こんにちは。編集者の藤本智士です。普段は日本を旅してばかりですが、今回はめずらしく海外。お隣の韓国へ行ってきました

ここ数年、冬は宮古島や奄美大島などオフシーズンの離島旅が定番になりつつあったのですが、今回はどこに行こうかGoogleマップを眺めていたとき、ふと気づいたんです。

僕の住む神戸からソウルまでの直線距離を見てみると、日本の東北へ行くのとほぼ変わらないし、なんなら北海道に行くより近い。

そこで神戸空港からの航空券を調べてみたら、KOREAN AIRのチケット代が、なんと往復もろもろ込みで4万円以下! オフシーズンなのを加味しても海外旅行にしてはよほど安い。気づけばソウル行きのチケットを取っていました。

とはいえ、僕は国内の旅には慣れていますが、最近まで個人的な信条で海外旅行を避けてきたので、海外は数えるほどしか行ったことがありません。そこで今回は、僕が主催しているコミュニティ「Re:School」のメンバーたちと一緒に行くことに。

普段からおすすめの韓国ドラマを教えてくれたり、韓国留学の経験者もいたりする頼もしいメンバーでの3泊4日旅となりました。

どの翻訳アプリが便利? 現金はいくら持っていくといい? のような初歩的なお役立ち情報も含めて、海外初心者のおじさんが右往左往しながら見つけた「今のソウル」をお届けできればと思います。ローカル視点のおすすめスポット情報もたくさん紹介しますよ!

(しゃべった人:藤本智士 まとめた人:しんたく)

(目次)

⚫︎地図と翻訳アプリ、交通系IC。韓国旅行の「三種の神器」

⚫︎ソウル観光の宿には「東大門」エリアがおすすめ

⚫︎食文化が豊かなソウルはスープの街

⚫︎伝統と再編集が入り混じるソウルの熱狂

⚫︎すべてに抜かりなし。韓国を代表する最高のカフェ

⚫︎アナログ回帰が垣間見える、韓国の書店事情

⚫︎アートとデジタル、そしてカオスが交差する都市

 

地図と翻訳アプリ、交通系IC。韓国旅行の「三種の神器」

まずは渡航前の話から。普段から空港に行く機会は多いものの、国際線となると全く勝手が違います。国内の地方空港なら30分前に着いてもなんとかなりますが、今回は十分に余裕をもち、ピッタリ3時間前に到着。

2025年4月から国際線の発着に利用されている神戸空港の第2ターミナル

そのほかにも、とにかく初めての国へ行く際は知らないことがたくさん。たとえば「楽天と三井住友のクレジットカードは海外で使うと不正利用と判断されやすいから、事前申請しておいたほうがいい」という情報が同行メンバーから突如飛んできて、慌てふためいたり。

同じように韓国へ初めて行く人や、久しぶりの韓国旅行を前にしている人におすすめしたい情報をいくつか紹介します。

 

地図アプリ「NAVER Map」

まずはアプリ情報から。ひとつめは「NAVER Map(ネイバーマップ)」。これは絶対に必須です。

Googleマップでいいじゃん、と思うんですが、韓国ではGoogleマップの使い勝手がよくないんです。というのも、国家安全保障上の理由から韓国ではGoogleに精密な地図データを渡していないらしく、情報に間違いがあったり、徒歩ルートが出なかったりする。だから圧倒的にNAVER Mapが便利。

ハングルで書いてあるから最初は戸惑いますが、翻訳ボタンを押せば日本語に変換されるのでなんとかなります。 実際、現地では地下鉄やバスに乗りまくりましたが、NAVER Mapは必須でした。

ちなみにタクシーアプリ(カカオタクシー)も入れたんですが、ソウルは地下鉄とバスが便利すぎて今回はタクシーを使いませんでした。

 

翻訳アプリ「Papago」

ふたつめのおすすめは翻訳アプリの「Papago」

英語や中国語なら文字の雰囲気で意味が推測できるんですが、ハングルとなると全くわからない。そんなときに、このアプリでスマホのカメラをかざすと画像翻訳してくれて、日本語になるんです。これには助けられました。

 

交通系ICカードはどれがいい?

続いては交通系ICカードについて。ソウルは交通インフラが発達しているので、地下鉄とバスの移動がメイン。そこで持っておきたいのが交通系ICカードなんですが、韓国ではいくつかの種類があって。事前にリサーチしていた旅のメンバー内でも情報が錯綜するほど、どれを選ぶといいか迷いました。

なので、実際に使ってみた感想も踏まえて僕なりに紹介します。

まず、韓国国内でもっともシェアが広い「T-money(ティーマネー)カード」。交通機関に加えて、コンビニや自動販売機で買い物をする際にも使えます。日本のSuicaをイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。ウォン紙幣をチャージして使います。

続いては、「WOWPASS(ワウパス)」。これは外国人観光客向けで、T-moneyの機能に加えてプリペイド決済機能がついており、さらに外貨両替もできる。いわゆるオールインワンカードですね。

機能だけ見れば「WOWPASSでいいじゃん」となるわけですが、実際に僕が選んだのは第三の選択肢である「NAMANE(ナマネ)カード」

基本的にはWOWPASSとあまり変わらないのですが、NAMANEカード最大の特徴はオリジナルデザインのカードが作れること!

