一般人はお断り!警察官グッズの専門店に潜入してきた

2019.02.21

一般人はお断り!警察官グッズの専門店に潜入してきた

警察関係者のみにオリジナル警察グッズを販売する専門店、有限会社有富商会。今回は特別にお店の中を見せていただき、グッズ販売の経緯などについてお話を伺いました。

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    こんにちは。ライターの斎藤充博です。今日来ているのは「警察官向けに警察グッズを販売しているお店」の「有限会社有富商会」です。

     

    外観が全然お店っぽくありませんが、理由があります。こちらに入れるのは警察関係者だけ。一般人は入ることができません。

     

    しかし今回、ジモコロ編集部の強力なツテをたどって、取材させていただけることになりました。ドキドキ……。

    建物に入っても、まだお店っぽくないですね。受付の電話で身分を名乗ると、上に行くことができます。

     

    というわけで、ようやく着きました! ここが、警察官しか入れない警察官向けグッズ専門店、有限会社有富商会です。

     

    警察グッズがズラリ。ピーポくん、制服警官人形、白バイ人形……。

     

    いろいろな種類のグローブ。白バイ隊員が買っていくのかな……?

     

    お菓子もある。「パトクッキー」に

     

    「POLICEまんじゅうⅡ」……! な、なんだこりゃ!?

    一般人でも警察グッズは作れる

    有限会社有富商会を経営している有富祥司社長にお話をうかがうことができました!

     

    「警察グッズをこんなに取り扱っているということは……有富さんは警察関係者なんですか?」

    「いえ。私は警察官向けに仕事をしているだけで、警察関係者ではないですね」

    「こういう『警察のエンブレム』を使っているのはどうなんですか……?」

    「これは警視庁から発注を受けて制作した物です。ノベルティグッズとして使われています」

    「そういうグッズなんですね。ちょっと欲しい……。僕も一つ買っていいですか?」

    「それはダメなんですよ。問題にならないように、私たちが売るのは『警察官か、警察の外郭団体』のみに決めています。これは警察関係のグッズを扱っている会社の業界ルールですね」

    「自主規制をかけているんですね。でも、欲しがる人は絶対にいますよね?」

    「イベントなどで、警察官からノベルティとして手に入れてもらうしかないですね。一部のグッズは『交通安全協会』が運営している売店で売られていることもありますが」

    「なるほど……」

    独立してすぐに「白バイ隊員のストラップ」が売れた

    「なんでこんな商売を思いついたのでしょうか?」

    「僕はむかし、『記念品』を作って販売する会社に勤めていたんです。そこでは警察グッズをほんの少し扱っていて、警察に卸していたんです」

    「そこから発想を得たんですね」

    「そうですね。会社員だったときに僕は『これからは警察グッズをもっと作れば売れるんじゃないのか?』って思ってたんです。そこで、警察グッズの専門ノベルティ屋として、独立しました」

    「そこで思い切ってニッチに踏み切るの、すごいな」

    「独立して最初にヒットしたのが『白バイ隊員』のストラップですね。2001年です。あの頃って、みんなケータイにストラップをジャラジャラ付けていたでしょう?」

    そのストラップがこれ。

     

    「あー! ありましたね。ストラップ文化。懐かしい……」

     

    「業者として警察に出入りする中で、警察官の人が『白バイ隊員ストラップあったらいいのにな』なんて言っているのを聞いたんです。そこですぐに白バイ隊員のキャラを作りました」

     

    社長自ら警察官の絵を描いた

    「これはどうやって作ったんですか?」

    当時は社員もいないし、貧乏でイラストレーターも使えない。そこで私が絵を描いたんです」

     

    同じデザインの首振り人形。ソーラー発電で動く。

     

    「社長自ら? それでこのクオリティはすごいな」

    「まず白バイはリアルに描こうと思っていました」

    「たしかにリアルです」

    「悩んだのが顔ですね。警察官の顔をあんまりかわいく描いちゃうと、モデルである警察官からはよく思われないんじゃないかな? って思ったんです」

    「でも、かわいいくできていますよね?」

    「妻に『キャラクターなんだから顔は絶対かわいい方がいい』って言われてまして。顔を大きくかわいくしました」

    「それがうまくいった、と」

    白バイ隊員が白バイ隊員のストラップを買ってゆく

    「そうなんです。まず、買っていったのは白バイ隊員です」

    「自分の仕事のストラップを自分の携帯に付けるんだ。確かにかわいいかも」

    「また、白バイ隊員が他の人にプレゼントしていって、どんどん売れました」

    「確かに、白バイ隊員に白バイ隊のストラップもらったら、うれしいですよね……」

    「売り出したのが夏休み前だったんです。警察官は違う地方から来て勤務している人も多い。そうすると、白バイ隊が、白バイのストラップをつけて夏休みに地元に戻ります。そこで彼らが地元の警察官と交流すると『なにそのストラップ! どこで買えるの?』ってことになるんです」

