ガムテープ文字「修悦体」の考案者が、70歳の今も現役の警備員を続ける理由

2023.03.06

ガムテープ文字「修悦体」の考案者が、70歳の今も現役の警備員を続ける理由

以前、新宿駅や下北沢駅に貼られていた手作りの案内看板。警備員としてJRに勤務していた佐藤修悦さんが考案した「修悦体(しゅうえつたい)」と呼ばれるガムテープ文字として知られています。佐藤さんに話を聞くと、色々な職種を経験して培った「気配り」が修悦体を生んだことがわかりました。

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    実際に修悦体の作り方を教えてもらいました

    「修悦体って本当にガムテープとカッターナイフだけで作られているんですか?」

    「はい。持ち物はガムテープとカッターナイフと定規(※なくても可)です。道具が揃ったら『ジモコロ』の4文字分の枠を作っていきましょう。まず初めは土台の段ボールの大きさに合わせて、文字数の寸法を取っていきます」

    「はい!」

     

    今回は5cm幅でそれぞれの文字の枠組みを作りました

     

    「枠を作り終えたら、文字の共通点になる横線があれば後で貼りますが、それ以外(※外にはみ出している箇所)は使わないので全て取っていきます」

    「わっ、外のテープを全部剥がすと4文字の枠が完成した!」

     

    この4枠に「ジモコロ」の文字が入る

     

    「次は『共通ライン』(文字の横同士が重なる部分)を引いていきます。ジモコロさんの場合は一箇所一本だけ。ここがセンスを問われるところなので、いつもどの辺りに共通ラインを引こうか悩むんですよ……(5秒後)よし決まった!」

     

    「決めるのが早い(笑)。迷わないでテキパキに作業を進めていくんだなあ」

    「次はカッターを使って文字を浮き上がらせていきます。カタカナをきれいに見せるコツは、文字の横線を全て同じ幅に切っていくこと。最初は『どのくらいの幅にしよう〜』って悩むかもしれませんが、感覚で切ってもらっても構いません」

     

    「ジ」と「モ」の文字が浮かび上がってきた

     

    「全ての文字が浮き上がらせると、その後はどうするんでしょうか?」

    「修悦体の特徴は『角を丸くすること』なんです。そこで文字の角を扇形にカーブさせて切っていきます。この時出る切れ端は後々重要になってくるので、絶対に捨てないでください。この切れ端を三角に切って内側に持ってきます」

     

    文字の角を扇形に切って

     

    切れ端を別のシートに置いて、端を三角形にカットする

     

    カットした三角形は、最初に切った内側に貼る

     

    「わっ、一気に文字が丸みを帯びて可愛くなりました〜!この作業が修悦体の肝なんですね」

    「そうなんです。全ての文字の角を丸くして、切れ端を内側に貼っていくと……これで修悦体の完成です!」

     

    世界にひとつだけの「ジモコロ」の修悦体が完成〜!

     

    「めっちゃかっこいい〜! これは編集部の皆も喜びます」

    ガムテープは失敗してもすぐに貼り替えできますし、気分を変えたい時もすぐに色もチェンジできます。なので『修悦体って難しそう……』と思わず、一度チャレンジして作ってみてください!」

     

    おわりに

    どんな職種でも「職場の雰囲気が良くなってほしい」という熱い気持ちを常に抱いてきた佐藤さん。仕事をする上で、気づいたことがあれば自ら積極的に動く佐藤さんを見ていると、仕事は自分のものではなく「人のためのもの」だと感じました。

     

    社会経験を積んでいくと、お金を稼ぐことや自分のために働くことに意識がいってしまいがちですが、「誰かの喜ぶ顔がみたい」という優しさを持つことで、それが巡り巡って自分のところに戻ってきた結果、自分も楽しく働けるのかもしれませんね。

     

    ひとりの警備員さんのアイデアから始まった修悦体がこれからどんな風に活用され、どこでお目にかかれるのかとっても楽しみです。

     

    修悦体に興味がある人は、修悦体のYouTubeチャンネルが窓口になっているので、そちらから連絡してくださいね!

     

    修悦体【ガムテ文字】のYouTubeチャンネル
    修悦体【ガムテ文字】 – YouTube

     

    写真提供(下北沢駅の修悦体):田中嘉人

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    この記事を書いた人

    吉野 舞
    吉野 舞

    1995年生まれ。兵庫県淡路島出身。文章を書いたり、写真を撮ったりします。今年の目標は、東京23区の銭湯を全制覇すること。最近、全国どこにでも行って色んな人と繋がるので「5G」というあだ名を付けられました。

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