こんにちは、ライターの大島と申します。ジモコロでは「文学部」や「就活」をテーマに取材記事を書いたりしています。皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕はそこそこ元気に引きこもっております。元々飲み会とかも好まないインドア派なので、精神的ダメージは軽いほうです。
ともかく、予想もしなかった2020年になりましたね。
新型コロナウイルスの感染拡大、外出自粛、史上初の緊急事態宣言。どこの業界の方も大変な日々を過ごされていることと思います。
僕はいま大学4年生でして(過去に留年したため多くの友人は先に卒業しました…)、就職活動の真っ最中なのですが、大学やら就活やらにもやっぱり影響は出てきています。
・オンライン授業、アクセス過多でそもそも授業に出られない
・図書館と研究室が閉まり、文系学生の研究が詰んでる
・オンラインのグループ面接で、他の学生が喋ってるときどんな顔したらいいのか問題
などなど……。
今回はそんな日々をいち大学生の目線から切り取って、お届けしてみます!
3月。春休み後半、気のゆるみ
すでに2月末から学校への休校要請が出されたり、コンサートが中止になったりしつつも、世間の空気感としては「日本はまだ大丈夫だろうけど海外が大変だね~」「一応マスクはしとかないとね~」くらいだったように思います。
まわりでも、海外への卒業旅行を予定していた人はことごとくキャンセル。
かわいそうだなぁと思いながら、僕は国内旅行に行っていました。
伊豆大島の「裏砂漠」
そして3月下旬、大学の卒業式がありました。
名目としては「縮小での開催」で、各学部の成績優秀者それぞれ1名だけが出席するという、よく考えるとわりとシビアな催しでした。選ばれし神々の儀式。
先ほども書いたように僕はまだ卒業しないのですが、クラスメイトや学科同期の多くが卒業しますし、アカデミックガウンや振袖で写真を撮る人も多いらしく。
僕も「思い出づくり」をしようと、キャンパスに足を運びました。
しかし……じつはこの前日、友人のH君から、「海外から帰ってきてまだ2週間経ってないから、卒業式行くのはやめとくよ」という連絡が来ていたのです。
それを受けた僕らは、「そうか仕方ないな~」という気持ちと、「でも多分そのくらい大丈夫なのになぁ」という思いを同時に感じていました。
で、当日はといえば、写真撮影をする卒業生たちで人だかりができていました。「いや式を縮小した意味ないじゃん」というくらいの。
はっきり言ってこのときはまだ、油断していました。自分も他のみんなも。
一応「卒業生以外は立ち入り禁止」でしたが、厳格な入構制限はされていなかったため、キャンパスには保護者の姿もチラホラ。まだ大学側の意識もゆるかったのでしょう。
僕が本格的に危機感を募らせ、冷や汗が出始めたのは、まさに卒業式の2日後くらい。
いろんなネットの記事を読み漁っていくうちに、「なんで俺もみんなも卒業式に行ってしまったんだ!」と悔いる気持ちでいっぱいになりました。
そしてその週末、東京都からの強い外出自粛要請によって、ようやく街も閑散とし始めます。
4月。大学が始まったけれど……
さて、4月になると大学の学期が始まります。しかしキャンパスに行くわけにはいかない。
大学ごとにいろんな対応が見られる中、うちの大学ではかなり早い段階でオンラインミーティング用ツール「Zoom」を使った授業への移行が決まりました。
しかし授業の画面を開くためのURLが、履修登録などに使う学生用のポータルサイト「UTAS(ユータス)」に載っているため、授業時間になるとみんながUTASにアクセスしまくってサーバーがダウン。全くサイトを開けない事態に……。阿鼻叫喚。
挙句、Twitterで「UTAS」がトレンド入りする始末。みんなTwitterやりすぎ。
いまは大学側の迅速な対応により、アクセス集中問題はクリアされています
そして忘れちゃいけないのが、そもそもネット世代である学生はいいとして、先生方がZoomを使いこなせるのか問題。
僕のいる文学部はまだ授業が始まっていないのですが、うちの研究室はふだんのレポートでさえ未だにメール提出とかではなく「印刷してホチキス止めして封筒に入れる」スタイルの超絶アナログな気風なのです。
研究の道では超一流の先生たちがZoomに悪戦苦闘する姿を想像すると、「頑張ってください><」以外の感情はなくなりますね……。
(ちなみにこちらの記事に、オンライン授業をやってみた大学教員の方々のツイートがまとめられています)
また何より大きいのは、緊急事態宣言の発令に伴って「図書館・研究室が閉まった」という点。
基本的に文学部の学生は、ゼミやレポート課題を前にしたとき「とりあえず図書館か研究室で文献や資料を集めなきゃ!」から始まる生き物です。
