こんにちは、ギャラクシーです。

みなさんは自分が死んだ時のことって考えてますか? 僕の場合、数年前に精巣がんが見つかった時、「いま自分が死んだら家族は困るだろうな~」ってめちゃ思いました。

 

オモコロ|【精巣ガン】クリスマスにきんたま取ってみた

 

考えてみたら、『自分が死んだあとに心配なこと』って山ほどあるじゃないですか。

・銀行口座やクレジットカードって家族はどう扱えばいい?

・電気、水道、ガス、スマホやインターネットを解約

・会社に連絡、退職(になるの?)

・マンションとかの賃貸契約ってどうする?

等など。

 

 

そして何より心配だったのが……

 

 

これです。

遺品整理で家族が僕のパソコンを見た時、好奇心で買ったエグい動画とか絶対に発見されたくない。

 

マンガでもよく『オレが死んだらハードディスクの中身を消去してくれ』みたいなセリフがありますが、現実的にそういうことって可能なの?

 

というわけで今回は―

 

一般社団法人終活カウンセラー協会の代表理事・武藤頼胡(むとうよりこ)さんに、死んだ後のことを相談してみました。

 

一般社団法人終活カウンセラー協会

講演や終活フェスタ、終活カウンセラー検定などを通じて終活の普及を図り、高齢者が安心安全に過ごせる社会を目指し活動する協会

公式HP

 

死んだ後ハードディスクを消去してほしい

「今日はよろしくお願いします!」

「よろしくお願いします。終活についてお知りになりたいとか?」

「そうなんです。数年前に精巣がんになった時、『いま死んだら、銀行口座などの情報を共有してないから家族は困るだろうなー』と思って……」

「大病を患うとそういうことがリアルに思えますよね。わかります」

「何より心配だったのが……」

「何でしょうか」

 

パソコンの中のエロいデータを見られたくないな、と」

「何よりの心配それ!?? 男性なんだからまあ、そういうのが出てきても驚かないんじゃないですか?」

「いや、100歩譲って普通のはいいとしても、好奇心で買ったエグいやつとかは見られたくないんです。『こういうのが好きだったのか』って思われたくない。好きとかじゃないから。好奇心だから」

「知りませんよ……」

「マンガやアニメで『オレが死んだらハードディスクの中身を消去してくれ』みたいなセリフがよくありますが、現実的にそういうことって可能ですか?」

「あの~今ってPCに保存しなくてもクラウド(ネット上)とかで見れるんじゃないんですか?」

「詳しいですね……その通りなんですけど、その場合でもパソコンやスマホの閲覧履歴を見られたくないんです」

「う~ん、結論から言うと―」

 

可能っちゃ可能です」

「可能っちゃ可能」

「そういったデータを、家族に見られたくないってことですよね? であれば家族に渡す遺書なりメモなりに、『パソコンとスマホに関しては友人に処分してもらう』って書けばOKです」

「一筆書く必要はあると。確かに、急に知らん人(自分にとっては友人)が現れて、『このパソコンは私が処理することになってるんで』って言われたら、家族も困惑しますよね」

「もしくは、ハードディスクの消去や見られたくない遺品を捨てるなどを含めて、『遺品整理をしてくれる業者さんに頼む』のもアリじゃないでしょうか。この場合もご家族に伝えておく必要はありますが」

「結論、家族に知られずハードディスクを消去するのは『可能』なんですね?」

「ただ、確実というわけではないです。メモや遺書には法的な強制力はないので、ご家族が『このパソコンは我が家の財産だから誰にも触らせない!』と言えばどうしようもありません」

※法的に強制力があるのは「遺言状」

「『可能っちゃ可能』というのはそういうことか」

「まあ『誰にも触らせない!』なんて家族あんまりいないですけどね。パソコンの処分だけ友人に任せるというのは……“そういうこと”ってわかるでしょうし」

 

「実際こういったお悩みって多いんですか?」

「男性は気にされる方がいるかもしれませんね。私が遺品整理に立ち会っている時、急死なさったおじいちゃんのベッドの下から謎のセーラー服が出てきて、奥さんや娘さんがすごく複雑な顔をしていたことがありました」

