ヒエッ 足がすくむ~!『雨漏り修理職人』の仕事を一日体験した!

2018.12.25

ヒエッ 足がすくむ~!『雨漏り修理職人』の仕事を一日体験した!

雨漏りを専門に扱う屋根修理職人。雨水の流れをつくるための「水切り」というものを、板金(金属板を曲げる技術)で作り、屋根という高所に設置しました!

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    「まずは、今いる2階の屋根から、1階の屋根まで降りてきてください」

    「簡単に言うよなぁ……」

     

    「よし……命綱をちゃんとセットして、すぐそこに降りればいいんですよね?」

    「そうです。いけそうですか?」

    「バカにしないでくださいよ! 所詮1階分でしょ? それくらいなら余裕です」

     

    「うぅん……」

    「どうしました?」

    「次の一手が全くわかりません。下の屋根に足もつかないし。これって詰んじゃった?」

    「詰んでないですよ! 右手で足元のここを持って……左手はここ、で、足を伸ばしたら大丈夫だと思います」

    「了解、わかりました。 よし、行きますよ~!!」

    「はい!」

     

    「…………」

    「行きましょうよ!!!」

    「ううぅうん…? おっかしいな~?」

     

    これ、ふざけてるんじゃないんです。この高さだと、心理的に「登る・降りる」っていう動作が、平地の4~5倍は難しい

     

    「ではいよいよ、板金を取り付けていきます!」

    「それは、雨漏りをしている箇所やその周りにってことですか…?」

    その部分だけではなく、まるっと交換します。水を相手にする時は、“点”でなく“面”で直さないと、また何度も工事するハメになりますから。全体で大体2~3週間はかかります」

    「大掛かりだ」

     

    早速作業に入る西田さん。

    この手に持っているのは屋根材本体で、その下に入っているのが水切りです。

     

    「あの……西田さん。気付いたんですけど、屋根の角の部分って、当然 三角形になるはずですよね? そんな形の板金、朝には作ってなかったのでは?」

    「はい、作ってきてませんよ。でも大丈夫! 屋根の上で作るから

    「ここで!?」

     

    ビィイイイン!!

     

    そう言っておもむろに電動ノコギリでカット! 実際の屋根に合わせて作る必要があるので、その場で作るんです

     

    「こんな感じで大まかに切った後に、ハサミで細かい所を調整します。ハサミの使い方は朝に教えましたよね? やってみましょう!」

    「おまかせください!」

     

    ぐ… あ、あれ…?

     

    がっ、ぐぬぬ……ぐ……

     

    ~5分後~

     

    「出来ました!」

    グッチャグチャじゃん

    「めちゃ硬くて……全然スイスイ切れませんでした」

    「まぁ、これは僕が手直しします。みくのしんさんは、この板を印のところで折り曲げてください」

     

    「おっ! 折り曲げるのはかなりうまいですね。良いですよ!」

    板金を理解せずに曲げてる気がして怖い。なんで僕はこれを折ってるんだ?」

    「う~ん、口で説明するのが難しいんで、もう見て覚えるしか無い……かなぁ。そのうち自然と『あ、これはここに設置して、水をこの方向に流すために曲げるんだな』ってわかってきますよ」

    俺の背中を見て学べ! ってやつですか?」

    「いや、単に口で説明するのが難しいだけです。ただ、それだと新人さんは不安でしょうから、『この仕事のやり方や意味』が解説されてる限定公開のyoutube動画を作ってまして。それを見てもらいながら教えてますね」

    「限定公開のyoutube!? こんなところにもIT化の波が!」

    こういう会社にしては平均年齢が若いんでね」

     

    板金を曲げ終わると屋根の角へ取り付けていきます。

     

    「みくのしんさんに折り曲げて貰った部分が『折り返し』になって、雨の侵入を防いでくれるんですよ」

    「あー、なるほど! そういう事か。今、雨が実際に落ちた時の流れが、僕の目に見えてきました」

    「本当ですか!? それってめちゃめちゃ凄いですよ!?

    「あ、いや……」

    どのように水が流れて漏れるのかが見えるようになるまでは、大体8年くらいかかるんですよ!? それが見えるなんて……本当にセンスあるんじゃないですか!? ぜひうちに就職してください!!」

    「西田さん……その、ちょっとテンション上がってそれっぽいこと言っただけです。すみません」

    「嘘だったんですか……じゃあ、そろそろお昼なんで、休憩しましょうか」

    「やったー!」

     

    お昼休み

    「午前中、実際に働いてみてどうですか? 想像していたのと全然違ったんじゃない?

