フリーランスの「孤独」とどう向き合う? 先輩に焚き火しながら相談してみた

2021.01.25

フリーランスの「孤独」とどう向き合う? 先輩に焚き火しながら相談してみた

アイドルグループの一員として活動したあと、現在はフリーランスの今野亜美さん。キャンプコーディネーター・イラストレーターのこいしゆうかさんに、フリーランスとして働くモチベーションについて相談します。「民泊×キャンプ」をおこなうキャンプ場「NONIWA」で、冬キャンプと焚き火も楽しみます!

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    こんにちは、今野亜美と申します。

    私は2014年にアイドルグループの一員としてデビューし、解散後もそのまま約2年間、事務所に身を置いてソロで活動していました。ですが2019年に事務所を離れ、フリーランスとして活動を始めています。

     

    どこかの企業に属することなく、案件ごとに毎度契約を結び仕事をする、この「フリーランス」という働き方。時間も場所も自分で選べる自由な働き方!とか、どこかキラキラしたイメージで語られることも多いのですが……。すべて自分次第なぶん、サバイバル度も高く、孤独との戦いだったりもします。

     

    私の場合、「一人」で働くということにしんどさも感じることもありました。「自分のため」だけだと、どうにもモチベーションが湧いてこない……。

     

    フリーランスで働いている方って、どんな感じで仕事してるんだろう!?

    フリーランスで活躍する先輩の話が聞きたいよ〜!

     

    と嘆いていたところ、ジモコロ編集部さんに素敵な先輩をご紹介いただきました。

     

    その先輩とは、こいしゆうかさん。

    フリーランスのキャンプコーディネイター・イラストレーターとして活躍されていて、女性たちにキャンプの楽しさを広める「女子キャンプ」の発起人でもあるんです。

     

    なんと13年間で1000泊以上もキャンプをしていて、テントのデザインをされたり、ジモコロでは「キャンプ×お酒」をテーマにした漫画連載も。まさにキャンプのプロですが……実は私、キャンプ未経験なんですよね。

     

    「こいしさん、はじめまして! 今回はフリーランスの先輩に話を聞く企画なんですが、キャンプにも憧れていて、挑戦したいと思ってたんです」

    「せっかくだし、やろうやろう! 日帰りキャンプなら簡単だし、焚き火しながら話さない?」

    「ありがとうございます。欲張りなお願いが叶ってしまった」

    「面白いキャンプ場をやってる知り合いがいるから、まずはそこに行きましょうか」

     

    「民泊×キャンプ」を体験!

    ということで訪れたのは、埼玉県ときがわ町にある「NONIWA」さん。、

    こいしさんのご友人夫婦が経営されているキャンプ場とのことですが、ただのキャンプ場ではなく、日本初の「キャンプ民泊」が楽しめる施設なのだとか。

    ……キャンプ民泊って何だ!?

     

    というわけで、まずはNONIWAさんにすこしお話を聞いてみます。

     

    「NONIWA」を運営しているアオさんとエリーさん。TwitterYouTubeで「野あそび夫婦」というお名前で活動されています

     

    「今日はよろしくお願いします。さっそくですが、キャンプ民泊とは何なのでしょうか?」

    「ざっくり言うと、私たちの住む古民家の庭でキャンプをしてもらう体験です。民泊とキャンプをかけ合わせて、私たちが始めました」

    「え……!? 自宅のお庭で、お客さんがキャンプを?」

    「そうです。ちなみに必要な道具は全てレンタル可能で、使い方やメンテナンス方法に至るまで全てレクチャーさせていただきますし、トイレやお風呂などは家の中の施設をお貸ししています。安心してキャンプデビューできますよ」

     

    NONIWAのHPより

     

    「キャンプってなかなか難易度の高いイメージがあったのですが、そんなに気軽に体験できてしまうとは! 私みたいな初心者にぴったりですね」

    「ひとりでキャンプを始めたい!と思っても、初心者が気軽に教えてもらえる場所ってあまりないもんね。家のトイレやお風呂が使えるのもうれしいポイント」

    キャンプを始める人のハードルを下げるをコンセプトに営業しています」

    「でも、知らない人を庭に泊めるのって不安では…?」

    「まずは体験会に参加いただいて、そのあとで宿泊予約を受け付けるシステムにしてるんです。なので、初対面の人がいきなり来る!ということはなくて」

    「なるほど、順を追ってキャンプの楽しさを知ることのできる仕組みにもなってるんですね」

     