    「完全に流行の経路が見える」

     

    「そんな中、ある白バイ隊員の人が『このストラップ、着信が来たときにピカピカ光ればいいのになあ』って言っていたのを聞きまして……。当時そういうグッズがたくさんありましたよね?」

    「ああ! ありましたね」

    「これもすぐに作りました。僕は当時33歳。そんなにお金もないですが、『着信で光る白バイストラップ』に資金を全部つぎ込みましたね。『これが売れなかったら首をくくらなきゃな』と思っていたんですが、これも大ウケ。『とんでもないハイテクグッズが出たぞ』って警察中が大騒ぎです」

     

    景気のいい話にうっとりする僕。なお、この時にたまたまメガネが壊れてズレているのですが、記事にはなんの関係もありません。

     

    「すご!!! それに光る白バイストラップで興奮する警察官かわいいな……」

    「全国の警察からガンガン発注が来ましたよ。発送作業を私一人でやっていたので大変でした。夜中に家とポストを何度も往復していたら、パトロール中の警察官に呼び止められて。職務質問です。『あなた、夜中にさっきからなにしているんですか?』って」

    「『光る白バイストラップを全国の警察向けに発送している」とは言いにくいですね(笑)」

    携帯ストラップの次は「おまんじゅう」

    「でも携帯のストラップって、みんなだんだん使わなくなりますよね?」

    「そう! そこなんですよ。まず、電波が変わったことですね。ストラップに内蔵していた光る装置は、movaの電波に反応するんです。FOMAになったら、光らなくなってしまいました」

    「movaもFOMAも今や両方懐かしいですね」

    「そこでですね、次の目玉商品を考えました」

    「それはいったい……?」

    「『まんじゅう』ですね」

    「お店にあった『POLICEまんじゅうⅡ』ですか?」

    これが売れているのか~。警察官も、手ぶらじゃちょっと行きにくいときが、あるんだろうな……。あと、「Ⅱ」というところが気になる。なにか改良があったのか? どうでもいいけど……。

     

    「中身は、普通のまんじゅうですよね……?」

    「普通のまんじゅうですね(笑)。まんじゅうが売れたので、その他のお菓子も作るようになりました」

     

    おこげせんべい。

     

    パトカーのまんじゅう。こっちも「Ⅱ」だ。

     

    「今では売上のかなりの部分をお菓子が占めています。うちはストラップ屋さんで始まって、まんじゅう屋さんになったようなものです(笑)」

    「警察官向けの店をやろうとして『まんじゅう作ろう』って思う人、まずいないと思います」

    ロングセラー「角形小銭入れ」と「指紋採取セット入れ」

    「警察官が身につける物も売られていますよね? あれって普通のお店で売っている物とは違うんですか?」

    「この『角形小銭入れ』を見てほしいんですが……」

    「普通の小銭入れにみえますね」

    「そうです。何の変哲もないように見えるでしょう? でもこれはうちのロングセラー商品なんです」

    「なぜ……?」

    「まず、制服の警察官ってほとんど財布を持ち歩かないんです」

    「えっ? そうなんですか」

    「世間の目があると、制服で買い物ってそうそうできないですから。持っていないのが普通なんです。でも、警察官だって自販機で飲み物を買いたいときくらいあるでしょう? 夏の炎天下で無理をして、熱中症になってしまったら元も子もないですから。そこで必要なのが小銭入れ」

    「世間の目厳しいな……。でも、それだったら普通の小銭入れでも良いんじゃないですか?」

    「小銭だけじゃなくて、免許証も持ち歩きたいんですよ。パトカーを運転しますからね。そこで免許証が入る『角形小銭入れ』が便利なんです」

    「なるほど……! これは普通の人には思いつかないですね」

    「これも警察官の意見を吸い上げて商品化した物ですね。15年前に作ったのですが、ずっと売れ続けています」

     