「絶対いやだ絶対いやだ」

 

伝えるべき情報で抜けがちなやつ

「エロくなくても、検索履歴とか昔の写真とか普通に見られたくないじゃないですか。女性だってタンスの奥の“あと一回穿いたら捨てよう”と思ってたボロボロの下着とか見られたくないですよね?」

「まあそうですね(笑)」

「そういう時はとにかくメモか遺書に『遺品の◯◯に関しては友人に任せる』って書いとけばいいと。ついでに銀行口座とか不動産屋の電話番号とかも書いておけばいいか」

「その“これを書いておけばいいか”の項目、自分一人で考えると絶対に抜けてる項目がありますよ」

「え~、あるかなぁ……?」

「例えばAmazonやNetflixなどを利用しているならそのパスワードとか……」

「あっ確かに! そういうのもパスワードを教えて退会してもらったほうがいいのか」

「退会、もしくは家族と共用してるなら継続のために教えたほうがいいってことですね」

「まったく考えてなかった」

「退会したい場合、大抵のサービスはご本人が亡くなって銀行口座が封鎖されたら引き落とされないとは思いますが……家族と共用の口座、もしくは会社で登録していると、口座は生きているので引き落とされる可能性があります」

「うわ、他にも色んなサービスに登録してますよ僕。絵を描く時に使ってるサブスクのソフトとか、ゲームの有料オンラインサービスとか、DMMとか……確かにこれ、『死んだらこうしよう』って考えた時、抜けがちな情報ですね」

「ですよね。他にも、会社のパソコンや使用サービスのパスワードって上司や同僚に伝えてますか?」

「……伝えてないです!! うわ、やばっ。例えば僕のメールのログイン情報がわからなければ、『僕しか連絡できない取引先』に誰も連絡できなくなるのか……!」

「連絡といえば……お葬式に呼びたい人の連絡先とか、家族に伝えていますか?」

「あああぁぁ~~! バイト時代の友達とか、“家族が知らない人”を葬式に呼びたい時、連絡手段を伝えてない……」

「ね、伝えるべき情報って、自分ひとりだとパッと思いつかないでしょ? そういう時に使ってほしいのが……こちらの『エンディングノート』です。家族に伝えておくべき情報や連絡先なんかが書けるようになっています」

 

これがエンディングノート……?

 

財産をどうしたいか、お葬式をどうしたいかなど、色んな項目がビッシリ書かれている

 

「へ~、エンディングノートってもっとシンプルな『プロフィール帳』程度のやつを想像してたけど、めちゃめちゃいっぱい項目が書かれてる! これにチェックを入れたり書き加えたりするっていう形式なんだ」

「この一冊で大体伝えておくべきことが網羅されています」

 

▼必ず伝えておくべき情報

・銀行口座の情報

 └複数の口座をもっている人はすべて伝えましょう。誰も把握していない『知らずの口座』が問題になってるそうです

・クレジットカード

・電気・ガス・インターネットなどの情報

・不動産の情報

・保険や年金などの情報

 └生命保険は受取人が『ください』って言わないともらえないこともあるので絶対伝えておこう

・死亡したことを伝えたい人の連絡先

・お葬式に呼びたい人のリスト

・そもそもお葬式をどうしたいかの希望(お墓や戒名は?)

・パソコンやスマホのパスワード

・会社のパソコンや使用サービスのパスワード

・遺品や財産の分配

 └これは法的に有効な「遺言状」の分野ですが、“できれば”ハードディスクを消去したいな~、くらいの希望ならエンディングノートに書けばOK

 

▼忘れそうな情報

・希望の遺影があれば伝えておく

・Amazon PrimeやNetflixなどの登録情報

 └購入履歴や閲覧履歴を知られたくない場合は友人に頼む

・有料のサブスクサービスなどオンラインで引き落とされる各種サービス

 └DMMなど購入履歴や閲覧履歴を知られたくない場合は友人に頼む

・TwitterやFacebookなど、死んだ後にフォロワーに伝えたいメッセージがあれば

・一人暮らしでペットを飼っている人は誰に預けるのか書いておく

 

