【すべり台は42万円】懐かしい遊具から最新作まで、製作会社に聞いてきた

2018.08.08

【すべり台は42万円】懐かしい遊具から最新作まで、製作会社に聞いてきた

子供の頃に遊んだすべり台やブランコ、あれって値段はいくらなの? 危険ということで今はもう見ることがない遊具とは? 最新の公園遊具を製作している会社に聞いてきました!

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    初めまして! ライターのオケモトです!

    何歳になっても公園っていいですよね。

     

    何がいいって遊具がいい! 最近だと形もユニークなものが多いし、凝ったギミックのものや、巨大なものまで……僕が子供の頃よりめちゃめちゃ進化してるんです。

     

    ※撮影|大和ゆとりの森公園(神奈川県大和市福田4112)

     

    そんな遊具も公園に突然生えてきたわけではありません。作って設置している人がいるはず!

    ・一体誰が作ってるの?

    ・お値段はいくらなの?

    ・昔はよく回転する球形のジャングルジム(?)みたいな遊具で遊んだんだけど、今見かけなくなってるのはなんで?

     

    公園の遊具のこと、もっと知りた~い!! 

     

    遊具を作っている会社に行く

    というわけで、公園の遊具を作っているという「株式会社コトブキ」にやってきました。

     

    株式会社コトブキ

    創業100年。もともとは大学の講堂やスタジアムの椅子を手がけていたが、1980年からは遊具にも着手。現在は遊具のほかにパブリックスペースに置かれるベンチや案内板なども製作している。

    公式HP

     

    なお今回は、年輩の人に「昔の遊具」の意見を聞きたかったため、ジモコロ編集部のギャラクシー(40代)に同行してもらいました。

     

    「遊具を作ってるのって、どういう人なんですかね。きっと遊ぶことが大好きな、ハチャメチャな人が出てきますよ!」

    「そんなことないと思うけどな~」

    「いいや、自宅をジャングルジムで作ってるような、ブッ飛んだ人たちに決まって……」

    そんなわけないでしょ

     

    株式会社コトブキの井上栞さん(左)、一木誠さん(右)

     

    「し、失礼しました。早速なんですが株式会社コトブキさんは、公園の遊具を作っている会社なんですよね? どれくらい歴史があるんでしょうか」

    「創業100年になります。といっても、もともとは椅子の製作がメインの会社だったんですよ。市民会館や学校や野球場など、公共家具と呼ばれる椅子を作っていました」

    「今でもパブリックスペースに置かれるベンチですとか、案内板なども扱っていますよ」

    「ということは、遊具を作り始めたのは最近なんですか?

    昭和54年(1979)頃からですかね。当時は鉄棒やブランコ、滑り台、砂場といったスタンダードなものが多かったんですが、『もっとおもしろい、新しい遊具を子どもたちに提供したい』と思い、作り始めたんです」

    「もっとおもしろいって……遊具はそもそも、おもしろいものでは?」

    「鉄棒とかがまさにそうなんですが、遊具は、体育用具から派生・進化してきたものなんです。なので『鍛える』『役に立つ』という目的があるんですが、弊社では『楽しい』『おもしろい』もの……つまり、“遊具”として発展させたかったわけです」

    「最初はブッ飛んだ人たちなんだろうと予想してたけど、めちゃめちゃ真面目に取り組んでた……!」

     

    あの遊具のお値段

    「前から気になっていたんですけど遊具の値段、たとえば一般的なよくあるすべり台とかは、いくらなんですか?」

    「確かに知りたい。値段の想像がつかないもん」

     

    「このすべり台ですと、42万円になります」

    42万円!! それなりにお値段がしますね……」

    「安全性や耐久性が必要ですからね」

    「これ『どうしても自宅の庭に置きたいんです』って言ったら、置くことは可能?」

    「可能です。ただ、あまり買う人はいないですけどね。だって公園に行けばいいから(笑)」

    「確かに家にある意味がない……他には、例えば砂場とかはいくらなんでしょうか」

     

    普通の四角い砂場よりも最近のはこういう空中に浮いてるものがおススメです」

    「これが砂場? 未来感あるな~。これだと猫がうんこしないですね!」

    「それもありますが、車いすの子どもも一緒に遊べるというコンセプトもあります。ちなみに価格は27万円になります」

    「へぇ~。遊具の値段っておもしろい! ではブランコは?」

     

    「これは4連のタイプなんですが、これで40万円くらいです」

    「おぉ、ブランコ安い!!」

    「感覚がマヒしてない?」

     

    「2連だと20万くらいです」

    20万!? ありかも…ギャラクシーさん! 編集部に一つ買いましょうよ!」

    「仕事するスペースが無くなるでしょ」

     

    子供が喜ぶ遊具には理由があった?

