【工場見学】誰も知らないマンホールの作り方とトリビア

2018.07.17

【工場見学】誰も知らないマンホールの作り方とトリビア

マンホールのデザインは場所によって、地方によってしくみや種類が変わる?実際に作っている工場を見学して、素材や製造方法について話を伺ってきました。人気のマンホールカードについても教えてもらいましたよ!

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    ドロロロ……ジュオォーー!

     

    ゴウンゴウンゴウン……

     

    ドォ~~~ン!

     

    お、重い……! こんにちは、ライターのみらいです。突然ですが、栃木のマンホール工場に来ています。

    ※ちなみにマンホールは40kgほども重量があるので、どう頑張っても持ち上がりませんでした

     

    私は幼い頃から「上を向いて歩きなさい」と言われて育ったので、地面に注目することはなかったんですが……先日ふと見てみると、マンホールって、こんなに色々なデザインがあったんだっけ?とすごく気になったのです。

     

    例えばこれは、多摩動物公園で見つけたマンホール。

    動物が描かれていてかわいい~! 外国人観光客のかたも写真を撮っていました。

     

    足立区で見つけたマンホール。

    足立区はオーストラリアのベルモントという町と姉妹都市だそう。オーストラリアの代表的な鳥のひとつ、カワセミがデザインされています。

     

    東京ではこのデザインのものをよく見かけますよね。東京都の花が桜なのです。

    お花見の時も、桜だけじゃなくてマンホールにも注目したくなりますね!

     

    かっこいい……!

    マンホールって1つ1つデザインが凝っていて紋章みたい!

     

    でも、なんでデザインが違うの? 他にも、ご当地柄のマンホールがたくさんあるのかな?

    色々気になってきてしまった……!

     

    マンホール工場へ行ってみた!

    ということで、マンホール工場に見学にきたわけです。

     

    工場の案内をしてくれるのは、日之出水道機器株式会社の白井さん。

    それではマンホールができるまでの、遙かなる道のりを見ていきましょう。

     

    母型準備

    まずは、作成するマンホールの母型(おもがた=もとになる型)を選びます。

    この倉庫には天井近くまで山のように母型が格納されていて、コンピューターで操作すると自動販売機のようにウイ~ンと動いて、いつでも取り出せるのです。近未来すぎ。

     

    材料準備

    マンホールに適した鉄をつくります。スクラップが主材料となり、それを電気炉で溶かして材料にするそう。

    画面手前の操作パネルで、巨大なUFOキャッチャーみたいにスクラップをキャッチします。

     

    スクラップを溶かしたものがこちら。

    1500度もあるので、間違えて中に入ると人体消滅するそうです。こわっ! ひょっとして……これを使えば完全犯罪が……でき……

     

    材料を型に入れる

    特殊な砂で母型の型を取り、そこに先ほど溶かした鉄を流し込みます。この方法を「鋳造」と言います。

     

    冷却後、砂型を壊せば、中からマンホールが出てくるというわけですね。かなり完成に近づいてきました!

     

    仕上げ

    この時点では、まだ端はザラザラ・チクチクしています。「バリ」という不要な突起がついているからだそう。

    これを丁寧にけずっていきます。ひ、火花が散ってる~~~!

     

    完成品チェック

    最後は人間の目で、不具合がないか入念にチェックをします。

    ちなみに「マンホールといえば黒い色」というイメージだと思いますが、できたばかりのマンホールは銀色というか、鉄の色をしています。

    実は錆(サビ)を防ぐために、黒い塗装をしていたんですね!

     

    カラー塗装

    絵が入ったものなど、黒以外のカラーが必要な場合は、職人が手作業で塗装します。

    めちゃめちゃ細かい作業なうえ、塗装に使うのは樹脂なので、固まるまでの間に仕上げる必要があります。1時間ほどで全てを完成させなくてはならないそう。

     

    「マンホールのデザインは誰がやっているんですか? 各都市、各自治体の職員?」

    「マンホールは、車や人が滑ったり引っかかったりしないよう、均等な滑り抵抗値じゃないといけないんです。一般的なデザイナーでは無理なので、最終的には我々のような専門業者がデザインしますね」

    「確かに無地の鉄だったらツルツル滑りそうですね」

     

    完成品がこちら。

    キャラクターやロゴ以外の余白部分に、水玉のように小さな丸い凸部分がありますよね? これがなければ「樹脂のみの部分」が多くなって滑りやすくなるというわけです。

     

    樹脂の部分は赤子の肌よりすっべすべ!