学科や内容にもよりますが、一回のゼミ発表で参考文献が20~30冊くらい必要になることもザラだったり……。まさに本が生命線なのです。
これで研究室の蔵書のほんの一部。「死活問題」感、なんとなく伝わりますでしょうか
そして街の本屋さんもけっこう休業しています。さしあたりネットで論文を読んだり、手元にある本を読んだりするくらいしかできません。
とはいえ、オンライン授業には「1限の授業に出席するときに早起きせずに済む」「アーカイブが残しやすい」など、いろんなメリットもあります。一長一短ですね。
世界が大きく動く今こそ勉強しなくては!という感じもあるので、やれる範囲で頑張ります。
そして就活にもオンライン化の波が
また、就活生としてもいろいろな変化を感じています(あくまで自分の経験の範囲内での話です)。
まずは3月、会社の説明会がZoomでの開催に変わりました。
このときは対面でのイベントは「いったん」中止します、くらいの雰囲気でした。しかし4月になるとオンラインへの全面的な移行が進んでいきます。
選考の過程に、テストセンターという所に赴いて受検する「適性検査」(能力テスト的な)を盛り込んでいる企業も多いのですが、それも自宅受検ができるようになりました。
問題集もあったりします
そして一番気になるのは、やはり面接。こちらもやはりZoomで開催されることとなりました。
僕は4月頭に初めて経験しました。その際は、学生3人、社員さん1人のグループ面接。
【オンライン就活の良いところ】
・家から出ないので、当然ラク
・緊張は和らぎやすい
・企業側もWeb面接に慣れてないので、学生側がちょっとミスっても許してくれそう
・上半身の服装をちゃんとしてれば下半身は何でも大丈夫
【オンライン就活の悪いところ】
・企業に実際に足を運ぶことで、社内の雰囲気とかも知りたかった
・光の当たり方ひとつで自分の人相が変わるので、自撮りスキルが試されてる感
・他の学生が喋ってるときどんな顔してればいいの?
特に最後のやつに関しては、ふつうのグループ面接だったら「面接官1人」と「学生数人」が向き合う形なので、「学生どうし」が顔を突き合わせることってありませんよね。
でもオンラインだと他の学生が喋ってるときも自分の顔は画面に映ってるので、反応に困る。一応ぎこちない笑顔を浮かべてみたりしています。正解はいったい何??
僕のぎこちない笑顔の例
なんにせよ、めちゃめちゃ感じるのは「いま企業の人事の人たちがものすごいスピードで対応策を練っているんだろうなあ」ということ……。これに関しては本当に頭の下がる思いです。
しかし仮に最終面接までオンラインでやるとしたら、いざ対面したときに「こんなヤバい奴だったのか!?」みたいなことも起こり得ます。将来「ほらあの人、コロナ就活世代だから変人なのよ」とか言われたら最悪ですね。
……まあそれは半分冗談だとしても、実際、面接を重ねるうちに社員さんの雰囲気などが分かってくる部分はあると思うんです。
オンライン選考ばかりだと学生と企業とのミスマッチが増えて、入社後の離職率が高くなる可能性もあるのでは?と密かに予想しています。
ただ、特に地方在住の学生にとっては、「わざわざ交通費をかけずにすむ」というメリットも確実にあります。効率化という意味でも、オンライン面接が定着していくこと自体は良いことだなと個人的に思っています。
ともかく今はやれることをやるしかないですね。就活生も、企業も。
まわりの友人、バイト、新入生の話
生活においては、僕自身はまだ大きな不都合を感じずに済んでいます。けれどまわりを見ると、いろいろな軋みを感じざるを得ません。
留学の真っ最中だったのに帰国を余儀なくされたり、今年留学する予定だったのがパーになったりした友人も多いです。
授業に関しては、たとえば大学側がオンライン授業を始めようとしても、そもそも家にWi-Fi環境が整っていない人も大勢いるわけです。
僕の友人にも何人かそういう人がいて、困っていました。結局大学側がWi-Fiルーターの貸出を手配しているので何とかなりそうですが、全員に行き渡るかどうかはわかりません。
また、特にゼミ形式の授業ではカメラをONにして喋ることも求められますが、これも各々の事情によってはなかなかしんどい。たとえば、実家に「自分の部屋」を持たない人はつらいですよね(僕も持っていません)。
家族が近くにいる場合は「うるさいからしばらく黙ってて!」と、反抗期スレスレみたいなことを言うしかありません。
もちろん自室がある人でも油断禁物です。かつて、ニコニコ生放送をしている最中に親が意図せず乱入してしまう「親フラ」なる言葉がありましたが、それと近いことが大学の授業で普通に起こり得ます。嫌すぎる。
(Zoomは「仮想背景」が設定できるので、プライバシーの保護の観点から、これ読んでる学生の方は必ず設定しましょうね!!)