    「そういうのでいうと、これもヒットですね」

    「警察官が指紋をとるやつですよね?」

    「指紋をとる道具はうちでは扱っていなくて、左にある『ケース』がうちのヒット商品です」

    「これが?」

    「警察官って指紋をとる道具をすぐに取り出せるようにしたいんですよ。そこで専用ケースが必要になるんです。これはマグネットで蓋がかんたんに開閉できます。すごく便利らしいですよ」

     

    引き続きメガネがずれていますが、記事内容とはなんの関係もありません。

     

    「警察、すぐに指紋とりますもんね……。このケースも見たことあるんだろうな~」

    「かなりの警官が使っていますからね。指紋をとられたことがあるのなら、多分見たことがあるはずです」

    警察官も汗をかく

    「この『デコ汗シート』ってなんですか?」

    「警察官ってずっと制帽を被っているでしょう? でも、夏場はどうしても汗をかくんですよね」

    「そんなときに、このシートをおでこのところにつけて、汗で蒸れないようにするんです」

    「あ~。なるほど! 『警察官が汗をかく』ってことを考えたことがなかったです! そりゃかきますよね!」

    「ちなみに頭のてっぺんにつけるものもあります」

    「こんな風につける。これで涼しくなるってわけでもないんですけれどもね。ちょっとサラッとするくらいの効果があります」

    「僕は汗っかきなので、こういう道具の便利さはよくわかりますよ……」

    警察官って『制帽は防具』という考え方をするらしくて、暑くても脱げないんですよね。また、そうそう洗濯ができるものでもないですし。大変だと思います」

    刑事は手錠を隠して持ち歩きたい

    「ニッチな道具おもしろいですね! 他にもありますか?」

     

    「そうですね。これは『刑事さん向けの手錠入れ』です」

    「刑事さん向けの手錠入れは、普通の手錠入れと違うってことですか……?」

    「左にあるのが、普通の手錠入れのレプリカですね。制服の内側にこれをセットします。でも、これだと手錠の本体が見えてしまうんですよね。私服の刑事さんの背広の内側から手錠がチラチラ見えているとまずいでしょう?」

    「細かい気配り! でも、それでうまくいく捜査もあるんだろうなあ」

    キャラクターとのコラボもしている

    「最近では、キャラクターとのコラボ商品も活発ですね」

    「確かに見たことのあるキャラがゾロゾロいます」

     

    キティーちゃんとその彼氏のダニエルくん。

    リラックマ。

     

    コップのフチ子さん。

     

    「……君たちいつの間に警察に就職したんだよ、って思いますが」

    「キャラクターは使用条件がいろいろあって、契約関係が大変ですね。ただ、やっぱりよく売れます。僕もやっていておもしろいと思います」

    ハンドスピナーは売れず……

    「逆に売れなかった物ってありますか?」

    「ありますよ……。これですね」

     


    「ハンドスピナーだ。これは売れなかったんですか?」

    「びっくりするくらい売れなかったですね……。作ってみたんですが、売る頃にはブームが全て終わっていたという……」

    「メチャクチャおもしろいのに……!」

    作ってみたいのは……「靴」


    「いろいろなグッズを作られていますが、『今後こんなグッズを作ってみたいな』っていうのはありますか?」

    靴ですね

    「靴?」

    「警察官って革靴を履いているじゃないですか。でもあれって犯人を追いかけるときに不利じゃないですか?」

    「確かにそうだ! 革靴は走りにくい」

    「そう。だから思い切って、革靴はやめる。そして、走りやすいスニーカーにしたらいいんじゃないかな、って思います。まあ、そんな話が僕のところに来るかどうかわかりませんが……」

    「犯人はスニーカーなのに、警察官が革靴で追いつくの、大変そうですもんね……。そんなことを考えたこともなかった。ナイスアイディアかもしれない……」

    まとめ

    調べてみたら、警察官の人数は全国で約30万だそう。近い人口の地域は東京都豊島区です(約29万人)。ぜんぜん商売が成り立つ規模。ニッチだけども、大きな市場だった……!

     

    それにしても警察グッズを通して、警察官の仕事が見えてくるのがおもしろかったです。僕も一度は警察官から「POLICEまんじゅうⅡ」を手土産にされてみたい。

     

    いや、ぜんぜん普通のまんじゅうってことはわかっているんだけれども、やっぱり気になる!

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    斎藤充博
    斎藤充博

    1982年栃木県生まれ。東京で指圧師をやっています。インターネットで記事を書くことをどうしてもやめられない。

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