     

    浮上試験

    「では最後に、『浮上試験』というものを見て頂きましょう。中央のマンホールにご注目ください。マンホールは、ゲリラ豪雨などで浸水しても、マンホールが地面から外れないようになっているんです」

    「ハリウッド映画では、よくマンホールがバカーン!とふっとんだりしますが、そうならないための工夫があるんですね? で、いつ始まるんですか?」

    「あ、たぶんもうちょっと離れたほうがいいですよ」

    「???」

     

    カタッ、カタッ、カタタタタ…………ドシャァァァー!!!

     

    うわあああぁぁ!! 想定してた以上の噴射だった!」

    「どうですかー!? 外れてないでしょう!? 急激に雨が降った場合でも、マンホールが外れずに、空気と水を逃がす機能がついてるんです

     

    「外れてない。外れてないし、虹が出てる!!」

    「工場員から……あなたへのサプライズです(キラッ☆)」

    「は?」

     

    というわけで、マンホールの製造工程を見て頂きましたが……工場を見学したらますますマンホールに興味がわいてきてしまった!

    今度はさらに深い話を、マンホールの専門家に聞いてみます。

     

    マンホール専門家の門戸を叩こう

    この方はマンホールのスペシャリスト、日本グラウンドマンホール工業会の山田秀人さんです。

     

    日本グラウンドマンホール工業会(JGMA)

    国内の下水道用マンホール蓋製造メーカー21社で構成する団体。
    マンホール蓋の設計基準の全国統一や、安全で安心なマンホール蓋の普及を目的に活動している。

    公式HP

     

    「さきほどマンホール工場を見学してきたんですが、ますますマンホールに興味がわいてしまいました」

    「それは良かった。マンホールのことなら何でも聞いてください」

    「ではまずデザインについて教えてください。都内や観光地だけでもたくさんの種類がありましたけど、もしかして全国にはもっとデザインがあるんですか?

    「その通りです!マンホールは都市別に必ずデザインが違います。日本にはおよそ1700の都市があるから……」

    1700種類ってことですか!?

    「と、言いたいところなんですが、過去のものも含めてマンホールのデザインは1万種類はあると言われているんですよ」

     

    予想以上に多かった! 私が見た中では、東京23区には桜、多摩動物公園には動物……という風にその土地にゆかりのあるデザインがされるんですね」

    「都市ごとに、その土地の特徴や風土、景観などを意識しながら、考えて作られているんですよ」

    「工場でもいくつかマンホールのデザインを見ましたが、もっと色んな場所のマンホールの柄が見たいなあ」

    「それでしたら、『マンホールカード』というものがありますよ! こちらをご覧ください」

     

    じゃん!

     

    マンホールカード

    下水道広報プラットホーム(GKP)が、全国の自治体と共同発行しているコレクションカード

     

    「各都市のデザインは、これを見ればわかりやすいです」

    「わっ、ほんとだ。全国各地のマンホールがカードになってるんだ! 色鮮やかなものが多いですねー!」

    「現在マンホールカードの種類は342種類。301都市が参加していて、合計発行枚数は180万枚にのぼります」

     

    これは静岡県・富士市のデザイン。

    富士山といえば日本の象徴ということで、すごく人気があるんだそう

     

    これは大阪市のマンホールカード。言わずと知れた大阪城がデザインされてます。

    工場で教えてもらった通り、この波しぶきも、滑らないように計算されてデザインされているんですよ!

     

    札幌市は時計台のデザイン。

    鮭が遡上してきているのも北海道っぽさがでますね。

     

    岡山といえば日本が誇る昔話、桃太郎。

    目のところにこだわりを感じてしまいますね。

     

    多摩市にはキティちゃんのマンホールがあります。『サンリオピューロランド』があるからだそう。

     

    それぞれのカードの裏面には、特徴やデザインの由来などの解説が書かれています。

    詳しくは→こちら

     

    「私もマンホールカード欲しくなっちゃいました! どこで買えるんですか?」

    「いえ、マンホールカードは無料です。ただし、その土地の役所に行かないと手に入らないんです」

    「えぇっ! じゃあ時計台のカードが欲しいなら札幌までいかないといけないの……?」

    「そういうことになりますね。現地に行かないとカードが手に入らないというシステムは、地方の観光業を盛り上げることに一役買っているんです。カードを求めて都市を奔走する『マンホーラー』が数多く存在していますから

    「マンホーラー?」

    マンホーラーとは、マンホールを愛する人びとの名称です」

    「いや、そうだろうとは思いましたけど、そんな人がいるんですね」

    「熱狂的にマンホールを愛する人は、実は結構多いんです。イベントなども開催されてますよ!

