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必ずチェック!法律ノウハウ 2026/9/8

確定申告をやる必要がある人とは?会社員・年金受給者の判断ガイド

確定申告をやる必要がある人とは?会社員・年金受給者の判断ガイド

「副業を始めたけれど、確定申告は必要なのだろうか」「年金をもらっているが、申告しなくていいと聞いた」——確定申告の要否は、勤務先の年末調整の有無、所得の種類と金額、受けたい控除の3つで決まります。しかも「20万円」「400万円」といったよく耳にする基準は、収入で見るのか所得で見るのかが場面によって違い、取り違えると判断を誤りかねません。
この記事では、確定申告が必要になる人の条件を国税庁の基準にそって整理し、会社員のケース、年金受給者のケース、控除のために申告するケース、そして見落とされがちな住民税申告との違いまで解説します。

目次

確定申告が必要な人の条件を国税庁基準で整理

まずは、判断の土台になる用語の意味と、要否を見分けるための3つの視点を押さえておきましょう。

収入と所得の違い

「確定申告が必要かどうか」を判断するとき、まず押さえるべきは「収入」と「所得」の違いです。多くの基準は「収入」ではなく、「所得」で決まっているためです。

収入とは、もらった金額の総額を指します。給与なら源泉徴収前の「支給総額」、年金なら支給される総額が収入です。一方、所得とは、収入から必要経費や控除を差し引いた「もうけ」に相当する金額です。税金はこの所得を基準に計算されます。

たとえば給与の場合は、収入(給与の支給総額)から給与所得控除を差し引いたものが「給与所得」となります。副業の事業や雑所得であれば、売上(収入)から必要経費を引いた残りが所得です。

国税庁が示す「副業所得20万円超」「公的年金400万円以下」のような基準は、文脈によって「収入」か「所得」かが異なります。公的年金の「400万円」は収入額の目安ですが、副業の「20万円」は、多くの場合「所得」の金額を指しています。ここを取り違えると、確定申告の要否を誤るので注意が必要です。

まず確認すべき3つの判断軸

自分が確定申告をする必要があるかどうかは、次の3つの軸で整理すると分かりやすくなります。

1つ目:どんな種類の所得が、いくらあるか

代表的なものとして、給与所得、公的年金等(国民年金、厚生年金等)、事業所得、不動産所得、雑所得(副業、投資、年金以外の雑収入)などがあります。給与所得者であっても、副業や不動産所得があると条件が変わります。

2つ目:源泉徴収・年末調整がどこまで行われているか

会社員であれば勤務先が年末調整をしていれば、通常は自分で確定申告をする必要はありません。ただし、年収が2,000万円を超える場合や、2か所以上から給与を受けている場合、副業で所得が出ている場合などは別です。

3つ目:控除を受けるために申告したいものがあるか

医療費控除、ふるさと納税の寄附金控除、生命保険料控除や地震保険料控除など、年末調整では反映しきれない控除を受けたいときは、たとえ義務がなくても自分から確定申告をした方が得になる場合があります。特に、ふるさと納税と医療費控除の両方を受ける年は、ワンストップ特例ではなく確定申告が必要になります。

なお、所得税の確定申告が不要でも、市区町村への住民税の申告が必要になるケースも多くあります。所得税と住民税では「申告が必要になるライン」が異なる点も、最初に押さえておきましょう。

給与所得者が確定申告をするケース

会社員は勤務先の年末調整で完結するのが基本ですが、それでは精算しきれないケースがあります。代表的な3つのパターンを見ていきましょう。

年収2,000万円超の会社員

給与所得者であっても、年収が2,000万円を超える場合は必ず確定申告が必要になります。ここでいう2,000万円は、1年間の給与収入(賞与を含む)の合計です。

この基準を超えると、会社は年末調整を行わないため、本人が自分で確定申告をして所得税を精算することになります。複数の会社から給与をもらっている場合は、その合計額で2,000万円を超えるかどうかで判断します。

年収2,000万円超の会社員は、次のような点もあわせて確認が必要です。

  • 医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)を受けるかどうか
  • 住宅ローン控除の1年目があるかどうか
  • 生命保険料控除などの証明書が年末調整に反映されていないものがないか

