【人気ラーメン屋】求人応募が殺到する今ドキ経営者のやり方

2021.04.09

【人気ラーメン屋】求人応募が殺到する今ドキ経営者のやり方

年間200人以上の求人募集数を集める、人気ラーメン店が大阪にあるという。それが「麺’s room 神虎」などを運営している、株式会社銀の葡萄。「鶏soba 座銀」は2年連続で食べログ 百名店に選ばれるなど、ラーメン業界でも話題に。代表取締役の壽量 健太さんに経営の秘密を伺いました!

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    こんにちは、ライターの松岡です。

    2020年2月に帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、飲食店の75%以上がアルバイト・パートの人材不足を感じているそうです。

     

    そんな中、圧倒的な求人応募数を誇るラーメン店があると聞きました。その数なんと、年間200人以上!

     

    それが、「麺’s room 神虎」などのラーメン店を運営している、大阪の『銀の葡萄』という会社です。

    設立から14年で国内10店舗・海外8店舗のラーメン店を展開し、「鶏soba 座銀」は2年連続で食べログ 百名店に選ばれるなど、ラーメン業界で急成長を遂げる新進気鋭の飲食店

     

    果たして、このご時世に異常とも言える求人の人気はどこにあるのか?

     

    代表取締役の、壽量 健太(じゅりょう けんた)さんに秘密を伺いました!

     

    味にこだわりがなくても、求人に応募は来る!

    取材は2021年2月にオンラインで行いました

     

    「今日はよろしくお願いします! 銀の葡萄の求人募集には自社の求人サイトだけで年間200人が集まると聞いたのですが本当ですか?」

    「正社員とアルバイトも含めての数ですが、200人は集まりますね」

    「求人を集める秘訣があれば教えてください! 人材不足に悩んでいる他の業界の方にも参考になるかと思うので」

    「求人の秘訣……働きたくなるラーメン店を作る事じゃないですかね」

    「働きたくなる? 銀の葡萄さんといえば、『鶏soba 座銀』や『麺’s room 神虎』など、評価の高い店を多く経営してますよね。ヘビーなラーメン通が、こだわりの味を学ぶために応募してくるのかな」

    「ワハハハハ、それはないですね。うちはラーメンの味にこだわりがないので」

    「…………ん? すいませんよく聞こえませんでした。もう一度聞かせてもらっていいですか?」

    「あ、はい―」

     

    うちは、ラーメンの味に、こだわりが、無いんです

     

    「聞き間違いじゃなかった!??? ラーメンの味にこだわりがない!? 食べログ 百名店に選ばれたラーメン屋を経営してるのに!?」

    「求人を集めるなら、味よりも他にこだわるべきポイントがありますよ」

    「え、でもラーメン屋ですよね。味が一番大事なのでは……」

    「いやいや、僕がバイトとして働くなら、味のこだわりなんてどうでもいいですね。制服と働く雰囲気、あとは給与面や待遇面を大事にしたほうが良い

    「むう、給与面や待遇面、確かに大事です。でも、でも! 味の方が重要だと思うんだけどなぁ……

    「では別の聞き方をしますが、『ラーメンの味はおいしいけど雰囲気が悪い店』と、『味にこだわりはなくても雰囲気のいい店』だったらどっちで働きたいですか?」

    「……雰囲気がいいお店で働きたいです」

    「ですよね? 働くのにラーメンの味は関係ないんですよ。うちはラーメン店なので、働き始める前にまずお客さんとして食べに来る人が多いんですけど、楽しそうに働いている姿をみて応募を決めてくれる方も多いです」

    「働くのにラーメンの味は関係ない……言われてみれば、僕も自分が飲食店でバイトする時、店長の味へのこだわりとかどうでもよかったな……。むしろ『バイトにこだわりとか押し付けないでくれ』とすら思ってたかも」
    「それ、すごく大事な考え方ですよ! 14年前の創業当時、24歳だった私は若く、味にこだわるゴリゴリの職人でした。ラーメン職人ならめちゃくちゃ働くのが当たり前やろ? みたいな感じで5年間 店を回していたんですが……」