    単発の体験会のほか、全4回のキャンププログラムも行っている。詳細はHPを

     

    「私たちは元々都内に住んでいて、ときがわ町に移住したんです。最初は『雑貨屋兼カフェかなぁ』とか思っていたんですけど、お互いキャンプが趣味だったんですよ。キャンプ初心者の友達に教えることもあったんですけど、毎回キャンプ場まで荷物持って行くのが大変で」

    『いっそ、家の庭でできたらいいよね』『じゃあ“キャンプ民泊”はどう?』という感じで決まりました」

    「なにげないきっかけから生まれたアイデアだったんですね」

    「キャンプ民泊って、私が知る限りでは日本初なんだよね。公にキャンプ場を作るのは、個人の力ではなかなか難しいんだけど、家の庭を貸しつつ、誰でもいいわけじゃなくて紹介制で、っていうのは個人でも一番やりやすいキャンプ場の形だなぁと思った」

    「今後はキャンプだけじゃなくて、釣りができたり山に登れたり、地元の漁師さんと一緒にイベントをしたりとか、地域とアウトドアを味わえるようなこともやっていきたいですね」

     

    ときがわ町は“木の町”と呼ばれるほど、昔から林業や木工が盛んな地域。NONIWAさんでは地元の木材を使い、鍋敷きなどさまざまな用途で使える「マルチシェラカップホルダー」をデザイン。希望があれば、キャンプの際に木工所でのワークショップも体験できるそう!

     

    「移住して、地域の人と一緒に仕事をつくっていくのも楽しそう。いろんな生き方があるんだなあ……」

    「ふだんは会わない職種の人に会うのって刺激になるよね。さ、日が暮れる前にキャンプの準備をしよう!」

     

    焚き火は「めんどくさい恋人」⁈

    こいしさんの指導のもと、まずはテントの設営から。この広場が、アオさん・エリーさんの家の前にある「庭」なんです。なんて大きさ!

     

    テントってこんな風に立てるんだな〜

     

    すっぽり収まるこいしさんがかわいい

     

    こいしさんの手慣れたレクチャーで、あっという間にキャンプサイトが完成!

    続いては、焚き火の火起こし。

     

    「火をつけた後、放置してると消えちゃうから、焚き火は基本的にほっとかない。でも過剰にあやしすぎると燃えすぎてよくないんだよね」

    「世話が焼けますね。めんどくさい恋人?」

    「あはは! そうとも言えるね。そこもかわいいんだよなあ」

    「こいしさんの焚き火愛がすごい」

     

    取材は11月。陽が落ちてくるとだいぶ寒いですが、火がつくと一気に暖かくなりました。火の力は偉大!

     

    「よし、じゃあ火もついたし、お酒とおつまみの準備をしようか」

    「待ってました!」

     

    食材はここへ向かう途中のお豆腐屋さんと、地元の物産館で購入したもの。ほぼ全て地元の食材がときがわ町産です。まず一品目は「あげ棒」

     

    棒状の油揚げに納豆とチーズと薬味をはさんで……

     

    アウトドア用のガスコンロでジュ〜ッと焼く。火加減がラクなので、焚き火よりもコンロのほうが調理向きだそうです。

     

    焼きあがった「あげ棒」は、外はカリッカリ、中はフワッフワに……! ちょっと焦げてますが、ワイルドさもアウトドア料理の魅力!のはず!

     

    続いての2品目。おつまみを次々……

     

    作っ……

     

    てくださいます(こいしさんが)。先輩、ありがとうございます!

     

    できあがったのは「野菜たっぷり湯豆腐鍋」。地元で人気のお豆腐屋さんで買った湯豆腐と白菜やネギ、豚肉を入れて煮込んだものです。

     

    調味料などは加えていないのに、食べ進めるほどに豆腐から出た甘みやコクを感じる奥深い美味しさ! 温まるなあ。

     

    そして私もこいしさんも、お酒好きという共通点が。ということでそろそろはじめちゃいましょう。

     

    カンパーイ!

