
はじめまして。岐阜の多治見に暮らして8年目になる編集者・ライターの笹田理恵です。

私は愛知県岩倉市出身で、東京暮らしを経て、ひょんなことから多治見に移住しました。
みなさん、「岐阜」というと「白川郷」や「高山」をイメージしていませんか?
岐阜県の南部にあり愛知県に隣接する多治見市は、盆地なので四方は山に囲まれていますが、高山ほどの雪は降らず、白川郷ほど山深くもない。名古屋駅からは電車で40分。住民の半分は名古屋に通勤していると言われる人口10万人のベッドタウンです。

多治見は2007年に最高気温40.7℃をたたき出し、日本一暑いまちとして名をとどろかせました。それ以降「多治見って暑いんでしょ?」という話題になりがちですが、多治見の代名詞と言えばやっぱり「やきもの」。全国で有数の陶磁器産地なんです。

多治見を含む岐阜県東濃地方は、国内の陶磁器生産量の50%のシェアを誇るほどの一大産地!
100円ショップや量販店の器、大手コーヒーショップのマグカップなどは美濃焼が多く、皆さんが使っている食器も私たちが暮らすまちで作られたものがもあるはず。

現在、私は多治見に暮らしながら、取材記事の執筆やデザインのディレクション、広報などの仕事をしている他、多治見のおみやげ、まちのインタビューを行う有機的なチーム「dig(ディグ)」という活動の運営も行っています。

まちの飲食店とコラボしたdigのおみやげ。カレーイタメジオやケーキシュガーなどの調味料やパンケーキミックスを多治見みやげとして提案
最初は、試しにちょっと住んでみようという軽い気持ちでしたが、2020年にフリーランスとして独立して多治見の商店街に事務所を構えてしまうほど、どっぷり根を張りつつあります。
でも、多治見は私のように移住して仕事を始めたり、店を構えたりする人が珍しくないんです。よそから来た人に寛容で、新しいことを始める人たちを応援する気質もあって、まちがどんどん面白さを増しているように感じています!

今回は、多治見に移住してまちを拓く人たち、昔から営みを続けてきたお店、愛すべきローカルスポットなどを取材しました。10選に絞るのが難しいほど紹介したい人、店がてんこ盛りですが、私の個人的な主観で「初めて多治見を訪れる人に向けたオススメスポット」をお伝えします。
目次
・多治見のまちのランドマーク! やきものの“いま”に触れる「新町ビル」
・毎日の食卓が楽しくなる器を 「PRODUCTS STORE」
・器とタイルのある暮らしを味わう宿「Kintsugi House Tajimi」
タイルのまちのローカルスーパー タイルがかわいいカフェと本屋
・モザイクタイル発祥の地のローカルスーパー「マルナカストアー」
多治見にカレーを食べに行こう! 絶対におすすめしたいカレー3店
・多治見のカルチャーを醸成したスパイスカレー店 「NEU!(ノイ)」
・土器作家が作る、スリランカカレーをベースとした「タナカリー」
生産量・日本一の産地で育む、新しいやきものカルチャー
多治見のまちのランドマーク! やきものの“いま”に触れる「新町ビル」
多治見を含む東濃地方で作られる陶磁器は「美濃焼」と呼ばれています。しかし、美濃焼の特徴は? と聞かれると言いあらわすのがとても難しい……。
なぜなら、この地域は個人作家から大量生産まで作り手の幅が広く、さまざまな技術が集結している産地なんです。何でも作れるからこそ「美濃焼は、特徴がないのが特徴」とも言われているほど!
やきものの歴史を遡ると、約1300年。長い歴史とともに文化が培われたまちに移住した人たちが、続々と新たに店を始めています。その代表的な存在が2019年にオープンした「新町ビル」です。

築55年の古ビルをリノベーションした新町ビルは、いまや多治見のランドマーク的存在。名古屋や東京などの遠方から新町ビルを目掛けて訪れる人が後を絶ちません。
1階はイベントスペース、2階はやきもののセレクトショップ「山の花」、4階は全国からセレクトしたやきものやインテリア雑貨、洋服などを取り扱う「地想」が入っていて、フロアごとに雰囲気が違います。ワクワクしながら、ちょっと急な階段を4階まで登り進めてくださいね。

