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「子どもがインフルエンザと診断された。学校は何日休むの?」「その間、自分は仕事をどう休めばいい?」「気づいたら有給が減っていた、なんてことは避けたい」——共働き家庭やひとり親家庭にとって、子どものインフルエンザは学校の出席停止と自分の休暇制度を同時に調整しなければならない、なかなか頭を悩ませる問題です。
結論から言えば、子どもが休む日数は「発症後5日」かつ「解熱後2日」という法律上の基準で決まり、親の休みは年次有給休暇・子の看護等休暇・会社の特別休暇・在宅勤務をどう組み合わせるかで決まります。この記事では、休む日数の見込みの立て方、使える休暇制度の違いと使い分け、学校・職場への連絡の仕方、そして「欠勤扱いになっていた」という失敗を防ぐ注意点まで解説します。
「熱が下がれば登校できるだろうから、休むのは1〜2日でしょう」と考えていると、想定より長く仕事を抜けることになりがちです。まずは3つの基本を押さえておきましょう。
インフルエンザは学校において出席停止となる感染症に指定されており、登校再開の基準は学校保健安全法施行規則(第19条)で、次のように定められています。
発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで
これは、発症直後から数日間が最も感染力が強いためです。熱が下がっただけでは登校できません。つまり親の側は、少なくとも数日単位で仕事の調整が必要になる前提で動く必要があります。
看病のために仕事を休む場合、選択肢は主に次の5つです。
同じ「休む」でも、給与が出るか、日数の上限があるか、申請に何が必要かは制度ごとに違います。ここを知らないまま休むと、意図せず欠勤扱いになることがあります。
年次有給休暇は、労働者が「この日に取りたい」と請求する権利です。会社が勝手に消化させたり、本人が有給で申請しているのに欠勤で処理したりすることは、原則として認められません(業務上の支障が大きい場合に、会社が日程変更を求める時季変更権はあります)。ただし、例外もあります。年10日以上の有給が付与される人については、会社が年5日分の取得時季を指定する義務を負っています。また、労使協定にもとづく計画的付与が導入されている会社では、あらかじめ決められた日に有給が充てられます。
一方で、就業規則に「家族の看病はまず特別休暇を充てる」といった定めがあり、それに沿って運用されているケースもあります。制度を知り、自分で選んで申請することが、損をしない第一歩です。
基本が分かったところで、実際に何を確認すべきかを整理します。ここを押さえておけば、後から「欠勤扱いだった」「想定していたより有給が減っていた」という事態を防げます。
すべての判断の土台になるのが就業規則です。次の点をチェックしましょう。
就業規則は従業員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが会社に義務づけられています。見当たらない場合は、人事や総務に問い合わせましょう。
「何日休むか」が分からないままでは、職場への休暇の申請ができません。発症日と解熱日はどちらも「0日目」として数え、翌日を1日目とカウントします。たとえば月曜に発症した場合、月曜が0日目、火曜が1日目です。
そのうえで、「発症後5日」と「解熱後2日」の遅いほうを満たした翌日が登校再開日の目安です。ただし数え方や必要書類の運用は学校ごとに案内がある場合もあるため、最終的には医師の判断と学校の指示で確定させてください。また、いったん解熱しても発熱がぶり返して期間が延びることがあります。職場には「数日で済む」前提ではなく、余裕をもった見込みを伝えておくと調整しやすくなります。
小学校、保育園・幼稚園、学童保育は、それぞれ別のルールで動いています。
きょうだいで小学生と未就学児がいる家庭では、幼児の基準が「解熱後3日」とより長いため、登園日と登校日がずれます。両方のスケジュールを並べて確認しておきましょう。
学童保育では「きょうだいが発症した日から〇日経過するまで利用不可」といった独自の条件を設けていることもあり、学校には登校できるのに学童は使えない、というズレが起きがちです。出席停止期間の確認と同時に、学童・保育園の利用停止と再開の条件、必要な書類もセットで確認しておくとスムーズです。なお、出席停止期間の経過後に改めて検査を受ける必要はなく、治癒証明書や陰性証明書の一律提出も求められていないため、これらを不要としている学校も増えています。
この3点を先に確認しておけば、休暇の申請も職場への説明もスムーズに進みます。
ここからは、実際に使える制度ごとの考え方を紹介します。ご家庭の状況に近いものを参考にしてください。
年次有給休暇は取得理由を問われないため、子どもの看病でも当然使えます。「子どもがインフルエンザで休むので有給を取りたい」という申し出は、原則として会社は拒否できません。給与が満額出るため、確実性を重視するならこれが基本形です。