     

    「ちなみに、この柵は安全領域を表しています。例えばボールを追いかけてきた子供が、ブランコの可動域に入ってくると危ないですから、それを防止してるんですね」

    「子供の頃はこの柵の上を、バランスを取りながらどこまで歩けるか競ってました。あの二つ目の継ぎ目までいったぜ! とか言って」

    「まあ間違った使い方なので推奨はできませんけどね」

    「よく見ると、ブランコの下に茶色っぽい絨毯(?)みたいなものが敷かれているような……?」

    「そうなんです。最近は床にクッション性の物が敷かれる事が普通になりましたね

    「昔はこんなのなかったから、地面がえぐれてましたよね。めっちゃ水が溜まってた記憶がある。それをバシャーン!ってやりながら漕ぐのがまた楽しかったものですが」

    「ブランコに正しい乗り方ってあるんでしょうか。例えば立ち漕ぎって、作っている会社的にはやめてほしいんですかね」

    「いえ、立ち漕ぎは間違った乗り方ではないですね。最初から想定された、オフィシャルな乗り方です」

     

     

    「すごく根本的なことを聞きますが、ブランコって、何がおもしろいんですか? 靴飛ばしくらいしかやったことない」

    「漕ぐこと自体が楽しいのでは?」

    「そう、それがすごく重要です! ブランコを漕ぐことによって三半規管が揺れるでしょう? 前庭感覚刺激というんですけど、揺れる動きの刺激に子供は喜ぶんですよ。この感覚は子供たちの情緒の安定とも関係しています」

    前庭感覚刺激!? そんなことも考えられているんですか!?」

    「もちろんです。強い前庭感覚刺激は、脳を目覚めさせる快感がある……これはジェットコースターなんかがそうですね。逆に、弱い刺激は脳を落ち着かせる……ゆりかごとかがそうですよね」

    「子供がどういうものを楽しいと感じるのか、学術的な理論が利用される時代なんだ……」

     

    姿を消した遊具たち

    「公園の遊具が、信じられないくらい進化しているというのがわかりました。ただ、逆に失われた遊具というのもあるのではないでしょうか。昔回転するジャングルジムみたいなのでよく遊んだんですが」

    「はい、グローブジャングルのことですね」

     

    「これこれ! まさにこれが近所の公園にありました! 懐かしい~。これをめっちゃくちゃに回すの楽しかった~」

    グローブジャングルは、現在 確かに絶滅危惧種ですね」

    「これ支柱が一本しかないですよね? その一本が折れると重たい金属がガクッと落ちてくることになって、いざという時 危険だということで……」

    「回転するのがダメなわけじゃないんだ」

    「回転がダメなわけじゃないですね。というか、グローブジャングルもダメってわけじゃなくて、安全規準上は設置してもいいことになっているんです」

    「え、じゃあなぜ絶滅の危機に瀕してるんですか?」

    「どの遊具も定期的にメンテナンスや安全規準を満たしているかチェックする義務があるんですが……グローブジャングルの場合は、支柱が1本しかないので、絶対に折れてはいけない。だから地面を掘り返して調べないといけないんですよ」

     

    「公園を管理している方からすると、そんなことはそう頻繁にはできない」

    「確かに、点検する人件費も時間もかかる……それなら、メンテナンスが楽な別の遊具を設置しようってなるのか」

    今の遊具は点検の手間があまりかからないとか、そういう面も考慮されて作られたりしてます」

    「じゃあグローブジャングルは、今は作っていない?」

    「少なくとも弊社では作ってないです。作っている会社がないわけではないんですが、買う人は少なくなってますね」

    「地元の公園はグローブジャングルが撤去されてしまったんです。子供心に悲しくて……しかも、代わりに何かが設置されたわけではなくて、ただの空き地になってしまったんですよね」

    「撤去するのも、新しい遊具を置くのもお金がかかりますから」

    「我々も子供の頃に遊具で遊んだ楽しい思い出があるから、こういう会社で働いてるわけです。子どもたちが遊べる遊具が無くなってしまうのは、とても残念です」

    「他には絶滅した遊具ってありますか?」

    「う~ん、そうですね、箱ブランコとか…」

     