    「確かに、想像とはかなり違ってました。雨漏りで板金をやるなんて考えもしなかった。ちなみに森さんは何歳からこのお仕事をされてるんですか?」

    「18歳から働いてます。元は代々続いてる親父の会社なんですけど、僕が20歳の時に、親父が会社を畳むって言い出したので……それなら僕が引き継ぐ!ということで社長になったんです」

     

    「18歳でこの道に入って、2年後に社長になっちゃったの!?」

    「そう、キャリア2年のペーペーでしたから、最初は大変でしたよ。親父が社長だった頃のお客さんや職人さんも去ってしまった。『うちに仕事をやらせてください!』とお客さんに頼み込んでね……。社長なのに、色んな人に仕事を教えてもらってました」

    「めちゃめちゃ苦労してる……」

    「今はお陰様で右肩上がりで伸びてきましたけどね。正直、全然手が足りない状態です。それじゃあ、食べ終わったら作業の続きをしましょうか!」

     

    午後の作業開始~作業終了まで

    午後からもバシバシ板金を取り付けていきます。

     

    「電動ドリルで取り付けるの楽しっ……!」

    みくのしんさん、もう高い所に慣れてるんじゃないですか?

    「あ、本当だ……! いつの間に! 僕、この仕事向いてるかもしれない

    「ね、絶対慣れるって言ったでしょ? じゃあ一旦地上に戻って、新たに水切りを作りましょうか」

     

    「ウィース!」

     

    グンッ!

     

    うげッ! 命綱外し忘れてた!

    「全然慣れてなかった」

     

    屋根から降りると見覚えのある板金を加工し始める西田さん。

     

    「西田さん… この板金ってもしかして…」

    「そうです。今朝一緒に作った板金です。これを今から屋根に持っていって取り付けるのですが、その前に…」

     

    「こんな風に製図して…」

     

    カチャカチャ…

     

    「こんな感じで屋根の角の先っちょを作ります。雨は先端や継ぎ目から侵入して漏れてくるので、それをカバーするイメージですね」

     

    見よう見まねで同じものを作ってみます。

     

    「なんか現場で作って完成させるってかっこいいですね!」

    「現場で作ったほうが、その屋根にピッタリのものが無駄なく出来るし、その場で微調整もできますから」

     

    結構きれいに切れた。ココから曲げれば完成。なんか折り紙みたい。

     

    「半日作業しただけでも、色んな家の屋根回りに注目しちゃいますね」

    「僕らもそうですよ。職業病ですかね」

    「水切りはどんな家だろうと無いと困るものですよね? 新築を立てる時とかに、屋根のデザインを考える建築士と揉めたりしないんですか?」

    「お互い良い物を作りたいからぶつかることはあるよね。こっちは『そのデザインだと水が漏れる』って言うし、建築士は『水切りを優先させたらおしゃれじゃなくなる!』 って言うし」

    「僕の知らない所でそんなやり取りがあるんですね……いつか家を建てることがあったら参考にします」

    「職人としてアドバイスするけど、屋根には一番お金をかけたほうがいいですよ。屋根は建築物の中でも一番過酷な環境に置かれる部分だし、どんな良い家も雨漏りしたら台無しだから」

    「そのアドバイスが活かされるのは数十年後になりそうですが、ありがとうございます」

     

    と言ってる間に不器用ながら完成! 愛着湧くなぁ!

     

    「じゃあまた屋根に登って、その水切りを設置しましょうか。今のみくのしんさんなら、スイスイ登れるんじゃないでしょうか?」

    「どうですかね~……?」

     

    すいっ」

    「へっぴり腰でしゃがんでたのにかなり成長しましたね~」

    「西田さん!」

    「え、なっ何ですか? どうかしました?」

     

    景色ごっつええやん……!

    なんで関西弁? 景色は変わってないですよ、みくのしんさんの心が変わったんです。さあ、ラストスパートですよ! 気を引き締めましょう!」

     

    「先程作った水切りはココにはめ込みます。なんとなくイメージ出来ますか?」

    「あーはいはい! 屋根の角だわ! 僕はココを作ってたんですね!