子の看護等休暇は、子どもの病気やけがの看護、予防接種、健康診断などのために取得できる法律上の制度です。2025年4月施行の改正により、対象となる子は小学校3年生修了までに拡大され、感染症に伴う学級閉鎖や出席停止も取得事由に加わりました(子ども本人の看病は改正前から対象です)。取得できる日数は、子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日までです。年次有給休暇を消費せずに済むのが利点ですが、有給か無給かは会社ごとなので、必ず確認してください。
家族看護休暇などを独自に設けている会社もあります。有給扱いで日数も別枠というケースがあり、使えるなら最優先で検討したい制度です。
発症直後の高熱の時期は付き添いが必要でも、回復期は在宅勤務で対応できることもあります。登校再開後も送迎の付き添いが必要な場合は、半休や時間単位年休を活用すると、丸一日休むより負担が軽くなります。
インフルエンザは家庭内で順番に広がることが少なくありません。上の子が回復した頃に下の子が発症すると、休みが2週間近くに及ぶこともあります。有給と子の看護等休暇の残日数を確認し、祖父母の協力や病児・病後児保育の利用条件も早めに調べておくと安心です(インフルエンザは預かり不可の施設もあります)。
▼休暇制度の違い
※横にスクロールしてご覧ください
| 制度 | 給与 | 対象・日数 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 支払われる | 理由は問われない/勤続年数に応じた日数 | 会社の時季変更権 |
| 子の看護等休暇 | 会社ごと (有給/無給) |
小学校3年生修了までの子/年5日(2人以上10日) | 有給扱いか、申請書類が必要か |
| 特別休暇 | 会社ごと | 会社が独自に設定 | 対象家族・日数・申請方法 |
| 欠勤 | 支払われない | ー | 賞与・人事評価への影響 |
連絡で迷いやすいのは、学校と職場では伝えるべき内容とタイミングが違うという点です。それぞれ整理しておきましょう。
学校は集団生活の場であり、学級閉鎖の判断にも関わるため、疑いの段階でも早めに連絡します。伝える内容は次のとおりです。
あわせて、出席停止期間の扱い(学校独自のルールがないか)と再登校時に必要な書類、学童保育の利用再開時期も確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
職場への連絡は、分かった時点でできるだけ早く行います。夜間に発熱した場合は始業前に一報を入れておくとスムーズです。伝えるべきは次の4点です。
特に4つ目が重要です。「休みます」だけでは、会社側の判断で欠勤や有給に振り分けられることがあります。メールで伝える場合の例文は次のような形です。
件名:子どものインフルエンザによる休暇取得のご連絡(〇月〇日〜)
お疲れ様です。〇〇です。
昨夜から小学生の子どもが高熱を出し、本日受診したところインフルエンザと診断されました。学校からも出席停止の指示が出ており、看病のため本日より数日間、出勤が難しい状況です。
本日分は子の看護等休暇(取得できない場合は年次有給休暇)として処理をお願いいたします。
進行中の案件は〇〇さんに共有済みです。明日以降については、医師の診断と子どもの回復状況を踏まえ、改めてご連絡いたします。
よろしくお願いいたします。
熱が下がったら、まず学校に登校再開日と必要書類を確認し、そのうえで職場に出勤再開の見込みを共有します。子どもは解熱後も咳やだるさが残ることがあるため、送迎の付き添いが必要なら、半休や短時間勤務での復帰を相談するという選択肢もあります。
なお、親自身が感染した、または疑いがある場合は、会社から出勤停止を指示されることもあります。看病する側も睡眠と休養を確保し、発熱などの症状が出たら無理に出勤せず、医療機関の受診と職場への共有を優先してください。
ここで押さえておきたいのが賃金の扱いです。自分の判断で休む場合は通常の病欠と同じ扱いになりますが、季節性のインフルエンザは感染症法や労働安全衛生法にもとづく就業制限の対象ではありません。そのため、症状がなく就労できる状態であるにもかかわらず会社の判断で出勤停止を命じられた場合は、原則として休業手当(平均賃金の6割以上)の対象になるとされています。就業規則で「有給休暇で処理するのか」「在宅勤務に切り替えられるのか」「休業として扱うのか」を確認し、判断が分かれそうなときは人事・総務に書面で確認しておくと、あとでこじれにくくなります。
制度を知っていても、進め方を間違えると損をしたり、職場に気まずさを残したりします。避けたい5つを確認しておきましょう。
もっとも多い失敗です。「子どもの病気で休みます」とだけ伝えた結果、欠勤処理になっていた、あるいは有給が減っていた——というケースは珍しくありません。休む前に、どの制度で申請するかを自分から明示しましょう。
解熱後2日を満たしていても、発症後5日が経過していなければ登校できません。短く見積もると、職場への連絡をやり直すことになります。両方の条件をセットで確認してください。