推しである「HANA」の韓国人メンバー・JISOOの写真を入れたオリジナルカードを作成。メンバーの一人は旅の記念に日付やリス(Re:S)のキャラクターなどを入れたカードを作ってました。価格は7000ウォン

ちなみにNAMANEカードを発行しているときに気づいたのですが、実は、韓国で「PayPay」が使えます。韓国でも利用されている「Alipay+」という決済システムとPayPayが提携しているので、使えるお店は限られているものの、日本円からそのままチャージすることができます。かなり便利!

また、韓国は基本的にクレジットカード社会なんですが、やっぱりローカルな屋台などに行く際は現金が必要な場面も。「とりあえず現金は20万ウォン(約2万数千円)くらいあればいい」という話を聞いて準備したところ、3泊4日の旅でちょうど使い切るぐらいでした。ぜひ参考にしてみてください。

 

ソウル観光の宿には「東大門」エリアがおすすめ

さて、神戸空港を11時過ぎに出発して、仁川(インチョン)国際空港に到着したのは13時ごろ。

わずか2時間足らずにもかかわらず、機内食が登場するのもなかなか不思議な感覚

ソウルは東京とほぼ同じくらいの面積(約605㎢)に、ほぼ同じくらいの人口(約950万人)がひしめく大都市。さらに、東京23区に対してソウル25区と、実は都市としても共通点の多い街です。

また、ソウルの緯度は北緯37度33分。日本でいうと新潟県あたりに位置するんですが、大陸と地続きなので、シベリアからの冷たく乾いた風がそのまま吹き込んできます。そのため寒気が強烈で、秋田などの北東北と比べても、体感としては韓国のほうが寒い。ソウル市内ではマイナス10度になることもしばしばあるそうなので、冬に行くなら防寒対策は必須ですね。

ホテルのエリア選びは迷いどころですが、今回泊まった「東大門(トンデムン)」エリアは地下鉄もバスもアクセスしやすく、ソウル観光にぴったりでおすすめです。

今回泊まったのは「ラマダホテル」。世界的なチェーンホテルですが、オフシーズンだったこともあり1泊1万円くらい(日本円換算)

地図を見てもらうとわかりやすいんですが、ソウルには真ん中に「漢江(ハンガン)」という大きな川が流れていて、その川を中心にエリアが二分されています。

ざっくり言うと、川の北側が古い街並みが残る旧市街で「江北(カンブク)」と呼ばれており、対して南側が「江南(カンナム)」と呼ばれる新市街地。江南は高度経済成長期に開発されたエリアで、高層ビルや高級エステ、IT企業などが集まっています。

独特の熱気がひしめく「広蔵市場(クァンジャンシジャン)」

僕たちが泊まった東大門は、ちょうどこの両方の側面を感じさせる場所です。

ディープな屋台がひしめく「広蔵市場」がある一方、近未来を感じさせる「東大門デザインプラザ(DDP)」という建築があったりして、古い雑多な空気と、最先端のデザインが平然と共存している。このカオス感こそが今のソウルなんだなと思いました。

近未来的な建築の「DDP」も東大門のまちなかに

そして、ソウル市内を移動するのに欠かせないのがバスと地下鉄です。特に印象的なのは市内をガンガンに運行し続けるバス。 一般的にバスというと安全運転のイメージですが、韓国のバスは運転がめちゃくちゃ荒い(笑)!

バス専用レーンが整備されているから渋滞知らずで、移動はめちゃくちゃ早い

まだ降りようとしてる最中にドアを閉めようとするし、急発進・急停車は当たり前。ビュンビュン飛ばして割り込む姿は、もはや乗り物というより「巨大な生き物」に見えました。

「これ、おじいちゃんおばあちゃんはどうやって乗ってるの?」と心配になるレベルですが、現地の人たちは涼しい顔で乗っているんですよね。

バスの中までサイネージだらけで山手線みたい

今の日本って、「お行儀良くないと生きられない」みたいな空気が強くなっている気がするけど、ソウルのこの荒々しさやカオス感に触れると、なんだか逆に生命力を突きつけられてるような気がして、僕は好きでした。

あと、驚いたのが信号機。横断歩道の足元にLEDが埋め込まれていて、信号と連動して赤や青に光るんです。こういう新しい技術を街に実装するスピード感にも圧倒されました。

足元の地面そのものが光る信号機

 

食文化が豊かなソウルはスープの街

ソウルは韓国の首都であり中心地。食文化も豊かなのですが、Netflixで配信されている『白と黒のスプーン 〜料理階級戦争〜』をご存知でしょうか?