    「あーーーっ!! これもムチャするやつだーー!! 好きだったなぁ」

    「これは当時、実際に事故がいくつかあって。重量150kgの鉄の物体がビュンッと向かってくるのは、そもそも危険ではないか?ということになりました」

    グローブジャングルは安全規準上はOKなんですが、箱ブランコはNGになりました」

    ちゃんとした遊び方を守っていれば問題はないんでしょうが、子どもに守らせるのは難しいですよね。実際、この遊具に関しては『どれくらいムチャできるか』という感じで遊んでました」

     

    こんなに進化した! 遊具の今昔

    「他にも古い遊具を見てみたいんですけど、写真って残ってますか?」

     

    「これは僕が好きな遊具。揺れて回る雲梯(うんてい)みたいなものですね。『トリプルリング』と言います」

     


    「こちらは1980年代の物になりますが、当時最新の遊具の展示会みたいなものです。船橋のビルの屋上で行われました(今はありません)」

     


    「これはウチで作ったスプリング遊具の初代ですね。木でできてます」

    「この時代にヘラジカをもってくる感性すごい。……おっ、こっちのカタログはもう少し最近のものですね」

     

     

    「これは、材質は強化プラスチックかな? 進化してる!」

    「いま見に行くと、さらに姿が変わっていますよ」

    「え? どういうこと?」

     

    「これが現行のカタログなんですが、こうなってます」

    「人間の子どもがイモムシに騎乗するって、よく考えたらカオスな状況ですね」

    「いや、形ではなく可動部分に注目して下さい。さっきのはスプリング式でしたが、今はロッキング機構、スイング式にどんどん変わっていってます」

     

    左が昔のもので「スプリング式」、右は現在のもので「スイング式」

     

    「本当だ。ぐるぐるのスプリングじゃなくて棒になってますね。なぜなんですか?」

    「いくつか理由があるんですが、まずスプリング式だと劣化が目視で確認しづらいんです。メンテナンスが大変なので、対応性の高いものに変わりました

    「メンテナンスしやすいかどうかって、遊具業界ではすごく重要なんですね」

    「遊び方の面で言うと、スプリングだと遊ぶためには初動力が必要なんです。小さい子は力が足りなくて動かせないこともある。その点スイング式は、少ない力で楽しむことができます」

    「ちなみにこれ一つ買うとおいくらなんですか?」

     

    「こちらのシリーズは1つ11万5000円です」

    「頑張れば手が届く値段ですね。僕は黄色の……エビフライみたいなやつがほしいです」

    「よくご存知ですね。黄色の『ハニー』は、一般ユーザーにはエビフライと呼ばれることも多いです。イモムシなんですけどね」

    「スプリング式からスイング式になったように、他に進化した遊具はありますか?」

    「進化したと言えば、やはり滑り台系ではないでしょうか。例えば最近出た『モーグルヒル』という遊具は人気がありますよ」

     

    「すべり台の坂の部分がモコモコして……あ、だから“モーグルヒル”なのか。同時に何人も滑ることができるし、確かに楽しそうですね」

    「………………ん? え、何これ!! うわっ、心霊写真だ!」

     

     

    「違います。斜面が半透明の強化プラスチックになっていて、下で顔を押し付けてる友だちが見えたり、上で遊んでいる子の影が見えたりする仕様なんです」

    「登って、滑れて、覗ける遊具なんですね。これはおいくらなんですか?

    「一番大きいタイプで580万円になります」

    580万!!さすがに買えない! それにしてもすごいですね。僕が子供のころはこんなのなくて、コンクリートで作られたただの坂みたいなのがありました」

    「昔はよくありましたね。コンクリートの坂とか、ありじごくとかタコ滑り台もそうですし。でも、ああいうのは今、やれなくなってきているんです」

     

    「え? なんでですか? ありじごくとか、タコ滑り台とか、めちゃめちゃ好きだったんですけど」

    「コンクリートって硬いんで、転んで頭ぶつけると危ないというのが、まずあります。そして技術的に作る職人がいなくなってる」

    「作れる職人が減ってきているんですね……なんか寂しい」

    「あと、実はコストもすごくかかるんです。モーグルヒルのほうが全然安いですよ」

    「え?! そうなんですか? 逆だと思ってた! コンクリートの坂って高級品だったんだ!」

    「コンクリートって、ダムとかと同じで造成工事になりますからね。値段も手間も段違いです。強化プラスチックのモーグルヒルなら、材料費も製作も安く済む。しかも、強度はあるのに弾性もあるから安全というわけです」

    「現代に合った遊具なんですね」

    昔あった遊具のいいところをいかに再現するかというところが、遊具メーカーに託されていることと言えます。新しいものを、より楽しく安全に、ですね」

     

    未来の遊具はどうなる?