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自分の希望だけじゃなくて家族の希望もある

『遺品や財産の分配』は本来『遺言状(法的に有効)』の分野だと思いますが、誰がどれを受け取るかみたいなことじゃなくて、もっと単純な……これって捨てていいの?みたいな問題ありませんか?」

「ありますね。服とかアクセサリーとか趣味の品とか、故人から何も言われてないと捨てていいのか迷いますね」

「故人の趣味の品で、実はすごく価値が高いものがあっても、家族には判断できないから……メルカリとかで売って価値の分かる人の手に渡ったほうがいいのかな」

「最近は売る人も多いですよ。私も思い出としていくつかは残しますけど、他は売るか捨てるかしてしまいますね」

「僕は植物を育てるのが趣味なんですが、死んだら全部捨てられるんだろうな~。僕の思い出の品として一個くらいは受け継いで育ててほしいけど……」

「ではその一個を指定してあげるといいですよ! 家族も思い出の品は1つくらい残したいでしょうし、その1つは、せっかくだから『故人が大事にしていたもの』がいいじゃないですか」

「これ、育ててるのが植物だからまだマシですが、犬とか猫といったペットだと……」

「そうですね。特に一人暮らしのかたは『自分が急に死んだらペットをどうするつもりなのか』明確に決めておいたほうがいいですね」

「そうですよね。こればっかりは事前に決めておかないと、当てにしてた人が『うちのマンションはペット不可なんで』ってなったらペットがかわいそうだから」

 

「ちなみにお葬式ってどうしたいですか? 盛大にやってほしいとか家族だけでやってほしいとか……」

「なん~~~~~~~にも考えてませんでした。漠然と、葬式も墓も無しで散骨してほしいとか思ってたけど、その希望を誰にも喋ったことはなかったです」

「あ! それは必ず家族に伝えておいたほうがいいですよ。自分の希望も大事だけど、ご家族にも希望がありますから。『ちゃんと葬式してお墓に入れてあげたい』って思ってたのに、突然書き置きで『葬式しないで』って伝えられても困ってしまうので」

事前にすり合わせておいたほうがいいと。まあ確かに僕の場合は、家族を困惑させてまで自分の希望をごり押ししたいわけじゃないですね」

「遺族は、故人と自分の希望を 時間がない中で選ばなきゃいけない。お悩みになる遺族もいるかと思います。エンディングノートって、希望は書いていいけど、自分勝手に書けばいいってわけではないんですね」

「そもそも家族を困らせたくなくてエンディングノートを書いてるわけだし、すり合わせ大事ですね」

 

「ギャラクシーさんはお墓も要らないとのことですが……」

「要らないというか、こだわりが何も無いだけなんです。正直、ゴミ箱に捨ててくれてもいい(注:遺骨を遺棄すると犯罪です!)。こだわりが無いもののために家族にお金を使わせるのもアレかなーって程度ですね」

「なるほど。実はお墓もトラブルになりやすいんですよね。例えば『夫と同じ墓に入りたくない』という主婦って意外と多いんです」

「え~なんか悲しい」

「単純に『夫が嫌い』ってことじゃなくて、『自分の実家の墓に入りたいって理由もあります」

「そういうことか……それは全然いいじゃないですか」

「ただし法律的には、たとえ遺言状に『この墓に入りたい』と書かれていても、遺族がその通りにする義務はありません

「えーそうなんだ! 遺言状というのは、遺書やエンディングノートと違って法的に有効じゃないんですか?」

「遺言状に書かれていればなんでもかんでも有効ってわけじゃなくて、『法律的に有効な項目』は定められています。納骨の場所に関してはそれに該当しないんです」

「じゃあ実家のお墓に入りたいとか、お墓は要りませんと言っても、希望通りにしてくれないこともあると。これも事前にすりあわせておくべきですね~」

 

大事なのは実は『情報』ではない?