「山の花」オーナーの花山和也さんは、名古屋市生まれ。陶芸家の先輩の仕事を手伝ったことがきっかけとなり多治見への移住を決めたのだとか。自身で「やきものに魅了されている」と語る花山さん。2階には、花山さんが偏愛する東濃地域の陶芸作家が作る器が並んでいます。

この地域は、バイトをしながら作陶をする若手作家もいれば、世界を飛び回る人気作家や人間国宝もいます。「陶芸作家」と言えど世代や作風はさまざま。山の花では、この地で“いま”作られているものの雰囲気が感じ取れるラインナップになっています。

花山さんとともに新町ビルを運営するのは、4階にある地想のオーナー・水野雅文さん。同じ東濃地方にある瑞浪市出身の水野さんは、名古屋で洋服やインテリアを扱うショップの店長でしたが、花山さんから古ビルについての相談を受けて、新町ビルのプロジェクトを機に地元へ戻ってきました。
現在は地想だけでなく、土をテーマとしたアートプロジェクト「土から生える」や東濃地方のクラフトイベント「CCC」の実行委員長も務め、みんなを引っ張るリーダー的存在!

新町ビルの1階スペースでは企画展やイベントも行われていて、人が集まる空間が広がっています。気に入った器の作り手がすぐ隣にいる、なんてこともざらにある。集って交わる。まちのハブとなっている新町ビル。多治見を知りたいなら、まずはここへ。
新町ビル
〒507-0831 岐阜県多治見市新町1-2-8
毎日の食卓が楽しくなる器を「PRODUCTS STORE」

続いてオススメしたいのは、JR多治見駅から徒歩3分。産地商社が運営する「PRODUCTS STORE」です。地域の窯元やメーカーなどの量産品と個人作家の手仕事の器が並ぶお店です。

店長の長山晶子さんは、2020年4月のコロナ禍の真っ只中に故郷の大阪から多治見へ移住。元々、器のバイヤーでしたが「もっと作り手の近くで働きたい」という思いから移住を決断したそうです。
長山さんのように、移住者にとっては「作り手が多い」というだけでポテンシャルを感じる地域。しかし、多治見で生まれ育った人は、家族や親戚、ご近所に陶磁器産業で働く人がいることが多く、やきものの仕事は身近すぎる存在。「器は買わない。もらうもの」という認識だったと聞きます。PRODUCTS STOREがオープンした当初も、一部の方からそんな反応もあったのだとか……!

多治見に工房を構えて「第三の陶芸のあり方」を模索しながら活動する3RD CERAMICSの器
作り手としっかり関係性を築き、いいものを届ける店の噂はあっという間に広がり、カフェを始める人や新居の食器一式を買いに来る家族なども訪れています。食器棚のサイズを測ってから器を選びに来る方も多いんだとか!
取り扱っている作り手の幅が広く、とにかく器の種類が豊富。手に取りやすい価格帯の器が多いのも特徴です。「何か器が欲しい」と思ったら立ち寄ってみてほしい場所。

インタビュー記事が載る冊子と、毎回工夫を凝らしているDM。器の絵柄がバッジになっています(これが無料配布だなんて……!)
器の産地商社として、作り手のインタビューをアーカイブする取り組みも続けています。毎回私がボリューム満点な座談会記事を書かせてもらっているので、ぜひご一読ください! 作り手の工房を訪れ、ざっくばらんな話を聞かせてもらうのが本当に楽しい。取材を通じてやきもの愛がどんどん膨らむばかり。
PRODUCTS STORE
〒507-0036 岐阜県多治見市田代町1-59
器とタイルのある暮らしを味わう宿「Kintsugi House Tajimi」
ここ数年、多治見には悩ましい状況がありました。それは「宿がない」問題。ビジネスホテルやゲストハウスは行楽シーズンには埋まってしまう。名古屋から近いから日帰りで訪れる観光客が多い。
多治見に宿泊して、もっと満喫してほしい! むしろ「この宿があるから多治見に行きたい」と足を運んでもらえる宿泊施設を……、と思っていたら、絶対にオススメしたい宿ができました!

