
『ご近所物語』に憧れていた中学生時代。友達のお姉ちゃんの影響で古着と出会う

「そもそも、お二人はどうして地元の松本で古着屋を始めようと思ったんですか? なにかきっかけが?」
「私たち、小学校からの幼馴染で。中学生の頃、みんなで遊ぶ予定だった日に他の子たちが来れなくなっちゃって、二人で服を作って遊んだんだよね」
「『何して遊ぶ?』って雑誌をめくってたら、服の作り方が載っていたんだよね。それで『やってみようか』って」
「二人で布を買ってきて、お母さんにミシンを借りてね。ベビードールワンピースっていう、胸の下からふわってなる形のワンピース作ろうとしたんだけど、服飾用語がわからなくてサイズを間違えて、ボディコンみたいになっちゃったんですよ」
「ピッチピチになっちゃったよね(笑)。失敗したね〜って」

「でも結局、丈を短くしてキャミソールにしたんですよ。肩紐にチロリアンテープをつけて。あれはあれでかわいかったよね」
「その頃からリメイクを!」
「そこから、二人で服を作って遊ぶようになったんです。あの頃はまだ子供だったから、『一緒にパリコレに行こう!』って言ってたよね。今の工房を見たら、泣いて喜ぶと思うな」

「Monique」で使っているトルソーやミシンなどの一部は、専門学校時代から大切に使い続けているもの
「私たちが中学生くらいの時、矢沢あいさんの『ご近所物語』っていう漫画が流行っていて。服飾の学校に通う女の子が主人公なんだけど、あの世界観に憧れていたよね」
「本当に家が近所だったからね。歩いて5分だったから、ミシンを持ってお互いの家に遊びに行っていました」
「でも、服作りが好きだったところからどうして古着屋さんに?」

「古着が好きになったのは、友達のお姉ちゃんの影響で」
「服を作って遊び出したのが先か、古着が好きになったのが先かは曖昧だけど、仲良しグループの一人の子のお姉ちゃんがすごくおしゃれで。あんな風になりたい! って、同じ店に服を買いに行ったんです。それが古着屋さんで、すごくかわいいお店だった」
「そこからすっかりハマっちゃって、相当お小遣いをつぎ込んだよね。買ってきた古着と作った服をコーディネートしあったり、お家でファッションショーして遊んだり」
「別々の高校に進学してからも、二人で服を作ってフリマで売ったり、古着屋さんに一緒に行ったりして遊んでいたよね。進路の話はしていなかったけど、お互い、たまたま東京の同じ服飾の専門学校を希望していて」
「おぉ、自然と同じ道に」
「専門学校に通い始めてから、自然と『いつか二人で古着屋をやろう』って決めました。中学生の頃から『二人でなにかやりたい』とは思っていたんだけど、明確な目標になったのはこの頃かな」

専門学生時代から愛用している文鎮は今も現役。古いものを長く使う二人の精神は、お店のいろんな部分から窺える
「卒業後は、一旦それぞれ東京の別の古着屋さんで働きながら、ルームシェアして開業資金を貯めました。バイトだったけど、アメリカの買い付けにも連れて行ってもらえたんだよね。古着屋としての仕事の仕方はそこで教えてもらって」
「ルームシェアまで! お二人は本当に仲がいいんですね。その頃から、いつかは松本でお店をやろうという気持ちがあったんですか?」
「最初の頃は、松本とは決めていなかったよね」
「そうそう。でも、東京で働き始めて二年くらいする頃には、松本に帰りたくなってきたんだよね。夏休みに二人で松本に帰ってきて、安曇野でサイクリングして遊んだ時に、『あれ、地元ってすっごくいいところじゃん!』と思ったのを覚えています」

「一回離れたことで、逆に松本に帰りたい気持ちが出てきたのかもしれないね。それに、当時はまだ松本には古着屋さんが少なかったから、今なら私たちもいけるんじゃないかって」
「そうそう。やりたいことは決まってるんだから、いつまでも東京で働くのはやめようって。本当に見切り発車で松本に帰ってきました」
「絶対うまくいかない」と言われた二人が、今は「地元の成功事例」として紹介されるように

「でも、最初は『絶対にやめた方がいい!』って周りにすごく反対されたよね」
「いろんな人に反対されましたね。東京で勤めていた古着屋のオーナーにすら、『友達同士なんて絶対うまくいかないよ』とか、『女二人で店をやろうなんて、どっちかに彼氏ができて終わりになるよ』と言われて」
「え~! そんなことを」
「だけど、『そんな考え方もあるんだね〜』って気にしなかったですね。この物件に決めた時も、商工会議所の担当の人に『ここは立地がよくない』って言われたけど聞かなくて」
「駅前とかより、一本外れた裏通りの方がかっこいい気がしたんですよ。でも、いざオープンしてみたら、最初は言われた通りだった気がしたよね。本当に人が通らなくて! SNSもまだなかったから、一生懸命ブログを書いて発信しました」

