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必ずチェック!法律ノウハウ 2026/9/8

会社都合退職後の国民健康保険と国保軽減制度ガイド

会社都合退職後の国民健康保険と国保軽減制度ガイド

「退職して国民健康保険に切り替えたら、保険料が思っていたより高かった」——会社都合による退職や雇止めのあとで、こう感じる人は少なくありません。保険料は前年の所得をもとに計算されるため、収入が途絶えた時期に重い負担がのしかかるからです。
そこで用意されているのが、「非自発的失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減制度」、いわゆる国保軽減です。前年の給与所得を30%とみなして計算することで保険料の負担を抑えられますが、対象になるかどうかは「離職理由コード」で決まり、しかも自動では適用されません。この記事では、対象になる離職理由コード、軽減の内容と期間、申請の流れと必要書類、そして見落としやすい注意点まで解説します。

目次

非自発的失業者の国保軽減制度とは

まずは、どのような制度なのか、誰が対象になるのか、適用されると何が変わるのかという全体像から押さえていきましょう。

会社都合による退職と国保軽減の関係

会社都合による退職などで勤め先の社会保険をやめて国民健康保険(国保)に加入すると、多くの人は「健康保険料が高くなった」と感じます。その負担を抑えるために設けられているのが、「非自発的失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減制度」です。

ここでいう「非自発的」とは、簡単に言えば「自分の都合ではなく会社側などの事情で離職した場合」を指します。典型的には次のようなケースです。

  • 会社都合退職(解雇・倒産など)
  • 契約期間満了による雇止め
  • ハラスメントや大幅な労働条件の悪化など、やむを得ない事情のある離職(特定理由離職者)

こうした「非自発的失業者」を対象に、国民健康保険料の算定上の所得を実際より低くみなして計算することで、国民健康保険料を軽減する仕組みになっています。

制度の対象になる人の基本像

国民健康保険料(税)の軽減を受けるには、次のような条件を満たしている必要があります(詳細は必ず市区町村役場の窓口等で確認してください)。

  • 原則離職時点で65歳未満であること
  • 雇用保険の「基本手当」の受給資格者であること(雇用保険受給資格の決定を受けていること)
  • 「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」に記載された離職理由コードが、国保軽減の対象コードに該当していること
  • 離職後、会社の健康保険ではなく、国民健康保険に加入していること
  • 本人または世帯主が、市区町村に対して申請(手続き)を行うこと

このうち、実務上もっとも重要なのが「離職理由コード」です。国保軽減の対象となる離職理由コードは、次の項で詳しく説明します。

軽減で何が変わるのか

国保軽減が適用されると、主に次の点が変わります。

1. 国民健康保険料の軽減

国保軽減が適用されると、国民健康保険料を計算する際、前年の給与所得を実際の金額ではなく、30%相当額として取り扱います。これにより、国民健康保険料(税)の負担が軽くなります。

2. 高額療養費の所得区分が下がる場合がある

国保の世帯所得が低くみなされることで、高額療養費制度の「所得区分」も下がり、医療費が高額になった場合の自己負担限度額が低くなる場合があります。

3. 軽減には申請が必要

離職しただけでは国民健康保険料の軽減は行われません。「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を持って、市区町村に軽減の申請手続きをする必要があります。

なお、会社都合退職であっても、雇用保険の手続きをしておらず受給資格者証・受給資格通知のいずれも手元にない場合は、この制度の対象外になるので注意が必要です。ただし、病気療養中で失業給付を受けられない、離職時に65歳以上だった、個人事業主や会社役員であったなどの理由で受給資格者証等を取得できない人でも、倒産・解雇・病気などによる離職であれば自治体独自の減免を受けられる場合があります。あきらめずに市区町村の窓口で相談してください。

対象になる離職理由コード一覧

国保軽減の対象かどうかは、雇用保険受給資格者証(または雇用保険受給資格通知)に記載された「離職理由コード」で判定されます。どのコードが対象になるのかを見ていきましょう。