これは韓国の「白のスプーン(有名シェフ)」と「黒のスプーン(無名の実力者)」たちが料理対決をする番組。市場の屋台のおばちゃんからミシュランシェフまで出てくるので、韓国グルメの今がすごく伝わってくるんです。だから、自ずと行ってみたいお店や食べたい料理が見つかります。

移動中の機内では、公開されたばかりの『白と黒のスプーン』のシーズン2を見ていました

実際に番組を見てみるとわかりますが、韓国は本当に食の多様性がある国。なので、ソウルでは韓国の伝統料理はもちろん、フレンチや日本食などとにかく多種多様な料理を食べることができます。

そのなかで、今回の旅でフォーカスしたのがスープ。というのも、友人の料理研究家・山口祐加に話を聞くと、開口一番「韓国はスープです」という言葉と共におすすめのお店を教えてくれたんですね。そこで、現地ではいろんなお店を回ってきました。

まず紹介したいのが、「武橋洞(ムギョドン)プゴグッチプ」。僕たちは運よくすぐ座れたのですが、食べている間にどんどん行列ができていく人気店でした。

この店のメニューは「干しダラのスープ」ひとつだけ。席に座ると、黙っていても勝手に出してくれます。このシステムが潔くていい。スープは牛骨でとった出汁と干しダラの旨みがたっぷりで、すごく美味しいんだけど、わりと薄味。これがよかったんです。

スープが名物のお店では、どこに行っても副菜みたいなものが必ず置いてある。つまりスープのベースは薄味で、そこにいろんな副菜を入れて味を整えていくスタイルなんですよね。

きゅうりのオイキムチ。そのほかにも水キムチやアミの塩辛などが置いてありました

店内には雪中でタラを干している写真が。東北のいぶりがっこを作る風景と少しシンクロしました

続いて訪れたのは、「里門(イムン)ソルロンタン」。「ソルロンタン」とは牛骨を長時間煮込んだ白濁スープのことなんですが、スタンダードなソルロンタンだけではなく、膝肉のスープ「トガニタン」や頭肉のスープ「モリタン」など、部位によって違うスープがありました。

一口食べて驚いたのが、そのままだとほぼ味がしない。牛骨の旨みはあるんだけど、それだけ。

そこで卓上の塩を入れると、塩味が加わって、めちゃくちゃ美味しくなる。つまり、塩加減を自分で決められるんですよね。まさに「ベースは薄味で、自分で完成させる」という韓国のスタイルを感じました

食べ物の好みはそれぞれだから、最後の仕上げはお客さんに任せるという粋なスタンスに、韓国大衆食堂の強さを感じてめちゃくちゃ好きだなと思いました。

見えづらいですが、スープの中にはご飯と麺が入っています。 周りを見渡すと、地元の常連さんたちはキムチをどんどん入れて味変させていました

続いて紹介するのが「ヌンドンミナリ」。「ミナリ」というのはセリのことで、セリ好きの僕としては、渡航前からリストアップしていたお店です。

セリ入りのコムタンスープももちろん美味しかったのですが、ここで印象的だったのは、拳みたいなサイズのユッケ

日本では生肉が食べにくくなりましたが、向こうでは新鮮なユッケもメニューにある。韓国ならではを感じました。

この店にはカクテキが。そのまま食べるもよし、スープに入れて味変もよし

ちなみに、ヌンドンミナリでは韓国ビールの飲み比べも。

写真の4種類の中で、ソウル市内でよく見かけたのは右端にある青いラベルの「CASS(カス)」と、中央左にある緑の瓶の「TERRA(テラ)」。CASSは青島ビールのように薄くてスッキリした味なのに対して、TERRAはもう少しコクがあるので、日本のビール好きはこちらのほうが好みかもしれません。

最後に紹介するのが「体府洞(チェブドン)スジェビワポリパッ」というお店。「スジェビ」は日本の「すいとん」、「ポリパッ」は麦飯を意味するそう。

この店は名前のとおり、すいとんの料理が多いのですが、個人的にすごく印象的だったのがエゴマのスープ。これが驚くほど美味しい。

エゴマ玄米団子スープ(15000ウォン)

不思議なほどクリーミーで、牛乳でも入っているのかと思うほど。これまでのお店もそうだけど、特にこのスープは「辛くて味が濃い」という韓国料理のイメージを変えてくれたほどやさしい味わいでした。