いずれも、確定申告の際にまとめて申告することになります。

副業所得20万円超と2か所給与

会社員の「副業」をめぐる確定申告の判断で、最もよく登場するのが「副業所得20万円超」という基準です。

ポイントは、「20万円を超えているかどうか」だけではありません。特に重要なのは、次の2点です。1つ目は、20万円の基準は「収入」ではなく「所得」で判断することです。

例えば、副業の年間売上が30万円あっても、必要経費が15万円かかっていれば、所得は15万円になります。この場合、原則として所得税の確定申告は不要です。

2つ目は、「副業の種類」です。事業所得や雑所得(フリーランスの報酬、原稿料、アフィリエイト収入など)、給与所得(アルバイト・パートでのWワーク)によって扱いが異なります。

給与が2か所以上から支払われている場合、次のように整理されます。

  • メインの勤務先で年末調整が行われている
  • サブの勤務先の給与所得が年間20万円を超える

この場合は、2か所給与の人として確定申告が必要になります。一方で、サブの給与所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされることが多いですが、住民税の申告は必要になることが一般的です。

また、給与所得者の確定申告が不要となる「20万円以下ルール」は、あくまで所得税上の取扱いです。後述するように、住民税や国民健康保険料などに影響するため、「20万円以下だから完全に何もしなくてよい」と考えるのは危険です。

所得税の非課税ライン(160万円・178万円)と住民税の注意点

パートやアルバイトをしている人が長く意識してきた「103万円の壁」は、税制改正によってすでに引き上げられています。所得税の扶養や配偶者控除の基準についても、あわせて見直しが行われました。

令和7年度税制改正により、令和7年分(2025年分)からは給与所得控除の最低保障額が65万円、基礎控除が58万円(合計所得金額に応じた特例加算を含めて最大95万円)となり、所得税がかからない給与収入の目安は160万円に引き上げられました。さらに令和8年度税制改正により、令和8年分(2026年分)以後は、この目安が178万円となります。いずれの場合も、給与支払者が年末調整で精算を行えば、多くは確定申告の必要はありません。

なお、令和8年分の改正内容が毎月の源泉徴収に反映されるのは令和9年1月以後に支払われる給与からとされており、令和8年中に生じる差額は令和8年12月の年末調整で精算されます。また、配偶者控除の対象となる配偶者の給与収入要件も、令和7年分は123万円以下、令和8年分以後は136万円以下と改正されています。適用される年分によって基準額が異なるため、自分がどの年分の申告をするのかを確認したうえで判断してください。

また、これらの基準はあくまで所得税の話であり、住民税には別の非課税ラインが設けられています。住民税についても給与所得控除の最低保障額が65万円に引き上げられたことにともない、令和8年度分の住民税からは、所得割が課されない給与収入の目安が従来の100万円から110万円になります。もっとも、均等割の非課税限度額は自治体ごとに異なるため、正確な金額はお住まいの市区町村で確認してください。

また、次のような場合は、たとえ収入がこれらの基準以下でも、住民税申告が必要になることがあります。

  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
  • 給与以外に少額の副業収入や雑所得がある
  • 扶養親族の有無などを自治体に正しく伝える必要がある

これらの申告の有無は、住民税の課税・非課税や、保育料・国民健康保険料などの算定にも影響します。そのため、「基準額以下だから何もしなくてよい」ではなく、勤務先の年末調整の有無と自治体からの案内を確認することが重要です。

年金受給者の確定申告不要制度

年金受給者には、一定の条件のもとで申告を省略できる制度があります。条件と、そこから外れる例外を確認しておきましょう。

公的年金400万円以下の条件

年金受給者については、「公的年金の確定申告不要制度」が設けられています。一定の条件を満たす年金受給者は、所得税の確定申告を省略できる仕組みです。

この制度の代表的な条件は、次の2つです。

  1. 公的年金等(国民年金、厚生年金、共済年金など)の収入金額が400万円以下であること
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が、一定額(原則20万円以下)であること