特定受給資格者のコード 11・12・21・22・31・32

まず、「特定受給資格者」に該当する代表的なコードは次のとおりです。

  • 11・12:解雇や倒産等による離職
    いわゆる会社都合退職で、労働者に重大な責任がない解雇や、倒産・経営悪化などが該当します。
  • 21・22:雇止めによる離職
    有期契約の期間満了・雇止めで、契約更新が期待されていたにもかかわらず更新されなかったケースなどです。「雇止めでも対象になるのか?」という質問が多いですが、21・22のコードであれば国保軽減の対象となります。
  • 31・32:表面的には自己都合退職だが、実質的に会社側の問題があるケース
    たとえば、賃金未払いや長時間労働、安全配慮義務違反、パワハラなどで退職を余儀なくされた場合などです。「自己都合」による退職であっても、これらの31・32の離職理由コードであれば非自発的失業者とみなされ、国保軽減の対象となります。

これらのコードは、ハローワークでの雇用保険の手続きの際に、事実関係をもとに判定されます。離職票に書かれた内容に疑問がある場合は、ハローワークで事情を説明し、離職理由の確認を求めることが重要です。

特定理由離職者のコード 23・33・34

もう一つのグループが「特定理由離職者」です。代表的な離職理由コードは次のとおりです。

  • 23・33・34:
    契約期間満了や、体力・心身の不調、家族の介護・看護、結婚・育児・配偶者の転勤など、やむを得ない事情により離職した場合に用いられるコードです。

これらの特定理由離職者のコード(23・33・34)も国保軽減の対象に含まれます。つまり、会社都合退職だけでなく、「やむを得ない自己都合」による離職も、条件を満たせば非自発的失業者と見なされるということです。

軽減の対象外となるコードとケース

国保軽減の対象となる離職理由コードは、一般に次の9つとされています。

11・12・21・22・23・31・32・33・34

このどれにも当てはまらないコード(典型的には、通常の自己都合退職のコードなど)の場合は、非自発的失業者とは扱われず、国民健康保険料の軽減対象外となる場合が多いです。

また、注意すべき点として次のようなケースが挙げられます。

  • 雇用保険の基本手当の受給資格者証そのものが交付されない場合
    たとえば、被保険者期間が短く基本手当の受給資格がない人、高年齢求職者給付金のみ対象となる人などは、「雇用保険受給資格者証」が発行されません。この場合、この軽減制度の対象外とされることがあります。ただし、前述のとおり自治体独自の減免制度が用意されていることもあるため、窓口で相談してみてください。
  • 離職票だけ持っている場合
    離職票は雇用保険の手続きのための書類であり、離職理由コードが確定していない段階です。多くの市区町村では、「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」がなければ国保軽減の手続きができません。

離職理由コードは、ハローワークでの手続き後にもらう「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」の右上付近や離職理由欄に記載されています。国保軽減の申請前に、必ずコードをチェックしておきましょう。

軽減の内容と対象期間

対象になることが分かったら、次は「どのくらい軽くなるのか」「いつまで続くのか」を確認しておきましょう。

前年給与所得を30%として計算する仕組み

国保軽減では、前年の給与所得を実際の金額ではなく30%として計算します。これにより、国民健康保険料(税)の負担が軽くなります。

  • 軽減の対象となるのは、前年の給与所得です。
  • 事業所得や不動産所得など、給与以外の所得は通常どおり計算されます。
  • 給与所得が0円になるわけではなく、30%の金額として計算されるのがポイントです。

「非自発的失業者の国保料は前年所得の何%で計算されるのか?」という点については、前年の給与所得を30%として計算すると考えておけば分かりやすいでしょう。そのため、所得割部分の国民健康保険料(税)が下がり、全体としての負担が軽くなる仕組みです

軽減期間は離職日の翌日の属する月から翌年度末まで

国保軽減が適用される期間は、原則として次のように説明されています。

離職日の翌日の属する月から、その翌年度末まで

たとえば、

  • 3月31日付で離職した場合
    →「4月分」から、翌年度の3月分までが軽減対象期間の目安になります。
  • 9月30日付で離職した場合
    →10月分から、翌年度の3月分までが対象期間となり、最長で約1年半程度の軽減となるイメージです。

ただし、軽減が適用される期間は、市区町村の運用や国民健康保険の加入時期によって異なります。詳しい適用期間については、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

高額療養費の所得区分への影響

国保軽減は、単に国民健康保険料(税)を減らすだけでなく、高額療養費制度の所得区分にも影響します。

  • 前年の給与所得を30%とみなして所得計算を行うことで、世帯の総所得が下がる場合があります。
  • その結果、高額療養費の自己負担限度額がより低い区分に下がることがあり、入院などで医療費が高額になった場合の負担が軽くなります。

