【花粉症って一生治らないの?】医師に気になることを全部聞いてきた

2020.03.24

【花粉症って一生治らないの?】医師に気になることを全部聞いてきた

スギやヒノキ、ブタクサなどのアレルギーが原因で引き起こされる頭痛やくしゃみ、鼻水などの諸症状……それが「花粉症」! つらい時期の対策や薬、治療について、アレルギーに詳しいクリニックに話を聞きました。

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    春…それは出会いの季節。

     

    春…それは別れの季節。

     

    春…そして……

     

    花粉の季節だ!!!

    (助けてくれ!!頼む!!!!!!)

     

     

    こんにちは、花粉症歴18年のマンスーンです。

     

    僕は中学3年生の頃から花粉症に悩まされており、毎年春になると鼻にティッシュを突っ込む生活をしています。

     

    長年花粉症と付き合ってラブラブではあるのですが、そもそも僕は花粉症の事をあまり知らないのでは?ということに気が付きました。

     

    花粉症ってそもそも何?一生治らないのか?結局のところどんな対策をするのが一番いいの?などなど疑問はたくさんあります。

     

    そんな素朴な疑問を解決しないまま、毎年ティッシュペーパーを大量に消費するばかり…。

     

    そこで今回は花粉症の素朴な疑問を解決するべく、専門家の先生にお話を伺おうと思います。

     

    お話を伺うのは目黒ケイホームクリニックの安藤先生です。

    先生って花粉症ですか?

    「まず最初にお聞きしたいのですが、先生って花粉症じゃないですよね?

    「え、どうしてですか?」

    「いや花粉症の患者さんを見る先生が花粉症な訳ないですし、きっと鼻水をズルズルと啜る花粉症の人を嘲笑っているのかと思って…」

    「とりあえず僕のアレルギー検査の結果をお見せしますね」

     

     

     

    「私はスギに対する反応がクラス6(最大値)ですね」

    疑って本当に申し訳ありませんでした!! ちなみに先生はいつから花粉症に悩まされているんですか?」

    「私の場合は小学校の時から目が痒かったりしてかなりひどかったです」

    「そんな昔から…。クラス6ともなるとやっぱり大変ですか?」

    「そうですね…。スギ花粉の方ってだいたい2月ぐらいから症状が出始めることが多いのですが、私は1月から既に症状が出ます

     

    ・スギ以外にも花粉症の原因になるものはたくさんあります。

    ヒノキ(3~4月)

    ハンノキ(3~4月)

    ブタクサ(8〜9月)

     

    ※主な飛散時期

     

    「まさか先生が一番の花粉症だとは…」

    花粉症って一体何なの?

    「そもそも花粉症って、なぜ日本でこんなにも私達の身近なものになったのでしょうか?

    「私達の体の中にはアレルギー反応を引き起こす好酸球(こうさんきゅう)という免疫細胞があって、それが花粉を敵だと思って攻撃しているから鼻水が出たり目が痒くなったりするんです

    「つまり好酸球が悪者か!一生恨む!!!!」

    「ただ好酸球は寄生虫のような体にとってよくないものをやっつけるためにも存在しているものなんです」

    「いざという時は悪者をやっつけてくれる…。まるで映画版ドラえもんのジャイアンみたいだ」

    「現代はクリーンな環境になってきているので寄生虫も少なくなり好酸球にとっての敵がいなくなってしまいました。だからスギやヒノキなどの花粉も攻撃する(炎症を起こす)ようになったのではないかというのが一つの考え方としてはあります」

    「敵がいないなら好酸球には平和な生活を送ってほしい…」

     

    「じゃあ花粉症は花粉を敵だと思う細胞がいるからなるということですね」

    「そうですね。目に花粉がくっついたら目を、鼻なら鼻を、そして喉なら喉という感じで、そこに炎症を起こす物質が集まってきちゃうからそれを攻撃して排除しようとしているんです」

    「先程、先生のアレルギー診断を見せていただきましたが、クラス6ともなると花粉を敵だと思う察知能力が強いということですよね」

    「はい。少しでも花粉があればそれを敵だと思ってしまうので、先程も話しましたがスギ花粉の少ない1月でも症状が出てしまいます」

    「よく花粉症になる人の例えとしてコップの水が溢れるというものがありますが、やっぱり花粉症は急になるものなんですか?

    「もちろん遺伝などでアレルギーになりやすい人もいますが、いつ発症するかはわからないと思いますし、飛散量が多ければ多いほど体が花粉のことを敵だと思い始める可能性は高くなると思います」

    「となると、海外から日本に来た方で花粉症になることもあるんでしょうか?」

    「ありますよ。うちのクリニックにもそういう患者さんが来ますし、そもそもイタリアなど海外にも普通に花粉症は存在します」

    「ちなみに先生はスギの木を全部切り倒したいですか? もしも先生がその気なら僕は喜んでお供します!!」

    スギをこの世から無くしたところで、恐らく次はヒノキ花粉を感じるようになるだけだと思います

     

     

    私はヒノキ花粉の数値も高いので…

    「先生っ!!!!!」

     

    すべてに花粉はあるし、花粉症に終わりはないんです…

    「ジーザス…」

    花粉症になったらもう一生治らないの?

    花粉症って一度なったら、もう一生治ることはないんですか?

    「治るの定義が難しいですが…例えばマンスーンさんは一度嫌いになった人のことを、すぐ好きになれますか?

    「えっ!?…ずっと嫌いかも………」

    「そう簡単には仲良くなれませんよね。好酸球が花粉を敵だと思ったら花粉を攻撃し続ける。つまりそういうことです」

    「つまり好酸球はインターネットでいうと粘着質なやつってことですか?