さらに、年金から所得税が源泉徴収されていること、医療費控除など個別の控除を新たに適用しないことなども条件になります。

この条件を満たしている場合、原則として所得税の確定申告は不要です。ただし、「申告不要」であっても、年金からの源泉徴収で所得税が引かれていることがあり、その税金を取り戻す(還付を受ける)目的で自発的に申告することは可能です。

年金以外の所得が20万円以下

年金受給者であっても、公的年金以外の所得がある場合は、その内容を確認する必要があります。たとえば、次のようなケースが想定されます。

  • パート・アルバイトによる給与所得
  • 原稿料や講演料などの雑所得
  • 不動産の家賃収入
  • 個人年金保険など、公的年金以外の年金収入

これらの「年金以外の所得」が年間で20万円以下に収まる場合、公的年金の収入が400万円以下であれば、前述の申告不要制度の対象となることが多いです。

ただし、ここでも注意すべきは、所得税と住民税の扱いの違いです。所得税の確定申告が不要であっても、住民税については、年金以外の所得を市区町村に申告しなければならない場合があります。年金受給者でパート収入がある場合などは、お住まいの自治体の「住民税申告」の案内を確認しておくと安心です。

申告が必要になる例外

公的年金の確定申告不要制度の条件を一見満たしていても、次のような場合は、確定申告をした方がよい、またはしなければならないことがあります。

  • 公的年金の収入が400万円を少し超えてしまった
  • 年金以外の所得が20万円を超えた
  • 多額の医療費がかかり、医療費控除を受けたい
  • ふるさと納税などの寄附金控除を受けたい
  • 雑損控除等、年末調整や年金の源泉徴収では反映されない控除を適用したい
  • 年金からの源泉徴収額が実態に比べて多く、還付申告をしたい

このような場合、申告不要制度の対象であっても、自ら申告を行うことで税金が戻ってきたり、本来納めるべき税額を正しく確定させたりできます。

控除で申告が必要になるケース

申告義務がなくても、控除を受けるために自分から申告した方がよい場合があります。代表的な控除と、住民税申告との関係を整理します。

医療費控除の対象と申告要否

医療費控除を受けるには、必ず確定申告が必要です。会社員であっても、年金受給者であっても、年末調整だけでは医療費控除は反映されません。

医療費控除の対象となるのは、自分や生計を一にする家族のために支払った一定額以上の医療費です。病院での診療費や治療費、薬局で購入した医薬品の費用(治療または療養に必要なもの)、通院のための交通費などが含まれます。

1年間に支払った医療費が一定金額(原則10万円。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えた場合、その超えた部分について所得控除を受けられます。医療費控除を受けることで、所得税や住民税が軽減されるため、高額な医療費がかかった年は忘れずに検討しましょう。

また、セルフメディケーション税制の対象となる市販薬の購入も、一定の条件を満たせば申告できます。ただし、セルフメディケーション税制は通常の医療費控除との選択制であり、同じ年に両方を適用することはできません。ふるさと納税と医療費控除を同じ年に受けたい場合は、必ず確定申告を行い、両方の控除をまとめて申告する必要があります。

ふるさと納税とワンストップ特例

ふるさと納税をした人がよく迷うのが、「ワンストップ特例を利用していれば確定申告は不要か」という点です。ワンストップ特例は、主に次の条件を満たす給与所得者が対象です。

  • 給与所得のみで、確定申告をする必要がない
  • ふるさと納税の寄附先自治体が年間5自治体以内
  • 寄附のたびに、自治体へワンストップ特例の申請書を期限内に提出している

この条件を満たす場合、ふるさと納税の分については、自動的に住民税から控除されるため、確定申告をする必要はありません。

しかし、次のような場合は、ワンストップ特例を使っていても、結果として確定申告が必要になります。

  • 副業所得が20万円を超え、確定申告義務が生じた
  • 医療費控除や雑損控除など、他の控除を申告したい
  • 年収2,000万円超となり、そもそも年末調整の対象外になった

このようなときは、確定申告でふるさと納税を含めた寄附金控除を申告し直します。その年分については、ワンストップ特例の効力は失われるため、ふるさと納税も含めてすべて確定申告書に記載することを忘れないようにしましょう。