ただし、高額療養費の区分は世帯全体の所得状況で判断されるため、他の家族の所得状況によっては区分が変わらないこともあります。「どの所得区分になるか」「どのくらい自己負担が変わるか」は、世帯状況ごとに異なるため、具体的には市区町村窓口で確認してください。

申請方法と必要書類

国保軽減は申請しなければ適用されません。手続きの流れと、窓口に持っていく書類を確認しておきましょう。

市区町村窓口での申請

一般的な申請手続きの流れは次のとおりです。

  1. 退職後、ハローワークで雇用保険の手続きを行う。
    → 雇用保険の受給資格が決定すると、「雇用保険受給資格者証」が交付されます。なお、令和4年10月以降、マイナンバーカードを提示して受給資格の確認を受けた人には、受給資格者証に代えて「雇用保険受給資格通知」が交付されます。
  2. 住んでいる市区町村の国民健康保険担当窓口に行き、「非自発的失業者の国民健康保険料軽減の申請をしたい」と伝える。
  3. 担当者に雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)や本人確認書類を提示し、申請書に必要事項を記入する。
  4. 後日、軽減が決定すると、国民健康保険料の納付書や口座振替額に反映されます。

まとめると、「国保軽減の申請手続きの流れ」は、ハローワークで離職理由コードを確定 → 「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を受け取る → 市区町村で国保軽減を申請、という順番になります。

郵送やオンライン申請の扱い

近年は、市区町村によっては次のような方法も認められています。

  • 郵送での申請
  • マイナポータル等を使ったオンライン申請

ただし、

  • どの市区町村でも必ず対応しているわけではない
  • オンライン申請でも、後日原本の提出が求められる場合がある

など、取り扱いは自治体ごとに異なります。窓口に行くのが難しい場合は、市区町村のホームページを確認するか、電話で「非自発的失業者の国保軽減の郵送(またはオンライン)申請は可能か」を確認しましょう。

雇用保険受給資格者証(受給資格通知)と本人確認書類

申請時に、一般的に必要となる主な書類は次のとおりです。

  • 雇用保険受給資格者証
    離職理由コード(11・12・21・22・23・31・32・33・34など)が記載されている重要な書類です。「受給資格者証」と略して呼ばれることもあります。マイナンバーカードで受給資格の確認を受けた人は、これに代えて「雇用保険受給資格通知」が交付されます。
  • マイナ保険証または資格確認書
    すでに国保に加入していることの確認のために提示を求められます。従来の紙の健康保険証は2024年12月2日に新規発行が終了し、2025年12月1日ですべての有効期限が切れています。現在は、健康保険証として利用登録したマイナンバーカード(マイナ保険証)か、市区町村から交付される「資格確認書」を持参してください。
  • 本人確認書類
    マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど。
  • マイナンバー関係書類
    世帯主や対象者のマイナンバーが必要となる場合があります。

なお、かつて滞納世帯に交付されていた「短期被保険者証」「被保険者資格証明書」は、2024年12月2日の国民健康保険法改正により廃止されました。現在は、特別な事情がなく滞納が続いている場合、事前通知のうえで「特別療養費」の支給対象となる運用に切り替わっています。この場合、窓口でいったん医療費の全額(10割)を支払い、後から保険給付分を申請することになります。

滞納がある状態で軽減申請ができるかどうかは市区町村ごとに取り扱いが異なります。心当たりがある場合は、早めに窓口で相談し、納付計画や軽減申請について確認しておくとよいでしょう。

よくある誤解と確認ポイント

制度を知らないまま「自分は対象外だ」と判断してしまうケースは少なくありません。誤解しやすいポイントを整理しておきましょう。

自己都合による退職でも対象になるケース

「自己都合による退職だから非自発的失業者ではない」とあきらめてしまう人が少なくありませんが、実際には次のような例外があります。

  • ハラスメント・いじめ・セクハラ等により、やむを得ず退職した場合
  • 長時間労働や過重労働で健康を害し、退職せざるを得なかった場合
  • 賃金未払いが続いた場合
  • 結婚・出産・育児・家族の介護など、社会通念上やむを得ない理由がある場合 など

こうしたケースは、「自発的失業(通常の自己都合退職)」ではなく、特定受給資格者(31・32)や特定理由離職者(23・33・34)として扱われることがあります。この判定はハローワークが行うため、離職票の退職理由に納得がいかない場合や、やむを得ない事情がある場合は、ハローワークで詳しく相談してください。