    「僕らが子どもの頃には想像できなかったほど、新しい遊具がたくさん出てきています。さらに未来になると、一体どうなってしまうのでしょう」

    ICカードを使った遊具ができるかもしれないですね」

    「カードに自分の記録がとれる、みたいなやつですね。すでにゲームセンターの格闘ゲームや競馬のゲームなんかでは実装されてますよね。それで世界の子供たちと競争するんです」

    「競争……遊具で?」

    「まあ、簡単なアスレチックみたいな感じですかね。どの遊具を何秒で回れたとか、そういうのがネットに繋がって、世界のランキングになると」

    「おもしろそうですね! 僕も参戦して小学生を蹴散らそう!」

    「最低の大人ですね」

     

    「遊具の歴史に詳しいお二人にお聞きしたいんですが、遊具だけで考えると、今と昔どちらの子供が幸せだと思います? 僕は今日見させていただいて、今のほうが楽しそうだなあと思ったんですけど」

    圧倒的に今のほうがいいですよ。種類も多いし、それぞれの遊具のクオリティも高い」

    「こんな遊具が私の子供時代にあったらなあ~って思います。一日中遊ぶのに!」

    「うわー、遊具を作ってる人もそう思ってるんだ。今の子供たち! ラッキーだぞ!」

    「ただ昔が悪かったかというとそうでもないと思いますよ。子どもの頃って危ないこととか、ムチャな冒険が好きだから。そんな中で、どういうことをしたら危ないのか学べたのかもしれない」

    「なるほど。そういう機会を失った子どもたちが、大人になってから危機に直面して学び直さなきゃいけないって状況もあり得ますからね」

    「それでも僕は今の最新遊具で遊びたいですけどね! 今日は懐かしくて楽しい話が聞けて良かったです! ありがとうございました」

    「はい、みなさん大人になってもぜひ公園で遊んでください! 今は『健康遊具』といって、健康のための運動ができる遊具だってありますから」

    「ですね。正しい使用方法を守って、楽しく遊んでくださいね!」

     

    コトブキの遊具がある! 都内お勧め公園

    公園にある遊具を作っているのは、子どものよりよい未来を考える人たちであり、そして……子どもより遊具が好きな大人たちでした。

    みなさん、最新の遊具がどこにあるのか気になったんじゃないですか?

     

    というわけで最後に、都内のコトブキ製遊具のあるお勧め公園を紹介します!

     

    井の頭恩賜公園

    ここには、大人と子どもが触れ合いながら遊べる遊具、「マジカルフォレスト」が設置されています。

     

    こちらが「マジカルフォレスト」イギリスのデザインユニット「デザインライト」とのコラボ製品なんだとか。

    一度入ったらでら出られなそうな複雑な形。こういうのを脱出するのは、子供のほうが得意なんでしょうね。

     

    井之頭公園は広いので散歩にも―

     

    最適ですよ!

     

    井の頭恩賜公園

    住所|東京都武蔵野市御殿山1-18-31

     

    葛飾区 住吉公園

    記事の中にも出てきた最新の遊具「モーグルヒル」が設置されている公園です。

     

    こちらが「モーグルヒル」子どもたちがひっきりなしに登ったり降りたりするもんだから写真を撮るのが大変でした。

    モーグルヒルは都内だと「豊島区西池袋公園」にもあります!

     

    葛飾区 住吉公園

    住所|東京都葛飾区高砂7丁目18-13

     

    都立清澄庭園 児童公園

    途中で行き先が分かれる「バナナスライダー」があります。また、近年整備が進められている乳幼児向けの遊び場もある公園です。

     

    ひゃっほぉ~い! 「バナナスライダー」は、滑りながら行き先を決められるという画期的な滑り台です。

     

    清澄庭園 児童公園

    住所|東京都江東区清澄3丁目3-33

     


     

    いかがだったでしょうか。みなさんも公園を見かけたら、遊具に目を向けてみましょう! きっと楽しいですよ。

     


    まだまだ暑い日が続くので、公園で遊ぶ時は水分補給を忘れないように注意してくださいね!

     

     

    (おわり)

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    オケモト
    オケモト

    1992年生まれ。静岡県出身のオモコロライター。街にあるオブジェや変わった遊具のある公園が好き。

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