     

    「こいしさん、いい笑顔ですね」

    「いやあ、早く飲みたくて。外で飲むお酒はおいしいねえ」

    「たしかに、この開放感と自然が、何倍にもお酒をおいしくしてくれてる気がします…!」

    「そうでしょ? 暗くなる前にほかのお酒も作っちゃおう。温まるやつ」

     

    NONIWAさんで購入できる「HOT WINE MIX」を使って、ホットワインを作ります。火にかけた鍋にワインと一緒に加えるだけで、柚子とスパイスが香るホットワインができあがり。紅茶やお湯で割っても美味しいこの「HOT WINE MIX」は、NONIWAさんの出店するイベントでも人気なんだそう

     

    それと、熱燗も!

     

    ……最高か? 思わず笑っちゃいました。

     

    「外でお酒とご飯用意して食べるなんて、キャンプはロマンですね」

    「最高でしょ? お酒好きならキャンプも楽しいと思うよ。キャンプ仲間とよく言ってるの。『どこでも新橋』って。」

    「それは夢しかないですね!! だんだんキャンプの楽しさがわかってきたかもしれません」

     

    フリーランスの先輩に聞いてみた。

    「飲み会になりかけてますが、今日はこいしさんにお仕事の話をお伺いしたい、と思っていて」

    「うんうん、なんでも聞いてよ」

    「こいしさんは、どんな経緯でフリーランスとして仕事されるようになったんですか?」

    「元々、イラストレーターとして仕事がしたいと思っていたんだけど、キャンプを仕事に、とは全然考えてなかったんだよね。」

    「え、そうなんですか!」

     

    「イラストレーターやエッセイ漫画家になりたくて、OLをやりながら絵の学校に通ってて。その時、現役イラストレーターさんに『何を伝えたいかがとても大切だから、絵が描きたい、の前に“何を描くか”の芯を持ちなさい』って言われたの」

    「なるほど。自分が何をやりたいかの芯……」

    「ちょうどその頃、キャンプを好きになって。当時は肌感覚として、いまよりずっとキャンプが好きな女性が少なかったの。でも、mixiで『女子キャンプ』ってコミュニティを立ち上げて活動してたら友達も増えて、だんだんキャンプの仕事が増えていって」

    「導かれるように、キャンプがお仕事に。というか元々、会社にお勤めされていたんですね」

    「会社員してたよ、5年間」

     

    「でもね、ぜーんぜん無理だった!」

     

    「その、無理というのは?」

    「わりと古風な会社だったんだけど、毎日同じことをするのとかが本当に無理で。なんで朝からお茶汲みするの、とか、頑張ったって頑張らなくたって同じお給料、とか納得いかないことも多くて」

     

    「会社員のほうが安定してるからいい、って価値観もわかるんだけどね。ただ、私には合わなくて。人と人との自由な出会いがあって、そこからもっと何かが生まれるほうが嬉しいと思ったの」

    「個が活かせない、というのはもどかしくもありますよね。キャンプに関しては、会社にいる時から発信を始めてたんですか?」

    「発信というか、キャンプが好きすぎてブログを作ったの。で、会社でブログの画面を開いてたらバレちゃうじゃない。だからエクセルを開いて、セルに書き込んでた。それをコピペしといて家でアップするっていう技(笑)」

    「天才的な行動力!(笑)」

    『イラストやエッセイ漫画でキャンプの楽しさを伝えたい』って、もう夢中だった。それで、キャンプイベントに出店したりしながら名刺を配って営業してたら、出版社の人と知り合って雑誌に連載を持つことになったの。そのタイミングで会社に『辞めます!』と言って、それから10年以上経つね」

    「お話からも当時の熱量を感じます」

    「イラストレーターとして当時のイラストの先生に言われたんだよね。『覚悟が足りないと、本気にはなれない。ちゃんとやりたいなら会社を辞めたら?』って。もちろんそれだけが正解ではないけど、私にとってはフリーになることが、自分の覚悟に変わったなあ」

     