上司に伝えただけでは、勤怠システム上の処理まで反映されていないことがあります。休暇申請の書類やシステム入力まで済ませ、記録に残る形にしておきましょう。
学校の登校許可証明書や、会社が求める診断書は、受診の際に一緒に依頼しておくのが効率的です。後から取りに行くと、余計な受診が必要になることもあります。
一人分の休みだけを見込んで有給を使い切ってしまうと、次に下の子が発症したときに打つ手がなくなります。残日数と代替手段を先に把握しておきましょう。
つまずきを避けるコツは、「制度を確認する」ことと「自分で選んで申請する」ことの2つです。
「休みたいけれど、これ以上職場に迷惑をかけられない」「有給を残しておきたい」——判断に迷う場面もあると思います。考え方を2つ紹介します。
高熱が続き夜間の見守りが必要な発症直後の数日は、親がそばにいることが望ましい時期です。一方、熱が下がって元気が戻ってきた回復期は、在宅勤務や短時間の付き添いで足りることも多くあります。「全期間フルで休む」か「休まない」の二択にせず、時期ごとに必要な関わり方を分けて考えると、無理のない調整ができます。
休暇制度の解釈や有給・無給の扱いで不明な点があれば、まず人事や労務担当者に確認しましょう。それでも解決しない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口を利用する方法もあります。看病の体制についても、祖父母の協力や病児・病後児保育、自治体の子育て支援サービスなど、家庭外の選択肢を先に調べておくと選択の幅が広がります。
なお、この記事は一般的な情報をまとめたものです。休暇制度の有給・無給の扱いや申請方法は会社ごとに異なり、法令も改正されることがあります。実際の判断にあたっては、必ず自社の就業規則と最新の法令を確認し、必要に応じて専門家や公的窓口に相談してください。
最後に、特に相談の多い4つの疑問を整理しておきましょう。
学校での出席停止期間の基準は、型によって変わりません。A型でもB型でも「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)」が目安です。ただし、高熱が長引く、咳や倦怠感で体力が戻らないといった場合は、基準を満たしていても無理に登校させないほうがよいこともあります。迷う場合は医師に相談し、そのうえで学校の指示に従ってください。
年次有給休暇は労働者が請求して取得する権利であり、会社が一方的に消化させることは原則できません(例外として、年10日以上付与される人に会社が年5日分の時季を指定する義務や、労使協定による計画的付与があります)。「子の看護等休暇で申請したい」と明確に伝えれば、制度がある限り会社はそれを尊重する必要があります。逆に、有給での取得を希望しているのに欠勤扱いにされた場合も、申し出て訂正を求められます。まずは就業規則を確認し、希望する制度を書面やシステム上で明示しておくことが有効です。
一般的には、症状のないきょうだいは登校・登園が可能です。ただし、発熱や咳などが出たらすぐに休ませる前提で判断してください。また、学童保育や一部の保育サービスでは「家族に感染者がいる場合は利用を控える」といったルールを設けていることがあるため、事前の確認が必要です。家庭内では、部屋や食器・タオルを分け、手洗いやマスクを徹底することで感染の連鎖を減らせます。
使えます。2025年4月施行の改正により、対象となる子の範囲が小学校3年生修了までに拡大されました。取得日数は子ども1人で年5日、2人以上で年10日までです。ただし、有給か無給か、申請に診断書が必要かは会社によって異なります。なお時間単位での取得は2021年1月から法律上義務づけられており、原則としてどの会社でも可能です(業務の性質上、時間単位での取得が難しい業務に従事する場合に限り、労使協定で対象から除外されていることがあります)。
なお、子の看護等休暇は出席停止期間を短縮したり登校を許可したりする制度ではありません。子どもが登校できない期間の看病に充てるための休暇として位置づけて考えましょう。対象年齢や日数は今後も改正される可能性があるため、最新の制度を確認してください。
子どものインフルエンザで慌てないためのポイントは、子どもの休みと親の休みを別々に押さえておくことです。
子どもが登校できるのは、「発症後5日」かつ「解熱後2日」の遅いほうを満たした翌日からです。この日数を先に見積もり、そのうえで年次有給休暇・子の看護等休暇・特別休暇・在宅勤務を組み合わせて、必要な期間をどう埋めるかを考えます。
そして忘れてはいけないのが、どの休暇制度で処理するかを自分から伝えることです。ここを曖昧にしたままだと、意図せず欠勤扱いになったり、有給を余計に消費したりしかねません。
インフルエンザは毎年流行し、いつ子どもが感染してもおかしくない病気です。「学校は何日休むか」「自分はどの制度を使うか」「会社にはどう連絡するか」を今のうちにイメージしておくだけでも、いざというときの負担はぐっと軽くなります。
(イーアイデム編集チーム)