その名も「Kintsugi House Tajimi」です。多治見駅から歩いて10分。元お寿司屋さんだった古い町屋をリノベーションした一棟貸しの宿泊施設です。「金継ぎ」の名の通り、修繕によって新しい美しさを生み出す精神で改装されています。

オーナーは、陶芸作家の深澤伊穏(いおん)さんです。1歳からオーストラリアで生活していた深澤さんは、多治見にあるやきものの学校・多治見市陶磁器意匠研究所に入るために日本へ。
卒業後はオーストラリアに戻って陶芸教室を始めるつもりでしたが、コロナ禍に突入したまま多治見での生活が続き、人とのつながりも生まれ、自然な流れでゲストハウスを始めることにしたそうです。


室内には地元作家のオブジェも。浴室やキッチンには多治見産のタイルが敷き詰められています。洗面所には深澤さんが作った洗面器も……!


リビングの窓からはDIYで設えたとは思えないほど整ったお庭が見渡せます。2階に和洋2室のベッドルームがあり、最大6人泊まってもゆったり過ごせる空間です。
近所には味がある居酒屋が多く、お酒を飲みに行くにも良い立地。キッチンに多治見の陶芸作家の器が用意されているので長めの滞在で食材を買って自炊するのもよさそう。2024年12月にオープンしたばかりの宿で、多治見を深くどっぷりと満喫してみては。
Kintsugi House Tajimi
〒507-0837 多治見市青木町2-22
タイルのまちのローカルスーパー タイルがかわいいカフェと本屋
モザイクタイル発祥の地のローカルスーパー「マルナカストアー」
多治見のまちは、やきものだけじゃない。実は全国一のタイル生産量も誇るんです!
モザイクタイル発祥の地・多治見市笠原町は多治見駅からクルマで15分ほどのエリアです。山に囲まれた笠原には、多くの人が訪れる一大観光スポットがあります。それは……

モザイクタイルミュージアム(通称:モザミュー)です!
一度見たら忘れられない外観。SNSで見たことある方も多いのでは? 建築家・藤森照信さんによって設計された山型の建築が話題となり、年間約8万人が訪れています。

横から見た外観。多治見は年に1、2回しか積雪しないのに、取材日は朝から雪景色。雪をまとった珍しいモザミューの姿
ミュージアムを訪れた際に、ぜひ立ち寄ってほしいのは目の前にあるスーパー「マルナカストアー」です。

笠原は、学校の門や公園のベンチ、ゴミ捨て場など、まちの至るところにタイルアートが点在しています。マルナカストアーのモザイクタイルが施された外観も必見です。

マルナカストアーの鮮魚と惣菜を切り盛りする(右)本田和人さんと(左)小倉豪人さん。三兄弟の次男と三男
私は旅先でローカルスーパーに立ち寄って、地域の調味料やお惣菜を手に取るのが習慣になっています。地元の人が買い物する店には、まちの生活感がにじみ出ていて面白い。
多治見だったらと考えた時にすぐに思い浮かんだのがマルナカさん。創業50年、祖父から代々受け継いでいる家族経営のスーパーマーケットです。


マルナカさん一番のオススメは、何といってもおにぎり! 注文してからお母さんたちが握ってくれるほかほかおにぎりは、口に運ぶとほろっとほどける握り具合。お米は主に岐阜県産の「ハツシモ」をガス釜で炊いています。8種類の具材から選んだら、調理場へ直接オーダーしましょう。

お惣菜の調理は、和人さん、豪人さんのお母さんが担当しています。私の一推しは、「うずらちくわウインナーはさみ天ぷら」! 直球の長いネーミングがいいですよね。笑
一番人気は鶏もも肉を使った「かさチキ」(笠原チキンの略)。祖父母のレシピから作られており、和人さん、豪人さんにとっては子どもの頃に家で食べていた味がそのまま再現されているのだとか。どの惣菜を食べても家庭の味がするのも納得です。