    「誰かのため」のほうが、がんばれる

    「フリーとして活動していると、仲間のため、というより自分のためのモチベーションで動かないといけない場面も多いじゃないですか。そういう点で『一人』のしんどさはやっぱりあるな、と思っていて」

    「フリーランスは基本一人だけど、どういうところがしんどく感じるの?」

    「わたしは元々、アイドルのグループで活動していたんです。当時はこのプロジェクトがうまく行くために、とか、グループ全体のために、とか、自分以外の何かがモチベーションになっている面も大きくて。そこからフリーでの活動になると、モチベーションの置き方みたいなところで戸惑いもあって……。こいしさんはどうですか?」

    「あ〜、その気持ちはわかるかも。『自分のため』だけだったらもういいかなぁ、お金も最低限でいいかなぁ、ってなるよね。自分のために頑張れることってそんなにない

    「そうなんです。『自分のために頑張る』だけだと難しくて…」

     

    「うんうん。私にとっての欲は二つあって、“イラストレーターとして立ちたい”と、“キャンプ業界へ恩返しがしたい”。キャンプに出合って私の人生は変わったし、本当にキャンプで人生が救われる、ってことを自分の人生を通して理解したからね」

    「もはや使命のような。じゃあ『キャンプ業界のため』みたいなモチベーションで?」

    「そうだね、自分のためだけだと、たぶん広がらない。誰かのためを思って、何かをすると返ってくるから。私も10年以上キャンプ業界にいるから中堅みたいになっちゃったけど、自分だけの力で成し遂げたことってあんまりないと思うんだよね。人と人を繋げた結果で、素敵なことが起こってる」

    「フリーランスこそ、人との繋がりが大切というか」

    「野あそび夫婦との出会いもそうだし、今仕事を手伝ってくれる人もそうだし、皆、出会いによっていろんな仕事をしてるはず。今野さんも、本当に一人かっていうとそうではないよね」

    「そうかもしれません。組織に所属してはないけれど、支えてくれてる周りの人の存在はありますね」

     

    「少しずつ仲間を見つけて、話せる人がいて、こうやって現場でたき火したりしながら、今度一緒にやりましょう!って盛り上がって。また違う仕事が生まれたりして。そういうのが楽しいよね」

    「自分で仲間を見つけて、そこから仕事を広げていくって素敵だなぁ。でも、それこそがフリーランスの強み、というか。」

    「そう、会社や大きい組織ゆえのしがらみもないから。それは孤独とセットだけど、好きな人とだけ仕事ができるっていうのは、めちゃくちゃ面白いし、めちゃくちゃ嬉しい。フリーランスってただの仕事じゃなくて『人間関係づくり』だと思うなあ。会社員では生まれない広がりがあると思うなあ。フリーゆえの甘えもあるけど(笑)」

    「お昼まで寝ちゃったりとか……(笑)」

     

    「だから自分の好きな人と、どんどん仕事していくのがいいんじゃないかな」

    「ありがとうございます! こいしさんともまたキャンプしながらお話したいです」

    「しようしよう! 今度から亜美ちゃんって呼ぶね」

    「やったー!」

     

    まとめ

    信念を持って自分の道を切り開いて行く、こいしさんのポジティブな力強さが強く印象に残った取材でした。

    OLからフリーという道を選んだこいしさん。私も組織に所属した後、フリーランスになったのですが、働き方を変えたからこそ自分自身について見えてくることもあったりして。どの生き方を選んだとしても、それを正解にするのは自分の考え次第なんだなぁ。

     

    誰と働き、どう生きるか、自分の意思で選択できる。縛られるものが少ない分、孤独でもあるけれど、だからこそ得られる豊かさがある。フリーランスという働き方、やっぱり魅力的かも? 私もまだまだがんばろう!

    p.s.
    美味しいおつまみとお酒、「どこでも酒場」なんて、キャンプ最高すぎませんか……。
    次回はがっつり泊まりで行きたいです!

     

    撮影:まさおか

    イーアイデム

    この記事を書いた人

    今野亜美
    今野亜美

    アイドルグループ「清竜人25」のメンバーとしてデビュー。解散後はライターなど主にお酒関係の活動。ソロトークイベント「スナック亜美」は、東京、大阪、沖縄など全17回開催。2019年、フリーランスに。

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