こんにちは、ライターの吉野です。

突然ですが、皆さんは海外の人とデートしたことはありますか?

私はこれまで何度か海外の人とデートをしたことがあるのですが、デート時のお会計や浮気の基準、愛情表現の方法など日本人と恋愛観が違いすぎて驚きました。

ちなみに現在、日本での婚姻カップルの100組中3〜4組が国際結婚で、私の周りでもパートナーのどちらかが外国人というカップルが多く、昔ほど国際カップル(日本人×外国人)って珍しくないんですよね。

私はまだ未婚なのですが、別々の家庭で人生を歩んできた他人同士が家族になる「結婚」って最大の「異文化交流」だと思っていて。それを文化や言葉も違う人とするのってすごく大変なことじゃないですか?

日本でも異なる文化を持つ人々と暮らすことが日常になっている今、異文化コミュニケーションのコツを聞けると思い、海外の人と結婚した20〜30代の方々に話を聞いてみることに。実際に聞いてみると、海外ならではの家族や恋愛のかたち、家族観などが見えてきました。

 

今回は対談してもらう3名はこちら!

▼登場人物

山口葉亜奈さん(パートナーはドイツ人)

29歳。ベルリン在住4年目。25歳の時に渡独。趣味は映画鑑賞とゲーム。吉野とは地元(淡路島)が同じ。

なおさん(パートナーはシンガポール人)

29歳。シンガポール在住6年目。新卒でシンガポールに移住。モットーは「いつも人生全力」。インスタでは国際結婚やシンガポール生活などについて発信中。

大也(だいや)さん(パートナーはスウェーデン人)

31歳。2021年にスウェーデンに移住後、この夏にパートナーと共に日本に帰国。特技はダンス。

 

出会いはアプリ!? 国境を越えたパートナーとの出会い

「今日は皆さんと恋バナをできるのが超楽しみでした! 早速ですが、パートナーの方の国籍と出会いのきっかけを教えてください」

「私は昨年ドイツ人と結婚しました。彼とは語学学習アプリ『Tandem(※)』で出会って、最初はお互いの言語を教え合う友人として会っていたんですけど、徐々に恋愛に発展していった感じです」

※外国語を教えあう語学学習アプリ。ネイティブと簡単に気軽にチャットできるので、教科書に載っていない自然な表現は学べる。

葉亜奈さんカップル

「私は19歳の時に新宿2丁目のバーで、日本語を勉強するために来日していたスウェーデン人と出会い、お互いの一目惚れで付き合いました。日本とスウェーデンでの6年間の遠距離恋愛を経て、3年前に私が彼の元に引っ越し、同時にスウェーデンで同性婚しました」

大也さんの結婚式の様子

「私は23歳からシンガポールで暮らしていて、パートナーは中国系シンガポール人です。彼とは2年前にマッチングアプリがきっかけで出会い、会う前からやり取りが楽しくて実際会ってみるとすごく気が合って。そこからトントン拍子で今年入籍しました」

なおさんのパートナー

「意外とアプリでの出会いが多いですね! みなさんの国でのデート事情が気になります」

スウェーデンは日本のデートプランと似ていて、バーやレストランで食事を楽しむことが多いです。一応、遊園地とかはあるんですけど、どちらかというと子どものための遊び場なので、大人だけでは行かないですね」

「シンガポールは一年を通して暑いので、外で遊ぶことは少ないかも。よくごはん屋さんで夜デートをしています。それと、シンガポール人って高級レストランよりも屋台街『ホーカーセンター』に連れて行くのが好きで。慣れていないと『え? 初デートでフードコート?』ってドン引きする日本人女性が多いみたい(笑)」

「ホーカーセンター」。おいしいローカル料理が食べられる

「ドイツは外食が高いので、夏は軽食を持って公園に行ったり、冬はコーヒー片手に散歩したりと、気合いの入ったデートよりも気の向くままに過ごすことを好んでいます。あと、ドイツのデートでは割り勘が当たり前で