    「こんな感じで、最初はわからなくても、やるうちに理解していける面白い仕事なんですよ」

     

    「西田さん… どうですか? かなりさまになってませんか?」

    「自分でいう?」

     

    と、この後も何個か水切りを取り付けて、中々使えるやつになれた所で遂に……

     

     

    業務終了ーーー!! お疲れ様でーーす!!

     

    作業を終えて

    「お疲れ様! 一日やってみてどうだった?」

    「最後の方は景色を見る余裕も出てきて、楽しかったです! でも思い返してみると、今更怖くなってきました」

    「アハハ! しょうがないしょうがない! 単純な高さだけじゃなくて、足元が悪い(屋根は坂になっている)のが余計に怖いんだよね」

    「そこなんですけど、屋根ってなんで、坂になってるんですか? ビルとか病院とかだと、屋上はコンクリートむき出しで真っ平らじゃないですか。そのほうが雨漏りもなさそうなのに」

    「そう思われがちですけど、実はメンテナンス代とか、劣化のスピードという面で、普通の屋根のほうがコスパが良いんですよね」

    「え!? そうなんですか? イメージと逆だった!」

     

    「コンクリートは水が染みちゃうしヒビも入るから、メンテナンスも頻繁にしないといけない。でもいい職人が作った屋根は長持ちするし、何年経っても雨漏りしないんだよね」

    「へー! そういうことだったんですね!勉強になりました。じゃあそろそろ……お給料をください!」

    「わかりました。こちらが今回の給料になります!」

     

    !?

     

    「……なんですかこれは?」

    自伝です

    「いや、そうじゃなくて」

    「漫画化もしてます」

    「わかりました、これは後で読ませていただきますけど……」

     

    「お金……」

    「ちゃんと渡しますって! せっかくなので宣伝しておこうと思っただけなんで」

     

    「という訳で、はい! 改めてお疲れ様です」

    「コレコレコレーーー!!! ちなみにおいくらでしょうか?」

    1万円です!

    GOAL!!……このお給料は、旬の魚で握られたお寿司に使わせていただきます」

    「ウチはアルバイトは募集して無いので、一日分に換算した金額になります。ちなみに、高卒の初任給で月23万円程です

    「めっちゃいいじゃないですか。資格もいらなくて僕みたいな人でも働けるんですもんね! やる気次第で人生逆転あるな……」

    「是非お待ちしております! 目指すは社員旅行で家族込みのハワイ旅行です!

    「その時だけまた呼んでください」

     

    と、言うわけで手探りではありますが楽しい職業体験が終わりました。

    最後に一日体験して気づいたことを書いておきます!!

     

    ・応募資格は素直に学ぶ気持ちと運転免許だけ

    その他にも高い所が好きだったり、細かい作業や物作りが好きな人は向いてるそうです

     

    ・マスターするまでの道のりは長い

    水の流れを掴むのに8年ほどかかるそうです。優しく教えてくれるので頑張りましょう。手に職をつけるのってこれからの時代、大事です!

     

    ・社員の距離感が最高

    現場仕事って少し怖い印象があるかもしれませんが、程よい距離感でみんな仲がいいです。若い人が多いから?

     

    ・詳しいことは本を買ってみよう

    日本全国雨ニモマケズ―その雨漏り、私たち職人軍団が必ず直します。

    森さんの自伝である「日本全国 雨ニモマケズ」、Amazon等で買えるので是非お買い求めください。森社長、これでいいですか?(おみやげとしてもらった煎餅で買収されました)

     

    今回体験させてもらった『森建築板金工業』さんでは、素直で元気な職人を募集しています! もちろん未経験可です! これは本当のやつね!

    気になった方は↓こちらから連絡してみてください。

     

    イーアイデムで森建築板金工業の求人を見る

     

    森建築板金工業

    住所〒635-0002 奈良県大和高田市土庫2-4-28

    公式HP|https://moribankin.com/

     

    以上、みくのしんが体験させていただきました。現場からは以上です!

     

    ↓↓↓この後は画像ギャラリーでお楽しみください↓↓↓

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    みくのしん
    みくのしん

    本名、高杉 未来之進(たかすぎ みくのしん)と申します。それ以外の特徴は1mmもありません。1990年生まれ東京育ち、将来は大きい声を出しても良い部屋に住むのが夢です。ご検討の程お願いします。

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