名古屋中央卸市場で仕入れる魚も新鮮。信頼の目利きで多治見の飲食店さんに卸している
マルナカストアー
〒507-0901 岐阜県多治見市笠原町神戸区2114-1
時代を超えた文化が交錯するまちの玄関口「ヒラクビル」
多治見駅の近くにもタイルに触れられるスポットがあります。「ながせ商店街」にある「ヒラクビル」です。


時計店・宝飾店を改装したビルには、書店やカフェ、まちづくり会社が入居しています。建物の随所に時計店や宝飾店の痕跡が随所に残っていて、レトロな空間が好きな人にはたまらない!

1階と2階をつなぐクラシックな階段には、前の店で使われていた視力調整で使うメガネのレンズを活用したシャンデリアが。よく見ると、それぞれレンズの厚さが違っているんです。

「ひらく本屋」は、多治見で創業125年の書店・東文堂本店が営んでいます。2階には開業前にまちの人たちとワークショップで作ったモザイクタイル本棚が並んでいて、器やタイルの本も充実しています。中には、陶芸家じゃないと内容が分からないような専門的な技術書も。


1階の「喫茶わに」は、スープや野菜たっぷりのランチが楽しめるカフェです。隣接する書店の本を持ち込んで読むこともできます。建物内には随所にタイル装飾がありますが(トイレもレトロタイルが張ってあるので必見)、カフェの大きな窓際にはタイルのテーブルも! お茶をしながらタイルの愛らしさに浸ってください。
ヒラクビル(ひらく本屋、喫茶わに)
〒507-0033 岐阜県多治見市本町3-25
多治見にカレーを食べに行こう! 絶対におすすめしたいカレー3店
多治見のカルチャーを醸成したスパイスカレー店 NEU!(ノイ)
ここまでで「やきものとタイルのまち」というイメージを持ってもらえたかと思うんですが、いまの多治見にどうしても欠かせないもの……それは「カレー」なんです!
元々、私は大のカレー好きで、全国各地でカレーを食べ歩いていました。しかし、最近は「多治見で食べられるカレーが一番おいしい」という境地にたどり着き、食べ歩く頻度が激減しているほど。
今回は、心の底からオススメできるカレーのお店を3つ紹介します!
それぞれの店は徒歩10分圏内とご近所。店主同士の仲が良くて、ライバル同士になるわけでもなく、いっしょにイベントを行うくらいフレンドリーな関係。そこも多治見のカレー屋さんの居心地のよさだと思っています。
カレーを食べに多治見に通ってほしいほど、激推しなムーブメントです!

まちの真ん中を流れる土岐川のほとりにあるカレー店「NEU!(ノイ)」。古い理髪店を自分たちの手で改装して、2012年にオープンしました。


随所に「NEU!らしさ」が詰まりに詰まっている店内。店主・笠野雄嗣さん(通称・うねさん)の好きなものしかない空間。店名は、1970年代のドイツのバンド名が由来になっていて、うねさんは無類の音楽好き。本棚もうねさんの趣味が結集しています。

三角形のライス型は、土器作家・田中太郎さんが作ったもの
メニューは、「NEU!プレート」とスペシャルなおかずがプラスされる「NEU!スペシャルプレート」の2つから選べます。三角型に抜かれたライスは、岐阜県産のハツシモとバスマティライスのミックス。
周りを囲むのは3種のカレーと3種の副菜。この日のカレーは、左上がゴボウ入り粗挽きキーマカレー、下が南インドの豆野菜カレー・サンバル、右上がカボチャのスリランカココナツカレー。

NEU!スペシャルプレートには、スペシャルおかずが加わります。大好物のタンドリーチキンを選びました!
ノイのカレーは、インド料理をベースとしていて、スパイスをしっかり使っているけれど素材の味がしっかり引き出されています。日替わりのカレーは、どれを食べても個性が際立つ酸味やコクがあって、とにかくクセになる味。
しばらく食べていないと中毒症状が出るほど恋しくなってしまう。常連組は、遺伝子レベルでノイの味が刻み込まれている気がする。来世でも食べたい!