    「5年後に何がおきたのでしょうか」
    「当時15人いた社員のうち、5人が突然辞めました

    「集団退職じゃないですか……!」
    「突然3分の1の社員が辞めたわけですから、残された人の負荷が半端じゃなくて……自分のやる気を他人に押し付けちゃダメなんだって思ったんです。押し付けなくてもやる気を出してもらえる待遇に変えなきゃ、と

    「具体的にはどういう部分を変えていったのでしょうか?」

    「一般企業なら普通なんですけど、完全週休2日制にしたり、給与面を人事評価制度にして昇給するようにしたり……」

     


    「それは当時のラーメン業界としては革新的ですね!」

    「かなりハードルは高かったです。実際 赤字を食らったので」

    「なるほど。その改善が功を奏して、求人が集まるようになったと」

    いえ、求人は集まりませんでした

    「今までの話、何だったの?」

    「入社してくれた人が辞めることは少なくなったんですが、新しい人材が応募してくれなかったんですよ。だから給与や待遇面だけじゃなく、若い人が『あの店で働きたい』と思ってくれる雰囲気を作ることにしました

     

    「具体的に言うと、制服や店の雰囲気をカッコよくして、デザインを重視したラーメン店を作ったら募集が集まるようになりました

    「求人が集まらないなら集まるお店を作ればいいと」

    売り上げよりも求人ありきで考えましたね。でも、今やどの業界も人材の取り合いになってるんで、正解だったと思います」

    「言われてみれば、おしゃれなコーヒーチェーン店などは求人の応募も多いですよね。ということは、とりあえず おしゃれにしとけば求人が集まる?」

    「いやいや、若い人って頭がいいですから、おしゃれだから求人に応募するっていう単純なことじゃないと思いますよ」

    「うっ……浅はかなことを言ってしまった?」

    『おしゃれな店』というのは『スタイルを持っている店』ということです。スタイルを持っているなら、給与や待遇も、そのスタイルに則ってしっかりしてるはず……そういう空気を感じてくれてるんじゃないかなーって思います」

    「うわべだけおしゃれなんじゃなくて、『中身があるから結果的におしゃれな店』じゃないと人は集まらないのか……」

     

    「さきほど『給与面や待遇面を大事にしたほうが良い』とおっしゃってましたが、給与に関しては……正社員だと初任給はいくらですか?

    「今は25万円からスタートしてますね」

    「え、高っ!!! 今の時代25万円ってかなりいいですよ!」

    ※2019年厚生労働省の発表では、大卒初任給(男性)の平均は21万2,800円

    「大阪だとちょっと高い方かもしれませんが、ラーメン屋って肉体労働だし、200時間以上は働いているので、これくらいは普通だと考えてます」

    「ちなみにバイトを雇う時も時給は高い方ですか?」

    「時給1,100円からのスタートで、その後時給アップもあります」

    ※大阪府の店舗の場合

    「良いですね……」

    人が働く理由って、突き詰めるとお金のためなので」

    「人が働く理由がお金のためって言えるの、すごく今っぽいですね。ひと昔前なら、経営者は『夢を追いかけるんだからお金なんて関係ない』とか言いそうなイメージ」

    「応募してくれる人は、いつか自分でラーメン屋をやりたいという夢を持っているかもしれないし、学費を稼ぎたいだけかも知れない。事情は人それぞれ違うので、こちらが具体的に提示できるのは給与という数字だけ。とても大事だと思います」

    「いいなー。確かに、社員側が『夢がある』とか『やりがいが欲しい』とか言うのは良いんですけど、経営者側が『夢が叶うから』『やりがいがあるから』みたいなことを謳っちゃうと、ブラックな体制が生まれやすい気がします」

    「ちなみにうちは、男女比は女性のほうが多くて、それもこの業界では珍しいかと思います

    「そう言われれば、ラーメン屋って頭にタオル巻いた男性が働いてるイメージです。女性が多いというのは、何か理由がありしますか?」

    「う~ん、僕が……イケメンだから……?」

     

    「そういう関西のノリはいいので、ちゃんと教えてください」

    「でも割と本気で、見た目を気にしないような人が働いてる職場って、女性は応募しにくいと思いますよ。あとは、先ほど言った、店舗がきれいで雰囲気がいいというのは一因でしょうね」

    「おしゃれ感とか、清潔感ってことですかね?」

    「そうですね。だからお店をキレイに保つため、掃除はものすごくこだわってます。お店の衛生チェックの点数が、人事評価に反映されたりするんで

     

    「Twitterのアカウント名、『壽量(ジュリョウ)世界一セクシーなラーメン屋なんですね」

    「それはまあ、いいじゃないですか……」

     

    実際、味はどうなの?

