買ったときは2万円ぐらいだったと思います。今はもう少し安くなってるんじゃないかな」

    「意外とお求めやすい!」

     

    「 ストリートライブをする時は、アンプなどが必要な場合もありますけどね。それでも他の楽器よりは、かなり少ない元手で始められると思いますよ!」

    「最低限、ノドさえあれば演奏できますもんね。これで歌も同時に歌えたら、もう無敵ですね」

    あ、歌える人もいますよ

    「うそ!?」

    「歌を入れるのは、実は色んなやり方があるんです。ループステーションっていう音を繰り返し再生する機材があるんですが、それで歌を重ねたり。あとは本当に、同時に歌いながらビートを刻むこともあります」

    「ビートやメロディだけでなく、歌まで……! 本当にビートボックスって、1人で音楽を奏でられる技法なんですね!」

     

    ビートボックスはオタクの方が上手くなる?

    「正直な話、それだけビートボックスが上手かったらモテモテなんじゃないですか?」

    「いやいや、そんなに甘くないですよ(笑)始めた時のモチベーションとしては『人気者になりたい!』って気持ちが強かったですね」

    「たしかに女性だけじゃなくて、男性からも憧れられそうですね」

    「むしろ、男性だけに好かれますね……現実は甘くないです。少し前まではサイファーっていう定期的な集まりがあったんですけど、イケイケな人だけじゃなくて大人しそうな中高生も沢山いましたよ」

    「あっ、それはちょっと意外かも。いわゆるオタクっぽい人も結構いるんですね」

    「ビートボックスって最初の取っ掛かりが難しいんですが、オタク的な気質があった方がその壁をクリアしやすいと思います。『深みをもっと知りたい、もっと研究したい』という人の方がよく続くイメージがありますね」

    「最近はYouTubeもありますし、動画を見て研究とかもしやすそうですね」

    「色んな練習方法がありますが、憧れのビートボクサーを動画で見て真似する人が多いと思います。たとえばフランスにALEM(アレム)っていう世界チャンピオンがいるんですが、その動画を見てみたり」

    2015年の世界王者、ALEMのビートボックス動画。異次元すぎるスキル……。

     

    「わっ、さっき言ってた“歌いながらビートを刻む”をマジでやってる! 本当だったんだ!」

    「嘘だと思ってたの? 日本でビートボックスと言うと、HIKAKIN(ヒカキン)さんやDaichi(ダイチ)さんが有名ですね」

    「ヒカキンさんは今や、日本を代表するYouTuberですもんね。アジアチャンピオンから見たヒカキンさんのレベルってどんな感じなんですか?」

    「ヒカキンさんはムチャクチャうまいですよ! 僕もいつも感心させられてますから、ヒカキンさんの動画を参考に練習するのも良いと思います」

    「ちなみにyutoさんは、コンテンツを発信する側としてYouTubeを活用されたりしますか?」

    「実は僕も最近、演奏動画をアップし始めてます。オリジナル曲を作ったり、ピアノや機材も使って色々な音楽の要素を取り入れた表現を行っています」

    ▼yutoさんのYou Tubeチャンネル

    「ピアノも弾けるんですね! 本当にマルチだなぁ……全部1人で出来ちゃうと寂しくないですか?

    「むしろ何でもできる、マルチプレイヤーに憧れます。僕が大好きなアーティストにJacob Collier(ジェイコブ・コリアー)という方がいるんですが、彼もビートボックスも何でもできるマルチプレイヤーなんです。僕は、今後100年で彼を超えるアーティストは出ないと思ってます」

     

    In My Room

    「100年! そんなにすごい方なんですね」

    「ジャズを始めとした色んな音楽の影響を受けて、クラシカルな音と最近の音楽を融合させてて。クインシー・ジョーンズなどジャズ界の大御所からも高い評価を受けてるんです。今後確実にジェイコブ以前、以後で時代が分かれていくと思います」

    「つまり音楽界のダウンタウン的な存在、ってことですか?」

    「ダウンタウン……え~っと、多分そうです」

     

    アジアで一番上手い国は〇〇

    「ビートボックスにはライブのパフォーマンスの他に、バトルもあるんですよね。どんな形式でバトルするんですか?」

    「多いのは、1vs1や複数vs複数でスキルを見せつけあったり……他にも機材で音をループさせて即興で音楽を作るバトルもあります。今のところは、このバトルに主体を置いているビートボクサーが多いと思います

    「となると、大きなバトルの大会で活躍することがひとつのステータスになりそうですね」

    「そうですね、日本ではJapan Beatbox Championship(通称、JBC)という公式大会が代表だと思います。予選を勝ち抜いてJBCの本戦に出るのは、ビートボクサーの1つの大きな目標ですね」

    「野球でいう甲子園や、バンドマンだと日比谷音楽祭を目指すイメージですね。ちなみに、yutoさんのJBCの戦績はどうでしたっけ?」

    「2017年に、タッグ部門で1度優勝して日本一になりました」

    「既にみんなの目標を叶えちゃってる……!」

    「ありがたいことです(照)」

     

    「そこからさらにアジア王者にもなって、世界大会にも出場されたんですよね。yutoさんから見て、日本のレベルって世界的にはどのぐらいなんですか?