ノイにいると陶芸家に遭遇しがち!
まちで店を始めた人にきっかけを聞くと「NEU!があったから」と話す人も多いほど、影響を与えています。私も、ノイに通っているうちに多治見に知り合いが増えて、試しに住んでみようと思ったんです。
多治見のカルチャーを面白くした、通称「人間交差点」。とはいえ、初めての人でも居心地が良い店。一人で来る年配の方や小さな子どもがいる家族も多いんですよね。多治見に欠かすことのできないノイの味を、ぜひ!
NEU!(ノイ)
〒507-0836 岐阜県多治見市昭和町19
南インドの家庭の味 毎日食べたいミールス「タネヲマク」
「毎日でも食べたい!」と心底思う「タネヲマク」のカレー。瑞浪市の店舗から2021年に多治見に移転。本格的な南インドミールスが食べられます。

ミールスとは「定食」のことで、米が主食の南インドの家庭の味がワンプレートに並んでいます。店主の増田ワカナさんは、NEU! のオーナーと一緒にインド旅をするほど仲良し。カレー店が集まって定期的にコアなカレーイベントも開催しています。

セルフサービスなので、まずはカウンターで注文しましょう。メニュー写真が照らされるライトボックスなどフードコートをイメージして作ったカウンターが印象的。大工さんといっしょにDIYで作り上げた内装は、ワカナさんの世界観たっぷり! 隅々まで好きなものが配されているんです。

インドの旅で買い付けてきた雑貨も販売している

基本となるベジミールスに、あさりのトーレン(ココナッツフレークの蒸し煮)、鶏レバーピックル(スパイスオイル煮)、茄子のコランブ(酸味のある煮物)をトッピングしました!

ミールスの食べ方は、まずスープやおかずをごはんと一緒に食べてから、いろんな味をちょこちょこ混ぜながら組み合わせと味の変化を楽しみましょう! 食べ方が分からない時は、ワカナさんに聞いてみて。私はピックルをつまみながら食べ進めて、最後にヨーグルトソースを全体に混ぜて食べるのがさっぱりしていて好きです。
タネヲマク
〒507-0847 岐阜県多治見市小路町3
土器作家が作る、スリランカカレーをベースとした「タナカリー」
多治見には、明治から昭和初期にかけて美濃焼の商家が立ち並んでいた「本町オリベストリート」というスポットがあります。その通り沿いに築140年を超える三軒長屋をリノベーションして生まれた複合施設「かまや多治見」が2022年4月にオープンしました。

「美しき暮らし」をテーマとした施設には、生活道具を扱う雑貨店、アンティークやオーガニック食品が並ぶ店などが入居。茶室やイベントスペース、レンタルオフィスも備わっています。今回オススメする3つ目のカレー店は、かまやの中にある「タナカリー」です。
店主は田中太郎さん。スリランカカレーをベースにしたスパイスカレーは、自身で育てたお米も使い、無添加のものにこだわった調味料を使っています。

取材日は、正月明けの営業日。1月は特別にビリヤニが登場! ビリヤニは、カレーのグレービーを作って、茹でたバスマティライスを鍋で合わせて炊き上げるもの。連日、早々に完売してしまうほどの大盛況でした。たまにでいいから復活してほしい……。

野焼きで土器を焼成する太郎さん
そして、太郎さんは土器を作る作家でもあります。個展前になると制作が忙しくなって、タナカリーの営業日が減ることも。

カレーを盛り付けた器も自作のもの。土器の粗野であたたかみのある質感が、カレーにすごくマッチしています。

通常のカレーのご飯は、なんと古墳型! 古墳を模したライス型も自分で作っているもの。唯一無二ですよね。カレーも食べてほしいし、太郎さんの作品も見てほしい!
タナカリー
〒507-0033 岐阜県多治見市本町6-59
ローカルで昭和なまち歩きで、多治見を深掘りする
まちの人が愛してやまない「土岐川」を歩こう
ここまで紹介してきた店舗の多くは、多治見駅から歩いて15分圏内で回れるエリアに集まっています。山に囲まれた多治見は、中心市街地がコンパクトなので歩いて巡れるのがいい。
まちの中心に流れている「土岐川(ときがわ)」も、私の推したいスポットです。