離職票では手続きできない理由

「離職票があるから、それを持って国保の軽減を申請しよう」と考える人もいますが、多くの市区町村では離職票だけでは手続きができません。その理由は、

  • 離職票の段階では、離職理由の最終的な判定(コード)が確定していない場合がある
  • 国保軽減の対象かどうかは、「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」に記載された離職理由コードで判断する

ためです。したがって、まずはハローワークで雇用保険の手続きを行い、「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を受け取ってから、国民健康保険の軽減申請を行う流れになります。

転入・転出・再離職時の注意点

転居や再就職・再離職があると、国保軽減の扱いも少し複雑になります。主なポイントは次のとおりです。

  • 他市区町村への転出・転入
    国保は市区町村ごとに運営されています。転出すると、元の市区町村での国保資格は喪失し、新しい市区町村で新たに国民健康保険に加入します。この際、国保軽減の扱いが自動で引き継がれるとは限りません。転入先の市区町村で、改めて「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を提示して軽減の申請が必要になる場合があります。
  • 就職して社会保険に加入した場合
    新しい会社の健康保険に加入すると、国民健康保険は脱退します。それ以降は国保軽減は適用されず、あくまで国保に加入していた期間分だけが軽減対象です。
  • 再び離職して国保に戻る場合
    軽減対象期間内に再度国民健康保険に加入した場合、条件を満たせば残りの期間について再度軽減を受けられる可能性があります。このような再離職のケースでは、前回の「雇用保険受給資格者証」(または受給資格通知)や新たに交付されたものを持参し、市区町村に詳しい扱いを確認してください。

よくある質問

最後に、特に相談の多い3つの疑問を整理しておきましょう。

65歳以上は対象になるか

国保軽減の対象は、原則として雇用保険の基本手当を受ける受給資格者です。一方、65歳以上になると、雇用保険の給付内容や手続きが変わり、「高年齢求職者給付金」など別の制度になることがあります。このため、

  • 雇用保険の基本手当の受給資格者証(または受給資格通知)が発行されているか
  • お住まいの市区町村が、65歳以上の方の国保軽減をどう扱っているか

によって取り扱いが異なります。65歳前後で離職した場合は、ハローワークと市区町村の双方に「国保軽減の対象になるか」を必ず確認してください。

申請が遅れた場合はどうなるか

「忙しくて、離職からかなり時間が経ってから申請してしまった」という場合でも、市区町村によっては、一定の範囲でさかのぼって国保軽減を適用してくれることがあります。ただし、

  • どこまでさかのぼれるか
  • さかのぼりの上限期間
  • 申請が遅れた理由の説明が必要かどうか

といった点は、市区町村の条例や運用によって異なります。離職から時間が経っていても、まずは国民健康保険担当窓口に相談し、可能な対応を確認しましょう。

就職後や国保脱退後はどうなるか

国保軽減は、あくまで国民健康保険に加入している期間に対して適用されるものです。

  • 途中で就職し、会社の健康保険に加入して国保を脱退した場合
    → その時点で国保軽減も終了します。
  • その後、軽減対象期間の途中で再び離職し、国保に戻った場合
    → 条件を満たせば、残りの期間について再度軽減を受けられる可能性があります。

また、国保を脱退していた期間の国民健康保険料が後から請求されることは通常ありませんが、軽減の適用や保険料の計算は世帯全体の状況や加入履歴によって変わるため、不明な点があれば必ず市区町村窓口で確認するようにしてください。

まとめ

会社都合退職や雇止めなどで離職した後の生活では、国民健康保険料の負担は大きな問題になります。

自分が非自発的失業者として国保軽減の対象になるかどうかは、

  • 離職理由コード
  • 雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)の有無
  • 国保への加入状況

によって決まります。

まずは、ハローワークで離職理由の認定内容を確認し、「雇用保険受給資格者証」または「雇用保険受給資格通知」を手元に用意したうえで、市区町村の国保窓口に相談・申請を行うことが重要です。

※本記事は2026年9月時点の法令・制度にもとづいて作成しています。税制・社会保険制度は改正が予定されているものがあり、実際の取扱いは適用される年分や施行時期によって異なります。最新の情報は、国税庁・厚生労働省・日本年金機構および各市区町村の公式サイトでご確認ください。

(イーアイデム編集チーム)

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