    社長の壽量さんは、「味にこだわりはない」とおっしゃっていますが、ラーメン通の間でも味の評価はかなり高いんですよね。

    というわけで、インタビューを続ける前にここで味のレポートを、と思ったのですが、コロナのせいで東京から大阪まで行くのはちょっとはばかられる時期だったので……

     

    関西在住のライターで、ジモコロにも記事を書いてくれている社領エミさんに代わりに食べてもらいました。

    代打でラーメンを食べる仕事って、めちゃくちゃいいな。

     

    鶏Soba 座銀 本店

    住所|大阪府大阪市中央区南船場3-9-6

    営業時間|11:00~22:30

     

    注文したのは看板メニューの「鶏 soba」900円。見た目だけですでにおいしい確信が得られるビジュアル。

     

    果たして、ラーメンのお味は? どうなの? 社領さん!?

     

    「うま〜〜〜!!!!」

    社領さんいわく

    「濃厚でクリーミーなスープに細めの麺という組み合わせ、最強ですね! 揚げごぼうは見た目の良さだけじゃなくて、香ばしさがアクセントになってます。全体的に強い味の中、さっぱりとしたチャーシューが絶妙~! 最高や~!! また代打で食う仕事くれ!」

    とのこと。

    大阪に行ったら絶対に食べよう。

     

    では、おいしさもわかったところで、インタビューを続けましょう!

     

    ラーメンの味は最後に決める

    「壽量さんは創業当初『神虎』のみ経営をしていましたが、食べログ 百名店にも選ばれた『鶏Soba 座銀』を創業するきっかけはどこにあったのでしょうか」

    「きっかけは香港に『神虎』を出店した時ですね。多種多様な食文化を見ながら、『外国の人がイメージするようなラーメン』を日本で作ったら面白いなと思ったんです

    「外国の人がイメージするような……寿司でいうとカリフォルニアロールのようなものを、日本で出店してみたいと」

     

    鶏 soba/税込900円

    鹿児島県産桜島鶏のみで仕込んだ濃厚白湯スープに煮干しスープと鶏脂を加え、ポタージュのようなクリーミーな口当たりが楽しめる。低温調理から作られる美しいレアチャーシューと、揚げごぼうの相性も絶品。

     

    「これ、揚げたごぼうがビジュアル的に目を引いて、良いですよね~!」

    「座銀に関しては、まずはデザインや利用するコンセプトから考えて、ラーメンの味は最後に決めたんです

     

    「普通は味を決めてからお店の雰囲気を作っていくと思うんですけど……」

    「食事って雰囲気がすごく重要なんです。なのに、今までラーメン店ではそれがおざなりにされてきましたよね。座銀はそこも含めてトータルの食体験を重視してます」

    「まあ確かに、世界一おいしいラーメンだってトイレで食べたらおいしくないですからね……雰囲気が大事っていうのはすごくわかります。では、流行る店に味は関係ない?

    「もちろん、味がおいしいのは最低条件だと思うんですが、味ってウケるかどうかが難しいんですよ。100人中80人がおいしいと思うラーメンって、爆発的に流行ることがなかったりしますし

    「ええ!? 8割がおいしいと思うラーメンは流行らない? な、なぜ!?」

    「8割の人がおいしいと思うラーメン店って、“悪くはないよね”くらいに留まることが多いんです。安牌を置きにいくならそれでもいいんですけど。そういう店は、経営側としてもやってておもしろくない」

    「あぁ~、おいしいけど抜きん出たものがなくて、後から味を思い出せない店って……ありますね」

    「逆に2割しかおいしいって言わないラーメンは、爆当たりすることがある。2割の人が熱狂的に支持してくれたり、他にはないジャンルとして市場がまだ空いてるから」

     