ベルリン近郊の街ポツダムへの自転車旅の様子。自転車デートもドイツでは普通

「アジア圏ではデート時に男性側がおごることが多いんですけど、ドイツでは常に割り勘なんですか?」

「はい。そもそもドイツには年長者が若者にごはんをおごるという文化がなくて。それに男女平等マインドが強いこともあり、割り勘文化が浸透しているんです。ちなみに、私は結婚後もパートナーと交際費や生活費を折半していて。割り勘は相手とフェアな関係性を築けるので、それはそれでいいと思っています」

「こんなにも国によってデート事情が違うなんて面白いなあ」

 

あえて結婚しない。3カ国の20〜30代のリアルな恋愛観

「海外では事実婚が浸透していたり、告白文化がなかったりと日本と恋愛スタイルが異なりますよね。それぞれの国の20〜30代の恋愛観はどうでしょう?」

「スウェーデンの同世代を見ていると、結婚よりも自分が夢中になっている分野を極めている人が多く、恋愛も『いい人がいればいいや〜』と気楽に楽しんでいる印象です。まだ日本人の方が結婚願望は強いかな」

「それはありますね。私の周りのドイツ人もパートナーがいても特別な事情がない限り、結婚している人はいないです。ちなみに、ドイツでは離婚をするために1年間の別居期間が必要で、弁護士に依頼して裁判を行わなければならなくて。弁護士費用や裁判にかかる時間を考えると、わざわざ結婚を選ぶ理由が少ないのかも……」

「シンガポール人の結婚願望は強い方で、平均結婚年齢は20代後半〜30代前半くらいかな。だけど、シンガポールって『子供の教育=投資』と考えられていて、子育てにすごくお金がかかるんです。そんな金銭的な理由もあり、子どもを作らない家庭が増えているんですけど、逆にドイツやスウェーデンの子育てってどうですか?」

「スウェーデンは子育てがしやすい国と言われていて、小学校から大学まで学費が無料だったり、16歳までに支給される児童手当があったりするので、子育て費用に対してプレッシャーを感じている人は少ないですね。ただ、スウェーデンは消費税率が30%で、その税金がしっかり子育て支援に使われているんです」

「30%! そんなにも税金を払わないといけないとは……」

「消費税の高い分、スウェーデン人は子どもの学費や医療費の無料などで税の還元を感じているんです。だけど、私の場合は子供もいないし、あまり病院にも行かない中で、給料の3割を税金でとられてしまうのは『正直ちょっと高い……』と思ってしまいます」

(左)スウェーデンでの様子(右)スウェーデンでは冬にオーロラを見ることができる

「なるほど。ドイツはどうでしょう?」

「ドイツも子どもの教育費は無料なのと、社会全体が子育てを支えている印象を持っていて。例えば、電車でベビーカーを持つお母さんがいると、他の乗客が率先して持ち上げるのを助けてくれたり、夫婦合わせて約3年間の育児休暇が取得できたりと、子育てしやすい環境が整っています

「日本でも最近、経済的不安から子どもを持たない家庭が増えていますよね。ヨーロッパみたいに手厚い子育て支援があれば、日本の出産率も上がるかもしれないなあ……」

 

言葉も文化も違う家族とのコミュニケーション方法

「言葉も文化も違うパートナーの家族との関係ってどんな感じでしょうか?」

「うちは義父の風水信仰(※)に振り回されています(笑)。風水では日にちと時間が何より大切なので、私たちが新居に入居する時間、ベッドのマットを変える時間、ホテルの部屋の位置などを細かく指定されるんです。それに縁起が悪いという理由で、下着は洗濯機ではなく、手で洗わないといけなくて(笑)」

※シンガポールでは中国にルーツを持つ華僑の人が多い関係で、何か決めるときには風水第一。あの有名なマーライオン像の位置も風水で決めて建てられた。

「え〜それは大変!」

「あとは、義母から彼に対して電話が毎日かかってきたり、義家族との会食が毎週あったりと、家族間の距離が近くて困っています。こういう文化の違いはなんだかんだ面白がれるんですけど、前の彼はマレー系シンガポール人で宗教が違うってだけで、親戚から知らんぷりされてたこともあって。今の彼の親戚とは仲良くやっています」

「私の場合は同性同士の結婚だったので、何よりも家族の理解が必要で。やっぱり最初は不安だったんですけど、すぐに受け入れてくれました。もちろんお互いの間に言語の壁はあるんですけど、フィーリングが合うというか。言葉を超えたコミュニケーションがとれるんです」

