こんにちは、ジモコロ編集長の友光だんごです。突然ですが、初めての土地で「いいお店」を探すのって難しくないですか?

検索してもネットの情報は多すぎて、どれを信じていいのかわからないこともしばしば。「Googleマップの口コミは信用できる」「インスタの地名で検索するといい」とか、信頼できる情報にたどり着くのにテクニックが必要で、さらにその方法もどんどん変わっていく……。

なので、僕が一番信じているのは「地元の人の情報」。当たり前っちゃ当たり前なんですが、その土地に住んでいる人が通うお店こそ間違いない。僕自身、今まで全国を取材する中で、地元の方のおすすめ情報に助けられてきました。

地元の知人に教えてもらった、輪島にある「かど長食堂」のツヤツヤのカツ丼

そんな風に、地元の人による「ローカル視点の観光情報」がまとまった記事がもっとネット上にあったらいいのに!と思って続けているジモコロの人気シリーズを、今日は紹介させてください。

 

旭川で、あえて旭山動物園を紹介しない記事をつくったら

「ローカル観光10選」と名付けた最初の記事は、2021年に公開した北海道・旭川。

 

「旭川」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「旭山動物園」なはず。2024年度は139万人(!)もの人が訪れている、超の付く有名観光スポットです。

けど、もちろん旭山動物園もいいんですが、旅は動物園だけに行って終わりじゃないですよね。朝はシブい喫茶店でモーニングを食べたり、本屋さんで北海道ならではな本を探したり、夜は地元の人が行くような居酒屋へ……そんな旅が好きな人、増えてると思うんです。

だからこそ、あえて旭山動物園「以外」からセレクトし、「地元の人視点で10スポットを紹介する」というコンセプトで北海道在住のライター・絹張蝦夷丸にお願いしてできたのが、この記事でした。

1階はお土産屋さんの「BAITEN」、2階は民泊の「あさひかわ編集室」

スーパーディープなグルメスポット「姫小路」

旭川のカルチャースポット「まちなかぶんか小屋」

公開してみると、定番を押さえた観光記事ではないにもかかわらず、予想以上に大きな反響があったんです。

これをきっかけに、地元の人視点の日常生活と地続きのスポット情報こそ、いま求められているものなのでは?と思うようになりました。

いわゆる「コタツ記事」のような、現地へ行かずに観光情報をまとめた記事も今のネットには溢れています。それゆえに、本当に信頼に足る情報がなかなか目に触れづらい。

だからこそ、地元に根付いて活動するライターや編集者に、ローカル視点で地元を紹介してもらう記事の需要はめちゃめちゃあるはず!と「観光10選」シリーズがはじまりました。気づけば北は北海道、南は沖縄までシリーズ累計18本に。

沼津にある「弥次喜多」のミックスフライ定食。海の幸がとにかくおいしい、地元の人がよく利用するお店

このシリーズで目指しているのは、地元の人が読んで「わかってるね!」と言ってもらえるようなセレクトであること。ネットやSNSでは異様に評判が高いけれど、実際に行ってみるとあんまり……みたいなお店や施設は結構あるあるだと思います。

そうじゃなくて、実際に地元の人が通っているような場所こそ、本当に「いい店」なはず。「映え」や「絶景」とかじゃなくていいので、その土地らしさやそこでしか体験できない魅力があるスポットをぜひ、と毎回、書き手の方にはお伝えしています。

熊本の「KOKOバインミー」

 

 

ただ、「メディアに紹介されたら外からの人が増えちゃって地元民が行けなくなった」というのもあるあるですよね。なので、セレクトや紹介の仕方には気をつけています。

ローカル視点ゆえの難しさは他にもあって、記事をお願いした際「10選にとても絞れないです」と書き手候補の方に言われることもしばしば。好きなお店が増えすぎると、10選なんか余裕で越えちゃいますよね。わかります。

また、その土地に根付いた書き手でないと書けない記事なので、まずそういう人に出会えるか、のハードルも。コツコツと記事を増やしています。

仙台の「定禅寺通」。日常的に使用する好きなスポットとして「道」を紹介してくれるライターさんも

 

ちなみに聞いた話なんですが、知り合いが旅先で観光10選の記事を見せながら「さっきここに行ってきたんですけど……」と地元の人に話すと、相手がムズムズしはじめたそう。そして、次の瞬間には

「ここにも行ってみれば?」
「あそこの看板メニューも食べてほしい!」
「店主さん、すごく素敵ですよね。私はあのお店きっかけで移住を決めて……」

のように、新たなおすすめやエピソードが続々飛び出してきたんだとか。

そう、観光10選に出てくるのは、あくまで書き手の方の「主観」で選んだ10スポット。おすすめは人それぞれだし、「絶対の正解」を紹介しているわけでもありません。

観光10選の記事を見ながら街を旅して、その人なりの新たなお気に入りが見つかれば、それがこの記事の一番の楽しみ方じゃないかなと思っています。

「観光10選シリーズ」過去の記事一覧はこちら!

 

「主観の旅」こそ、面白い

そしてもう一つ、ジモコロで人気の観光記事があります。それが全国を旅する編集者・藤本智士さんによる「主観で紹介」シリーズ。

「石垣島」や「仙台」「島根・松江」など、藤本さんが実際に旅して訪れた場所を、旅の記録のように紹介してもらっています。

石垣島では鮮魚店ではなく「さしみ屋」をよく見かけるそう

「さしみ屋 十二銭」の天ぷら。200円円分でこんなに詰めてくれたそう。食べ歩きしたすぎる!

 

観光記事だとよく「〇〇賞を受賞」みたいな紹介文が登場しますが、藤本さんの旅では、あくまで「主観」。自分が世界一おいしいと思ったらそのメニューは「世界一」です。

高知の喫茶店「ラ・メール」のあんぱん。藤本さんが日本で一番大好きなあんぱんだそう

そんな風に、あくまで「主観」だからこそ、藤本さんの観光記事は面白いんだと思うんです。

毎回、この記事は旅を終えた藤本さんとzoomを繋いで、現地での写真とともにアツく語ってくれる旅のエピソードトークをまとめて記事にしています。この時間が毎回とても楽しくて。「この熱量をできるだけそのまま届けたい!」と編集しています。

最近あまり見かけなくなりましたが、少し前って個人の方の書いた「旅ブログ」がネットにたくさんあったように思うんです。僕も好きで読んでたんですが、そういう個人的な旅のエピソードこそ、妙に面白かったりするんですよね。それはつまり、「主観」の面白さなんじゃないかと。

仙台の黒い笹かまぼこ「仙臺BLACK」

AIも普及して、とにかく情報があふれる時代です。だからこそ、顔の見えない100人が☆を付けている情報よりも、顔の見える一人がめちゃくちゃ熱を込めておすすめしてくれる「主観」の情報のほうが説得力が増しているように思います。

とにかく読んでいるだけで旅しているような気分になれる記事ばかりなので、まだの方はぜひ読んでみてもらえると嬉しいです!

「主観で紹介シリーズ」過去の記事はこちら

そして、ジモコロでは2026年も引き続き、「ローカル視点」と「主観」を大切に、現地で取材したからこその面白い記事を作っていきます。来年もジモコロをよろしくお願いします!