    「へぇぇ~~!!」
    「ただし、8割がおいしくないって言うラーメンは、郊外でやったら死亡します。人が集まる都市部で、ある程度パイがあって2割の熱狂的なファンがついてくれたら、めちゃめちゃ流行る」

    「場所も大事なのか」

    「大事なのはどの市場を狙って店のデザインをするかですね。味はそのコンセプトに合わせて最後に決めればいい

    「『味はコンセプトに合わせて最後に決める』なんて、まさに今どきの経営者って感じ! 料理の世界ってもっとこだわりが厳しいものだと思ってた」

    「そもそもうちは料理の世界だと思ってないです。作ろうと思えば誰でも作れますから。ツールとしてラーメンを使っているだけなんですよね。自分や働いてる人、お客さんがそのツールで幸せになればそれでいい」

    自分の人生をかけて作っているラーメンをツールって呼ぶ人なかなかいないですよ」

     

    「銀の葡萄のラーメンは海外に店舗を出したり、勢いもすごいですよね。まだまだ上を目指すって感じですか?」

    「海外進出は、そこで得たお金を会社に回して、従業員の待遇を変えて行けたらいいな、という考えですね。海外の店舗はフランチャイズなので、こちらの労力をあまり使わずに収益を確保できるから」

     

    「話を聞いていると今でも十分に従業員の待遇がいいように感じるのですが」

    「まだまだですね。ラーメン業界って、優秀な人は独立していく世界なんですよ。優秀な人にも『ここに残りたい!』って思ってもらえないと、会社が大きくならない」

    「まだ改革が必要だと」
    「そのためにもフルオープンにするのが結構大事かなと思っていて。僕の給料がいくらで、これくらい経費を使ってますといった情報を、オープンにしてます」

     

    HPより。右下に注目!「社長の給与も一目瞭然」とか色々書いてありますね

     

    「ラーメン店って経営的に不透明な部分が多くて、いい感じに部下にうまいこと言って社長は高級車に乗ってる、みたいな事が多いんですよ。それがめちゃくちゃ嫌で

    「ええ! 普通は社長になったらそうなりたいと思うのでは???」

    「そりゃあ僕も、自分だけ楽して豪勢に暮らしたいですよ。でもそれじゃ結果的にダメになると思うので、あえてそうできない仕組みを作りました」

    「すごい経営プランですね。壽量さんは真面目に働く環境を整備していたら、飲食業界の常識を覆してしまったと?」
    「そんな感じですね。特別なことは一切していない」

    「そのスタイルがめちゃくちゃカッコいい! 僕も転職する時は真っ先に銀の葡萄に募集しよう。今日はありがとうございました」

     

    まとめ

    今回は銀の葡萄の壽量さんに求人とお店の経営についてお話を伺いました。

     

    ・給与と待遇面以外で求人募集に必要な条件は、働きたくなるカッコよさ

    ・トータルの食体験を重視して最後にラーメンの味を決める

    ・流行るお店は空いてる市場とジャンルを攻める

    ・Twitterのアカウント名は『壽量(ジュリョウ)世界一セクシーなラーメン屋』

     


    200人が応募する銀の葡萄さんの採用HPはこちら!


    その採用HPを作ったアイデムの 求人採用サイト構築サービス『Jobギア採促』


     

    今回の記事、今どきの合理的な経営と、求人応募を増やす考え方……経営者が読むと何か感じるものがあったのでは?

    というわけで、↓下の画像ギャラリーでは、壽量さんの名言をまとめてみましたよ! そちらも見てくださいね!

     

    (おわり)

     

     取材協力「株式会社銀の葡萄

    インスタグラム「torisobazagin

    ツイッター 「鶏soba座銀@(株)銀の葡萄

    note「(株)銀の葡萄@鶏soba座銀

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    この記事を書いた人

    松岡
    松岡

    1990年生まれ。千葉県八街市出身。元テレビ番組の制作スタッフ(AD)で、現在は株式会社バーグハンバーグバーグ所属の社員。グルメと落語が好き。

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