多治見橋から眺める、土岐川の風景
岐阜県の山間を流れ、愛知県に入ると「庄内川」になる一級河川。何てことのない川に見えますが、なぜか私たち多治見市民は土岐川が大好き。散歩したり、お酒を飲んだりもする憩いの場所でもあるのですが、私はよく仕事の合間に河川敷に座って、鵜を眺めながら休憩します。


堤防には、レトロなタイルアートもたくさん。散歩しながら幾何学な組み合わせを眺めつつ、好みの配色を探しがち。

河川敷には陶片やタイルがあちこちに転がっています。これも多治見では当たり前の光景。
昔は、うなぎが獲れたほど美しかった土岐川ですが、陶磁器産業の盛り上がりによって高度経済成長期には工場排水で真っ白に濁っていた時代もあるのだとか。現在は水の透明度は上がりました。

写真提供:たじみDMO
余談ですが、多治見の名物であるうなぎと地域に伝わるカッパ様の話が融合したゆるキャラ「うながっぱ」も多治見のあちこちで見かけるはず。アンパンマンの作者・やなせたかし先生が手掛けた多治見の公式キャラクターなんですよ! 全面にうながっぱが描かれたバスも市内を走っています。後ろ姿がかわいいので探してみてください。
昭和の色がそのまま残る「ぎんざ商店街」「銀座センター」
土岐川からそのまま向かってほしいのが、多治見で唯一アーケードが残る「ぎんざ商店街」です。

昭和30年代は、肩と肩がぶつかるほどにぎわっていた商店街。いまもなお昭和な雰囲気が強く残っていますが、ここ10年ほどでシャッターを降ろす店舗が増えました。

特に見てほしいのが昭和レトロな看板たち。閉店した店の名残ですが、賑わいの面影が感じられます。それにしてもフォントが多い! かわいい!! 写真を撮りに来る人も多いスポットです。

商店街で、いつも活気に溢れているのは生鮮食品を扱う安藤商店。金曜日は「フライデー」にかけてフライを揚げたり、大皿を持っていくと刺身の盛り合わせを作ってくれたり。
前を通ると「今日も仕事か?」とあいさつ代わりに声を掛けてくれて、人情味の溢れるコミュニケーションに癒されています。

商店街の中にシェア工房・シェアハウスやレジデンスもできました。黄色のタイルを張った「at 01」、黒色タイルの「at 02」を運営するのは新町ビルの花山さん。商店街のシャッターを開けるべく、空き物件を借りてリノベーションをしています。

商店街の薬局をリノベーションしたdigの事務所。奥の調剤室はリソグラフのスタジオになる予定
私も花山さんの物件「at 03」の一画を借りて、商店街に事務所を構えました。ぎんざ商店街がさらに活気づくことを願って!

そして、もう一つ紹介したいのが、ぎんざ商店街の裏にある細い路地「銀座センター」です。初めてだと進むのを躊躇するほどの薄暗さ。細い路地好きにはワクワクしかない! 昔は遊郭があった地区なので古い建物が多く、近くには銭湯跡などレトロスポットもあります。

撮影中、声をかけてくれて中を見せてくれたバー「Bagus」
ここは、数年前まで店が全て廃業し、寂れてしまった路地でした。しかし、市内で長年営業していたバー「Remember」がコロナ禍で移転してきたことをきっかけに店が徐々に増えて、現在では居酒屋などの飲食店が8店もオープン。
夜のにぎわいを取り戻して、すっかり明るい小路になり、まちの人も驚いています。日中のまち歩きにも、夜の二軒目探訪にも、好奇心の強い人はぜひ。
ここまで多治見のオススメを紹介してきました。移住して店を始めた人も多かったですが、次ページでは大正時代から続く老舗酒店「玉木酒店」のご家族にまちの話を聞いていきます。
コロナ禍を機に変わり始めた? 名古屋ではなく、多治見で何かを始める理由とは


















