「『必要な情報』だけじゃなくて、『思い』みたいなことを書くスペースも多くとってありますから、そちらもぜひ書いてください」

「う~~~ん、『思い』……とか、要りますかね? 湿っぽいのが苦手なので、必要な情報だけ書けばいいかなーと思っちゃった」

「いえむしろ逆ですよ。情報は、無いと困るけど究極 なんとかなるんです。でも『家族に感謝を伝えておけばよかった』みたいな思いって、伝えないまま亡くなると必ず後悔します」

「確かに、自分が死ぬとわかったら色んな人に『今までありがとう』と伝えたい。『こんなことあったよね』とか語りたい。突然の死で伝えられなかったとしたら……うわ、それは後悔するかも」

「残された家族も、読みたいのは『思い』の方だったりします。エンディングノートの中に、亡くなったギャラクシーさんを見つけて、何度も何度も読み返すものですよ」

「でもエンディングノートって『どこに保管してるか』を家族に知らせてないとだめですよね? 万が一、家族への感謝とかを、生前にフライングで読まれたらめちゃめちゃ恥ずかしくないですか」

「いえいえ、恥ずかしいことじゃないですよ。『死ぬから感謝する』わけじゃなくて、『普段から感謝していることを伝える』んですから」

「うわ、めちゃ良いこと言った!!!!」

「私は一年に一回、誕生日にエンディングノートを更新しています。まあ現実的に、年月が経つと周囲の状況も変わりますからね。息子が結婚したとか葬式に呼ぼうと思ってた方が亡くなったとか」

「一回書いて終わりじゃなくて、更新もしたほうがいいんだ。あっ……! エンディングノートってパソコンにエクセルとかで書けばよくね?と思ってたんですが、ひょっとして紙のノートにしてる理由って……」

「そう、『思い』が伝わりやすい手書きのほうがいいですね」

「そういうことか! 確かに、大事な人が亡くなったら、手書きの文を見て『あの人の文字だ……』って思いたい。文字って特徴あるから」

 

「いやもう僕、終活について素人すぎました。『伝えるべき情報』を全然想像できてなかった」

「私の場合、20年近く前に母が亡くなったんですね。その時、エンディングノートとかはなかったので、最後まで正解がわからなかった。お葬式はこれでよかったのかな、呼んで欲しい人が他にいたんじゃないかなって」

「なるほど。そういう経験が今の仕事やエンディングノートに詰まっているわけですね。実際、エンディングノートを含めた終活って、やってる人は多いんですか?」

「最近は特に多いですね。メインはご高齢のかたですけれど、20代も普通にいますよ!」

「終活って絶対若い時からやっといた方がいいですよね。自分が誰にありがとうと思っているのか、若いうちから自覚して生きたほうがいいと思う。僕もエンディングノート、書きます!!」

「ぜひ! 『思い』の部分も書いてくださいね」

 

まとめ

というわけで今回は自分が死んだあとに家族が困らないよう、どんな情報を残せばいいのか?についてお話をうかがいました。

そして、ハードディスクの中身や、エッチなサブスクサービスの閲覧履歴は家族に見られずに済みそうです! ほっ……

 

おわり

 

 

今回のおさらい

▼必ず伝えておくべき情報

・銀行口座の情報

 └複数の口座をもっている人はすべて伝えましょう。誰も把握していない『知らずの口座』が問題になってるそうです

・クレジットカード

・電気・ガス・インターネットなどの情報

・不動産の情報

・保険や年金などの情報

 └生命保険は受取人が『ください』って言わないともらえないこともあるので絶対伝えておこう

・死亡したことを伝えたい人の連絡先

・お葬式に呼びたい人のリスト

・そもそもお葬式をどうしたいかの希望(お墓や戒名は?)

・パソコンやスマホのパスワード

・会社のパソコンや使用サービスのパスワード

・遺品や財産の分配

 └これは法的に有効な「遺言状」の分野ですが、“できれば”ハードディスクを消去したいな~、くらいの希望ならエンディングノートに書けばOK

 

▼忘れそうな情報

・希望の遺影があれば伝えておく

・Amazon PrimeやNetflixなどの登録情報

 └購入履歴や閲覧履歴を知られたくない場合は友人に頼む

・有料のサブスクサービスなどオンラインで引き落とされる各種サービス

 └DMMなど購入履歴や閲覧履歴を知られたくない場合は友人に頼む

・TwitterやFacebookなど、死んだ後にフォロワーに伝えたいメッセージがあれば

・一人暮らしでペットを飼っている人は誰に預けるのか書いておく