     

    グッズも人気なんだとか。コースターかわいいですね

     

    もっと!マンホールのあれこれ

    「ここでちょっと、意外に知られていない事実をお話ししましょうか」

    「ゴクリ……」

    「今までずっと、『マンホール』『マンホール』と連呼してきましたが、実はあれはマンホールではないんです」

    「え!!マンホールじゃないんですか?!」

    「マンホールとは、その名の通り下水道を管理する人(マン)が通るための穴(ホール)という意味です。なので『マンホール』というのは、穴のことを指します

    「では、今まで私が『マンホール』と呼んでいた、円くて黒いアレのことは、なんと呼べばいいんですか?」

    「あれは、人がマンホールに落ちたりしないように、穴を塞ぐ蓋なんです。だから、厳密には『マンホールの蓋』ですね」

     

    よくよく考えたらその通りですね。なんで今までそんなことも気が付かずに生活していたのだろう……あれ、どう見ても蓋じゃん!」

    「この業界ではグラウンドマンホールとか、人孔蓋とか呼ばれますが……まあ『このグラウンドマンホールが~』と書いてもややこしいと思うので、記事上ではこれからも『マンホール』と呼びましょう」

    「そんなことまで考えてくれてありがとうございます。では改めて。業界的には、マンホールの数をバンバン増やせば儲かるんですよね?」

    「いえ、現在マンホールの数は1500万個くらいあるんですが、実はこれ以上、もうあまり増えないんです。全国の隅々まで行き渡ってきたので」

    「へー!そうなんですね。でも寿命というか、取り換えたりはするんですよね?」

    「はい。30年~40年に一度、取り換え作業をします。古いものはコンクリート製のものが多くて、安全性能が今より低いんです」

    「工場で見てきましたが、現代のマンホールは鉄でできているんですよね?」

     

    「正確に言うと、ダクタイル鋳鉄という、比較的柔らかい鉄なんです。車道のマンホールは車にバンバン踏まれるので、固すぎると割れてしまうんですね。強い風が吹くと、硬い木は折れてしまうけど、柳は折れないでしょ」

    「なるほど。素材は進化を続けてるんですね」

    「そうですね。パッと見た感じではわかりにくいですが、デザイン的にも進化を遂げています。カーブのところにあるマンホールは滑りやすいから、デザインをこうして滑りにくくしよう、とかね」

    「あの~、思ったんですがそもそもなぜ円盤型なんでしょうか?」

    「円形なのは、最も下に落ちにくい形状だからですね。四角だと、斜めにすると落ちちゃうので」

    「ハート型とか星型のマンホールがあれば可愛いと思ったんですが、無理ですか?」

    「マンホールには基準というのがあるんです。日本下水道協会が寸法や規格、材質などの基準を決めてます。星型とかは無理じゃないかなぁ」

    「絶対かわいいのに……。でも今日はマンホールについて色々勉強できたので楽しかったです。最後にひとつお聞きしたいことがあるんですが」

    「なんでも聞いてください。マンホールのことをみんなに知ってもらうのが、私の仕事ですから」

    「ルパン一味や怪盗キッドなんかが、よくマンホールを開けて下水道から逃げたりしますよね。それって可能なんですか?
    マンホールには鍵がついているので、一般の人は開けることができません。逃走ルートに下水道を組み込むのはやめたほうがいいですね」
    「そう……ですか……では計画を練り直します。今日はありがとうございました……」
    「銀行でも襲う気だったんですか?」

     

    まとめ

    国民にとって重要な役割を担っている、マンホール。

    それは日本が世界に誇る文化物でもあります。実際、外国人観光客がマンホールを撮影してる姿、よく見ますよね。

    デザインから製作過程まで全てが奥深かった~!

     

    マンホーラーがカードをもらうために土地を訪れることで、地方創生にも繋がるという、新しい発想も興味深かったですね。私もこれからはマンホーラー目指して、今まで以上にマンホールに注目してみます!

     

    みなさんも、良かったら自分の町のマンホール(のデザイン)を、ハッシュタグ「#マンホールのデザイン」で教えてくださいね!

     

     

     

    (おわり)

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    みらい
    みらい

    1993年東京は八王子生まれ。春霞のように生きることが目標のかけだしフリーライター。ゆるい記事書きます。お笑いとコーラが好き。

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