住民税申告が別途必要な場合

所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告が必要となるケースは少なくありません。典型的なのは、次のようなケースです。

  • 給与所得者で、副業所得が20万円以下のため所得税の確定申告は不要
  • 公的年金の申告不要制度の対象だが、年金以外に少額の所得がある
  • 年の途中で退職して年末調整を受けていないが、所得税の還付申告までは行わない

住民税は、市区町村が前年の所得を基に税額を決定します。その際、所得税の確定申告データだけでは把握しきれない所得があると、住民税申告書での報告が求められます。

「所得税の確定申告が不要=何の申告も不要」ではなく、「所得税の申告」と「住民税の申告」は別物と考えるのが安全です。自治体から届く住民税申告書や案内文書をよく読み、不明点があれば市区町村の税務担当窓口に確認するとよいでしょう。

自分が申告対象かを確認するためのFAQ

最後に、判断に迷いやすい3つの疑問を整理しておきましょう。

収入がなくても申告は必要か

1年間を通じてほとんど収入がない、あるいは収入が少なく所得税がかからない人は、原則として確定申告の義務はありません。ただし、次のようなケースでは、収入が少なくても申告をした方が得になる、または必要となることがあります。

  • 給与や年金から源泉徴収で所得税が差し引かれており、還付を受けたい
  • 医療費控除などにより、納めた税金の一部を取り戻せる可能性がある
  • 災害や盗難などで大きな損害を受け、雑損控除を受けたい

このように「税金が戻ってくる」申告は、還付申告と呼ばれ、原則として義務ではありませんが、申告することでメリットが得られます。収入がゼロでも、過去の年分の還付を請求できる場合もあるため、「源泉徴収されたままになっている税金」がないかを確認してみる価値があります。

20万円以下なら本当に不要か

「給与所得者の副業所得が20万円以下なら確定申告不要」というルールはよく知られていますが、いくつかの注意点があります。

まず、この「20万円以下」は、あくまで所得税の確定申告に関する「申告不要制度」の一つです。これが適用されるのは、

  • 給与所得や公的年金以外の所得が20万円以下
  • 給与所得について年末調整が行われている
  • 年収が2,000万円以下

といった条件を満たす場合に限られます。年収2,000万円超の会社員や、2か所以上からの給与でサブの給与が20万円超となる場合などは、この「20万円以下」ルールの対象外です。

さらに重要なのは、たとえ所得税の確定申告が不要でも、副業所得について住民税の申告が必要になることがほとんどだという点です。副業の収入をまったく申告しないでいると、住民税の課税が適正に行われず、後から問い合わせや修正を求められるリスクがあります。

「20万円以下だから絶対に何もしなくてよい」と判断するのではなく、

  • 所得税の確定申告が必要かどうか
  • 住民税の申告が必要かどうか

を分けて確認することが、トラブルを避けるためには重要です。

国税庁のどこを確認すべきか

自分が「確定申告が必要な人」に当てはまるか迷った場合は、国税庁の公式情報を確認するのが確実です。確認のポイントは次のとおりです。

  • 国税庁ホームページの「確定申告特集」ページ内にある「確定申告が必要な方」の項目
  • 同じく国税庁の「タックスアンサー(よくある税の質問)」コーナーで、「給与所得者の確定申告」「公的年金等の課税」「医療費控除」「ふるさと納税(寄附金控除)」などのキーワードで検索する

これらのページでは、給与所得と年末調整・確定申告の基準、副業所得の確定申告と住民税申告の違い、公的年金の確定申告不要制度の条件と例外などが、最新の税制を踏まえて整理されています。

インターネット上にはさまざまな情報がありますが、税金に関しては、最終的には国税庁の公式情報を基準に判断することが重要です。不明点があれば、税務署や税理士に相談することも検討するとよいでしょう。

※本記事は2026年9月時点の法令・制度にもとづいて作成しています。税制・社会保険制度は改正が予定されているものがあり、実際の取扱いは適用される年分や施行時期によって異なります。最新の情報は、国税庁・厚生労働省・日本年金機構および各市区町村の公式サイトでご確認ください。

(イーアイデム編集チーム)

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