2006年に、二人は松本市で『PINK』をオープン。二人が30代になった2013年に、『Monique』にリニューアル
「人が来ないからって、また移転するお金もなかったしね。でも、お店を続けていくうちにこの通りに服屋さんができたり飲食店ができたり、街が開けてきた」
「結果的には正解だったね。でも、最初の頃はやっぱり古着屋だけじゃ食べられなくて、どっちかがお店に立ってる間にもう一人はアルバイトをして、代わりばんこでなんとかやっていました」
「お店として軌道に乗ったのは、オープンから何年目ぐらいなんですか?」
「今も軌道に乗ってるとは思ってないですね。さすがにアルバイトをしないとやっていけない時期は抜けたけど。今月は売り上げたと思ったら次の月は全然、なんてことは今でもあるし」
「難しいよね。よく潰れてないな〜って思うよ」
「それでも、お友達同士で好きなことをずっと続けていられるのってすごいことですよね。お二人が続けてこられたのはどうしてだと思いますか?」
「なんだろうね。ケンカしたことも一度もないよね? 二人でいろいろ考えて、工夫しながらやっていると楽くて。続けてきたというよりは、ただやめなかっただけだよね」
「うん。年齢を重ねるうちに好みも変わってきたから、その都度お店も変えてきたしね。最初にオープンした時は『PINK』という名前で、壁一面真っ赤な内装だったし、ガーリーなアイテムしか扱ってなかったんですよ」

「Monique」の前身、「PINK」時代の店内
「そうそう。自分達が30代になるタイミングで、内装も品揃えも変えてリニューアルオープンして『Monique』になったんです。その頃からメンズ古着も扱うようになって」
「それはお店の客層を広げるために?」
「というより、昔は二人ともメンズアイテムにあんまり興味がなくて。でも、20代後半くらいからだんだんボーイッシュなものをミックスして着るのが楽しくなってきたんです。それで自然とお店も変わってきました」

現在の「Monique」。メンズアイテムや雑貨も並ぶ
古いものを長く使うための工夫は楽しい!好きな服を好きに楽しんで

「『Monique』になってから約十年が経って、『これまで裏でやっていたリペア・リメイクの過程をもっと表に出してもいいんじゃない?』と考えて、今度は工房を構えてリニューアルしたんです」
「その時の自分たちが好きなようにお店を変えてきたのも、『リメイクして長く着続ける』精神が生きている気がします。お二人の好きなものがその都度形になってきたのがこのお店なんですね」
「そんな言い方しちゃうと大袈裟だけどね。でも、お店も一緒に成長してきたね」
「私の友達に、友達と一緒に松本でお店を始めようとしている子がいて。少し前に商工会議所に相談しに行ったら、『友達同士でお店をやるのは絶対にやめた方がいいけど、一つ例外があって』ってうちの話をされたらしいんです」
「えー! すごい! 最初は反対されていたのに、今は成功例の一つに」
「でも本当に、なにか特別なことをしてきたわけじゃなくて、中学生の頃から変わっていないんですよ」
「考えてみれば、あのキャミソール以来、ずっと二人で服を作ってるもんね」
「お二人が今後やってみたいことはありますか?」

「私たちは、『環境問題をなんとかしたい』『社会貢献がしたい』というよりは、ただ古着が好きで、古くていいものを長く使うのっていいよね、という感覚なんです。お店を通して、これからもそれが伝わっていけばといいなと思っています」
「私たちはこれまで、古着屋としてのイベント出店はあんまりしていなかったんですが、10月に長野市で行われるワークショップのイベント『みんなの文化祭』に出店してみることにしたんです。古着をリメイクして作ったエコバックや、持ち込んでもらった洋服にワッペンをつけるワークショップを企画しています。そういう企画もいろいろやってみたいよね」
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使用するワッペンは、どれも古着のリペア・リメイクの過程で出来たもの
「それは楽しそうです!」
「新しいものを用意するんじゃなくて、そもそも余ってるものを活用したアイテムに、自分でさらにアレンジをしてもらってね。新しいものを買う以外に、古いものを長く使う工夫をする選択肢もあるし、楽しいよって。古着を取り入れた着こなしも、『ヴィンテージの古着は貴重だから大切に着なくちゃ』と身構えるよりも、『好きなものを好きなように着る』のが一番だと思います」
「大事に着てきた服を、いつか『もう着ない』と思ったときは、うちに相談にきてくれたらうれしいです」
「そうやって一着の服が長く大切にされていったらいいですよね」
おわりに
取材後、早速衣替えを始めた私。お二人の話を思い出し、タンスから引っ張り出した秋冬用のニットを全て自分で手洗いしてみました。
どれも、「前は気に入っていたけど、最近ときめかなくなったな〜」と思っていましたが、せっせと手洗いしてきれいになったニットを畳んでいると、なんだか愛着が湧いてきて「早く着たいな、もっと寒くならないかな」という気持ちに。

家族や友人から譲ってもらったものや、古着屋さんで気に入って買ったニットたち
袖の伸び具合が気になっていたニットも、ボディ部分はまだまだ着られそうだし、今度Moniqueさんにリメイクしてもらおうかな。そうやってお直した服は、さらに思い入れが増してもっと大事になっていくはず。
<お知らせ>
今年の「りんご音楽祭」でも、「りんご音楽祭」×「Monique vintage store」のコラボグッズが販売決定!
https://ringofes.info/news/remake_goods/『りんご音楽祭2024』
日程:9月28日(土)~29日(日)※雨天決行・荒天中止
開場9:00/開演10:00/閉演20:30/閉場21:30
会場:アルプス公園(〒390-0861 長野県松本市蟻ケ崎2455番地)
Monique vintage storeのホームページ https://monique-vintage.com/
リペア・リメイクサービスのinstagram https://www.instagram.com/monique_repair/
撮影:Naka Hashimoto







