    「それはよくわかりませんが、嫌いならそいつに会わないようにする。つまり花粉に触れないようにするしかないですね」

    「でもスギ花粉っていう敵に会わないようにしても、好酸球が今度は別の花粉のことを敵だと思う可能性もぜんぜんあるんですよね?

    「もちろんそうです。敵がいなくなったら別の敵を探して攻撃すると思います

     

    「なんか花粉症ってインターネットですね…

    「?」

    花粉症対策って結局のところ何が一番いいの?

    「僕は花粉症になりたての時から母親に『ヨーグルトが花粉にいいらしいからヨーグルト毎日食べなさい』と言われてきたのですが、ずばり効果ってあるんですか?」

    「たしかにネットやテレビでそのような情報が出てきますね。ただハッキリ言って食べ物などで医学的・科学的に効果が証明されているものは基本的にありません

    「なんとなく分かってはいましたがハッキリ言われるとやっぱりつらいですね」

    「もしそんなものがあったら学会のガイドラインに乗ると思います」

    「ですよね…」

     

    「そもそも全ての薬の効能は、それを使用している集団Aと使用していない集団Bがいた場合に集団Aが集団Bよりも症状が現れづらかったということをきちんと医学的・科学的に検証して初めて証明されます。それも数千人単位での検証です。ただテレビだとそれを数十人程度でしか調べていないものが多いように感じます」

    「つまり…」

    私に言えることはヨーグルトは花粉症に効くかもしれないし、効かないかもしれないということです

    「効く可能性は残された!」

    「数百円のヨーグルトで効いたと思うのであればそれでいいと私は思います。ただ、それが花粉症に効くと謳って数万円で売られていたとしたら問題ですけどね

    「あと、僕は鼻詰まりが酷い時は両方の鼻の穴が詰まってまったく息ができなくなるんですが、そういう時はスクワットをすると鼻が通るんです!これは効果があるってことなんでしょうか?」

    私に言えることはスクワットは鼻詰まりに効くかもしれないし、効かないかもしれないということです

     

    「そもそも全ての薬の効能は、それを使用している集団Aと使用していない集団Bがいた場合に集団Aが集団Bよりも症状が…

    「先生すいませんでした!もう大丈夫です!安全な範囲で自分がいいと思うものを信じます!」

    「近年はインターネットの普及で様々な情報に触れることができるようになりましたよね。だからこそ正しい医療知識を広めるために最近はYouTubeチャンネルを作りました」

    「いい試みですね! そろそろ今日一番聞きたかったことを聞いてもいいですか?」

    「なんでしょう?」

     

    「正直な話、花粉症対策って何が一番いいんですか?

    「人間の体に絶対はないので一番と言われると難しいのですが、基本的にとにかく花粉に触れなくするということですね。なのでマスクやゴーグルなどは理に適っています」

    「それでも辛い時は?」

    「その場合はアレルギーの炎症を抑える薬を飲むことですかね」

    「たしかに僕は病院でディレグラを処方してもらっていて、それでかなり楽になっています」

     

    アレルギー性鼻炎に処方されるディレグラ

     

    「それでも辛い時は?」

    「すごい聞いてきますね。あとは私もやっている舌下免疫(ぜっかめんえき)療法というものもあります」

    「拙者親戚(せっしゃしんせき)療法? 」

    「親戚に忍者がいた時の挨拶ではないです。簡単に説明すると、アレルギーの原因であるアレルゲンを毎日体内に少しずつ投与することによって体をアレルゲンに慣らしてあげて症状を抑えるっていう治療法です」

     

    「こんな感じの薬を…」

     

    「舌の下に置いて溶かして体内に花粉を取り込みます」

    毎日意図的に花粉を取り込むということですか!?そんなの余計に症状が悪化しちゃうんじゃ…」

    スギ花粉が飛散していない時期から少しずつ取り込んで3年以上(推奨)かけて症状を抑えていきます

    「けっこうかかるんですね。でも、それほど花粉と仲良くなるのは難しいのか…」

    「先程、嫌いなやつ(花粉)がいるなら会わないようにするという話をしましたが、どうしても共存したいなら花粉と長い時間かけて毎日ちゃんと会うことによって段々警戒心を解いて仲良くなることはできるんです

    「嫌い過ぎるが故に毎日気になっちゃってたら段々と好きになってしまうって、まるで少女漫画みたいな展開だ」

    花粉が嫌ならどうやって出会わないかを考えるもし仲良くなりたいなら毎日ちゃんと会おうよというのが今の花粉症対策としての選択肢ですね。私の場合は1年半前くらいに舌下免疫療法を初めたのですが今年は症状が軽くなっている気がします」

    僕はとりあえず家から一歩も出ない事にします!さっそく明日会社に辞表を出してこよっと!

    「まぁ、家にいても多少は入ってきちゃいますけどね」

    「え〜〜〜〜〜」

     

     

    花粉症に終わりはないんです…

    「……」

     

     

     

     

    (おわり)

    おまけ:アレルギー検査を受けてみた

    採血中

     

    せっかくなので、自分が何のアレルギーかを調べてみることにしました。

     

    きっと僕も先生と同じくらいすごい結果が出るに違いありません。なぜならこの人生、花粉にすごい苦しめられてきたから……

     

     

     

     

    結果は……

     

    スギ(クラス3)でした。先生曰く普通のスギ花粉のレベルだそうです。

     

    よかった〜。

     

    自分が何のアレルギーなのか気になる人は検査を受けてみてはいかがでしょうか?

     


    取材協力:目黒ケイホームクリニック

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    マンスーン
    マンスーン

    ハイエナズクラブ」「オモコロ」などで記事を書いています。理系大学出身をまったく生かせていない低い技術力で役に立たない電子工作をしたり、B級映画のVHSテープを収集したりしています。

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