    平均値では比較的レベルが高いと思いますよ! 特に日本人は細かいことが得意だったり、練習に真面目に取り込む国民性もあるかなと」

    「何となくイメージが湧きます」

    「世界大会に出場して、日本の方が中堅層のレベルは圧倒的に高いと感じました。アジアは全体的に層が厚い! ただ、ズバ抜けて上手いプレイヤー爆発力があるプレイヤーの数ではヨーロッパやアメリカが一歩抜けている状況ですね」

    「世界の上位層の壁は厚いんですね……。ちなみにアジアの中ではどの国が強いんですか?

     

    韓国ですね! 個人的な意見ですが、韓国はアジアの中でもヨーロッパの文化を受け入れるのが早い国だと思います。ビートボックスでも最先端のスキルを吸収するのが、国民性として上手い印象です

    「たしかに韓国のTV番組でも、ヨーロッパやアメリカのようなテイストをよく見かけますね」

    「バトルでは最前線を走っているのがヨーロッパやアメリカ。その文化をいかに取り入れるかが、バトルでビートボックス先進国へ追いつく鍵だと思います。そういう意味では韓国は本当に凄い! 日本も負けてられないですね!」

     

    「今日、目の前で実際にyutoさんのビートボックスを聴いて思ったんですけど……『ドラムに似てる』とかじゃなくて『どっちも本物』って感じですよね」

    そうなんです! たしかにドラムのサウンドに近付けるという側面もあるんですが、仕事でビートボックスをしようと思うと『真似』じゃダメなんです」

    「自分だけの、オリジナルな音を追求するようなイメージでしょうか」

    「オリジナリティは大事ですね。個人的にはソロでパフォーマンスをする時には、ビートボックスに上手い・下手ってあまり無いと思ってます。それよりも、自分がやりたいことをどこまで表現できるか。どこまで聴いている人に伝えられるかが大事ですね」

    「テクニックを超えた先に待ってる世界、って感じですね」

    「極端なことを言うと、テクニックが無くたっていいんです。しっかりしてない雑な音でも、相手がカッコいい! と感じたらそれは『上手い』ということなので。シンガーでも、音の正確さで魅せる人もいれば魂に訴えかける人もいるのと同じですね」

    「それで言うと、やはりyutoさんは相手の心に響く表現をされたいんですね」

    「そうですね! 今はまだまだ模索中ですが、自分らしい表現を大切にして人を感動させられるビートボクサーになりたいと思います」

    「今後のご活躍も楽しみにしてます!」

     

    yutoさんのおすすめビートボックス動画

    では最後に、yutoさんがおすすめするビートボックスの動画をいくつかご紹介します。これを見て、さらにビートボックスのすごさを知ってください!

     

    ・Gene Shinozaki(アメリカ)

    「スキルだけでなく、様々な音楽的要素も組み合わせてパフォーマンスされるビートボクサーです! ビートボックス初心者の方でも聴きやすいと思います」

     

    ・CODFISH(カナダ)

    「重厚感のあるベースサウンドが魅力ですね。グルーヴ感も人間離れしてて、ただただカッコ良いです……!」

     

    ・SHOW-GO(日本)

    「繊細で洗練された日本人ビートボクサーです。個人的にはビートボックス界一の天才だと思っています」

     

    ・yuto(日本)

    「そして僕もYouTubeで、楽器や機材と組み合わせたビートボックス動画などを投稿しています! SNSと合わせてチェックしてくれると嬉しいです、応援よろしくお願いします!

    ▼yutobeatboxerのYou Tubeチャンネル

     


     

    以上です! 世界各国で盛り上がっているヒューマンビートボックス、その魅力が少しでも伝わったら幸いです。

    最後まで読んで頂きありがとうございました!

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    店長
    店長

    1990年生まれ、関西在住。大喜利が好き。大阪生まれだが、それを指摘されると「大阪の北の方だから」「大学は京都だったから」など、大阪に対する固定概念から必死に逃げようとする。

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