名物料理のすいとんも、もちろん美味しい

この店を紹介してくれた山口祐加いわく、「エゴマの粉はゴマより香りが控えめだけどコクがあるから、スープに入れると乳製品みたいなクリーミーさが出る」とのこと。

彼女が言っていた「韓国はスープである」という言葉の意味が、ここでようやく腑に落ちました。ぜひ韓国を訪れた際には、このエゴマのスープを飲んでみてほしいです。

 

伝統と再編集が入り混じるソウルの熱狂

さて、ソウルの食を語る上で外せないスポットが、先ほども出てきた「広蔵市場」

いわゆる「市場」なので、魚屋やキムチ屋、乾物屋などのお店も多いんですが、飲食店の熱気がとにかくすごい。Netflixの『ストリート・グルメを求めて』で紹介されたこともあり、世界中からの観光客で賑わっています。

漬物がずらりと並ぶ姿や、露店でタラを豪快にさばく姿など、日本ではもうあまり見かけなくなった独特の熱気が。その一方で「繊維街」の側面もあり、布団や生地を売る店も並んでいます

そして、伝統的なお店ばかりかと思いきや、新しいお店も並んでいて、そのカオスな感じがとても面白い。そんな広蔵市場で、特に紹介したいお店をいくつか紹介します。

まずは「チャッサルクァベギ」。「チャプサル」は餅米、「クァべギ」は韓国の伝統的なねじり揚げドーナツのことなのだそう。行列は長いけど回転が速いので、僕は5分くらいの待ち時間で買えました。

右は人気のねじりドーナツ。左のさつまいもドーナツも有名らしい

餅米を使ったドーナツなので、外はカリカリ、中はモチモチでもう絶品。次にソウルへ行ってもまた並んで食べると思います。

そして、もうひとつ紹介したいのが、「60年伝統トッチッ」の大福餅。ひとりで市場をふらふらしていたときに行列を見かけて買ったんですが、餅好きの人は絶対に食べてほしい。

最近の餅って、喉に詰まりにくいように柔らかく作られていることが多いじゃないですか。でもこれは「お年寄りが食べたらやばいかも」と心配になるくらいの、粘りともっちり感が最高なお餅だったんです。

しかも味のバランスが絶妙。餅自体に強めの塩気があって、中は水分少なめでほくほく感のあるあんこ。この塩梅が絶妙で、完全にやられましたね。余談ですが、1個だけ買いたかったものの言葉が通じず、1パック買うことになりました(笑)。

軒先で餅をこねて、あんこを詰めるおばあちゃん

そして、Netflixの番組『ストリート・グルメを求めて』にも登場した有名店、「故郷(ゴヒャン)カルグクス」

カルグクスというのは韓国風うどんのこと。貝や煮干しの出汁が効いたスープが本当に美味しい。

番組内でフィーチャーされていたお母さんも健在でしたが、当然ながら繁盛店。働いているお兄さんたちが韓国ドラマに出てきそうなくらいイケメンだったのが印象的でした。

同番組で取り上げられていたピンデトック(緑豆のチヂミ)も近くのお店で購入

さて、ここまでは伝統的な「食」のお店を紹介してきましたが、広蔵市場の魅力のひとつは新旧入り混じるカオスさ。その点で非常に面白いスポットがこちら。

繊維街の古い街並みの中、ふと目線を上げると、2階あたりにモダンな照明が見えます。

ここ、実はスターバックスなんですよね。 一歩入ると、内装は超絶おしゃれ。

1階はテイクアウト専用のコールドブリュースタンド

そして何より驚いたのは、ビールが飲めること! 日本のスタバではまず見かけませんが(※)、ここではクラフトビールや、オリジナルカクテルが楽しめます。スタバらしいおしゃれな空間で、スタバらしからぬビールを飲む。このギャップが新鮮で、とても楽しめました。

※目黒にある「STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYO」ではクラフトビールの取り扱いあり

「繊維街」であることにちなんだ糸巻き型のケーキ。そのほかにもソウル限定のフードがあったりして楽しい

スタバで飲むビールも美味しいですが、韓国といえばやっぱりマッコリ。 広蔵市場からは少し離れますが、ソウルでトレンドになっているマッコリバー「woori Yeahsool(ウリイェスル)」を紹介させてください。

まず見てほしいのが、このビジュアル。ラベルがめちゃくちゃ可愛いんですよね。

この店ではタップからマッコリを注いでもらえるんですが、新感覚で面白い。実際、他にもこういう「マッコリバー」が流行っているみたいです。当然、マッコリも美味しかったんだけど、料理も絶品。

このマーラースペアリブ煮込みをはじめ、何を食べても美味しかったです。最後の夜にもう一度行ったくらい、このお店はおすすめですね。

 

パン屋とカフェ、書店に文具店……ソウルの今を感じるスポットたち