「その感覚、すごく分かります。私はドイツ語がペラペラに話せないので、義家族とコミュニケーションがあまり上手くとれなくて……。だけど、毎回会うたびに義母が心のこもったハグをしてくれて、ウェルカムな雰囲気が伝わってきます」

「ハグって海外では大事なあいさつですよね。ちなみに、外国人のハグってお互いの心臓音が聞こえるくらいの距離でするので、日本人がやりがちな背中をポンポンとする軽いハグは逆に嫌われることもあるそうです」

「え、ハグで嫌われてしまう!?」

「そう、軽いハグをしてしまうと、中には『この人自分に興味がないんだ……』って勘違いしてしまう人もいるみたいで。私もパートナーと付き合った当初は長さや強さの加減など、何十回もハグの練習をさせられました(笑)

「日本人ってハグが苦手な人が多いと思うので、これから海外に住む人は今から少しずつスキンシップに慣れておくのがいいと思います!」

 

問題があった時はディベートで乗り越える

「国際結婚をしてみて、よかった点って何でしょう?」

「やっぱり日本とドイツの二拠点で生活を送れることですね。私は二年に一度、一時帰国しているんですけど、その間はドイツの嫌なことを忘れられるし、日本の素晴らしさを再発見しています」

「私はシンガポールの旧正月や彼の友達との集まりなど、毎日のように異文化体験できるのが楽しいです。だけど実際、国際結婚って想像以上に大変なことも多くて……。上手くコミュニケーション取れないなど、パートナーとの間で何か問題があった時はディベート(議論)をするようにしています」

「ディベートですか?」

「対等な話し合いです。シンガポール人ってあいまいな表現が多いんですけど、ストレートな言葉で答えてほしい時は、『イエスかノーで答えて!』って言うようにしているんです。きちんと自分の考えを伝えると、意外と分かってくれることが多いですよ」

「うんうん。私たちも日頃からワインを飲みながら、お金や将来のことを話し合う時間を設けています。不満はそのままにせず話し合って、お互いにパートナーの悩みを理解しようとすることで、信頼し合える関係を築けるんですよね」

「最後に、これから国際結婚をするカップルにメッセージをお願いします!」

「国際結婚ってどれだけお互いの文化や習慣を学んで、リスペクトする姿勢を持てるかが大切なんだと思います。結婚生活の中でストレスがたまることもあるかもしれませんが、そんな時は冷静になれる場所を作ったり、友だちに電話したりして気分転換してください」

「海外出身のパートナーと暮らしていると想定外のことも起こるので、何よりも適応力が必要かなと。初めから日本のスタンダードは忘れて、結婚することをオススメします。スタンダードを低くしておくと、大抵のことは受け入れられるので(笑)」

「みなさんが言っているように、国際結婚って甘くなくて、私も文化や言葉の壁で何回も泣きました……。だけど、パートナーと出会ったことで海外生活を体験でき、確実に視野が広がったんです。国際結婚って自分自身の成長にもつながるので、覚悟と期待を持ってぜひ挑んでほしいです!」

「国際結婚と聞くと、何とも華やかなイメージを思い浮かべますが、実際は想像以上に厳しい現実もあるんですよね。だけどその分、すばらしい経験ができるんだと思いました。みなさん、これからもパートナーの方と末永く仲良く暮らしてくださいね!」

 

まとめ

みなさん、最初はパートナーとの言語や宗教、生活環境の違いにすごく悩んだと言っていましたが、その国の文化や習慣を学んでくことで、自分の価値観がガラッと変わったと話していたのが印象的でした。

世界には私たちが知らない文化がまだまだあります。認める認めないに関わらず、まずは知ろうとする「探究心」が異文化コミュニケーションを深めるコツなのかもしれませんね。

今回のインタビューを受けた方のSNSではよりリアルな国際結婚の様子が見れるので、ぜひ覗いてみてください!

 

〈SNSはこちら〉
なおさん
https://www.instagram.com/nao_kaigai_life/
大也さん
https://www.instagram.com/daiyapolme/