左下の「ビデオ」の右にある矢印から「仮想背景を選択してください」をクリックして設定できます
また、学生のバイトがなくなる問題もあります。
自分のバイト先である小さな塾は、3月末でいったん休業になりました。すでに学校のほうは休校になっていましたし、これは仕方ありません。
保護者の方が「学校は休校なのに塾はまだ開いていて、心配です」とおっしゃっていました。そりゃそうだ。
そして「バイトがなくなる」ことに関しては、一人暮らしをしている人のほうが圧倒的にダメージをこうむることになります。実家から十分な仕送りをもらえる人ばかりではありません。
それと忘れちゃいけないのが、今年の新1年生のこと。特に上京してきて一人暮らし、寮暮らしの人は大変です。
思い描いたキャンパスライフとあまりに違うよね……という精神的なつらさもありますし、何よりサークルの新歓イベントもなし、大学の人と仲良くなる機会もなしで、情報格差が生じてくるのもしんどそうです。
特に、「時間割を組む」という大学に入って最初の難関。先輩や友人に履修の相談もできず、組み方をミスって留年する人が増えてしまいそうな予感もします。
なぜそう言えるかというと、他ならぬ僕が履修ミスで留年した実体験があるからです!……胸張って言うことではありませんが。
まとめ
いろんな変化や困りごとをつらつらと書いてきましたが、現状、僕自身は運命を分かつような大きな危機には直面していません。
ただ、それは「たまたま」そうなっているだけ、というのは忘れちゃいけないと思っています。
都内で実家暮らしなのも、性格的に部屋にこもっているのが苦じゃないのも、ウイルスに感染していないのも、自分の努力とか以前に、たまたまです。
「飲食店やフリーランスが困ってる?そういう働き方を選んだんだから自己責任でしょ?」なんて、口が裂けても言いたくありません。いま困っているのが自分じゃないとしても、明日は我が身かもしれない。
せめてアンテナを張って、想像力を持って、まわりの痛みをキャッチできる人でありたい……と思いながら暮らしています。
散歩のとき撮った近所の桜
きっとのちのち、僕たちくらいの世代は「コロナ就活世代」と呼ばれることになるでしょう。
変化に戸惑うこともあります。いろんなものが消えたり生まれたりしたあとの「新しい世界」に自分が適応していけるのか、正直怖いです。
それでも確実に、時代のうねりの中心にいる感覚があります。なら決して目をそらしたくない。
この戦い(とあえて呼びます)の帰結がどうなるにせよ、その行方をよく見ておかねば、と思っています。
人にただ自慢したいだけの我が家のマツバギク
あと、どうでもいいのですが、数十年後に「ちょうど自分らの代から〇〇がオンラインになったんだよ~」と若者に自慢する老害おじさんになりそうな心配はありますね。というか、その未来しか見えません。こわい。
まあしかし、そんな自慢をして笑えるほど明るい未来になっていればひとまず万々歳ということで!
感染に注意を払い、主張すべきことは主張して……日々をなんとか生きていきましょうね。
それではまた~!